苗木「 ……………………」

舞園「何です？ 私の言ってることわかりませんか？ じゃあ黒幕さんもやっつけた方がいいですか？
ひょっとして 私たち以外のこの学園にいる人全滅させたら分かってくれます？
とりあえず、大和田君からいきましょうか？ 苗木君も、殴られた所が痛むでしょうしね」

苗木「……ったよ」

舞園「え、なんですか。苗木君」

苗木「……わかった、よ……結婚でも何でもする。するから……人を頃すなんて、やめてよ……」

舞園「……っ！！あなたを信じてましたよ。苗木君！」

それから１週間後、駆けつけた警察の手によって、苗木たちは救出された。
黒幕の正体は金持ちの異常者であり、苗木たちが閉じ込められていた場所は人目を忍んだ場所に建てられた希望ヶ峰学園とまったく同じ構造の建物だった。
苗木たちは入学式の日、学園に入ろうとしたところを気絶させられ、そこへと拉致されたのである。
当然、世界では絶望的事件など起きておらず、２年間の記憶の消失もなく、江ノ島盾子は普通に「超高校級のギャル」であり、
彼女の姉に戦刃むくろなんて人間は存在していなかった。
そして、１週間のあいだに、吊り橋効果的なものによって、苗木の方も舞園に惚れ、２人は晴れて両想いとなっていた。

苗木「よかったね、舞園さん！僕たち、１人も欠けることなく助かったよ！」
舞園「はい、本当によかったです！…それであの、苗木君。約束、ちゃんと覚えてますよね？」
苗木「もちろん！忘れるわけないじゃないか。僕たちが学園を卒業したら、結婚しよう。
今じゃ舞園さんのことが、君の作った味噌汁を毎朝飲みたいくらい好きだよ！」
舞園「う、嬉しいです！本当に、本当に……！」

それから舞園は、毎日自宅で味噌汁に対する入念な研究を始めた。
既存の味噌では我慢できず、自家製味噌を１から作ることに決めたのである。

舞園「さあ忙しくなってきました忙しくなってきますよ。大盤振る舞いのてんてこ舞いです。
苗木君ったら私の作ったお味噌汁を飲みたいだなんてとてもかわいらしいことを言ってくれるんですから。
もう、簡単に言わないでほしいです、たしかに拉致されてた時「私、こう見えて(料理が)上手なんですよ！」って言いましたけど、
でも私にはアイドルの仕事もあるんですから。そんなに時間があるわけじゃないんですよ、気軽な頼みごとにもほどがあります。
まったくもう甘えん坊さんなんですから。だけど仕方ありませんよね、あんな風に頼まれちゃったら断るなんてできませんから。
おいしいお味噌をたくさん作って毎朝と言わず１時間おきに届けてあげちゃうんですから。
ううん、さすがに１時間おきはやり過ぎですかね、１時間半おきぐらいが妥当ですよね。あんまりやり過ぎると引かれちゃいますよね。
何事もほどほどが大事です、私もいい加減それくらいは学習しなくっちゃいけません。
あ、でもそうだ、考えてみたら自家製で作れるのはお味噌だけじゃありませんよね。ヨーグルトでも納豆でも、ワインなんかも。
でもお酒はまずいかもしれませんね、いいえ、そういう意味じゃなくっておいしいんですけど、
私と苗木君はふたりとも未成年なんですから。大人の嗜みは、ちょっと先を待たなければいけませんよね。
残念ですけど、将来の楽しみが増えたと思えばいいことですよね。それに私達はもうお互いがお互いに酔っているようなものですから、
ひょっとするとお酒は生涯必要ないかもしれませんね。まあ、それはともかく、とりあえずお味噌作りに集中しないと。
色んな種類のお味噌をつくって、どれがいいか苗木君に選んでもらわないと。
そうだ、そのときは緊張して長々と喋らないように注意しなくちゃいけませんよね。
私ったら、苗木君を好きになってからついついお喋りが長くなっちゃう癖がついたんですよね。
でもこれからはそういうのも控えるようにしないといけません。だって私は苗木君と幸せになるんですから。
さあ、できました、最初の１回分。味噌汁っていうか、味噌を呑んでもらいます。
ここに居並ぶ大量の味噌樽を目にしたときの、苗木君の喜ぶ顔が目に浮かんじゃいます！」

完

>> 418
メモ帳からのコピペの際、下に空白ができてしまった…
無駄に行数を使ってしまって、申し訳ない。