779: 2012/02/11(土) 15:26:38.35 ID:lqm7KyQ+0

【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」1日目
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」2日目
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」3日目
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」4日目
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」5日目
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」6日目
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」7日目
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」最終日
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」エクストラ9日目
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」エクストラ10日目
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」エクストラ11日目
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」エクストラ12日目
【まどマギ】杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」エクストラ13日目

このSSは杏子ちゃんが残虐非道な行為を繰り返しましたが絶望編改め
トゥルーエンド編(前編)をお送りいたします。ご注意下さい。

780: 2012/02/11(土) 15:27:21.43 ID:lqm7KyQ+0

~マミの家~

ゆま「こんにちは、マミお姉ちゃん!」

マミ「あ……ゆまちゃん、今日も来たのね……」

ゆま「ねぇマミお姉ちゃん! お姉ちゃんちにキョーコ来なかった?」

マミ「……来なかったわよ」

ゆま「えー、ホント? その辺に隠れてたりしない?」

マミ「居ないわ……杏子は……ここにはいないの」

ゆま「そっかぁ……うーん、キョーコったらどーしたんだろ」

マミ「あのね、ゆまちゃん……杏子は……」

ゆま「もう3日も連絡がないんだよ? まったくキョーコってばズボラなんだから!」

マミ「違うのよ、ゆまちゃん……杏子は、もう……」



マミ「杏子はもう、この世にはいないのよ……」



ゆま「…………」
魔法少女まどか☆マギカ ねんどろいど 佐倉杏子 (ノンスケール ABS&PVC製塗装済み可動フィギュア)
781: 2012/02/11(土) 15:28:25.62 ID:lqm7KyQ+0

ゆま「えへへぇ……」

ゆま「マミお姉ちゃんたら、またその冗談なの?」

ゆま「前にも言ったよね? あんまり面白くないよ、それ!」

マミ「ゆまちゃん……」

ゆま「ヒトミもおんなじ冗談言ってたけど……」

ゆま「誰かが氏んだとか、そーいうウソって言っちゃいけないんだよ?」

マミ「冗談でも嘘でもないの……本当のことよ」

マミ「杏子はいないの、氏んでしまったのよ……!」

ゆま「……えへっ、えへへへへぇ……」

ゆま「……ゆま、しつこいお姉ちゃんはキライだなぁ」

マミ「……っ!」

782: 2012/02/11(土) 15:29:35.47 ID:lqm7KyQ+0

ゆま「……まあいいや! ここにいないなら探しにいこっと!」

ゆま「じゃあね、マミお姉ちゃん!」

マミ「あっ……ゆまちゃ……!」

ガチャッ バタンッ!

マミ「……ゆま、ちゃん……」

マミ「う……うう……」グスッ

マミ(……こんなの、酷すぎるわ……)

マミ(ゆまちゃん、あんなに悲しい目をして……)

マミ(……どうして)

マミ(どうして逝ってしまったのよ、杏子……)

783: 2012/02/11(土) 15:31:28.87 ID:lqm7KyQ+0

~廃教会~

ほむら「…………」

ほむら(誰もいない、わよね……)

ほむら(それに、何も残っていない)

ほむら(もしかしたらと思ったけど……)

ほむら(やっぱりそんな都合の良い話があるわけないわよね……)

ガタッ

ほむら「っ!! 誰っ!?」

784: 2012/02/11(土) 15:32:03.48 ID:lqm7KyQ+0

ゆま「……えへへ、こんばんわ」

ほむら「千歳、ゆま……どうしてここに?」

ゆま「ゆまはキョーコを探しに来たんだよ!」

ほむら「そう……」

ゆま「ホムラこそ何してたの? ……あっ! もしかしてキョーコとかくれんぼしてたとか!?」

ほむら「……違うわ」

ほむら「ただ少し探し物をしていただけよ」

ゆま「なーんだぁ」

785: 2012/02/11(土) 15:33:36.50 ID:lqm7KyQ+0

ゆま「ここにもキョーコはいないのかぁ……どこ行ったのかなぁ?」

ほむら「……ゆま、貴女は志筑仁美の家に住んでいるんだったわよね」

ゆま「えっ? あ、うん。そーだよ」

ほむら「ならそろそろ帰らないと……あの家は門限が厳しいのでしょう?」

ゆま「あっ! そうだった! ありがと、ホムラ!」

ゆま「門限を破って怒られたりなんかしたらキョーコに笑われちゃうところだったよ!」

ほむら「……どういたしまして」

ほむら「ついでだし、途中まで送りましょうか?」

ゆま「ううん、だいじょーぶ! 一人で帰れるもん!」

ほむら「そう……なら気をつけて帰りなさい」

ゆま「うん! バイバイ!」

786: 2012/02/11(土) 15:35:03.26 ID:lqm7KyQ+0

~帰り道~

ゆま(ほんと、キョーコってば何処で何してるんだろ?)

ゆま(早く帰ってこないせーで、マミもヒトミもみーんな、キョーコが氏んだなんて変な冗談を言いはじめるし……)

ゆま(そんなことあるわけないのにね! キョーコが氏ぬなんて!)

ゆま(キョーコは……ゆまが一人前になるまで監視し続ける、って言ってたもん)

ゆま(ゆまを捨てていなくなるなんてありえないんだよ!)

ゆま(きっと何処かに隠れてて、ゆまを困らせようとしてるんだよね!)

787: 2012/02/11(土) 15:37:02.98 ID:lqm7KyQ+0

ゆま(キョーコは極悪だもんなぁ……早く見つけださないと、また何か酷いコトしてくるかも?)

ゆま(ぶるぶる、想像しただけでも怖くなっちゃう!)

ゆま(急いで見つけよっと! 今度はどこを探そうかな……)



「――――今日は夕日が綺麗だね」



ゆま「……?」

「まるで街が鮮血に染まるようだよ」

「キミもそう思わないかい、おチビちゃん?」

ゆま「……お姉ちゃん、誰?」

「私は呉キリカ。キミと同じ魔法少女だよ」

788: 2012/02/11(土) 15:39:03.54 ID:lqm7KyQ+0

ゆま「魔法、少女……?」

キリカ「うん? とぼける気かな?」

キリカ「無駄なことだね。キミが魔法少女であることはお見通しだよ」

キリカ「何よりその指輪が証明している。動かぬ証拠さ」

ゆま「何言ってるの? これはお姉ちゃん達が……」

キリカ「まあいいさ、あれだ、そんなことは瑣事に過ぎない」

キリカ「どうせ――――」










――――すぐにお別れだからね

789: 2012/02/11(土) 15:40:08.85 ID:lqm7KyQ+0

~さやかの家~

さやか「はぁっ……」

さやか「なんか、全然元気でないや……」

さやか「あれから毎日……こうしてウジウジして……」

さやか「こんなんじゃダメだよね……向こうで杏子も呆れてるだろーなぁ」

さやか「もっとシャキッとしなきゃ……」

♪~♪~♪

さやか「うわっ!?」

さやか「け、ケータイか、びっくりしたなあもぉ」

さやか「ん……仁美から電話? なんだろ?」

790: 2012/02/11(土) 15:41:04.64 ID:lqm7KyQ+0

さやか「もしもし、仁美?」

仁美『はぁっ、はぁっ……さ、さやかさん? あのっ、お願いします! 力を貸してくださいまし!』

さやか「ど、どしたの? 何かあったの?」

仁美『駅前も、商店街も、教会も探したのにっ……いないんです!』

さやか「落ち着いてよ! 事情を説明して?」

仁美『っ……ゆ、ゆまさんが……』

仁美『ゆまさんがいないんです、どこにも!』

さやか「えっ……?」

791: 2012/02/11(土) 15:42:29.69 ID:lqm7KyQ+0

さやか「ゆ、ゆまちゃんまだ帰ってないの……?!」

仁美『ゆまさんが門限を守らないなんて初めてのことでっ……』

仁美『おかしいと思って探しに出たんですけど、どこにもいないんですの……!』

さやか「門限、っていうか……もう11時になるじゃん!」

さやか「絶対おかしいでしょソレ! 何かあったんじゃ……!?」

仁美『ううっ……』

仁美『もし、ゆまさんに何かあったら……私……私っ……!』

仁美『天国の杏子さんに顔向け出来ませんわっ……!』グスッ

さやか「仁美……!」

792: 2012/02/11(土) 15:43:35.98 ID:lqm7KyQ+0

さやか「わかった、あたしも探すの手伝うよ!」

さやか「まずは皆に連絡をとってみる。もしかしたら誰かの家にいるかもだし」

さやか「皆で探した方が効率もいいしね!」

仁美『お、お願いします……!』

仁美『私もまだ、もっと探してみますわ!』

さやか「うん、でも物騒なトコに入っちゃダメだからね?」

さやか「そーいうのはあたしに任せて、仁美は人通りの多いトコとか探して!」

仁美『は、はいっ……』

さやか「……だいじょーぶだよ仁美、絶対見つかるって!」

さやか「なんてったって、あたし達魔法少女がついてるんだから!」

793: 2012/02/11(土) 15:44:43.17 ID:lqm7KyQ+0


………………

…………

……

794: 2012/02/11(土) 15:45:43.41 ID:lqm7KyQ+0

~夜・廃教会周辺~

まどか「ゆまちゃーん! いたら返事してー!」

ほむら「…………」

ほむら「……この辺りにもいないみたいね……」

まどか「うん……」

まどか「マミさんたちの方はどうなのかな……」

ほむら「何も連絡がないところからいって……成果はあがっていないのでしょうね……」

まどか「……そう、だよね……」

795: 2012/02/11(土) 15:46:53.21 ID:lqm7KyQ+0

ほむら「……私が……」

まどか「えっ?」

ほむら「私があの時、千歳ゆまをちゃんと送り届けていたら……」

ほむら「こんなことにはならなかったのに……」

ほむら「私のせいだわ……」

まどか「ほむらちゃん……」

まどか「……大丈夫! ゆまちゃんはきっと無事だし、絶対に見つかるよ」

まどか「だから、そんなに自分を責めないで……ね?」

ほむら「……ごめんなさい……」

796: 2012/02/11(土) 15:48:23.78 ID:lqm7KyQ+0

~見滝原市・繁華街~

仁美(ゆまさん……どうしてどこにも居ないんですの……?)

仁美(まさか、誰かに連れ去られたとか……)

仁美(それとも杏子さんの後を追って……)

仁美(っ! だ、駄目ですわ、変なことを想像しては……)

仁美(ゆまさんは……きっとちょっと迷子になってしまっただけですわ)

仁美(早く見つけてあげないと……)

仁美(……あと探していないところは……)



《――――――……》



仁美(……町外れの、廃工場……?)

797: 2012/02/11(土) 15:49:19.31 ID:lqm7KyQ+0

~見滝原市・廃工場~

仁美(携帯のライトだけでは暗くて良く見えませんが……)

仁美(……かなり荒れ果てていますわね)

仁美(あちこちに機械の部品やガラス片が落ちてますわ)

仁美(……この辺りは先日の嵐の被害が特に大きかったから、ですわね)

仁美(正確には嵐のせいではなく、魔女との戦いが原因なのだそうですけれど……)

仁美(……確か、ワルプルギスの夜とかいう……)

仁美(…………)

仁美(ワルプルギスの夜……)

仁美(杏子さんの命を奪った魔女……)

仁美(……っ)グスッ

798: 2012/02/11(土) 15:50:57.17 ID:lqm7KyQ+0

仁美(……泣いてもいられませんわ)

仁美(今は……ゆまさんを探さないと)

仁美(いなくなってしまった杏子さんの分も……)

仁美(私が、ゆまさんを守らなければいけないんですから)



《――――――……》



仁美(……? いま何か光ったような……)

仁美(工場の奥……?)

仁美(少し……行ってみましょう)

799: 2012/02/11(土) 15:52:37.88 ID:lqm7KyQ+0

仁美(……あ)

仁美(この部屋、天井が抜け落ちてますわ)

仁美(雲の切れ間から少しだけ星空が見えますわね)

仁美(あの程度では明かりの足しにもなりませんけど……)

仁美(…………あら?)

仁美(良く見ると、床が変な色に染ま……)

仁美「…………ひっ!?」

仁美(こ、これ……血の跡……!?)

仁美(いったいここで何が――――)

800: 2012/02/11(土) 15:53:56.32 ID:lqm7KyQ+0

きらり、と。

紅い輝きが視界の端に映る。

「あっ……?」

仁美は反射的にその輝きへと視線を向け、震える手で携帯電話のライトをかざした。

ぼんやりとした明かりに照らし出され、何かのシルエットが浮かび上がる。

「…………!?」

血の跡が一面に広がる床の上。仁美からほんの数歩の距離に。

打ち捨てられるようにして、得体の知れないモノが転がっていた。

801: 2012/02/11(土) 15:55:16.99 ID:lqm7KyQ+0

ソレは紅く、黒いカタマリ。

ボロ切れと化した『衣服』に包まれ、

乾いた血で『髪』が張り付いており、

『肌』はドス黒く変色していて、

棒のように硬直した『腕』を突き出し、



そして、その『指』には、見覚えのある指輪がはめられている――――

802: 2012/02/11(土) 15:56:06.65 ID:lqm7KyQ+0

「あ……あああ……!」

あのカタマリを飾り付けている指輪は、誰のものだったろうか。

大好きな人とお揃いなのだと。

優しいお姉ちゃん達から貰ったのだと。

あの美しい指輪を得意げに自慢していた幼い少女の名は、なんだったろうか。

仁美は必氏に頭を働かせるが、答えは出てこなかった。

「あああぁああぁぁっ!!!」

その答えを、拒絶していた。

803: 2012/02/11(土) 15:59:34.20 ID:lqm7KyQ+0

(ウソですわウソですわウソですわウソですわ――――!!)

心臓が早鐘の如く鳴り響く。

呼吸も荒く、整えることが出来ない。

滲みだした脂汗で衣服がじっとりと湿っていく。

(そんなはずないアレが■■さんだなんてそんなわけない!!)

現実を否定する呪文を唱えながら、覚束ない足取りで歩み寄り、

(私の勘違いに決まってますわそうですわ――――)

カタマリから突き出る腕に、その指に、手を伸ばす。

804: 2012/02/11(土) 16:00:46.62 ID:lqm7KyQ+0

(そうコレは■■さんなんかじゃなくて廃棄された機械か何かで――――)

仁美は震える指先でソレを掴むと、

(指輪に見えるのも電球とかで、暗いから恐ろしい想像をしてしまっただけに決まって――――)

ずるり、という気持ちの悪い感触と共に、紅き指輪を引き抜いた。

「…………あ」

そして、黒ずんだ汚らしい滓がこびりついたソレを手の平に乗せ、悟る。



これは――――



千歳ゆまが身につけていたものと、同じ指輪だ。

805: 2012/02/11(土) 16:02:08.32 ID:lqm7KyQ+0









つまり、

考えるまでもなく、

足元に転がるこの物体は。

806: 2012/02/11(土) 16:03:56.69 ID:lqm7KyQ+0

「――――嫌ああああああぁああ!!」

廃工場に叫び声がこだまする。

「そんな……どうしてッ……あああああ!!」

仁美は自分の衣服が汚れることも構わず、そのカタマリを抱きしめた。

冷たく、グニャリとした感触のソレは、

誰もが生理的な拒絶感を覚えるだろう。

それでも仁美は、両の手を離すことはなかった。

「なんで! なんでこんなっ……!!」

807: 2012/02/11(土) 16:04:55.88 ID:lqm7KyQ+0

認めたくはなかった。

ソレが何なのか。

『誰』であるのか。

決してその名を口にしてはいけないと思っていた。

しかし溢れだす涙を抑え切れないように、

ついに仁美の口から彼女の名がこぼれ落ちる――――

808: 2012/02/11(土) 16:06:49.95 ID:lqm7KyQ+0

その直前。



《――――――……》



「え……?」

誰かの笑い声が、微かに仁美の耳に届く。

しかしその声の主が誰であるのか確かめる前に、

「……あぐっ!?」

仁美は頭蓋が叩き割られるような痛みに襲われ、

――――そのまま意識を失い、ドサリと床に倒れ込んだ。

809: 2012/02/11(土) 16:08:14.87 ID:lqm7KyQ+0

~とある屋敷~

キリカ「上手くいったよ、織莉子。全部キミが指示した通りさ」

キリカ「この通り、指輪も回収してきたよ」

織莉子「ご苦労様、キリカ。いつもありがとうね」

織莉子「……それで、あの子は?」

キリカ「うん? ああ……あの無力なお姫様なら、暗い暗い檻の中で眠っているよ」

キリカ「万が一、目を覚ましても平気さ。拘束具を着せてあるからね」

織莉子「さすがキリカね、手際が良いわ」

キリカ「ふふ! 織莉子にそう言ってもらえるだけで、天にも昇る心地だよ」

810: 2012/02/11(土) 16:09:35.76 ID:lqm7KyQ+0

キリカ「さてさて、私は次に何をすればいいのかな?」

キリカ「織莉子のために、私の時間を、私の命を使わせておくれよ」

織莉子「次は……この写真の魔法少女がターゲットよ」

織莉子「彼女は私たちが成し遂げる救世の妨げになる存在なの」

キリカ「と、いうことは……また『処理』すればいいのかい?」

織莉子「ええ、千歳ゆまと同じようにしてくれればいいわ」

キリカ「千歳ゆま? ……誰だっけ、それ」

織莉子「……相変わらず他人の名前を覚えていられないのね、キリカは」

キリカ「私が覚えておく必要のある名前は『美国織莉子』だけだからね!」

織莉子「クスっ……まったくもう、貴女って子は」

811: 2012/02/11(土) 16:14:31.48 ID:lqm7KyQ+0

織莉子(……私が予知した、いずれ来たる『絶望』……)

織莉子(それを回避するためにも、私たちは戦い続けなくてはいけない)

織莉子(この手で罪を犯してでも……)

織莉子(…………)

織莉子(あの『絶望』の中心にいた千歳ゆまは片づいた)

織莉子(次は貴女の番よ――――)






織莉子(――――暁美、ほむら)

812: 2012/02/11(土) 16:15:08.57 ID:lqm7KyQ+0
次回・トゥルーエンド編(後編)へつづく。

818: 2012/03/04(日) 15:18:24.34 ID:Zx4khWJs0
: : : i: : : : : : 、: : : : : : :ヽ: : ヾ:..:ヽ: : : : :ヽ: : : : : : : : : ヘV: /: :i::i: : Vii/ l三/三三Aiiii|
: : : i: : : : : |\ヽ: : : : : : :ヽ、:ヽヽ:、 \: : :ヽ: : : : /: : : ヽヽ,: :::|ノiii/ /,三.i三三|  liii|
: : : i: : : : : |:::: ヽ:、ヽ: : : : : .ヾ、ヽ:、  \: :::ヽ: : : : : : :、: Y,ヽ>/iii/ /三三i三三|  |iiii|
: : : i: : : : : |::: :::ヽヽヽ:、: : : :.、:i ヽ:i  ,,>< :゙、: : : : : :ヽ:i>,/iiii/ /三三/ 三三l|  |三|
: : : :l: : : i: :|:::   :.、、:、: :、: : : i:| iノr'´   \::.: 、: : : : : i:ァ>-/三三 /三三三|  |l三、
: : : :.i: : : i、:.、    ヽ,ヽ:.、: : : :|/l:|     _ヽ: :i: : : : :l:tイ/,三三 .i.三三三 |\ |,三ヽ
: : : : : : : :i、: .、    i:, ヽ:、: イ  | ,/ ,イ-l| ゙、:i: : : : :i:|/三三三 i 三三三 |/ ヾ-rr}
:ヽ: :i: : : :i:.i ヽ:、    !  l:iX: :|   /////ヽ| |: i: : : : i/,.三三三 | 三三三 |    !!!!、
: :ヽ:ヽ: : :i:ヽ ヾ.、     !' l: | / / .V.ノ、 }

820: 2012/03/04(日) 15:19:43.01 ID:Zx4khWJs0

~とある屋敷~

『お願い――――目を醒まして!』

『ごめんよ織莉子……私は、もう』

『嫌ッ……待って、行かないで、キリカぁああぁ!』





織莉子「――――――っ!?」

織莉子(また、この予知だわ……)

織莉子(やはり未来を変えるためには……千歳ゆまだけでなく暁美ほむらも……)

821: 2012/03/04(日) 15:20:53.66 ID:Zx4khWJs0

織莉子(…………)

織莉子(キリカは『私一人で大丈夫だよ』と言ってくれたけれど……)

織莉子(ここは万全を期すためにも、私も動くとしましょう)

織莉子(そうなると問題は……千歳ゆまから奪ったこの指輪をどうするか、ね)

織莉子(もしこれが暁美ほむらの手に渡ったら、予知の通りになってしまう)

織莉子(さて、どうしましょうか……)

織莉子(……そうだ、確かお父様の書斎には金庫がある)

織莉子(あそこにしまっておくとしましょう)

822: 2012/03/04(日) 15:22:06.65 ID:Zx4khWJs0

~路地裏~

ほむら「…………」

まどか「この辺りにもいないね、ゆまちゃん……」

まどか「どうしよう、ほむらちゃん……このまま見つからなかっ――――」

ほむら「……っ!! まどか危ないっ!!」

まどか「え、きゃあ!?」

ガキィン!!

キリカ「……おや? そんな小さな盾で私の一撃を防ぐなんて」

キリカ「なかなかやるね、今度の標的は」

まどか「なっ……あ、貴女だれ!?」

ほむら「……呉、キリカ……!?」

まどか「!?」

ほむら(まさか……まどかを狙って……!?)

823: 2012/03/04(日) 15:23:13.49 ID:Zx4khWJs0

キリカ「へえ、私のことを知ってるのかい? どこで会ったかな?」

ほむら「……答える義理はないわね」

キリカ「ふぅん……まあ関係ないけど」

キリカ「私はただ標的を『処理』するだけだからね」

まどか(……あの子が呉キリカ……!)

まどか(前にほむらちゃんが話してくれた、別の時間軸で会った魔法少女……)

まどか(魔法少女狩りの犯人……私を頃した人の一人……!!)ゾクッ

824: 2012/03/04(日) 15:25:41.51 ID:Zx4khWJs0

キリカ「君達はさっきの『オチビちゃん』よりも歯ごたえがありそうだね」

キリカ「困ったな、朝食の時間に間に合うかな? まあ意地でも間に合わせるんだけど」

まどか「……オチビ、ちゃん?」

まどか「待って、オチビちゃんって、まさか……」

ほむら「貴女、千歳ゆまに何かしたの……!?」

キリカ「千歳、ゆま……? 何だかさっきも聞いたような……」

キリカ「……あ、そうだ! 私の一人目の標的の名前だ!」

キリカ「魔法少女だっていうのに変身もしないで……」

まどか「……え?」

キリカ「私にあっさり敗れた無力なお姫様……彼女が千歳ゆまだったかな!」

825: 2012/03/04(日) 15:26:54.27 ID:Zx4khWJs0

ほむら「何を言っているの……? あの子は、魔法少女なんかじゃ……」

キリカ「うん? 君達までそんなことを言うんだ?」

キリカ「そんな嘘になんの意味があるんだか……やれやれ」

キリカ「彼女はソウルジェムの指輪をしていた――――」

キリカ「間違いなく魔法少女である証じゃないか」

まどか「――――!?」

まどか「ち、違うよ! あれはソウルジェムなんかじゃなくて、私達が作った――――」

キリカ「まあ、そんなことはどうだって良いんだよ」

キリカ「君達も、すぐにあのオチビちゃんと同じ所へ行くんだからさ」

ほむら「…………!!」

826: 2012/03/04(日) 15:29:15.94 ID:Zx4khWJs0

まどか(そんな……じゃあ、ゆまちゃんは、もう……?)

まどか(私達が作った指輪のせいで……魔法少女狩りに……?)

ジワ...

ほむら《しっかりして、まどか!》

まどか《!》

ほむら《あいつの言葉が真実とは限らないわ……惑わされてはダメ!》

まどか《う、うん!》

キリカ「――――さて、おしゃべりはここまでにしようか!」

キリカ「急がないと日が明けてしまうからね、早々に決着をつけさせてもらうよ!」

ジャキッ!!

ほむら「来るわ、気をつけてまどか!」

まどか「うんっ!」

827: 2012/03/04(日) 15:30:15.26 ID:Zx4khWJs0

~病院・駐輪場~

マミ「やっぱり『いる』わね……」

さやか「くっそぉ……! こんなときに魔女が出るなんて!!」

マミ「でも放っておくわけにもいかないわ。下手すればそれこそ……」

さやか「……ゆまちゃんが襲われるかもしれないもんね」

マミ「そういうことよ、急いで片付けましょう!」

さやか「はい、マミさんっ!」

828: 2012/03/04(日) 15:31:33.64 ID:Zx4khWJs0

~魔女の結界内部~

さやか「…………」

マミ(さっきは、ああいうふうに言ったけど……)

マミ(……美樹さんも、本当は気がついているのでしょうね)

マミ(ゆまちゃんが……既に手遅れな可能性もある、ってこと)

マミ(…………)

マミ(駄目ね……悪いことを考えるのはやめましょう)

マミ(信じなきゃ、あの子の無事を……)

829: 2012/03/04(日) 15:32:41.70 ID:Zx4khWJs0

さやか「それにしても……」

マミ「うん?」

さやか「見てるだけで胸やけしそうな結界ですね、ココ」

マミ「そうね……これが本物だったら胸が弾むんだけど」

さやか「さすがに手をつける気には……なれないなぁ」

さやか「ほら、見てくださいよコレ。ぶよぶよしてますよ」

マミ「いったい何で出来てるのかしらね」



マミ「――――この、お菓子の山」

830: 2012/03/04(日) 15:36:12.23 ID:Zx4khWJs0

さやか「っと……魔女はこの奥にいるみたいですね」

マミ「そうね。準備はいい?」

さやか「はいっ!」

マミ「それじゃあ……開けるわよ!」

バタンッ!












さやか「なんだ、ずいぶん弱っちそうな魔女じゃん」

マミ「一気にケリをつけるとしましょうか。……でも、油断は禁物よ」

さやか「分かってますって!」

さやか「いっくぞー!! たああああっ!」

マミ「喰らいなさいっ!」

831: 2012/03/04(日) 15:37:55.08 ID:Zx4khWJs0

…………。

さやか「ふうっ……あっさり片付いたね」

マミ「そうね。見た目通り、大したことなかっ――――」

まどか《マミさん、さやかちゃん! お願いっ……助けて!》

マミ《鹿目さん! 何かあったの!?》

まどか《いま、悪い魔法少女に襲われてるんです!》

さやか《魔法少女に!? どーいうことよソレ!》

まどか《詳しいことはわかんないけど、ゆまちゃんのことも知ってるみたいで……きゃあ!?》

マミ《鹿目さん!? 鹿目さん、どうしたの!?》

832: 2012/03/04(日) 15:39:51.89 ID:Zx4khWJs0

マミ「くっ! テレパシーが途絶えたわ!」

さやか「どーいうこと!? なんで魔法少女がまどか達を襲って!?」

マミ「それにゆまちゃんのことも関係あるみたいだった……!」

さやか「急いで二人を探そう!」

マミ「ええ!」

マミ(もう一度テレパシーを送って、場所の確認を……)



さやか「――――っ!? マミさん、後ろ!! 魔女が――――!!」



マミ「え……?」

833: 2012/03/04(日) 15:41:19.85 ID:Zx4khWJs0













――――グシャリ

ゴキメシャブチバキメシャ...

834: 2012/03/04(日) 15:43:14.63 ID:Zx4khWJs0

~路地裏~

キリカ「ふぅ……ふふふ、なかなか手こずらせてくれるね」

ほむら「まどか、大丈夫!?」

まどか「だ、大丈夫……ちょっと腕を掠っただけだから……」

ほむら「そう……」

ほむら(……やせ我慢、してるわね)

ほむら(あの傷じゃあ弓が引けないわ……)

835: 2012/03/04(日) 15:44:16.89 ID:Zx4khWJs0

ほむら(それに……いつもよりまどかの動きが鈍いわのも問題ね)

ほむら(相手が魔女じゃないから、というのもあるでしょうけど……)

ほむら(やっぱり千歳ゆまのことが気掛かりなんでしょうね……)

ほむら(…………)

ほむら(許さないわよ、呉キリカ……)

ほむら(お前は私の大切な友達を傷付けた……!!)

836: 2012/03/04(日) 15:46:03.49 ID:Zx4khWJs0

まどか(どうしよう……血が止まらないよ……)

まどか(それに、マミさんもさやかちゃんも、テレパシーに応えてくれなくなっちゃった)

まどか(きっと向こうでも何かあったんだ……)

まどか(早く……早くなんとかしなきゃ)

まどか(でもどうすればいいの? あの子の魔法……周りの時間を遅くするものらしいけど)

まどか(あれがある限り攻撃も当たらない。逃げることも出来ない……)

まどか(…………)

まどか(……ゆまちゃんもこんなふうに、酷い目に合わされたのかな……)

まどか(私達のプレゼントのせいで……勘違いされて……)

ジワ...

837: 2012/03/04(日) 15:47:07.77 ID:Zx4khWJs0

キリカ「うーん、そろそろ観念してほしいんだけれどなぁ」

キリカ「大人しくやられてみる気はないかな?」

ほむら「お断りよ」

まどか「こんなトコで氏ぬ気なんてないもん!」

キリカ「……うん?」

キリカ「あれ、もしかしてキミ達は……」



織莉子「――――苦戦しているみたいね、キリカ?」



ほむら「!?」

キリカ「あれっ!? 織莉子、来ちゃったの!?」

キリカ「私一人で充分だって言ったのに!」

織莉子「ごめんなさい、貴女のことが心配だったから……」

838: 2012/03/04(日) 15:48:57.82 ID:Zx4khWJs0

ほむら《美国、織莉子!!》

まどか《あの人が、美国織莉子……!?》

ほむら《そうよ……予知能力を持つ魔法少女……!!》

ほむら《……状況は最悪ね》

ほむら《まどか! ここは私が時間を稼ぐわ、貴女は逃げて!》

まどか《だ、駄目だよそんなの! ほむらちゃんを置いてなんて……!!》

ほむら《いいから早く!》

まどか《でもっ……!!》

839: 2012/03/04(日) 15:50:04.80 ID:Zx4khWJs0

ほむら《……まどか、貴女のその怪我では戦えないでしょう?》

まどか《!!》

ほむら《ハッキリ言わせてもらうわ。今の貴女は足手まといなのよ》

まどか《そ、そんな……》

ほむら《だから貴女は早くここから離れて、マミやさやかと合流しなさい》

まどか《…………っ》

まどか《わかったよ……ほむらちゃん》

まどか《でも!! 必ず戻ってくるから! マミさん達を連れてくるから!》

まどか《それまで……絶対に無事でいてね……?》

ほむら《……ええ》

まどか《絶対……絶対だからね!!》

ダッ!

840: 2012/03/04(日) 15:50:57.52 ID:Zx4khWJs0

キリカ「あっ、一人逃げるよ織莉子!」

織莉子「構わないわ。放っておきましょう」

織莉子「これくらいで私の計画に影響は出ないもの」

ほむら「……大した余裕ね」

ほむら「そんな簡単に私を倒せると思っているのかしら」

織莉子「……貴女が、暁美ほむらね」

織莉子「残念だけれど貴女に勝ち目はないわ」

キリカ「そうさ! 私達のコンビネーションにキミ一人で勝てるわけないよ!」

キリカ「無駄な抵抗は止したほうが良いと思うけどな?」

ほむら「……甘く見ないでほしいわね」

841: 2012/03/04(日) 15:52:03.37 ID:Zx4khWJs0

ほむら「例え勝ち目がないとしても私は絶対に諦めない……」

ほむら「まどかは絶対に守ってみせる! 貴女達に殺させはしないわ!!」

織莉子「…………」

織莉子「貴女、何か勘違いしていないかしら」

ほむら「……えっ?」

織莉子「私の狙いは貴女よ、暁美ほむら」



織莉子「――――まどか、なんていう子を害する気はないわ」



ほむら(…………!?)

842: 2012/03/04(日) 15:53:15.03 ID:Zx4khWJs0

ほむら(どういうこと……?)

ほむら(美国織莉子は、まどかを殺そうとしているのではないの?)

ほむら(……なら、千歳ゆまを襲った理由は?)

ほむら(以前の時間軸のように魔法少女狩りを行なったのだと思っていたけれど……)

キリカ「――――考え事してる余裕なんてあるのかなっ!?」

ほむら「っ! しまっ……!!」

ザシュ!!

843: 2012/03/04(日) 15:55:51.36 ID:Zx4khWJs0

ほむら「あっ……くっ……!!」

ほむら(足がッ……立てない……腱を切られた……!?)

ガクッ...

キリカ「ははっ! ほら見てよ織莉子! 私一人でも上手く出来たでしょ?」

織莉子「……少し卑怯だった気もするけれど」

キリカ「うっ。ま、まあ良いじゃないか。これで目的は達成できるよ」

織莉子「ふふっ、そうね。ありがとう、キリカ」

ほむら「くっ……うぅ……」

ほむら(このままじゃやられる……治療を……)

ほむら(時間を……時間を稼がなきゃ……!)

844: 2012/03/04(日) 15:57:09.06 ID:Zx4khWJs0

ほむら「貴女達は……どうして私を……千歳ゆまを襲ったの……?」

キリカ「……図々しいな、キミ」

キリカ「自分が質問なんて出来る立場だと思っているのかい?」

ほむら「くっ……」

織莉子「構わないわキリカ。少しくらい話をしてあげましょう?」

キリカ「……織莉子がそう言うなら仕方ないね」

845: 2012/03/04(日) 15:59:42.29 ID:Zx4khWJs0

織莉子「私が貴女を襲った理由……」

織莉子「それは、貴女が世界の『絶望』を生み出す存在だからよ」

織莉子「そして『絶望』の鍵となるのが千歳ゆまだった。だから……」

キリカ「私が彼女からソウルジェムを奪い、天国へご招待した、ってわけさ」

キリカ「ま、安らかな眠りにつけてオチビちゃんも幸せだろうよ!」

ほむら「…………!」

ほむら(やっぱり千歳ゆまは……もう……!)

846: 2012/03/04(日) 16:00:26.24 ID:Zx4khWJs0

ほむら「……あの子は魔法少女なんかじゃない、普通の女の子だったのよ……!?」

ほむら「あの子が絶望の鍵になる? そんなわけないじゃない!」

ほむら「なのに貴女達は……!」

織莉子「そう……千歳ゆまは魔法少女ではなかったの」

織莉子「でも関係ないわ。私の世界を脅かす者は全て排除するだけ」

織莉子「例えそれが何の力も持たない『一般人』だとしても……ね」

ほむら「っ!!」

847: 2012/03/04(日) 16:02:37.85 ID:Zx4khWJs0

織莉子「さて……そろそろ話も終わりにしましょうか、暁美ほむら」

織莉子「これ以上、回復のための時間を稼がれても困るし……ね」

ほむら「ちっ……!」

キリカ「それじゃあ織莉子! そろそろ幕引きといこうか!」

織莉子「ええ。そうね、キリカ」



織莉子「せめて――――安らかに眠らせてあげましょう」



ほむら(まどか………!)

848: 2012/03/04(日) 16:06:53.02 ID:Zx4khWJs0


………………

…………

……



849: 2012/03/04(日) 16:07:23.61 ID:Zx4khWJs0








《――――――…………》



仁美(……声が……聴こえる……?)

仁美(あなたは……いったい誰……?)

仁美(……私に何をしろと? 何の力もない私に……)

仁美(…………)

仁美(――――――私に、魔法少女の力をくださるの?)

850: 2012/03/04(日) 16:08:47.62 ID:Zx4khWJs0
次回、トゥルーエンド編(後編2)へ続く。

870: 2012/04/09(月) 00:54:27.57 ID:IBaT1rcP0

~病院・駐輪場~

さやか「ねえ……起きてよマミさん」

さやか「魔女はもう倒したんだよ?」

さやか「凄い苦戦しちゃったけどさ……あたし、勝ったんだよ?」

さやか「ほら、マミさんの怪我も全部治したんだよ?」

さやか「なのになんで……」

さやか「なんで起きてくれないの、マミさん……?」

マミ「…………」

871: 2012/04/09(月) 00:55:04.57 ID:IBaT1rcP0

ジワッ...

さやか「あっ……?」

さやか「マミさん、ソウルジェムが真っ黒だ……」

さやか「これがいけないのかな……」

さやか「早くキレイにしなきゃ……キレイにしないと……」

さやか「……キレイにしないと、どうなるんだっけか……」

さやか「氏んじゃうんだっけかな……」

さやか「…………」

さやか「……じゃあ……」

さやか「……あたしも、もうすぐ氏んじゃうんだね……」

ジワッ...

さやか「……うっ……くぅぅ……!?」

872: 2012/04/09(月) 00:55:57.48 ID:IBaT1rcP0

さやか(胸が……苦しいッ……)

さやか(ソウルジェムが濁ると……こんなに苦しいものだったの……?)

さやか(これが……これが氏ぬってことなの……?)

マミ「う……あ……」

さやか「マミ、さん……」

さやか「……ごめんね……あたし……もう……」

さやか「マミさん……助けてあげられそうにないや……」

さやか「……せめて……」

さやか「最期まで、一緒にいよっか……」

ギュッ...

873: 2012/04/09(月) 00:57:15.88 ID:IBaT1rcP0

さやか「ああ……」

さやか「苦しいなぁ……」

さやか「あいつも……」

さやか「杏子も……こんなふうに、苦しかったのかな……」

さやか「……はは、そう考えれば……この苦しみも悪くない、かな」

さやか「マミさんも……そう思うよね……?」

さやか「……杏子」

さやか「あたし達もそっちに……」





《ばーか。なに格好つけてるんだよ、さやか》

874: 2012/04/09(月) 00:58:18.22 ID:IBaT1rcP0

さやか「え……?」

《どーせ苦しんでる自分が格好良いとでも思ってるんだろうけどさ》

《意味ないぞ、そーいうの。ただの自己満足じゃんか》

《さやかやマミが苦しんだって、何にもならないんだよ》

さやか「そう、かな……」

《そーだよ》

《……アタシも、アンタらのそんな姿見せられたって嬉しくない》

《だからさ……》





《――――アタシがその苦しみから救ってやるよ》

875: 2012/04/09(月) 01:00:41.19 ID:IBaT1rcP0

《ほら行こうぜ、さやか》

さやか「……どこへ?」

《決まってるだろ、皆のとこさ》

《あ、マミのヤツも叩き起こさなきゃな!》

《全員一緒のほうが楽しいに決まってるし……》

《無理矢理引きずってでも連れていこうぜ!》

さやか「うん……うん、そうだね」

さやか「一緒に……行こっか……」

876: 2012/04/09(月) 01:01:13.86 ID:IBaT1rcP0

~崩壊した鉄橋~

キリカ「げほげほ……大丈夫かい、織莉子!?」

織莉子「ええ、ちょっとビックリしたけれど……怪我はないわ」

キリカ「それは良かった! 君に何かあったら私は生きていけないところだったよ!」

織莉子「ふふ、大袈裟ね……キリカは」

織莉子「それにしても、暁美ほむらがここまでするなんて思わなかったわ……」

キリカ「うん。傷付いた足でここまで逃げてきただけでも凄いのに……」

キリカ「まさか橋を爆破して、河に逃げ込むなんて!」

織莉子「そうね……まああれだけの傷を負っているわけだし、遠くへは行けないでしょう」

織莉子「すぐに私の予知で場所を特定して……」

織莉子「――――この舞台にも幕を引くとしましょうか」

877: 2012/04/09(月) 01:02:00.51 ID:IBaT1rcP0

~河原~

ほむら「ゲホッ……ゴホッ、ゴホッ!」

ほむら「……逃げ、きれた?」

ほむら(……いいえダメだわ……相手はあの美国織莉子……)

ほむら(もっと遠くへ……逃げないと……)

ほむら(……ううん、みんなと合流しなきゃ……)

ほむら(合流…………どうやって?)

ほむら(……なんでだろう、頭がぼーっとする……考えがまとまらない……)

ほむら(…………)

ほむら(この河……なんでこんなに真っ赤なのかしら……)

ほむら(……ああ、そうか……)





ほむら(これ、私の血だ……)

878: 2012/04/09(月) 01:03:11.88 ID:IBaT1rcP0

ほむら(身体に力が入らない……)

ほむら(なんだか寒いわ……それに眠い……)

ほむら(どうしてこんなに眠いのかしら……)

ほむら(……このまま……このまま目を閉じてしまいたい……)

ほむら(…………ダメ、逃げなきゃ……)

ほむら(まどかを……守らなきゃ……)

ほむら(……まど、か……)





《なーに寝てんだよ、ほむら》

879: 2012/04/09(月) 01:04:59.60 ID:IBaT1rcP0

ほむら「あ…………」

《あーあ、全身びしょびしょじゃねーか、まったく》

ほむら「……お日様だ……」

《んなトコで寝てたら風邪引いちまうぞ》

ほむら「もう、夜明けなのね……」

《ほら、さっさと起きろって。さやかもマミも待ってるぞ》

ほむら「キラキラして……綺麗……」

《そんな寂しいとこで寝っ転がってないでさ》

ほむら「……温かい……」

《……こっちに来いよ、ほむら》

ほむら「私も……そっちに――――」

880: 2012/04/09(月) 01:06:00.18 ID:IBaT1rcP0
~住宅地~

まどか「はあっ、はあっ……」

まどか(マミさん、さやかちゃん、どこにいるの……!?)

まどか(早く合流しないと……早くしないとほむらちゃんが……!!)

まどか(テレパシーも全然反応がないし……)

まどか(もしかして、さやかちゃん達も、もう……?)

まどか(っ……! そんなはずないっ、そんなことあるわけない!)

まどか(もっと魔力を込めてテレパシーを使えば通じるよ、きっと!)

まどか(さやかちゃん、マミさん!! お願い、返事をして……!!)

881: 2012/04/09(月) 01:06:52.70 ID:IBaT1rcP0

まどか(…………)

まどか(……)

まどか「っ……ううっ……」グスッ

まどか「マミさん……さやかちゃん……どうしてなの……?」

まどか「お願いだから……返事をしてよぉ……」



――――ドォン!!



まどか「あっ!?」

まどか「今の音……ほむらちゃんの爆弾の音……!?」

まどか「橋のほうだ……まさか……!?」

まどか「――――っ!!」ダッ!

882: 2012/04/09(月) 01:07:46.53 ID:IBaT1rcP0

まどか《ほむらちゃんっ……ほむらちゃん!!》

まどか《ねえ聞こえる!? 何があったの!?》

まどか《怪我なんかしてないよね、大丈夫だよね!?》

まどか《ほむらちゃん……!》

まどか(………ほむらちゃんの声が……聞こえない……!)

まどか「う……」

まどか「うああああっ!!」

まどか(そんなはずない! ほむらちゃんがやられるわけない!)

まどか(絶対に無事でいてくれる、って約束したもん!)

まどか(絶対に助けに行くって言ったもん!!)

まどか(待っててほむらちゃんっ……今行くから……!!)

883: 2012/04/09(月) 01:09:17.71 ID:IBaT1rcP0

~崩壊した鉄橋~

キリカ「……おや? さっき見た顔が来たよ、織莉子」

まどか「……っ! 貴女たちは!」

織莉子「わざわざ戻ってきたのね、貴女」

まどか「ほむらちゃんは……ほむらちゃんは何処なの!?」

織莉子「彼女なら……」

キリカ「ははっ、一足遅かったね」

まどか「どういう、意味……?」

キリカ「ここに私達がいて、彼女がいない」

キリカ「それが意味することなんて言わなくてもわかるだろう?」

まどか「っ!!」

884: 2012/04/09(月) 01:10:00.63 ID:IBaT1rcP0

織莉子「キリカったら、またそんな回りくどい言い方して……」

キリカ「ふふっ、これが私の性分だからね」

織莉子「はっきりと言ってあげないと可哀相でしょう?」

織莉子「暁美ほむらは、もう逃――――」

まどか「…………い」

織莉子「え?」

まどか「許さない!! 貴女たちのこと、絶対に許さないんだからッ!!」

織莉子「――――っ!?」ゾクッ

885: 2012/04/09(月) 01:10:34.45 ID:IBaT1rcP0

織莉子(何、このプレッシャーは……!?)

織莉子(彼女がただそこにいるだけで息が苦しくなる……!)

まどか「やあああああああっ!!」

キリカ「くっ……!?」

キリカ(圧倒的な魔力……あんな力をぶつけられたら一溜まりもないじゃないか!!)

キリカ「……まあ、でも」

織莉子「ええ、そうね」



織莉子「――――撃たせなければ何も問題ないわ」



まどか「っ!?」

886: 2012/04/09(月) 01:11:58.46 ID:IBaT1rcP0

引き絞った弓を放つ直前――――

呉キリカの魔法に支配された『時間』は、

澄んだ水が泥水に変わるようにその流れを澱ませた。

キリカ「遅い遅いッ!」

まどか「――――っ!?」

澱んだ時間が、まどかの全身に重たく纏わり付く。

まどか「こ、このっ……」

それに抗うよりも早く――――

織莉子「させないわ」

魔法で作り出された球体がまどかへと襲い掛かった。

887: 2012/04/09(月) 01:13:05.43 ID:IBaT1rcP0

まどか「あうっ……!」

腕、腹部、足。

動きの鈍ったまどかは、ただ弓を放つだけの動きも出来ず、

成す術もなく美国織莉子の攻撃を受けた。

まどか「つっ……あっ……!」

からん、と乾いた音が虚しく響く。

それはまどかが弓を取り落としてしまった音。

絶望に立ち向かう希望を手放してしまった音――――

888: 2012/04/09(月) 01:14:10.10 ID:IBaT1rcP0

その隙を、呉キリカが見逃すはずがなかった。

まどか(――――どうして?)

一瞬にして間合いを詰め、背後に回り込む。

まどか(どうして私たちが、こんな目に?)

そして黒の魔法少女は、その鋭い爪を、全てを切り裂く魔法の刃を構え――――

まどか(………ごめんね、みんな……)





――――まどかの細い首筋へ振り下ろした。

889: 2012/04/09(月) 01:14:57.62 ID:IBaT1rcP0











「――――うん」

「そうさ、君を魔法少女にしてあげる」

「でも残念ながら君に魔法少女の素質はほとんどない」

「まともに僕の姿を見ることも出来ないし、かろうじて声が聴こえる程度だ」

「魔法少女としては最低ランクの能力」

「『どんな願いも叶えてあげる』、とはいかないんだ」

「願いで起こせる奇跡も、本当にちっぽけなものになってしまうだろう」

「……そうだね、例えば」





「氏の淵に立つ『彼女』の魂を救うことなら……出来るかもしれないね」

890: 2012/04/09(月) 01:16:32.33 ID:IBaT1rcP0

「君がその指輪を手にした時、頭が割れるような痛みを感じなかったかい?」

「それはね、その指輪に宿った『彼女』の魂に、魔力にあてられてしまったからなんだよ」

「実は君の内に秘めた素質がわずかとはいえ開花したのも、そのおかげなのさ」

「……『彼女』の肉体は使い物にならないほど損傷してしまったけれど、魂は違う」

「その指輪に宿った『彼女』の魂は、朽ちることなく輝き続けているんだよ」

「君が願えば、君が呼べば、『彼女』は応えてくれるだろう」

「君は自身の魂を、『彼女』のために使う気はあるかい?」

891: 2012/04/09(月) 01:17:40.16 ID:IBaT1rcP0

「まあでも、きっと彼女は怒るだろうね」

「そういった願いが嫌いだったから」

「……それでも君は願いを変えないのかい?」

「……うん。やっぱりね」

「君達人間はそういったことが大好きだものね」

「例え周りの人間が止めても、自身に待つ苦難を知っていても」

「愛する人を救うためなら我が身も惜しまない」

「……わけがわからないよ」

892: 2012/04/09(月) 01:19:16.76 ID:IBaT1rcP0

「別に、僕はどちらでも構わないけどね」

「君がそう願うのであれば、止めたりなんかしないさ」

「さあ、願いを言ってごらん」

「それで契約は交わされる」

「…………」

「それが君の願いだね?」

「うん、わかったよ」

「……君の願いはエントロピーを凌駕した」

「喜ぶといい。君の願いが彼女の魂を救うんだ」





「そう――――佐倉杏子の魂を!」

893: 2012/04/09(月) 01:20:38.20 ID:IBaT1rcP0

布が擦れ合う、乾いた音が微かに響く。

キリカ「なっ……!?」

まどかの首筋へ振り下ろされるはずだった黒の魔爪は、その寸前で――――



――――黄色のリボンに阻まれ、動きを止められていた。



キリカ「なんだこれっ!? リボンっ……!?」

まどか「えっ……!!」

894: 2012/04/09(月) 01:21:54.47 ID:IBaT1rcP0

織莉子「きゃっ……! な、何、巻き付いて………!?」

キリカ「織莉子! くっ……!」

まどか「この魔法は……!!」



「――――ふう、危ないところだったわね」



まどか「あ…………!」

マミ「ごめんなさい鹿目さん。お待たせしちゃったみたいね?」

まどか「やっぱり、マミさんっ……!!」

まどか「良かった……無事だったんですね!」

マミ「ええ、実は……」

895: 2012/04/09(月) 01:22:23.95 ID:IBaT1rcP0

織莉子(新手……!?)

織莉子(面倒なことになったわ……)

織莉子(でも、この程度の拘束なら問題ない……)

織莉子(私の武器を飛ばして、彼女たちの隙を突く!!)

ギュンッ!

まどか「あっ! マミさん危ない! 後ろ……!」

「心配いらないよ、まどか!」



ガキィーン!



さやか「バッターさやかちゃん、打ちましたぁ!」

さやか「……なんてねっ!」

まどか「さやかちゃん!?」

896: 2012/04/09(月) 01:23:54.23 ID:IBaT1rcP0

まどか「さやかちゃんも無事だったんだ!」

さやか「あったり前でしょ、まどか!」

さやか「正義の味方はそー簡単にやられたりしないんだよ!」

まどか「……もうっ、さやかちゃんたら……」

織莉子「また新手……!? なんてことなの……!?」

キリカ「大丈夫さ織莉子! 私がついてるよ!」

キリカ「まずはこんなリボン、八つ裂きにして……!」

「……動いたら、美国織莉子のソウルジェムを撃ち抜くわ」

キリカ「っ!?」

まどか「あっ……ああ……!」

ほむら「無駄な抵抗はやめなさい、呉キリカ」

キリカ「お前は……いつの間に!?」

織莉子「私が背後を取られるなんて……!?」

897: 2012/04/09(月) 01:25:09.98 ID:IBaT1rcP0

まどか「ほ……ほむらちゃん……!!」

ほむら「ごめんなさい……心配かけたわね、まどか」

まどか「う……うぅうう……」グスッ

まどか「良かった……ほむらちゃんが生きててくれて良かったよぉ……」

まどか「私……ほむらちゃんが氏んじゃったのかと思って……」

ほむら「まどか……」

キリカ「暁美ほむらまで現れるなんて……!?」

織莉子「どうして!? 私の予知なら、この程度の不意打ちなんて予測出来たはずなのに……!!」





「――――きっと幻でも見てたんだろ」





織莉子「ッ!?」

「周囲に敵はいない。全て上手くいく」

「……そんな幻をさ」

898: 2012/04/09(月) 01:26:48.37 ID:IBaT1rcP0

まどか「あっ……!?」

「よぉ、まどか。危ないところだったな?」

キリカ「っ!? 誰だ!!」

「まったく、無茶しすぎなんだよオマエは。もっと自分を大事にしろ、って言ったろ?」

織莉子「貴女は……!?」

まどか「嘘……そんな、なんで……!?」

「ま、オマエはもう安心して見てればいいよ」





杏子「――――アタシが美味しいトコ全部、貰ってやるからさ!」

899: 2012/04/09(月) 01:28:06.19 ID:IBaT1rcP0

引用: 杏子「気に入らねー魔法少女どもをボコボコにしてやる」