102: 2012/08/16(木) 00:49:46.52 ID:/h1EqWLB0
P「響がヴァンパイアガールだった……」
P「美希が、ヴァンパイアガールだった……」
【765プロ事務所】
ガチャ
貴音「……はぁ、はぁ……おはようございます、プロデューサー」
P「ああ、おはよう貴音。……ってどうした!? 顔色が悪いぞ」
貴音「……いえ、なんでもありません。私は、至って健康で――」
P「なんでもないってことはないだろう、熱でもあるんじゃ……」
ピト
貴音「っ! ふ、触れないでくださいっ!」
パシッ!
P「っ……!」
貴音「ぁっ……も、申し訳ありません! ああ、私はなんということを……」
107: 2012/08/16(木) 00:56:16.74 ID:/h1EqWLB0
P「い、いや……俺の方こそすまない。気安くさわるような真似をしてしまったな」
貴音「……いえ、あなた様は、何もお気になさらずに……手をあげるつもりでは、なかったのです……」
P「具合が悪いなら、今日のスケジュールは無しにするか? 幸い、レッスンだけだし……」
貴音「いいえ! 四条の家の人間として、これしきのことで休むなど許され――」
ふらっ
貴音「っ……!」
P「お、おいおい、大丈夫か!?」ガシッ
貴音「だ、大丈夫、大丈夫ですから……お願いです、これ以上……」
P「これ以上?」
貴音「……なんでも、ありません……」
110: 2012/08/16(木) 01:01:53.13 ID:/h1EqWLB0
P「やっぱり病院に行こう。とても普通の様子には見えないぞ」
貴音「……たしかに私は、ある種の病を患っている、と言えるかもしれませんが……」
貴音「一般の病院では、きっと……これを治すことはできないでしょう……」
P「そうは言ってもな……」
貴音「……わ、わたくしはっ……!」
ぐ~ギュルギュルギュル……
P「……」
貴音「あの、その、私は……えっと……」カァァ
P「えー……あの、貴音? もしかして、今こうなってるのって」
貴音「いっ、言わないでくださいませ! 決してそんな、空腹だから、などということだけが理由では……!」
113: 2012/08/16(木) 01:06:13.52 ID:/h1EqWLB0
貴音「……う、うう……」
P(両手で真っ赤になった顔を抑えてる。かわいい)
P「……ごほん! つまり、そうなんだな? まったく、無理なダイエットでもしてるのか? 貴音らしくもない」
貴音「だいえっとなど、そのようなつもりはないのですが……」
P「何か食べに行こう。とは言っても、空腹にいきなりラーメンとかは重いか……」
貴音「らーめん……じゅるるんっ」
だらー
P「……ラーメンでいいか」
116: 2012/08/16(木) 01:11:43.93 ID:/h1EqWLB0
【ラーメン屋さん】
コト……
貴音「……ごちそうさまでした」
P「お、おい、まだ半分も減ってないぞ?」
貴音「申し訳ございません……やはり、食欲が……」
貴音「……調理をしていただいたお店の方にも、なんとお詫びしたらよいか……うぅ」
P(泣いている……そんなにも、ラーメンを完食できなかったことが悔しいんだな)
P「ほ、ほら、店員さんも困ってるから……とにかく、出よう」
貴音「う、うう……はい……」
118: 2012/08/16(木) 01:19:36.20 ID:/h1EqWLB0
―――
――
―
P「……落ち着いたか?」
貴音「はい……見苦しいところを、お見せしてしまいましたね……ぐすっ」
P「そんなこと、気にしなくていいさ。……なあ、何があったんだ?」
貴音「……そ、それは……」
P「無理にとは言わないが……俺でよかったら、話して欲しい。少しでも、貴音の力になりたいんだよ」
貴音「プロデューサー……」
P「……まぁ、俺なんかじゃ頼りないかもしれないけど」
貴音「いえ、決してそのようなことは……でしたら、語らせていただきます」
P「……」
貴音「あなた様は……、吸血鬼なる者の存在を、信じますか?」
121: 2012/08/16(木) 01:26:47.57 ID:/h1EqWLB0
P「……吸血鬼?」
貴音「お化けや妖怪と呼ばれる……人外、異形の者達のうち、そのひとつ。……その存在を信じますか?」
P「……」
P(……響、美希……あの子たちのことを人外だとは、決して言いたくはないが……)
P「信じるよ。それは、間違いなくいる。俺たちのすぐ近くに……」
貴音「……」
P「……ど、どうした、そんな驚いた顔して」
貴音「いえ……、実に自信ありげに宣言するものですから、私、少々驚いてしまって……ふふっ、ふふふ」
P「わ、笑われるようなことか? そんなにおかしな言い方をしてしまったかな」
貴音「可笑しくなどありません……。私はただ……、あなた様の、真にあなた様らしい、そのお姿に……」
貴音「心から……、安堵してしまったのですよ」
123: 2012/08/16(木) 01:34:03.75 ID:/h1EqWLB0
P「……この話をし始めたのも、その体調不良に関係してるんだろ?」
貴音「はい……あなた様は、全てお見通しのようですね」
P「そんな大それたもんじゃないよ。ただ、貴音はお化けが苦手な怖がり屋さんだったからさ」
貴音「あ、ああ、あなた様っ!? なぜいきなり、そのような……!」
P「はは、そう恥ずかしがるなよ」
貴音「は、恥ずかしがるなど……もうっ」
P「そんな貴音が……、なんでもない雑談で、こんな話をするわけがない、と思っただけさ」
貴音「……そのとおりです。あの……あなた様?」
P「どうした?」
貴音「今から見るもの……その全てから、目を逸らさないでいただけますか?」
P「……あ、ああ」
P(な、なんだ? 急に、貴音の雰囲気が変わった)
サァァ……
P(……これは、やっぱり……)
130: 2012/08/16(木) 01:38:14.92 ID:/h1EqWLB0
ザァ……
ザザァ……
貴音「……」
P(……空気が冷たい。貴音を中心に、地面に落ちた木の葉が、渦を巻いている……)
バサッ バサバサッ……
キー キーキー!
P(……こうもり? なんでこんなに、たくさん――
ゴォォオオ! ブワッ!
P「!! か、風が……! げほ、ごほ……」
P「お、おい、貴音! そっちは、だいじょう……ぶ……」
P「!?」
134: 2012/08/16(木) 01:44:55.76 ID:/h1EqWLB0
貴音「……」
P(……透き通るような蒼い肌、水滴が零れ落ちるほどに、濡れたまつ毛……)
貴音「あなた様……」
ギロリ
P「……っ」
P(ルビーのように、そして炎のように燃える瞳が……怖いくらいに、俺の心を掴んで離さない……)
P(息が出来ない、目が離せない。油断したら、食われてしまう……!)
貴音「……驚きましたか?」
P(そして……、黒と赤を基調にした、口リータ・ドレス……マイディアヴァンパイア……)
P「……貴音、やっぱり……、お前は……」
貴音「……そう、私は……」
貴音「ヴァンパイアガール、だったのです」
137: 2012/08/16(木) 01:51:08.83 ID:/h1EqWLB0
貴音「あの……、あなた様……?」ジッ
P(だが、呑まれてはいけない! 響や美希とは違う、吸血鬼の恐ろしさを感じたって……、そんなもの関係ない!)
P(俺は……この子の、プロデューサーなのだから!)
P「……ああ、信じるよ。貴音は、吸血鬼なんだな」
P「それで……、血が吸いたくて、たまらなくなっていたんだ」
貴音「……ふ、ふふ、ふふふふ……♪」
P「……お、おい……?」
貴音「そのとおりです♪」
ヒュンッ…… ガッ!
P「ゴフッ!」
P(んなっ、なんて力だ……!? 少しガッとやっただけで、地面に叩きつけられ――
貴音「私は、もう辛抱できないのです。あなた様の匂いは……、これでもかと、私の心をかきたてます……じゅるるん」
P「ひぃぃ」
142: 2012/08/16(木) 01:58:35.69 ID:/h1EqWLB0
メリメリ……
P「いっ、痛っ……」
貴音「よ、よろしいでしょうか? よろしいですね? も、もう私、はっきょ、発狂寸前なのでしゅ」
P「わ、わかったわかった……わかったから、ちょっと手の力を緩めてくれ」
貴音「こ、これは失礼を……真に申し訳御座いませ――
ぐ~ぎゅるぎゅるぎゅるグゴゴゴゴ……!
P「……」
貴音「……」ぽっ
P「は、はは……また腹の虫が鳴いてるな……」
P(……なぜ、俺はさっきまで、貴音のことを恐れていたんだろう。どんな姿になろうと、正体がなんであろうと……)
P(目の前にいる少女が、あの、心優しい貴音であることに……、違いはないのに)
P「ほら、俺は抵抗しないから……いくらでも吸ってくれ」
貴音「いくらでも?」ピク
144: 2012/08/16(木) 02:02:33.19 ID:/h1EqWLB0
P「ああ。とは言っても、もちろん氏なない程度に――
ガブリっ!
P「!?」
貴音「」ズゾゾゾゾゾ
P「お、おおっ、おおお……」シワシワ
貴音「」ジュルルルルル
P「……は、はぁあ~ん……」
シュワシュワ……
147: 2012/08/16(木) 02:06:41.21 ID:/h1EqWLB0
P「あ、あ……」ピクピク
貴音「~♪ ちうちう……」
P(俺の見える世界が、闇に包まれる)
P(暗転していく、俺の意識が……、かろうじて最後にとらえたものは……)
P(嬉しそうに血を吸う、貴音の最高の笑顔だった)
P(ははは……アイドルの笑顔が、最期に見られるだなんて……、プロデューサー冥利に……尽き……)
150: 2012/08/16(木) 02:13:11.24 ID:/h1EqWLB0
―――
――
―
P「ほあっ!」ガバッ
貴音「あ、あなた様! ……ああ、良かった……目が……!」
P「え? こ、ここは……あの世?」
貴音「い、いいえ、ここは間違いなく現世ですよ」
P「現世……ということは、生きてるんだな!? よ、よかった……!」
貴音「あなた様……本当に、申し訳ありませんでした……」
ズサッ……
P「お、おい、いきなり土下座なんて……ちょ、ちょっと説明してくれ。俺はあのあと、どうなったんだ?」
152: 2012/08/16(木) 02:19:05.86 ID:/h1EqWLB0
P「……つまり、ミイラ寸前になったが、貴音がなんとかかんとかして蘇らせてくれたんだな?」
貴音「はい……」
P「不思議なもんだな……そんな力まであるのか、ヴァンパイアガール」
貴音「もちろん、個人によって出来ることに差はありますが……この程度のことならば、私ならば出来ると踏んでおりました」
P「ん、ということは、今までやったことはなかったのか?」
貴音「ええ。なにせ、蘇らせるには、たいえ……」
P「?」
貴音「……な、なんでもございません」ぽっ
158: 2012/08/16(木) 02:25:55.46 ID:/h1EqWLB0
P「随分、顔色が良くなったじゃないか」
貴音「ええ……、あなた様のおかげです。このご恩は、決して忘れません……」
P「そんなに畏まらなくてもいいさ。こうして今は、俺も元気になったことだしな!」
貴音「……ふふ、ふふふ♪」
P「貴音がそうして、笑顔を取り戻してくれて……本当に嬉しいよ。やっぱりお前には、笑顔が一番よく似合う」
貴音「……」
P「……な、なんか言ってくれ。さすがに臭かったか?」
貴音「いいえ……あなた様はやはり、私にとっての……、銀の弾丸のようだと、思っただけでございます」
P「え? どういう意味だ?」
貴音「ふふっ……私を、ハッピーエンドに導いてくれる存在、ということですよ♪ 真の意味で……」
P「……?」
161: 2012/08/16(木) 02:31:29.37 ID:/h1EqWLB0
P「よし、それじゃあそろそろ、帰ろうか。随分暗くなってしまったしな」
貴音「はい……」
ぐ~
貴音「……」
P「……よし、帰りにもう一回、ラーメンでも食べにいくか! 奢るぞ」
貴音「申し訳ございません……」
P「今なら、完食できそうか?」
貴音「はい! それはもう、何杯でもいけそうな気がいたします!」
P「はは……て、手加減してくれよ」
162: 2012/08/16(木) 02:36:46.97 ID:/h1EqWLB0
テクテク
貴音「~♪」
P「……」
P(もう貴音は、いつもの元気を取り戻したようだ。見た目も服装も、今ではごく普通の人間そのものだ)
P(……しかし……)
貴音「? どうしたのですか、あなた様? そのように見つめて……」
P(しかし、しゃなりしゃなりと歩くその姿に……、俺は不思議と、いつもよりずっと強く、心が惹きつけられてしまっていた)
P(これも、ヴァンパイアガールが持つ不思議な力のひとつなのだろうか?)
P(……いや、そんなこと言ったら貴音に失礼だな)
P「なんでもないよ。貴音は魅力的だな、と思ってさ」
貴音「まぁ、……あ、ありがとう、ございます……」
164: 2012/08/16(木) 02:42:14.84 ID:/h1EqWLB0
貴音「い、いきなりそんなことを言うなんて……おかしな人ですね」
貴音(……ですが、そんなあなた様だからこそ……私は、発狂寸前にまで、心を狂わせてしまったのです……)
貴音(……恋の病……。ヴァンパイアガールは、この病を患ってしまうと……)
貴音(その心の渇きを潤すために、異性の血を激しく求めてしまうのですよ)
P「貴音、なんだか上機嫌みたいだな? ……ああそっか、ラーメン屋が見えてきたからか」
貴音「もうっ……それは、わざと仰られているのですか? あなた様は、本当に……いけずです」
P「ええっ? な、なんで……」
貴音「……それは……」
貴音「とっぷしーくれっとですよ、あなた様」
たかパイア編 おわり
165: 2012/08/16(木) 02:43:04.28 ID:iw2E/p370
乙



コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります