1: 2020/04/24(金) 23:07:57.65 ID:/xGYoodg.net
善子「は……?」

真姫「あなたの“リリー”っていう呼び方よ、呼び方!」

善子「よくわかんないんだけど……」

真姫「ほら、私は絵里のこと“エリー”って呼ぶでじゃない?とてもクールに!」

真姫「そのカッコよさに憧れてマネしたくなる気持ち――よぉーくわかるわ!!」

善子「えっ……マネなんてしてないんだけど……」

真姫「べつにごまかさなくてもいいじゃない」

善子「ごまかしてないし……」

2: 2020/04/24(金) 23:13:10.90 ID:/xGYoodg.net
善子「というか、そっちがマネしてるんじゃないの?」

善子「この、ヨハネの神様からも嫌われるほどのカワイさ。憧れてマネしたくなるの、ムリはないわね!」

真姫「はぁ?頭ダイジョブ?今なら天才医師のタマゴが、タダで頭の中身をさばいてあげるけど?」

善子「遠慮しておくわ。それに、思ったんだけど――」

善子「私のほうが先に、“リリー”って呼んだかもしれないわよね?」

真姫「はぁ?何言ってるの。私が先!先に“エリー”って呼び始めたんだから」

善子「いや、私が先な気がしてきた!やはりあなたが憧れたのよ!ヨハネのこの――」

善子「うるわしさに!」

真姫「ないない。そんなことありえない」

3: 2020/04/24(金) 23:14:28.97 ID:/xGYoodg.net
善子「ねえ、それなら聞くけど。いつから“エリー”って呼び始めた?」

真姫「ええと……確か夏、夏だったわ」

善子「じゃあ8月くらい?」

真姫「そうね、それくらい」

善子「私は7月!はい、ヨハネの勝ち!」

真姫「ま、まって!6月かも!6月だった!!6月に違いないわ!!!」

善子「その慌て方、絶対ウソついてるじゃない!」

真姫「そんなわけないでしょ」

真姫「ふふん、知ってる?私がトマトの次に好きものは、正直者なのよ?」

善子「そんなん知らないわよ……」

5: 2020/04/24(金) 23:16:09.77 ID:/xGYoodg.net
善子「じゃあ、ホントは忘れてるんじゃない?二か月もずれるなんて」

真姫「利口で利発、頭脳メイセキなこの真姫ちゃんが、忘れる?ありえないんだから!」

善子「…………わかったわ。それじゃあ、あなたは6月から呼び始めた。間違いないわけね」

真姫「ええ。つまり私が先。わかってもらえたかしら?」

善子「……………」

善子「……ま、私は5月からだけど」ボソッ

真姫「は?」

善子「うん?」

8: 2020/04/24(金) 23:18:40.08 ID:/xGYoodg.net
真姫「……先に呼んだ呼ばないで争うのはやめましょ?キリがないんだけど」

善子「そうね…………ところであなた何月生まれ?」

真姫「はぁ?何よ急に」

善子「スクールアイドルは厳しいタテ社会――言っている意味、分かるわね?」

真姫「……わかったわ」

善子「それじゃあ改めて聞くけど、何月生まれ?」

真姫「4月!!」

善子「えっ」

真姫「それであなたは?ええっー!?まさか、4月生まれじゃないってこと、ないわよねぇー!?」

善子「えっと…………あっ!そういえばヨハネ、10万17歳だった!」

真姫「ごまかさないで!」

善子「ごまかし?いいえ、真実なのです。堕天使は人間フゼイとは違って長生きなのです!」

善子「ってことで、ヨハネが年上!ヨハネがオキテ!」

11: 2020/04/24(金) 23:21:16.24 ID:/xGYoodg.net
真姫「ヘリクツばっかりじゃない!」

善子「そっちもよ!」

真姫「…………まあ、何を言ってもムダよ。なんたって私には大量のファンがついているんだから!」

真姫「私の正当性は、ファンが証明してくれるわ!」

善子「それなら、私だって!」

善子「魔窟にひそむ、55000人のリトルデーモンが我が支配下に!」

真姫「たった、55000人?私には10万人のまきちゃんファンが――」

善子「10万?ヨハネは100万!」

真姫「1000万!1000万はくだらないんだから!」

善子「5000万!」

真姫「6000万!全国6000万のまきちゃんファンが、言ってるわ!私が正しいって!」

善子「35億のリトルデーモンが!」

13: 2020/04/24(金) 23:23:25.55 ID:/xGYoodg.net
真姫「やめやめ、やめましょ」

真姫「そもそも全人類がまきちゃんファンだし」

善子「そうね。地上のあらゆる生命が、私のリトルデーモンだし」

真姫「ふぅん、地上ねぇ…………」

真姫「まあ、大銀河宇宙ナンバーワンアイドルの一歩先を行くのが、この私なんだけど」

善子「その先を行くのがヨハネ。別次元の神々が、私のリトルデーモンだから」

真姫「はぁ?」

善子「なによ」

真姫「……まあいいわ。そんなことより、なにより重要なのは――」

14: 2020/04/24(金) 23:25:42.18 ID:/xGYoodg.net
真姫「理由よね」

善子「理由?」

真姫「そう。やっぱり、愛称には適切な理由が必要!」

真姫「ちゃんとした理由があるほうがオリジナルでしょ」

善子「確かにそうね……」

真姫「私が絵里を“エリー”と呼ぶには深い理由があるわ」

真姫「絵里はクォーター。ロシアの血が流れているの」

真姫「そして、“エリー”はロシアでよく使われる名前であり、絵里と響きが近い――」

善子「………………」

真姫「だから、私は絵里の名前とロシアの血に敬意を表して、こう呼ぶの。“エリー”って」

真姫「どう?正当な理由だと思わない?」

善子「…………」

17: 2020/04/24(金) 23:27:23.78 ID:/xGYoodg.net
真姫「一方、あなたが“リリー”と呼んでいる子は梨子でしょ?」

善子「ええ」

真姫「見るからにクォーターじゃないし、“リリー”って呼ばれる理由はなさそうよね?」

善子「ま、まあ梨子はクォーターではないけど……」

善子「だけど……ほら、名前の頭に”り”がつくし……」

真姫「そんなこといったら、凛だって“リリー”じゃない!」

真姫「かよちんに至っては“カリー”になるし!!」

善子「…………そこは“ハリー”じゃないの?」

21: 2020/04/24(金) 23:30:45.76 ID:/xGYoodg.net
真姫「い、いいのよ!かよちんのことは、どうでもいいのよ!とにかく“エリー”には深い理由がある」

真姫「そして、あなたの“リリー”には薄っぺらい理由しかない。勝負あり!」

善子「うぐっ…………」

真姫「まあ、そんなに悔しがることないわよ?」

真姫「私のマネをして“リリー”呼びするのは、別に悪いことじゃない――」

真姫「ううん、むしろ私が悪いのよね。そうよね、そうよね!」

真姫「だって、いたいけな女子に、憧れを抱かせちゃってるんだもの!!」

真姫「――――この真姫ちゃんに!」

善子「……だから、憧れてないんですけど!」

22: 2020/04/24(金) 23:32:49.93 ID:/xGYoodg.net
善子「…………!――まって!」

真姫「別に慌てなくても大丈夫よ。私はいつまでも他人を待てる、寛大さを持ち合わせてるんだから」

善子「私には“リリー”だけじゃあないのよ!」

真姫「……だけじゃあない?どういうことよ」

善子「私には“マリー”もいるわ!」

真姫「なっ…………」

善子「確かに、梨子はクォーターではないし、名前の“リリー”要素も薄いわ」

善子「だけど、だけど――」

善子「フッ、フフフフッ!私にはまだ、“マリー”がいる!」

23: 2020/04/24(金) 23:35:07.61 ID:/xGYoodg.net
善子「まず、“マリー”はハーフよ、ハーフ!」

善子「二倍よ、二倍!クォーターの二倍!」

真姫「なっ……ハーフ……!?」

善子「しかもイタリア系アメリカ人のハーフ!」

善子「もはやハーフアンドハーフ!四倍ね!」

真姫「いや、意味わかんないんだけど……」

善子「更に名前も”まり”で、“マリー”と呼ぶにふさわしい!」

善子「つまり、“マリー”がオリジナル!さあ、ヨハネの軍門に下りなさい!」

真姫「ぐぅ………………」




「まきー!」

真姫「!」

24: 2020/04/24(金) 23:36:40.05 ID:/xGYoodg.net
絵里「こんなところにいたのね。真姫、そろそろ休憩終わりよ?」

真姫「ナイスタイミングね、さすがエリー!」

絵里「へ?ナイスタイミング?」

真姫「そう、私の“エリー”が先か、この子の“リリー”、“マリー”が先か――」

真姫「絶対に譲れない戦いがあるのよ!」

鞠莉「―――――ふーん、“エリー”が先か、“リリーアンドマリー”が先か。ねぇ……」

善子「マリー!我がリトルデーモン、いいところに!」

26: 2020/04/24(金) 23:39:00.40 ID:/xGYoodg.net
真姫「―――――というわけ。全くマネされるほどの人気なのも、困ったものよね!」

善子「ホントホント。ヨハネの美貌も罪なものね!」

絵里「……人気とか美貌とかは、よくわからないけど。まあ、わかったわ」

鞠莉「どっちが先に、”なんとかリー”というあだ名を使い始めたか、ね?」

真姫「そうそう!エリーなら、どちらが先かわかるわよね!」

絵里「ええ!」

善子「さあ、マリー!この哀れなリトルデーモンに真実を教えてあげるのよ!」

鞠莉「まかせなさーい!」

27: 2020/04/24(金) 23:44:21.83 ID:/xGYoodg.net
絵里「それじゃあ、まず私から――」



絵里「小さい頃、私ね、自分のことを“エリーチカ”って呼んでたの」

絵里「“チカ”は日本語で”ちゃん”て意味だから、おまけみたいなものよね」

真姫「おまけなの?チカはおまけなの!?」

絵里「だから、“エリーチカ”と“エリー”は、ほぼ同じってことになるから――」

絵里「私のことを“エリー”って呼び始めたのは、私ってことでいいわよね?」

真姫「えっ、いやそれは……」

29: 2020/04/24(金) 23:46:35.31 ID:/xGYoodg.net
鞠莉「お次はマリーの番だけど……」



鞠莉「マリーはマリーをマリーって呼んでるよね?はじめから」

善子「ちょっとややこしくて、よくわかんないんだけど……」

鞠莉「つまり、私が“マリー”のオリジナル!オリジナルマリー!」

鞠莉「そういうことでいいんだよね?梨子はどう思う?」

梨子「そ、そういうことでいいんじゃないかな……?」

善子「ち、ちょっとリリー!いきなり現れたと思えば、適当に受け答えしないで!」

30: 2020/04/24(金) 23:46:45.64 ID:/xGYoodg.net
鞠莉「お次はマリーの番だけど……」



鞠莉「マリーはマリーをマリーって呼んでるよね?はじめから」

善子「ちょっとややこしくて、よくわかんないんだけど……」

鞠莉「つまり、私が“マリー”のオリジナル!オリジナルマリー!」

鞠莉「そういうことでいいんだよね?梨子はどう思う?」

梨子「そ、そういうことでいいんじゃないかな……?」

善子「ち、ちょっとリリー!いきなり現れたと思えば、適当に受け答えしないで!」

31: 2020/04/24(金) 23:48:19.30 ID:/xGYoodg.net
絵里「――――私たちが最初、ということは?」

鞠莉「そうかそうかー、私たちに憧れて、呼び方をマネしちゃったのね!」

善子「えっ……ちがうちがう!」

絵里「ごめんなさいね、真姫。気づけなくって♪」

真姫「い、いやいやいや!」

32: 2020/04/24(金) 23:50:08.28 ID:/xGYoodg.net
鞠莉「まあ、素直じゃないんだから~」ギュゥ

善子「ち、ちょっと!くっつかないで!」

梨子「…………」ギュ

善子「リリーもさりげなくくっつくなぁ!あついあつい!」

鞠莉「ホットなの?照れてるからかな?照れてるからよね!?」

善子「照れてない!」



絵里「真姫も顔を赤くして――ふふ、意地を張らなくてもいいのにね?」ナデナデ

真姫「赤くなってない!あと、頭をなでないで!」

絵里「はいはい。とにかく練習に行きましょう?憧れのエリーチカと練習できるわよ?」

真姫「だ、だからちがうの!ちがうんだからぁ!!」


おわり

引用: 真姫「そうやって“リリー”って呼ぶの、私のマネかしら?」