415:忘れな草 佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 10:08:04.27 ID:9pPuji+wO
短いです。保守しにきたついでにでも読んでくれたら幸いかとww
わたしの憂鬱。
三年生の三学期、卒業と共に訪れる大事な人との別れ。
ほんとは帰りたくなんてないの……でも、これは最優先の強制コードだから仕方ない。
もう、決心もついた。
だけど、最後に一つだけの心残り。
キョンくん……。
わたしは想いを口に出来ない。だって未来が変わっちゃうから。
でも、口に出さなきゃいいって屁理屈を思いついちゃった。もう、今日で最後だからこれくらいいいよね?
わたしはあらかじめ用意していた《それ》と写真を彼の机に置いて、部室を出た。
さようなら、わたしのSOS団。さようなら、わたしの仲間達。
さようなら、わたしの思い出。さようなら、わたしの初恋……。
「あれ?朝比奈さん、いないのか?」
俺は古泉と部室に来た。ハルヒと長門は鶴屋さんに祝いを言いに行っている。
誰もいない部室を見回すと、ちょっとした変化に気付いた。
俺の机の上、紙と布で造られた造花と、その見本であろう写真が乗っていた。
朝比奈さんだろうか?俺は手に取り、古泉に尋ねた。
「これとこれ。何て花かわかるか?」
それを見た古泉は、少し悲しそうな顔をした。
わたしの憂鬱。
三年生の三学期、卒業と共に訪れる大事な人との別れ。
ほんとは帰りたくなんてないの……でも、これは最優先の強制コードだから仕方ない。
もう、決心もついた。
だけど、最後に一つだけの心残り。
キョンくん……。
わたしは想いを口に出来ない。だって未来が変わっちゃうから。
でも、口に出さなきゃいいって屁理屈を思いついちゃった。もう、今日で最後だからこれくらいいいよね?
わたしはあらかじめ用意していた《それ》と写真を彼の机に置いて、部室を出た。
さようなら、わたしのSOS団。さようなら、わたしの仲間達。
さようなら、わたしの思い出。さようなら、わたしの初恋……。
「あれ?朝比奈さん、いないのか?」
俺は古泉と部室に来た。ハルヒと長門は鶴屋さんに祝いを言いに行っている。
誰もいない部室を見回すと、ちょっとした変化に気付いた。
俺の机の上、紙と布で造られた造花と、その見本であろう写真が乗っていた。
朝比奈さんだろうか?俺は手に取り、古泉に尋ねた。
「これとこれ。何て花かわかるか?」
それを見た古泉は、少し悲しそうな顔をした。
416: 佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 10:10:26.32 ID:9pPuji+wO
「そう……でしたか。あなたの右手にある花、それはコスモスですよ。花言葉は、乙女の純情……」
丁寧に花言葉まで解説するのか、ありがたい事だ。
「そして左手にある花、それは……忘れな草です。英訳の《forget-me-not》の表すように、花言葉は……」
嫌な予感がした。
「わたしを忘れないで」
俺は走りだした。朝比奈さんは何処にいる?もし、未来に帰るとするなら、あの公園が一番怪しい。
鞄も、写真も、造花も全て部室に置いたまま、俺は一目散に向かった。
公園のベンチに腰掛けた、愛らしい顔に悲しみを浮かべる朝比奈さんがそこにいた。
「キョン……くん?」
「朝比奈さん!何で……何で勝手に未来に帰ろうとしたんです!?まだ、お別れ会だって終わってないじゃないですか……」
朝比奈さんは俯いた。わかってる、未来からの強制コードとやらが来たのだろう。
それでも、俺はそう言うしか出来なかった。
俺は朝比奈さんの手を引き、立ち上がらせて抱き締めた。
「えっ?……キョン、くん?」
「勝手に帰らせたりなんかしませんよ。俺はこうやってずっと、掴まえてますから」
丁寧に花言葉まで解説するのか、ありがたい事だ。
「そして左手にある花、それは……忘れな草です。英訳の《forget-me-not》の表すように、花言葉は……」
嫌な予感がした。
「わたしを忘れないで」
俺は走りだした。朝比奈さんは何処にいる?もし、未来に帰るとするなら、あの公園が一番怪しい。
鞄も、写真も、造花も全て部室に置いたまま、俺は一目散に向かった。
公園のベンチに腰掛けた、愛らしい顔に悲しみを浮かべる朝比奈さんがそこにいた。
「キョン……くん?」
「朝比奈さん!何で……何で勝手に未来に帰ろうとしたんです!?まだ、お別れ会だって終わってないじゃないですか……」
朝比奈さんは俯いた。わかってる、未来からの強制コードとやらが来たのだろう。
それでも、俺はそう言うしか出来なかった。
俺は朝比奈さんの手を引き、立ち上がらせて抱き締めた。
「えっ?……キョン、くん?」
「勝手に帰らせたりなんかしませんよ。俺はこうやってずっと、掴まえてますから」
417: 佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 10:11:48.89 ID:9pPuji+wO
思わず、抱き締める腕に力が入った。
「んっ……痛い、ですよぉ……」
「あ、ごめんなさい。つい……」
俺が少し抱き締める力を弱めた瞬間、唇を奪われた。
そのまま、数秒間口付けを躱した後、朝比奈さんは耳元で呟いた。
「……ごめんなさい、キョンくん」
俺は油断していた、不意をつかれたキスにやられた。
あの衝撃と共に意識が薄れていく。
そうだ…これがあったか……。
俺は、なんて無力なんだ……
気がつくと、俺はベンチに一人寝転がっていた。
辺りを見回す。人の影一つない。
そうか、俺は止められなかったのか……。
みんなの所に帰ろう。そして、急な引越しになったとハルヒに伝えよう……。
俺は学校へと、部室へとゆっくり歩き出した。
部室の前、鶴屋さんの声が聞こえてくる。ハルヒがお別れ会に誘ったのだろう。
俺は開けるのをためらったが、深呼吸をしてドアを開けた。
「遅いわよ!キョン!みくるちゃんは?……ってあれ?あんたそのポケットはなによ、新しい流行?」
ポケット?
俺が自分のブレザーの胸ポケットを見ると、元気のよい、鮮やかな色をした忘れな草が刺さっていた。
「んっ……痛い、ですよぉ……」
「あ、ごめんなさい。つい……」
俺が少し抱き締める力を弱めた瞬間、唇を奪われた。
そのまま、数秒間口付けを躱した後、朝比奈さんは耳元で呟いた。
「……ごめんなさい、キョンくん」
俺は油断していた、不意をつかれたキスにやられた。
あの衝撃と共に意識が薄れていく。
そうだ…これがあったか……。
俺は、なんて無力なんだ……
気がつくと、俺はベンチに一人寝転がっていた。
辺りを見回す。人の影一つない。
そうか、俺は止められなかったのか……。
みんなの所に帰ろう。そして、急な引越しになったとハルヒに伝えよう……。
俺は学校へと、部室へとゆっくり歩き出した。
部室の前、鶴屋さんの声が聞こえてくる。ハルヒがお別れ会に誘ったのだろう。
俺は開けるのをためらったが、深呼吸をしてドアを開けた。
「遅いわよ!キョン!みくるちゃんは?……ってあれ?あんたそのポケットはなによ、新しい流行?」
ポケット?
俺が自分のブレザーの胸ポケットを見ると、元気のよい、鮮やかな色をした忘れな草が刺さっていた。
418: 佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 10:14:28.97 ID:9pPuji+wO
涙が、溢れた。
部室で騒いでいた連中の目など気にする間もなく、俺は泣いた。泣き続けた。
みんなが呆気に取られる中、泣き続ける俺を、古泉が抱えて連れ出してくれた。
「どうぞ、続きをなさっててください」
そんな声にもツッコミが出来ないくらい、俺は泣き続けた。
気がつくと、そこは屋上だった。
「止められなかったん……ですね?」
「あぁ……」
そう言うと、古泉も少し涙を流し始めた。
「もう少しだけでも、一緒に居たかったですね」
「……そうだな」
俺は胸の忘れな草を手に取り、星空に翳した。
「僕達だけでも、しっかりと覚えておきましょう。朝比奈さんのことを……」
古泉の言葉が暗闇に吸い込まれて行く。星明かりと、月明かりだけの屋上。
空を見上げると、朝比奈さんの声が聞こえたような気がした。……いや、聞こえた。
俺が聞いた最後の声。一生耳に残り、頭から離れることはないだろう。
「わたしを、忘れないでくださいね?」
終わり
以上です。
俺は遅刻だけど学校行くんで、これを読んで保守頑張ってくださいww
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