90: 2006/11/13(月) 07:02:27.63 ID:UVF6rp1k0
【株式会社SOS団】 
プロローグ『会社設立』

俺たちは高校を卒業した。俺たちとはもちろん、涼宮ハルヒ率いるSOS団の面々である。
そして、今大学生活も終わりを迎えようとしている。

ハルヒのとんでもパワーは今なお健在であり、高校を卒業したからといってその行動にブレーキがかかるなどということはなかった。
本来なら俺がブレーキをかけるべきだったのかもしれないが、俺はブレーキをかけようともしなかった。
なぜなら俺は心底この環境に……いや涼宮ハルヒという女にとっくにいかれちまってたからだ。

そして、俺たちSOS団の人生を決定付ける道はこんな些細な会話から始まる事になる。



「就職活動は終わったか?」
「いえ、全然駄目ね」

俺とハルヒの二人は大学のカフェテラスで近況報告をしていた。
話の流れでわかるかもしれないが、俺たちは既に大学4回生だ。
となれば、そろそろ社会に出ることを真剣に考えなければならない時期である。
高校を卒業した俺たちSOS団部員は全員同じ大学に在籍していた。
これでも、県下ではトップクラスの大学であり、高校時代の俺の成績では逆立ちしても合格など出来ないだろうと思われる学校である。
ならなんで合格できたのかって? それは優秀な先生がついていてくれたからさ。
目の前で膨れっ面をしている女性がね。そんなこんなでボーダーラインぎりぎりでなんとか補欠合格出来たって訳だ。
そんなこんなの中には俺とハルヒが恋人になったというエピソードもあるけど、ここでは省かせてもらおう。

91: 2006/11/13(月) 07:03:04.02 ID:UVF6rp1k0
さて、そろそろ本題に戻ろう。
実は俺はとても焦っている。さっきの会話の通りハルヒの就活は芳しくない。
もちろん俺も例外ではない。実は季節は既に夏を過ぎ、もうマフラーが似合うような季節になっていた。
そう! そんな時期にも関わらず未だに仕事が見つかっていないのだ!
いい大学に入ったからといってすんなりいい職につけるわけではないのだ、南無。

「キョンもまだ決まってないんでしょ?」
「ああ。でも、俺たち全員仕事が決まらないなんておかしいよなぁ……」

そうなのだ。なにも内定をもらっていないのは俺とハルヒだけではない。
長門に古泉、そして去年ここを卒業した朝比奈さんも仕事が決まっていない。
これは不景気だどうとかという問題なのだろうか?

「あたし考えてみたのよね」
「なにをだ?」
「つまんないのよ! どうしてこの社会にはもっとマシな仕事がないの?」
「ないもんはしょうがないだろう」
「社会に出ればもっと面白いものも見つかると思ってたのに、興醒めよ」
「仕方ないだろう」
俺は仕方なく意見してやった。
「仕事というものは決して楽しいばかりのものではない。生きるための手段の一つであって、娯楽ではないんだからな」
ハルヒは黙って聞いているようだ。
「そもそも会社という集合体にしてもそうだ。既に先人が築いてきたレールに俺たちは組み込まれることになる。だから、そこに面白さだけを求めるのはだな……」
「うるさい」
それっきりハルヒはそっぽ向いてしまった。
きっと、これがきっかけだたんだろう。



92: 2006/11/13(月) 07:03:50.85 ID:UVF6rp1k0
「ないんだったら自分で作ればいいのよ!」
どこかデジャブを感じる言葉を発してハルヒは突然俺の目の前に現れた。
実に数ヶ月振りのことである。
「……色々言いたい事があるのだが……とりあえず今までどこにいってたんだ?」
「ふふん」
ハルヒは得意げに鼻を鳴らし言ってのけた。
「会社を作ったのよ!」
答えになってないぞ


『世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団本部』
略してSOS団である。ちなみに本部などとついているが、支部などもちろんありはしない。

ハルヒにつれられるまま俺はどこぞのビルの一室へと連れ込まれた。
さっきのは部屋の前に貼ってあったプレートだ。
そこはなんとハルヒが作った会社だという。
中には既に、長門、朝比奈さん、古泉と御馴染みのメンツが揃っていた。
そこで、俺はこの会社の説明を受けた。

そう、ここから俺たちの新しい人生が始まったのだ!
え? なんで止めないのかって?
そんなもったいない事出来るかよ。こんな面白そうな事が待ってるのによ!

ハルヒと付き合って俺は変わったとかつての友は言う。ああ、俺もそう思うさ。

そう……俺は『ノリやすく』なっていた。




93: 2006/11/13(月) 07:04:22.07 ID:UVF6rp1k0
『世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団本部』


「社 長  涼宮ハルヒ」
「専 務  長門有希」
「部 長  キョン」
「課 長  朝比奈みくる」
「係 長  古泉一樹」


「ハルヒ~、いや社長、名刺が出来たぞ」
「ふふふっ、これから忙しくなるわよ」

ロビーには3人の女性と2人の男性がいた。どうやら会議のようなものをしているらしい……。

「係長!はやくわが社の宣伝をしてきたまえ!」
「は、はい!部長!」
「わが社の社運はあなたにかかっているといっても過言ではないのよ」
「さあ、ビラを渡しておこう。配ってくるんだ」
「それでは、行ってまいります!」

ガチャッバタン!
係長と呼ばれた男は慌しく飛び出していった。

94: 2006/11/13(月) 07:05:18.29 ID:UVF6rp1k0
「しかし上手く考えたものだな。ハルヒ」
「ここでは社長と呼びなさい。でも、ようやく形になってきたわね」
「まだ、設立して一時間ですけど……それに私はあまりお勧めできないのできませぇん……」
「何を言っているの、課長」
「あっ、すずみ、いえ、社長……」
「世界にはあたしたちを必要としてる人たちが沢山いるのよ。その人たちのためにもあたしたちは働かなければいけないの。
 それが、ひいては世のため金のた……コホン……世のため人のためになるのよ!」
一瞬社長の口から本音が漏れたような気がするが、気のせいだろう。

「ところで社長。ここの会社は一体何をする所なんですか?」
当然の疑問を課長が訊ねる。
「コスプレではない事は確かよ」
「基本的には何でも屋。でも体力勝負の会社だから傭兵、警備隊とかが多い」
専務が補足する。
「な、何だか楽しくなりそうですね」
「当ったり前よ!たくさんもうけ……ゲフンッゲフンッ……じゃなくてたくさん人助けするわよ」

バタン!

先ほどのガチホ〇……ではなくて係長が戻ってきた。

「ビラ配り終えました!」
「ご苦労様。今度はこっちを頼むわね」
「…………」

95: 2006/11/13(月) 07:06:43.13 ID:UVF6rp1k0
そして、設立から3時間ほど経った頃……

ジリリリリリン!ジリリリリリン!

オフィスの電話が鳴っている。なんとも懐かしいアナログなコール音である。

「はいもしもし、こちら世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団本部です。……はい。……はい、はい。
 なるほど、御要件はそれでよろしいですか?……はい、それではすぐに社員を向かわせますので、よろしくおねがいします」
ガチャン
「仕事よ。それじゃあ皆、頼むわよ~!」
「おうっ!」
「はい!」
「分かりました」
「……わかった」

こうして彼らの仕事は始まる事になる。

プロローグ 臭

96: 2006/11/13(月) 07:09:29.11 ID:UVF6rp1k0
プロローグ終わりです。
それでは、また次回『2人の氏事』で

タイトルは予告なく変更する事があります

98: 2006/11/13(月) 07:17:40.89 ID:6Y4jY2jG0

引用: ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」