1: 2015/08/02(日) 15:15:35 ID:BbjOtues
女騎士は人質をとった模様。

2: 2015/08/02(日) 15:18:33 ID:BbjOtues
オーク「や、やめろ!子供は巻き込まないでくれ!」

子オーク「うわーん、お父さーん怖いよー!」

女騎士「私だってこんな卑劣な行為はしたくない…だがな!」

ナイフ スッ

子オーク「ひぃっ!」

女騎士「これも平和の為だ…許してくれとはいわない…ただ、理不尽に氏んでくれ」

オーク「…わかった。だから子供は解放してやってくれ」

女騎士「…あぁ」

3: 2015/08/02(日) 15:20:46 ID:BbjOtues
パッ

子オーク「うわーん」

ダッタッタ

オーク「おぉよしよし、怖かっただろうね…」

ナデナデ

女騎士「…」

女騎士(オークにも家族がいる…分かっている。分かっている…割り切れ…でないと、氏ぬぞ…)

ギリッ

4: 2015/08/02(日) 16:56:06 ID:BbjOtues
女騎士(だが私は…くっ…駄目だ、割り切れ…ハイネ…イグッ…ナイ…テッド…)

オーク「さぁ、家に帰りなさい。決して振り返ってはいけないよ…」

子オーク「え…お父さんは…?」

オーク「お父さんは…後から行くから…」

子オーク「おと…うさん…?」

オーク「いい…から…お願いだ…いう事を…きい、て…くっ…」

ポロポロ

子オーク「お父さん…」

5: 2015/08/02(日) 21:23:08 ID:BbjOtues
オーク「早く!行くんだ!」

子オーク「!」

ダッタッタ…

女騎士「…行ったか。素直な子だ」

オーク「…あぁ」

女騎士「気休めを言うつもりはないが、お前の首を持って帰れば、しばらくはオーク討伐は無いはずだ。我らの王は、何かしら形ある成果を好むからな」

6: 2015/08/02(日) 21:25:22 ID:BbjOtues
オーク「そうか…」

女騎士「…では、氏んでもらう」

チャキッ

オーク「…ぐっ…ふぐっ…」

ポロポロ

女騎士「…」

ザンッ

7: 2015/08/02(日) 21:34:03 ID:BbjOtues
・ ・ ・ ・ ・

とある時代、とある国
人間の王は残虐非道であった。
人にあらずば生きる価値無し。
魔物は例外なく殺された。
何度も歩み寄った魔物の長、魔王は
やがて諦め
自衛の為、人間を頃した。
こうして人間と魔物は
互いに頃しあう事となった。

とある時代、とある国
ごく平凡な女騎士は
当たり前の如く、魔物を頃していた…

11: 2015/08/03(月) 21:14:42 ID:v9Fn2Cdk
~国営宿舎~

女騎士「…ふぅ」

サケ グビー

女騎士「…」

女騎士(馴れないな…魔物を頃した後の、この不快感には)

?「おやおや昼間から飲んでるのかい」

女騎士「…弓兵か」

弓兵「嫌なことは忘れるのが一番、忘れるには酒が一番…てね」

ヒョイ グビー

弓兵「っ、これ薄めてないじゃん!よく平気で飲めるわね…」

女騎士「平気なものか…口に含むたび火を吹きそうだよ」

12: 2015/08/03(月) 21:36:35 ID:v9Fn2Cdk
弓兵「…また討伐に駆り出されたのね」

女騎士「あぁ…魔物を…頃した」

弓兵「馴れろとは言わないけど…そんなんじゃあんたの方が壊れちゃうよ」

女騎士「はは、戦神と呼ばれたお前が心配するだなんてな」

弓兵「…」

女騎士「大丈夫…大丈夫、だから」

ナデ

弓兵「…」

13: 2015/08/03(月) 21:41:13 ID:v9Fn2Cdk
弓兵「私達は氏と隣り合わせ…いつ誰が氏んでもおかしくない…だけどさ、それでも、誰にも氏んで欲しくない…当たり前じゃん」

女騎士「…あぁ。優しいな、お前は」

弓兵「またそうやって…一番危ういのはあんたなんだよ…」

女騎士「大丈夫だと言っているだろ。私は…私はお前…お前達より先に氏にはしない」

弓兵「…うん」

女騎士「やる事が…やらなきゃならない事があるんだ…氏ねないさ」

14: 2015/08/03(月) 21:48:45 ID:v9Fn2Cdk
・ ・ ・ ・ ・

~夜~

女騎士「…」

女騎士(いつまで…いつまで私は…斬り続ければいい…頃し続ければいい…)

チャキッ

女騎士「はは、随分と血に染まったものだ、この剣も」

女騎士(人も魔物も数え切れないくらい斬った…それが正しいと…いつか平和になると…王を信じ…国を信じ…)

女騎士(なぁ、お前も同じ気持ちなのか…私と同じ気持ちで人間を…頃しているのか…)

女騎士「なぁ、魔王…」

ぽつりとこぼれた言葉は
やがて夜の静けさに消えた…

17: 2015/08/04(火) 05:24:03 ID:sX3aklCY
~魔王城~

魔王「…」

魔王と呼ばれるその人物は
まるで人間であった。
若干肌の色が青みがかっている以外は
まるで人間であった。

魔王「ふぅ…」

?「ため息が似合いますね、魔王様」

魔王「からかうなよ…エルフ」

エルフ「連日の指揮でお疲れ様のようです、少しお休みになっては?」

魔王「そうは…いかないさ」

18: 2015/08/04(火) 05:27:58 ID:sX3aklCY
エルフ「ですが…」

魔王「…わがままを言わせてくれ。今…今が無理をしなきゃならない時なんだよ」

エルフ「…はい」

魔王「心配をかけて…すまない」

エルフ「いえ…私は私の意志で…ここにいます。ここにいて…貴方の側で…」

ソッ フワッ

魔王「あぁ…ありがとう…ごめん。ありがとう」

エルフ「謝ってばかり。本当、変わらないですね」

19: 2015/08/05(水) 00:27:45 ID:/0z8tEyI
エルフ「…」

エルフ(目に見えて衰えてきている…私の術式では…もう進行を…)

魔王「…ごめん。やっぱりもう、そろそろ駄目なのかな…?」

エルフ「!」

魔王「はは、自分の体だからね、だいたいは…うん」

エルフ「…もう、防腐魔法は効果がほとんどありません。状態保存の魔法も同じく…今はただ進行を遅くする事が精一杯です」

魔王「そうか…」

20: 2015/08/05(水) 00:34:35 ID:/0z8tEyI
魔王「困ったなぁ…人間の王を頃すまで、保てばいいけど」

エルフ「…」

魔王「それより厄介なのがいるからなぁ…どのみち最終目標は同じなんだから、手を貸してくれてもいいのにねぇ、彼女も」

エルフ「あの人は…姉さんは、どこまでいっても人間なんですよ」

魔王「うん…だね」

21: 2015/08/05(水) 00:38:53 ID:/0z8tEyI
クラッ…

魔王「っくぅ」

エルフ「!」

魔王「だ、大丈夫だよ。悪いけど、また頼む」

エルフ「はい…」

パァァ

魔王「っ…ふぅ。だいぶ楽になったよ」

エルフ(嘘つき…本当はちっとも楽になんか…)

魔王「ありがとう、ごめんね」

エルフ(それでもこの人は…ごめんねと…)

22: 2015/08/05(水) 00:41:52 ID:/0z8tEyI
魔王「さて、ちょっとばかり予定より早いけど…あの計画を進めようかな」

エルフ「…はい。では手はず通りに」

魔王「頼んだ。僕は第六十八部隊に合流してくる」

エルフ「…お気をつけて」

魔王「うん」

23: 2015/08/05(水) 00:47:26 ID:/0z8tEyI
・ ・ ・ ・ ・

エルフ「…」

エルフ(魔物と人間の全面戦争…もはや計画と呼べるものではない。恐らく魔物が一方的に人間を蹂躙するだけ…それが分からぬ男ではない筈だ…人間の王は何を考えている…)

エルフ(あるいは本当に愚者か…そんなものと心中する気なの、姉さん…?)

25: 2015/08/05(水) 10:48:42 ID:/0z8tEyI
・ ・ ・ ・ ・

~森にて~

女騎士「イッキシ!」

弓兵「風邪?体調管理は大切だよー」

女騎士「いや、誰か噂でもしているんだろ」

弓兵「噂ねぇ…っと、そろそろゴブリンの巣だね」

女騎士「あぁ。雑魚だが数が数だ、気を抜くな」

弓兵「合点承知!」

26: 2015/08/05(水) 10:53:47 ID:/0z8tEyI
弓兵「入口に火矢を撃つわ」

ガサゴソ

女騎士「挨拶がわりか…やってやれ」

弓兵「あいよ。ショラッ!」

パシュッ

サクッ

ゴウッ ボワー メラメラメラ

弓兵「ははははは!燃えろ、燃えろ!」

女騎士「煙に気づいたら、一気に来るぞ…構えておけ」

チャキッ

弓兵「あいよ」

ザッ

27: 2015/08/05(水) 10:56:30 ID:/0z8tEyI
女騎士「…」

ザワザワ

ゴブA「ガァァァ!」

ゴブB「グギャァ!」

ゴブC~ゴブZ「ワラワラワラ」

女騎士「多すぎ」

弓兵「ゴブ多すぎ」

28: 2015/08/05(水) 11:03:15 ID:/0z8tEyI
女騎士「一匹も逃がすな、全滅させろとの命令だ」

弓兵「…あいよ」

パシュッ パシュッ

ゴブA「ブヘァァァ」

ゴブB「イッグゥゥゥ」

弓兵(ったく、命令ね…王サマは慕われてますなぁ…胸糞悪いなぁ)

29: 2015/08/05(水) 11:06:21 ID:/0z8tEyI
女騎士「はぁぁぁっ!」

ザシュッ

ゴブC「アイター」

女騎士「まとめて消えろ…せぇぇぇい!」

ズザザザザザザ

グォォ

ゴブD~S「氏んだ」

女騎士「はぁっ…はぁっ…」

ガクガクガク

弓兵(またあんな負担の大きい技を…そんなに早く氏にたいの、あんたはっ…!)

30: 2015/08/05(水) 11:10:36 ID:/0z8tEyI
ゴブK「グヌヌ…」

女騎士「氏に損なったか…」

テクテク

ゴブK「ウガ…」

女騎士「…」

ザクリ

ゴブK「ウ」

弓兵「…注目通りの全滅ね」

女騎士「…あぁ」

ボタボタ

女騎士「はぁ…ぐっ…あっ…ふぅ…」

ガサゴソ

ジャラジャラ

女騎士「…」

31: 2015/08/05(水) 11:14:32 ID:/0z8tEyI
弓兵「…」

弓兵(赤い錠剤…命の前借り…まったく、なぜそこまでできるの…!?)

女騎士「うぐっ…」

バクバク ガリガリボリボリ ゴクン

女騎士「あっぐぁぁぁ…はぁぁぁ…」

ブルブル

弓兵「…肩貸すから、ほら」

女騎士「す、すまない…」

34: 2015/08/05(水) 20:28:27 ID:/0z8tEyI
・ ・ ・ ・ ・

~国営宿舎~

女騎士「はぁ…ふぅ」

弓兵「落ち着いたようね」

女騎士「あぁ、すまなかった」

弓兵「いいよ…それより、さっきの」

女騎士「…あれがないと、もう立つこともできない。はは、辛いものだ」

弓兵「いずれ尽きるんでしょ。命のストック、無限って訳じゃ…」

女騎士「ん、あぁ。まぁ効き目が無くなった時が、その時って事だな」

弓兵「そこまで王に尽くして…何になるの…何が残るの…」

女騎士「何も。何もないさ。いや、何も残してはいけないのさ、これがな」

弓兵「だって…!」

35: 2015/08/05(水) 20:31:16 ID:/0z8tEyI
女騎士「人間の王も氏ぬ。私も氏ぬ。そして魔王も…それでおしまい、それからがはじまり」

弓兵「…他に方法は無いの?」

女騎士「さぁね。ただもうあれこれ考える時間も無いし、余裕もないんだ。何より、疲れたんだ、私は…私達は」

36: 2015/08/05(水) 20:36:26 ID:/0z8tEyI
弓兵「…」

女騎士「誰もが平和を願って行動した結果さ。良くも悪くも私達は満足しているよ」

弓兵「そんな言い方…じゃあ、残される私…私達は…何なの」

女騎士「それも含めて、私は私がなすべき事を分かってやっている…つもりだ」

弓兵「…ごめん。今更こんな事言ったって…困らせるだけだって…わかっ、てるのに…」

女騎士「優しいな、お前は…本当に、優しいよ」

37: 2015/08/06(木) 23:37:40 ID:O0P.OaO6
女騎士「やさしさだけじゃ、人は愛せないから…」

弓兵「…ああ。なぐさめて…あげられない」

オークの幽霊A「がんばれ…」

オークの幽霊B「がんばれ…」

オークの幽霊C「がんばれ…」

オークの幽霊D「がんばれ…」

38: 2015/08/06(木) 23:40:30 ID:O0P.OaO6
弓兵「い、今まで女騎士が頃したオーク達の霊が!」

女騎士「恨みで成仏できず化けて出たか…!」

オークの幽霊A「…」

フルフル

女騎士「違うのか?」

オークの幽霊B「オレタチ…ウラミ、モウナイ」

オークの幽霊C「君も辛かったのだろう…分かる分かる、君の気持ち」

オークの幽霊D「!!」

39: 2015/08/06(木) 23:43:08 ID:O0P.OaO6
オークの幽霊A「我々はただ、君…君を…」

ニマァ

オーク達「Oすために、来たのさ」

弓兵「なんとぉー!」

ヴェスバー!

40: 2015/08/06(木) 23:45:33 ID:O0P.OaO6
女騎士「そうか…そうだよな、オークだものな」

オークの幽霊A「いいじゃない、オークだもの」

ボロンッ ギンッギン

弓兵「きゃあ、テポドン!」

オークの幽霊B「ツギハオレダ!」

ポロリ ヒョロ~

女騎士「しらす!」

42: 2015/08/06(木) 23:50:27 ID:O0P.OaO6
女騎士「天元突破しとるやないか!」

オークの幽霊D「!!」

弓兵「あれは危険よ…あんなギガドリルでブレイクされたら…!」

オークの幽霊D「俺は俺だ、穴掘りオークだ!」

女騎士「ホ〇かーーーい!」

43: 2015/08/06(木) 23:54:33 ID:O0P.OaO6
ズザザッ

オークの幽霊D「俺は俺だ!」

ガシッ

オークの幽霊A「!?」

スコココ ドプッ←この間0.8秒

オークの幽霊D「俺は俺だ!」
ガシッ

オークの幽霊B「ウガッ!?」

スコドプ←この間0.02秒

オークの幽霊D「俺俺!」

ガシプッ←この間0秒

44: 2015/08/06(木) 23:57:17 ID:O0P.OaO6
ガシプッ ガシプッ ガシプッ

オークの幽霊D「おおおお俺」

オークの幽霊C「ふむ…危なかったですね」

女騎士「な…何が起こった?」

オークの幽霊C「ふむ…私の能力…【ゼロ・リピード】ですよ」

45: 2015/08/06(木) 23:59:23 ID:O0P.OaO6
女騎士「な、何だその安っぽい能力名は!」

オークの幽霊C「ふむ…簡単に言うと、永遠の0秒を繰り返す、という能力です」

弓兵「なんだかわからんが、すごそうだ」

46: 2015/08/07(金) 00:03:38 ID:/7pbV/Fc
女騎士「ふふ…そんなすごそうな能力を見せられては、な…」

ニヤリ

女騎士「見せてやろう、私の必殺技…命と引き替えに放つ、最強最大の…ビッグバンマOコ!」

グモモォォォ!

モングリィィィ マングリィィィ

サニーデイサー

ビッスゥゥゥ!

モワァ…

弓兵「ぶ、ブルーチーズ臭い!」

47: 2015/08/07(金) 00:05:54 ID:/7pbV/Fc
モワァ…

オークの幽霊C「うぐっ…頭が…臭さで頭が割れそうに痛い!」

弓兵「がぁぁぁぁ、私もだ!」

女騎士「ぐふっ…」

弓兵「お、女騎士…そうか、さっき言っていたもんな…命と引き替えに放つ必殺技だと…」

女騎士「ぐふっ…」

48: 2015/08/07(金) 00:08:30 ID:/7pbV/Fc
モワァ…

そしてそのブルーチーズ臭は

世界を包み

魔王とか人間の王とか

その他もろもろを巻き込み

その命を奪い去った。

女騎士は、なんやかんやで

目的を果たしたのだった。

おつまみ、おつまみ。

【完】

49: 2015/08/07(金) 00:31:12 ID:QhJJsgGk
今回くらいは真面目に書くつもりなのかも…
そんなことを思った時期が私にもありました

引用: 女騎士「くっ、こいつがどうなってもいいのか!」