469: 2005/11/19(土) 01:58:32 ID:dyb/XYK00


( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の壱】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の二】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の三】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の四】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の五】




シャキンとの果し合いに勝利したとき。道場の戸が、爆ぜるように開かれた
逆光の中にいたのは、左手を吊った、毒男だった

('A`) 「シャキン! おっさん!!」
先生 「・・・・!? ど、ドクオか・・・・・!!」
('A`) 「シャキン・・・? おい・・・・? ・・・・・・しゃ・・・きん・・?」

毒男は、ふりむく先生のことなどまるで眼中にないと言う様子で、シャキンに駆け寄る
手首と、腹から流れる血量は、すでに致氏量だ
だが、毒男は呼びかけ続ける

('A`) 「おい! おいっ!! 起きろ!! 聞こえてんだろ・・・・!」
    「なあ・・・起きてくれよ・・・・今から・・・いまから・・・・」
    「このおっさんと・・・たたかうんだぜ・・・・?」

抱きしめれば、服が血で汚れる。しかし、毒男は手を離さない
シャキンの体温が、徐々に失われていくのがはっきりとわかる。それでも、離さない

('A`) 「おき・・て・・・・・・・う・・・うう・・・・」
    「うううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

先生 「・・・・・・・・・・」

毒男の泣き声は、これから生まれる、一体の怪物の産声のようであった・・・・・
472: 2005/11/19(土) 02:05:29 ID:dyb/XYK00
毒男は、シャキンの小太刀を引き抜き、右手に構える

('A`) 「頃してやるっ! 頃してやるっ!! 頃してやるっ!!!」

技も何もない、ただただ振り回すだけの斬撃は、先生に届かない

先生 「やめろ・・・・・やめろお・・・・・やめてくれ・・・・・・!」

だが、斬撃以上に、毒男の殺意が、先生を切り刻む・・・・

('A`) 「お前が! お前がっ!! ・・・・ちくしょおおおおおおおおお!!」

先生 「・・・・・もう、やめてくれ・・・・・!!」

カキィン!!

硬い音を持って、先生の刀は、毒男の小太刀を弾く

('A`) 「ぐぅ!」

片手では、小太刀を支えることも出来ず、小太刀は道場の隅へと飛ばされた

477: 2005/11/19(土) 02:10:51 ID:dyb/XYK00
先生 「・・・・・・・・・・・・!」

先生は、泣き崩れる毒男に、何か言おうとして、何も言えないことに気がつく
毒男は、涙で真っ赤になった瞳を先生にむけ、言い放つ

('A`) 「てめぇは・・・・・てめぇはゆるさねぇ・・・・!」
    「楽に氏ねるとおもうなよ・・・・?」
    「てめぇが、一番苦しむ方法で・・・・! あの世に送ってやる・・・!」

そう言って、毒男はシャキンの小太刀を持ち、道場から駆け出した

480: 2005/11/19(土) 02:18:51 ID:dyb/XYK00
その後すぐに、領内にある道場の道場主が、何ものかに殺された
一日後にはもう一人。二日後にはもう二人
間が空いて、五日後にはさらに一人。七日目の六人目で全ては終わった
全て、右手首を跳ね飛ばされ、腹部への刺突でとどめがさされ、刀が一本奪われていた

そして、事件が終わった二日後に、先生の枕元に風呂敷が置かれていた
中身は件の六人と、シャキンのものをあわせて七本の刀
そして添えられた手紙が一通。内容は、
 

『 こ れ で お 前 も お し ま い だ 』


とだけ、赤い血文字で書かれていた

先生の下に、城の役人が来たのは、それから一月後のことであった

485: 2005/11/19(土) 02:29:08 ID:dyb/XYK00
先生 「たぶんだが・・・・毒男はそれで私が処刑されるとおもったのだろうな・・・」
   「わたしが剣術指南役になるために、シャキンを始め、他の候補をつぶした」
   「そう、判断されると・・・な」

先生は、私もそうおもったさ、と付け加え

先生 「しかし、私は生き延びた。・・・幸か不幸か、な」
   「そして・・・毒男はその日以来、自身の家には戻らず、出奔したと聞いてな・・・」
   「私は、ショボン、お前を引き取ることでシャキンに対する詫びとした」
   「毒男に殺されることではなく、な・・・・」

490: 2005/11/19(土) 02:39:49 ID:dyb/XYK00
語り終えた先生は、ほんの少しの間にめっきり老け込んだように見えた
それは、語ることで、内から張り詰めた物が抜けたからだろうか

先生 「さて・・・・これが十年前の真相だ・・・・」
    「確かに、ブーンの言うとおり、私は真の意味で刀狩ではない」
    「だが、やはりその原因は私にあるのだよ・・・・」

頭を垂れる先生は、先ほどと同じ問いを、ショボンにしているように見える
その問いに、ショボンは、問いで返した

('・ω・`) 「先生・・・・一つだけ・・・・一つだけ、確認させてください」
先生 「なんだね・・・・?」
('・ω・`) 「先生は・・・父を、どのようにして、とどめを指したのですか?」

その質問は、ショボンと先生、二人の心を等しくえぐる物であった
先生は、それに答え、いや、応える

先生 「右手首を斬り飛ばした直後、左の小太刀が来る前に突き刺した」
    「今でもよく覚えているよ・・・・」
('・ω・`) 「・・・・向かってくる・・・・父を・・・ですか・・・?」
先生 「ああ・・・あそこで突きが外れていたら、私がやられていたよ・・・・」

494: 2005/11/19(土) 02:49:49 ID:dyb/XYK00
('・ω・`) 「そう・・・・ですか・・・・・・」
先生 「それだけで・・・・よいのかね・・・・・?」

先生はそう言うが、当時のことを思い出したせいだろう、顔色は悪かった
そんな先生を気遣うよう、遠慮するようにショボンは問いを続ける

('・ω・`) 「では、最後に一つ。 ・・・なぜ、ブーンを刀狩などと・・・?」
(;^ω^) 「・・・! ちょ・・・・なんだお!?それは!?」
ツン 「・・・・・・えっ!? お父様!? そ、そんなことをショボンに!?」

ショボンの言葉に、ツンとブーンが驚きの声をあげる

先生 「ああ、そうだ。・・・・・ふたりとも、私を恨んでくれて構わない・・・」
   「それだけのことを・・・したのだからな・・・・・・」
ツン・(;^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ツンとブーン。ふたりが驚きのあまり沈黙する。
ショボンはふたりの代わりを果たすように、もう一度、同じ問いを放った

('・ω・`) 「先生・・・全ては、語り終えてからにしましょう」
     「なぜ、そうしなければならなかったんです?」

498: 2005/11/19(土) 02:57:22 ID:dyb/XYK00
今から三月前のことであった
ショボンもブーンも、立派に成長し
シャキンの墓にもようやく行けるようになったある日
先生のもとに一通の手紙が届いた

先生 「・・・・・? なんだこれは・・・?」

この町に生まれ育った先生に、手紙を貰うほど遠方に住む知人などいない
いたとしても、手紙を書くなどということをするようには思えない人種だ
いぶかしみながらも、中を見れば誰かわかるであろうと思い、封を切った

先生 「・・・・・・・・!!! ・・・これは・・・・まさか・・・」

中身には、見覚えがあった
あの時、風呂敷の中にあったのと同じ匂い、つまり、

血文字で書かれた、毒男からの、手紙・・・・・

517: 2005/11/19(土) 03:53:25 ID:dyb/XYK00
先生 「その後、二月ほどお前達二人の腕を吟味した・・・・」

苦い顔の先生は、きっと、その時とその後の現在を後悔しているのだろう

先生 「ショボンはラウンジ流の癖が抜け切れず、どっちつかず・・・」
    「ブーンは、実力は十分だが、人を斬るには覚悟が足りなかった・・・」

だから、と先生は言葉を繋ぐ

先生 「ショボンはニュー速流に切り替えさせるために、ツンとの婚約を」
    「ブーンは人斬りの経験を積ませるために、刀狩を命じたのだ・・・・」
ツン 「・・・・・っ!  !?」
( ^ω^) 「・・・・・・・・」

先生のその言に、ツンが何か言いそうになるのをブーンが止めた。まだ、終わっていないと

先生 「結局、ショボンは変わらず、ブーンは人を斬らずに刀だけ持ち帰った・・・」

519: 2005/11/19(土) 03:54:38 ID:dyb/XYK00
先生は、いつかの林に来ていた。向かうは、いつかの日の大木
いつかの日のように木剣を構え、打ち込む

先生 「セィアっ!」

スカッ!!

しかし、いつかの日のような打撃音はしない。ただ、空を切る音がし

ず・・・・ずず・・・・・ずっ、どぉ・・・・・んんん・・・・・!!!

いつかの日の大木は、木剣の描いた軌道の通り、裂けて大地に突き刺さった
ニュー速流。その極みの剣を、先生は手にしていた
これが可能になったのは、シャキンを手にかけた、あの日からだった
それが何を意味するのか、何を必要とするのか、

先生 (必要なのは・・・腕ではなく・・・・覚悟・・・か・・・・)

先生は、そう理解した
そして思い起こす、手紙に書かれていた、禍々しい感情の現われを・・・・

520: 2005/11/19(土) 03:54:49 ID:dyb/XYK00
手紙には、小さくない紙に、一文字一文字がでかでかと、こう書かれていた

『 よ う 。 大 切 な 物 は 育 っ た か い ?

  三 月 後 だ 。 そ れ ま で せ い ぜ い 、

  別 れ を 惜 し み な 。 は は は は は は ! ! 』


三月後に、毒男が来る
十年前、左腕が折れているのにも関わらず、道場主達を倒したあの男が
いや、あれから十年。今のやつは、おそらく、全盛期
今の衰えた私はもちろん、昔の私ですら敵うかどうかわからない

ならば・・・・・・

先生 (ブーンか・・・・・ショボン・・・・どちらだ・・・・・?)

自分の後継者と、親友の息子。どちらがより強いのか、知っておかなければ・・・・

521: 2005/11/19(土) 03:55:01 ID:dyb/XYK00
先生 「その後、二月ほどお前達二人の腕を吟味した・・・・」

苦い顔の先生は、きっと、その時とその後の現在を後悔しているのだろう

先生 「ショボンはラウンジ流の癖が抜け切れず、どっちつかず・・・」
    「ブーンは、実力は十分だが、人を斬るには覚悟が足りなかった・・・」

だから、と先生は言葉を繋ぐ

先生 「ショボンはニュー速流に切り替えさせるために、ツンとの婚約を」
    「ブーンは人斬りの経験を積ませるために、刀狩を命じたのだ・・・・」
ツン 「・・・・・っ!  !?」
( ^ω^) 「・・・・・・・・」

先生のその言に、ツンが何か言いそうになるのをブーンが止めた。まだ、終わっていないと

先生 「結局、ショボンは変わらず、ブーンは人を斬らずに刀だけ持ち帰った・・・」

524: 2005/11/19(土) 04:09:42 ID:dyb/XYK00
先生 「ゆえに・・・私は最後の手段をとった・・・・」
('・ω・`) 「それが・・・ブーンが刀狩だと言う・・・?」

頷きはそのまま謝罪へと繋がる

先生 「・・・・すまない・・・・だが、私には他に思いつかなかった・・・!!」
    「お前達、二人を闘わせる方法が・・・・・・・・!!」
('・ω・`) 「先生が、ご自分で腹を切ったのは・・・・・そのためですか?」
先生 「ああ。腹から血を流す私を見れば、必ずお前は激昂すると踏んでな・・・」
    「ブーンのことを刀狩だの何だのと言ったのは、より確実にするためだ・・・」
    「そして、お前達が争い、どちらかを頃し生き残れば、ニュー速の奥義に到る」
    「私はそう考えた・・・・・」
( ^ω^) 「では、あの時ぼくを斬る振りしたのはなんのためだお?」
先生 「あそこで、私をお前が斬ってくれれば、それでも良かったのだよ・・・」
    「どの道、奥義は完成する。そうなれば、お前はツンを守ってくれたろう?」
( ^ω^) 「・・・・・・・・・・・・」

ブーンの沈黙はそのまま答えであった

694: 2005/11/19(土) 22:59:59 ID:dyb/XYK00
先生は、いや、詭弁だな、と言い、悲しげに続ける

先生 「私は・・・・ただ氏にたかっただけなのかもしれぬな・・・・」
    「ショボンに、刀狩の真相を打ち明けたのもそうだし・・・・」
    「私はな、ブーン・・・お前に憎まれるよう、あらゆる手を使ったつもりだ」
    「冷酷にあたり、非道な刀狩を命じ、理不尽な怒りをぶつけ、」
    「お前やツンの気持ちを知りながら、ツンとショボンのこんや・・・」
ツン 「ちょ・・・ちょっとストーップ!!」

ツンの気持ち・・・のあたりで、ツンが突然大声を出した

ツン 「・・・・いや・・・そのぉ・・・・/////」
   「ほ、ほらっ! お父様っ!? いい、今はそんな話をするべきではないと思うのっ!」

ドン、と座卓の上に片足を乗せ、ツンは、顔も真っ赤に興奮してまくし立てる

ツン 「過去の・・・・・・・事実の確認は、もう、おしまいっ!」
   「勝手に喧嘩吹っかけて、勝手ゆえに師匠に止められて」
   「勝手のために師匠をなくして、勝手な逆ギレかましたいじけ虫っ!」
   「毒男対策を含む、今後のことを話し合いましょっ!?」

695: 2005/11/19(土) 23:00:15 ID:dyb/XYK00
ツンの演説は、こき下ろされた毒男もそうだが
自分の父の氏をあっさり一言で済まされたショボンに対しても、ひどいと言えた

('・ω・`) 「・・・・・あ・・あ!?・・・・ぐぶぅ!?」

なにか、何か、言おうとするショボンに、ツンは石を投げつける

ツン 「女々しい・・・! ・・・アンタ、それでも武士の息子なの・・・・・?」
   「果し合い、それの代理を買って出たのなら、覚悟は出来ていたのでは無いの?」
   「自身の命を捨て、ただ誇りだけを追求する覚悟がっ!」

一息の後、ツンの声音は興奮ではなく、青く澄み切った冷静の音を奏でる

ツン 「後からぐぢぐぢ言って・・・・・・・アンタは父のそれを、踏みにじる気?」

('・ω・`)・先生 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

その、ツンの突きつけた疑問に、ショボンと先生、二人は言葉を喪失した

697: 2005/11/19(土) 23:01:14 ID:dyb/XYK00
先生とショボンがそれぞれに、ツンの言葉に何かしらの感慨を抱いている中
ツンの内心は、いい感じにアッパー系に入っていた

ツン (よっっっっしゃっ! お父様とショボンの口はこれで封じた!)
   (今、流れはアタシの手にある! このまま一気に・・・・ねじ伏せる!!)

色々とツッコミを入れたくなる思考だが、ツンは気にしない

ツン 「さて、簡単な問題から片付けていきましょうか」

どうやら議題は既に、今後の対応と言うことになっているらしい

ツン 「お父様の私的な独断に満ち溢れたアタシとショボンの婚約・・・・・」
   「そうね・・・・・みんながいる前でする話じゃないし、ショボン」
   「ちょっと二人っきりで話すわよ?」
(;^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・・え!? ちょ!? おま!?」
ツン 「アンタは関係ないんだからっ! ココに残ってなさいっ!」

言うが早いか、ツンはショボンと共に、庭へと消えていった

703: 2005/11/19(土) 23:07:15 ID:dyb/XYK00
残れ、と命じられたブーンは言われたとおり、先生の部屋で膝を抱えていた
関係ない、と言い切られたショックは大きかったのか、何やらぶつぶつ言っている

(;^ω^) 「・・・ショボンはいいやつだお? 腕もたつお? ナイスガイだお?」
      「・・・だからってぼくは関係ないって・・・でも・・・ああ・・・」

ブーンの周りは人魂の一つや二つでは効かないほど暗くなっていた
先生は、そんなブーンが見えていないのか、薬湯の湯飲みをもって呟く

先生 「・・・・私は・・・シャキンの覚悟を踏みにじっていたのかも・・・しれぬな・・・」
    「負うた子に教えられる・・・か・・・。 ・・・・なあ、ブーン?」
(;^ω^) 「・・でも、僕だって負けず劣らず・・・・はい!? 何ですかお!?」

先生は、土下座するように頭を下げた

先生 「すまない・・・・シャキンの覚悟どころか・・・私はお前の覚悟も・・・・」
    「・・・・・・・・・踏みにじった・・・・・・・・・!」

704: 2005/11/19(土) 23:08:02 ID:dyb/XYK00
(;^ω^) 「せ、先生! 頭を上げてくださいお!?」
先生 「いや・・・・こうさせてくれ・・・・・・」
    「私は、お前の覚悟を・・・私を救うという覚悟すら・・・踏みにじったのだ・・・」
(;^ω^) 「先生・・・・。 で、でも! でもですお!?」
      「それは、ツンお嬢様を守るため、やむをえなかったことだお・・・・?」

だったら、と、こちらの弁護をしようとするブーンの言葉を遮り

先生 「私は・・・・・・そうやって・・・そんな理由で・・・・娘を・・・・ツンを・・・」
    「あいつを道具扱いしたっ! あいつの思いも覚悟も踏みにじってっ!!」
(;^ω^) 「・・・・・・せん・・・・せい・・・・・」

先生の懺悔は、二人の間に、動きと言う物すべてを奪った
どのくらいそうしていたのであろうか。ひどく永く感じた不動の時間を破り
先生は顔をあげ、こう言った

先生 「だがな、ブーン、安心しろ・・・?・・・ツンの・・・・・娘の覚悟は・・・・」
    「私ごときが・・・・踏み潰せるものでは・・・・・・ないぞ・・・?」

706: 2005/11/19(土) 23:20:06 ID:dyb/XYK00
庭に出たツンとショボンは真逆であった
伸びをしながらゆったりと庭を歩く
対してショボンは、庭の土の上に座り、全身を緊張させていた

ツン 「さっきはごめんね? お父上のこと、あんなあっさり切り捨てて」
('・ω・`) 「いえ・・・・・お嬢様の仰るとおりです・・・」
     「僕は、父上の仇などと、父上の覚悟に泥を塗る行為を糧に」
     「今まで生きてきました。今では、重荷が取れたような気分です・・・」

言って頭を下げるショボンは、奇しくも先生と同じ所作
しかし目の前にいるのは、ブーンではなく、ツンであった・・・

グリっ!

('・ω・`) 「・・・・・!???」

ショボンは、下げた頭の上。後頭部に何かが押し付けられる感触を得た
それが何かは、すぐにわかる・・・・・・

ツン 「悪いわね、ショボン? これがアタシの、アナタに対する態度よ?」

それはツンの雪駄であった

708: 2005/11/19(土) 23:25:26 ID:dyb/XYK00
('・ω・`) 「おじょうさま・・・? ・・・一体何を・・・?」
ツン 「アンタの頭を踏んでいる。現在進行形でね?」
('・ω・`) 「いえ! そうではなく!!」
ツン 「理由は簡単。アンタはアタシを許しても、アタシはアンタを許してないのよ?」

グリリッ! と、雪駄に徐々に体重がかけられ、同じようにショボンの顔は地面にめり込む
そのままの姿勢で、ショボンは問う

('・ω・`) 「それはどういう・・・・!」

ツンの答えは明確であった

ツン 「アタシの罪は、アナタのお父上の氏への侮辱」
   「アンタの罪は、ブーンの顔を傷つけたことよ・・・・!!」

710: 2005/11/19(土) 23:33:35 ID:dyb/XYK00
はっきりと告げると、ツンの行為もはっきりとする
足にかかる体重は次第に増大し、そのままショボンの頭を踏み砕こうとした
流石に、踏み砕かれているショボンではない
身体をねじり、頭がこすれるのも厭わずに引き抜く

ツン 「これのどこが、婚約についての話し合い? と、いいたそうね?」
('・ω・`) 「・・・・まともな返答が返るなら、そう、問いますが?」
ツン 「答えはさっきので十分じゃないの?」
('・ω・`) 「・・・・・意味がわかりませぬ・・・・・・!」

語気を強めるショボンだが、ツンはそれを気にも留めない

ツン 「アタシは、ブーンと約束したの・・・・」

ツンは語る。一月前の、旅立つブーンとのやりとりを

717: 2005/11/19(土) 23:45:29 ID:dyb/XYK00
ブーンは旅立つ直前、悩んでいた

自分は、ツンのために、いや自分のために、人を斬れるのか・・・・?

悩み苦しんでいた

ツン 「武者修行・・・ね。 うん・・・・・いい、ことだと思うわ?」
(;^ω^) 「でも・・・・ぼくは不安なんだお・・・・・?」
ツン 「・・・・・・・・・・・何が?」
(;^ω^) 「ぼくは・・・・人を斬れるのかどうか・・・不安なんだお・・・」

吐露された内心は、不安、等と言うものではなかった
それは既に強迫観念。人を斬れるか、ではなく、人を斬らねばならない
心のどこかで、そう、自分に命じている
長い付き合いのツンには、そんな常ならぬブーンの気持ちが、手に取るように理解できた

だから、ブーンのもっとも望む言葉をかけてあげた

ツン 「ばっかじゃないの? そんなの、アンタの好きにすればいいじゃない?」

719: 2005/11/19(土) 23:59:10 ID:dyb/XYK00
望んでいた、心の底から欲していた言葉に、ブーンは戸惑う

(;^ω^) 「・・・・は、果し合いになったら・・・・・・・どの道・・・」・
      「好きも嫌いも・・・ないお・・・・・・・」

怯えるように、その場面でも想像したのか震えるブーン
ツンはそれを優しく抱きとめず、突き放す

ツン 「はぁ・・・・・・? 果し合いに、『相手を斬り殺さねばならぬ』」
   「・・・・なんてルールでもあるの? それは初耳だったわ」
   「『果し合い』だったら、文字通り、己の望みを『果たし』た方の勝ちじゃないの?」
   「変な縛りをつけて、煮詰まらないでよっ! うっとおしい・・・」
( ^ω^) 「・・・・・・そうだお・・・ああ・・・そうだお・・・!」
      「でも! ・・・・・・斬らねばならぬ日もいつか・・・・・・!」

斬らねば、君を守れなくなる日が・・・・

ツン 「来ないわよ?」
(;^ω^) 「・・・・・え?」

きっぱりと言い放つツン

ツン 「アンタが斬りたがらぬ限り、そんな日は、絶対に来ないのよ?」

720: 2005/11/20(日) 00:11:04 ID:8/TJ51dX0
ドクン・・・・ドクン・・・・ドクン・・・・・
鼓動が大きく感じる。愛する人の、断定的で絶対的な、否定
それがあれば、何でもできる気がする。不可能はない気がする
だが、口をつくのは否定の言葉

(;^ω^) 「ぼくには・・・・そんな大それたこと・・・断言、出来ないお・・・・!」

確かに。斬りたがらぬと言って、斬らねばならぬ日が消えることは無い
だが、

ツン 「断言ができないんなら、それに最大限、近づきなさいよっ!?」
(;^ω^) 「・・・・・・・・・・・!!」

ツンは強気に言い放つ

ツン 「アナタならできる・・・・・私に、そう信じさせてはくれない?」
(;^ω^) 「ツン・・・・・・」

ドクン・・・・ドクン・・・・ドクン・・・・

鼓動はヒートアップする

724: 2005/11/20(日) 00:21:59 ID:8/TJ51dX0
( ^ω^) 「わかったお」
ツン 「ブーン・・・」
( ^ω^) 「たとえ、この身がどうなろうと、君の信頼は裏切らないお!!」

もう、迷いは無い
自分の信念を信じる人がいる。ならば自分は最大限、その信頼に応えるのみ
力強く、魂を込め、ブーンは言った。 ・・・・・・だが


ツン 「ちょっと・・・・・? そんなことはアタシがゆるさないわよ・・・・!」

ツンは、その決意を真っ向から叩き斬った

(;^ω^) 「え・・・? え? え? な、なな、何がだお!?」
ツン 「アンタのその身体をどうこうする権利はアンタには無いのっ!」
  「アンタのその身体を・・・・・どうこうしていいのは私だけだからよっ!」

聞きようによっては、まるっきり愛の告白のような言葉を
ツンは胸を張って、言い切った

728: 2005/11/20(日) 00:35:01 ID:8/TJ51dX0
ツン 「昔、約束したわよね? アタシはアナタを心配しつづけるって」
   「そして、アタシを一番に心配するって、ね?」

ツンの言葉に、ブーンは頷く

ツン 「だからアナタが傷つくと、アタシはそれを心配する・・・・」
   「そんなことは、許可しないわ」

ツンの視線と言葉には、それぞれすさまじいまでのエゴと思いやりが封じられていた
気迫に押され、ブーンは思わず問う

(;^ω^) 「もし、ぼくが傷ついたとしたら・・・・・どうするお?」

ツンはにやりと笑い、まるで蛇のような視線をブーンに向けた

ツン 「目には目を。歯には歯を。 等しい傷を持って加害者に復讐をするわ・・・!」
   「アタシに、そんなことをさせたいの・・・・・・・?」
( ^ω^) 「ぜ、絶対、そんなことはさせないお!!」

ツンの異様な視線に、即答するブーン
それに満足そうに笑い、今度は朗らかな少女の笑顔で

ツン 「うん! やくそくは、守りなさいよねっ!?」
   「アタシのところへ無傷で帰ってきなさい!」

803: 2005/11/20(日) 16:09:49 ID:m6f8VM080
ツン 「そして・・・・ブーンは約束どおり、無傷で帰って来たわ・・・」
('・ω・`) 「・・・・・・・・・・・・・・」

呟くツンの表情は、あふれる嬉しさを押さえ込んだ、無表情
続き浮かぶのは、とどまらぬ怒りを押さえ込んだ、無表情
傍目にはわからぬ内面の変化。ショボンは確かにそれを感じていた

ツン 「でも・・・・アナタは、そのブーンの歯を叩き折った・・・・・」
   「約束を守ったブーンに報いるため・・・アタシも、約束を守る」
('・ω・`) 「・・・・・お嬢様」

そう言ってツンは手中に砂利を握りこみ、ショボンめがけて
その拳を走らせた

804: 2005/11/20(日) 16:10:44 ID:m6f8VM080
ツン 「そして・・・・ブーンは約束どおり、無傷で帰って来たわ・・・」
('・ω・`) 「・・・・・・・・・・・・・・」

呟くツンの表情は、あふれる嬉しさを押さえ込んだ、無表情
続き浮かぶのは、とどまらぬ怒りを押さえ込んだ、無表情
傍目にはわからぬ内面の変化。ショボンは確かにそれを感じていた

ツン 「でも・・・・アナタは、そのブーンの歯を叩き折った・・・・・」
   「約束を守ったブーンに報いるため・・・アタシも、約束を守る」
('・ω・`) 「・・・・・お嬢様」

そう言ってツンは手中に砂利を握りこみ、ショボンめがけて
その拳を走らせた

805: 2005/11/20(日) 16:11:01 ID:m6f8VM080
拳は、ショボンの眼前で止まった

('・ω・`) 「・・・・・約束を、果たさないでよろしいのですか・・・・」

まったく動じていないショボンに、ツンは苦笑し、ええ、と応える

ツン 「少し・・・・自分に正直に生きようと思ってね・・・・?」
   「今、アナタの歯を折れば、ブーンはアナタを心配するでしょうね」
   
一呼吸の間が空き

ツン 「アタシは、そんなのは絶対にいや」
   「もう、二度とブーンにアンタの心配なんかさせたくないのよね・・・!」

わかる?、とツンは問いかけ

ツン 「・・・・・・・・・・これが答えよ」
   「アタシは、ブーンの為なら婚約者の歯を折ることも躊躇わない」
   「ブーンの為なら、それをやめることにも逡巡は持たないわ」

ツン 「アタシは、アナタが嫌いで・・・・・ブーンのことを、愛しているわ」

806: 2005/11/20(日) 16:11:48 ID:m6f8VM080
キッパリとしたツンの告白は、酷く心地よかった
眼に迷いは無く、言葉に躊躇は無く、行う動きには刹那の逡巡も無い
ショボンは、我知らず・・・・・笑った

('・ω・`) 「・・・く、くくく・・・あははははははははっははwwww」
ツン 「なっ! な、なな、な何よっ!? ふ、ふふ、ふんっ!」
   「ぶ・・・・・ブーンには・・・・なな、内緒なんだからねっ!?」
('・ω・`) 「え、ええwwもちろんww ・・・・それはツンさんの口から言って下さいw」

なっ! と顔を真っ赤にするツンが、何事か言う前に、

('・ω・`) 「ちょうどよかった・・・・僕もツンさんに、言いたい事があったんですよ・・・」

何時の間にか、ショボンはツンのことをお嬢様と呼ばなくなっていた

('・ω・`) 「僕は、ブーンを一人で氏なせるぐらいなら、僕が頃す」
     「そして、その罪を背負い、一生苦しむ覚悟がある」
     「そうならないよう・・・・ブーンを守る覚悟も持っています」

('・ω・`) 「僕は、ツンさんの為ではなく・・・・ブーンの為にここにいます」

807: 2005/11/20(日) 16:12:40 ID:m6f8VM080
ツンはショボンの告白に、薄く笑う

ツン 「あら・・・・? アタシみたいな美人と婚約できる機会、もう無いわよ?」

ツンのわざとらしい言い草に、ショボンも薄く笑う

('・ω・`) 「ツンさんこそ・・・僕みたいないい男と婚約できる機会、そうはないですよ」

お互いに笑い

ツン 「冗談w ・・・・・・ブーンの方が遥かにいい男だと思わない?」
('・ω・`) 「ええw 僕もそうじゃないかと思いますね?」
ツン 「ずいぶんと、気が会うじゃない?」
('・ω・`) 「僕もアナタもブーンが大好き・・・・そりゃ気が合いますよ?」
ツン 「それじゃ、アタシ達は似た物夫婦になれたのかもね?」
('・ω・`) 「冗談w ・・・・・・お互いが愛し合えない夫婦は不幸ですよ?」

笑い、笑い、大いに笑い、二人は声を揃える。

なら、と

ツン・('・ω・`) 「婚約は、破棄だっ!」

809: 2005/11/20(日) 16:26:30 ID:m6f8VM080
戻ってきた二人は晴れやかな顔をしていた
ショボンの方が泥まみれなので、きっと普通の話し合いではなかったのだろう

ツン 「こっちの話は終わったわよ?」
('・ω・`) 「ええ、お互いに納得がいく形でね」
( ^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

なんだか二人がやけに親密になっているような気がするのは気のせいか?
事実、ツンはブーンの方を見ようとせず、ショボンはこっちを見て、笑顔だ

(;^ω^) (や、やばくないかお!?)

焦り、両手をばたつかせ、奇妙な踊りをするブーンを無視して、ツンは切り出す

ツン 「お父様。こっちは色々と覚悟を決めましたわ・・・・・」
   「それで・・・・・・お父様の覚悟はお決まりになりました・・・・?」

何の覚悟、といぶかしむ暇を与えず、ショボンが言う

('・ω・`) 「氏なずに・・・・決着をつける覚悟を・・・・!」

812: 2005/11/20(日) 16:35:44 ID:m6f8VM080
先生は、二人の言葉に、観念したような、喜ぶような色を浮かべる

先生 「お前達は・・・・・私にこう言うのだな・・・・?」
    「逃げずに・・・・・自分の手で・・・・毒男とけりをつけろと・・・」

頷くツンとショボン

ツン 「当然でしょ? 私たちは、お父様の言葉を待たずに」
   「二人の関係を、二人でけりをつけたのよ?」
('・ω・`) 「ぼくも・・・先生の力を借りずに、父の仇との関係を決着しました」

ツンさんの手を借りてですが、と付け足し

('・ω・`) 「ならば先生だけを、氏んで逃げさせるわけには、行かない・・・・」
     「毒男の覚悟と、父の覚悟に、向き合ってください!」

815: 2005/11/20(日) 16:47:10 ID:m6f8VM080
先生は、うつむき、何も言わずに刀置きまで歩く
そして、一本の刀と、その裏にあった桐の箱を持ってきた
引き抜く刀にはあるべき刀身は無く、桐の箱にそれは入れられていた

先生 「・・・生き延びたと知ったとき、私はこの刃の無い刀で」
    「毒男と・・・・・一対一の果し合いを申し込むつもりでいた・・・・・」

先生は、刀身を手にとり、柄を分解して、刀をあるべき姿に戻す

先生 「私の氏で・・・・逃げて終わりを求めるのは・・・・もうやめよう・・・・・」
    「武士の覚悟を持って・・・・・私は闘おう・・・・・」
    「毒男の覚悟と、自身の罪とを、敵にまわして戦い抜こう・・・・!」
ツン 「お父様・・・・・・!」
('・ω・`) 「先生・・・・・・・!」

もうそこには、生を捨てた老人の姿は無く、誇り高い虎の姿があった

先生 「お前達の覚悟と・・・そしてブーンの覚悟に報いるとしよう・・・!」

821: 2005/11/20(日) 17:05:37 ID:m6f8VM080
その後の話し合い、否、作戦会議は至極簡単なものであった
まず、毒男は『俺たち』と言ったことから、複数で来るだろうという事
次に、先生のもっとも苦しむ氏に方とは、弟子と娘の氏を目の当たりにさせることだろうと言う事
最後に、ツンと道場を、ブーン、ショボン、先生が三方に分かれて守るという事
それだけを確認して、決戦の時まで休養という運びになった

(;^ω^) 「・・・・ぼくは、主人公じゃなかったのかお・・・・」

先ほど、先生を叱咤する二人と再び立ち上がる先生の会話に
全くからめなかったブーンは、自分の立ち位置に疑問を感じ、凹んでいた
それに加えて、ショボンとツンのこともある
他の三人は酷くすっきりしている中、ブーンは一人取り残され、べっこべっこに凹んでいた

(;^ω^) 「・・・・はあ・・・・・・・」
ツン 「・・・なぁに辛気臭いツラしてんのよ?」
(;^ω^) 「あ、ツン! あの、その、ショボンとのその・・・」
      「婚約とかのはnくぁwせdrftgyふじこっ!!?」
ツン 「かんでるかんでるw」

828: 2005/11/20(日) 17:22:56 ID:m6f8VM080
ツン 「はい、お茶」
(;^ω^) 「あ、ありがとうだお・・・・・」

差し出されたお茶を飲み、一息
少しは落ち着きを取り戻したブーンは、改めて尋ねる

( ^ω^) 「あの・・・・ショボンとの婚約は・・・結局、どうなったんだお?」
ツン 「ああ、あれ? あれはお父様がアンタに斬られるためと」
   「ショボンをうちに縛るための口実だったからね・・・・」

くすり、と笑い

ツン 「白紙にもどしたわよ」
( ^ω^) 「!! じゃ、じゃあ!!」
ツン 「はい、そこで勘違いしなーいっ!」
(;^ω^) 「!?」
ツン 「ア・タ・シ・は・。・・・そんな道具扱いの婚約を、破棄しただけよ?」 

832: 2005/11/20(日) 17:33:07 ID:m6f8VM080
ツン 「つまり、ショボンを振ったわけでも何でもないの」
(;^ω^) 「・・・・そ・・・そうなのかお・・・・」

肩を落とし、うなだれるブーン。と、不意にその背中に手が回された
ツンの手であった

ツン 「はぁ・・・・・まったく、何をこの程度で落ちこんでんのよ・・・・・?」
(;^ω^) 「ふぇ!? は!? ほ!?」
ツン 「はいはい、この程度で取り乱さないっ!」
(;^ω^) 「ふ・・・・!! ぐぁああっ!!!?」

パニクるブーンをそのままベアハッグするツン
そのままの姿勢で、続ける

ツン 「いい? アタシは、アンタのことを心配し続ける、って約束したじゃない?」
(;^ω^) 「・・・・・・・(ピクッ・・・・ピクッ・・・・)」
ツン 「結婚なんてしたら・・・・・そんなの・・・・できないじゃない・・・?」
   「・・・・って、聞いてるのっ!?」
(;^ω^) 「・・・・ガクガクガクガク」

あー・・・。 うん、ツンよ。 締めすぎだ

835: 2005/11/20(日) 17:45:09 ID:m6f8VM080
(;^ω^) 「中身が出るかと思ったお・・・・・」
ツン 「こほん・・・えーと、どこまで話したっけ・・・?」
   「あ、そうね、結婚できないってとこまでよね?」

一応聞いてはいたブーンが頷く

ツン 「確かに、アタシはショボンと結婚するかもしれないわ」
(;^ω^) 「!!!!!!!!!!!!!」

ブーンの言葉にならない叫びに、内心で喜び、顔は笑顔で続ける

ツン 「でも、それはアンタが結婚した後のことよね?」
(;^ω^) 「・・・・? え? それは・・・・どういう・・・・・?」
ツン 「アタシは、アンタを心配し続ける。アンタのことが心配じゃなくなる時なんて・・・」
   「アタシの代わりに、誰かがアンタの傍にいるとき以外、ありえないもの」
( ^ω^) 「ツン・・・・・・・」
ツン 「アンタは・・・・アタシがいないと駄目だもんねw」
   「はやく、アタシの代わりを見つけなさい? ・・・・でないと」

一度、顔を伏せ、満面の笑みを浮かべてから、もう一度顔をあげる

ツン 「アタシが、いつまでも嫁にいけないわよ?」

838: 2005/11/20(日) 17:52:36 ID:m6f8VM080
( ^ω^) 「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

ブーンは、呆けていた
ツンの言葉がなかなか染み渡らず、身動きが取れないでいた
徐々に、ツンの言葉が、心に広がっていき、隅々にまで行き渡ったそのとき

ブーンは涙した


(#^ω^) 「か・・・・・! 代わりなんて、いないおっ!!」
ツン 「ブーン・・・・?」
(#^ω^) 「ぼくの・・・ぼくの隣に立つ人なんて、ツン以外いないお!!」

腕を振り上げ、熱弁する。自分の思いを、もう止められない激情を

( ^ω^) 「だから・・・・・! ツンを・・・・他のやつなんかに・・・・!!」
      「たとえショボンでも、ツンは・・・・・・嫁になんかさせないお!!」

842: 2005/11/20(日) 18:03:05 ID:m6f8VM080
告白は止まらない。長い間、十年以上も溜め込んだ言葉は、とどまれない

( ^ω^) 「ツンがいつまでも嫁にいけないんなら、それでいいお!!」
      「ぼくも、いつまでも! いつまでも、いつまでも!」
      「ツンの代わりなんか見つけないお! 絶対に見つけないお!」
      「だから・・・・・ツンは、ぼくのことを心配するお! ずっとするお!!」
      「ツンには、ぼく以外の・・・・・・誰の心配もさせないお!」

一呼吸

( ^ω^) 「させたく・・・・・・ないん・・・・・だお・・・・・!!!」

後は涙声で、聞き取れる言葉は出てこない
そんなブーンを、ツンはやさしく抱きとめた

ツン 「わかってる・・・・・アタシにも、アンタ以外いないもの・・・・」

844: 2005/11/20(日) 18:15:23 ID:m6f8VM080
( ^ω^) 「ツン・・・ごめんだお・・・・」

そう言って、ブーンは頭を下げた

ツン 「何? 何を謝るの?」
( ^ω^) 「ツンに心配して欲しくないって言っておいて・・・・」
      「本音は、これだお・・・・・・」

ツンは泣きじゃくり、謝るブーンに、十年前とは違い、笑顔で言う

ツン 「ふふ・・・・・いいんじゃない? アンタがどう言おうと思おうと」
   「アタシは、アンタを心配するんだから・・・・ね?」
( ^ω^) 「ツン・・・・・」
ツン 「でも・・・・アタシを心配させないよう、努力だけは、しなさいよ?」
( ^ω^) 「も・・・・・もちろんだお!!」

ツンはブーンの力強い言葉に、満足そうに頷き、

ツン 「今夜は・・・・頑張りなさいよっ!?」
( ^ω^) 「わかったお!」

もう言葉はいらない、分かり合えた。ツンはそう思い、自分の部屋へと帰っていった

( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の六】

引用: ブーンが侍になったようです2