143: 2019/07/23(火) 04:17:58.21 ID:peHjoJ4K0
96匹目:黒猫(96猫)


前回:北上「私は黒猫だ」93匹目
最初から:北上「我輩は猫である」














出撃にはまだ時間があった。

部屋に戻った私は夕張からのお守りとやらをどこに付けるかで悩んでいた。

スマホケースに付けられるとは言ってたけど出撃にスマホ持ってくのはちょっとねえ。

北上「まあいっか。別に惜しむ事もない」

手帳型のケースにキーホルダーを付けポケットに入れる。

うん問題なさそう。
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144: 2019/07/23(火) 04:18:33.91 ID:peHjoJ4K0
部屋では私の他に多摩姉が何やら雑誌を読んでいた。

今日の作戦と事は関係者以外知らない。

皆には普通の出撃だと伝えられているはずだ。

だから何食わぬ顔で部屋を出る

はずだった。

多摩「待つにゃ」

私は止まらない。

多摩「待てにゃ」

私は止まらない。

多摩「…」

私は

多摩「行ってきますくらい言えにゃ」

止まった。

145: 2019/07/23(火) 04:19:01.74 ID:peHjoJ4K0
行ってきます、とは、行って帰ってくるという意味らしい。

今の私には何とも似合わない挨拶だ。

北上「行ってきます」

多摩「行ってらっしゃいにゃ」

再び歩みだし私を、多摩姉は止めなかった。

私が何を考えているか多摩姉には分からないように、私も多摩姉が何を考えているか分からない。

でもきっと多摩姉には多摩姉也の考えがあって私を止めないのだろう。

多摩姉はそういう人だ。

北上「…」

行ってきます。

146: 2019/07/23(火) 04:19:40.06 ID:peHjoJ4K0
球磨姉は遠征だ。

きっと球磨姉は私のことに気づいていない。

悩んでる時や落ち込んでる時、そういった事には敏感だ。

でも核心的なところには鈍い。

でもそれは悪い意味じゃない。

球磨姉は純粋だ。

ただただいい人なんだ。

私達のおねーちゃん。球磨型一番艦はそういう人だ。

そういう人であり続けてほしい。

なんてのは、少し無責任だろうか。

147: 2019/07/23(火) 04:20:17.56 ID:peHjoJ4K0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

なんとなく誰かに見つかるのを避けて建物の裏を通っていた。

だから誰にも合わないと、そう思っていた。

木曾「よお、上姉」

北上「…なんで木曾がここにいるのかな」

木曾「行かせないためだよ」

そう言って少し構える。

黒いマントをたなびかせ、右手を腰の剣に回す。

まるで私が逃げ出そうとしようものなら直ぐにでも抜刀すると言わんばかりに。

北上「邪魔しないでよ。私の勝手でしょ」

木曾「邪魔させてもらうぜ。オレの勝手でな」

北上「おねーちゃんの言うことは聞くもんだよ」

木曾「妹のワガママには付き合うもんだぜ」

睨み合う。

抜き身の会話。

本当に、互いの心を相手に差し向けた、やりとり。

木曾のあの鋭い目付きは今、深海棲艦ではなく私に向けられている。

148: 2019/07/23(火) 04:20:50.56 ID:peHjoJ4K0
木曾「上姉はいつもそうだ。飄々として掴みどころがなくて、大事な事はいっつも言わずに抱え込む」

木曾が拳を強く握る。

木曾「まるで猫だ」

猫か。

木曾「上姉が何考えてるか、オレにはサッパリ分からねえ。でも上姉がどんな人かは知ってるさ」

随分前に、こんな会話をした気がする。

木曾「いっつも抱え込む。自分じゃ抱えきれないようなものでも。でもそれはオレ達を信頼してないからじゃない」

私には悩みを打ち明けられるような家族はもういない。

私には苦悩を共に出来る家族はもういない。

でも私には姉妹がいる。

149: 2019/07/23(火) 04:21:22.45 ID:peHjoJ4K0
木曾「オレ達の事を信用しているからこそ、上姉は1人で勝手に進んでく」

私の帰るべき場所。

木曾「後先考えずに、後ろを任せて、背中を預けて。上姉は、いつだってオレ達を頼ってたし信頼してくれてた」

転んだら助けてくれる。

立ち止まったら背中を押してくれる。

背を預けて戦える。

木曾「だからオレ達は何も言わなかった。何も言えなかった。球磨姉や多摩姉やおい姉が何を思ってたかは知らないさ。でもオレは、言えなかった」

そう言って少し下を向く。

150: 2019/07/23(火) 04:22:12.55 ID:peHjoJ4K0
木曾「でもそれでも良かった。上姉はいつだって帰ってきた。いっつも戻ってきた」

私の帰るべき場所。

それは、今、何処なんだろうか。

木曾「でも、今回はダメだ。今回だけはダメだ。今度ばかりは、我慢の限界だ」

声を震わせながらさらに俯く。

そして、決心したかのようにキッと顔を上げ真っ直ぐ私を見据えて言った。

木曾「なんであんたはいつも独りなんだよ!私達は姉妹だろ!?独りでいてどうする!独りでいてなんになる!」

それはもう、ほとんど悲鳴だった。

木曾「いっつもいっつも!まるで独りである事を確認するみたいに家に帰ってきて!」

容赦なく、切り込んでんくる。

151: 2019/07/23(火) 04:22:57.32 ID:peHjoJ4K0
木曾「信頼してくれてた、信用してくれてた。でも結局あんたは私達の事を一度だって姉妹として見てくれなかったんじゃないか?」

だって、私はニセモノだから。北上じゃないから。私は猫であることを選んだから。

姉妹の事が好きだから、そこにはいられない。

木曾「野良猫と同じだ!エサがあるから寄ってくるだけで、無くなればそれっきりみたいな、そんな!そんなんじゃ、ないだろ…」

再び目を伏せる妹。

猫何故かは氏期が近づくと姿を消すという。

眉唾物の迷信みたいなものだ。

所詮は人間が作り出した勝手な想像。

でももし、それがその通りなら。

今の私にはその理由が良くわかる気がする。

艦娘もまた人の生み出した想像の産物だと言うのなら、きっとその通りなのだろう。

152: 2019/07/23(火) 04:23:23.16 ID:peHjoJ4K0
出会わなければよかった。

今の私ならそう言える。

みんながいたからここまで来れた。

みんながいたから楽しかった。

でも失ってしまうならそんなの無かったのと同じじゃないか。

どうせ消えるニセモノなら、最初からいなければ良かった。

だから、言うべきだ。そう言うべきだ。

木曾「なんで私を頼らないんだよ!!」

北上「木曾」

だから私は

153: 2019/07/23(火) 04:23:55.66 ID:peHjoJ4K0
北上「ありがとね」

自分でも驚いた。

こんな言葉がこの口から飛び出すとは本当に思いもよらなかった。

でも一番驚いていたのは、木曾だった。

この時の木曾の表情を、彼女の中に渦巻く様々な感情を表す言葉を、私は持ち合わせていなかった。

動揺で立ち尽くした。

だからまるで急降下爆撃のように建物の上から降ってきた第三者に反応できなかった。

谷風「せいっ!」
木曾「!?」ゴツン
北上「ウェッ!?」

154: 2019/07/23(火) 04:24:27.22 ID:peHjoJ4K0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

北上「…い、生きてるのそれ?」

頭と頭が見事にぶつかり合った結果、木曾は地面にぶっ倒れた。

谷風「少なくとも氏んではないみたいだね」

北上「それ大丈夫とは言えないって事だよね」

谷風「だいじょぶだいじょぶ艦娘だからさ」

北上「それ皆言うけどあんまり信用出来ないんだよね私…」

谷風「"艦娘"じゃないからってか?」

北上「…」

谷風「そう怖い顔をしないでおくれよ。何も止めに来たわけじゃないからさ」

北上「なら何をしに」

谷風「こうして助けに。助け、とは言えないかな?うん、お見送りにだね」

155: 2019/07/23(火) 04:25:05.55 ID:peHjoJ4K0
北上「ウミネコがお見送りとはね」

谷風「それくらいはするさ。雛が飛び立つまではね。何処へ行くかは君次第さ」

北上「下からなのに上から目線だ」

谷風「だからいつも高い所から見下ろしているってわけだ」

北上「高い所が好きってのはあまりいいイメージないけどね」

谷風「馬鹿や煙と一緒にはしないでおくれよ」

北上「そりゃ失礼。ところで谷風は頭大丈夫なの?」

谷風「谷風サンは石頭だからねッ」

北上「はは、確かに頑固だもんね」

谷風「こりゃ一本取られた」

156: 2019/07/23(火) 04:25:40.41 ID:peHjoJ4K0
谷風「それじゃ、いってらっしゃい」

北上「谷風はどうすんのさ」

谷風「この娘ほっとくわけにはいかないしねえ。かと言って誰かにバレてもアレだし、ここで見張るかな」

北上「今更だけどもっと別の方法があったんじゃないかなって」

谷風「何事も殴って解決が一番だからね」

北上「石頭でなく脳筋だったか」

谷風「手っ取り早いでしょ?」ヨッコラセ

北上「ちょいちょい乗るな乗るな木曾に」

谷風「ほらほらそろそろ時間だよ?」

北上「…はぁ、分かったよ。じゃあ」

谷風「うん」

157: 2019/07/23(火) 04:26:07.39 ID:peHjoJ4K0
谷風「あぁ最後にひとついいかな」

北上「えーここで呼び止める?」

谷風「忘れてたんだ。これくらいは答えておくれよ」

北上「何さ」

谷風「結局どっちなんだい?散々迷った結果は」

北上「仇討ちだよ。猫としてね。北上にはこんな事させられないからね。そこは決めたよ」

谷風「猫の恩返しってわけだ」

北上「そう、だね。猫の"おん"返しだ」

谷風「ふーん。飼い主の方が大事かい」

北上「皆も同じくらい好きだよ。だからここに置いていく事にした。後ろ髪はずっと引かれてるけど、振り向かないようにしなきゃね」

谷風「強いね」

北上「弱いよ。私だけじゃ」

谷風「そうかい。なら走るといいさ、メロス」

北上「別に谷風を助けるためとかじゃないんだけど」

谷風「私はセリヌンティウスじゃないよ。この場合は、誰だろうね。約束の相手は」

北上「さあ。まあ頑張ってみるよ」

158: 2019/07/23(火) 04:26:35.15 ID:peHjoJ4K0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

提督「時間ピッタリだな」

北上「何その以外そうな顔」

飛龍「はいじゃあ間宮奢りね」

北上「待て何してたの」

日向「君がいつ来るかで賭けをね」

吹雪「真っ先に遅れるに賭けてましたね」

北上「…」ジトー

提督「違う!違うんだ!」

飛龍「提督サイテー」ケラケラ

大井「北上さんの事全っ然分かってませんね」

北上「いや飛龍さんもやってたでしょ」

飛龍「私はちゃんと来る方に賭けてたから!」フンス

北上「そういう問題じゃない…」

159: 2019/07/23(火) 04:27:12.89 ID:peHjoJ4K0
港。

と言っても普通のの港と違って私達艦娘用の港。

倉庫のような大きな空間の中にまるでプールのように海水が張ってあって、それが海と繋がっている。

屋根いる?と思った事もあったが出撃する方はともかく見送りやお迎えに来たりする提督や他の艦娘からすると雨風を防げるのは助かるのだ。

今回の見送りは提督と吹雪。二人が並んで立っている。

出撃は私と大井っち、飛龍さん、日向さん。提督達の前に並ぶ。

他は誰もいない。

出撃組も遠征組もこの時間帯は誰も港に来ない。そうなるようにスケジュールを組んだらしい。

私達の出撃はあくまでこっそり。

160: 2019/07/23(火) 04:27:50.94 ID:peHjoJ4K0
提督「さてと。最後のブリーフィングだ。といっても今更言うことも無いか」

吹雪「えーここは指揮官がビシッと決めるとこですよ!キマってんのは金髪だけじゃない所見せてください」

提督「馬鹿にしたな、金髪を馬鹿にしたなお前」

飛龍「今日上手くいったら金髪辞めるとか?」

提督「それは…いや辞めねえよ。これは別問題だ」

飛龍「じゃあ金髪辞めるか全身の毛を金に染めるかで」

提督「何その惨い二択。言ったらにはお前が染めろよ俺の毛」

飛龍「え、いいの?」

提督「うわ怖ぇ!一切の躊躇がねえ!」

大井「セクハラよそれ」

提督「俺か?俺が悪いか今の?」

161: 2019/07/23(火) 04:28:23.89 ID:peHjoJ4K0
日向「そろそろ時間だな」

提督「よし」

北上「切り替え早い」

提督「作戦は変更なし。歯痒いが、俺はもうここで祈るくらいしか出来ることはねえ」

飛龍「提督に祈られてもなあ」

吹雪「運はありますよこの人。だからなんだって話ですけど」

提督「だから余計な事はせず待っとくよ。いいか、前にも言ったが今回で成功するとは限らん。あくまでここはスタートラインだ。気負うな。最後に笑った奴が勝ちだ」

北上「おーなんかそれっぽい」

日向「存外様になってるじゃないか」

大井「提督っぽさはありますね」

提督「そ、そうか?」

吹雪「そうですねぇ。蛙の子は蛙、ですね」

162: 2019/07/23(火) 04:28:55.14 ID:peHjoJ4K0
提督「よし、それじゃぁ…あ?」

提督が固まった。

目線を港の先、海の方に向けたまま。

北上「?」

吹雪「司令官?」

吹雪が不思議そうに提督の視線の先を追う。

釣られて私達も後ろを振り返る。

北上「え!?あれ、あれって…」

港へまっすぐ向かう一つの影があった。

163: 2019/07/23(火) 04:29:25.62 ID:peHjoJ4K0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

球磨「何してんだクマ?」

提督「いや、お前こそ何してんだ?」

吹雪「え、あの、球磨さん遠征ですよね?というか、え?一人?」

極々自然に何時もの流れでサッと港から上がってきた球磨姉。あまりに予想外な事に皆対応が出来なかった。

球磨「遠征自体は終わったクマ。ただなんか妙な感覚というか予感がして、皆に断って一人で先行してきたんだクマ」

吹雪「嫌な予感って、そんな事でこちらに連絡もせず独断専行を?」

提督「他の奴、確か神通もいたよな。何も言わなかったのか?」

球磨「言われたけど、旗艦は球磨だクマ」

吹雪「そういう話じゃなくてですね」

164: 2019/07/23(火) 04:29:59.15 ID:peHjoJ4K0
北上「これ、どうすんのさ」

飛龍「いやぁまいったねこりゃ」

日向「誰にも言うなという事でさっさと行ってしまった方がいい気もするが」

大井「嫌な予感って私達でしょうか?」

飛龍「ま、良いか悪いかで言えば良くはないわよね、これ」

北上「球磨姉こういう時引かないからなあ」

飛龍「中止?」

日向「中止もそうだが今後にも差し支えるだろうな。まさか初回でバレるとは」

大井「ここで誤魔化しても後で私と北上さんは問い詰められますし…」

球磨「おい、北上、大井」

北上「うわこっち来た」

165: 2019/07/23(火) 04:33:08.00 ID:peHjoJ4K0
まだアタフタしてる提督と吹雪をガン無視して球磨姉が私と大井っちの前に詰め寄る。

私達より僅かに小さい球磨姉の瞳がじっとこちらを見つめてくる。

球磨「よし。お前らそこで少し待ってろクマ」

北上「ま、待ってろって」

球磨「いいから、待ってろ」

踵を返し港を出ていく球磨姉。

北上「て行っちゃったけど」

大井「何、するつもりでしょうか」

提督「何、何なの。めっちゃ怖いんですけど」

吹雪「素直に待っておきます?」

飛龍「あー私は待つに賛成」

日向「同じく」

吹雪「なんでですか?」

飛龍「だって球磨ちゃん達姉妹の問題でしょ?これは」

北上「私達?」

日向「なるようになるさ。舵はきれても、流れは変えられない」

166: 2019/07/23(火) 04:36:28.11 ID:peHjoJ4K0
北上「まあ」

大井「そう言うなら」

二人で顔を見合わせる。

ここは待つしかなさそうだ。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

球磨「待たせたクマ」

北上「」

絶句。

この時私は球磨姉しか見てなかったけどきっとみんなもそうだったはずだ。

球磨姉は十分ちょっとで戻ってきた。

両脇に多摩姉と木曾を抱えて。

抱えて。まるでバッグのように軽々と。妹達を。

多摩「やほー」

多摩姉はなんかもう全てを悟ったような、何もかも諦めたような無の表情だった。

木曾「…」

木曾は、そっぽを向いて黙りこくっていた。

167: 2019/07/23(火) 04:41:15.05 ID:peHjoJ4K0
球磨「一体何処に行く気かは分からんクマ。でもその装備は多分ヤバイとこに行く気クマ」

港に戻ったあの時しっかり私達の装備を観察していたようだ。こういう所抜け目ない。

球磨「だってのに四人だけで出撃する気クマ?馬鹿かクマ。まして私の妹達まで連れて」

提督「グッ…」

あ、すっげぇダメージ受けてる。

球磨「北上」

北上「は、はい!」

球磨「どうしても行くつもりクマ?」

北上「…」

球磨姉は私に問うた。でも私は背中でしっかり感じていた。

飛龍さんと大井っちの堅い決意を。

北上「行くよ。私は。私がそう決めた」

168: 2019/07/23(火) 04:42:51.33 ID:peHjoJ4K0
球磨「なら決まりクマ」

北上「え?」

大井「何がですか?」

球磨「あーでもそうなると7隻になっちゃうクマ…うーむ」

提督「おまっ、着いてくる気か!?」

球磨「着いてくんじゃねークマ。一緒に行くんだクマ」

多摩「なら多摩は降りるにゃ」
木曾「俺は行かねえぞ」

球磨「んなっ!?この薄情者!!」

多摩「大体これは多摩達が首を突っむような話じゃないにゃ。気づいてないじゃないだろにゃ」

木曾「そもそもが北姉が決めた事だろ。俺は知らねえぞ」プイッ

球磨「だぁぁ!反抗期かクマ!!揃いも揃って可愛くねえ妹達クマ!!」

169: 2019/07/23(火) 04:44:55.40 ID:peHjoJ4K0
提督「なんだろ、蚊帳の外に置かれてる」

吹雪「どぉしますこれ」

飛龍「んー…」

日向「なに、そう難しい話でもないだろう」

提督「日向?」

日向「私が残ろう。元々人数がいた方がいい作戦だ。それに私ではトドメには足りないだろう?」

吹雪「それはその通りなんですけど」

日向「後はまあ彼女達次第だな」

170: 2019/07/23(火) 04:47:45.81 ID:peHjoJ4K0
球磨「そもそも北上も北上だクマ!勝手に一人で突っ走るんじゃねえクマ!」

北上「えぇ、この前は応援してくれてたじゃん」

球磨「背中を押す事はあっても突き放す事はしねぇクマ!」

大井「それに北上さん一人ってわけじゃ…」

球磨「大井は北上がいるからだろクマ」

大井「それはまあそうですけど」

球磨「なら球磨達も一緒クマ。お前達が行くなら行くクマ」

木曾「おい待て俺も混ぜるな」

球磨「ムキィィィ!この捻くれ者!厨二病クマァ!!」

木曾「誰が厨二病だおい!」

171: 2019/07/23(火) 04:48:17.30 ID:peHjoJ4K0
木曾と球磨姉がギャーギャーと騒ぎ立てて、多摩姉が横槍を入れて、大井っちが宥めようとアタフタしてる。

言い争ってるけど決して争ってるわけじゃない。

多分いつもと変わらない風景だ。

北上「プッ…ッハ、アハハハハ!」

球磨「クマ?」
多摩「にゃ?」
木曾「あ?」
大井「北上さん?」

可笑しくってたまらなかった。

そんな皆を頼もしく思ってしまう"北上"が私の中にやはり居ることも。

どうにもこいつは切っても切り離せないらしい。



北上「っはー…ねぇ皆、ちょっと助けて欲しいんだけどさ」



球磨「…ホレホレ」ツンツン
多摩「お呼びだにゃ」ツンツン
木曾「だぁもお分かった分かったよ!」

両脇から姉につつかれた木曾が不満げに大きく深呼吸をして、



木曾「で、どうすりゃいいんだ?」



172: 2019/07/23(火) 04:52:47.65 ID:peHjoJ4K0
書こうと思ってたんだが膝に水着雪風を受けてしまってな…

今回と次のタイトルを思いついたせいで冗長感が否めないと思いつつもここまで長くなりましたが私は満足です。
プレイ状況に関してはその、周りに話せる人がいないのでつい…

次で北上さんの話はラストです。

北上「私は黒猫だ」99匹目

引用: 北上「私は黒猫だ」