171: 2015/05/02(土) 07:04:41.24 ID:nXcn7FKKo
やっと休みが取れたので投下。今日からイベントも再開します。

前回:瑞鶴「加賀さん……好きです」 加賀「私も好きよ」【その4】
最初から:瑞鶴「加賀さん……好きです」 加賀「私も好きよ」

「艦これ」ピクトリアルモデリングガイド 大和編: 『艦これ』提督のための艦船模型ガイドブック
172: 2015/05/02(土) 07:05:30.49 ID:nXcn7FKKo

「青空」

横須賀提督『私だ』

幌筵提督「あらあら。ご無沙汰ね。何か用かしら?」

横須賀提督『君の艦隊に所属している、幸運の空母の件でちょっとな……』

幌筵提督「ふーん。先に言っとくけど、私は今まで通りのスタンスを貫くつもりよ」

幌筵提督「本人が望まない限り、ここから連れ出すなんて認めないわ」

横須賀提督『ああ、承知しているよ。私とて、強引に連れ戻すような真似はしたくない』

横須賀提督『だが、大本営は違う。やはり彼女を横須賀に置いておきたいそうだ』

幌筵提督「それもこれも、あなたがいつまで経っても沖ノ島を攻略できない所為でしょうが」

横須賀提督『ああ、それを言われるとな……我々も人事を尽くしてはいるのだが』

173: 2015/05/02(土) 07:06:11.58 ID:nXcn7FKKo

横須賀提督『まあともかく、大本営は近々、彼女を説得するために使者を送るそうだ』

横須賀提督『まあ大丈夫だとは思うが、一応な。穏便に頼むぞ?』

幌筵提督「それは向こうさんの態度次第ね。まあ善処はするけど」

横須賀提督『うむ。では私はこれで失礼するよ』

幌筵提督「大本営の使者……ねぇ。中々面倒なことになりそうだわ」

174: 2015/05/02(土) 07:07:53.62 ID:nXcn7FKKo

_____数日後、泊地食堂

瑞鶴「あれぇ? なんか違うなぁ」

加賀「ええ。美味しいけど、特別絶賛する程じゃないわね。どうして急に卵焼きなんて作ろうと思ったの?」

瑞鶴「うん。一つ下の幼馴染みが作るの得意だったんで、久しぶりに食べてみたいな~って思ったんですけど」

瑞鶴「どうしてもあの味を再現できなくて……」

加賀「そう。あなた、才能の無駄遣いと言わんばかりに料理上手なのに、珍しいわね」

瑞鶴「なんか一言多くないですか?」

まあ、学校に通ってた頃は毎日お弁当作ってたし。加賀さんに食べてもらいたくて、必氏に勉強してさ。
とは言っても、あの当時の私はヘタレ極まりなかったから、結局一年間で一度も渡せなかったのよね。
今ならこうして普通に手料理を振舞ってるのに。まあ、スキル自体が無駄になってないからいいか。

175: 2015/05/02(土) 07:08:39.45 ID:nXcn7FKKo

鈴谷「あ、ここにいた。瑞鶴、お客さんが来てるよ」

瑞鶴「え? 私に?」

鈴谷「うん、応接室で待ってるから来てってさ。あ、ついでに加賀さんも」

加賀「私もですか? わかりました」

瑞鶴「私達に用って誰だろ? 飛龍先輩かな?」

176: 2015/05/02(土) 07:09:18.96 ID:nXcn7FKKo

_____応接室

瑞加賀「失礼します」

入ってすぐ目に付く、特徴的な髪型の小柄な艦娘。私のよく知ってる子だ。

???「瑞鶴、久しぶりー!」

瑞鶴「瑞鳳……!」

さっき加賀さんに話していた幼馴染み。すごい、こんな偶然があるなんて。私の、悲しいくらい無い胸も自然と高鳴る。

177: 2015/05/02(土) 07:10:20.10 ID:nXcn7FKKo

瑞鳳「もう! 瑞鶴ったら酷いよ! 私に何の相談もなくこんなところにいるなんて!」

そうだった。在学中はよく、一緒に横須賀で艦載機を飛ばそうね……なんて話してたっけ。
私の幌筵行きは急遽、それも極秘に決まったことだったので身内への連絡も出来なかったんだ。

加賀「あの……話が見えないのだけど」

瑞鶴「あ、すいません加賀さん。この子は瑞鳳。艦娘学校時代の後輩で、幼馴染みなんです」

瑞鳳は加賀さんの卒業と入れ替わりで入学したので、直接の面識はない。

瑞鶴「んで、瑞鳳。こちらが加賀さん。この艦隊の旗艦で秘書艦も兼任」

瑞鳳「あ、はい。瑞鶴がお世話になってます……」

加賀「ええ。それじゃあ、用件を聞こうかしら」

178: 2015/05/02(土) 07:11:56.69 ID:nXcn7FKKo

瑞鳳「瑞鶴を横須賀に連れ戻すようにと。はいこれ、大本営からの指令書です」

瑞鶴「えっ!?」

瑞鳳が取り出した紙には、確かに私に対する帰還命令が書かれていた。私、戻らなきゃいけないの?

加賀「毎週毎週同じ文面。あの人達もよくも飽きないものね」

瑞鶴「毎週? それってどういう……」

加賀「一ヶ月ほど前から毎週来てるわよ、これ。私が握り潰してるけど」

瑞鶴「えっ、何ですかそれ!? 初めて聞きましたよ!?」

加賀「だってあなた、どうせ戻る気はないのでしょう? それなら同じことよ」

瑞鶴「ええ、まあ……」

確かにそうなんだけど……なんか自分が知らないところで命令違反してたのは後ろめたい気持ちになる。でも……

179: 2015/05/02(土) 07:12:47.50 ID:nXcn7FKKo

瑞鶴「今はちょっと、戻れない……かなぁ」

瑞鳳「どうして? どうしてなの、瑞鶴!? 一緒に横須賀に行こうって約束したじゃない!?」

瑞鳳「私、必氏に頑張ったんだよ! 瑞鶴みたいな才能はないけど、横須賀に配属されるように努力したのに!」

瑞鶴「あ、いや、その……これには海より深い事情があって……」

そうだ。艦娘の中でも、翔鶴姉の失踪のことを知ってるのはごく一部だけ。
瑞鳳からしてみれば、今の私はただ約束を反故にしたようにしか見えないんだ。

瑞鶴「ねえ加賀さん。翔鶴姉のこと、話してもいいですよね? そうじゃないと多分納得しないと思います」

加賀「いいんじゃないかしら? それで引き下がるとは思えないけど」

少し加賀さんの言葉が引っ掛かったけど、私は瑞鳳にこれまでの経緯を説明した。

180: 2015/05/02(土) 07:13:43.65 ID:nXcn7FKKo

瑞鳳「そう……だったんだ。事情はわかった。でもこの場所は、私との約束よりも大事?」

瑞鶴「うっ……そ、そんなの……」

冷静に考えてみる。翔鶴姉がいたこの場所……? 違う、そうじゃない。
今の私にとってここは……加賀さんと一緒にいられる場所。その思いの方が強かった。だから……

瑞鶴「ごめん、本当にゴメン。瑞鳳。今の私には、ここが一番大切なんだ」

瑞鳳「どうして……? どうして私じゃダメなの!? 私が軽空母だから!? 弱いから、瑞鶴の隣には立てないの!?」

瑞鶴「えっ!? ちょ、待って! 誰もそんなこと言ってない!」

瑞鶴「瑞鳳、どうしちゃったの? なんで、そこまでして……?」

181: 2015/05/02(土) 07:14:59.54 ID:nXcn7FKKo

加賀「鈍いのね?」

瑞鶴「は、はあ!? ちょっと加賀さん!? 何なんですかいきなり!」

加賀「言葉の表面だけを捉えるんじゃないの。その内にあるものをキチンと理解しなさいってことよ」

瑞鶴「それ、加賀さんにだけは絶対に言われたくないんだけど!」

私は加賀さんに詰め寄る。あ、顔近い。でも、構うもんか。
本当に鈍すぎるのは加賀さんの方だってこと、今日こそは言ってやるんだから!

瑞鶴「加賀さんこそ! 鈍すぎるのよ! 天才的だわホント!」

加賀「は? どう言うことかしら? まったく心当たりがないのだけど」

瑞鶴「心当たりがないのがいけないの! 普通だったらとっくに気がついてるわよ!」

気が付けば瑞鳳そっちのけで加賀さんと口論。

182: 2015/05/02(土) 07:16:02.70 ID:nXcn7FKKo

瑞鳳(この二人……そっか、瑞鶴。そう言うことだったんだね。あなたがここを離れたくない理由……)

瑞鳳(思えば、学生の頃からそうだった。毎日のように加賀さん加賀さん加賀さん加賀さんって……言ってたなぁ)

瑞鳳(やだ……やだよ、瑞鶴。ずっとあなたの隣にいたのは私。小さい頃から一緒にいたのは私なんだから!)

瑞鳳「あ、あの! 加賀さん!」

加賀「……なに?」

瑞鳳「私と……勝負してくれませんか!?」

突然そんなことを言い出す瑞鳳。何考えてんの?

183: 2015/05/02(土) 07:17:01.88 ID:nXcn7FKKo

瑞鳳「私が負けたら、大人しく帰ります。でも……私が勝ったら、瑞鶴には横須賀に戻ってもらいます!」

加賀「瑞鶴に戻る意志がない以上、勝負も何もないでしょう?」

加賀さんは至って冷静だ。良かった。好きな人と大事な幼馴染みが争うところなんて見たくないよ。

瑞鳳「あれ? 逃げるんですか? 軽空母の私に負けるのが怖い?」

加賀「頭にきました。いいでしょう、受けて立ちます」

瑞鶴「ちょ、加賀さん!?」

加賀さん沸点低すぎ! 瑞鳳も瑞鳳で、何でそこまで拘るの!? もう意味わかんない!

加賀「それで、何で勝負するの? 射撃? 実戦演習? ハンデはどれくらい必要かしら?」

瑞鳳「そうですね……こんなのはどうでしょうか?」

184: 2015/05/02(土) 07:17:42.65 ID:nXcn7FKKo

_____部屋の外

幌筵提督「いや~、いい百合修羅場だね~。幼馴染みの幼妻と現地妻の争いとか、瑞鶴ちゃんマジ主人公属性!」

鈴谷「でもさ~、どうするの? このままじゃ瑞鶴、横須賀に戻っちゃうよ?」

幌筵提督「大丈夫でしょ。加賀さんが負けるわけないし」

鈴谷「提督、勝負の内容聞いてなかったでしょ? この勝負、加賀さんには絶対勝ち目ないよ?」

幌筵提督「あーうん、ちょっと興奮してて聞いてなかったけど。加賀さんに勝ち目のない勝負って何よ?」

鈴谷「それは……」

185: 2015/05/02(土) 07:19:21.63 ID:nXcn7FKKo

_____瑞鶴、加賀の部屋

瑞鶴「どうするんですか加賀さん!? よりによって、あんな勝負受けるなんて!」

加賀「あそこまで馬鹿にされて、引き下がるわけにはいかないわ」

瑞鶴「まあ、百歩譲って勝負を受けるのはいいです。でも、内容まで全部瑞鳳に決めさせるなんて!」

瑞鶴「加賀さんが負けたら私、横須賀に連れ戻されるんですよ!?」

加賀さんが受けた勝負……それは潜水艦哨戒任務。北方海域にも、数は少ないながら敵潜水艦の姿が確認されてる場所がある。
明日その場所に出撃し、潜水艦を撃破した数を競うと言うもの。

186: 2015/05/02(土) 07:20:03.06 ID:nXcn7FKKo

瑞鶴「それをこんな……100%負ける勝負なんて……!」

潜水艦……それは私達正規空母にとって数少ないウィークポイント。私達の艦載機は、潜水艦に対してほとんど攻撃ができない。
正規空母に搭載される艦載機の妖精さん達が受ける訓練は航空戦に特化していて、対潜に関しては全くと言っていい程手付かずなんだ。
一方で軽空母の方は、搭載数や戦闘力で正規空母に劣る分、多彩なことが出来る様にと対潜訓練もある程度受けている。
もちろん、本職の駆逐艦や軽巡には大きく劣るけど、それでも対潜能力0の正規空母相手に負けるわけがない。

瑞鶴「加賀さん、私……やだよ。まだここにいたいよ……」

加賀「わかってるわ。何とかすればいいのでしょう?」

187: 2015/05/02(土) 07:21:47.20 ID:nXcn7FKKo

_____翌日、アリューシャン列島

瑞鳳「それじゃあ改めて確認しますね。1時間以内にどれだけ潜水艦を倒せるかを競います」

瑞鳳「通常クラスは1ポイント、エリートを倒したら3ポイント、フラグシップは5ポイントです」

瑞鳳「ただし、安全最優先のため大破したら速やかに撤退。お互いが大破してしまったら、その時点でのポイントで勝敗を決めます」

瑞鳳「よろしいですか?」

加賀「ええ。わかったわ」

瑞鳳「それじゃあ、始めます!」

瑞鳳が発艦する。彼女のお気に入りの九九艦爆9機、対潜能力の高い九七艦攻が18機、偵察機の二式艦上偵察機が3機。

加賀「……発艦始め」

対する加賀さんは……偵察機の彩雲を12機、九七艦攻を36機。自慢の45機搭載のスロットは今は沈黙している。

瑞鶴「加賀さん……大丈夫かな? 策はあるって言ってたけど……」

188: 2015/05/02(土) 07:22:42.88 ID:nXcn7FKKo

瑞鳳「見つけちゃいました! 攻撃隊、やっちゃって!」

開始から数分。早速瑞鳳が潜水艦を発見。攻撃隊が一箇所に集まり、爆雷を投下する。

カ級「アッー!?」

直後、爆音と共に敵潜水艦の反応が消失。撃破に成功したみたいだ。

瑞鳳「やったあ! まずは1ポイント先取よ!」

瑞鶴「か、加賀さん!」

加賀「まだ始まったばかりよ。焦らないで」

瑞鳳(瑞鶴……また加賀さんばっかり見て……でも、それも今日でおしまいなんだからっ!)

189: 2015/05/02(土) 07:24:05.69 ID:nXcn7FKKo

加賀「見つけたわ」

程なくして、加賀さんが呟く。私にも見える。そっか、加賀さんが言ってた策ってこれのことだったんだ!

加賀「鎧袖一触よ」

カ級「!?」

そうだ。潜水艦だって、何も無限に潜行しているわけじゃない。浮上している時だってある。
こちらの潜水艦娘なんかも潜るのは戦闘中くらいで、普段は浮上しながら航行してるし……
ともかくこの間隙を突くことができれば、対潜能力0の正規空母でも潜水艦を撃沈できる。

190: 2015/05/02(土) 07:25:12.94 ID:nXcn7FKKo

瑞鳳「いただきです!」

しかし、瑞鳳の方も浮上している敵に気付き攻撃隊を嗾ける。

カ級「イ゛ェアアアア!?」

加賀さんと瑞鳳の攻撃隊が交差する中で敵潜水艦は撃沈。

加賀「……そちらの取りね」

瑞鳳「そうですか。じゃあ遠慮なくいただきます」

えっ? タイミングは間違いなくセイム。それならもっと揉めてもいいのに……!

加賀「さあ、次行くわよ」

加賀さんは気にする素振りもなく着艦体勢に入る。とにかくこれで2点差。敵潜水艦は滅多に浮上しない。
もしかしたら今のが最後のチャンスだったのかも知れないのに……これを逃したのは痛すぎる。

191: 2015/05/02(土) 07:26:26.96 ID:nXcn7FKKo

瑞鶴「残り10分です!」

勝負も終盤。瑞鳳はあれから堅実に撃破していき、現在4ポイント。加賀さんは未だに戦果なし。

瑞鳳(よし、ここまで離せばまず負けない。元々この勝負は私が圧倒的に有利。ちょっとえげつなかったかも知れないけどさ……)

瑞鳳(絶対に負けたくなかった。この人に瑞鶴は渡さない! 私、瑞鶴を取り戻す為なら何でもするよ!)

普通に考えたらもう逆転不可能な程の点差。それでも加賀さんの顔に焦りの色は見られない。

瑞鶴「加賀さん……」

もうやめよう……加賀さんの負けるところなんて見たくない。それを伝えに、加賀さんに近寄る。

192: 2015/05/02(土) 07:27:24.86 ID:nXcn7FKKo

加賀「……!? 瑞鶴、ダメよ! 来ないで」

瑞鶴「えっ?」

レーダーを見ると敵艦反応。距離は大分近い。そして直後に水面には細長い魚雷の影。マズイ……!?

加賀「ちっ……!」

刹那、加賀さんは私の前に立って魚雷の直撃を受ける。凄まじい轟音と爆煙。

瑞鶴「かっ、加賀さん!?」

噴煙を掻き分けて加賀さんの姿を探す。いくら正規空母の装甲でも、あんな近距離から魚雷を受けたら……

193: 2015/05/02(土) 07:28:14.01 ID:nXcn7FKKo

加賀「まったく……」

煙の中から加賀さんが姿を現す。飛行甲板も艤装もかなりの損傷。かろうじて大破には至らない程度の中破。

加賀「注意力散漫よ、瑞鶴」

瑞鶴「ごめんなさい……私、その……」

加賀「でも、無事で良かったわ」

そう言って頭を撫でてくる加賀さん。こんなことしてもらう資格、今の私には無いのに……

194: 2015/05/02(土) 07:29:36.26 ID:nXcn7FKKo

瑞鶴「加賀さん、帰りましょう。私が守ります! 何があっても守りますから!」

加賀「このままじゃ終われないでしょう? 決着はキチンとつけないと」

瑞鶴「こんな状態で、何が出来るんですか!? もう勝負なんてどうでもいいですから!」

瑞鶴「瑞鳳は私が説得しますから。加賀さんが沈んじゃうのは……やだ」

加賀「優しいのね瑞鶴。あなたの気持ちは嬉しい。でも……」

直後、加賀さんは冷たい目で潜水艦がいた方を睨む。その目付きに少し戦慄を覚えた。

加賀「このままじゃ腹の虫が治まらないの」

表情を変えないまま27ノットの速度で潜水艦のいたところに向かう加賀さん。
でも、この状態で何をする気なの? もう発着艦も出来ないのに……

195: 2015/05/02(土) 07:32:25.16 ID:nXcn7FKKo

加賀「逃がさないわ」

瑞鶴「え~~~っ!?」

そのまま海にダイブし、潜水艦を捕まえて水上に引きずり出した。金色のオーラを纏った、フラグシップ級だ。

ヨ級「なっ……アナタ、あの距離で雷撃を受けて……!?」

加賀「残念だったわね。あの程度で沈む程、私はヤワじゃないわ」

ヨ級「氏に損ったのね……だけど、その損傷で何が出来……ぶへぁっ!?」

挑発してくる潜水艦の顔面に鉄拳を入れる加賀さん。怯んだ相手を押し倒し、更に連打を浴びせる。

ヨ級「ぐえっ! い、痛ッ!? あ、アナタ……こんなやり方! それでも、艦娘なの!? あん!」

尚も無言のまま殴り続ける加賀さん。艤装部分も構わず殴ってるので逆に加賀さんの手からも鮮血が流れて痛々しい。

196: 2015/05/02(土) 07:33:11.70 ID:nXcn7FKKo

瑞鳳「…………」

私も瑞鳳も唖然としながらそれを見ていた。正直、怖くて動けない。

ヨ級「ちょ、ごめんなさいマジ調子乗ってました! 許して下さい何でもしますから!」

瑞鶴「はっ!? か、加賀さん!」

私は金縛りとも言える状態からようやく抜け出し、加賀さんに駆け寄る。

瑞鶴「加賀さん! もうやめてぇ! それ以上は……加賀さんの方が!」

加賀「はぁ……はぁ……そうね。終わりにしましょう」

197: 2015/05/02(土) 07:33:59.53 ID:nXcn7FKKo

ヨ級「」

ぐったりしている潜水艦を掴み、宙に放り投げる加賀さん。そのまま弓を構え、残っていた最後の矢を撃ち出す。
45機の彗星が一斉に追尾し、爆弾を投下。当然避ける術などなく、潜水艦はそのまま爆発四散した。

加賀「やりました」

瑞鶴「わかったから、とにかく撤退よ撤退! 瑞鳳も、帰るよ」

瑞鳳「う、うん……」

198: 2015/05/02(土) 07:35:09.82 ID:nXcn7FKKo

_____泊地入渠施設

やっと帰ってきて入渠中。途中、会敵することはなかったけど、みんな終始無言で妙に空気が重かった。
と言うか今も二人とも黙っちゃってるし……私が切り出すしかないのかな。

瑞鶴「え、えっと、それじゃあ結果発表します。瑞鳳は4隻撃沈で4ポイント」

瑞鶴「加賀さんはフラグシップ級撃沈によって5ポイントで、加賀さんの勝ち……ってことでよろしいでしょうか?」

加賀「そうね。制限時間内だったし、ルールに則るなら私の勝ちです」

瑞鳳「……はい。問題ありません」

漸く口を開く二人。私はホッと胸を撫で下ろす。これでこの場所に……加賀さんと一緒にいられる。

199: 2015/05/02(土) 07:36:18.73 ID:nXcn7FKKo

加賀「瑞鳳。あなたが瑞鶴をとても大切に想っている気持ちはわかります」

加賀「でもね、この子にはこの子の生き方がある。それを否定する権利は誰にもありはしない……」

加賀「だから私は、瑞鶴にその意志がない限りここから連れ出すことは認めません」

瑞鳳「はい……私、自分の都合ばっかりで瑞鶴の気持ち、全然考えてなかった……」

瑞鳳(それに、今日の出撃でわかったよ。瑞鶴と加賀さんの間に、割って入る余地なんてない……)

瑞鳳(少なくとも今は……ね)

200: 2015/05/02(土) 07:38:19.22 ID:nXcn7FKKo

瑞鳳「でも私、諦めませんから。無理矢理連れ戻すことはもうしませんけど……」

瑞鳳「いつか瑞鶴の方から一緒に戦いたいって言ってもらえるように、努力します!」

加賀「そうね、良い心掛けだわ。瑞鶴は鈍感だから大変だとは思うけど……」

か、加賀さんまた自分のこと棚に上げて……! もう何なのよ! わざとやってんの!?
今日は加賀さんに迷惑掛けちゃったし、何言われても口答えしないでおこうと思ってたけど、これは流石に頭に来た。

201: 2015/05/02(土) 07:39:08.25 ID:nXcn7FKKo

瑞鶴「加賀さんには言われたくないっての! この鈍足鈍感空母!」

加賀「は? 昼間も同じようなことを言ってたけど、何のことだかわからないわ」

瑞鶴「もう、信じらんない! 馬鹿じゃないの加賀さん! このバ加賀!」

加賀「頭に来ました」

もはや定番になった台詞と共に、加賀さんが私の後ろに回り込む。加賀さんのくせに信じられない程俊敏な動き。

瑞鶴「あいたたたっ! やめて、もげる!」

そして、私の小さな胸を掴むと一気に力を入れて握ってくる。

瑞鶴「つ、潰れる!? やだやだ、これ以上胸ちいさくなるのやだぁ!」

瑞鳳(ふふっ……でも、壁は高そうだなぁ……頑張らないと!)

202: 2015/05/02(土) 07:40:29.65 ID:nXcn7FKKo

_____泊地食堂

幌筵提督「いやー本当どうなることかと思ったわ。やっすい挑発に乗って潜水艦撃破数勝負受けるなんて」

鈴谷「しかも負けたら恋人失うペナルティ付きでさ。それで勝っちゃう辺り流石加賀さんだけど」

加賀「恋人ではありません」

幌筵提督「でもあの瑞鳳って子も相当な根性者よね~。あの加賀さんに恐れずに勝負を挑むなんて」

瑞鶴「そうそう。あの子、ああ見えて昔っから一本芯が通ってるって言うかさ」

鈴谷「いいよね~瑞鶴は。あんな風に慕ってくれる子がいてさ。羨ましいな~」

雷「ほんと、器量よしで料理も上手。瑞鶴には勿体無いくらいよね」

瑞鳳が作ってくれた卵焼きを頬張りながら、微妙に失礼なことを言う雷。

203: 2015/05/02(土) 07:41:21.85 ID:nXcn7FKKo

鈴谷「あーあ、鈴谷もあんな後輩欲しかったな~」

瑞鶴「そうだね~。慕ってくれる可愛い後輩がいるって、幸せなことですよね? 加・賀・さ・ん!」

加賀「そうね。どこかの生意気な後輩も見習うべきだと思うわ」

あっさりと一蹴。はぁ……私も瑞鳳みたいにちゃんと態度に出してれば、今頃はもっと距離も縮まってたのかなぁ?
でも、それも難しそう。私は瑞鳳ほど素直じゃないし、加賀さんは私ほど単純でもない。
お互いの性格からして、最初からベリーハードモードなんだ、これは。
でも、私は負けない! 自分を曲げないで……私は私らしく、加賀さんを落としてみせる!

五航戦、瑞鶴! 頑張りますっ!

つづく!

次回「絶望」

204: 2015/05/02(土) 07:46:01.94 ID:nXcn7FKKo
設定

瑞鶴(18):鈍感な加賀さんに苦労するヒロイン属性かと思ったら本人もやっぱり鈍感だった、どこまでいっても主人公属性な主人公。

瑞鳳(17):瑞鶴の幼馴染み。謎の卵焼き推し。瑞鶴より胸が無いが瑞鶴と違って気にしてはいない。

205: 2015/05/02(土) 07:48:47.96 ID:nXcn7FKKo
今回はここまでです。あと少し書くのが遅かったら瑞鳳のポジションは葛城になってたかも知れません。
瑞加賀と葛城の三角関係を日々妄想しているのでこのSSが完結したら書いてみたいとか思っております。
それではここまで読んで頂いた方、レス下さった方、ありがとうございました。

瑞鶴「加賀さん……好きです」 加賀「私も好きよ」【その6】

引用: 瑞鶴「加賀さん……好きです」 加賀「私も好きよ」