846: 2005/11/20(日) 18:23:32 ID:m6f8VM080


( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の壱】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の二】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の三】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の四】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の五】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の六】



ブーンがツンの後姿を見えなくなっても目で追い続けていると
背後から声をかけられた

先生 「あー・・・・・・ブーン・・・・?」
(;^ω^) 「せ!? せ、せせ、せせせ、っせせっせせせせ!?」

背後には、着流し姿の先生が、顎をかきながら立っていた

先生 「いや、すまない・・・その・・・・立ち聞きする気は・・・無かったんだが・・・」
(;^ω^) 「いやいやいやいやいやいや!? っていうか!先生は聞いていたのかお!?」

頷く
途端、ブーンは顔を真っ赤にしてうめく

(;^ω^) 「うううううわあああああああああああ!!!!!???」
先生 「うん、まあ、その・・・なんだ? ・・・・おちつけ」
(;^ω^) 「ぶげぉらっ!?」

ドシュッ!! と、首筋に手刀で一撃。強制的に黙らせた

先生 「・・・・まあ、自分で、言っておいてなんだが・・・・」
    「娘の覚悟・・・・・・・お前は感じてくれたみたいだな・・・・・?」
851: 2005/11/20(日) 18:30:43 ID:m6f8VM080
痛む首筋をさすりながら、ブーンは気まずそうに聞いた

( ^ω^) 「先生は、こうなるのをしっていたのかお・・・・?」
先生 「というか知らなかったのはお前だけだ。多分ショボンも知っている」
( ^ω^) 「うううううわああ・・・・」
先生 「しつこい」

ドシュッ!!

( ^ω^) 「・・・・・ところで、先生は・・・その・・・・」
先生 「なんだ・・・・・・?」

ブーンは顔を赤くして、もじもじとしていた。ぶっちゃけきもかった

( ^ω^) 「認めて・・・くれるのかお・・・・?」
先生 「ああ・・・・そうだな・・・まあ・・・知ってはいたし」
    「認めるつもり・・・・・だったんだがなぁ・・・・・」

だった? とブーンが首をかしげると

先生 「やっぱりあれだな・・・・うん・・・むかつく。殴らせろ」
(;^ω^) 「ちょ!!!せんせい!???? ・・・だめ! 石は駄目ぇぇ!!!」

855: 2005/11/20(日) 18:45:13 ID:m6f8VM080
先生 「まあ・・・そういう話をしに来たわけではないんだがな・・・・」

親の愛を身体全体で満喫したブーンに、先生はそう言う

( ^ω^) 「あの・・・きっちりボコしておいて、これはついでですかお・・・?」
先生 「本題はな・・・・・」
(;^ω^) 「流したっ!?」
先生 「刀狩のことを・・・・聞いておきたくてな・・・・・」
( ^ω^) 「刀狩、ですかお?」

ああ、と頷く先生

先生 「お前は・・・どうやって、殺さずに刀を奪えたのか気になってな・・・・」
    「いや・・・・今の内に、聞けることは聞いておくべきだと思って・・・な・・・」

尋ねる先生の顔は真剣で、どこか差し迫った物を感じさせた
だが、ブーンはそのことに気がつかなかったのか、軽い感じで話し始めた

( ^ω^) 「ああ、そのことですかお? ・・・それなら簡単だお」
      「ぼくは刀を奪っていないんだお」

857: 2005/11/20(日) 18:53:55 ID:m6f8VM080
先生 「奪って・・・・いない・・・・?」
    「どういうことだ・・・・・・・?」

ブーンの言葉は不可解だった
持ち帰った刀を見たが、どれも使われた形跡があった
つまり、お飾りの観賞用などではなく、実際に使用する武士の魂であった
それを持ち帰るのに、奪う以外の方法などあるのだろうか・・・・

( ^ω^) 「はい・・・・あれは、預かっただけなんだお」
先生 「預かる・・・・・? いや、しかし・・・・・・」
    「お前が持ち帰った刀は・・・・いずれも腕の立つもの達の刀だ・・・」
    「そんな武芸者達が、自身の魂と言うべき刀を預けるとは・・・」

思えない、ではない、ありえないのだ
だが、ブーンは飽くまでけろりとしていた

( ^ω^) 「ただで、というわけではありませんお・・・」
      「あれは、再戦を誓う代わりにあずかったんだお」

859: 2005/11/20(日) 19:04:42 ID:m6f8VM080
先生 「・・・・そんなことを許容する者が・・・・いるとは、思えんな・・・・」

刀を奪われ、その雪辱か復讐のために、再戦を申し込む者はいるだろう
しかし、初めから、再戦の約束として刀を預けるなどと・・・・
それは、恥と思うのではなかろうか
果し合いに負けた身には、情けとして映るのではないのか

先生 「お前は果し合いの末に、どうしてそんな約束を取り付けたのだ?」

そんな約束ができる状態なら、ブーンに斬りかかるか、自害する
少なくとも、自分ならどちらかを選ぶだろう
まったく種のわからない手品を見せられた時のように、先生は困惑していた

そして、種を明かされたとき、先生は、さらに驚愕した

( ^ω^) 「真剣で、立ち会わなかった、ということだお」

つまり、と続ける

( ^ω^) 「ぼくは、無手の状態で果たしあったんだお」

870: 2005/11/20(日) 19:19:42 ID:m6f8VM080
ブーンの言葉は、信じられないものだった
それならばまだ、刀だけをこっそり盗み出した、と言われた方が信じられる
剣道三倍段という言葉もある
それだけ、得物を持っているほうと持たないほうでは、歴然とした差が出るのだ

先生 「まて・・・・それで・・・お前は勝ったのか・・・・・?」
(;^ω^) 「何度も氏にかけたお・・・・・」

そういうブーンの身体には、しかし目立った刀傷は見当たらない
ということは、一度も斬られずに、十人もの達人をブーンは倒したということだ

先生 (私は・・・・ブーンのことを見誤っていたのかも知れぬ・・・・)
( ^ω^) 「ぼくは無手で勝った後に、こう言ったお」
      「この試合、ぼくは抜かなかったお。ゆえにこれは真剣勝負などではないお」
      「次はお互いに真剣で立会うお。それまで、刀は預かるお」
      「道場に来れば、いつでもお相手するお」

873: 2005/11/20(日) 19:27:30 ID:m6f8VM080
先生は、そこで説明を終えたブーン、に再度尋ねる
どうしても、ある部分で、納得がいかなかったのだ

先生 「しかしだ、ブーン。 ・・・・・それで、自害しようとする者はいなかったのか?」

そう、そこだ。達人とさえ呼ばれる者が、ただ負けるだけでも自害しかねないのに
無手の輩に、真剣を使って負けたとあれば、もう生きてはいけない
すると、ブーンは悲しそうに顔をゆがめた

(;^ω^) 「ほとんどが、自害しようとしましたお・・・・」

そうだ、そのはずだ
だが、それならば、鶏の血など使わず、そこから血を刀に付ければよい
しかし、それをしなかったと言うことは・・・・

( ^ω^) 「ですが、ぼくはそれを止めましたお・・・・」

875: 2005/11/20(日) 19:36:11 ID:m6f8VM080
それは余計なことだったのかもしれない、そう顔には書いてあった
だが、問題はそこではない。どうやって止めたのか、だ
止めて止まる物ならば、武士は切腹などしまい

( ^ω^) 「普通にやって、止められるとは思いませんでしたお」
先生 「当たり前だ・・・・止められてやめるものなど・・・・・いるはずもない」
( ^ω^) 「だから・・・・・・あえて挑発しましたお」
先生 「挑発?」
( ^ω^) 「はい。腹を切ろうとしたときに、一言」
      「逃げるのかお?」
先生 「・・・・・・・・!」

その言葉は、今の先生にも突き刺さるものだった
氏ぬ事が名誉、誇りだと思っていた自分がそうなのだ
氏んで誇りを保とうとするものならば、当然

先生 「それは・・・・怒り狂うだろうな・・・・」
( ^ω^) 「はい・・・・・」

878: 2005/11/20(日) 19:46:46 ID:m6f8VM080
( ^ω^) 「でも、それでよかったんだお・・・・」

うつむくブーンは、言葉と裏腹に悲しそうであった

( ^ω^) 「怒りでも何でも、生きる気力になってくれれば、いいんだお・・」

そしてブーンはこちらに頭を下げた

( ^ω^) 「そういうわけで、先生。これからそういう人がくるかもしれないお」
      「道場に、ご迷惑をおかけすると思うお・・・・」
先生 「いや・・・・命じたのは私だ・・・・自業自得と言うやつだ・・・・・」

それよりも、と先生はやさしく言った

先生 「お前は・・・・・さぞ・・・辛かったであろうな・・・・」
( ^ω^) 「いえ、誰かを氏なせるより、何倍もマシだお」

これで、疑問は氷解した。そして・・・・・・
先生は、一つの答えを、ブーンの話の中から得ていた・・・・・

883: 2005/11/20(日) 19:56:59 ID:m6f8VM080
ちょうどその時、毒男は近くの丘にいた
毒男の前には、50人は超えるであろう人数が集まっていた

('A`) 「お前ら! ・・・・準備はできてるな?」
手下達 「おおっ!!」

押し頃した声で、全員が応えた
毒男は全員から顔が見えるところに立ち、大声になり過ぎない程度で
演説を開始した

('A`) 「・・・今夜、ニュー速流に攻め込む。にっくき仇のあいつらにな・・・!」
    「もちろん、やつらに恨みの無い奴も、この中にいるだろう・・・だが!」

ダン!! と、地面に鉄槍の小尻を叩きつけ、言葉を区切る

('A`) 「・・・・俺の恨みに、付き合ってくれ・・・・・!!!」
    「俺の・・・・俺の人生をぶち壊したあいつに、復讐する・・・」

毒男は、顔を大きく上げ、涙声で叫んだ

('A`) 「力を・・・・・貸してくれ・・・・・!!!」
手下達 「うおおおおおおおおおおおお!!!!!」

全員が一丸となり、毒男に応えた

890: 2005/11/20(日) 20:11:25 ID:m6f8VM080
時間は流れ、夜になった
先生、ブーン、ツン、ショボンの四人は、どれも険しい表情だ

先生は着流し姿に、刀を三本、脇差一本を腰に差し
着流しの下には何重にもさらしを巻き、刀が落ちないようにしていた

ブーンはたすきをかけ、鉢巻を締め、腰には刀を一本だけ
そして両手に手裏剣を仕込んだ手甲をつける

ショボンはブーンと変わらぬ装いに、手裏剣は外し、
父の小太刀と刀にしては短い方の物を腰に差していた

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

皆、無言
言葉は既に交わしきっている
ならば、後は祈るだけだ。互いの無事を・・・・・

892: 2005/11/20(日) 20:21:58 ID:m6f8VM080
毒男は、一人丘の上にいた
手には長い望遠鏡をもち、それでニュー速流の道場を見ていた
手下には、既に指示を出し、出撃させている

('A`) 「さあ・・・どこだ・・・? どこから出てくる・・・・?」

毒男に座る石の上には一枚の紙切れ
それは雑に書かれた地図で、道場に当たる場所の周りに石が四つ
それぞれが、道場入り口、母屋の入り口、裏口、そして裏の竹林にあたる
その四箇所に、部下をそれぞれ分け、突入させる
一箇所につき十数人。あの三人の腕前でも、厳しいであろう人数だ
空いた一箇所から入る部隊は、人質を探す
そして、狙う獲物がでてきた時、

('A`) 「俺が・・・・直々に、この手で始末してやらぁ・・・・!!!」

ミシ・・・・ミシミシ・・・・・

毒男の持つ鉄槍が、奇妙な音を立てていた・・・

895: 2005/11/20(日) 20:28:16 ID:m6f8VM080
母屋の玄関前にいた部隊は、戦慄していた
各々が得意とする武器を構え、いざ、突入と言うとき
一陣の風が飛び出してきた

(#^ω^) 「⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーーーーーン!!!!」
槍使い 「な・・・・!?」

ベギィッ!!・・・・・ドッシャアアア・・・・!!

玄関前にいた男の槍を、ラリアットのような一撃で叩き折、勢いそのままに男を吹き飛ばす風
それが、標的の一人、ブーンだと気づくのには、しばしの時間が必要だった

(#^ω^) 「ニュー速流、ブーン・・・!!」

腰のものをすらりと抜き放つ。刃のついていないナマクラだが、その太さは尋常ではない
これで一撃されれば、刃は無くとも、命が危ないだろう

(#^ω^) 「怪我をしたくない奴は、とっとと帰るお!!」

898: 2005/11/20(日) 20:35:51 ID:m6f8VM080
同時刻、道場から進入した部隊は、首をかしげていた
入る前に、必ず攻撃を受けると警戒していたのに、それがない
いぶかしみながら入っていくと、道場には刀が四本、床に突き刺さっていた
何かの罠かと、警戒していると

先生 「ふむ・・・・遅かったね・・・・?」
手下達 「・・・・・!!!!!」

先生が、真正面、神棚の下に正座していた
お茶を飲むその姿は、まるで道場の生徒を迎えるように穏やかだった

先生 「しかし・・・道場に土足とは・・・・・・いただけないな・・・・」
手下1 「・・・なんのつもりかしらねぇが・・・」

ヒュ・・・・

風切り音がしたと思ったとき、先生は既に道場の半ばまで動いていた。手には刀を一振りもち

ドシャ・・・・と、先生の背後で何かが崩れる音がする
それは、手下1に腕が落ちる音だった

手下1 「な・・・・・・・・!!!!?????」
先生 「氏にたくなければ、とっとと帰ることをすすめようか・・・・?」

903: 2005/11/20(日) 20:45:34 ID:m6f8VM080
竹林を進行していた部隊は、恐怖していた
月明かりも鈍くなる場所を黙々と歩いていると
突然、竹の間から何かが隊列の中央に飛び込んだ

薙刀使い 「・・・・・なにっ!?」
('・ω・`) 「遅いよ・・・・?」

ペキっ、と枯れ木の折れるような音が、ショボンの踏みつけた足からした

薙刀使い 「ぐぁっ!?」

痛みに身をかがめようとする動きは、密着するようにかがんだ、ショボンの左手に邪魔され

ヒュカっ!!

薙刀使い 「え・・・・・・・?」

立ち上がるときに振るわれた、ショボンの右の、鉈のように太い刀が
両耳と頭頂部を結ぶ線を走り、薙刀使いの顔面をスライスした
残った頭からふる血の雨が、ショボンを濡らす・・・・・・

('・ω・`) 「逃げた方が、いいと思うよ・・・・・?」
     「ぼくは・・・・ブーンのように、優しくはない・・・・・」

914: 2005/11/20(日) 20:56:02 ID:m6f8VM080
踊り出たブーンは、走り出た勢いそのままに、刀を振る
吹き飛ばした槍使いの横、棒手裏剣を両手に構えた男めがけて
抜き放ち、上に構えた刀を振り下ろす

(#^ω^) 「ハァっ!」
手裏剣 「うがぁっ!?」

バキっ、と振り下ろされた刀はブーンから見て、右の鎖骨を叩き折った
手裏剣使いには目もくれず、後ろで立ち上がりかけていた槍使いめがけて
刀を横殴りに降る。 ・・・・手裏剣使いから刀を放さずに

(#^ω^) 「おおおおおおらあああああああああああ!!」
手裏剣・槍 「うああああああああああああ!!!???」

ブォンっ!!!・・・・・・・・ゴガァンッ!!

派手な音を立て、二人まとめて門柱に叩きつける。しばらくは立ち上がることもできまい
これで二人、無力化した

(#^ω^) 「・・・次にぶっ飛ばされたいのは、どいつだおっ!?」

915: 2005/11/20(日) 21:04:22 ID:m6f8VM080
先生 「・・・ふむ、まだ本調子とは行かないか・・・・」

肩に担いだ刀を振り、血脂を払う
動く姿も見せずに目の前に現われた剣士、いや、バケモノに手下達は恐怖した
しかし、腕を切られた一人は、恐怖より、怒りを感じたようで・・・

手下1 「てんめええええええええええっっっっ!!!」

腕から血を流しながら、残った腕で刀を振り上げる。 ・・・・・・・・が、

先生 「・・・・命は・・・・大事にするものだ・・・・」

フッ、と、身を沈めるように右斜め前に一歩踏み出し、刀を避ける
そして、立ち上がると同時。右手一本で、身体を回転させるように左から右に刀を振る

ヒュっ・・・・・・・ドタ・・・・・

先生が、歩くような自然さで、そんな動きをした後、手下1の首が落ちた
手下の顔は、氏の間際で、驚いていた

先生 「ま・・・・私が言えた義理じゃあ・・・・ないのかな・・・・?」

919: 2005/11/20(日) 21:18:30 ID:m6f8VM080
いきなりの不意打ちで、一人惨殺され、部隊はショボンを挟むように二手に距離をとる
血に濡れたショボンは、左の小太刀を引き抜き、二刀流になる

・・・もともと、ショボンの家に伝わるラウンジ流は二刀流の技であった
二刀流。話では聞いた事があっても、実際に使われることはほとんど無い
何故かといえば、片手では肉は斬れても骨は斬れないからだ
西洋刀とは違い、切れ味に主眼を置いた日本刀にそれは致命的だ
ゆえに、片手で刀は扱うようにはできていない
しかし、もし、肉を斬ることのみを極めた流派があったら・・・・・?

それがラウンジ流であった
人を頃すのに、骨を切る必要は無く、肉だけ切れればよい
そして殺されないためには、肉を斬られねばよい
その理念に基づき、ラウンジ流は、攻防一体の二刀流として完成していった

('・ω・`) 「名乗るのが遅れたね・・・・?」
     「二刀流でわかるとおり、ラウンジ流の、ショボンだ」
     「この意味が分かるなら、かかって来なさい・・・・!!」

921: 2005/11/20(日) 21:30:04 ID:m6f8VM080
ニュー速流とは、これほどまでの物なのか・・・・?
門柱に叩きつけられた二人を見て、他の全員が警戒を強める
ブーンを囲むように距離をとり、誰か一人が狙われるのを避ける
それを見て、ブーンは舌打ちをする

(;^ω^) (まずいお・・・・・これは・・・・・・・・)

今の状況はまずい・・・動いたほうがやられるという状況だ・・・・・
じりじりと距離を詰められるプレッシャーに負けて、一人を斬りに行けば
その隙を周りの奴らが狙い、斬り込んでくるだろう
逆にこっちに斬りかかってくれば、同時にかかれる人数などは、たかが知れている
一人一人を一撃で倒す自信のあるブーンに、勝ち目は十分だ
しかし、始めの二人を脅しの意味も込めて手ひどく倒したせいもあり
他の奴らは警戒してかかってこない・・・・・

結果、状況は膠着する

(;^ω^) 「くそ・・・・他のみんなは無事なのかお・・・・?」 

924: 2005/11/20(日) 21:41:00 ID:m6f8VM080
一人を斬り頃した時点で、先生は刀を見やる
血脂で汚れ、ところどころ刃こぼれしていた
もともとが、振りの速さのために刀身を薄く作った消耗品だ
特に未練もなく、後ろに投げ捨て、突き刺しておいた一本を手に取る

先生 「・・・・さて、そろそろ逃げるかかかってくるか、選んでくれな・・・」
槍使い 「・・シィッ!」

槍使いの放つ突きは、先生の額を正確に狙っていた
しかし、その正確さゆえ、予期した先生は軽く身体を揺らしてかわし、手で握り

槍使い 「なにぃ・・・・・!!」
先生 「・・・・・・・・! フンっ!!」

グイっと槍を引き寄せた。槍使いは、離せばいいものを、逆に態勢を崩そうと力をいれ、
先生の方に、身体ごと引っ張られた
槍から手を離した先生は、刀をそのまま上段に構え、振り下ろす

先生 「フッ!」
槍使い 「・・・・・・・・? ・・・・! うわああああああああああ!!??」

何も音を立てずに、刀は槍使いの胴体と道場の床までを切り裂いていた
槍使いは、痛みも感じずに、出血多量で絶命した

928: 2005/11/20(日) 21:51:32 ID:m6f8VM080
遠くは小さく、近くは大きく    ラウンジ流・奥義

敵が遠い今、ショボンは両脇を締め、右手を上段に、左を下段に構え
二手に分かれた双方が見えるよう、両方に横を向けた態勢をとる
惨殺された薙刀使いの身体の上に、右足を乗せ、油断無く神経を張り巡らせるショボン
と、右側から、若い侍風の男が飛び出してきた

侍 「その足をどけろおおおおおおおおおおおお!!!!」

930: 2005/11/20(日) 21:53:41 ID:m6f8VM080
腰溜めにすえた刀は、体重とスピードをのせて、ショボンの右わき腹へと突っ込む
ショボンは、上段に構えた刀を、身体ごと右に振り、そして腕の振りで下ろす
その動きがあわさり、侍風の刀は、右下に弾き落とす

侍 「くっそ、まだだ・・・・!」

構え直そうとするがそれより早く、
ショボンの身体の回転は止まらず、左側が男の方を向く
それと同時縮めた状態から伸ばされた左手が、鞭のようにしなる動きでその喉を掻ききる

('・ω・`) 「・・・・・はっ!」
侍 「・・・・!? くそ・・・・!!!」

惰性でそのまま突き動く体が倒れるのを見ながら構えを取り直し

('・ω・`) 「声を出しながら奇襲をするばかがいるかい・・・・・?」

932: 2005/11/20(日) 22:00:57 ID:m6f8VM080
毒男は、丘の上から、そんな三人のうち、二人の様子を見ていた

('A`) 「くくくw・・・ブーンの奴は、詰めがあめぇなぁ・・・?」
    「もうひとりは・・・・? だれだありゃ? あれがショボンか?」
    「ニュー速流は二刀流もありやがんのかよ・・・・」

二刀流・・・・その単語に、自分の師を思い出し、思わず腕の力がこもる

バギィツ!! ベギィッ!!!

('A`) 「あ・・・・・ちっ、あーあ、やっちまったか・・・・」

手の中で砕けたのは、望遠鏡と、すべてが鉄でできていた槍だった
砕けて役を果たさなくなった望遠鏡を捨て、半ばから折れた槍をたたんで担ぎ

('A`) 「さーて、俺もそろそろ出向きますかね・・・・」

目的地は決まっている。ニュー速流姿の見えなかった道場だ

935: 2005/11/20(日) 22:12:47 ID:m6f8VM080
膠着状態にあったブーンは、その状況を動かすために、動いた
右手を刀から離し、そのまま左手の甲を撫でるように動かし
右の方向、長物使いが固まったあたりに振った

ビュン!! シュカっ!

( ^ω^) 「はっ!!」
薙刀使い 「・・・・! くう・・・!?」

音の出所を見ると、薙刀使いの右肩に、一本の棒手裏剣が突き刺さっていた

手裏剣と聞くと忍者、と連想しがちだが、武士が使うこともよくある
手裏剣術は、れっきとした武芸十八般の中の一つだからだ
手裏剣はまだマシな方で、武芸十八般の中には
他にも馬術、忍術なども含まれ、果ては鎖鎌術などと言う物すらあるのだ

手裏剣がささり、一瞬、周囲の意識はそこに向かう
その隙をブーンは見逃さない

943: 2005/11/20(日) 22:18:52 ID:m6f8VM080
( ^ω^) 「いゃぁああああっ!!!」

グォン!!バギィ!!

薙刀 「ぐぁっ!?」

薙刀が届かないような距離を、ブーンは一歩で縮め、下から切り上げる動きで
薙刀持ちの左脇腹を薙いだ
そして返す刀で右隣の槍持ちめがけて、首を薙ぐ

( ^ω^) 「セィアっ!!」

ヒュ!! ガッバギィ!! ドゴォ!!

槍 「ごぶぅ!!」
 
槍持ちは素早く反応し、槍を構えて防御したが、ブーンは槍を砕いてそのまま首に打ち込んだ
薙刀持ちの肋骨を砕いた一撃だ。槍が無ければ、首が折れていたかもしれない
ブーンはそれ以上攻撃せずに、また一歩で最初の位置に戻る

これで四人だ・・・・・

946: 2005/11/20(日) 22:27:08 ID:m6f8VM080
ツンは、表の騒ぎを、一人母屋で聞いていた

ツン 「はじまったみたいね・・・・・」

呟き、祈る。ブーンと、他のみんなの無事を
と、ツンが目を閉じた瞬間だった

手下 「おおっとぉ!? ココがおおあたりじゃねえかぁ!!」
ツン 「・・・!?」

バダン!!と裏口の戸が蹴破られ、戸の向こうから下卑た笑いを浮かべる男が顔を出した
男の後ろには、まだ十人ほどの影が見える
ツンは内心で冷や汗をかいた

ツン (一人二人ならともかく、・・・・・・の人数はまずいっ!)

947: 2005/11/20(日) 22:27:45 ID:m6f8VM080
ツンは、表の騒ぎを、一人母屋で聞いていた

ツン 「はじまったみたいね・・・・・」

呟き、祈る。ブーンと、他のみんなの無事を
と、ツンが目を閉じた瞬間だった

手下 「おおっとぉ!? ココがおおあたりじゃねえかぁ!!」
ツン 「・・・!?」

バダン!!と裏口の戸が蹴破られ、戸の向こうから下卑た笑いを浮かべる男が顔を出した
男の後ろには、まだ十人ほどの影が見える
ツンは内心で冷や汗をかいた

ツン (一人二人ならともかく、・・・・・・この人数はまずいっ!)

950: 2005/11/20(日) 22:35:03 ID:m6f8VM080
下卑た顔の男はツンを値踏みするような視線で眺め

手下 「ふ~む・・・・こいつぁ上玉だw 人質以外にも楽しめそうだなww」

後ろの方では、げひゃげひゃと、ほかの奴らの笑い声が聞こえる
ツンは、顔をしかめ、吐き捨てるように呟く

ツン 「フンっ・・・・・本当にクズな小物ね・・・・・?」
手下 「あ・・・? ・・・・・てめぇ、今何て言った・・・・?」
ツン 「あら? クズで小物で顔も悪いのに、耳も悪いの? ・・・・重傷ね」
手下 「・・・・・・!!! てめぇ・・・・・・!!!!」

いきり立ち、踊りかかる手下に、ツンは踏み込みと共に一撃
正拳突きをぶち込んだ

ツン 「はぁっ!!」
手下 「ぐぁっ!?」

953: 2005/11/20(日) 22:41:17 ID:m6f8VM080
みぞおちに突きこまれた突きに、よろめく手下
それを見下しながらツンは言う

ツン 「恥も知らない男が・・・・武家の敷居をまたいだことを・・・」
   「・・・・・・・後悔しなさいっ!」
手下 「くっそ・・・・・わかったよ・・・もう手加減はしねぇ!!!」

ズバ、っと男が抜き放つ物を、ツンはバックステップで後ろに跳んで避ける
手下が抜いたのは、ドスだった
部屋の隅、玄関へのふすまの辺りまで飛び退いたツンは尋ねる

ツン 「へぇ・・・? そんなので・・・・アタシをどうするつもり・・・?」
手下 「ぶっころす!!」

手下の後ろには、既に他の奴らも入ってきている
ツンはそれ見て、じゃあ、といい・・・

ツン 「アタシはこれでお相手するわっ!!!」
手下 「・・・・・・・・!!!」

ふすまの向こうから、薙刀を取り出した

961: 2005/11/20(日) 22:49:59 ID:m6f8VM080
冷静に見て、薙刀とドス。どちらが凶悪か
その答えを実際に見せられた手下は、言葉を失くした

手下 (まて! そんなのありか!!)
ツン 「さて・・・威勢のいい言葉は、もう聞けないのかしら?」
手下 「ふ、ふん! お、おじょうちゃん? 使えもしないものを・・・」
ツン 「使えるわよ?」

精一杯だったであろう強気を口にした手下の右手、ドスを握る方の腕に
刃ではなく、小尻の方を下から振り上げ、強打する

手下 「がっ!?」
ツン 「ね? 切り落とさなかっただけ感謝しなさい?」

取り落としたドスを足で踏みながら、ツンは構えた

964: 2005/11/20(日) 22:59:22 ID:m6f8VM080
ツンは、入り口の向こう側に立ち、いつでも振り下ろせるように構える
こうすることによって、敵は一人づつしかかかって来れない
しかし、かかってきてもこちらの得物は薙刀だ
まずリーチが違う。どちらが早く届くかは、誰の目から見ても明らかだ
そして、なにより、敵の計算外だったのは・・・・
ツンがしっかりと、ニュー速流師範代をつとめる腕前だと言うことだった

侍 「チェアっ!!!」
ツン 「身体が引けてるわよっ!! てい!」

横面に振り下ろされた刀を、刃でで叩き落し、腕をクロスさせた状態で喉を突く

侍 「げぶっ!?」
ツン 「よいしょっと!」

喉を突かれ、上体がそれたところで、小尻で小手を打つ
刀を落とし、ふらつく侍風の肩を掴み抱き寄せる
そして、侍風の脇差を抜き、

ツン 「さあ・・・? コイツの命が惜しかったら、武器をすてなさい?」

・・・・・・ツン・・・おまえ、本当にヒロインか・・・・・・・?

965: 2005/11/20(日) 23:08:14 ID:m6f8VM080
先生 「やれやれ・・・・君達は、かかってこないのかね・・・・?」

目の前で二人、首を跳ねられ、胴を真っ二つにされる様をみて、
即座にかかれるものなどいるのだろうか?
全員、手にした得物を盾にするように、じりじりと、間合いを空けていく

先生 「逃げたければ・・・・・逃げなさい・・・・・・私は追わない・・・」

しかし、逃げるものもいない。
かかるものも、逃げるものもいないまま、悪戯に時間が流れる
動きが無いのに、退屈したかのように、先生は宣言する

先生 「なら仕方ない・・・・・・今から・・・・」
    「私の腕試しとして・・・・・・・・・・君らを皆頃しにする・・・・!」
手下達 「・・・・・・!!!!」

世にも恐ろしい笑顔を浮かべた先生によって、手下達は二つに分裂した

969: 2005/11/20(日) 23:14:11 ID:m6f8VM080
逃げるものと、かかるもの
その比率は、五分と五分であった
七人が切りかかり、七人は逃走した

先生 (ま・・・こんなところだろう・・・・いや、意外に多いと言うべきか・・・・?)

全員が逃げ出すことを期待していた先生の予想より、毒男の人望は厚いようだ
かかってくるのは、槍が一人に薙刀一人、後はみな刀
一番最初に到達したのは薙刀の一撃だった

薙刀 「へぁあああああ!!!」
先生 「ふっ!!・・・と」

横に、大きく胴をなぎ払う動きの薙刀を、ジャンプしてかわし、
薙刀持ちのスピード利用して、刀を喉に差し込む

薙刀 「かふっ!?」

刀はそのまま手放し、力の抜け始めた手から、薙刀を奪い取る

972: 2005/11/20(日) 23:19:28 ID:m6f8VM080
空中で薙刀を握ったとき、今度は槍が先生の喉を狙う

槍 「てぃやあっ!!」

空中だから動けないと思ったのだろう、動きに迷いが無い
だが、先生は、薙刀の刃で道場の床を切り裂く動きで強引に後ろに避ける
そしてそのまま着地の勢いを利用して、薙刀を引き抜き、頭上に構え、

先生 「せやっ!」
 
ブォン!!っと薙刀を身体の前で一回転。最後に刃が上を向くように止めると
スルっと、槍の穂先が落ちた

槍 「・・・・くっ・・・まだだぁ!!!!」

しかしそれでも槍使いは諦めない
ただの棒としてそれを、先生のこめかみめがけて叩き込む

973: 2005/11/20(日) 23:25:07 ID:m6f8VM080
重心が上にある状態の先生に、それはかわしにくい一撃だった
だから、先生は、それをそのまま受けた

ガッ!!

槍 「やったか!?」
先生 「・・・・・ふむ・・・・十分に痛かった」
槍 「何ィ!?」

先生が槍にぶつけたのは、額。頭の中では比較的安全とされる部位に当てたのだ
先生が、槍使いに攻撃をしかける前に、今度は刀が真っ向から二つ、振り下ろされる

侍×2 「でえやあああああ!!!」
先生 「!!・・・はぁっ!!」

打ち下ろされる二つの刃を、振り上げていた薙刀を回し、しゃがみこむ動きで
一気に二つまとめて横に払った

974: 2005/11/20(日) 23:31:37 ID:m6f8VM080
しゃがみこむのを見切っていたのか、べつの刀が先生を狙う
両手を使った諸手突きだ

侍3 「氏ねぇ!!」
先生 「・・・・それは聞けない頼みだ」

へそのあたりを狙った突きは、先生が跳んで避けると見越したものだろう
確かに、生半な跳躍では、これはかわしきれない。足を貫かれるだろう
だから

タ・・・・グォン!!

先生はその場で膝を一気に伸ばし、伸身の宙返りをした

侍3 「な・・・・バケモノか!?」
先生 「酷い・・・・・言われようだな・・・・・・・」

976: 2005/11/20(日) 23:39:22 ID:m6f8VM080
着地すると同時に、先生は腰の刀を二つ引き抜く
そして先ほど刀を落とされ、態勢を崩した二人めがけて右と左を投擲した

侍×2 「ぎゃああああ!!!!」

悲鳴の方向など見ようともせず、先生は後ろに回ろうとする侍二人を出し抜き
自らも後ろに下がり、背後を取らせない。と

槍 「俺をわすれるなあああああああああ!!!」
先生 「・・・・・!?」

ドズンっ!! と鈍い音を立て、意識を二人に向けたために気がつけなかった
槍使いの、斜めに切り裂かれ、鋭利になった切り口が先生の着流しに突きこまれた

先生 「うぐぅ・・・・・・!!!!」

槍の切り口からは、血が伝っていた・・・・・

( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の七】

引用: ブーンが侍になったようです2