120:株式会社SOS団第2話 2006/11/13(月) 09:19:18.09 ID:UVF6rp1k0

株式会社SOS団 第1話



【株式会社SOS団】 
第2話『助っ人』

「社長~! 部長と係長がいまだに帰ってきませぇん!」
「まったく何してるのかしら! 依頼がたまっているというのに!」
「この際、コストが増えるのは仕方ない……」
「わかったわよ、仕方ないわね……」


【新入SHINE】

『世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団』

「入社おめでとう。私たちがあなたたちに期待することは任務の達成。それだけです。社命を握るのはあなたたちです。期待しているわよ」

かくして、人員補給のために、3名が入社した。

「部長代理  鶴屋さん」
「平社員  谷口」
「平社員  キョン妹」

ちなみにこれまでの全社員は

「社 長  涼宮ハルヒ」
「専 務  長門有希」
「部 長  キョン」
「課 長  朝比奈みくる」
「係 長  古泉一樹」

の5名からなっていた。
涼宮ハルヒの憂鬱/2009年度放送版
122: 2006/11/13(月) 09:20:33.50 ID:UVF6rp1k0
名刺が専務から手渡される。
「これを全部配ってきて」
「2006枚も……?」
谷口社員が不安そうにつぶやく。
「大丈夫だよ~。だって谷口くんは頼りになるもん」
「そうそう、頼りにしてるっさ!」
「そ、そうっすか? 任せてくださいよ!」
「じゃあ、あたしの分もお願いね♪さ、妹ちゃんも」
こっそり囁く部長代理。この狡猾ぶりが彼女を部長代理の地位までのし上げたのだろう。

ジリリリリリン!ジリリリリリン!

「電話が鳴ってるわ」
「私、今カレー食べてるから……」
「あたしもコーラ飲んでるの。課長!早く出なさい!」
「……やっぱり、私の仕事なんですね。」

ガチャッ

「はいもしもし、こちら世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団本部です。……はい。……はい、はい。
 はい、それではすぐに社員を向かわせますので、よろしくおねがいします。」ガチャン

「社長、仕事ですよ」
「あたしにどうしろって言うのよ?」
コーラ缶をくわえながら不満そうに訴える社長。

(何で、私が責められなきゃならないんです!!)

口にすると後が恐いことは百も承知、二百も合点なのは分かりきった話なのは最早定説である。

123: 2006/11/13(月) 09:21:13.47 ID:UVF6rp1k0
「専務、仕事ですよ」
「電話に出たのはあなた?」
(この会社、もうすぐですね・・・)
「中間管理職はこれだからつらい」
(それは私のセリフです!!)

半ばあきらめかけたその時である。課長はもう一人上司がいることに気が付いた。
(でも、なんで入社してすぐに私より上にいるんですか!)
報復が恐いので、これも敢えて言わない。日々、課長は気苦労が耐えないのだ。

「部、部長代理、仕事の依頼が入りましたが……」
「みくる……じゃなくって課長、何年この仕事やってるの?」
(あなたもなんですか!?鶴屋さん!)
「そのくらい、自分で考えなさい、と言いたいところだけど、今日はあたしに任せるにょろ。それで仕事内容は?」
「えーと……」


10分後


124: 2006/11/13(月) 09:23:08.13 ID:UVF6rp1k0
「課長、任せたよ」
「え!?」
「この仕事はあたしには無理っさ」
「…………」
「課長~プリンまだ~?」
「……福神漬けがきれてる……課長……」
「…………う~ん。…………キンソクジコウデスゥ…………」
バタッ
「課長、どうしたの?」
「過労による体調異常」
「……仕方ないわね、今回の仕事は新入りに任せることにするわ」
「え~~!?なんだよそれ涼宮ふざけ――――」
いつのまにか戻ってきていた谷口(平)が叫ぶ。
「……社命がかかってるのよ!?」
「……お引き受けいたします」
(いっそこんな会社潰しちゃえよ!)
宇宙から部長の声が聞こえた気がした。
……おそらく気のせいだろう。


「仕方ないか。あたしの出番がついに来たってことだね。行くよ!谷口くん!」
「え!?ちょ、ちょっと待って下さいよ!やっぱり俺も行くんすか!?」
「当たり前だよ」
「嫌だよ!俺は絶対に行かねぇ!」
「上司の命令が聞けないの……!!」
凄まじい狂気を感じた谷口(平)は上司の命令は絶対であるというこの会社の社訓にようやく気付いたのであった。

125: 2006/11/13(月) 09:25:00.39 ID:UVF6rp1k0
「はい、じゃあ2人にはパスポートを渡しておくわ」
「ということは……」
「外国なのか……」
社長からパスポートを受け取った二人は早速空港に向かわねばならなかった。徒歩で。

3時間後……

「ふう、ふう、さすがに疲れるわねー」
「はぁはぁ……」
「ふぅふぅ……」
部長代理よりも疲れた様相の平社員谷口。
「……なんでこんなことに」
「……いやでも、鶴屋さんと二人っきりだぞ」
「あわよくば……あんな事もこんな事も……」
「安産祈願、家内安全」
謎の言葉を繰り返す谷口。
「?」
怪訝そうな面持ちの部長代理。
「なにぶつぶつつぶやいてるさ?」
「? いや、何となくこんな言葉が勝手に出てきただけですよ」
(そんなに人生甘くないよ谷口)
彼方から相方国木田の声が聞こえた気がした。
……おそらく気のせいである。

「バカなことやってないで早く行くっさ♪」
「楽しそうですね、鶴屋さん。」
「だってただで外国に行けるんだよ?楽しいに決まってるよ」
「それもそうですね。俺海外旅行って初めてなんですよ」

ただほど高いものはない。先人はこのような偉大な言葉も残していたことを2人は知っていたのかどうか?

126: 2006/11/13(月) 09:26:43.59 ID:UVF6rp1k0
17時間後……

「よ、ようやく着いたね、谷口くん」
「もう足がガクガクですよ。冷静に考えたら鶴屋さんの家の車で送ってもらえばよかったんじゃないですか?」
「…………」
「…………」
「確か依頼主が空港で待っているはずなんだけど……」
「……はい(そらしたな)」

「すみません、世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団の社員の方でいらっしゃいますか?」
後ろから1人の女性が声をかけてきた。
「ええ、そうですよ。世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団本部の鶴屋さんさ!下の名前はお上の事情により語れないから勘弁っさ!」
「谷口です。以下同文」
「やはりそうでしたか。目立ってましたからすぐに分かりましたよ。私、こういうものですが」
男は名刺を内ポケットから取り出した。
『思念体コンツェルン副社長喜緑江美里』
「裏にも何かあるね」
『シチリアンマフ』
おそらく続きもあるのだろうが、そこまで読んで底知れぬ悪寒を感じた部長代理は途中で見るのをやめて表に戻した。
「早速依頼の件なのですが……」

127: 2006/11/13(月) 09:29:52.59 ID:UVF6rp1k0
7時間後……

「まさかこんな依頼を受けるなんて思ってもみなかったよ……」

喜緑さんの依頼とは『最近発見された洞窟の奥深くに隠された財宝を探して欲しい』というものだった。
なんでもその財宝は強力な熱を発している「何か」らしい。

「この洞窟ってまだあの会社の人以外には知られていないんすか?」
「秘密にして財宝は独り占めにするそうだよ。そこで優秀な我がSOS団にお声がかかったって訳さ。 
 発見したらうちにも財宝の3分の1を渡すということで決まったそうにょろ。それにしても、以外に明るくてよかったよ」
「……そうっすね」

灯りとぼしい洞窟内では、本来サバイバルキットも持たず、足を踏み入れるのは自殺行為である。
しかし、隙間などから漏れている微量の明かりから周囲の光を集め反射している鶴屋さんの『おでこ』が大活躍していた。
だが、谷口は何も語らなかった。その時、確かに彼は漢だった。

「にしても鶴屋さん、さっきからずっと同じ所をぐるぐる回ってるような気がするんですけど……」
「あたしの勘を信じるでごわす」
「ごわすって……もしかして鶴屋さん迷ったんですか?」
「ダイジョウダヨ。マッタクタニグチクンハシンパイショウダネ」
「会話がカタカナになってるんですけど……」
谷口(平)は、もう泣きたかった。


128: 2006/11/13(月) 09:30:32.35 ID:UVF6rp1k0
【未帰還者多数】


……日本『世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団本部』

「あ、プリンが切れた」
「カレーがない」

横でシャミと戯れているのは平社員のキョン妹である。

「ハ~、自分でやるしかないわね」

2人の落胆する姿を見て、もう少し故障中のふりをしていようと決めたみくるであった。


第2話 囚

129: 2006/11/13(月) 09:34:17.27 ID:9c34OjGs0

引用: ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」