855: 2005/11/17(木) 02:01:07 ID:4zfa7U8G0


( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の壱】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の二】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の三】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の四】



医者 「・・・ふむ、内臓をうまく避けていたみたいですな」
   「これなら、命に別状はありませんな。ま、当分安静に」
( ^ω^) 「ありがとうございますお」
ツン 「すみませんわざわざ来ていただいて」

あの後、ブーンたちはすぐに道場へと戻った
先生とショボンは意識が無かったので先生はブーンが、ショボンはツンが背負って運んだ
ショボンは打撲と脳震盪
先生は腹を切ったショックで一時的に四肢が麻痺している他は問題なかった
ブーンは前歯を四本折っていたので、後遺症と言う点では一番の重傷かもしれない
後、付け加えておくとすれば、何故か母屋の厠(トイレ)に
顔が二倍になるぐらいにボコボコにされた少年がいたぐらいだが、別にどうでもいい

二人が目を覚ます間、ツンとブーンの間に気まずい沈黙が漂っていた

( ^ω^)・ツン「・・・・・・・・・・」
859: 2005/11/17(木) 02:09:03 ID:4zfa7U8G0
自分に素直になる、と言ったものの、そう簡単に態度を変えられれば苦労は無い
ましてや、自分の父親がどういう経緯か氏にかけたのだ
道場を飛び出した時の勢いのままならば、あるいは何か進展があったのかもしれないが
今はそういう雰囲気ではない
父親のことを聞くべきなのか、それとも道場での決心を語るべきなのか、
でなければ、ショボンとの関係に対する考えを伝えるべきなのか
話題が多すぎて、どれにも絞り込めないでいた


ツン 「・・・・・・はぁ・・・・・・・・」


860: 2005/11/17(木) 02:13:01 ID:4zfa7U8G0
一方、ブーンの心中も複雑であった
まず、先生とショボンの容態が気にかかる
大丈夫と医者に言われても、目を覚ましてくれるまでは安心していられない
それと、二人が起きてくれない限り、今回の、ことの全容はまるでわからないのだ
ブーンは毒男と話こそしたが、あの程度の会話では何がなんなのかさっぱりだ
ツンに到ってはラストにちょこっと出て、いいとこを持ってくばかりで情報は何も無い

毒男は一体何ものなのか、先生が自分に刀狩などというものを命じた理由はなんなのか、
ショボンの尋常ではない取り乱しようはいったいなんなのか、

そして、これが一番重要なのだが、
ツンとの婚約うんぬんの件は一体どういう意味で、結局どうなっちゃうのか
それをどうにかしないと、ツンとのわだかまりは消えないだろう
つまり、今ここで喋るべき話題が何もないのだった

(;^ω^) 「・・・・・・・・・ふう・・・」

862: 2005/11/17(木) 02:23:18 ID:4zfa7U8G0
沈黙は、第三者が入り込むまで続く物だと思われたが、
意外にもそれを終わらせたのは、ツンのほうであった

ツン 「・・・ね、ねぇ・・・・ぶ、ブーン?」
(;^ω^) 「ん!!??? なな、な、なんな、ななんなんだお?」

いくらなんでもお前ら構えすぎだ

ツン 「えーと・・・その・・・・あ!」
  「歯・・・・・大丈夫・・・・?」

無理矢理出した話題のせいか、それとも道場での意識改革のためか
いつもと感じの違うツン

(;^ω^) 「ふぇっ!? だ、大丈夫というかなんというか・・・!」
        (なんか・・・・ツン・・・・優しくないかお?)

864: 2005/11/17(木) 02:36:40 ID:4zfa7U8G0
ごくごく普通に考えて、今の会話の出だしだけで『優しい』という判断はまずでない
強いて言うならば『普通』といったところなのだが
どうにもブーンはツンのこう言った言動に免疫が無い様子

(;^ω^) 「ぜ、全然へいきだお!?」

一撃でこの有様だ

ツン 「・・・そんなわけないでしょっ? いいから、ちょっと見せてみなさいよっ」
(;^ω^) 「ふがぁ・・・・・・・・」(ちょ!これ・・・はずかしいお!?)
ツン 「うっわ・・・・抜いちゃったんだ・・・・?・・・痛そう・・・」
(;^ω^) 「ふがぁ・・・・・・・・」(あっ・・・! 見られてる!見られてるお!)
ツン 「・・・・う~ん・・・・・・あ、虫歯だぁw」
(;^ω^) 「ふがぁ・・・・・・・・」(待つお!ちょっと待つお!これなんて工口ゲ!?)

ブーン、わかったから少し落ち着こうな?

867: 2005/11/17(木) 02:51:37 ID:4zfa7U8G0
異性の口の中というものはそんなにも興味深いものなのだろうか?
今、モニターの前で頷いたやつに問う。それは一体何フェチだ?
放っておけばいつまでも見ていそうなツンに、流石に耐え切れなくなったのか

(;^ω^) 「ひょ・・・・ひゅん、ひょっひょ・・・」(訳:ちょ、ツン、ちょっと)
ツン 「・・・ん? 何よ?」
(;^ω^) 「ひっはひ、ひふあれいへういあお?」(訳:いったいいつまで見てるきだお?)
ツン 「・・・・・・? ・・・・・・・・!」

言われて、自分のしている行為が、いかに恥ずかしいか気づいたのか
ぼっと顔を赤くすると、

ツン 「な・・・・っ! な、何勘違いしてんのよっ!?」
   「い、いい今のはあれじゃない? 純然たる医療行為じゃない?」

ブーンの頬を両横から掴むように締め始めた

(;^ω^) 「ひはいお! ぼべばひゃひゅはに、ひあいお!?」
      (訳:いたいお! ソレは流石にいたいお!?)

どうでもいいが眺めるだけでそれは医療行為と言っちゃうのだろうか?

872: 2005/11/17(木) 03:11:04 ID:4zfa7U8G0
(;^ω^) 「酷い目にあったお・・・・」
ツン 「なによっ!? それってアタシが全面的に悪いみたいじゃないのっ!」
(;^ω^) 「いあっ!? そ、そう言う意味じゃないお!?」

緊張の糸が緩んだのか、二人は徐々にいつもの調子を取り戻し始めていた

ツン 「それじゃあどういう意味で言ったのよっ!?」
(;^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・」
ツン 「・・・・・・・・・・・・・・・」
( ^ω^) 「・・・・あー、これからごはんはどうやって食べればいいんだお?」
ツン 「・・・・・・そう、奥歯ももういらないって意味だったのね?」
(;^ω^) 「ちょ!? なな、なんだお、その不思議解釈は!?」
ツン 「待っててね? 今、手ごろな石を探してくるから」
(;^ω^) 「また石かお!?」

と、二人がじゃれているとき

先生 「・・・・ん・・・・・・? ・・・ここ・・・は・・・・?」

先生が目を覚ました

5: 2005/11/17(木) 15:01:03 ID:4zfa7U8G0
(;^ω^) 「先生、目がさめましたかお!?」

だだっ! と、ツンから逃げるようにブーンは先生に走りよった
先生は身体を起こし、自分が部屋にいる事が信じられないのか、きょろきょろとしていた

先生 「ブーンか・・・・なぜ・・・私は生きている・・・・?」
   「いや、それよりも・・・・・お前が生きていると言うことは」

先生は、まず自分に命があることに驚き、
そしてブーンを見て、やりきれない顔をする

( ^ω^) 「先生、大丈夫だお!」
先生 「・・・・? なにが・・・・だ・・・・・?」
( ^ω^) 「ショボンもちゃんと生きているお!」
先生 「・・・・・!?」

先生は、本当なら喜ばしいはずのその話に・・・・・・涙した

7: 2005/11/17(木) 15:01:23 ID:4zfa7U8G0
(;^ω^) 「せ、先生! いったいなんで泣いてるんだお!?」
先生 「うぅ・・・・すまぬ・・・・すまぬ・・・・・」
   「うれしいさ・・・・・ああ、うれしいさ・・・・」
   「・・・・だがな・・・・これで・・・全ては水の泡だ・・・・・・」
(;^ω^) 「先生・・・・・・?」

泣きじゃくり、全く要領を得ないことを言う先生、戸惑うブーン。・・・・・とそこへ

ツン 「・・・・・大の大人が泣いてんじゃないわよっ!?」
先生 「ぐがっ!?」

ゴギィッ!!

手ごろなサイズの石を持ったツンが、それで先生をしばき倒した

先生 「・・・・・!・・・!! ・・・・!!!」
(;^ω^) 「ちょ、ツン! そのサイズは命に関わるお!?」
      「ていうか、怪我人だお!? ていうか、先生喋れなくなってるお!?」
ツン 「うっさいってば。一度氏にかけたんだし、もう怪我人だから怪我が増えてもおんなじ」
  「さっきっからぐずぐず泣いてるだけなんだから、喋れなくってもおんなじでしょ?」

大分、無茶苦茶なことを言う

12: 2005/11/17(木) 15:10:29 ID:4zfa7U8G0
頭を抑えて、今度は別の意味で涙眼の先生に、ツンが言う

ツン 「痛いのは生きてる証拠! ブーンもショボンお父様生きてる!」
  「だったら、今度は生き残る努力をすべきじゃないのっ!?」

一息

ツン 「あの毒男ってやつをぶっとばしてねっ!」
( ^ω^) 「そうだお!」
ツン 「だからお父様! ・・・知ってること、洗いざらい吐いちゃって♪」
(;^ω^) 「ちょ、こわいお!?」

先生は、二人の言葉に

先生 「・・・・生き残るため、か・・・・・・・わかった・・・・・・・・」
   「私が、生き残るために、いや、ツンと道場を生き残らせるために」
   「選んだ道・・・・・・・・全て・・・・・・教えよう・・・・・!」

後悔と自責だらけの言葉を吐く

15: 2005/11/17(木) 15:23:35 ID:4zfa7U8G0
あれは、十年前のことだった
当時は城の剣術指南役などではなかった先生は
それこそブーンの親同様、町民そのものの暮らしをしていた
暮らしは楽ではなかったものの、飲み食いに困るようなこともなく
それなりに充足はしていた

ある日、町外れの林で先生は一人鍛錬をしていた
木剣をゆるゆると構え、構えが完成すると同時

先生 「セィアッ!」

ガゴォ! と、木に打ち込む

ニュー速流を極めれば、木剣で大木の両断もできると言う
先生はその境地を目指し、ひたすらにその鍛錬を繰り返していた

16: 2005/11/17(木) 15:32:28 ID:4zfa7U8G0
弟子の数も両の指で数えられる、今だからこそできることだ。先生はそう考えていた
これ以上弟子が増えれば、自分の鍛錬にここまで時間は割けない
かといって、少なければ、娘と自分は生活などできるはずも無い
そして、あと十年もすれば、自分の身体は確実に衰える。そうなっては遅い

今・・・・・そう、今しかないのだ・・・・・

ガコォ!! ガコォ!! ガコォ!!・・・・・・・

ひたすらに、闇雲に、木剣を振り続ける
すると、

ガコォ!! ガッ! ベキィっ!!

先生 「・・・・!?」

木剣が、繰り返される打ち込み耐え切れず、半ばから折れてしまった
悪いことにその木剣は・・・・・・・・・・・・・・

侍1 「いてぇっ!?」
侍2 「うわっ、なんだこりゃ」

歩いていた若い侍二人に当たり、さらにそこには、

('A`) 「おい、そこのおっさん」

毒男が、いた

182: 2005/11/18(金) 12:28:49 ID:8o/e5AON0
汗をぬぐい、先生は三人にへと近づく

先生 「すまない・・・・怪我をさせたのなら・・・あやまる」

と、深々と頭を下げたとき

先生 「・・・・・っ!?」

何か、背筋に寒気を感じ、本能のままに左へと跳んだ。すると、

ブォン! と、今まで先生が立っていた位置を、白刃が通り過ぎた

侍1 「あ~? 謝る気があるんなら、今の避けちゃだめだろ?」
先生 「・・・・きさま・・・・・・!」
侍2 「ま、それが嫌なら、有り金全部でもゆるしてあげるよ?」
('A`) 「・・・・・・・・・・・・・」

いやらしい笑いを浮かべた二人は、先生を両側からはさみこむように立ち
残った毒男は、町へと続く道をふさぐように移動した

183: 2005/11/18(金) 12:36:08 ID:8o/e5AON0
三人、か・・・まずいな・・・
先生は思う
やりあえば、勝てない人数ではない。だが、手加減もできるとは思えない

先生 「・・・・・ふん・・・欲しければくれてやる・・・・それで酒でも飲めばいい」

チャリン、と軽い音を立て、刀を抜いた方に銭入れが落ちる
あさましくソレを拾った侍は、下卑た笑いを浮かべながら中身を勘定

侍1 「おい・・・・なめてんのか・・・・?」
先生 「ソレが、有り金全てだが・・・・? なに、飲み食いするには、事足りるであろう?」
侍2 「・・・・ま、どっちでも良かったんだがな」
先生 「・・・・? ・・・・何がだ?」

そう返すと、もう一人のほうにこう言った

侍2 「おい、適当な理由はもう作んなくっていいぞ? どの道、誰か斬りたかったんだ・・・!」

男は抜刀した

184: 2005/11/18(金) 12:44:44 ID:8o/e5AON0
横目で、抜刀した男の動きを見ると、先生は驚いた

先生 (・・・・・! ・・・・・なんと・・・見てくれだけか・・・・)

前のめりに、抜刀するその様は、先生の目から見て、酷く不恰好だった
大仰で、堂々としたその動きは、素人ならば怯えるかも知れない
だが、少しでも腕に覚えがあるものから見れば、無駄が多すぎる
当然、そこから繰り出される一撃も・・・・・

侍2 「チェストっ!!」

上段からの真っ向斬り
先生は一歩だけ2の方に踏み込み、折れた木剣の柄でそれを無造作に払う

侍2 「な・・・・っ!?」
先生 「・・・無駄が多すぎるな・・・それでは猫も切れんぞ?」

つまらなそうに言い放つ
これならば、十分にあしらえる。金を投げる意味は無かったようだ

187: 2005/11/18(金) 12:52:45 ID:8o/e5AON0
侍1 「こいつ・・・・できるぞ・・・!」

お前らが出来なさすぎだ、と思うが口には出さない
この程度なら、弟子の中で最年少、12のブーンにすら勝てないだろう

先生 「強盗ならば・・・・容赦する必要は、ないな?」
侍2 「・・・くっそ、氏ねぇ!!」

視線を1に向けた隙を、本人は狙ったつもりなのだろう
だが、先ほどと同じ真っ向斬りは、目をつぶっていても避けられる
スィ、と軽く身体をそらせてかわす

先生 「刀は鍬ではないというのに・・・・・刀は、こう振るものだ」
侍2 「うぐっ!? ・・・・う」

流れるような踏み込みと腕の振りは、音も立てず、
2のみぞおちに柄をやすやすとめり込ませていた

188: 2005/11/18(金) 13:01:40 ID:8o/e5AON0
どさ、と倒れる男を一瞥もしないまま、片割れに声をかける

先生 「どうした・・・来ないなら、金は返してくれないか・・・?」
    「夕飯を買わないとならないのでな」
侍1 「ふっざけやがって・・・・・・!!」

どたどたと、本当に剣術使いか? と疑いたくなるような足裁きで男が近づく
八双(拳を顔の横の置くような構え)の位置から、
まるでバットでも振るように先生の胴めがけての打ち込むが

ガッ!

侍2 「・・・・な・・・?」
先生 「・・・・来る位置がわかれば、防がれるとは思わないか?」

短くなった木剣が刀に食い込み、防がれた

先生 「・・・・下らぬ物に、邪魔されたものだな・・・・・」
侍1 「かはっ・・・・・・・・・」

心底つまらなそうに、ため息交じりに、先生はもう一人を手刀で昏倒させた

193: 2005/11/18(金) 13:11:27 ID:8o/e5AON0
倒れた男の懐から、投げ渡した銭入れを抜き取り、しばし考えてから、男の銭入れも抜き取る
まあ、授業料と思えば安いだろう
多少懐が暖まったところで、最後の一人に声をかける

先生 「・・・・君は・・・・どうするね・・・?」
('A`) 「・・・・・くくく、やっとまともそうなやつに会えたな?」

おかしそうに笑う毒男を、先生は不思議に思った

先生 「ほう・・・? 敵討ちとばかりに、切りかかるものとばかり思っていたが?」
('A`) 「wwwwかっはははは、冗談きついぜ? こんなやつらの仇なんかとるかよw」
先生 「友達は、大事にすべきだと思うがね・・・?」
('A`) 「どうでもいいってwwwどうせ噛ませ犬だからなw」
先生 「かませ犬・・・・? どういうことだ?」

先ほどの二人とは違う、はっきりと剣客の空気を感じさせる毒男の物言い
先生は、嫌な予感、とでも言うのだろうか? 肌を粟立たせていた
そして、その予感は奇妙な形で当たった

('A`) 「くくく、おっさん! 本日の夜、果し合いを申し込む! 無論、真剣でだ!」

197: 2005/11/18(金) 13:20:38 ID:8o/e5AON0
先生 「なんだと・・・・・・?」

耳を疑う言葉だった
こいつは今、おっさん、と自分のことを呼んだ。つまり、名前を知らないのであろう
名前も知らない、有名か無名かも知れない相手に果し合いなど
敵討ち以外ではありえないのではないのか?

先生 「・・・・・・貴様、何を考えている・・・・・?」
('A`) 「かっはははははwwwwwアンタも侍だろう? 侍だったら・・・」
   「つぇえやつとやりあいたいっ、てのは、こりゃ本能じゃねぇか?」

本心から楽しそうに言う毒男に、嘘は感じられない
若さゆえの無謀と、切って捨ててしまえばそれまでだが
軽薄そうな物言いのそこに、信念も感じた。つまり、本気だと。

('A`) 「さあっ!? 武士なら武士らしくっ、返答しろ!」
先生 「ああ・・・・だが断る」

200: 2005/11/18(金) 13:29:26 ID:8o/e5AON0
('A`) 「・・・・・!? ・・・・ど、どういうことだぁ!?」

予想外の返答に、戸惑いと怒りを隠せない毒男
先生はそんな毒男におかしそうに口の端をつりあげ、答える

先生 「勘違いするな」
('A`) 「!?」
先生 「今日は娘と夕飯を食べる。懐も暖かいしな・・・・」
  「ゆえに・・・・・試合うなら、明日の夜だ・・・・!!」
('A`) 「へ、へへへw アンタも、同じ穴のムジナってわけか・・・w」

正直に言おう
自分はわくわくしていた、意気が高揚していた、興奮していた。
老いる前に、流派を極めようと、そればかり考えていた矢先の、真剣勝負
目の前の男の実力の程は、まだわからない
だが、自分の、ニュー速流の、力を試す機会をくれたことに、純粋に感謝した

先生 「きょうは・・・互い身体を休めよう・・・?」
('A`) 「しぶいねぇwwww明日が楽しみで、今夜は寝れそうにないなw」

349: 2005/11/18(金) 23:43:46 ID:8o/e5AON0
ツンとの夕食を終えた先生は、近所の飯屋にいた
隣には、ショボンの父、シャキンがちびりちびりと舐めるように酒に口をつける
先生は同じように盃に口をつけるが、中身は水だ

(`・ω・') 「どうした? 水とは酒豪のお前らしくない。何かの願掛けか?」
先生 「ああ・・・・そんなものだ」

薄く笑い、ツマミの焼き鳥に手を伸ばす

(`・ω・') 「おい、そんなにツマミばかり食うな」
      「俺の酒の肴が無くなる」
先生 「・・・小さいことを言うな。ここの勘定は私が持つ。それでいいだろ?」
(`・ω・') 「・・・? 本当にどうしたというのだ?」
      「お前の道場はそれほど豊かではないだろうが?」
先生 「お前の道場に比べれば、ここいらの道場は皆、豊かとは言えんなw」
(`・ω・') 「そういう嫌味は好かんな・・・・・」

ぐい、とそれ以上の文句と一緒に酒を飲み干す

354: 2005/11/18(金) 23:44:11 ID:8o/e5AON0
正直に言うとな、と先生は口を開く

(`・ω・') 「なんだ? 厄介事か? お前が酒断ちするときはいつも面倒がついてくる」
先生 「明日・・・・・真剣で果し合いをすることになった」
(`・ω・') 「・・・・・・・・なんだと?」
先生 「ついては、その立会人になって欲しく・・・」
(`・ω・') 「待て!」

先生の依頼を、シャキンの言葉が断ち切る

(`・ω・') 「・・・・・・・正気か?」
先生 「正気・・・・とは・・・・?」
(`・ω・') 「小さいとはいえ、お前も道場主であろうが? そう軽々に真剣などと・・・!」
先生 「小さいとは、ご挨拶だなw」
(`・ω・') 「まぜっかえすな!!」

ガン!と卓を叩く音で、沈黙が始まる

357: 2005/11/18(金) 23:44:43 ID:8o/e5AON0
先生 「すまんが、止めないでくれ・・・・」
(`・ω・') 「・・・・・・・・・・・・」
先生 「私の力は、もう衰え始めている・・・・・もう、ここが最後の機会かもしれん」
(`・ω・') 「だから・・・・・・・見届けろと・・・・・?」

先生は何も言わない

(`・ω・') 「それほどの・・・・最後にふさわしいほどの・・・・相手か・・・?」

ああ、まだ歳は若いがな、と、頷きをもって返答する

先生 「本当なら・・・・あと十年後・・・・彼が全盛の時に立ち会いたかった・・・」
   「だが、それでは・・・・・・私には遅すぎる・・・・・!」

359: 2005/11/18(金) 23:44:57 ID:8o/e5AON0
(`・ω・') 「そこまで言うなら・・・・もう何も言うまい」
先生 「ああ・・・ありが・・・」
(`・ω・') 「礼なら、試合の後に、もう一杯おごれ。それまでは聞きたくも無い・・・」
先生 「そうか・・・すまn」
(`・ω・') 「謝罪もな?」

笑いあう二人。しばらく、静かな酒が続き、

(`・ω・') 「で、相手の名は?」
先生 「ああ、確か・・・・・ドクオ、と言ったかな?」

先生が、その名を告げたとき、シャキンの表情が変わる

(`・ω・') 「まて・・・・そいつは・・・・まだ、十の半ばほどではないか・・・?」
先生 「おお、そうだ・・・・・もしや、知人か・・・・?」
(`・ω・') 「いや・・・・・・どの道、果し合いをするならば、情が移ってもいけまい」
先生 「・・・・・因果なものだな・・・・」
(`・ω・') 「ああ・・・・・本当に因果なものだ・・・・」

その後、二人は一言も口を効かなかった

367: 2005/11/18(金) 23:49:41 ID:8o/e5AON0
毒男は、道場に来ていた
シャキンが道場主を勤める、ラウンジ流の道場に

('A`) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

毒男は、先生と別れてすぐ、ココにきて瞑想を始めていた
瞑想し、今にも牙をむきかねない、自分の内なる獣を抑えていた

('A`) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

家老の家に生まれ、何不自由なく暮らしていた毒男が、待ち望んでいた物
それは苦難という壁であった

('A`) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

家に、親に守られて、何をするでも自分の力など関係なかった
しかし、今日・・・・・・・・・おそらく、人生最大の壁に出会えた・・・!

('A`) 「・・・・・・・・・・・w」

373: 2005/11/18(金) 23:55:42 ID:8o/e5AON0
(`・ω・') 「若様・・・・・・!」

道場に、入ってきたのは幼い頃より、自分に武芸を叩き込んでくれた師であった

('A`) 「シャキンか?どうした?そんなに慌てて?」
(`・ω・') 「・・・・・ニュー速流と立ち会うとは、真ですかっ!?」
('A`) 「・・・・? おお、そうか! あのおっさんはそうだったのかw」
(`・ω・') 「笑い事ではございませぬ!」
('A`) 「シャキン・・・お前が唯一勝てぬかも、と言わしめる男だったかw」
(`・ω・') 「若! お考え直しください!」
('A`) 「止めるな!!!」

毒男のその言葉は、今まで見たことも無い、強い物だった

('A`) 「今まで、家の力に守られてきた俺が・・・・・自分の力で立ち向かえる壁に出会ったんだ」
    「この機会を逃せば・・・・・もう二度とでてこねぇかもしれねぇ壁にな・・・!」

毒男の意志は、かたかった・・・・・・・

381: 2005/11/19(土) 00:03:14 ID:dyb/XYK00
('A`) 「・・・・・お前に教えてもらった技で・・・俺は壁を打ち破る・・・・」
    「人生で最大かもしれない壁をな・・・・・・・!」
    「だから、シャキン。お前は・・・・・立ち会ってくれないか?」
    「俺が、一人で立ち上がる、その瞬間に・・・・・・・」

シャキンは、その毒男の言葉に、十秒の間を空けて、頷く

(`・ω・') 「もとより・・・・・そのつもりでした・・・・」
('A`) 「そうか・・・・もう、おっさんに頼まれていたのか・・・w」
(`・ω・') 「若・・・・・今日はもうお休みになられては・・・・?」
('A`) 「くくく・・・・お前の心配性もかわらねぇなwwwww」

んじゃ、どら、と立ち上がる毒男は、気づかなかった
夜の暗闇に立つ、シャキンの手に握られた木剣

その木剣が、毒男の左手に振り下ろされた・・・・・・!

('A`) 「!!!!!!?????????」
(`・ω・') 「明日・・・・果し合いの場には行かせて戴く・・・・」
      「ただし! ・・・・・・若様を行かせるわけには行きませぬ・・・・!」
('A`) 「シャキン・・・! きさ・・・・・・ま・・・・・!」

折れた右腕と、師の裏切りのショックで、毒男は意識を失った・・・・

391: 2005/11/19(土) 00:10:25 ID:dyb/XYK00
翌日、林に先についていたのは、先生であった
たすきをかけ、鉢巻を締め、師に装束である左前の衣装に身を包み、毒男を待っていた

(`・ω・') 「待ったか?」
先生 「ん・・・? なんだ、シャキンか。ドクオとか言うのはまだ来ないのか?」

シャキンの顔を見たせいか、張り詰めていた緊張が一瞬緩む
そのせいなのだろうか? 
先生は、冬でもないのにすっぽりと外套をまとったシャキンに違和を感じられなかった

(`・ω・') 「ああ、場所は変更だ・・・うちの道場で果たしあうぞ」
先生 「・・・・・! そうか・・・・彼はお前の門下の者だったか・・・・」
(`・ω・') 「果し合うとなれば、そのようなことはどうでもよかろう・・・!」

400: 2005/11/19(土) 00:16:54 ID:dyb/XYK00
二人が道場についた時、中には誰もいなかった

先生 「・・・・・? なんだ? ドクオとか言うのは、寝坊でもしたのか・・?」
(`・ω・') 「ああ・・・・寝坊だよ・・・・」

いぶかしげにしている先生
その横に立っていたシャキンは、突然走り出した

先生 「!? ・・・・おいおい、いきなりどうしたんだ・・・?」

シャキンの立つその位置。それは、道場の中心。すなわち・・・・・

(`・ω・') 「寝坊された若の代わりっ! 不肖拙者がおつとめいたすっ!!」
先生 「!!!!!!!!!????????」

ばっ、と脱ぎ捨てられた外套

その中には、先生と同じ

たすきと、氏に装束に身を包んだシャキンがいた

403: 2005/11/19(土) 00:21:51 ID:dyb/XYK00
先生は、そこまでのくだりを話し終えると、一旦言葉を切る

( ^ω^) 「先生・・・?」
ツン 「お父様・・・?」

二人が疑問符を浮かべ、首をかしげると同時

先生 「ショボン・・・聞いていたであろう・・・?」
   「つまり・・・・・お前の父の仇、刀狩は・・・・・私だ・・・・」

私だ・・・・。その音は、大きな破裂音が重ねられ、消えた

ショボンが、ふすまを開ける音に

('・ω・`) 「先生・・・・・・・!!」

407: 2005/11/19(土) 00:26:48 ID:dyb/XYK00
先生は、どうした、とやさしく微笑み

先生 「今の私なら・・・・たやすく、仇を討てるぞ・・・・・?」
('・ω・`) 「そんな・・・・そんな・・・・うそ・・・・だ・・・・・!!」

駄々を捏ねる子供のように、眼に涙を浮かべ、必氏に首を横に振るショボン

先生 「・・・・・・嘘だと思うなら、これを読むがいい・・・・・」

スッ、と先生が差し出したのは、毒男が持っていた、調査書であった
先生は、調査書の一番最後、調査結果のまとめの部分をショボンに開いて見せた

414: 2005/11/19(土) 00:30:38 ID:dyb/XYK00
調査書のラストは、こうまとめられていた

『以上を持って、七人を殺害した下手人と断定する。

 本来なら、氏罪をもってしかるべきところであるが、

 当領地内にて、剣術指南役の任に就けるものは他に無し。

 ゆえに今度の件を、腕試しの果し合いと判断し、ニュー速流ならびに、

 その頭首を、剣術指南役として推挙するものとする』


420: 2005/11/19(土) 00:38:50 ID:dyb/XYK00
まず、まともな神経をしているものならば、自分の目を疑うだろう
そして、目が正常であると気づいたならば
今度は調査書の真贋を疑い、最終的には記した者の正気を疑うであろう内容だった

先生 「・・・・・それが・・・・・真実だ・・・・・・」
('・ω・`) 「え・・・・・え・・・・・・?」

ショボンは、調査書と先生の間を、何度も何度も視線を行き来させる

先生 「刀狩が、まったく噂にならないのは、そういう理由だ・・・・」
   「剣術指南役を決めるため、各々、腕に覚えがあるものが頃しあった」
   「それは流石に御家の恥じだ、さあ隠そう」
   「・・・・・そんなところだったのだろうさ・・・・」

語る先生は、ふるえ、ショボンはもはや先生から目を離せない

ショボンが、無意識に、刀を探し始めたその時・・・・・

(#^ω^) 「こんなのはうそっぱちだお!!!!!!!」

ツン・先生・('・ω・`) 「!?」

ブーンが吼えた

425: 2005/11/19(土) 00:43:58 ID:dyb/XYK00
立ち上がり、肩をいからせ、ブーンはショボンを睨みつける

(#^ω^) 「ショボン!! 君はそんなに自分を苦しめたいのかお!?」

続いて、ツンに

(#^ω^) 「ツンも何やってるお!? 先生は潔白だお! 何故そう言わないお!?」

最後に先生に

(#^ω^) 「先生は・・・・・! 先生は・・・・・・!!」

一息

(#^ω^) 「なんでそんなに殺されたがるおっ!!!!」
先生 「・・・・・ぐっがあ!?」

バゴっ!!

ブーンの拳は、先生を容赦なく叩き伏せた・・・・・

447: 2005/11/19(土) 01:23:07 ID:dyb/XYK00
先生 「何故だ・・・・? 何故、お前は嘘だと言い切れる・・・・?」

口の端から血を流し、先生は問う

( ^ω^) 「先生・・・・先生が・・・まだ全てを語っていないからだお」
('・ω・`) 「え・・・・・・・・?」
( ^ω^) 「わからないのかお? ・・・・先生はシャキンおじさんと・・・・」
     「果し合いをした・・・・までしか、語っていないお・・・・?」
('・ω・`) 「・・・・・・・」

言われて、確かに、と思い、だが、とも思う
この話の続きに、いや、そもそも、続きがあるのか?

( ^ω^) 「それに、先生にシャキンさん以外の六人を殺せるわけがないお?」
ツン 「そっ、そうよっ!? あの一件の後、ずっとアンタの家に通い詰めていたのよっ!?」
  「そんな時間、とてもじゃないけど・・・・・・・!」

456: 2005/11/19(土) 01:35:28 ID:dyb/XYK00
ブーンとツン、二人の畳み掛けるような証言に、ショボンはゆらぐ。しかし
だが、とショボンは言葉を紡ぐ

('・ω・`) 「だが・・・・夜は? さすがに、夜までは・・・」

二人とも見ていないだろう? と、言う前に
ため息と共に、ツンが馬鹿にするように重ねる

ツン 「アタシが起きている間ずっと起きていて、それで夜中は達人と頃し合い?」
  「・・・そんなことが出来るとでも思っているの・・・・?」
('・ω・`) 「・・・・・・・・!」

そんなことは・・・・・難しい、と思う。だが、飽くまで難しい止まりだ
十年前の先生に、不可能だった、とはっきりと確信できない。
迷い、悩むショボンに、ブーンが問い掛ける

( ^ω^) 「それに、先生には頃した人間の刀を奪う・・・・刀狩をする意味があるのかお?」
      「あるとしても、そんな話はまだ聞いてないお?」

だから、と、ブーンは続ける

( ^ω^) 「先生・・・・最後まで・・・・話してほしいお」

462: 2005/11/19(土) 01:46:54 ID:dyb/XYK00
先生は、一瞬、ブーンを睨みつけた
憎しみと、怒りと、悲しみとを混ぜ込んだ、濁った視線で
しかし、それも一瞬。視線の色は、悲しみの色に染まった

先生 「ブーンよ・・・お前は・・・・心底、私を楽にはしてくれないのだな・・・」
( ^ω^) 「それが、先生にとっての幸いだとは思えないんだお・・・・」

そうか、と先生は吐息し

先生 「だが、シャキンを手にかけたのは、紛れもない事実だ」
('・ω・`) 「・・・・・・!!」
先生 「これだけで、私はな、ショボン。お前に裁かれる理由には十分だと思うが?」

できれば、お前の手で、私を楽にしてくれ。そう言ったようにも聞こえた

('・ω・`) 「それが・・・・・・!」
先生 「・・・・・・・・・」
('・ω・`) 「それが、事実だとしても・・・・・・・!」
      「・・・・・・僕に・・・・・せんせいは・・・・・」

ショボンは泣いていた・・・・・

('・ω・`) 「そんな・・・・・・そんな顔をした先生は・・・・斬れません・・・!」
先生 「・・・・・そうか・・・・なら・・・全てを語ろうか・・・・・・」


( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の五】

引用: ブーンが侍になったようです2