294: 2005/11/22(火) 00:06:33 ID:wBmJVrO30


( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の壱】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の二】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の三】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の四】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の五】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の六】
( ^ω^)ブーンが侍になったようです【其の七】

( ^ω^)ブーンが侍になったようです【最終話】


('・ω・`) 「先生・・・・!!」
先生 「・・・・・! ショボンか・・・・!」

道場の戸を開け、入って来たのは血まみれのショボンだった
一瞬、それほどの傷を受けたのかと、思ったが、ショボンの動きに異常はない
そのことを確認し、先生は安堵する

('A`) 「ちっ・・・あいつら全員やられちまったのかよ? ・・・ま、いっか」
    「ショボンっつーことは・・・・お前が、ニュー速流の後継者か?」
    「なーんか、どっかで見た面なんだよな・・・・?」
先生 「わからないのか・・・・? コイツは・・・シャキンの息子、ショボンだぞ・・・?」
('A`) 「・・・・!! そうか・・・通りで・・・」
('・ω・`) 「お前が・・・毒男か・・・・!!」

目の前に座った男が毒男だと知ると、ショボンは斬りかかろうとする
しかし、前に回った先生に止められた

先生 「落ち着け・・・・・・!」
('・ω・`) 「く・・・止めないで下さい・・・・!!」
('A`) 「あー・・・シャキンの息子。こっちにつくんなら、見逃すぞ?」
295: 2005/11/22(火) 00:06:50 ID:wBmJVrO30
('A`) 「つか、なんでお前がそっちにいるのかって方が疑問なんだがな・・・・」

立ち上がり、渋い顔で毒男が言う

('A`) 「お前さんは、しらねぇんだろうけどよ、そこのそいつぁ・・・」
('・ω・`) 「父上の仇・・・だと・・・・?」
('A`) 「・・・なんだよ? 知ってんじゃねぇか。それなら話は早いわな」
('・ω・`) 「断る!!」
     「父上は、誇りを持って果し合い、そして氏んだんだ!」
     「・・・・・お前の、父上の顔に泥を塗るような真似は、ぼくが許さない!」

ショボンは毅然と毒男に言い放つ。しかし、毒男はそれを聞いて笑った

('・ω・`) 「・・・・何がおかしい・・・・!?」
('A`) 「正々堂々ってか・・・・? なら、お前に聞こうか・・・?」
    「息子のお前なら知っているだろ? 右手を斬られ、それから腹を突かれて」
    「シャキンは氏んだ・・・そうだな?」

ショボンの答えを待たずに、毒男は続ける

('A`) 「右手を斬った時点で、勝負はついてんだろ?」
    「なんでおっさんはそこにとどめをさしてんだよ・・・!!」

296: 2005/11/22(火) 00:07:07 ID:wBmJVrO30
毒男は、憤怒の表情で、感情を隠さずにショボンにぶつける

('A`) 「確かに! シャキンは二刀流の使い手だぁな・・・・?」
    「左手だけでも、そこいらのショボイやつらにゃ遅れはとらねぇ・・・」
    「でも・・・・・だ。息子の、お前さんならわかってんだろ・・・・?」

一息

('A`) 「このおっさん相手に、片手でまだ勝てると思うほど・・・・!」
    「お前の親父は、俺の師匠はっ・・・・!!」
    「・・・自惚れていたかっ!? 悪あがきで無様を晒すような男かっ!?」
    「・・・・・・答えろよ・・・・・!」
先生 「・・・・・・・・・・・・・・・・」

毒男の激しい言葉に、先生は、何も言わない
それは、無言をもって、毒男の言うことを認めていると言うことではないのか
ショボンに対して、嘘は言えても、毒男には通じない。だから観念した
そう、取れる態度ではないのか・・・・・?

298: 2005/11/22(火) 00:08:04 ID:wBmJVrO30
毒男の、激しい揺さぶりに、しかしショボンは眉一つ動かさない

('A`) 「おい・・・・? なんとか言えよ・・・・?」
    「俺は・・・お前を潰したかぁねぇんだぜ・・・?」
    「共に・・・・・・・仇を討とうじゃねぇか・・・・」

先生も、毒男も、ショボンの言葉を待つ
おそらく、両者が待っていたのは、同じ言葉だったろう・・・・

('・ω・`) 「ああ・・・なんだ・・・言いたいことはそれだけか・・・・」
('A`)・先生 「・・・!?」

しかし、ショボンの言葉は予想をハズレ、続く言葉に二人は目を見開く



('・ω・`) 「だって・・・先生は・・・・・父上を刺してなんかいないっていうのに・・・・」

305: 2005/11/22(火) 00:17:17 ID:wBmJVrO30
ショボンの言葉を、真っ先に否定したのは、先生だった

先生 「ショボン!? 私は・・・いや、毒男の言うとおりだぞ・・・・?」
    「私は・・・・反撃を恐れ・・・・・それで・・・・・!!」
('・ω・`) 「先生・・・もう憎まれ役を演じる必要はないんですよ・・・・」
先生 「・・・・・・・・・・・・・・・」

ショボンの、何もかも知って、そしてその上で許そうとする顔に
先生はもう何も言えなかった

('A`) 「・・・・・・どういうことだ・・・・・・・説明してみな・・・・・・・」
('・ω・`) 「アナタも、わかっているんでしょ・・・・?」

('・ω・`) 「父上は、自ら自分の腹を切ったってことを・・・・・・」

316: 2005/11/22(火) 00:26:18 ID:wBmJVrO30
('・ω・`) 「先生・・・・あの時・・・父上を刺した時の事を聞いたじゃないですか・・・」
先生 「あ・・・・・・あの時か・・・・?」

先生が、ショボンに、父を頃したのは自分だと打ち明けた直後の質問を思い出す

『先生は・・・父を、どのようにして、とどめを指したのですか?』

ショボンは、確かに、そう聞き、先生はこう答えた

『右手首を斬り飛ばした直後、左の小太刀が来る前に突き刺した』

先生 「なぜ・・・それだけで・・・・・・?」
('・ω・`) 「父上の背中は・・・・・汚れていなかったんですよ」
     「先生が、どんなに浅く刺そうとしても、父上は斬りかかって来るんですよ?」
     「・・・・どうやったって、勢いのまま、刀は背中に出るじゃないですか・・・?」

ショボンは、悲しげにうつむき

('・ω・`) 「先生の嘘には・・・・その時点で気づいていましたよ・・・・・」

328: 2005/11/22(火) 00:37:04 ID:wBmJVrO30
('A`) 「ちッ・・・・・・そんなこたぁこっちも知ってんだよ・・・・」

毒男は、懐に手を入れ、つばを吐き捨てる

('・ω・`) 「だったら・・・・なぜ、復讐なんか・・・・・」
('A`) 「それでも・・・・シャキンが氏んだのは、おっさんの所為に変わりはねぇ・・・・」
    「俺はな? ショボン。おっさんの弟子のブーンと、おっさんと娘」
    「それだけ殺せれば、それでいいんだぜ・・・・・?」
    「お前を頃す気なんか、さらさらねぇんだ」

一息、そして視線に力を込め

('A`) 「これが、最後だ。・・・・・こっちに来い。おっさんの息子を頃したくはねぇ・・・!」
('・ω・`) 「ブーンを頃すというあなたを、ゆるす訳にはいかない・・・!!」
 
ショボンは、折れた刀を引き抜き、構える

('・ω・`) 「そして、ラウンジ流の名にかけて、アナタを倒す・・・・・!!」

334: 2005/11/22(火) 00:45:52 ID:wBmJVrO30
ショボンが、ラウンジ流、と口にしたとき、毒男の表情が変わる

('A`) 「ラウンジ流・・・・だと・・・・・・? 笑わせんな・・・・・!」
    「あんな、小手先の技で、お前はラウンジを名乗るのか・・・・!!」

毒男が刀を抜く。小太刀などではなく、両手に大刀を構え、吼える

('A`) 「俺が・・・シャキンから受け継いだ、ラウンジ流・・・・!」
    「本家本元の技で、てめぇは叩き潰す・・・・・!!!」

気迫を込め、道場の空気を一変させる毒男。それを感じ、顔をゆがめた先生は
ショボンに、持っていた刀と、差していた脇差を手渡す

先生 「ショボン・・・・これを使え・・・・・」
('・ω・`) 「・・・・先生・・・・」
先生 「折れた刀よりはマシだろう・・・・私では、あいつに勝てない・・・!」

ショボンは頷き、受け取る

('・ω・`) 「来い・・・・! お前を止めて見せる・・・・・・!!!」

338: 2005/11/22(火) 00:52:32 ID:wBmJVrO30
ショボンと毒男、構えはお互い、まったく同じ
左手に持った刀、または脇差を前に倒し、相手の喉元に突きつけ
右手に持った刀は頭の上、後ろに寝かせるように構える

('A`) 「安心しろや・・・・頃しはしねぇ・・・!」
('・ω・`) 「手加減が・・・・できる相手と思うなよ・・・・・!!」
('A`) 「ぬかせっ! テェヤアアアア!!!!!」

ダンっ!! と、毒男が床を踏み抜かん勢いで蹴りだし
左の刀をそのままショボンの喉へと差し込む

('・ω・`) 「甘いっ!!」

ショボンはそれを同じく、左の脇差で左に落とす。毒男の身体は右に閉じ
逆にショボンの身体は左に開く
開く勢いで、ショボンは右の刀を打ち下ろす

('・ω・`) 「ジェエエエエエアアアアアアッッッッッッッ!!!!!」

340: 2005/11/22(火) 01:01:51 ID:wBmJVrO30
ショボンの全力の打ち込みを、毒男は頭と、右の刀を左に寝かせ、
首と肩でもって支えきる

('A`) 「・・・・!! 打ち込みが、全然なっちゃいねぇ!!」
('・ω・`) 「ぐっ・・・・・!!」

毒男は両腕を目の前で交差し、開く動きで左右からショボンの首を挟むように薙ぐ
ショボンは、両腕広げた姿勢のまま、身体を後ろに逸らし、これを回避
そしてそのまま背後に手をつき、バック転で距離をとる

('A`) 「逃げたつもりかぁぁぁぁああああああッッ!!!」

稼いだ距離を毒男は一歩で跳び、肘を曲げ、前に向けた両の刀を
着地と同時にショボンの両肩めがけ突き入れる
ショボンは、床についた両手を刀ごと振り上げ、突きを吹き飛ばす
しかし、毒男はそれで止まらない

('A`) 「ショラアアアアっっっっっっっっ!!!!!」
('・ω・`) 「グッハぁっっっつ!?」

跳ね上げられ、上半身が上に伸びる勢いを利用して、つま先蹴りを叩き込む

342: 2005/11/22(火) 01:10:42 ID:wBmJVrO30
ショボンは蹴りに耐えようとはせず、自分から跳ぶことで勢いを頃す
毒男もまた、深追いはせず、自ら後ろに跳び、お互いの距離を離す
息が粗くなるショボンに対して、まったく息を乱していない毒男
だらり、と刀を下に向けていた毒男が、ショボンに言葉をぶつけた

('A`) 「やっぱてめぇは上辺だけだ・・・・!!」
    「いいだろう・・・・これからラウンジの奥義、見せてやらぁ!!」
('・ω・`) 「・・・・・・・!! ・・・・・・?」

宣言した毒男に、身構えたショボン。だが、毒男は何も動いてはいなかった
垂らした刀も、落とした腰の高さも変わらない
ショボンは、宣言を動揺を誘うためのブラフ、ハッタリだと判断

('・ω・`) 「ィィイイヤァァァアアアアアッッッッ!!!!」

毒男の一手目と同じ、左の突きを、飛び込み、放つ

346: 2005/11/22(火) 01:17:01 ID:wBmJVrO30
ショボンが飛び込み、毒男に届くまでの間に、それぞれに対応して毒男は動く

ショボンが踏み込むのと同時、右足を半歩、右斜め前に踏み出し

ショボンが左の刀を一度引いた時、両腕を脇を締めたまま広げ

ショボンが着地するのを確認して、右腕を伸ばし

ショボンが突きを放ったところで、伸ばした腕を鞭のようにしならせ、突きを落とす

('・ω・`) 「・・・・・!!?」

ただ、落とされただけなのに、ショボンの左腕には、金槌で叩かれたような衝撃が走った
刀を取り落とさないよう、左手に力を込めようとしたとき

351: 2005/11/22(火) 01:24:32 ID:wBmJVrO30
('A`) 「手元がお留守だぁぁああああっっっっっっ!!!!」

払うときに、ねじった身体を戻す力でもって
今度は縮めていた左腕を鞭のようにしならせ、右上へと振り上げる
左の刀の軌道には、ショボンの脇差

('・ω・`) 「・・・なっ・・・・!?」

ガギャアァンっ!! と耳障りな音を立て、ショボンの脇差が弾き飛ばされる
ショボンの手には、異様なまでの衝撃の名残、振るえだけが残った

('A`) 「右の横方向からの力に耐えようとすりゃ・・・・」
    「左の下方向からの力に耐えられるわけがねぇ・・・・・・・!!!」
('・ω・`) 「く・・・・・・・・・!」

ショボンは震える左手を無視、残った右の刀を毒男の頭に振り下ろす

359: 2005/11/22(火) 01:32:21 ID:wBmJVrO30
('・ω・`) 「エェェヤァァァァァアアアアッッッッッ!!!!」
('A`) 「無駄だっ!!」

振った両腕を半分だけ戻し、自分の頭を腕で挟み込むようにしてしゃがむ毒男
刀が頭に届く前に、左腕を左に、右腕を右に、伸ばしながら回して
刀を頭上で交差させるように組み、立ち上がる勢いと共に
両の刀を下に向けて振り下ろす
刀の間のショボンの刀などは、まるで気にせずに

('・ω・`) 「え・・・・・・!?」
('A`) 「ハァッ!!」

キィィィンっっ!!

澄んだ音を立て、ショボンの刀は中央から両断されていた

('A`) 「これが本当の、ラウンジ流・大鍬型だ・・・・!!」

362: 2005/11/22(火) 01:40:59 ID:wBmJVrO30
得物を、すべて持っていかれたショボンは放心、否、混乱した

('・ω・`) (なんだ? なんだ? いったい何が起きたんだ?)

わかるのは、絶対的な自分の不利だ
目の前にいる、自分より背の小さい男は、混乱する自分に目もくれず
身体を大きく左に捻る

('・ω・`) (あ・・・・よけなくちゃ・・・・・!!)

慌てる頭でも、身体は動いてくれる。一歩で刀の届かない距離まで逃げた
毒男はそんなことは気にせず、捻った身体を、右の踏み込みと同時に戻し

('A`) 「カァッ!!」
('・ω・`) 「え・・・・・・・・うそ・・・・?」

ゾン!! と、左の刀が、ショボンの胸板を逆袈裟に切り裂いた

366: 2005/11/22(火) 01:47:36 ID:wBmJVrO30
ショボンが、斬撃の勢いで身体をよろめかす内に、今度は右の刀が

('A`) 「エァッ!!」
('・ω・`) 「あああああああああああああああ!!!!!!!!!」

ズパァっっ!! と、ショボンの胸を袈裟に切り裂く

胸を十字に切り裂かれ、力を失ったショボンの足は、膝から崩れ落ちる

('A`) 「そしてこれが、本家ラウンジ流・竜巻だ・・・」

後ろを向き、振り向かずに毒男は、刀を振って血を払い、納刀する

先生 「・・・ショボン!! おい! ショボン!?」
('・ω・`) 「あ・・・あ・・・・あ・・・あああああああ・・・・・」

がくがくと震えるショボンに、先生が駆け寄る
すぐさま上着を脱ぎ、傷口をふさぎにかかった

370: 2005/11/22(火) 02:01:57 ID:wBmJVrO30
血を流し、震えるショボンに向かって、毒男はつまらなそうに

('A`) 「安心しろや、肉しか切っちゃいねぇよ」
    「血管も避けたつもりだぁぜ?」

確かに、流れる血の勢いは弱い。血色も薄暗い静脈血の色合いだ
太い動脈は傷ついていないとわかる

('・ω・`) 「な・・な・・んで・・・・?」
('A`) 「なんで、刀が届いたか、か? ・・・・それでもラウンジかよ・・・・」

毒男は、大きく両腕を広げ、身体全体を使ってそれを振り回す

('A`) 「これが、ラウンジの基本にして奥義の技法、『鞭』だ」
    「重さの無い片手での一撃に、スピードを与え」
    「小柄な者でも一撃必殺を可能とする技だ」

毒男は、そこで言葉を切り、吐き捨てるように続ける

('A`) 「てめえの見様見真似とはわけがちがうんだよ」

372: 2005/11/22(火) 02:11:16 ID:wBmJVrO30
('A`) (同じラウンジでも、こんなもんなのか?)

毒男は内心、大きく落胆していた
確かに、毒男の目的は復讐だ。シャキンの仇を討つために
先生に最大限の絶望を与えてから頃すのが目的だ
だがしかし、それでもどこかで期待していた
自分の人生で、再度大きな壁となり、立ちはだかる男を

('A`) (・・・・ハッ、何を考えてんだか・・・・)

手ごたえの無さに、不機嫌になっている自分に気づき、そのことを打ち消す
今は、復讐の時間だ、それ以外のことに、意識を割くべきではない
しかし、毒男は、ちらりとショボンの方を向く

('・ω・`) 「は、は、は、・・・・・・・・・・!!」

息を粗くするショボンは、毒男の射抜くような視線を浴びた瞬間
ビクっ、と身体を強張らせ、震え始めた

('A`) (あいつは・・・・もう俺の前に立ちはだかれねぇな・・・・)

377: 2005/11/22(火) 02:25:46 ID:wBmJVrO30
先生は、ショボンの傷に自分のさらしを切り裂き巻きつけ止血を終えた
震えるショボンは、おそらく初めて出遭ったであろう
まったく歯の立たない強敵に、恐怖していた
ショボンは、もう二度と、剣をにぎれないかもしれない。そう、思った

先生 「・・・・・・・・・・・・・・」

先生は、立ち上がり、神棚へと向かう

('A`) 「どうした・・・? ブーンが俺に勝てるよう、神頼みか?」
先生 「いや・・・・・そんなんじゃないさ・・・・・」

先生は、神棚に拍手を打ち、手を突っ込む
そして、二振りの刀を取り出した。一つは肉厚の、刃のないナマクラ
もう一つは、薄く鍛え上げられた直刃のニュー速流の白柄の刀
そのうち、白柄の方を引き抜き、毒男に構える

('A`) 「・・・・・・・勝負は見えてる、そうは言わなかったか・・・・?」
先生 「ああ・・・・だがな・・・・」

チャキ、と静かにそれを構え、言う

先生 「弟子をここまでされて、黙ってはいられんのだよ・・・・・・・!!」

381: 2005/11/22(火) 02:32:10 ID:wBmJVrO30
先生 「意亞ぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!」

裂帛の気合を込め、最上段からの打ち込みが、毒男を襲う
毒男は、するりと音も立てずに移動、先生の横に逃げる

('A`) 「てめえの順番は、まだまだ先だ・・・・!!」
先生 「順番など・・・・・守る意味もない・・・・・・・・!!」

振り下ろされた刀の刀身、その峰に右手を沿え、振り上げる形で
毒男の胸元を切り上げる
バックステップでそれをかわし、毒男は懐に手を入れたまま、向き合う

先生 「ニュー速流頭首として、シャキンの友として、これ以上は許さん!!」

左手を毒男に突き出し、頭の上で峰に右手を当てたまま、先生は構える

('A`) 「・・・! てめえが、シャキンの名前をだすんじゃねぇよ・・・!!」

384: 2005/11/22(火) 02:38:18 ID:wBmJVrO30
シャキンとの果し合いは、いとも簡単に決着した
鞭のような動きで襲いかかるシャキンの刀を避け、懐に入り込み
左の小太刀が襲い掛かる直前

先生 「セアッ!!」
(`・ω・') 「ぐっぁああああああ!!!!」

刀を抜き打ちざまに右手に走らせ、刀ごと切り落とした
流れる血を止めるように手首を握り締めるシャキンに

先生 「・・・・お前を頃したくはない・・・・!!」
    「今なら、腕のいい医者に行けば、腕も治る・・・だから!!」
(`・ω・') 「それは・・・聞けぬ頼みだ・・・・!」
先生 「シャキン!!」
(`・ω・') 「最後の頼みだ・・・・息子と、若を・・・・・頼む!!」
先生 「馬鹿! よせ!!」

そう言って、シャキンは自害した・・・・・

385: 2005/11/22(火) 02:46:25 ID:wBmJVrO30
その日以来、先生は後悔し続けた
なぜ、自分は、シャキンの腕を切り落としたのだろう
ほかにやりようは無かったのか
答えなど、出はしない
もし、お互いに五体満足であったなら、確実にどちらかは氏んだであろう
そのぐらい、シャキンとの実力は吊りあっていた
不意打ち気味に、腕を落とす以外に、道は無かったはずだ
だが、武士の魂を切り捨てられ、シャキンほどのものが生きていけるはずも無い
それも・・・・・わかっていたはずだった・・・・・

シャキンの氏が、自分の要らぬ情けの所為だと、自分を責め続け、氏ぬ事ばかり考えた
毒男に殺されることで、責任を取ろうと思っていた
だが、ショボンの言葉で、それは間違っていたと気づかされた

だから、私は、シャキンとの最後の約束を守る
ショボンと毒男を救うには、今しかない・・・・
今、ここで毒男を倒し、ショボンを救い、
倒すことで、毒男を救わねばならない
この戦いは、負けられないのだ・・・・・・・・!!!

386: 2005/11/22(火) 02:54:02 ID:wBmJVrO30
先生 「ゼャァァアっっ!!」
('A`) 「く・・・・・・・!!」

渾身の力を込めた一撃を、毒男めがけて振り下ろす
毒男はそれを、刀で受けず、身体を引いて避ける

ニュー速流とラウンジ流
その相性は最悪で、最高だ
ラウンジは敵の攻撃を受け流すか、受けるかしてからの反撃重視
そしてニュー速流は、相手の防御ごとぶった切る先制攻撃重視
受け切れれば、ラウンジの勝ち。受け損なえば、ニュー速の勝ちとなる
そして、先生には、今や木剣で大木を切り裂くまでの域に達した剛剣がある
それすなわち、斬鉄をも可能とするものということである
ゆえに、毒男はかわし続けるしかないのだ

390: 2005/11/22(火) 03:02:48 ID:wBmJVrO30
切り下ろした刀を返そうともせずに、上の方向めがけて突く
二刀を抜いた毒男でも、かろうじて右の刀で滑らせるのが可能と言う程度の速さだ

先生 「チェイヤァっ!!」
('A`) 「・・・・・ぐぅっ!!」

すべらせた刀が、こちらを押し切る前に、刀を横に倒し、頭を薙ぎに行く
刀すらも切られるという恐怖が、毒男の刀を防御に回させない
しゃがみこみ、刀を斜めに頭を守るようにして避ける
だが、しゃがみこんだ先に、先生の足が迫っていた

先生 「セィっ!!」
('A`) 「ガウバっ!?」

足の裏が、毒男の顔面を正確に捉えた時・・・・

ブシュっ!!

先生 「な・・・・・・・・?」
('A`) 「へっ・・・・蹴りなんかするからよ・・・・胴ががら空きだぜ・・・!!」

しなる蛇のような動きで、先生の腹を左の刀が撫ぜていた

392: 2005/11/22(火) 03:11:48 ID:wBmJVrO30
立てた右の肘に、左の拳を当てて作ったL字状の構えの毒男
腹を切られ、後ろへと倒れる先生
毒男は立ち上がり、懐から取り出した半紙で刀についた血と自身の鼻血をぬぐう

('A`) 「・・・あのまま、斬り続けられたらやばかったか・・・」
    「達人も、よる年波には、判断力を奪われたってわけか・・・」

腹から流れる血の暖かさを感じながら、先生は思った

先生 (すまぬ・・・・ショボン・・・・シャキン・・・・・)
    (すまぬ・・・・毒男・・・・・お前を・・・救ってやれない・・・・)

今にも意識を失いそうな先生に毒男は近づく

('A`) 「まだ・・・氏んでもらっちゃ困るんだよ・・・・」
先生 「うぐっ・・・・・・!」

そう言って毒男は帯を外し、先生の傷口に乱暴に巻き始めた
圧迫され、とりあえず血は止まるものの、乱暴さにおもわずうめいた

405: 2005/11/22(火) 04:07:24 ID:wBmJVrO30
ツン 「お父様っ!」
(;^ω^) 「先生!!」

母屋からの廊下につながるふすまを開き、ツン、そしてブーンが入ってくる
そこで、ツンとブーンの目に入ったのは、数人分の氏体と
傷を負い、動けぬ先生とショボンであった

('A`) 「・・・・・よう、ブーン? ひさしぶりだぁな?」
( ^ω^) 「毒男!?」
ツン 「お父様っ!! ショボンっ!!」

声をかけられ、初めて毒男に気づいたブーン。そして、倒れる二人に駆け寄るツン

('A`) 「ま、あれだ、ちっとばっかし、遅かったってとこか?」
( ^ω^) 「・・・・・・・お前が、やったのかお・・・・?」
('A`) 「俺以外のだれがやれる?」
ツン 「・・・・・!! ふざけたことを・・・・・・!!」

406: 2005/11/22(火) 04:08:01 ID:wBmJVrO30
先生 「ツン!! やめろっ!!」
(;^ω^) 「え・・・・・・? ツン・・・・・!!!」

先生の声に振り向くと、ツンが毒男めがけて薙刀を振り下ろそうとしていた
だが、

('A`) 「・・・くくくwまずはじょうちゃんから・・・・・!?」
('・ω・`) 「ううううわああああああああああっっっ!!!!!!!」
ツン 「・・・・!? しょ・・・ショボン!?」

毒男が、刀を抜き、ツンを切り捨てようとする寸前
ショボンが突然、立ち上がりツンを抱きとめた

('・ω・`) 「ツンさんを・・・・斬らせるもんかっ・・・・!!」
     「ツンさんが、ブーンには必要なんだ・・・!!」
('A`) 「ああ、そうかよ?」

そう言って、毒男は刀を二人めがけて横薙ぎに振った

408: 2005/11/22(火) 04:08:39 ID:wBmJVrO30
ツン 「お父様っ!」
(;^ω^) 「先生!!」

母屋からの廊下につながるふすまを開き、ツン、そしてブーンが入ってくる
そこで、ツンとブーンの目に入ったのは、数人分の氏体と
傷を負い、動けぬ先生とショボンであった

('A`) 「・・・・・よう、ブーン? ひさしぶりだぁな?」
( ^ω^) 「毒男!?」
ツン 「お父様っ!! ショボンっ!!」

声をかけられ、初めて毒男に気づいたブーン。そして、倒れる二人に駆け寄るツン

('A`) 「ま、あれだ、ちっとばっかし、遅かったってとこか?」
( ^ω^) 「・・・・・・・お前が、やったのかお・・・・?」
('A`) 「俺以外のだれがやれる?」
ツン 「・・・・・!! ふざけたことを・・・・・・!!」

409: 2005/11/22(火) 04:09:04 ID:wBmJVrO30
先生 「ツン!! やめろっ!!」
(;^ω^) 「え・・・・・・? ツン・・・・・!!!」

先生の声に振り向くと、ツンが毒男めがけて薙刀を振り下ろそうとしていた
だが、

('A`) 「・・・くくくwまずはじょうちゃんから・・・・・!?」
('・ω・`) 「ううううわああああああああああっっっ!!!!!!!」
ツン 「・・・・!? しょ・・・ショボン!?」

毒男が、刀を抜き、ツンを切り捨てようとする寸前
ショボンが突然、立ち上がりツンを抱きとめた

('・ω・`) 「ツンさんを・・・・斬らせるもんかっ・・・・!!」
     「ツンさんが、ブーンには必要なんだ・・・!!」
('A`) 「ああ、そうかよ?」

そう言って、毒男は刀を二人めがけて横薙ぎに振った

411: 2005/11/22(火) 04:16:38 ID:wBmJVrO30
ドゴォ!! と、鈍い音と共に、二人はまとめて道場の端まで吹き飛ばされる
ツンを庇うように抱きとめていたショボンの傷口が開き
二人は血で汚れる
しかし、そこに新たな刀傷は存在しない

('A`) 「・・・・ちっ、じゃまくせぇ・・・てめぇらはそこで寝てろ」

毒男の振った刀は、鞘に入ったままだった。おそらく、ショボンを殺さないためだろう
だが、そんなことは関係なかった

(#^ω^) 「お前・・・・今・・・何をしたお・・・・」
('A`) 「あん・・・・? 舞台に邪魔なゴミを掃除しただけだが・・・・?」 
( ^ω^) 「・・・・・・そうかお」

ブーンの顔から表情が消えた

414: 2005/11/22(火) 04:23:02 ID:wBmJVrO30
ずる、と腰の刀を鞘ごと引き抜き、刀を捨てる
そして、鞘を毒男に向け構える

( ^ω^) 「・・・お前も、舞台を汚すゴミになるお」
('A`) 「くくく・・・・・w いい表情しやがるぜ・・・・てめぇにできるか!?」
( ^ω^) 「ああ、やってやるお」

ブーンが、音も立てずに足を動かし、毒男の視界から消えるよう、動こうとしたその時

先生 「ブーン!!!!!!!」
    「それがお前のすべき顔かああああああああああ!!!!?」

先生の怒号が響いた
その声に、ブーンの顔に表情が戻る

(;^ω^) 「せ、せんせい・・・・・・」
先生 「お前は・・・・毒男を、かわいそうとは思わないのか・・・・?」

417: 2005/11/22(火) 04:31:45 ID:wBmJVrO30
先生の、その言葉に、一番驚いたのは、ほかならぬ毒男だった

('A`) 「・・んだと・・・・!? おっさんに哀れまれる筋合いなんざ・・!」
先生 「よく聞け、ブーン!!」

毒男を無視して、先生は怒声を上げ続ける

先生 「確かに、こいつのしていることは許されん・・・・! だがな・・・!!」
    「毒男は・・・復讐にとらわれ、人生のすべて捨て去った、こいつは・・・」
    「・・・・・・氏に囚われていた私と・・・・一体どう違うっ!?」
    「他のだれが、責めようと・・・憎もうと・・・・蔑もうと・・・・」
    「お前が・・・・不殺を貫く、やさしい、優しすぎるおまえが・・・・・!!」

一呼吸

先生 「お前が救わずに、誰が救ってやれるんだっっっっっっ!!!!!」
(;^ω^) 「・・・・・・・・・!!」

先生 「俺のように・・・・毒男も救ってくれ・・・・頼むっ・・・・!」

419: 2005/11/22(火) 04:41:41 ID:wBmJVrO30
言葉をすべて吐ききった先生は、口から吐瀉物まじりの血を吐いた
腹筋を使った大声で傷口が開いたのだろう、しかし、先生の顔は、笑みを浮かべる

('A`) 「てめぇ・・・・・いい加減にしろよ・・・・・・?」
    「勝手に人を哀れむんじゃねぇよ・・・・・・・!!!」
    「そん・・・・なに氏にてぇんなら・・・! 今、やってやんよぉっ!!」

哀れまれた毒男は、自らの誇り、自尊心を保つために、先生に切りかかろうとした
ちょうど、ブーンたちのいるあたりから、毒男を中心に90度回転した位置にいる
先生に、毒男は、技もなにもない、ただの突きをぶち込もうとした。だが

( ^ω^) 「・・・・・させないお」
('A`) 「!?」

引き抜こうとした刀の柄尻。そこに手をおいたブーンに、邪魔された
いや、驚くべきはそこではない
ブーンの今いる位置だ
毒男は確かに、ブーンよりも先生に近い位置にいたというのに
先生の目の前に同時に到着したというのか

421: 2005/11/22(火) 04:49:22 ID:wBmJVrO30
毒男は、後ろに飛び退き、ブーンと距離をとる

('A`) 「てめぇ・・・・・さっきの顔はどうした・・・?」
( ^ω^) 「・・・・・・? あれかお?」

いつもの顔にもどったブーンは、首をめぐらせ、殊更大きな声で尋ねた

( ^ω^) 「ツン! ショボン!! コイツに殺されたのかお!?」
ツン・('・ω・`) 「勝手に頃すな!!」
( ^ω^) 「みんな、まだ生きているお」

ブーンは笑う

( ^ω^) 「さっきは、ツンが氏んだかと思ったお」
      「今は、ショボンとツンが氏んだかと思ったお」
      「でも・・・・誰も氏んでいないお。 ・・・・だったら」

ブーンは、落ちている刀を数本拾いあげ、その中から一本を選び出す
先ほどの、ナマクラ刀だ

( ^ω^) 「いくらでもやりなおせるお」
      「これから・・・・毒男もやり直させる。覚悟はいいかお?」

427: 2005/11/22(火) 05:03:51 ID:wBmJVrO30
('A`) 「・・・・・ぬりぃことを言ってんじゃねぇよっ!!」

毒男は二刀を同時に抜刀。動きを一切止めずに、竜巻の動作に入る
右足を大きくブーンへと踏み出し、身体を右に捻る
そして、渾身の力を持って、鞭の力を最大に引き出す

('A`) 「オオオオオオラアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

キュ・・・ッゴォォオオオ!!!!!

あまりのスピードに、大気がついていけず、刀の後を音が追いかける。しかし

カツ・・・・・と軽い音を立て、ブーンはそれを峰に左手を添えた構えで受けきる

('A`) 「な・・・・・・・・・・・・・・!?」
( ^ω^) 「・・・そんな大振り、簡単に受けられるお?」

429: 2005/11/22(火) 05:14:50 ID:wBmJVrO30
大振りとか、そんな問題ではない程のスピードであったはずだ
それに、毒男の力は、すべてが鉄製の槍を、にぎり潰すほどのものだ
人間の限界を超えたようなその膂力で振るわれる刀は
たとえ片手であっても、人体を二つ三つ両断できるほどの威力はある
万が一、そのすさまじいスピードを見切り、受けたとして
ブーンの刀も毒男の刀も、耐え切れずに折れるはずだ
それが、折れないと言うことは・・・・

('A`) (手ごたえが・・・・ない・・・・!?)

刀と刀がぶつかる瞬間に腕を伸ばしきり、均等にその力を吸収
分散させるように、腕を曲げていく。言葉にすれば、それだけだ
だが、それがどれほど難しいことか、説明はいらないであろう

('A`) 「チィッ・・・!!」

毒男は、後ろに大きく跳び、間合いを計る
ブーンを頃すには、刀で受けられない斬撃以外では、通用しそうも無い・・・・

438: 2005/11/22(火) 05:27:56 ID:wBmJVrO30
距離をとり、二人は対峙する
毒男は、ショボンの時と同じ構え
ブーンは正眼の構えだが、その重心はずいぶんと高い
剣道のよう、と言えばわかりやすいであろう

('A`) 「イヤッ!」

毒男が右手の刀で大きく、槍投げのような形でブーンの横面を狙う
ブーンはそれを、先ほどと同じ、両手での構えで受けようとした。だが

('A`) 「二度も・・・同じ手を食うかあああああああああ!!!」
(;^ω^) 「・・・・・・・・!」

ブーンの両手がふさがっている、その時を狙い、左の刀を逆手に持ち替え
胴を薙ごうとする
ブーンはこれを後ろに跳んで回避
毒男は、その隙を逃さず、空いた右の刀で突いていく

442: 2005/11/22(火) 05:41:22 ID:wBmJVrO30
( ^ω^) 「くっ!?」

跳んでいる間は、足を使った回避などできない
左側に掲げた刀を、下に振るい、毒男の刀を右に払う
着地し、また重心を上げた構えを取ろうとする間もなく

('A`) 「まだだぁっ!!」
( ^ω^) 「ナニィッ!?」

回転しようとする毒男の、逆手に持った左の刀がさっきの横面と同じところへ
撫ぜるような動きで迫ってくる
刀はまだ下にある。頑丈な分、重くできている刀は、すぐに上にはあがらない
ブーンは頭を後ろに逸らせ、刀の軌道から逃げる
これが順手の打ち込みだったならば、斬られていただろうが、逆手で助かる

( ^ω^) 「ハァッ!!」
('A`) 「なんのぉぉおおっっ!!」

と、同時に、ブーンは毒男の空いた右肩へと諸手突きを見舞う
だが、毒男は、大きく身をかがめ、前転をしながらこれを避けた

一進一退の攻防が続く

443: 2005/11/22(火) 05:49:45 ID:wBmJVrO30
( ^ω^) 「オオリャアアアアアアアァァァァァァッッッッ!!!!!」

転がり、背中を向けた毒男。突きの軌道を、下半身と上半身を捻る力で強引に曲げ
毒男の背中へと、斜めに落とす
それを見越していた毒男は、刀を交差させ、背中全体で支えるように受けとめる。しかし

メギィ!!

('A`) 「ぐぁっ・・・・!!!」

もともと刃のない刀は、受けた程度ではダメージを減じ切ることができず
毒男は、道場の床へと叩き伏せられた

( ^ω^) 「これで終わりにするおっ!!」

グォンっ!!

立ち上がれずにいる毒男、その左腕めがけて、ブーンは刀を振り下ろした

444: 2005/11/22(火) 06:00:15 ID:wBmJVrO30
毒男は、この戦いに、忘れかけていた何かを思い出していた

('A`) (なんだ・・・・なんで・・・こんなに懐かしい・・・・?)

こんな・・・ココまでの駆け引きのある戦い、一体いつ以来だ
そうだ、十年ぶりだ・・・・
あの時は、まだシャキンと稽古をしていた
シャキンの腕は立ち、まるっきり歯が立たなかった
だから、色々と考えて、色々と手を考えて、工夫を凝らした戦いをしていた

('A`) (なんで・・・・俺はそれを・・・やめちまったんだ・・・・?)

そうだ・・・・それもやっぱり、シャキンが氏んだあの年だ
右手一本で道場破りをやって・・・・負けると思ったのに、頃してもらえると思ったのに
俺は勝っちまったんだ。 全部終わらすつもりが、そこから始まっちまった・・・

('A`) (そうだった・・・・他の奴らは・・・・弱すぎた・・・・)

片手で勝てる相手に、細工も戦術も必要ない・・・・戦いがルーチンワークなっていったんだ

445: 2005/11/22(火) 06:06:59 ID:wBmJVrO30
手に入れたラウンジの技は、状況に応じて使えば
防御も攻撃も、いっしょにこなせる
ある意味、完成しきった技だったんだ

('A`) (俺は・・・・それに頼りきっていた・・・・・)

いや、すべてを技任せなんかにしちゃいないさ
俺は、自分の身体を、極限まで鍛え抜いた。鍛えぬいた挙句が・・・

('A`) (何も考えないでも勝てちまう・・・・戦いをつまんなくしちまった・・・・)

ああ、ああ、本当に、シャキンの仇討ちなんて、口実だったんだ・・・・
俺は、おっさんに期待してたんだ
いつか、俺と楽しく頃し合いが演じられる奴を育ててくれるだろうって

だから、俺は十年もまってたんだ・・・・・・・・・・・・・今日のこの日を

447: 2005/11/22(火) 06:16:19 ID:wBmJVrO30
('A`) 「ウワアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッ!!!!」
(;^ω^) 「なっ!?」

振り下ろされたブーンの刀は、意外なものに弾かれた
それは、キセルだった
刀よりも軽いそれは、右手の一振りで、すさまじい速度を与えられ
ブーンの刀を横殴りにしていた

キィィン!!

衝撃に耐え切れず、キセルは中央から真っ二つに割れる
その甲斐あって、刀は毒男の横へと落ちる
再び、それが振り上げられれば、こっちが負ける
毒男は、刀の上に身体を乗せ、動きを封じて立ち上がろうとする。が、

(#^ω^) 「やらせないおっ!!」
('A`) 「ガバッ!?」

刀を手放した、ブーンの拳が、毒男の鼻を叩き折った

449: 2005/11/22(火) 06:25:45 ID:wBmJVrO30
殴られた、と気づいたときには、自分から転がっていた
ゴロゴロと、三回転したところで、毒男は素早く立ち上がる
ブーンとの距離は、十分、離れている。仕切りなおし、と、言ったところか

('A`) 「なあ、ブーン・・・・」
( ^ω^) 「なんだお?」
('A`) 「お前さんは、今、楽しいかい?」
(;^ω^) 「とんでもないお!? 早く終わらせたいお!!」

くっくっく、と毒男は笑った。折れた鼻をグヂっと直しながら

('A`) 「俺は、いつまでも、お前とこうしていてぇなぁ・・・・」
( ^ω^) 「毒男・・・・・・・」
('A`) 「だが、お前さんに振られちまったら仕方ねぇ・・・・!!!」

毒男は、刀を大きく横に広げ、構える。大鍬型の構えを

('A`) 「次で決着と、しようじゃねぇか? な?」

450: 2005/11/22(火) 06:32:10 ID:wBmJVrO30
( ^ω^) 「毒男・・・・・・・これは、ナマクラでも人が斬れる技だお・・・・」

毒男の本気に応えるように、ブーンは腰を落とし、刀を八双に構えた

('A`) 「はっ・・・・上等・・・・・!!」

じりじりと、お互いに間合いを詰めていく
その途中、ブーンの構えは、八双から、どんどん高くなり
ついには腕を伸ばしきった、『蜻蛉』と呼ばれる構えになった

('A`) 「とんぼ、か・・・・・・ニュー速流らしいやねw」
( ^ω^) 「そっちも・・・・・・・・オオクワガタ、だお?」

二人は笑う・・・・・馬鹿みたい笑う・・・・・・・

('A`) 「それじゃ、オオクワガタと・・・・・」
( ^ω^) 「トンボ・・・・・」

('A`)・( ^ω^) 「どちらが強いか・・・・・・・・・・・・勝負!!!」

453: 2005/11/22(火) 06:49:28 ID:wBmJVrO30
(`・ω・') 「若様、今日から剣術を指南いたします、シャキンでございます」
('A`) 「・・・・・マンドクセ」

(`・ω・') 「若は・・・・左利きでしたか・・・・」
('A`) 「フン・・・・どうせギッチョだよ・・・・・」
(`・ω・') 「いやいや!・・・でしたら、二刀流を、やってみませんか?」
('A`) 「二刀流・・・・・・・?」

('A`) 「おい、シャキン! どうだ!? 大分、様になってきただろう?」
(`・ω・') 「ふむ・・・若にはどうやら才能があったのですかな・・・」
     「これは、うちの後継ぎは、ショボンではなく、若に・・・」
('A`) 「ははは、それはいいな・・・・・・そういうのも、いいかもな・・・w」
(`・ω・') 「若! 冗談ではありませんぞ!?」


('A`) 「シャキン・・・目を覚ませよ・・・・・シャキン・・・・・」


463: 2005/11/22(火) 07:28:48 ID:wBmJVrO30

あの、怒涛の一日から一週間
今日も道場からは、生徒たちの掛け声が聞こえる
そんな中、ブーンはふとんの上で養生していた

(;^ω^) 「あの・・・ツン?」
ツン 「なに? ・・・・・・話し掛けないで・・・・・・・!」
(;^ω^) 「いや・・・でも・・・・・・・・・」
ツン 「話し掛けるなっ!!」
(;^ω^) 「うさちゃんリンゴが、稲葉の白兎みたいになってるお・・・・?」
ツン 「#・・・・・・・もういいっ!!」
(;^ω^) 「いや、キレられても・・・・・」

ブーンは、毒男との一騎打ちに、負けた
刀を折られ、毒男の竜巻で、ショボンと同じように切り伏せられた
気を失っていたので覚えていないが、ツンが酷く泣いて暴れたそうだ

464: 2005/11/22(火) 07:29:10 ID:wBmJVrO30
ブーンに勝った毒男は、ひどく晴れ晴れとした表情で
先生にこう言った

('A`) 「あーあ・・・・・人生最大の壁、乗り越えちまったみてぇだわ」
先生 「私を・・・・切らなくて・・・いいのか・・・・?」

毒男は笑い

('A`) 「今はそんな気分じゃねぇしw ・・・さて、落とし前でもつけますか」

そう言って、着流しの上をはだけ、脇差を抜く

('A`) 「ショボン・・・お前はラウンジを、きっちり守ってくれよな・・・?」
('・ω・`) 「え・・・・・まさ・・・か・・・・・?」
('A`) 「こんだけのことしたんだ・・・・こうでも、しねぇと? な?」

笑い、いざ、と脇差を振り上げたところで、先生は呟いた

先生 「逃げるのかい?」

465: 2005/11/22(火) 07:29:26 ID:wBmJVrO30
('A`) 「あ・・・・・? 逃げるだと・・・・?」
先生 「氏んで・・・・逃げるのか、と聞いたんだが・・・・?」

毒男は、冗談、と、悲痛な顔をして

('A`) 「俺は、逃げねぇで、こうして腹切って・・・・・責任をとるんだ・・・!」
先生 「それが、逃げだと言っているのだが・・・・?」
('A`) 「・・・・・・俺に、武士らしいことをするなと、言うのか・・・・?」

睨む毒男。そうじゃない、と先生は続けた

先生 「ブーンは、お前に負けた」
    「ならば、きっと・・・・再戦を申し込むだろうさ」
    「お前は氏んで・・・・・・勝ち逃げする気なのか・・・・・?」
('A`) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

毒男は、しばしうつむき、それから、ひでぇよ、と言った

('A`) 「ひでぇよ・・・・ずるだぜ・・・? ・・・そんなの言われたら・・・・」
    「腹なんか・・・・切れねぇ・・・じゃねぇかよ・・・・・・!!」

毒男は、声を出して泣いた

466: 2005/11/22(火) 07:29:44 ID:wBmJVrO30
その後、毒男は走って逃げていった
朝になったら、長岡の姿もなかったので、一緒に今も動いているのだろう

ショボンも、ある決意を固めていた

('・ω・`) 「ラウンジ流の道場を、もう一度興してみようと思います」
先生 「・・・ニュー速流に・・・いてもいいんだぞ・・・・・・?」
('・ω・`) 「いえ、僕は、心底ラウンジの人間だったんです・・・・」

今回のことで、それがわかりました、というショボンの顔は寂しげだったが、

('・ω・`) 「今度、毒男が来たときは・・・・負けません・・・!!」

最後は笑顔だった

467: 2005/11/22(火) 07:30:01 ID:wBmJVrO30
結局、ニュー速流に残ったのは、ブーンとツンと先生だけだった
一応、ショボンは近所だが、もうニュー速流の門下ではない
少し寂しいけれど、みんな、それぞれの道を歩き始めたのだろう

十年前の、呪縛を解いて・・・・・・・・


ツン 「ぜっっっっっっったい!! この包丁おかしいわよ!?」
(;^ω^) 「いや、おかしいのはツン・・・・!?」
      「刃物? 刃物? 怪我人に刃物かお!? ちょ・・・・・!!!」

ニュー速流は、変わらず、騒がしかった




                                      完

468: 2005/11/22(火) 07:31:52 ID:oJ9cGTYa0
ヽ(´ω`)ノ
大作おつぅ!

469: 2005/11/22(火) 07:32:45 ID:d59K46TZ0
泣いた。1乙。感動をありがとう…

473: 2005/11/22(火) 07:40:03 ID:wBmJVrO30
もともと一晩で終わらす予定だった物に、
三スレ、8日間、お付き合いいただきありがとうございます

つか、最初は先生が悪役でバッサリ切って終わりにしようとしてたのに
ショボンの回想で切れなくなりました・・・・・・・orz
こんだけ長くして、ほんっとうにすまない・・・・orz

478: 2005/11/22(火) 07:49:57 ID:wBmJVrO30
>>476
殺陣のイメージ膨らませるために書いてたから、趣味と実益兼ねてたんですw

484: 2005/11/22(火) 07:57:43 ID:wBmJVrO30
たぶん、またなんか書くまでトリはつけないと思うんで
それっぽいのがいても、ココの件はしないで欲しいです
めっちゃはずいし・・・・・
皆さんお休みなさい・・・寝ます・・・・・・つか、しぬ・・・・・ノシ

570: 2005/11/22(火) 22:58:18 ID:wBmJVrO30
えーと・・・・・なんでまだスレが残ってんの・・・・・・・・・!?
すげぇ驚いたんですけど・・・・・・・・・

外伝とかを期待してる人もいるかもしれないけど、
これ以上、侍としてのブーンは書きません
ここまで愛されたんだから、ここで愛されたまま、終わらせたいんです

最後まで読んでくれた人、
小説家になれない、役者見習の駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました!

また、別の話を書くかも知れませんが、そのときはまた・・・・

ノシ

引用: ブーンが侍になったようです3