185: 2019/04/18(木) 21:18:09.17 ID:xdXSO0Np0
時間が開いてしまった今でも見てくださってる方がいるかは分かりませんが、Chapter22の投下開始していきます

前回:Chapter21
最初から:LiPPS「虹光の花束」

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS U149 ANIMATION MASTER 03 Nightwear
186: 2019/04/18(木) 21:19:14.50 ID:xdXSO0Np0
歩んで、歩んで、歩み続けて、ついに頂上が目前に差し迫ったその時こそ、人は最後の振るいにかけられる


問われるのは、それまで歩んできた道のり


中途半端な覚悟で挑んできた者、苦難から目を背けてきた者、妥協に妥協を重ねてきた者、自分自身に嘘をつき続けてきた者.....

楽な道ばかりを選び、自らを誇る事が出来なくなった人間に、頂上は掴めない



だが、確かな信念の元、自分自身が正しいと思える道を選び歩み続けてきた者ならば

その歩んできた道での出会い全てが、旅の中で胸に積まれていった、『自分』を貫き通した証が


きっと、力尽きゆくその背中を支え、押しだしてくれるだろう




光差し込む終着点、何よりも誇り高い頂へと.......

187: 2019/04/18(木) 21:20:38.81 ID:xdXSO0Np0
本戦第一試合が終わった次の日、私達はいつもよりだいぶ早い時間に集合をかけられていた





周子「おはよー......あたしが最後?」

P「ああ、でも時間通りだから大丈夫だぞ周子」

周子「久々にこんな早起きしたよー....まあ、決勝直前だし仕方ないか。仕事もレッスンも詰まってるもんね」

志希「そうだねー....早起きも、致し方にゃいねー......」


美嘉「なんか志希ちゃんすっごい眠そう....てかもう半分以上寝てるけど、よくちゃんと事務所まで来れたね?」

ベテトレ「志希は寝坊かもしれないと思ったから、私が迎えに行って連れてきたんだよ。案の定爆睡していた.....」

志希「無理やり叩き起こされたから志希ちゃんまだ夢の中~.....」

P「あー、もう話始めるぞ?まず最初に重要なお知らせがある」


P「IGの決勝、一週延期になった。だから今日からちょうど2週間後だな」

奏「やっぱり、あの事故のせい?」

P「ああ、あの後ステージとか機材の見直しで色々揉めたらしいからな。その対応に追われてるんだとか。まあ、逆に一週間で済ませられるんだから大したもんだがな」


P「んで、今日のスケジュールについてだが......」







その時、プロデューサーさんの携帯が....いや、それだけじゃない

事務所の固定電話まで、一斉にけたたましく鳴り出した

188: 2019/04/18(木) 21:21:16.48 ID:xdXSO0Np0
P「こんな時に.....周子と青木さん、向こうの電話の対応頼む」

周子「りょうかーい」

ベテトレ「分かった」



美嘉「朝から凄い電話だねー」

フレデリカ「きっと決勝進出したから、色んなところからオファーが来たんだよ♪」









P「.....はぁ!?キャンセルって、一体どういう事ですか!?」



『!?』

189: 2019/04/18(木) 21:23:20.56 ID:xdXSO0Np0
キャンセル、ですって?


一体、何が起こっているの....?


P「何で急にそんな事に!?......は?そんなの、事実無根ですって!!ちょっと!」ガチャッ

奏「プロデューサー、一体何があったの?キャンセルがどうのって聞いたけど....」

P「今日の24山テレビの仕事.......キャンセルになった」

美嘉「キャンセルって、いくらなんでも急過ぎじゃない!?」

P「今朝の週刊誌の内容を鑑みて見送ることにしたらしいが....二人とも、そっちの電話はどうだった?」

周子「こっちもキャンセルの電話だったよ。なんかスタッフが怪我で足りなくなったから、番組の収録そのものが中止になったみたい」

ベテトレ「こっちもだ.....このタイミングで、これだけ同時にキャンセルされるのは痛すぎるぞ....!」


トゥルルルルル!!!!!


P「はい.....えっ!?ちょっと待ってください、なんで急に!?」

P「クソッ、またかよ!」トゥルルルッルル!!!

周子「電話が切れた傍からまた...!」

ベテトレ「まさかこれ、全部キャンセルの電話じゃないだろうな....」

P「....どうやら、そのまさかかもしれません」

190: 2019/04/18(木) 21:24:28.25 ID:xdXSO0Np0
....プロデューサーさんの危惧は、当たっていた

その後数十分、事務所中の電話が鳴り続けた


番組そのものが中止になったり、何かの理由で役者が変更になったりと、原因は様々だったけど

そのコール全てが、既に入っていた仕事のキャンセルを告げる電話だった

191: 2019/04/18(木) 21:25:04.63 ID:xdXSO0Np0

Chapter22 「Still,Stand Up」

192: 2019/04/18(木) 21:27:46.30 ID:xdXSO0Np0
ベルの音が鳴りやんだ頃、真っ黒だったはずのホワイトボードは、僅かばかりのシミを残して漂白されてしまった.....



P「残ったのは、これだけか......」

奏「『正気のサタデーナイト』まで、特番に変えられてしまったのね.....」



真っ白になってしまったホワイトボードを、皆ただただ呆然と眺めていた


でもその視線は、大きな音を立てながら勢いよく開いた扉に奪われる



早苗「みんな!大丈夫!?」

P「片桐さん!急に来てどうしたんですか?」

早苗「さっきコンビニでこれ見つけて、いてもたってもいられなくって......」

フレデリカ「それって、雑誌?」

193: 2019/04/18(木) 21:29:28.50 ID:xdXSO0Np0
志希「.......こりゃ酷いね、見出しから色んなアイドルのゴシップがてんこ盛りだ。特に、あたし達はめちゃくちゃバッシングされてるみたい」

奏「見て、これとか酷いわよ!【速水奏は映画好きを自称しているが、その実態は意味の分からないB級映画ばかり好むクソ映画ハンターである】って、デタラメじゃない!ねえみんな!?」


『................................』


奏「なんでそこで黙るのよ!?」


周子「でも叩かれてるのはウチだけじゃない、010も....本当に色んな事務所が叩かれてる.......大きな事務所程特に酷いね」

周子「だけど、891プロを叩く記事は一つもない.....ていう事は」

P「iMB事件の時と同じ、891プロの常套手段って事か....あいつ、マジで芸能界を891プロ一強にするつもりなんだ」

早苗「それに、今回は出版社やテレビ局だけじゃないわ、警察にも圧力がかかってる」

194: 2019/04/18(木) 21:30:42.08 ID:xdXSO0Np0
ベテトレ「警察にも....?どういう事だ?」

早苗「そもそもあたし、今日は別に非番じゃなかったのよ。でも、制服も着ずにここへ来た....何でだと思う?」

美嘉「....もしかして!?」


早苗「昨日、自宅謹慎を言い渡されたわ。どういうわけか、潰れた美嘉ちゃんが前にいた事務所...061プロとの癒着を疑われてね」

早苗「多分、上に圧力をかけられたんだわ。私が891プロの事嗅ぎまわっていた事ばれたみたい。891プロとの密約で甘い汁を吸ってる上層部に、邪魔だと思われたんでしょうね」

P「あいつら、本当に片桐さんまで狙ってきやがった....!」


周子「でも、自宅謹慎ならお家にいないといけないんじゃないの?」

早苗「そこはほら、811プロはあたしの第2の実家だから!というわけで、暫くはここで皆のお手伝いするわよ。人手足りてないでしょう?」

P「そりゃ有り難い!もう今日は電話番だけで手が足りなくなるくらいでしたからね!」

ベテトレ「早苗が手伝ってくれるのはいいが、これからどうするんだ?状況は最悪に近いぞ」

フレデリカ「お仕事ほとんど無くなって、暇になっちゃったねー」





決勝の直前である今の時期の仕事は、宣伝としても経験を積む目的としても重要だったのに、こんな理不尽が許されていいの.....。?

一体、どうすれば............

195: 2019/04/18(木) 21:31:42.26 ID:xdXSO0Np0
P「.........なあみんな、こういう時こそ初心に帰ってみないか?」

周子「初心?」

P「ほら、向こうから仕事が入ってくる今と違ってまだ駆け出しだったころは、自分たちの魅力を伝えるのに必氏で、我武者羅にアイドルの階段を駆け上がってただろ?もちろんその過程で壁にぶつかることもあったけど、皆で乗り越えてきたじゃないか。今回もそれと同じさ!」


P「仕事を奪われたのなら、また新しく掴み取ればいい。悪い噂を流されたのなら、そんな噂吹き飛ぶくらいの魅力を見せればいい。ファンを奪われたのなら、それ以上の人を新しく魅了すればいい!」

P「大事なのは、何度折られたって、何度崩れ落ちたって、それでも立ち上がって前を見据える事......だって、アイドルはいつだって前を向いて笑う仕事なんだからな!」


......!!!



P「それに、考えようによってはチャンスかもしれないぞ?決勝の為の練習に費やせる時間が増えたんだから!どうせなら、この妨害も利用してやろうぜ?」

P「どんな逆境だろうと楽しんで、ファンの為に最高のステージを作り上げる.....それでこそ、俺たち811プロだろ?だから.....どんなに不利な状況だって俺たちは降参しないって、叩きつけてやろう!」

196: 2019/04/18(木) 21:33:47.56 ID:xdXSO0Np0
プロデューサーさんの言葉で、全員の顔に気力が戻っていく


....やっぱり、プロデューサーさんはちゃんと、私達にとってただ一人のプロデューサーよ


目の前の壁に心を折られかけた時、理不尽な状況に恐怖したとき......そんな時にいつも、"いってらっしゃい"と背中を押してくれる人

たったそれだけで貴方は、私達の迷いも不安も、全部振り切ってくれる




男は船で、女は港と言うけれど.....私達はきっと逆

私達がアイドルとして未知の海へと漕ぎ出していけるのは、いつだって帰れる場所があるから..........



ねぇ、プロデューサーさん.....これからも貴方だけは、私達の帰れる場所でいてね?

貴方が私達を見守ってくれている....ただそれだけで私達は、どんな壁にも立ち向かえる!

197: 2019/04/18(木) 21:36:58.63 ID:xdXSO0Np0
改めて決勝の舞台に立つという決意を皆で固めた後、彼女達のレッスンは深夜まで続いた

だが、熱中するあまり時間を忘れて残ってレッスンをしていたので、先ほど流石に日付が変わるまでいるのはマズイと無理やり返した


あの子達、ホントに一度火が付くとすげぇなぁ....

志希とか周子とか、いつもは気分屋なのに、今日のレッスンは別人みたいな集中力だった....

そんな二人に影響されたのか、いつだって本気が信条の美嘉も、今日はいつもの本気"以上"に本気で自分を高めていった

フレデリカはこんな非常事態になっても決してぶれず、笑顔でアツくなり過ぎていくみんなを和ませ、それでいて真剣にレッスンに挑んでいた


そしてそんな個性の塊みたいな集団を、奏はリーダーとして確かにまとめ上げた

みんな後悔しないように、今自分ができる事を全力でやっているんだ......




なら、あの子達が頑張ってる分、俺もプロデューサーとして、自分が今できる事を精一杯やり遂げなきゃな

198: 2019/04/18(木) 21:38:08.72 ID:xdXSO0Np0
P「.....まあ、それにしてもこの量....仕分け大変だなぁ」


ファンからアイドルへの贈り物

それは手紙だったりお菓子などの差し入れだったりと様々だが、その全てをアイドル本人に渡す前に検品を行わなければいけない



中にはファンを装ってアイドルを傷つけるような手紙を出してきたり、嫌がらせの様なものが送られてきたり....酷いときには食べ物に毒が盛られてたりする事もあるらしい

だからいつも俺がこうやって中身を確かめて、安全を確認してから翌日本人に渡しているのだが......



P「これも891プロの妨害なんかねぇ.....」



何故か今日に限って届いた贈り物が多い......だが、その分やたら攻撃的な内容の物が多かった



P「仕事なんか本心なんか知らんが、よくもまぁこんなに非道いことが書けるもんだ....」



彼女たちに向けられた敵意を見る度に何とも言えない気持ちになるが.....それでも、少しでもあの子達の力になるために仕分けを続けていた
だが.....








???「おー、やっぱりまだ仕事してたんやね」

P「えっ....お前!?」

199: 2019/04/18(木) 21:38:58.92 ID:xdXSO0Np0
周子「Pさん、お勤めごくろうさま♪」

P「周子、なんで戻ってきた?帰ったんじゃなかったのか?」

周子「偶には事務員らしく、事務所の為に残業してやったた方がいい気がしてね.....それで、何してんの?」

P「いや、これは.....」


なんとか誤魔化そうとするが、周子はひょいっと身を乗り出して持っていた手紙を奪い取ってしまう


周子「.......なるほどねー、暇な奴もいるもんだ」

P「見ないほうがいい....まだ結構あるし、お前はさっさと帰って『やだよ』」

周子「皆いつも言ってるでしょ?あたし達を信じろってさ。そうやって辛い事一人で抱え込むの、Pさんの悪い癖だよ?」

周子「それに.....ほら!」



周子が手紙の入った段ボールから、次々と手紙を掴み取り、読み上げていく

200: 2019/04/18(木) 21:39:52.97 ID:xdXSO0Np0
『LiPPSを応援しています!頑張ってください!』

『必ず頂点を取ってくると約束したんだ、最後までお前の思うまま突き進みなさい。"私達"の希望よ』

『志希さん、フレデリカさん、俺たち二人は氏ぬまで貴方たちの大ファンです!決勝も絶対応援しに行きます!!』

『周子、優勝したら一度実家に帰ってきなさい。優勝祝いに貴方の好きだった和菓子一杯用意して待ってるから、お友達も連れてきてね!』

『美嘉、私達ずっと、貴方を応援するよ。なんだかんだ言ってもやっぱり、貴方はいつまでも私達の憧れだったから....』

『奏さん、周子さん.....あのオーディションで貴方たちに出会えたおかげで、私達は純粋な思いでアイドルとしての夢を描けるようになりました。いつかまた貴方たちに会いに行けるアイドルになるから、それまで頂上で待っていてください!その時は....頂上をかけて戦いましょう。今度こそ必ず、私達が勝ちます!』


『あたし達に勝ったんだから、絶対優勝しなさいよ!トライアドプリムス全員でで応援するからね!』

201: 2019/04/18(木) 21:40:21.34 ID:xdXSO0Np0
読み上げられていくのは、理不尽な呪詛ではない


LiPPSが今まで積み重ねてきた、アイドルの道をずっと歩んできた証

彼女達から笑顔を貰った、数多の人達からの声援だった

202: 2019/04/18(木) 21:41:32.21 ID:xdXSO0Np0
周子「こんな風に、応援してくれるファンも沢山いるしね♪だから、大丈夫だよ」

周子「それにアイドルである前に811プロの看板事務員として、あたしだって事務所の皆を守りたいんだ、だからここは811プロのスタッフ二人で、一緒に頑張ろ?」

P「.....そうか、なら手伝ってくれるか?あんまりにも数が多くて参ってたんだよ」

周子「もちろん!でも、残業代はちゃんと出してよ?」

P「分かってるって。明日もあるしちゃっちゃと終わらせよう」

周子「りょーかい、じゃあ早速.......お!これなんかすっごく豪華じゃない?」

P「ホントだ、なんかお嬢様っぽいデザインの便箋だな」

周子「中身は.........えっ?」

P「どうした?」

周子「見て、これってもしかして......」

P「?...............これは!?」

周子「どうやらあの子、もの凄いお宝を送ってくれたみたいやね?」

P「ああ.......これならまだ、逆転の目はある!!」









反撃開始だ.......!

203: 2019/04/18(木) 21:43:10.89 ID:xdXSO0Np0
フンフンフフーン、フレデリカー♪

....あっ、ママ!えへへ、分かっちゃう?
そうなの、今すっごく楽しいんだ!
なんせアタシ達、遂に決勝まで来ちゃったからね!


....あー、うん。確かに辛い事もいっぱいあったよ。でも、フレちゃんは大丈夫!
だって、LiPPSはムテキのアイドルユニットだからねー♪

だってLiPPSって、アタシだけじゃなくて、志希ちゃんに、美嘉ちゃんに、周子ちゃんに、奏ちゃんがいて、プロデューサーがいて
そして、いつだってアタシ達の背中を支えてくれるファンがいるんだ!


だからどんなに辛い事があっても大丈夫!
みんなで笑顔で支え合って、乗り越えて、アタシ達を支えてくれた人達を、みーんな楽しませてみせるから!

もちろん、ママとパパもね♪

204: 2019/04/18(木) 21:44:21.85 ID:xdXSO0Np0
....ねぇ、ママ

アタシがアイドルとしてこんなに大きくなれたのは、ママがアタシをこんなに可愛く産んでくれて、パパがママとアタシを支え続けてくれて、二人がアタシを立派に育ててくれたから

そして、ママがアタシを立派に育てる事ができたのは、おじいちゃんとおばあちゃんがママを立派なパリジェンヌに育ててくれたからだよね?

もしも誰か一人がちょっとでも違ったら....きっと今のフレちゃんはいなかったと思うんだ



だからアタシ、おじいちゃんとおばあちゃんにも恩返しするよ!

二人の孫のフレちゃんは、二人のおかげでこんなに大きくなれましたーってね♪




大丈夫、きっと仲直りできるよ

ママだってほんとは、おじいちゃんの事大好きでしょ?なら、大丈夫だよ

おじいちゃんだってホントはママが大好きで、きっと今でもママに会いたいと思ってる




だから、見てて
アタシが日本にいるママと、パリにいるおじいちゃんを繋いで見せる

日本とフランス、二つの故郷の懸け橋になるから!



だからほら、泣かないで、ね?


うん、悲しい涙じゃないのは分かってるよ

でもね、どうせなら笑顔がいいな?




だって、ママの笑顔は、いつだってアタシを明るく照らしてくれる、アタシの太陽なんだから.....ね!

205: 2019/04/18(木) 21:45:26.46 ID:xdXSO0Np0
プロデューサーに家へ帰らされた後、あたしは決勝の対戦相手、黒埼ちとせちゃんの出ている番組をいくつか拝見してみた




....この子、やっぱりそうだ

余命3年、動けなくなるまで1年、まだ治療法の見つかってない奇病....

この子を蝕んでる病は、やっぱり.....



スマホにいつものコードを打ち込み、あの人にコールする

....出た、今日は早かったね



もしもしパパ、元気?

あたし?あたしはもう絶好調だよ!


....なんだ、それも知ってるの?
でも、安心して。今のあたしには、アタシを支えてくれる仲間がいっぱいいるからさ!








......そうだね、ちょっと前のあたしなら、"仲間"なんて言葉出てこなかったと思う

人のコミュティからぽつんと放り出されたって、つまはじきにされたって平気だよーって振る舞って、自分勝手に生きたと思う

206: 2019/04/18(木) 21:48:34.10 ID:xdXSO0Np0
でもねパパ、多分あたし、昔からずっと、今みたいに一緒に笑える仲間が欲しったんだと思う


あの時はパパがいたから、学校で一人でいたって大丈夫だった。でも、日本に帰ってきた後LiPPSの皆に会えなかったら.....


あたしは今日、ここでいつもの様にご飯を食べて、いつもの様にお風呂に入って、いつもの様にベッドで寝る.....

そんな"いつも"すら、出来なくなっていたかもしれない



でも、それって結局ifの話だよね?



確かにどこかの世界には、そんな"あたし"もいたかもしれない

もしかしたら、あの時パパについていかず、ママと過ごして、ママを最後まで看取ることが出来た"あたし"もいたのかもしれない

逆に、日本に帰らず今でも大学のラボで研究に明け暮れてた"あたし"もいるかもしれない

......ギフテッドじゃなくて、何の肩書もない、普通の"一ノ瀬志希"として生まれた、幸せなあたしもいるかもしれない


でも、今ここで生きてる"あたし"は、そうじゃない

そんなifに繋がる選択肢を選ばずに、今のあたしに繋がる選択をしてきたあたしなんだ


そしてそれは、決して他の"あたし"より不幸な"あたし"じゃない

だって、あたしはあたしなりに正しいと思う選択をし続けてここまで来たから、どれだけ辛い目に合ったとしても、それと同じくらい....ううん、それ以上の幸福を手に入れられた


だから、今ここに居る"あたし"は、決して失敗作なんかじゃないと思うんだ

207: 2019/04/18(木) 21:50:12.84 ID:xdXSO0Np0
ギフテッドとして生まれたからこそ、出来たことがあった。パパについていったからこそ、学べたことがあった。アイドルになったからこそ、出会えた人達がいた

そうやって沢山のものから選び取ってきた運命は、決して間違ったものじゃないと思うんだ


そして、あたしが道を間違えずに済んだのは....どんな道を選んだとしても、いつだってあたしを支えてくれた誰かがいたから

独りぼっちだと思っていた時すら、あたしは自分じゃない誰かと一緒に歩いていたんだ


パパに、ママに、811プロの皆....

思い返してみれば、あたしの人生、一人だったときなんて一度もなかったよ


.....そうだね

あたし変わったよ、変われたんだよ



アイドルになって、仲間と一緒に沢山の事を経験して.....やっと、変われた

ずっと自分でつまらないと思ってような自分自身から、ようやく変われたんだ.....!





だから、今度はあたしも、"誰か"の歩みを支える"誰か"になりたい

208: 2019/04/18(木) 21:51:26.73 ID:xdXSO0Np0
ねぇパパ、あたし約束通り頂点取ってくるからさ、ご褒美っていうか.......パパにお願いしたいことがあるの


あたしが大学に使ってた頃のデスク、その一番下の引き出し、実は二重底になってるの

そこに、隠してある。あたしの最後の研究成果



....そう、お母さんの命を奪った、あの病気の特効薬の研究


だけどその研究、まだ未完成なんだ。どうしても最後のピースが見つからなかった

でも。パパならきっと、あたしが見つけられなかった最後のピース、見つけられるから



......どうしてもその薬が必要な子がいるんだ、教えてあげたいんだ、未来を諦めなくたっていいって

だから、お願い。あたしの最後の研究、パパの手で完成させて








.....ありがとう
じゃあ、待っててね








パパとママの希望が、世界で一番輝く日を!

209: 2019/04/18(木) 21:52:43.19 ID:xdXSO0Np0
ただいまー!


あれ?莉嘉まだ起きてたの?


お姉ちゃんが心配で寝つけなかった....?いやいや、だからってこんな時間まで起きてたら体調崩すよ?

....でも、ありがと!莉嘉が応援してくれるならあたし、いつまでも本気で走り続けられるよ!




....うん、確かに今、芸能界は大変なことになってる

莉嘉の言う通り、アイドルの世界を荒らす悪い人がいるんだ

811プロだけじゃない、色んな事務所がその人の悪意にさらされて、色んな人が苦しんでるんだ


でもね莉嘉、あんたもアイドルになりたいんなら、これは覚えておいて


アイドルってね、どんな逆境でも前を向いて笑ってやるもんなの

どんな時にも自分を応援してくれる人がいる、だから、その人まで一緒に落ち込ませないようにいつだって笑顔を見せてあげなきゃいけないの

210: 2019/04/18(木) 21:54:34.88 ID:xdXSO0Np0
.....そうだね、061の頃のあたしを見てきた莉嘉は、それも分かるよね

確かにどうしても、耐えられないくらいに辛いときはある。そんな時は、思い出すの


いつだって自分は一人じゃない、頼れる仲間がいるんだって事



あたしからしたら莉嘉やママとパパ、それに811プロの皆

応援してくれるファンの皆に、ステージを作り上げてくれるスタッフさん達、あたし達が歌う曲を作ってくれる作曲家さん達....


どんな凄いアイドルでも自分一人でステージに立つなんて事絶対なくて、いつだって誰かに支えられてるんだ


だから.....本当に辛いときは、誰かに頼ればいいの。辛い事は、一緒に背負ってもらえばいい

その代わり、助けてもらった分、自分がやれることを精一杯やって、今度は自分が助けてくれた人を支えるの


どんな人でも、『自分一人でも大丈夫』って強がることは出来る

でも、本当に一人で生きようとする人は、いつか必ず心が折れちゃう

そうなったら、自分を今まで支えてきてくれた人まで悲しませちゃうでしょ?


......昔のあたしが、そうなっちゃったように





でもね莉嘉、あたしにとってそれはもう、"もしかしたらあったかもしれない"ってだけのものなの

211: 2019/04/18(木) 21:57:14.28 ID:xdXSO0Np0
あたし、最近やっと気づいたんだ


案外人生ってさ、敵が多いって思った時こそ、それ以上の味方が助けに来てくれるものなんだよ


だからあたしはいつだって、自分を助けてくれた人に、胸を張って"ありがとう"って言えるようにしたい


その為に、いつだって自分が一番だって誇れるように生きるの

妥協なんてナシ!応援してくれる人達に応えられる様に、いつだって本気で生きぬいてやるの!



だから、あたし達は諦めない




莉嘉、あたし達一足先に、てっぺん取ってくるよ


だから....いつか必ず、追いついてきなさいっ★








.....ずっと、待ってるから!

212: 2019/04/18(木) 21:58:01.77 ID:xdXSO0Np0
もしもし....うん、元気だよー

今?今ちょっと残業中ー..........ううん、あたしがやりたいからやってるの

Pさんほっとくとすぐ無理するからさー、そりゃ大家さんも心配するよねー






....."やりたいから"、か

実家でぬくぬくしてたあの頃のあたしじゃ、絶対言わなかっただろうねー

213: 2019/04/18(木) 21:59:27.78 ID:xdXSO0Np0
不思議だよね

つい1年くらい前まで流れに流されるまま無気力にフラフラしてたあたしが、今本気でトップアイドル目指してんの


そうそう!最初は実家にいた時と一緒で流れに流された感じで初めてさー、ぶっちゃけた話、給料と寝床に釣られて始めたんだよねー

そんな感じで中途半端な覚悟で始めちゃったからさー、そのせいで、大きな壁にぶち当たった時もあったよ


あの時はPさんにもLiPPSの皆にも迷惑かけちゃったなー.....




でもね、あたしその時初めて、本気で悔しくて泣いたんだ

そうだよ、あのしゅーこちゃんがだよ!?

何事も適当に、なあなあで生きてきたしゅーこちゃんが、"悔しいから"って大泣きしたんだ!




....うん、やっと見つけたんよ

あたしが、本気でやりたいこと


誰かに流されて決めたんじゃない、あたし自身の意思でこの道を選んだんだ

214: 2019/04/18(木) 22:01:00.65 ID:xdXSO0Np0
こういっちゃ怒るかもしれないけどさ.....あたし、家出してよかったよ


あたしずっと、ゆらゆら流された方が楽、楽して生きた方が得って、ずっとそう思って、自分の心に蓋してた

もしあの時も流れを受け入れて、半端な気持ちでお見合いして、適当な気持ちで家継いでたら.....

それはそれで普通に生きてたんだろうけど、きっと、最後まで心に疑問を持ちながら生きてたと思う



自分は、何の為に生きてるのか....って




だからあたし、家出できてよかった

あの時、流されずに『好きでもない人と結婚するなんてイヤ!』ってワガママが言えて、本当に良かった.....


もしかしたらお父さんも、あたしが自分の気持ちを吐き出せるように、わざと無理やり迫ったんかな?

...まあ、そうだとしても言わないだろうね、あの人頑固だから♪




.....うん、分かってるよ。さっき手紙見たし

必ず勝って、みんなと一緒に、お土産たっぷりもって行くよ

なんだかんだ京都は、あの家は、あたしの大事な故郷だからさ


だから、見てて









『本気』でトップアイドル目指す、あたし達の生き様を!

215: 2019/04/18(木) 22:01:57.30 ID:xdXSO0Np0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ベッドに潜り、目を閉じて追想する

プロデューサーさんに連れだされたあの日から歩んできた、アイドルとしての道





多くの出会いがあった、多くの研鑽を積んだ、多くの世界を知った

多くの苦しみを知った、多くの涙を流した、多くの悪意に触れた.....




でも、多くの人の笑顔があった

プロデューサーさんに光る舞台に連れだされて、アイドルとして多くの経験をしたからこそ見れた、とても暖かくなる笑顔ばかりだった





そして、アイドルになれたからこそ、得られたものが山ほどある。811プロのみんなと一緒だったからこそ、断ち切る事が出来た鎖がある



そして....この道を選んだからこそ、手に入れることができた明日がある

216: 2019/04/18(木) 22:03:00.06 ID:xdXSO0Np0
もしあの時、プロデューサーさんに会わなかったら


例えばあの時、告白されなかったら?

例えば、心の淀みを洗い流そうと海に行った日が、一日ずれていたとしたら?

例えば、あの日の天気が雨だったとしたら?

そもそも、海で黄昏ずにさっさと家に帰っていたら?

プロデューサーさんと鉢合わせても、声をかけてもらえなかったら?


もしもプロデューサーさんが、プロデューサーにならなかったら?





そんなifの可能性も、きっとどこかにあったんだろう

217: 2019/04/18(木) 22:03:50.17 ID:xdXSO0Np0
でも、プロデューサーさんはそんな多くの可能性の中から、私を連れ出す運命を選び取ってくれた





だから私は、プロデューサーさんがもたらしてくれたその幸運に報いたい

彼に、『復讐』(おんがえし)をしてあげたい




自らに降り注いだ過酷な運命にあらがって、私達のプロデューサーになってくれた

そんな彼に、私があげられる精一杯の幸福を


その為に私は、私達は......










必ず、トップアイドルになる

218: 2019/04/18(木) 22:04:44.72 ID:xdXSO0Np0
なあ、『..........』

俺たち遂に、こんなところまで来ちゃったよ




....今でも思うんだ、お前が生きていたらって

もしかしたら今あの夢の舞台に立っているのは、お前だったんじゃないかって





でも、そういう未来だったらきっと、俺はあの子達のプロデューサーになれなかったんだろうな

今でもおっちゃんの悪事を知らず、歌手やってたのかもしれない

219: 2019/04/18(木) 22:05:54.22 ID:xdXSO0Np0
だからと言って、お前が氏んでよかったなんて微塵も思わない

今だって出来ることなら、時を戻してやり直したい。あの子達に出会えなくなっても、お前を助けたい




でも、思うんだ

俺、あの子達のプロデューサーになれて良かったって

お前が氏んでからも、諦めないでよかったって



失ったものをどれだけ嘆いたって、時間は戻らない

だからこそ、選択を間違えてしまった未来でも、それを間違いにしないために足掻かなきゃいけないんだと、あの子達のおかげで知ることができたから



.....いろんな偶然が重なって、俺は最後まで投げ出さずにここまで来れたけど

きっと、俺も、あの子達も、ほとんど奇跡みたいな確率だったんだろうな


奇跡的な確率でプロデューサーになろうと思った俺がいて、奇跡的にアイドルになりたいと思ったあの子達がいて

そんな俺たちが、天文学的な確率で出会えたからこそ、ここまで来れたんだろう


もし何かが少しでも違ったら、きっと、こんな今は訪れなかったと思うんだ

220: 2019/04/18(木) 22:06:50.34 ID:xdXSO0Np0
なあ、『.......』、あの子達のステージは、空の上でも見えるか?


俺たち、お前の残した夢を背負って、お前と一緒に夢の舞台に行ってくるからさ








だからお前も、あの子達と、自分自身の夢が花咲くところを、空の上から見守っていてくれ.........

221: 2019/04/18(木) 22:08:09.39 ID:xdXSO0Np0
その後、決勝までの間私達は『アイドル』に全力で励み続けた


決勝に向けてのレッスンはもちろん、テレビや雑誌の仕事だって完全に無くなったわけじゃない

私達を信頼して仕事を回して、応援してくれる人達だっていた。プロデューサーさんも朝から晩まで駆けまわって、新しい仕事を取ってきてくれた


トレーナーさんの指導もこれ以上ないってくらいに厳しかったけど、でもとてつもない情熱と期待を込めて私達の魅力を磨き上げてくれた


確かに、一時は理不尽な悪意の暴風に膝を折りかけたけど、どんなに辛い状況でも、諦めず支えてくれた早苗さんとトレーナーさん、プロデューサーさん。そしてずっと応援し続けてくれたファンの皆に、何度もお互いを高め合ったライバル達.....

沢山の人達がエールを送り続けてくれたから、どんな逆境に苛まれようと、何度だって私達は立ち上がることができた


今まで出会った沢山の人に支えられて立ち上がる

映画だったらベタすぎる王道展開だけど、だからこそこれ以上ないってくらい燃えるじゃない?


例えたった一人しかいないとしても、自分を応援してくれる人の気持ちに答えたい....きっとそれが、アイドルにとって最も大事な気持ち

たったそれだけで、私達は何処にだって咲き誇れるんだから!




その思いを胸に私達は走り続け、そして............

222: 2019/04/18(木) 22:09:33.91 ID:xdXSO0Np0
~~~IG決勝当日、811プロ事務所~~~



奏「おはようみんな、私が最後かしら?」

P「ああ、これで全員そろったな.......お前ら、準備はいいか?」


『もちろん!!』


P「良い返事だ!じゃあ、行くぞ!」





夢、欲望、思惑、因縁......

数え切れない人の感情に満ち溢れた舞台がどんなエンディングを迎えるかは、誰にも分らない

ただ一つ、確かなことは......

223: 2019/04/18(木) 22:10:05.39 ID:xdXSO0Np0


"私達"は今日、全員でトップアイドルになる!!!!!













to be continued........

224: 2019/04/18(木) 22:15:47.29 ID:xdXSO0Np0
Chapter22が終了したところで今回はここまで―

ついに最終決戦とエンディングを残すのみとなりましたが、やっぱりクソ忙しい時期なので、次回更新はまた時間が開きます。

少なくとも日曜、運が悪ければ来週いっぱいの間本編の更新は出来ません

Chapter23


引用: 【モバマス】LiPPS「虹光の花束」 2スレ目