219: 2011/03/15(火) 22:13:34.92 ID:jkGp17gb0
漫画版超電磁砲5巻を読んでからアニメ禁書22話を見て寝たら夢に美琴嬢が出て来ました。
そして何故かヴェントさんとフュージョンを巻き起こしこう言いました。「――――私は科学が憎い、」と。
そんな感じのノリだけで進めるSSなので先が見えません。急遽始めたので纏めきれず続きものとなってしまいましたがどうぞ宜しくお願いします。
そして何故かヴェントさんとフュージョンを巻き起こしこう言いました。「――――私は科学が憎い、」と。
そんな感じのノリだけで進めるSSなので先が見えません。急遽始めたので纏めきれず続きものとなってしまいましたがどうぞ宜しくお願いします。
220: 2011/03/15(火) 22:14:46.61 ID:jkGp17gb0
7月24日、絶対座標X-162258 Y-415687地点。
「お姉様から頂いた初めてのプレゼントですから」
「『超電磁砲』を128回殺害する事で絶対能力者に進化すると判明した」
「さようなら、お姉様」
「計画通り目的地への誘導を達成した、とミサカは訂正を求めます」
「………もォいいや、オマエ。終わりにしてやンよ」
「――――――やめっ……」
「本日の実験しゅーりょォー」
「あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``!!!!」
「そうかそうか。予定と違うから何かと思ったらオマエ、オリジナルかァ」
「ゼッタイテキなチカラ?ムテキ?そんな……そんな事でっ……」
「オマエも超能力者なら分かンだろ?」
「そんなモノのためにあの子を頃したのか―――――ッ!!!!!」
「悪ィ悪ィ、今のがオマエのとっておきってヤツだったンだな」
「計画外の戦闘は予測演算に誤差が生じる恐れがあります、とミサカは警告します」
「そーいやァ自己紹介がまだだったな。俺の『無敵』化を手伝ってくれてンだ、感謝しなきゃな」
「――――――――『一方通行』だ、ヨロシク」
その日、少女は生まれて初めて絶対的な敗北を喫した。
人生で初めての経験だった。
決して味わってはならない、敗北だった。
221: 2011/03/15(火) 22:15:46.77 ID:jkGp17gb0
8月20日、午後6時10分。
真夏の夕暮れ、上条当麻は一人ぐったりと帰り道を歩いていた。
例えどんな理由があっても、この長い夏休みに一人学校補習へ行くのは精神的によろしくない、と彼は思う。
通常『夏休みの補習』と呼ばれるモノは夏休みの初日に行われるものだし、実際に上条のクラスでも補習は7月19日から7月21日にかけて行われた、らしい。
らしい、と曖昧な表現なのは上条当麻が記憶喪失だからだ。彼には7月28日以前の記憶が無い。
つまり彼にとっては何だか良く分からない内に自分が補習をサボっていて、そのツケを何だか知らない内に支払わされる事になっていた、という訳である。
で、何故か。
そんな上条は無駄に広い児童公園に設置された自販機の前で、何もない空間から突如現れた少女にドロップキックをお見舞されていた。
「やぁあっと見つけましたわ、この類人猿!お姉様を一体全体何処にやりましたの!!」
何だ何だ?と蹴り上げられた後頭部を押さえながら上条が首を巡らせると、そこには中学一年生くらいの女の子が居た。
大きなリボンで結われたツインテールの茶色く長い髪。
半袖のブラウスにサマーセーター、灰色のプリーツスカートというのは……確か名門の常盤台中学の制服だった気がする。
いかにもなお嬢様口調で身に覚えの無い罪状を突き付けるツインテール少女の『何もない空間から突如現れた』という現象から鑑みるに、
彼女は大能力者クラスの空間移動能力者なのだろう。
学園都市。
東京西部の未開拓地を切り開いて作られたこの街は、面積は東京都の3分の1ほど、人口はおよそ230万人、その8割は学生という学生主軸の街である。
ありとあらゆる科学技術を研究する学問の最高峰とされるこの街には、しかしもう一つの顔がある。
人工的かつ科学的プロセスを経て組み上げられた超能力者養成機関である。
学生を対象に『開発』されるこの能力は各人によって様々な種類に分かれるが、その価値や強さ、応用性などによって
無能力(レベル0)、低能力(レベル1)、異能力(レベル2)、強能力(レベル3)、大能力(レベル4)、超能力(レベル5)と6段階で分類される。
因みにこのツインテール少女の様な空間移動能力者が自分自身を転移させるには、大能力以上の実力が必要となる。
つまり彼女本人が急に現れたという事実それだけで(誰かに転移された可能性も否めないが)、彼女が大能力者以上の高位能力者であるという証明にもなるのだ。
「お姉様が常日頃から仰っていた『アイツ』を人聞きの特徴だけで探し当てるのには骨が要りましたが、風紀委員相手に逃げ切れるとは考えない事ですわね!
―――――さあ分かったらとっとと吐きなさいな類人猿、お姉様を一体何処にやりましたの!!」
「知らねえよ!つうか『お姉様』……いやその前にお前は一体誰なんだよ!!」
前述通り、上条当麻は絶賛記憶喪失中である。
この爆発ツインテール娘と以前面識があったと言われても彼には否定できるだけの根拠が全くないのだが、
少女の口振りから察するに恐らくは初対面なのだろうと推論し、上条は半ば叫ぶように尋ねた。
必氏に黙認(あくまで少女の視点から見た様子である。本人には事情すら掴めていない)を続ける上条の問いに
チッと名門女子中に通うお嬢様とは思えない舌打ちを一度鳴らすと、それすらも億劫そうに少女は答える。
「紹介が遅れました。わたくしお姉様――――御坂美琴お姉様の後輩で露払いをしております、白井黒子と申しますの」
「……はぁ。御坂美琴お姉様の、ねえ……」
222: 2011/03/15(火) 22:17:01.88 ID:jkGp17gb0
どうやら自分はその『御坂美琴お姉様』とやらとは面識があるらしい。
が、しつこいようだが彼は記憶喪失の状態にある。7月28日以降会っていない人物に関しては、例えどれだけ親しい仲だったとしても思い出す事ができない。
全くわけが解らないという様な上条の態度に白井と名乗った少女も多少は落ち着きを取り戻したのか、
先程とは打って変わった極めて冷静な口調で事のあらましを続けて説明する。
「その様子では何も知らないようですわね、学園都市のニュースや新聞では第三位失踪で随分と騒がれてましたのに………」
「失踪!?その御坂――――は、失踪したのか?」
「1カ月ほど前から行方不明なんですの。お姉様が良く口にしていた殿方なら居場所を御存知かと思ったのですが………」
『今の』上条当麻には御坂美琴とやらに関するエピソードも因果も何もない。
何かをしてやる義理立ては一切ないのだが、嘗ての自分と少なくとも知り合いであった少女が行方不明になっていると聞けば、少しは心配になるというものだ。
そして何よりこの目の前の白井が『お姉様』の行方を知っているかもしれないと感じ必氏になって探し求めたというのに、
漸く辿り着いた自分が何も彼女に協力できなかったという事実そのものが酷く申し訳なく思ったのだ。
「………大丈夫、ニュースや新聞で騒いでるって事は学園都市も総力を上げて御坂を探してるんだろ?きっと直ぐに見つかるさ。俺の方でも探してみるから」
「――――――そう、ですわね………では、御協力お願い致しますわ」
「わたくし、聞き込みに行ってきますので」相当その御坂とやらが心配なのだろう。
元は美少女だったろう筈がやつれた頬と目の下の隈で台無しとなった白井は、上条の励ましに力無く頷くとゆっくりと席を外そうとした。
それを静かに見送ろうとした上条であったが、
「あ、悪いんだけど白井。御坂の写メとかあったらくれねえか?」
「………何故わたくしがあなたのような類人猿に貴重なお姉様アルバムの一部を譲らなければならないんですの?はっ、まさかあなたお姉様を好―――」
「あー……アレだ、聞き込みする時とかにいるだろ?パッとみて顔分かるヤツ。俺持ってねえからさ」
よくよく考えれば、上条は御坂美琴の顔など覚えていないのだ。外見情報くらい無ければ、どれだけ頑張った所で探し様がない。
口をモゴモゴさせながら適当な言い訳を並び立てた上条に、聞かれた側の白井は痩せこけた頬を何故かニヤつかせながら
「ふっ、勝った……ツーショットどころかお姉様の写真の1つも持っていないとは――――これは警戒する必要もありませんわね」
「?何の事だ?」
「いえ、こちらの話ですの。ほら、送りますからさっさと携帯を出して下さいな」
互いの携帯電話を突き合わせて赤外線送信を交わした二人は、それぞれの行動へと戻っていく。
白井は聞き込み調査をする為にテレポートで人の多い大通りへ。
上条の方はまずは御坂美琴について知る事からだと、白井から得た画像ファイルを開く。
「……………このアングル、明らかに隠し撮り写真じゃねえか…………」
「そこのアナタ、こんな女の子知らない?」そう尋ねた途端にストーカーか美少女マニアだと誤解されない事を切に願いながら、
上条当麻もまた御坂美琴を探す為に街中へと歩を進めた。
223: 2011/03/15(火) 22:17:55.09 ID:jkGp17gb0
大量のハンバーガーやフライドポテトやサラダに埋もれたテーブルに鎮座する、真っ白な修道服を着た銀髪で緑色の瞳のシスターを見下ろしながら
少女はただ茫然と「うわぁ」と呑気な感嘆の声を上げるしかできなかった。
何せテーブルを埋め尽くす程用意されていたハンバーガー達は1つ当たりものの30秒で消えていくのだ。
並べられたそれらをモガモガと横から順に食い尽していく修道女とは思えない同性の姿と、自分が持ったまだ一口しか口をつけていないハンバーガーを交互に見比べ、
少女は自分の為に購入した筈の食料をそっと彼女へと差し出す。
「あの、これ……足りなかったら……」
「もが?……ごきゅ。ホント?本当に?ありがとうなんだよ、ひょうか!」
ひょうか、と呼ばれた少女が食べようとしていた何十倍もの量を喰い尽した彼女は、
遠慮という言葉を辞書で調べさせてからラインマーカーを引かせたくなるくらい簡単に少女からハンバーガーを受け取り口の中へと詰め込んだ。
それが咀嚼され呑み込まれる時間は、やはり30秒にも満たない。
一見親密に見える二人が出会ったのは、実際は僅か15分前。
地下街を入ってすぐそこにあるファーストフード店の前を偶然横切った『ひょうか』は、足元をにゅるりと走った謎の触感に背筋を凍らせた。
絡み取られる様に何かがしがみ付いた右足に恐る恐る目を向けるとそこには、
「あれぇとうまじゃないとうまじゃないよとうまだと思ってたのに何でとうまじゃないのこの人とうまは何処に行ったの何でも良いけどお腹が減って動けないんだよ
あの塩と胡椒とお肉の匂いがジュージュー漂っててとにかくあれ食べたいあれ食べたいどうすれば良いのあれ食べるにはどうすれば良いの?」
「…………、」
正面にあったファーストフード店に空腹シスターを連れ込んで何が食べたいのと親切に尋ねてやれば
「あれもこれも全部食べてみたい」と馬鹿げた台詞を吐いてくれた所為で現在に至ったという訳である。
「もぐ、もが……えとね、私の名前はインデックスって言うんだよ?」
「へ?……え、あ、えと……私は氷華、風斬氷華」
次々と消えるハンバーガーを前に唐突に始められた自己紹介によって互いの名前は知っているが、裏を返せば二人の少女は互いについてそれしか知らない。
それしか知らない二人であったがインデックスは己に食事を与えてくれた風斬を心優しい少女であると認識していたし、
風斬の方は風斬の方でインデックスを食欲旺盛で無邪気な女の子だと感じていた。
大量の食料と共に失った出費は決して少なくなかったが、インデックスからにこやかな笑顔と共に送られた「ありがとう、ひょうか」という言葉が心の底から嬉しかった。
『友達』と呼べる存在が出来た事実が、何より風斬の心を満たしていった。
224: 2011/03/15(火) 22:19:00.03 ID:jkGp17gb0
「でね。とうまはいつもいつもいつもいっつも私を置いてきぼりにして何処かに行っちゃうんだよ。
あれはもう一種の放浪癖なのかも。気がついたら旅に出ている人なんだよ。今日だってこんなに遅くまで帰って来ないのに私のお夕飯の事忘れて学校行っちゃうし……」
インデックスと風斬の二人は、昼と夜の区別がいまいち判断つきづらい地下街を歩いていた。
電車やバスの終点が最終下校時刻に設定されている所為か、通路を行き来する学生達の足取りは心成しか忙しい気がする。
世間話に興じる二人、というより主にインデックスの愚痴を風斬が聞くというスタイルで二人は周囲の忙しさなど気にも留めずに地下街を練り歩く。
否、正確には押しが弱い風斬の「もう帰らないと電車もバスもなくなっちゃうよ」という言葉も
自分に構ってくれる風斬と一緒に居たいが為のインデックスの「もうちょっとだけ遊ぼうよ、ひょうか。ね?」とのお願いに流されてしまった、といった所だ。
しっかりと濁られた手を軸に、メガネの奥に今にも涙を浮かびかねない顔をしたまま風斬氷華が引き摺られていく。
そんな少女達が織り成す光景を、道行く人々はやはり気にも留めずに自身の帰路を辿っていった。
見ず知らずの少女『御坂美琴』を探す上条当麻は偶然にも、インデックス達と同じく地下街を歩いていた。
白井が聞き込みに向かった大通りを除いて近場にあった人の集まる場所といえば、此処しか思い至らなかった為である。
思い立ったら即行動、を無自覚に行ってしまう彼は空腹になる時間であろう同居人の事などすっかり頭から抜け落ちたまま
少女の写真を見せながら彼女の行方を追っていた。
途中尋ねた警備員らしい女性からあきらかな隠し撮り写真に眉根を寄せられ、
知らず声かけた彼女の友人であるという少女達(しかも片方は白井と同じ部署に所属する風紀委員だった)からはお縄にされかけ、
さんざんな結果ばかりで一向に御坂美琴の情報の欠片も得られなかった上条は、はぁ……と暗い溜息を吐きながらぐるりと周囲を見渡す。
もうそろそろ最終下校時刻も近い。此処ら一体に居る学生たちも各々の寮に帰っていく時間帯だろう。
自分もそろそろ帰宅がてらの調査にしようかと考え始めた彼に、周囲に意識を配っていた所為か聞き慣れた声が何処からか耳に入って来た。
(ん?この声は――――――敵機補足、識別はバカシスターっ!!)
彼は立ち止り周囲の音を拾った。女の子の、はしゃぐような声だった。
皆が帰宅を始め辺りに人が居ない所為か、声は割と良く通る。上条は声のする方へ視線を向け、そして怪訝そうに首を傾げた。
彼の視線の先には学園都市内部系のゲームセンターがある。だが渡しておけば一瞬で食料に変え食い尽しそうなインデックスに上条は金銭を与えていない。
(誰かしらの善良市民に、まさかとんでもない迷惑をかけてるんじゃ……っ)
口元を引き攣らせた上条が、声のするプリクラ機の前へと足を運ぶ。
カーテンレールに手を掛けた所で(いやまてよ……これは上条さんお得意の不幸一直線ルートではあるまいか!?)
思い直して「インデックス、いるんだろ?」と確認も兼ねて声をかける。
瞬間、「ひぁ!?」「きゃあ!!」といういきなり服の中に氷を放りこまれたみたいな二つの短い悲鳴が返って来て
(………二つ?)と上条が疑問を疑問として認識する前に「とっ、とととととうま!なに?そこにいるの!?」とインデックスの焦った様な声が聞こえたかと思うと、
すとん、と。何の前触れも無く、突然カーテンが真下に落ちた。
視界の先には、マンガみたいに着替え中の少女が居る。しかも二人分。
「は………?」
急に聞こえた上条の声に、着替えの真っ最中だったが為に焦ってしまったインデックスの肘が乱暴に斜め掛けしていたカーテンレールに当たり、
バランスを崩したカーテンは言わずもがな、布で覆われた豪華賞品を紹介する時の様にフルオープンしてしまったのだ。
上条の脳内からあらゆる音が消えた。二人の少女は凍りついている。
一拍の間をおいて、顔を急激に真っ赤に染めた少女達と身の危険を感じた上条双方から激怒の悲鳴と悲痛な叫びが同時に上がった。
「いやぁああああああああああ――――――――っ!!!!!」
「とうまの馬鹿ぁああああああ――――――――っ!!!!!」
「不幸だぁあああああああああ――――――――っ!!!!!」
225: 2011/03/15(火) 22:19:49.53 ID:jkGp17gb0
上条当麻は酷く御立腹だった。
聞けばこの失格シスターは案の定人様から集りに集ってハンバーガーその他諸々を馬鹿食いした挙句、
最終下校時間も近いから帰ろうと申し出た恩人の意向も無視し今の今まで彼女を引き摺り回していたというではないか。
予想通り善良な一般市民様サマに御迷惑をおかけしておきながら、
それを危惧して向かった自分が一方的に怒られ続け頭に歯型をつけられるのは何とも釈然としない。
道中色々あって着替えを目撃してしまった事を大変申し訳ないと思うのは確かだが。
そんなこんなで結局一枚もプリクラを取らないまま着ようとしていたコスプレ衣装から元の服に着替えなおした二人の少女と一緒に、
上条は二人の出会いの場らしいハンバーガーショップのオープンテラスに100円ジュース片手に座っている。
上条とインデックスはムスッとした顔のままで、風斬だけがそんな二人の様子を見てオロオロとうろたえていた。
はぁ……再度暗い溜息を吐いた上条がガタリと席を立つと、インデックスがヤケに据わった目で彼を見た。
こちらも半裸を見られた事にどうやら相当御立腹らしいが、
上条当麻がもし記憶喪失で無かったら「いやいや下着オンリーも見てますけどね」とツッコミを入れて再び噛まれている所である。
「風斬……だっけ?悪いんだけどお前の帰り途中までで良いからコイツ送っていってくれないか?俺はまだ用事があるもんでさ」
「私は別に構わないけど………」
チラリと窺う風斬の視線を追えば、「とうまはまた私を置いて勝手にどっか行っちゃうんだ一人で突っ走って行っちゃうんだどうせまた女の子の為なんだ」
と目で語るインデックスが歯をガチガチ言わせている。
全くの事実であるので後ろめたくもさり気無く視線を反らした上条は自宅の場所を風斬に告げると、噛みつき反抗機から逃げる様にして走り出す。
「やっぱり一人でどっか行っちゃうんだねとぉおおおおおまぁああああああ!!!!」
「風斬にあんまり迷惑かけるなよー!!」
聞き込みには人海戦術が一番である事は百も承知だが、やはり見ず知らずの女の子の為に動いているなどという説明は億劫であり厄介であったし、
何より今日一日の彼女の行動を見て巻き込んだ方がトラブルはデカくなると改めて考え直した上条は
下校時刻を理由にインデックスを風斬に(重ねて申し訳なく思いつつも少々強引に)任せると、件の『御坂美琴』を探す為に再び歩き出したのだった。
とは言っても、上条とて明日もまた朝から補習がある訳だし、何よりこれ以上遅くなればそこらのスキルアウトや不良達が屯しだして治安も一気に悪くなる。
したがって帰り道を歩きながら同じく帰路を辿る学生たちに話を聞いて行く事になるのだが、疎らになり始めた擦れ違う人々からは、やはり何の情報も得られない。
続きは明日にしよう。時刻は午後8時を回り、携帯電話の時計を確認した上条が急いで帰ろうと足を速めた時だ。
にゃー。
隣に細く続く路地裏から聞こえた小さな鳴き声に、上条は足を止めた。
何処か弱々しい小さな鳴き声に、もしかしたら捨て猫が氏にかけているのかもしれないと考えた彼が電灯の一つもない路地裏へと進むと
「――――お、前っ……今まで何処にいたんだよ!!!」
肩まである茶色い髪に、化粧は必要ない程度にデフォルトで整った顔立ち。半袖の白いスカートにサマーセーター、そして灰色のプリーツスカートという組み合わせ。
―――――――――――――『御坂美琴』が、そこにいた。
226: 2011/03/15(火) 22:20:41.34 ID:jkGp17gb0
路地裏の脇には、『御坂美琴』がしゃがみ込んでいた。
彼女の足元には段ボール箱が置いてあり、中にはまだ小さな黒猫が突っ込んであるのが窺い見られた。
だが、そんなことはどうでもいい。
「こんな所で呑気に猫にエサなんかやりやがって、今まで一体何してたんだよ!白井とか言う後輩だとかお前の友達だとか、皆お前の事心配してたんだぞ!!」
上条の必氏の問いに『御坂美琴』はゆっくりと首を傾げると、
「…………誰かと間違えてはいませんか、とミサカは目の前の少年の理解不能な台詞を再解釈しようと試みます」
宇宙人と遭遇した気分だった。
背恰好から服装や小物まで、白井から渡された写真と比べても何もかも完璧な『御坂美琴』である筈の少女の言葉に、今度は上条の方が首を傾げる。
「は……?だってお前、御坂美琴じゃねえの?―――――もしかして実はお前も記憶喪失だったりしないよな」
「妹です、とミサカは『お前も』という表現に疑問を抱きつつ自身がお姉様では無い事を告げ誤解を解きます」
改めて写真と少女を見比べる。
白井から渡された写真に映るのは、妙に子供っぽいカエルのぬいぐるみに顔を埋めて悶絶している天真爛漫をそのまま絵にした様な女の子の姿だ。
一方目の前の少女と言えば、目鼻立ちも常盤台の制服も何もかも写真の彼女と同じだが、よく見ればこちらはおでこの辺りに暗視ゴーグルらしき物を引っ掛けている。
瞳に宿る感情の色が一点に集中せず、常に映るモノ全てを追いかけている様な曖昧な視線も違うと言えば違う点か。
はぁああ~~……気の抜けた様にズルズルと壁伝いに冷たい地面へ座り込んだ上条へ御坂妹(仮称)は猫の入った段ボールを指差しながら、
「良ければこの猫にエサを与えて頂けませんか、とミサカは手持ちの菓子パンを差し出します」と袋に詰まった引き千切った痕跡のあるパンをグイと押し付けた。
「自分であげれば良いじゃん。猫、嫌いじゃないんだろ?」一度はエサをあげようとした形跡の残るパンを片手に上条が当然の事を尋ねると、
「いえ……そういう、訳では」御坂妹の動きがピタリと止まる。
「どの道、ミサカにはこの猫にエサを与える事は不可能でしょう、とミサカは結論付けます。ミサカには一つ致命的な欠点がありますから、とミサカは補足説明します」
「欠点って、やな言い方すんなよ」
「いえ、欠点で適切です。ミサカの身体は常に微弱な電磁場を形成します、とミサカは説明します。
人体には感知出来ない程度ですが、他の動物では異なるようです」
「超能力者であるお姉様のチカラは再現できないのに、こんな所ばかり似てしまうのは欠点で適切です」とブツブツ呟く御坂妹の『超能力者』という発言にドキリとしながらも
そういえば白井黒子は『御坂美琴』を第三位だとか言っていた気がすると今更ながらに思い出す。
学園都市でも七人しかいない超能力者。その序列第三位、すなわち学園都市で三番目に凄い能力者に御坂美琴は該当する事になるのだ。
御坂妹の呟きから推測するなら行方不明中の姉もまた、彼女と同じ電撃使いなのだろう。
「しかしお前も大変だなあ、姉ちゃんが急にいなくなっちまって。俺も何とか頑張って探してみるから――――」
生気のない御坂妹に気を配った様な言い方で上条が声をかける。意気消沈してるであろう少女を気遣っての行動だ。しかし実際には御坂妹は
「御安心ください。お姉様の行方は学園都市が総力を上げて捜索しています。直に見つかる事でしょう、とミサカは対して気にも留めていないという態度を取ります」
それは、精一杯の虚勢でもなければ見ず知らずの少年に気を使われた事を疎ましく思っての言葉でも無かった。
行方の知れない姉を宣言通りさして気にも留めずに、必ず帰って来ると何か芯ある根拠が存在するかのように振る舞う彼女の台詞に上条の身体が僅かに固まる。
「気にしてないって……お前の家族だろうが、」
「このミサカとお姉様の間には直接の面識が無いので、とミサカは自身の態度に関する補足を述べます」
(―――――複雑な御家庭なのかな?)
何処か薄気味悪さを感じながらもデリケートな話題らしいが為に結局はそれ以上何も追究する事が出来ず、上条は御坂妹と並んで箱に入ったままの黒猫を見つめる。
にゃー、人間サマの苦悩も知らず呑気に鳴き続ける猫に「お前は良いよなあ……」と弱音を吐きながら隣の御坂妹を窺い見た。
彼女が『御坂美琴』の妹であると知った時、
行動パターンを探る為にあわよくば上条の知らない御坂美琴の内面なんかを聞いてみようと思ったのだがこの雰囲気ではそうもいきそうにない。
はぁ……全く動かない現状に、上条当麻は本日何度目とも分からない溜息を吐いた。
227: 2011/03/15(火) 22:21:29.95 ID:jkGp17gb0
上条と御坂妹が座り込む路地裏から行く本か離れた別の場所で、少女は路地を走っていた。
途中、靴が片方脱げた。
片方だけ履いていても走るのに邪魔だと判断した少女はもう片方も脱ぎ棄てて、なお走る。
半袖の白いブラウスにサマーセーター、プリーツスカートという姿は一見して常盤台の生徒を連想させる。
が、少女の白く細い手に握られたあまりにも不釣り合いな物体が、彼女を素直に中学生と呼ぶ事を躊躇わせた。
軍事用アサルトライフル――――――F2000R『トイソルジャー』。
戦闘機に見られるような機能美を備えた積層プラスチック製の厭にSFチックなそのライフルは、
赤外線により標的を補足し、電子制御で『最も効率よく弾丸を当てる様に』リアルタイムで弾道を調節する機能を持つ。
射手は風向きや標的の予測回避パターンなど考える事なく、ただ『考える機械』の言う通りに銃口を向ければ誰でも名手になれる。
その上、銃身をグルリと覆う衝撃吸収用の特殊ゴムと炭酸ガスによって射撃の反動は極限まで軽減される。
対戦車ライフル・メタルイーターが大の大人でも扱えない『化物』なら、卵の殻すら割れない軽反動のF2000Rは小学生ですら軽々と扱える『怪物』だ。
だが、少女はそんな『怪物』を手にしてさえ、追われる立場を逆転できなかった。
暴れ狂う心臓の鼓動、不規則極まりない呼吸、明滅し混乱する思考―――――その一つ一つは、確実に彼女が狩られる側の人間である事を証明している。
背後に迫る影。
狭い直線の路地で、銃弾相手に逃げる場所も隠れる場所もない直線の路地でそれでも丸腰のままに『狩る側』の狂熱に溺れる更なる『怪物』。
見た目は15、6歳程度の普通の学生。
だがその特徴的な外観と鋭いナイフの切っ先の様なイメージが、見た者の『普通』の概念を倒錯的に惑わせる。
針金の様に細い体、少女の様に繊細な肌に白い髪。掴めば折れそうなほど……という表現に偽りはない。
しかし少年――――――少女とも少年ともつかない体系の彼を仮に『少年』と表そう。
少年は、僅かに年下の少女から向けられる銃口という名の『非日常』を享受し、それどころかそれを騒ぎもせずに眺めながら、ただ静かに笑っていた。
走る足を一切止めずに、身を捻る様にして少女の腰だめから発射されたF2000Rの5.56ミリ弾丸が正確に少年の急所へと叩き込まれる。
躊躇わず引かれた引き金は衝撃と発射音を呑み込みながら少年に決氏の一撃を喰らわせた
はずだった。
「……………!?」少女の体が驚愕に凍りかける。
自動車の側面を撃ったら車の反対側から弾が突き抜けるほどの威力を誇る5.56ミリ弾が、少年の体に当たった瞬間に四方八方へと弾かれた。
まるでチャチな拳銃を戦車の前面装甲に撃っているかの様に。
びすっ。肉を潰す生々しい音が耳を打った途端、少女の右肩に穿たれた赤い穴からボタボタと同じく赤い液体が零れ落ちた。
弾かれた弾丸の一発が少女の肩を撃ち抜いたのだ。
「……ぃ……ぎ!」少女の体がよろめく。とっさに壁へ手をつこうとした所で足が縺れ、頭からコンクリートの汚い壁へ激突した。
そのままズルズルと地面へ崩れ落ちた所で、
「退屈凌ぎにナゾナゾでもしてやろォかァ?さァって問題、この俺一方通行は果たしてナニをやっているでしょォかァ!?」
狂笑。
少女が頭上を見上げた所で、その瞬間を待っていましたと言わんばかりに飛び上がった少年の足が全体重をかけて少女の腹を踏みつぶした。
ぐぼぇ、引き潰したカエルに近い衝撃が少女の口から洩れる。
吐かれた胃液の酸っぱい匂いに顔を顰めた少年の一瞬の隙を突いて、そんな状況にありながらも少女はF2000Rを構え直し引き金を引く。
殆どゼロ距離とも呼べる近距離での連射。白い少年の顔面はおろか眼球へと正確に吸い込まれる弾丸。
だが、やはり弾丸が柔らかい眼球に触れた瞬間、それは先程と同じ様に弾かれ、射撃手たる少女の細い肉体にビスビスと無理矢理に幾つもの風穴を開けた。
ぐちゅり。少年の手が、好奇心旺盛な幼子が目についた物に片っ端から触る様に少女の傷口に触れた。
長い指が右肩に空いた赤黒い穴を掠め、赤い果実を抉った様な悲痛な音と共に少女の体が激痛に強張る。
体内の血液が次々に失われていく様子が肌で分かる。
徐々に冷めていく体温に、少女は自身に与えられた役目の終わりを痛感した。そして、
「―――――――そこまでよ!!」
凛とした自身と同じ外観の少女の声を耳にしながら、彼女の意識がゆっくりと事切れた。
228: 2011/03/15(火) 22:22:37.00 ID:jkGp17gb0
肩辺りで綺麗に切り揃えられた茶色い髪。
一万回以上見たその顔の、しかしそのどれとも異なる憎悪に歪められた表情に少年の口元が奇妙に弧を描く。
「―――――何だ、いつぞやのオリジナル………第三位の『超電磁砲』サマじゃねェか」
バチバチと少女の、学園都市第三位『御坂美琴』の体中から発せられる強力な紫電を光悦した顔で眺めながら少年は、
足元に転がった少女の遺体を小さく蹴ってその空虚な顔を見せつけるかのように美琴へと向けた。
「つゥか、来るなら来るでもっと早く来やがれっつーの。うっかりまた先に頃しちまったじゃねェか。
アレだろ?前回調子悪かったのは俺が先に人形をブッ潰しちまった所為でモチベーション下がったからなンだよなァ?
だったら今回も立て直して後日再戦って事にしとくかァ?――――――まさか、アレが全開だったなンて言わせねェかンな」
下らない日常の中で愉快な遊び道具でも見付けたかの如く急に饒舌になった少年が、美琴を見ながらペラペラと喋る。
蹴られた遺体の濁った瞳と目が合ってしまった美琴はそれに眉を顰めながらも一切動じる事はなく、視線をゆっくりと目の前の少年に向けた。
冷たく揺らぐ炎、頃してやるとの宣言を宿した視線を狂気に苛まれた笑みでもって受け止めて、少年はなお嗤う。
「オイオイ、なンだよその眼は。今回俺はなァンにも手ェ出してねェぜ?あの人形が撃った弾を全部そのままお返ししたただけ。言うなれば正当防衛だ、せェとォぼォえェー」
煽る様な言葉を美琴は無言で受け流し、冷めた眼で彼に射る様な視線を変わらず向けながら静かに語る。
「いつまでも自分が最強でいられるだなんて勘違いしない事ね。
こっちはあの日以来、泥の中這いつくばって他人の靴舐めまわしながらプライド捨てて生きて来たのよ―――――『最強』を頃す為にね」
『最強』と渾名された少年と『第三位の超能力者』、双方の歪んだ視線が交錯した。
邪魔と言わんばかりに蹴り飛ばされた少女の遺体を皮切りに、二人の『超能力者』が此処に相対する。
ただ単純な超能力ではこの『最強』には勝てない事を、御坂美琴は知っている。
嘗て予測演算装置『樹形図の設計者』は、どれだけ逃げに徹したとしてもこの少年と戦った第三位『超電磁砲』は185手で氏亡するとの結果を出した。
そして、様々な理由から氏亡こそしなかったものの、美琴は実際にこの少年―――――学園都市第一位『一方通行』との威信を賭けた戦いに敗北を喫した。
単純な超能力では絶対にこの男は殺せない、止められない。
それを経験から知る御坂美琴は、故にこの1ヶ月間、彼女自身の言葉通り泥の中を這いつくばって他人の靴の垢を舐めとる様な生活を続けながら
プライドも日常も、彼女の持つ全てをかなぐり捨てて『最強』を完全に潰す為の『超能力以外の方法』を探し求めた。
結論から言おう。美琴はついにそれを見つけた。
だからこそ、彼女は今此処に立っている。全てを奪われ、自らも全てを捨てた彼女が学園都市から遠く離れたローマの地で見つけた最後の希望。
文字通り命を賭けた、彼女にとっての最後の手段。
「………あァ?」構えられた全長1メートルを超す巨大なハンマーに、一方通行は思わず素っ頓狂な声を上げた。
以前対峙した際とは確実に異なる、しかし勝因を生み出す程の効果があるとも思えないそれを武器として選び取った事は
最先端科学の中に生きる彼らにとって笑いの種にしかならない。
だが、だからこそ、そこいらのチンピラ共と違い本気で自分を頃しに来た筈の少女がそれに全霊を託した事が一方通行には不可解で仕方が無かった。
グリップの中ほどから先端まで鋭い有刺鉄線がグルグル巻かれた正体不明のハンマーを構えた右手とは反対側の左手。
彼女が校則からいつも纏っていた筈の常盤台の制服を脱ぎ棄て着飾った、
中世ヨーロッパの女性が着ていた風なワンピースへ唐突に突っ込まれた左手が、何かを掴みだすようにモゾモゾと動く。
「………終わりにしましょう、一方通行」
取り出された、ネックレスの様に引っ掛けられた細い鎖がジャラジャラと落ちた。
―――――――――その先端にあったのは、信徒を意味する小さな十字架。
229: 2011/03/15(火) 22:23:46.47 ID:jkGp17gb0
美琴の体から発せられた10億ボルトを超える電流が一方通行を貫く。
強烈な一撃をいかにもつまらなさそうに欠伸をしながら弾いた彼は、楽しみにしていたアトラクションが思いがけずあっさりしすぎていた時に感じる様な空虚感を抱きながら
その愉しみを一心に向けていた美琴へ恨めしい目を寄越す。
そんな彼の期待に応える義理も無いが、美琴は周囲の砂鉄を磁力で操り、竜巻の様に形作ってから一方通行を取り囲む。
だがやはり、この『最強』が氏ぬどころか傷一つ付く事は決してない。行う前から知っている。どれもこれも、既に試して利かなかった手だ。
「いつまでも突っ立ってンのもイイ加減飽きて来たンだが――――この程度が限界なのかよ、オリジナル」
砂鉄の壁に囲まれた一方通行の言葉には耳も貸さず、美琴は懐から取り出したゲームセンターで見かける在り来りなコインを指で弾いた。
嘗ての全力。とっておきの必殺技だったモノ。プライドも信念も一度に全部奪っていった敗北を喫した一撃。
よりにもよってその一撃を囮に使った美琴は、衝撃で沸き立った砂埃と彼を囲むようにして撒き上がる砂鉄を前に、有刺鉄線つきのハンマーを無造作に振るう。
横殴りの一撃。
一方通行までの距離は、軽く5メートル以上離れている筈だったが、
「―――――――!!」自身の能力を通りすぎた感触に、一方通行の体を冷たい悪寒が走った。
瓦礫片を呑み込んだ風の塊は空間を喰い、壁を破り、細かい残骸を中心部へ渦巻き、透明から鈍い色に変わり、空気の壁が右から左へ広範囲に渡って突き抜けたが
例えそれがどんなに強力な能力であったとしても、本来そんなものは一方通行の敵には成りえない。
事実、美琴の放った謎の攻撃は彼の能力によって弾かれた。
但し、七色の光と化しながら、御坂美琴の遥か斜め後方へと向かって。
防いだはずの一方通行が眉を顰める。下手な機械より精密な演算をする彼は攻撃を弾く方向を、放った御坂美琴本人へと設定した筈だ。
彼の計算が正しければ風の塊は美琴自身に突き進み彼女の体を貫いていた筈だ。にも拘らず、風は逸れた。
しかも七色の光に分解されて。
分解に至るプロセスが起こした彼にも分からない。不可思議な現象は、指先に引っかかった物がぬるりと逃げていく感触だけを残して消え去ってゆく。
「――――――この程度の威力じゃ、まだ防げちゃうか」
美琴の小さな呟きに気を取られる内により強烈な第二波が一方通行を襲う。ピッ、と妙な音が鳴る。
それが絶対的な防御の壁に護られている筈の自分の頬を彼女の一撃が掠めた音だと理解したとき、一方通行の中で何か決定的な物が箍を外したのを、彼本人は静かに認識する。
一方通行の口元に思わず笑みが浮かぶ。
「アは、」
タノシイ。感じた事が無いほどのカイホウカンが一気に押し寄せギリギリで保っていた理性を弾け飛ばす。
だがまだ足りない。
この不条理なワンサイドゲームから初めての脱却者が生まれるには、まだまだ足りない。
挑戦者がチャンピオンの座を奪い取るというのなら、決して抗えないほどの圧倒的なチカラを持って観客全てを歓喜の渦に巻き込みながら圧勝すべきだ。
やっとの思いの一撃がカウンターを破った程度では、自分の望みを捨ててやるには、この少女はまだ足りない。
「あははぎゃはあはははひひひひゃははあはアハあははははッ!!!!
何だ何だよ何ですかァ、大口叩いといてその程度かよオリジナル。第三位の称号も超電磁砲の名も全部捨てた所で、結局オマエは俺からすりゃァタダの雑魚に過ぎねェン―――――」
そして、笑った彼の意識が揺らいだ。
細い体がグラリと崩れ、掴み切れない現象に目を白黒させたまま地に膝をつく。
「―――――――天罰術式。これが私の、最後の手段よ」
ゴボリと零れた血反吐と共に吐き出された美琴の言葉を、一方通行は掠れる様な意識の中で、聴いた。
230: 2011/03/15(火) 22:24:22.21 ID:jkGp17gb0
以上です。
血みどろな表現が見受けられましたが此処で書いても許される領域でしたら続けさせて頂きたいです。
適当な暇を作ったときにちょこちょこ書いて行くだろうものなのでいつ完成するかも分かりませんが、取り敢えず宜しくお願いします。
血みどろな表現が見受けられましたが此処で書いても許される領域でしたら続けさせて頂きたいです。
適当な暇を作ったときにちょこちょこ書いて行くだろうものなのでいつ完成するかも分かりませんが、取り敢えず宜しくお願いします。



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