1: 2009/08/04(火) 22:31:35.00ID:YGlmkios0
大学を中退した平沢唯は、家で転がっていた。
唯「ごろーごろー」
時間は、18時。妹の帰宅を待っているのである。
唯「お腹空いちゃったよぅ。なんか、お菓子ないかな?」
お菓子が置いてある、棚を探っていると玄関扉が開く音がした。
妹の平沢憂が帰ってきたのだ。
憂「お姉ちゃん、ただいま」
唯「あ、おかえりー」
憂「お姉ちゃん、それ」
唯「え?」
憂「夕飯の前なんだから、駄目だよ」
唯「か、観賞用だよお」
憂「今、ご飯作るから待っててね」
唯「うん」
唯「ごろーごろー」
時間は、18時。妹の帰宅を待っているのである。
唯「お腹空いちゃったよぅ。なんか、お菓子ないかな?」
お菓子が置いてある、棚を探っていると玄関扉が開く音がした。
妹の平沢憂が帰ってきたのだ。
憂「お姉ちゃん、ただいま」
唯「あ、おかえりー」
憂「お姉ちゃん、それ」
唯「え?」
憂「夕飯の前なんだから、駄目だよ」
唯「か、観賞用だよお」
憂「今、ご飯作るから待っててね」
唯「うん」
3: 2009/08/04(火) 22:35:13.15ID:YGlmkios0
憂「お姉ちゃん、一人で大丈夫だった?」
唯「大丈夫だよお。外出てないし」
憂「そっか」
平沢唯は、一週間外に出ていない。
そして、ニート歴がもう少しで一年だ。
その事に、憂は危機感を感じていた。
が、それと共にニートの姉が愛しくもあった。
――ニートのお姉ちゃんって、可愛い♪――
こんな風にだ。
唯「大丈夫だよお。外出てないし」
憂「そっか」
平沢唯は、一週間外に出ていない。
そして、ニート歴がもう少しで一年だ。
その事に、憂は危機感を感じていた。
が、それと共にニートの姉が愛しくもあった。
――ニートのお姉ちゃんって、可愛い♪――
こんな風にだ。
6: 2009/08/04(火) 22:44:50.50ID:YGlmkios0
翌日、唯宛てに電話が鳴った。
唯「はい、平沢です」
澪「あ! 唯か?」
唯「澪ちゃん! 久しぶりだねえ」
秋山澪は、マイナーではあるが地元を離れて音楽活動をしていた。
澪「久しぶり。丁度、帰ってきててさ、今晩会わないか?」
唯「今晩・・・」
澪「駄目か?」
唯「えっと・・・いいけど」
澪「そう、良かった。あとで、向かいに行くよ」
唯「向かいに?」
澪「じゃあな」
電話が切れた。
唯「どうしよ、急過ぎるよお」
唯「はい、平沢です」
澪「あ! 唯か?」
唯「澪ちゃん! 久しぶりだねえ」
秋山澪は、マイナーではあるが地元を離れて音楽活動をしていた。
澪「久しぶり。丁度、帰ってきててさ、今晩会わないか?」
唯「今晩・・・」
澪「駄目か?」
唯「えっと・・・いいけど」
澪「そう、良かった。あとで、向かいに行くよ」
唯「向かいに?」
澪「じゃあな」
電話が切れた。
唯「どうしよ、急過ぎるよお」
9: 2009/08/04(火) 22:59:12.34ID:YGlmkios0
夜にきた。
律「おお! 唯じゃん。久しぶりー、変わらないな」
唯「り、りっちゃん」
唯は驚いた。来るのは、澪だけだと思っていたからだ。
紬「久しぶりね」
唯「ムギちゃん!」
澪「本当に変わらないな、唯」
この時、唯は恐怖を感じていた。
ニートになった駄目な人間を、ニートだと知っても変わらず接してくれるだろうか。それとも、今までの関係を壊すように目の前から去っていくのではないか。そう考えたのだ。
律「早く行こうぜ!」
律「おお! 唯じゃん。久しぶりー、変わらないな」
唯「り、りっちゃん」
唯は驚いた。来るのは、澪だけだと思っていたからだ。
紬「久しぶりね」
唯「ムギちゃん!」
澪「本当に変わらないな、唯」
この時、唯は恐怖を感じていた。
ニートになった駄目な人間を、ニートだと知っても変わらず接してくれるだろうか。それとも、今までの関係を壊すように目の前から去っていくのではないか。そう考えたのだ。
律「早く行こうぜ!」
12: 2009/08/04(火) 23:08:30.85ID:YGlmkios0
場所はファミレスだった。
紬「昔を思い出すよね」
律「そうだな」
澪「唯、大丈夫か? 顔色悪いぞ」
唯「そ、そうかな?」
動揺していた。
しかし、更なる追い討ちをかける人物が訪れる。
梓「お待たせして、すみません」
後輩の中野梓だった。
紬「昔を思い出すよね」
律「そうだな」
澪「唯、大丈夫か? 顔色悪いぞ」
唯「そ、そうかな?」
動揺していた。
しかし、更なる追い討ちをかける人物が訪れる。
梓「お待たせして、すみません」
後輩の中野梓だった。
17: 2009/08/04(火) 23:16:53.69ID:YGlmkios0
一瞬、唯は顔面蒼白となった。
梓「唯先輩、変わりませんね」
律「まあ、一年ちょっとしか経ってないしな」
紬「唯ちゃん?」
唯「へっ、なに!?」
紬「心、ここにあらずって感じだけど大丈夫?」
唯「うん! 大丈夫! 元気!」
あからさまに怪しかった。
澪「では、乾杯するか」
唯と梓は未成年だったので、ジュースである。
梓「唯先輩、変わりませんね」
律「まあ、一年ちょっとしか経ってないしな」
紬「唯ちゃん?」
唯「へっ、なに!?」
紬「心、ここにあらずって感じだけど大丈夫?」
唯「うん! 大丈夫! 元気!」
あからさまに怪しかった。
澪「では、乾杯するか」
唯と梓は未成年だったので、ジュースである。
20: 2009/08/04(火) 23:20:34.40ID:YGlmkios0
各々、料理を口にしながら雑談を開始。
そして、唯に向けて禁断の呪文が唱えられた。
律「唯って、今なにしてんの?」
唯の中で時間が止まったように感じられた。
今なにしてる。
そう、ニートの唯にとっては聞きたくない言葉だった。
紬「会社の秘書さんとかかしら」
律「おお! 凄いな、それ!」
唯の口元は、僅かに引き攣っていた。
そして、唯に向けて禁断の呪文が唱えられた。
律「唯って、今なにしてんの?」
唯の中で時間が止まったように感じられた。
今なにしてる。
そう、ニートの唯にとっては聞きたくない言葉だった。
紬「会社の秘書さんとかかしら」
律「おお! 凄いな、それ!」
唯の口元は、僅かに引き攣っていた。
25: 2009/08/04(火) 23:24:41.45ID:YGlmkios0
唯だけ、誕生日がまだって設定なんです
31: 2009/08/04(火) 23:32:26.96ID:YGlmkios0
澪「唯に限って秘書ってのはな」
梓「でも、大学には行ったって聞きましたけど」
律「唯は中退したんだって」
梓「そうなんですか」
唯を置いて、勝手な話が展開されていく。
唯はどう切り返すべきか思案中であった。
澪「それで、唯。なにしてるんだ?」
律「案外、ニートってこともあったりしてな!」
唯「え?」
反応してしまった。
ニートだけに。
場の空気が冷める。
律「ほ、本当にニートなのか!?」
唯「ち、違うよ! ニートなんて」
嘘を吐いてしまった。
梓「でも、大学には行ったって聞きましたけど」
律「唯は中退したんだって」
梓「そうなんですか」
唯を置いて、勝手な話が展開されていく。
唯はどう切り返すべきか思案中であった。
澪「それで、唯。なにしてるんだ?」
律「案外、ニートってこともあったりしてな!」
唯「え?」
反応してしまった。
ニートだけに。
場の空気が冷める。
律「ほ、本当にニートなのか!?」
唯「ち、違うよ! ニートなんて」
嘘を吐いてしまった。
35: 2009/08/04(火) 23:42:02.28ID:YGlmkios0
和「お待たせ」
唯の顔は、ムンクの叫び状態だった。
というのも、和はニートなのを知っているからだ。
律「なあ、唯って今なにしてるか知ってる?」
和「え? どうして」
紬「唯ちゃん、教えてくれないの」
唯は願った。
和なら言わないでくれると。
しかし、現実は厳しかった。
和「今はね、ニートなの」
全員が固まった。
唯の顔は、ムンクの叫び状態だった。
というのも、和はニートなのを知っているからだ。
律「なあ、唯って今なにしてるか知ってる?」
和「え? どうして」
紬「唯ちゃん、教えてくれないの」
唯は願った。
和なら言わないでくれると。
しかし、現実は厳しかった。
和「今はね、ニートなの」
全員が固まった。
38: 2009/08/04(火) 23:48:12.04ID:YGlmkios0
澪「嘘・・・だろ」
和「本当なのよ」
律「ご、ごめん唯」
紬「ニートだなんて、思わなかった」
梓「せ、先輩。ニートでも立派ですよ」
それは、フォローになってなかった。
唯「えへへ、平沢唯、ニートになっちゃいましたあ」
和「自慢することじゃ、ないでしょうに」
澪「どのくらいだ?」
唯「や、辞めてからずっと・・・」
律「・・・八ヶ月か」
紬「家で家事とか・・・」
唯「してないよお」
梓「でも、買い物とか」
唯「行ってないよお」
和「本当なのよ」
律「ご、ごめん唯」
紬「ニートだなんて、思わなかった」
梓「せ、先輩。ニートでも立派ですよ」
それは、フォローになってなかった。
唯「えへへ、平沢唯、ニートになっちゃいましたあ」
和「自慢することじゃ、ないでしょうに」
澪「どのくらいだ?」
唯「や、辞めてからずっと・・・」
律「・・・八ヶ月か」
紬「家で家事とか・・・」
唯「してないよお」
梓「でも、買い物とか」
唯「行ってないよお」
43: 2009/08/04(火) 23:54:53.04ID:YGlmkios0
澪「憂ちゃんは、なんて言ってるんだ?」
唯「えっとねえ」
――ニートのお姉ちゃんって、可愛い♪――
唯「って言ってくれる」
律「駄目だ・・・」
紬「は、働いたりとかしないの?」
唯「わたしなんかじゃ、無理だよお」
梓「け、結婚するんですよね」
唯「家からあんまし出ないんだあ」
和「こんなっ・・・」
和は涙ぐんでいた。
そして、一種の同窓会が、ニート再生会議へと変貌を遂げていった。
唯「えっとねえ」
――ニートのお姉ちゃんって、可愛い♪――
唯「って言ってくれる」
律「駄目だ・・・」
紬「は、働いたりとかしないの?」
唯「わたしなんかじゃ、無理だよお」
梓「け、結婚するんですよね」
唯「家からあんまし出ないんだあ」
和「こんなっ・・・」
和は涙ぐんでいた。
そして、一種の同窓会が、ニート再生会議へと変貌を遂げていった。
48: 2009/08/05(水) 00:07:52.25ID:AqpVqTSK0
後日、ラーメン屋の厨房に唯の姿があった。
唯「らっさっせー!」
働いていた。
唯「お待ちどうさんです!」
ラーメン屋は、律のバイト先であった。
律「唯、そこのテーブル拭いて置いてな」
唯「了解です!」
所変わって、コンビニ。バイトが終わって、一息いれていた。
律「お疲れさん」
唯「ふうー、疲れたよお」
律「唯にしては、順調じゃん」
唯「そうかなあ。えへへ」
先の会議で、唯にバイトをさせる決定が下された。
勿論、憂からは反対があった。
――お姉ちゃんがラーメン屋!? 危ないと思うけど・・・――
それでも、唯の熱い説得もあってなんとかバイトを始められたのだ。
バイトを始めた唯だったが、予想外の出来事が降りかかる。
唯「らっさっせー!」
働いていた。
唯「お待ちどうさんです!」
ラーメン屋は、律のバイト先であった。
律「唯、そこのテーブル拭いて置いてな」
唯「了解です!」
所変わって、コンビニ。バイトが終わって、一息いれていた。
律「お疲れさん」
唯「ふうー、疲れたよお」
律「唯にしては、順調じゃん」
唯「そうかなあ。えへへ」
先の会議で、唯にバイトをさせる決定が下された。
勿論、憂からは反対があった。
――お姉ちゃんがラーメン屋!? 危ないと思うけど・・・――
それでも、唯の熱い説得もあってなんとかバイトを始められたのだ。
バイトを始めた唯だったが、予想外の出来事が降りかかる。
52: 2009/08/05(水) 00:18:08.25ID:AqpVqTSK0
憂が交通事故にあったのだ。
幸いにも、命に関わる事故ではなかったが入院する事になってしまった。
家に両親は不在で、憂が帰ってくるまで家事等は全て自分でやらなければならないのだ。
憂もそれには心配で、律達に定期的に家の状態を見て欲しいと頼んだ。
律は快諾した。
唯は絶望した。
今まで、なんでも妹任せで生きてきたツケが、やってきたと言えるのかもしれない。
家で、唯は泣いていた。
お腹が空いたからだ。
だから・・・梓に作らせてみた。
幸いにも、命に関わる事故ではなかったが入院する事になってしまった。
家に両親は不在で、憂が帰ってくるまで家事等は全て自分でやらなければならないのだ。
憂もそれには心配で、律達に定期的に家の状態を見て欲しいと頼んだ。
律は快諾した。
唯は絶望した。
今まで、なんでも妹任せで生きてきたツケが、やってきたと言えるのかもしれない。
家で、唯は泣いていた。
お腹が空いたからだ。
だから・・・梓に作らせてみた。
54: 2009/08/05(水) 00:26:25.80ID:AqpVqTSK0
梓「お口に合うかは、分かりませんが」
唯「いただきます!」
梓は思った。
これから、自分が憂の代わりをしなくてはいけないのかと。
いや、これからは自分でやって貰わないと困る。
梓「あの、先輩?」
唯「美味しいよお、あずにゃん」
唯は、満面の笑みだった。
梓は、半笑いだった。
梓「先輩!」
唯「ごちそうさまあ。美味しかったよお、あずにゃん」
唯は、寝転がっていた。
梓は、食器を洗っていた。
唯「いただきます!」
梓は思った。
これから、自分が憂の代わりをしなくてはいけないのかと。
いや、これからは自分でやって貰わないと困る。
梓「あの、先輩?」
唯「美味しいよお、あずにゃん」
唯は、満面の笑みだった。
梓は、半笑いだった。
梓「先輩!」
唯「ごちそうさまあ。美味しかったよお、あずにゃん」
唯は、寝転がっていた。
梓は、食器を洗っていた。
61: 2009/08/05(水) 00:35:47.98ID:AqpVqTSK0
毎日、家に呼ばれた梓もいずれ痺れをきらした。
梓「いい加減にして下さい!」
梓の豹変ぶりに、唯は怯えていた。
唯「どうしたの? あずにゃん」
梓「どうしたじゃありません! 少しは自分でやって下さい!」
唯「だ、だって、私じゃ・・・」
梓「最低ですよ、そういうのは」
唯「あ、あずにゃん」
梓「もう二度と来ませんから」
唯「そんな・・・」
再び唯は絶望した。
電気が止まったからだ。
梓「いい加減にして下さい!」
梓の豹変ぶりに、唯は怯えていた。
唯「どうしたの? あずにゃん」
梓「どうしたじゃありません! 少しは自分でやって下さい!」
唯「だ、だって、私じゃ・・・」
梓「最低ですよ、そういうのは」
唯「あ、あずにゃん」
梓「もう二度と来ませんから」
唯「そんな・・・」
再び唯は絶望した。
電気が止まったからだ。
67: 2009/08/05(水) 00:42:33.80ID:AqpVqTSK0
唯の家の前に、律の姿があった。
憂の入院から一ヵ月後である。
玄関のポストには、新聞が溢れ出していた。
律は焦った。予想以上にヤバイと。
律「唯! 生きてるなら、開けてくれ!」
チャイムを鳴らすも、返事はない。
律は、ドアノブに手をかけた。
鍵はかかっていない。
室内は、異臭が立ち込んでいる。
律は最悪の事態も覚悟して進んだ。
憂の入院から一ヵ月後である。
玄関のポストには、新聞が溢れ出していた。
律は焦った。予想以上にヤバイと。
律「唯! 生きてるなら、開けてくれ!」
チャイムを鳴らすも、返事はない。
律は、ドアノブに手をかけた。
鍵はかかっていない。
室内は、異臭が立ち込んでいる。
律は最悪の事態も覚悟して進んだ。
73: 2009/08/05(水) 00:52:21.03ID:AqpVqTSK0
きしきしと、廊下の床が軋む音だけが耳に入る。
律「まずはリビングだろう」
リビングに繋がるドアをゆっくりと開ける。
目の前に飛び込んできたのは、カップラーメンや毛布、ペットボトル等だ。
想像より、荒れてはいなかったようで律は胸を撫で下ろす。
しかし、唯の姿が見えない。
今日はバイトが休みで、家にいる筈なのだ。
律「唯ー!」
返事はない。
律「寝てるのか、二階に行くか」
律は、少し戻って二階へと通じる階段を上った。
律「まずはリビングだろう」
リビングに繋がるドアをゆっくりと開ける。
目の前に飛び込んできたのは、カップラーメンや毛布、ペットボトル等だ。
想像より、荒れてはいなかったようで律は胸を撫で下ろす。
しかし、唯の姿が見えない。
今日はバイトが休みで、家にいる筈なのだ。
律「唯ー!」
返事はない。
律「寝てるのか、二階に行くか」
律は、少し戻って二階へと通じる階段を上った。
75: 2009/08/05(水) 01:02:33.54ID:AqpVqTSK0
唯の部屋の前に来ると、深呼吸を一回した。
唾をゴクリと飲む。
律は、恐る恐るドアノブを回す。そして、開けた。
目を閉じて、叫んだ。
律「唯! 生きててくれっ!」
外で、車の走る音がする。
しかし、それ以外の音が部屋から聞こえてくる事はなかった。
悪臭。
目を閉じた律には、それだけが部屋からの返事であった。
唾をゴクリと飲む。
律は、恐る恐るドアノブを回す。そして、開けた。
目を閉じて、叫んだ。
律「唯! 生きててくれっ!」
外で、車の走る音がする。
しかし、それ以外の音が部屋から聞こえてくる事はなかった。
悪臭。
目を閉じた律には、それだけが部屋からの返事であった。
76: 2009/08/05(水) 01:05:25.24ID:AqpVqTSK0
氏んだ・・・唯が・・・。
瞼をわずかに上げた。
部屋には、青いバケツが置いてある。
が、唯の姿はない。
律「え? あれ?」
律は、その後も家内を探し回ったが唯は居なかった。
律「どこに行ったんだんだよ、唯・・・」
とある、洋風屋敷の庭で唯は紅茶を口にしていた。
そう、紬の家に居たのだ。
唯「はあ、幸せ・・・」
瞼をわずかに上げた。
部屋には、青いバケツが置いてある。
が、唯の姿はない。
律「え? あれ?」
律は、その後も家内を探し回ったが唯は居なかった。
律「どこに行ったんだんだよ、唯・・・」
とある、洋風屋敷の庭で唯は紅茶を口にしていた。
そう、紬の家に居たのだ。
唯「はあ、幸せ・・・」
82: 2009/08/05(水) 01:14:39.59ID:AqpVqTSK0
翌日、唯は律に詰め寄られた。
律「何処に行ってたんだよ!」
唯「えっと・・・」
律「家、あのままじゃ駄目だろ。憂ちゃんが帰ってきたらどうすんだよ」
唯「ご、ごめんなさい」
律「謝るなら、梓に謝った方が良いぞ。凄い怒ってたからな」
唯「今、電話止まってて」
律「え? 止まってるって」
唯「払い方分からないから・・・」
律「・・・水道とかは?」
唯「止まってる・・・」
律「・・・どうやって、生活してるんだよ」
唯「・・・内緒だったけどね、最近はムギちゃんの家に泊まってるんだ」
律「はあ!?」
律は開いた口が塞がらなかった。
律「何処に行ってたんだよ!」
唯「えっと・・・」
律「家、あのままじゃ駄目だろ。憂ちゃんが帰ってきたらどうすんだよ」
唯「ご、ごめんなさい」
律「謝るなら、梓に謝った方が良いぞ。凄い怒ってたからな」
唯「今、電話止まってて」
律「え? 止まってるって」
唯「払い方分からないから・・・」
律「・・・水道とかは?」
唯「止まってる・・・」
律「・・・どうやって、生活してるんだよ」
唯「・・・内緒だったけどね、最近はムギちゃんの家に泊まってるんだ」
律「はあ!?」
律は開いた口が塞がらなかった。
85: 2009/08/05(水) 01:19:09.64ID:AqpVqTSK0
律「おい、唯!」
唯「は、はい!」
律「梓になんて言われたか覚えてるか?」
唯「え、えっと、自分でやれって」
律「なのに、何でムギに世話になってるんだよ! 違うだろ、やってることが!」
唯「ご、ごめんなさい」
律「もういいよ、勝手にやってくれ」
唯「りっちゃん・・・」
紬の家に戻った唯に、更なる追い討ちをかける。
紬「あのね、今日でこういうの終わりにしよう」
事実上の戦力外通告だった。
唯「は、はい!」
律「梓になんて言われたか覚えてるか?」
唯「え、えっと、自分でやれって」
律「なのに、何でムギに世話になってるんだよ! 違うだろ、やってることが!」
唯「ご、ごめんなさい」
律「もういいよ、勝手にやってくれ」
唯「りっちゃん・・・」
紬の家に戻った唯に、更なる追い討ちをかける。
紬「あのね、今日でこういうの終わりにしよう」
事実上の戦力外通告だった。
90: 2009/08/05(水) 01:28:16.14ID:AqpVqTSK0
唯は夜の繁華街を彷徨った。
途中、一本の路地裏を通る。
そこに、子犬が居た。
ダンボールに拾ってくださいと書いてある、捨て犬らしい。
唯は子犬を抱きかかえた。
唯「可愛いなあ。なんか、私と似てるねえ」
犬は大人しく、円らな瞳を唯に向けていた。
唯「そっか、一人なんだね」
唯は子犬を連れて、途中コンビニで食品を買い、家に戻った。
月明かりのみの室内で、唯と子犬は静かな食卓を広げた。
唯「美味しい? プー太郎」
どうやら、犬の名前らしい。
途中、一本の路地裏を通る。
そこに、子犬が居た。
ダンボールに拾ってくださいと書いてある、捨て犬らしい。
唯は子犬を抱きかかえた。
唯「可愛いなあ。なんか、私と似てるねえ」
犬は大人しく、円らな瞳を唯に向けていた。
唯「そっか、一人なんだね」
唯は子犬を連れて、途中コンビニで食品を買い、家に戻った。
月明かりのみの室内で、唯と子犬は静かな食卓を広げた。
唯「美味しい? プー太郎」
どうやら、犬の名前らしい。
95: 2009/08/05(水) 01:35:53.10ID:AqpVqTSK0
朝目覚めると、プー太郎は居なかった。
唯「また、一人か・・・」
唯は、公園に向かった。
トイレは、公園等で済ませているのだ。
便器に座りながら、唯は思った。
もう頼れる人はいない。
どうやって生きていくのか。
唯「社会って、厳しいね」
友人を失って実感する。
が、高い授業料を払った割には今更である。
唯「また、一人か・・・」
唯は、公園に向かった。
トイレは、公園等で済ませているのだ。
便器に座りながら、唯は思った。
もう頼れる人はいない。
どうやって生きていくのか。
唯「社会って、厳しいね」
友人を失って実感する。
が、高い授業料を払った割には今更である。
97: 2009/08/05(水) 01:42:16.45ID:AqpVqTSK0
次に向かったのは、和の家だ。
しかし、留守であった。
唯は後悔した。
こんな事になるなら、もっと真面目になれば良かった。
腹が鳴る。
コンビニへ向かった。
しかし、悲劇の連鎖は止まらない。
しかし、留守であった。
唯は後悔した。
こんな事になるなら、もっと真面目になれば良かった。
腹が鳴る。
コンビニへ向かった。
しかし、悲劇の連鎖は止まらない。
102: 2009/08/05(水) 01:49:55.34ID:AqpVqTSK0
コンビニで、品を選んでいると叫び声が聞こえた。
万引きらしかった。
店員は外に出て行ったらしい。
唯はレジで待った。
店員が戻ってきた。どうやら、獲り逃したようだ。
店員は愚痴を零しながら、唯を見る。
口角が上に変化する。
五分後、警察官が到着した。
万引きらしかった。
店員は外に出て行ったらしい。
唯はレジで待った。
店員が戻ってきた。どうやら、獲り逃したようだ。
店員は愚痴を零しながら、唯を見る。
口角が上に変化する。
五分後、警察官が到着した。
113: 2009/08/05(水) 02:17:54.58ID:AqpVqTSK0
店員「やったのはコイツです」
唯「え、私やってない」
店員「その手に持ってるのはなんだよ」
唯「これは」
警察官「話はあとで聞くから」
警察官は唯の腕を引っ張る。
背後では、店員が薄ら笑いを浮かべていた。
唯は言われるがまま、コンビニを出る。
唯「え、私やってない」
店員「その手に持ってるのはなんだよ」
唯「これは」
警察官「話はあとで聞くから」
警察官は唯の腕を引っ張る。
背後では、店員が薄ら笑いを浮かべていた。
唯は言われるがまま、コンビニを出る。
121: 2009/08/05(水) 02:27:01.48ID:AqpVqTSK0
しかし、店員に企みは打ち砕かれる。
「待って下さい!」
立っていたのは、美人女教師だった。
唯「さわちゃん先生!」
さわ子の証言により、唯は解放。
警察官の手は、店員へと移る。
唯「ここで、何してるんですか?」
さわ子「なにって、立ち読みよ。それより、唯ちゃん服汚れてるけど」
唯「それが・・・」
言いかけて、唯はふと思った。
さわ子にお世話になることだって出来る。
しかし、それでは今までと変わらない。
このままじゃいけないと。
唯「あの、先生」
さわ子「なに?」
唯「お願いがあります!」
「待って下さい!」
立っていたのは、美人女教師だった。
唯「さわちゃん先生!」
さわ子の証言により、唯は解放。
警察官の手は、店員へと移る。
唯「ここで、何してるんですか?」
さわ子「なにって、立ち読みよ。それより、唯ちゃん服汚れてるけど」
唯「それが・・・」
言いかけて、唯はふと思った。
さわ子にお世話になることだって出来る。
しかし、それでは今までと変わらない。
このままじゃいけないと。
唯「あの、先生」
さわ子「なに?」
唯「お願いがあります!」
129: 2009/08/05(水) 02:38:53.89ID:AqpVqTSK0
唯の家にさわ子の姿はあった。
さわ子「唯ちゃん、良いわね」
唯「はい、先生!」
さわ子の指示に従い、唯は家のゴミをまとめ始める。
暑い、臭い、疲れるのを我慢して動きまわった。
全ては、軽音部のメンバーと笑顔で笑いあえる日々を目指してだ。
しかし、量は予想以上に多かった。
唯「誰だ、こんなに散らかしたのお」
文句を言いながらも、続々とゴミ袋が増えていった。
午後の三時には大体終わり、公共料金の支払いを済まそうと外に出る。
電話がないので、さわ子の携帯を借りて事情を説明。
担当者が苦戦必氏の電話であったことは、言うまでもない。
さわ子「唯ちゃん、良いわね」
唯「はい、先生!」
さわ子の指示に従い、唯は家のゴミをまとめ始める。
暑い、臭い、疲れるのを我慢して動きまわった。
全ては、軽音部のメンバーと笑顔で笑いあえる日々を目指してだ。
しかし、量は予想以上に多かった。
唯「誰だ、こんなに散らかしたのお」
文句を言いながらも、続々とゴミ袋が増えていった。
午後の三時には大体終わり、公共料金の支払いを済まそうと外に出る。
電話がないので、さわ子の携帯を借りて事情を説明。
担当者が苦戦必氏の電話であったことは、言うまでもない。
134: 2009/08/05(水) 02:51:25.26ID:AqpVqTSK0
二日後には、家はほぼ元通りであった。
さわ子「や、やったわね」
唯「ありがとお、先生」
さわ子「唯ちゃんが、頑張ったのよ」
唯は達成感を感じていた。
憂が居なくても、生きていける。
自分だって、やれば出来る。
成し遂げたことに、貧しい胸を張った。
しかし、失ったものは大きい。
学生時代の友人は、一生ものの付き合いになる事は少なくない。
唯は学生時代の友人を失った。
つまり、人生の一部を削ったのである。
それでも、まだ手の届く場所に居るのだ。
であるなら、失ったものは取り戻せる筈。
唯は、“自分”の家を出た。
さわ子「や、やったわね」
唯「ありがとお、先生」
さわ子「唯ちゃんが、頑張ったのよ」
唯は達成感を感じていた。
憂が居なくても、生きていける。
自分だって、やれば出来る。
成し遂げたことに、貧しい胸を張った。
しかし、失ったものは大きい。
学生時代の友人は、一生ものの付き合いになる事は少なくない。
唯は学生時代の友人を失った。
つまり、人生の一部を削ったのである。
それでも、まだ手の届く場所に居るのだ。
であるなら、失ったものは取り戻せる筈。
唯は、“自分”の家を出た。
135: 2009/08/05(水) 02:59:18.96ID:AqpVqTSK0
干からびた蛙が蘇ったように話す唯に、紬は理解を示した。
残るは律と梓である。
唯は律の家に向かった。
家の玄関で、二人は向かい合う。
二人とも、視線は泳いでいる。
唯はストレートに訴えた。
わたしは変わった。
だから、仲直りしたいと。
律も、あっさりと首肯した。
次なるは、梓だ。
唯は梓の家の前で、衝撃の光景を目の当たりにする。
残るは律と梓である。
唯は律の家に向かった。
家の玄関で、二人は向かい合う。
二人とも、視線は泳いでいる。
唯はストレートに訴えた。
わたしは変わった。
だから、仲直りしたいと。
律も、あっさりと首肯した。
次なるは、梓だ。
唯は梓の家の前で、衝撃の光景を目の当たりにする。
137: 2009/08/05(水) 03:07:28.36ID:AqpVqTSK0
見知らぬ男と梓は親しげに話をしていた。
唯「あれって、彼氏なのかなあ」
短髪で顔も整った顔立ちである。
所謂、“イケメン”だ。
やがて、別れの時間になったらしく梓は家へ戻ろうとする。
それを、男は手を掴み引き止めると、梓の口元へ顔を近づけ接吻した。
唯「あっ」
自分の知らない友人の姿。
それは友人と呼べるのだろうか。
今の唯には、解らなかった。
唯「あれって、彼氏なのかなあ」
短髪で顔も整った顔立ちである。
所謂、“イケメン”だ。
やがて、別れの時間になったらしく梓は家へ戻ろうとする。
それを、男は手を掴み引き止めると、梓の口元へ顔を近づけ接吻した。
唯「あっ」
自分の知らない友人の姿。
それは友人と呼べるのだろうか。
今の唯には、解らなかった。
151: 2009/08/05(水) 04:07:55.11ID:AqpVqTSK0
梓と唯は話す。
梓は時間が経った分、寛容であった為すんなり受け入れてくれた。
唯はその日以来、人が変わったように家の炊事やら洗濯やら家事をこなす。
律や梓も家に来ては、唯の分からないことを教えた。
全ては順調そうに見える。
だが、人生には突然不幸が訪れるのだ。
交通事故で、ラーメン屋勤務の女性が氏亡したという記事が新聞の片隅に載った。
女性の名は、平沢唯。
妹を見舞いした帰りであった。
梓は時間が経った分、寛容であった為すんなり受け入れてくれた。
唯はその日以来、人が変わったように家の炊事やら洗濯やら家事をこなす。
律や梓も家に来ては、唯の分からないことを教えた。
全ては順調そうに見える。
だが、人生には突然不幸が訪れるのだ。
交通事故で、ラーメン屋勤務の女性が氏亡したという記事が新聞の片隅に載った。
女性の名は、平沢唯。
妹を見舞いした帰りであった。
161: 2009/08/05(水) 04:16:16.97ID:AqpVqTSK0
深く深く沈んだ意識から、目を覚ます。
瞳に映るは、自宅の居間の天井。
憂「あ、お姉ちゃん。今、ご飯作るからね」
妹の声が、更に意識をはっきりさせた。
今のは、夢だったのか。
それとも、これが夢か。
唯は体を起こす。
固まった筋肉が軋む感覚。
生きてる。
これが現実なのだろう。
痛んだ感覚で生を実感した。
瞳に映るは、自宅の居間の天井。
憂「あ、お姉ちゃん。今、ご飯作るからね」
妹の声が、更に意識をはっきりさせた。
今のは、夢だったのか。
それとも、これが夢か。
唯は体を起こす。
固まった筋肉が軋む感覚。
生きてる。
これが現実なのだろう。
痛んだ感覚で生を実感した。
165: 2009/08/05(水) 04:33:46.76ID:AqpVqTSK0
唯は進言した。
唯「わたしも手伝うよお」
憂「え、お姉ちゃんは座ってていいよ」
唯「大丈夫、やれば出来るんだからあ」
生憎、夢で得たスキルは引き継がれなかったらしく指を切っていた。
けれども、人間は学びと経験という財産を持つことが出来る。
夢であっても、そこから学ぶことは可能なのかもしれない。
有効期限は短いかもしれないが、唯は夢で意識を変えたのだから。
この言葉を最後に、このお話は終わりとさせて頂くとする。
おわり
唯「わたしも手伝うよお」
憂「え、お姉ちゃんは座ってていいよ」
唯「大丈夫、やれば出来るんだからあ」
生憎、夢で得たスキルは引き継がれなかったらしく指を切っていた。
けれども、人間は学びと経験という財産を持つことが出来る。
夢であっても、そこから学ぶことは可能なのかもしれない。
有効期限は短いかもしれないが、唯は夢で意識を変えたのだから。
この言葉を最後に、このお話は終わりとさせて頂くとする。
おわり
166: 2009/08/05(水) 04:34:36.35ID:g0+GRKN10
どこからが夢だ
167: 2009/08/05(水) 04:36:03.65ID:3j6JQCLg0
最初から夢
引用: 唯「平沢唯。職業はニートです」



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