204: 2015/03/07(土) 07:57:10.90 ID:J3QxmmZZ0


前回:提督「…さて、と」【2】
最初から:提督「…さて、と」


数時間後、執務室

コンコン
不知火「不知火です。」

提督「入れ。」

ガチャ、バタン
不知火「失礼します。…お一人ですか?」

提督「…奥で榛名が眠っている。」

不知火「…榛名さんの話を…?」

提督「…聞いた。」

不知火「…そうですか。」

提督「今後榛名には徹底的に事務能力をつけてもらおうと思っている。それこそ雷並みにな。」

不知火「…戦場には出さない、という事ですか。」

提督「そうだ。…榛名は私が面倒を見る。二度と手放さないと約束した。」

不知火「…一体彼女に何が…」

提督「…黒提督は、戦えない怖がりな艦娘に捕虜の深海棲艦を殺害させる事で、恐怖感を麻痺させるのと同時に、心身に対する暴力で艦娘を支配していたようだ。」

不知火「…戦えない艦を、無理矢理戦わせていた。」

提督「…主張派は…どこまでも…愚かな奴ばかりだな…」
「艦これ」ピクトリアルモデリングガイド 大和編: 『艦これ』提督のための艦船模型ガイドブック

205: 2015/03/07(土) 07:58:26.95 ID:J3QxmmZZ0
不知火「…榛名さんを大切にする事は…あなたの贖罪なのですか?」

提督「…そう、なのかもしれない。」

不知火「…何故っ!!…あなたは罪を犯してなんかいないわ!あなたは、艦娘の為を思って!」

提督「思っているだけではダメなんだ!榛名は…榛名の心は…俺が壊したのも同然なんだぞ!榛名だけじゃない…他にも沢山の艦娘が氏んだ…俺が…俺が頃した…!」

不知火「そんな事無い!もうやめて!何故あなたばかり苦しまなければならないの!あなたは悪くないのに!こんなの、こんなのおかしいわ!」

提督「…」

不知火「赤城さんも!愛宕さんも、那智さんも霧島さんも!…こんな司令官は…きっと、望み、ませんよ…!」

提督「…」

不知火「…加賀さんから、連絡がありました。近く様子を見に来たいと。」

提督「…そうか。…私から連絡を返しておこう。」

不知火「…私はこれで失礼します…」

提督「…すまない、不知火…」

不知火「…」
ガチャ、バタン

206: 2015/03/07(土) 08:00:04.41 ID:J3QxmmZZ0
キィ…
榛名「あ、あの…提督?」

提督「あぁ、榛名。…聞かれていたか?」

榛名「い、いえ。今目が覚めた所です。…大きな声でしたけど、誰かと喧嘩ですか?…もしかして榛名が、」

提督「違う。お前の事では無い。…こっちへおいで、榛名。」

榛名「は、はい。」

提督「辛かったろうな…演習なんかさせて悪かった。」よしよし

榛名「榛名は…大丈夫ですよ…」

提督「…お前には、戦う才能より事務管理の才能を感じる。物覚えも早い。…常設の秘書艦に任命する予定だ。」

榛名「は、榛名が常設の秘書艦ですか?」

提督「そうだ。」

榛名「不知火さんや雷さんを差し置いて、何故私が…?それに、私は戦艦ですよ?」

提督「艦種で仕事を振り分けるのは良からぬ事だとは思わないか。」

榛名「…でも…榛名が、役立たずだからですか?」

提督「おいおい、それは世の秘書艦に失礼が過ぎるぞ。何故役立たずを秘書艦にするんだ。お前はきちんと役に立っているよ。」

榛名「し、しかし。」

提督「榛名。お前に戦場は似合わない。が、お前の戦う能力も私は高く評価している。常設秘書艦は、提督の最終防衛ラインでもある。両方をこなせる艦娘。だからこそ、お前なんだよ。」

榛名「だからこそ、私…ですか…」

提督「懐刀として私を支えてくれ。」

榛名「…わかりました。榛名、頑張りますね。…こんな榛名をよろしくお願いします。」

提督「よろしく頼むよ。頼りにしている。」よしよし

榛名「はい!(…頑張らねば、なりませんね。…提督の常設秘書艦…えへへ…)」

219: 2015/03/08(日) 13:33:27.25 ID:HLJ08eLb0
執務室


コンコン
鳳翔「鳳翔です。足柄の代理として哨戒から戻りました。」

提督「…入れ。」

ガチャ、バタン
鳳翔「失礼します。」

提督「ご苦労だった。」

榛名「お疲れ様です。」

鳳翔「…あの。」

提督「どうした。」

鳳翔「不知火さんが、号泣しながらお酒を煽っていたのですが、大丈夫でしょうか。何かあったのですか?」

提督「…止めに行こう。」

榛名「…(さっきの大きな声、提督と不知火さんだったのでしょうか…泣き疲れて寝てしまっていたとは、榛名、不覚です…)」

鳳翔「いえ、今は寝ています。見てられない、と足柄さんが止めて、吐かせてから寝かしていました。」

提督「…そうか。」

鳳翔「…提督の名を呼びながら泣いてましたよ。」

提督「…そうか。…そのうち落ち着くだろう。手間を掛けたな。また不知火とは話をしておく。」

鳳翔「…何があったのですか?」

提督「…見解の相違だ。心配する必要はない。」

鳳翔「…わかりました。失礼します。


提督「…」

220: 2015/03/08(日) 13:38:38.18 ID:HLJ08eLb0
夜、提督の部屋


コンコン

提督「…誰だ。」

鳳翔「鳳翔です。」

提督「…入れ。」

鳳翔「失礼します。…お一人で晩酌ですか。」

提督「…何か用か。」

鳳翔「…しばらくお休みを頂けるとの事でしたので、早速お酒を頂きに。」

提督「…ウイスキーしか無いぞ。宴会で出したから日本酒はスッカラカンだ。ビールも無い。」

鳳翔「では、ウイスキーを下さい。」

221: 2015/03/08(日) 13:41:36.36 ID:HLJ08eLb0
提督「…何で割る。」

鳳翔「えっと…すみません。飲んだ事が無くて…」

提督「初めて。初めてか…山崎、のストレートで良いか。」

鳳翔「ありがとうございます。」

提督「…ほれ」コトン

鳳翔「…このお水は…?」

提督「チェイサー…口直しだ。」

鳳翔「成る程。では、頂きます。」くいっ

提督「あ、おいおい…」

鳳翔「けほっけほっ」

提督「…日本酒と同じ感覚で飲むなと言っておくべきだったな…水を飲め」

鳳翔「すみません…」

提督「…少しずつ飲むと良い。香りも楽しめるだろう。」

鳳翔「…はい。…木のような、不思議な香りがします。」チビチビ

提督「樽で熟成されてるからな…どうだ、気に入ったか。」

鳳翔「美味しいです。辛いのに甘いですね。後味が果実のようで…」チビチビ

提督「それは良かった。山崎はわりと飲みやすい。…舌が痺れて味がわからなくなる前に、水を口に含むと良い。」

鳳翔「はい。ありがとうございます。」

提督「酒は、良い物に限る。最初に悪い物に慣れると、繊細な味がわからなくなる。」

鳳翔「最初が肝心、ですか。」

提督「そうだな。酒に限った話では無いが…」

222: 2015/03/08(日) 13:43:20.92 ID:HLJ08eLb0
コンコン
足柄「あたし。」

提督「…入れ。」

足柄「お邪魔しまーす…あら?鳳翔さん?…本当にお邪魔だったかしら。」

鳳翔「いえ、大丈夫ですよ。」

足柄「良かった。あ、ウイスキー!…提督、あたしロックで。」

提督「お前…哨戒を代わってもらった身で、よく飲みに来たな…」コトン

足柄「まぁ、そういう事もあるわよね。ありがと。…やっぱ山崎は甘いわね。余市無いの?」

提督「今私が飲んでる。鳳翔も山崎と飲み比べてみると良い。」コトン

鳳翔「あら、ありがとうございます。」

足柄「…ありがと。なんか今日はやけに素直ね。…不知火さんと喧嘩して落ち込んでるの?」

提督「…そんな事は無い。」

足柄「なんか最初はコンビって感じだったのに、最近全然じゃない?」

提督「…」グイッ

足柄「最近不知火さんに冷たくない?」

提督「…いや。」

足柄「…とは言い切れなくない?」

鳳翔「ちょっと足柄さん…」

提督「…艦娘は不思議な生き物だな。まるで人間のように生き、恋をする。その想いはとても一途で、深い。…海よりもな。」

足柄「…はい?急に何?」

223: 2015/03/08(日) 13:45:59.89 ID:HLJ08eLb0
提督「足柄、何故人間が艦娘と距離を取るのか。もう一つ理由を教えよう。これは噂話だがな。」

足柄「…」

提督「艦娘は沈んだ後、海底の無念や怨念によって深海棲艦に成ると言われているのは知ってるな。」

鳳翔「はい。そう聞いたことがあります。」

提督「艦娘がもし、海底の怨念に負けない程の強い愛情を抱いて深海棲艦になったらどうなるか。…帰ってくるのさ。愛情を頼りにな。そして地獄の果てまで追ってくるらしい。一緒に海底に沈む、その時まで…」

足柄「…はあ?それで不知火さんと距離を取ってるって?提督、あんた酔ってるわね…」

提督「…ただの冗談じゃないか。不知火とは方針の違いから少し揉めただけだ。不知火はああ見えて繊細だからな…少し負担をかけ過ぎた。信頼してるからこそ負担を強いる事になってしまったが…明日謝ろう。」

足柄「…そいえば榛名を常設秘書艦にしたんだって?榛名は喜んでたけど、あの子、榛名に嫉妬してるかもよ。」

提督「…例えそうだとしても、榛名をこれ以上戦わせる訳にはいかん。」

足柄「あ、そういう結論になったんだ?」

鳳翔「やはり、危険であると?」

提督「いや…どちらかというと、榛名の事情を聞いて、少しな…陽菜の分の戦力の補強をしたい所だが…」

足柄「まぁ、無理よね。戦闘も全く無いような小さな島だし。」

提督「そうなるな…」

224: 2015/03/08(日) 13:47:29.27 ID:HLJ08eLb0
足柄「ま、人間側が勝ってるし良いんじゃない?」

鳳翔「…そういえば、もし、人間が深海棲艦を世界から駆逐したら、私達艦娘はどうなるのでしょうか…」

足柄「…ま、解体じゃない?良くて幽閉かしらね。」

提督「そんな事はさせんよ。」

足柄「あら、左遷のくせに言うじゃない。させんよ、ですって。」

鳳翔「…心強いですね、ふふふ。」

足柄「ま、気持ちは嬉しいけどね。」

提督「…本当にそんな事が決まったら、徹底抗戦だな。今度は全艦娘対全人類だ。」

足柄「…んで?誰が指揮を取るの?」

鳳翔「ふふ、提督ですよね。」

提督「まあな。」

足柄「なーに生意気言ってんのよこの酔っ払い!左遷のくせに〜!噛みついてやるわ!」

提督「痛っ!…酔っ払いに噛みつかれたぞ…」

鳳翔「やっぱり狼ですね…」

提督「…どっちかって言うとこれでは野良犬…痛い痛い痛い!」

鳳翔「うふふ。…敵が近くに居ないって、幸せ、ですよね。」

足柄「…ほうね。」

提督「噛んだまま喋るな…」

鳳翔「…約束ですよ?提督。戦いが終わったら…きちんと面倒、見て下さいね?ふふふ。」

提督「ああ…そうだな。」

鳳翔「あと、不知火さんの事も、約束ですよ。」

提督「…わかっている。」

鳳翔「…なら、良かったです。」ニッコリ

233: 2015/03/10(火) 22:59:21.62 ID:LRlxPc6c0
翌日、午前0500


コンコン
不知火「不知火です。」

提督「入れ。」

ガチャ、バタン
不知火「失礼します。任務完了の報告に上がりました。」

提督「ご苦労。…不知火、いつも苦労を掛けるな。…昨日は、すまなかった。」

不知火「…いえ、不知火こそ、必要以上に取り乱してしまいました。申し訳ありません。」

提督「…不甲斐ないのは私だ。…二回目だな。艦娘を泣かせてしまったのは。」

不知火「…不知火は、大丈夫ですよ。アレは…あなたを想って…泣いてしまった…だけです。」

提督「…」

不知火「それに、あの日誓いましたから。私は何があってもあなたについて行くと。だから、大丈夫です。」

提督「…ありがとう。今は、その言葉に甘えさせて貰おう。」

不知火「…はい、司令官。」

234: 2015/03/10(火) 23:00:18.09 ID:LRlxPc6c0
北の提督率いる、第3艦隊が駐屯する
北の前線基地にて


執務室


加賀「…そう。休暇もダメと言うのね。」

北提「ちょ、落ち着いて!!」

加賀「…」ギリギリギリギリ

北提「待って!加賀さん待って!矢はヤバいって!」

加賀「…」ピュン

北提「ああああああ!!」ドスッ

加賀「やりました。」

235: 2015/03/10(火) 23:01:39.28 ID:LRlxPc6c0
ガチャ
瑞鶴「大きな音がしたけど、どうかしたのー…北提?!お尻に矢が刺さってる?!…加賀さん、北提に何をしたんですか!」

加賀「なにって。粗相よ?」

瑞鶴「そんな当然かのように言われても…北提、大丈夫?」

北提「…あ…瑞鶴…今日もかわいいね…」

瑞鶴「大丈夫そうね。…何でこんな事するんですか、加賀さん!」

加賀「…」

瑞鶴「…だんまり…?」イラッ

236: 2015/03/10(火) 23:03:45.87 ID:LRlxPc6c0
北提「…待って、瑞鶴…加賀さんは左遷、されたいんだと。僕が休暇も断ったから実力行使に出たらしい。」

瑞鶴「…ちょっと意味がよく…何で左遷されたいんですかね」

北提「…あの左遷の島に、元上司が居るんだと」

瑞鶴「…え?左遷させた上司…もしかして、あの人ですか。最近少し話題になってた。」

加賀「…」

北提「…ねぇ、加賀さん。そこは、自らを貶めてまで、行かなくてはならない場所なのかい?」

加賀「そうよ。」

北提「はっきりと言おう。僕は君が粗相をしても、君を左遷するつもりはない。…今回のようなわざと嫌われようだなんて、悲しい真似は二度としないでくれ。」

加賀「…」

北提「今、僕たちは最も戦果を挙げている艦隊の一つだ。そして、加賀さん。君はその中心の一人なんだよ。」

加賀「…そう。」

北提「…君が、あの大反抗作戦で深く傷つき、1年以上を掛けて修復された後、僕の所に来てくれた時の事は忘れない。」

加賀「…嫌々配属されただけよ。」

北提「それでも、僕は君を大事に思っている。」

加賀「…」

237: 2015/03/10(火) 23:07:15.20 ID:LRlxPc6c0
北提「加賀さん。僕はここの艦隊を家族だと思ってるんだ。…君は軍務に復帰して以来、少し足腰が悪いだろう。あまり遠くにやりたくないんだ。休暇もまた然りだ。…わかってほしい。」

加賀「…」

北提「今回の件は不問とするし、下がっていいよ。」

加賀「…せめて休暇を…!」

北提「加賀さん。」

加賀「…ッ!…失礼します。」
ガチャ、バン!

瑞鶴「…北提、あんな人さっさと左遷したら良いのに。」

北提「そう言うな…何回、僕らがあの人に助けられたと思ってるんだ。君だってそうだろう。」

瑞鶴「あたしは別に!…そんな事ないし…」

北提「…素直じゃないなあ。」

瑞鶴「どっちがよ!」

北提「どっちもだよ。」

238: 2015/03/10(火) 23:08:09.55 ID:LRlxPc6c0
加賀の部屋


加賀「…休暇も断られるとは…電話をしなければ。」

ジーコジーコジーコ…

ガチャ
不知火『もしもし。』

加賀「…不知火?私です。」

不知火『…あら、加賀さん。最近はよく連絡を下さいますね。』

加賀「…休暇の許可が降りなかったの。残念だけれど、そちらへは行けないわ。」

不知火『ええー…加賀さん許可取ってたんじゃ無かったんですか…』

加賀「強引にすれば行けると踏んだのだけれど。ダメでした。」

不知火『慢心ですよそれ。…わかりました、伝えておきましょう。』

加賀「ありがとう。助かるわ。」

不知火『しかし加賀さん、何で自分で言わないんですか…』

加賀「提督、プライベートな電話って持ってないんじゃないかしら。あの人も面倒臭がりだから…」

不知火『あー…』

加賀「執務室の電話に電話をして、仕事に支障が出ては困るわ。」

不知火『…まぁ、それもそうですね。』

239: 2015/03/10(火) 23:09:16.13 ID:LRlxPc6c0
加賀「それよりも、不知火。あの人に変な虫は着いてないでしょうね。」

不知火『えっ…』

加賀「…教えて頂戴。」

不知火『…その、黒提督のとこにいた榛名さんが居て…』

加賀「大体把握しました。どうせあの人の事だから、甘やかしているのでしょう?」

不知火『まぁ…そんな感じですね…』

加賀「呆れた、と言いたいところだけど…あの人、大丈夫?」

不知火『身体面は問題無いかと。精神的にも、本土に居た時よりは安定してると思いますよ。…私は泣かされましたが。』

加賀「…そう。とりあえず、良かったわ。…でも、私という女を差し置いて、現地妻を作った提督には制裁が必要ね。」

不知火『早めに来てくださいよ。…取られちゃうかもしれませんよ。』

加賀「あら、不知火。貴女も言うようになったわね。…誰に取られるのかしら?」

不知火『…さぁ?』

加賀「…まぁ、良いわ。また連絡します。提督によろしく伝えて頂戴。では。」

不知火『はい。ではまた。』
ガチャ

240: 2015/03/10(火) 23:10:19.05 ID:LRlxPc6c0
龍驤「んでんで?今の誰なん?恋のライバル?」

加賀「…あら?龍驤。ドアは閉めてあったのだけれど…隙間から入ってきたのかしら。流石フルフラットね。」

龍驤「あんま言うてたら削ぎ落とすで自分。…鍵あいとったわ。」

加賀「そう。」

龍驤「…自分、北提のケツに矢を刺したんやって?瑞鶴が随分とお冠やったで。」

加賀「…」

龍驤「そんなおもろい事やってんのに、何でウチと日向をそこに呼ばんのや!えらい間抜けな絵やったらしいやん。」

加賀「…真面目な話だったから。」

龍驤「アホ抜かせや。自分の上司の尻に矢を刺しといて、何が真面目やねん。」

加賀「…」

龍驤「…何や元気ないなぁ自分。…せや、日向のとこに飲みに行こや!」

加賀「…そうね、行きましょう。」

241: 2015/03/10(火) 23:13:21.27 ID:LRlxPc6c0
日向の部屋にて、酒盛り


日向「あっはっは!北提の尻に矢か!それは良くやったな、加賀。」

龍驤「あの北提に『ああああああ!!』言わせるなんてホンマ鬼畜やなー。」

加賀「自業自得よ。私を手放そうとしないから…」くいっ

日向「まぁ、そう言うなよ加賀。君が就役当初から、その提督に会いたいと言っていたのは知ってるさ。でも、私達も君を頼りにしてるんだ。」

加賀「…あなた達はもう充分強いわ。最初とは見違えるほどに成長して。」

日向「君に皆鍛えられたからな…。まぁなんだ、信頼してると言いたいのさ。…恥ずかしいから言わせないでくれ。」

龍驤「素直な日向やん。珍し。」

日向「…」スッ

龍驤「やめて!殴ったらアカーン!」

ワイワイガヤガヤ

龍驤「でもなー好きな人に会えへんのは辛いなー。」

加賀「…チッ…知ったような事を…」

龍驤「え、今ウチなんで舌打ちされたんや…」

日向「北提じゃダメなのか?…私が言うのも何だが、アレは悪くない男だと思うぞ。」

加賀「滅多なことは言うもんじゃないわ。…彼に惚れてるのはあなたの方でしょう。」

242: 2015/03/10(火) 23:14:10.83 ID:LRlxPc6c0
日向「…やめてくれ、そんな大層な思いじゃない。」

加賀「後悔しないうちにヤる事はヤるべきです。」

龍驤「ちょ、完全に出来上がってるやんけこの人…いつもよりタチ悪い…」

日向「いや…私は…」

加賀「最近は瑞鶴がずっと提督のそばに居るけれど。それでいいのですか?」

日向「…」

龍驤「ちょ、やめーや!北提はウチらの事もちゃんと見てくれてるって!」

加賀「駆逐艦の貴女にはわからないかもしれないけど、これは重要な事よ。」

龍驤「誰が駆逐艦やねんシバき倒すぞ!」

日向「それは…嫌…かもしれない…が、既に割り切ったことだ。」

龍驤「日向…」

日向「最近始まったことじゃない。私は奴の最初の艦だ。長い時間を共に過ごせば…まぁ、そうなるな。」

加賀「いっそ好意をぶつけたらどうかしら。そうすれば、彼もそれを感じ取ってくれるでしょう。」

243: 2015/03/10(火) 23:15:45.78 ID:LRlxPc6c0
日向「好意を…ぶつける…か。それはきっと、彼の迷惑になるだろうな。彼はきっと迷い、戸惑う。…だからこの気持ちには、私は蓋をする。彼の伴侶は…彼自身が決める事だ。それが私なら、嬉しい。それだけだ。違うとしても、私はそれを祝福するだろう、な。」

加賀「…そう。見上げた覚悟ね。私が男ならこんないい女放っておかないのだけれど。」

日向「…よしてくれ。」グイッ

龍驤「しっかし、尻に矢が刺さってる男のどこがええねん…」

加賀「…好みは人それぞれよ。」

日向「とにかく!北提と同じように、私達も君を家族のように思ってるんだ。…私は寂しがりでな。あんまりそういうのは御免だぞ。」

加賀「…そう。」

龍驤「逆に、そんなええ男なんか?その、左遷なんちゃらの提督は。」

加賀「…どうかしら。」

龍驤「なんやそれ…」

加賀「恥ずかしいから、言いません。」

龍驤「うわぁ…こう言うのなんて言うか知っとる?日向…」

日向「…知らん。」グイッ

246: 2015/03/11(水) 01:13:16.26 ID:SiYv0r7W0
左遷の島、執務室


コンコン
不知火「不知火です。」

提督「入れ。」

ガチャ
不知火「失礼します。(…榛名さんが居ますね…)…提督、内密なお話が。」

提督「わかった、部屋に来てくれ。榛名、しばらくここを頼む。」

榛名「わかりました。(内密…なんだか気になります…)」


提督の部屋


不知火「加賀さんが来れなくなった、との事です。もうすぐ北の島攻略作戦があるとかで、休暇も許可されなかったそうで。」

提督「そうか…まぁ、仕方あるまい。加賀の今の上司は北提だったか。彼にとって加賀の力はどうしても必要な物だろう。しかし、てっきり許可を貰ってから言ってる物かと思っていたが…少し抜けているところは相変わらずだな、加賀は。」

不知火「そうですね…少し心配になります。」

251: 2015/03/11(水) 16:33:01.34 ID:SiYv0r7W0
また場所は戻って、北の前線基地、艦娘寮内


日向「…」スー…スー…

龍驤「…そんな…いくらうちがグラマラスやからって…あかん…」zzz…

加賀「あら…二人とも、寝てしまったのね。」

加賀「…家族、ですか。」

加賀「(…家族、それは艦娘にとってとても暖かい言葉。大切にされている証。)」

加賀「(…だけれど北提。あなたはそれがもたらす副作用に、耐えることが出来るの?…艦娘なんて、一瞬の油断から沈んでしまうものよ。…主張派と、同じ過ちを繰り返す事になるわ。)」

加賀「大体、私が今まで何度僚艦の被弾を防いだか…だからこそ私を手放せないのだろうけれど。」

加賀「…はぁ。飲み過ぎかしら。…もう寝ましょう。」

260: 2015/03/13(金) 01:11:49.84 ID:vaHQ+iaVO
翌日、北の前線基地、執務室


北提「瑞鶴、龍驤、日向、そして、加賀さん。皆揃ったかい。響には先に作戦概要を伝えて、この島の防衛部隊の所へ相談に行ってもらってるから居ないけど。」

一同「はい。」

北提「じゃあ、作戦会議を始めるよ。」

北提「えっと、今回の攻略目標はこの基地の東にある比較的大きな離島。現在は周辺に深海棲艦の艦載機が確認されていて、空母ヲ級及びその護衛戦力が存在すると考えられる。深海棲艦出現以前の資料によると、ここに地下資源が存在する事が確認されているらしい。僕たちはこの離島を深海棲艦より奪還し、資源の回収及び新たな前線基地として利用する意図がある。」

北提「戦力はこの4隻に加え、今ここには居ない響、更に本土からの増援が3隻手配されている。この離島の奪還は、戦略的戦術的に重要。諸君には一層の奮起を期待するよ。」

一同「はっ!」

加賀「(…離島は確か、かなり離れていたはず…数百キロを巡洋した後の戦闘…厳しくなりそうね。)」

北提「今は増援部隊を待ち、合流後調整が済み次第出撃、という流れだ。今すぐではないが、各員準備だけはしておいてくれ。」

261: 2015/03/13(金) 01:12:49.63 ID:vaHQ+iaVO
艦娘寮内


龍驤「いよいよ出撃やな。離島を確保出来れば、周辺に島は無いからな。暫くはゆっくりできそうや。」

日向「そうだな。資源開発に力を注ぐだろうし、前線拡大は一時的に停止するらしいな。」

龍驤「しっかし深海棲艦もヘンやなー。海の底から上がって来よった癖に、陸地の付近に集中して居るもんな。ずっと海上を漂っとるワケではないと。ウチらの本土に近づいてた時も島を経由してたらしいし。」

日向「恐らく陸に、奴らに補給が必要な何かが存在するのではないかという話だが…まだよくわかってないようだな。」

262: 2015/03/13(金) 01:14:09.83 ID:vaHQ+iaVO
龍驤「そもそも、深海棲艦がどこから来るねんっていう話になるねんけどな…もういっそ仲良くしたらええのにな。艦娘と人間みたいに、深海棲艦と人間も。」

日向「…まぁ、我々と違って深海棲艦は人間の天敵だからな。難しいだろうな。」

龍驤「ま、倒せばええねんけどな。」

加賀「慢心はダメよ。」

龍驤「加賀、おったんかいな!ビビらせんといてーや。」

加賀「勝てると決まったわけではないわ。」

龍驤「言うて瑞鶴の偵察によると、敵は今のところ4隻って話やん?大丈夫やろ。こっちは倍やで。」

加賀「だからと言って気を抜いてはダメよ。そういうのが思わぬ惨事に繋がるの。」

龍驤「そうかもしれんけどなぁ…」

263: 2015/03/13(金) 01:15:48.69 ID:vaHQ+iaVO
響「皆、お疲れ様。」

日向「お、響。お疲れ様。防衛部隊の連中とは上手くいったか?」

響「うん。いい人達だったよ。」

日向「そうか。それは良かった。我々が留守の間は、ここを守って貰わねばならないからな。」

響「皆、ご飯は済ませた?」

日向「いや、こっちはまだだな。」

響「それなら、ご飯に行こうよ。」

日向「私は構わん。」

龍驤「ウチもええで。」

加賀「右に同じく。」


食堂


響「次の作戦は離島攻略なんだってね。偵察機によると確認された敵影は4なんだっけ?」

龍驤「それらしい影は4やって瑞鶴が言うてたね。」

響「なんだか、最近敵の数が少なくなったよね。どこか別のところに集まってるのかな?」

龍驤「ちょ、怖い事言わんといてーな。嫌やでまた総力戦とか。前の大反攻作戦でお腹いっぱいや。」

加賀「あり得ない話ではないわ。ただ、ここ以外でそんな話は聞かないわね。指揮可能な深海棲艦が残存してるかもわからないし…」

響「洋上に新たな拠点を求めているとか?」

日向「だとしても、本土からはかなり離れているはず…大反攻戦によって国近海の深海棲艦の拠点は潰れたからな。」

264: 2015/03/13(金) 01:18:16.19 ID:vaHQ+iaVO
加賀「何れにせよ、我々が今出来ることは目の前の離島を攻略する事ね。余計な事に気を回していては、沈みますよ。」

龍驤「加賀はいっつもストイックやねぇ。」

加賀「あなたがユル過ぎるだけよ。」

響「…あー、間宮さん、また来てくれないかなぁ。そろそろ毎日同じ食事にも飽きてきたよー。」モシャモシャ

日向「間違い無いな。やれやれ、本土時代に舌が肥えてしまってかなわん。」

響「そういえば、龍驤と日向は北提と本土で出会ったんだっけ?」

龍驤「せやで。ペーペーの頃からずっと一緒や。」

響「私と瑞鶴と、あと加賀さんは北東海域の攻略のために、直前に編入されたんだよね。」

加賀「そうね。私は大反攻戦で受けた傷が原因で1年?2年?…それくらい眠っていたらしいから、突然違う人の元に配属されて驚いたわ。」

響「ま、私は良かったと思ってるけどさ。前の人が厳しい人だったし。」

加賀「本来ならば、厳しいのが普通なのだけれど。特に主張派が解体されてからは、以前の体制の保守派が主流だから。艦娘に甘い北提は特殊よ。」

265: 2015/03/13(金) 01:19:43.10 ID:vaHQ+iaVO
龍驤「そんな他の上司は艦娘にきついん?」

加賀「きついというか…北提流に言うと、家族という扱いはあり得ないわ。」

日向「まぁ、我々は兵器だしな。…それだけに、人間扱いされるのは…素直に嬉しいんだが。」

龍驤「それに、ウチらが沈んだら深海棲艦なってまう言う話もあるくらいやしなぁ。仲良うし辛いんかなぁ。」

日向「…いつからだろうな、沈むのが怖くなったのは…」

加賀「ならば沈まないようになさい。それが全員にとっての最良なのだから。幸い、深海棲艦一つ一つは艦娘より弱い。入念に準備し、良い作戦を立てれば、滅多な事では氏なないわ。」

日向「…そうだな、うん。…食い終わったら訓練に励むとしよう。」

響「がんばろうね。…あれ?もしかしてあれは瑞鶴と北提?」

日向「…ッ」

龍驤「お、ほんまや。二人でどこ行くんやろ。」

加賀「…さぁ?細かいブリーフィングじゃないかしら。電波の中継アンテナも瑞鶴の艦載機が持つのでしょう?」

龍驤「確か今回は攻略目標がかなり遠くにあるから、無線指示や映像電波の為のアンテナを艦載機につけて、中継地点で飛ばしとくんやっけ?」

加賀「そうね。北提が戦場に出るには船が必要だし、船は深海棲艦の格好の的。自ら弱点を作るよりは、基地で指示を出して貰った方がよっぽど良いわ。」

龍驤「深海棲艦はある程度のサイズの物体を感知できるんやっけ。難儀やなぁ。」

加賀「そう言われているわね。」

日向「…」

275: 2015/03/14(土) 02:00:58.35 ID:icBJggVQ0
訓練海域にて


日向「っふ!…っふ!」ブン!ブン!

龍驤「刀を振り回して…えろう気合入ってんなぁ。それ、特注品やっけ。」

日向「ああ、龍驤…そうだ。北提が私の為に無理を言って拵えさせたらしい。お陰で、深海棲艦共を何体切り捨てても折れない。ありがたい話だ。」

276: 2015/03/14(土) 02:02:07.57 ID:icBJggVQ0
瑞鶴「あ、そうだったんだ。良いなぁ。」

日向「…なんだ。居たのか、瑞鶴。」

瑞鶴「居たのか、とはご挨拶ね。普通に龍驤、あと加賀…と演出よ!」

加賀「…あなたも偉くなったものね。」

瑞鶴「げぇっ加賀!…さん!」

龍驤「瑞鶴、自分弱いのぉ…」

加賀「まぁ、そんなことはどうでもいいのだけれど。さっさと演習を行いましょう。」

瑞鶴「今日も勝ちますからね!」

加賀「…そう。」

瑞鶴「最近、私また強くなったもの!」

龍驤「ほんま強なったもんな…。…?瑞鶴、どうしたんやその髪留め。今朝はつけてなかったやろ。」

277: 2015/03/14(土) 02:02:48.64 ID:icBJggVQ0
瑞鶴「ふふ、よく気づいたわね龍驤!さっき北提から新しく頂いたのよ!」

加賀「あら、可愛いわね。」

瑞鶴「ふふふふ…似合ってますか?加賀さん?」

加賀「ドヤ顔はやめてほしいのだけれど。…まぁ、似合ってないことも無いわね。」

瑞鶴「やたっ!」

加賀「…」イラッ

龍驤「ほえー。ウチも前、勾玉とか色々もろたわそういえば。箪笥の中に封印されてるけどな。」

日向「私はこの刀一本あれば十分だな。」

瑞鶴「む!…北提、艦載機か弓くれないかしら…」

龍驤「瑞鶴、自分ワガママやなぁ…」

加賀「…ほら、そろそろ行くわよ。日が暮れたら着艦出来ないわ。」

龍驤「ほなまたね、日向!」

日向「ああ、気をつけてな。」

日向「…」

日向「さて、もうひと頑張りしようか。」

279: 2015/03/14(土) 02:04:19.56 ID:icBJggVQ0
数日後、執務室


コンコン
響「響だよ。さっき到着した増援の艦娘たちを連れて来たよ。」

北提「おお!入ってくれ。」

ガチャ、ゾロゾロ
響「うん。…えっと、紹介すると、まずこの軽巡さんがーー」

那珂「初めまして!地方巡業に来ましたっ!艦隊のアイドル、那珂・ちゃん・です☆」

吹雪「あああああ…いきなりぶちかましてくれましたね那珂さん…どうすんですかこの空気…」

妙高「…(頭が痛い…)」

北提「(濃いのが来たなあ…)よ、よろしく頼むよ。」

280: 2015/03/14(土) 02:05:23.79 ID:icBJggVQ0
吹雪「ほんとスイマセンスイマセン、こんなポンコツで。あ、私は駆逐艦の吹雪です、よろしくお願いします。」

那珂「ポンコツ?!」

妙高「私は妙高型重巡の妙高です。よろしくお願い致します。」

北提「皆、宜しく頼むね。ここの鎮守府の面子は隣の応接室に揃ってる。そっちへ移動してくれるかな。」

一同「はい。」

ガチャ

那珂「みんな、こんにちはー!那珂ちゃんだよー!」

吹雪「ちょ、那珂さんほんとやめて下さい!」

妙高「…妙高です。よろしくお願い致しますね。」

龍驤「なんか1人ヤバそうな奴、入ってきたで…」

瑞鶴「シッ!聞こえるわよ!」

那珂「会話筒抜けだよー?」

281: 2015/03/14(土) 02:05:58.36 ID:icBJggVQ0
北提「…とまぁ、愉快な増援が来てくれた事だし、今晩は下の宴会場で、懇親会でも開こうかな?」

吹雪「よ、よろしくお願いします!」

妙高「…この私が愉快なキャラに…?」

日向「はっはっは。陽気なのは良い事だ。私は日向だ。よろしく頼む。」

加賀「…加賀よ。」

妙高「…!」

吹雪「懇親会、楽しみですね!…妙高さん?」

妙高「あ、いえ、ごめんなさい。楽しみですね!」

那珂「那珂ちゃん、ステージしちゃおかな?」

龍驤「なんやねん自分…」

282: 2015/03/14(土) 02:06:41.53 ID:icBJggVQ0
夜、懇親会


北提「遠路遥々よく来てくれた!今宵はパーっと騒いで明日からに備えてくれ!乾杯!」

カンパーイ!ワー!キャー!

加賀「…」スッ

北提「あれ?加賀さん、酒持ってどこか行くの?」

加賀「ちょっと応接室でラッパ飲みしてきます。」

北提「ええ…」

加賀「では。」テコテコ、ガチャ

北提「行っちゃった…大丈夫かな?」

283: 2015/03/14(土) 02:07:48.15 ID:icBJggVQ0
那珂「恋の!」

日向「トゥーぅー!」

瑞鶴「フォーぉー!」

龍驤「イレーブぅーン!」

わいのわいの

北提「なんやかんやで仲良くしてるみたいだね。良かった良かった。」

吹雪「那珂さんあっという間に3人を吸収してステージ始めちゃいましたね…ちょっと真似出来ません。」

響「恋の2-4-11か。私も実は聞いたことなかったんだよね。」

北提「CDも出してるのか…マジでアイドルだったんだね…」

吹雪「私も最初は半信半疑でしたよ…」

響「だろうね。私も吃驚ーー」

ズン…!!!

一同「?!」

北提「なんの音だ!敵襲か?!防衛部隊は何を…」

響「いや、上の階、応接室の辺りから聞こえたような…!」

284: 2015/03/14(土) 02:08:53.95 ID:icBJggVQ0
日向「見てくる。」

北提「ま、待て日向!僕も行く。」

瑞鶴「私が行くわよ!」

那珂「ここは那珂ちゃんが!」

龍驤「いや、ここはウチが!」

一同「「「どーぞどーぞ」」」

龍驤「なんでやねん!こんな冗談言うてる場合ちゃうやろ!」

北提「とりあえず、様子を見に行こう。龍驤たちはここで待っていてくれ。行こう、日向。」

………
……



北提「こ、これは…」

加賀「…」

日向「応接室のテーブルが真っ二つに…大丈夫か、加賀。」

加賀「煩い。」

日向「…ッ(恐ろしく虫の居所が悪いな…こんな加賀は初めてだ。目が完全に据わっている。)」

北提「(一升瓶が3本も転がってる…短時間に全部一人で飲んだのか…)…一体何があったんだ…」

加賀「…お願いだから一人にして頂戴。」

北提「わ、わかった。とりあえず敵襲でないとわかって良かった。一旦戻ろう、日向。」

日向「…わかった。」
ガチャ、バタン

日向「加賀に一体何が…おや?妙高?」

妙高「あ、北提と日向さん…」

北提「妙高?何かあったのかい。」

妙高「申し訳ありません、私が少し加賀さんと言い争いを…」

北提「加賀さんと?何を…」

妙高「それは…」

285: 2015/03/14(土) 02:10:03.79 ID:icBJggVQ0
数分前


加賀「…」グビー

ガチャ
妙高「失礼します。お久しぶりですね、加賀。大反攻戦以来ですか。驚きましたよ、此処に居て。」

加賀「…何か用?」

妙高「わかっていらっしゃるのでは?」

加賀「…来るんじゃないかとは思っていました。だから場所を移したのだけれど。」ハァ

妙高「…少し飲み過ぎですよ?」

加賀「…あなたの知った事では無いわ。」

286: 2015/03/14(土) 02:11:00.01 ID:icBJggVQ0
妙高「…あなたの元上司が私の妹、足柄を現在指導していると聞きました。」

加賀「…未だに同型艦で姉妹を意識しているのはあなたくらいよ。」

妙高「何故、あの人が足柄の上司を?」

加賀「…さぁ?」グビー

妙高「あの人の所為で那智が氏に、それによって羽黒がおかしくなったのは知っているでしょう…!何とか足柄を彼から離せないのですか!彼は足柄に己の正体を明かしていないと聞きましたよ!」

加賀「…知らないわ。足柄に直接言えば良いのでは?」グビー

妙高「事実を教えて、あの子が更に反抗したら解体されるかもしれないのに、そんな事は出来ません!」

加賀「…」グビー

妙高「…そもそも!主張派が解体された中、何故あの人は提督としてまだ残っているのですか!」

加賀「…」グビー

妙高「あの人は人類の味方かも知れませんが、艦娘の敵なのですよ!」

加賀「…」グビー

妙高「…何か答えなさい、加賀!あなたも艦娘なのでしょう!」

287: 2015/03/14(土) 02:12:28.63 ID:icBJggVQ0
加賀「…ひとつ、良いかしら。」ゴトン

妙高「…?」

加賀「あなたは主張派を、あの人を取り違えているわ。保守派の情報工作か何か知りませんけど。あの人は艦娘の敵などでは無かった。」

妙高「何を馬鹿な!彼が艦娘を何人犠牲に…!」

加賀「…ねぇ、妙高。この議論はきっと平行線よ。あなたと私は交わる事は無いでしょう。あなたは彼を憎み、私は彼を愛している。それは、物の見方の問題よ。」

妙高「…」

加賀「だから、私はあなたと非生産的な罵り合いをしても構わないわ。」

妙高「…それは…」

288: 2015/03/14(土) 02:14:18.62 ID:icBJggVQ0
加賀「…あなたが…あなたがこの…!私が内に秘めた怒りと苛立ちを!今!!ここで!!曝け出しても構わないと言うのなら!!!」

妙高「…遠慮しておくわ。…ごめんなさい、邪魔したわね。」

加賀「…さっさと失せなさい。」

妙高「そう、させてもらうわ。」
ガチャ、バタン

加賀「…ああああああ!!!どいつもこいつも!!!私の提督を!!!莫迦にしてぇぇぇ!!!」ズン…!!!

………
……



妙高「といった事が…」

北提「…」

日向「なるほど、な。加賀の気持ちはわからんでもない。が…」

妙高「…加賀…私としたことが…焦りから冷静さを欠いてしまい、彼女に八つ当たりのような真似をしてしまいました…」

289: 2015/03/14(土) 02:24:19.04 ID:icBJggVQ0
ここまで
加賀さん飲み過ぎやでこれ…

御察しの方もいらっしゃるかと思いますが、そろそろ深海棲艦化した艦娘出ます。戦います。グロは書きませんが、深海棲艦化が苦手な方にはごめんなさい。ストーリーと密接に関わってくるので。

なにやら素敵な派閥が出来てますね

293: 2015/03/14(土) 11:42:06.11 ID:icBJggVQ0
翌日朝、食堂


加賀「あったま痛い…」

龍驤「おはようさん、加賀。」

加賀「あら、龍驤。おはよう。」

龍驤「昨日えらい暴れてんて?」

加賀「さぁ…記憶にないわね。」

龍驤「応接室の机粉砕したって聞いたけどな。」

加賀「…存じません。」

龍驤「…さいでっか。」

日向「おはよう、加賀、龍驤。」

加賀「日向。おはよう。」

龍驤「おっはー。」

日向「加賀、大丈夫か?」

加賀「あんまり覚えて無いのだけれど…問題無いわ…心配掛けたわね。」

日向「こちらこそ問題無いんだがな。いや、北提は机が無いと嘆いていたが。…そうだ、今日と明日は合同演習だが、いけるか?」

加賀「私は仕事に私情は持ち込まないわ。」

日向「そうか…なら良いんだが。」

加賀「昨日は少し…飲みすぎただけよ。」

日向「まぁ日本酒の一升瓶3本も行けばなぁ…」

294: 2015/03/14(土) 11:42:47.25 ID:icBJggVQ0
執務室


北提「皆、揃ったか。今回の作戦は、編成は単純に5名と増援隊の3名で別れて貰う。これは多数の艦娘が一箇所に集中し、深海棲艦に探知されるのを防ぐためだ。知ってると思うが、艦娘は多ければ多いほど感知されやすく、強襲されやすい傾向にある。特に1艦隊に7名以上は危険とされている。」

北提「まず、初動の5名で奇襲をかけて貰う。ここで決着をつけれたら、後続の3名は島の周囲を確保。もし、戦闘が泥沼状態になるなら、後の3名を前進させ、5名のうち2名を下げる事で対処する。簡単に言うとこうなるね。今日明日はその、前進と後退の打ち合わせと訓練をしておきたい。」

一同「はい!」

北提「よし、では早速準備に取り掛かろう。」

295: 2015/03/14(土) 11:43:40.66 ID:icBJggVQ0
演習海域


響「ふぁ…暇だね、日向。港で艤装も無しに座ってるだけなんて」

日向「まぁ、既に6名が演習している以上、我々は海に出れないからな。万が一この島に深海棲艦が押し寄せてきたら大変だ。」

響「まぁ、私の役目は対潜と雷撃、日向は前衛って決まってるもんね。」

日向「そうだな。入れ替わりのある空母連中が、一番苦労するんだろう。あとその護衛に吹雪だっけか?」

響「まぁそんな感じらしいけどね。」

北提「や、お二人さん。」

日向「北提。」

北提「僕もここから無線で演習の指揮を取ろうかと思ってね…『チョット離脱遅いよ今の!』…と言うわけさ。」

響「しっかし、艤装の数が7以上だっけ?か何かで指数関数的に襲われる確率が伸びるって凄いよね…」

日向「実際のデータを整理したら6人以下の基地近海の航行で襲われた例は極めて少なかったらしいな。7名以上では頻繁に交戦があったらしいが。」

響「ね。…それを発見し、1艦隊6名以下を体系化したのが、加賀さんの元上司さんだっけ。」

日向「そうだな。加賀が酔った時、自慢げに話していたのを覚えている。」

296: 2015/03/14(土) 11:46:30.25 ID:icBJggVQ0
響「まぁ、凄い人だよね。噂で聞く話によると、大変な事もしてたみたいだけど。」

日向「加賀はその話をすると、すぐムキになって否定してたな。…加賀が信用できるだけに、左遷提督について、加賀の語る人物像と軍内の一般認識に大きな齟齬があって…もう、よくわからないな。」

北提「…僕は、加賀さんをどうするべきなんだろうな。」

日向「…どうだかな。それは北提と加賀が決める事だ。」

響「ただ、サヨナラするとしたら…寂しくなるね。」

日向「まぁ、まずは無事に離島攻略を目指そうじゃないか。その話はそれからでも遅くはない。」

北提「…そうだね。」


作戦決行日、夜、工廠


北提「さて、目標の島はここから400キロ東にある。第一艦隊、加賀、瑞鶴、龍驤、日向、響は現時刻より基地を出撃、0400に作戦圏内到着、敵を撃破後帰投。第二艦隊、吹雪、那珂、妙高は2200より出撃、0700に作戦圏内到達後、周囲を哨戒をして命令まで待機とする。」

一同「はっ!」

北提「艤装を装備しているから体力的には問題ないはずだが、精神的には辛いだろう。しかし、本土から離島開拓の先遣隊が既にこちらへ向かっている以上、失敗するわけにはいかない。各員、心してかかってほしい!」

北提「では、第一艦隊は艤装装着後工廠内水路に降りてくれ。」

297: 2015/03/14(土) 11:49:33.37 ID:icBJggVQ0
龍驤「いよいよやな…」ガチャ

日向「そうだな。」ガチャ

瑞鶴「余裕よね!」ガチャ

加賀「そうね。」ガチャ

響「とにかく、がんばろう。」ガチャ

加賀「第一艦隊、艤装装着完了。状態確認異常なし。命令待機中です。」

北提「よろしい。出撃を許可する。」

加賀「了解。第一艦隊、加賀、瑞鶴、龍驤、日向、響、出ます。」

………
……



加賀「各艦は間隔を開けて、尚且つ僚艦を見失わないように。迷子は御免よ。観測機をローテーションで飛ばしてるけど、各自で念の為潜水艦に注意。」

瑞鶴「あーあー。北提、全員、聞こえる?」

北提『バッチリだね。』

瑞鶴「無線感度良し!」

龍驤「しっかし夜の海は最高やね!風を切るこの感じ!」

日向「テンション高いな…空母に夜戦は辛いだろうに。」

龍驤「軍艦と艦娘はちゃうからな!敵が来たらワンパンやで!」

日向「はっはっは!それは心強いな。」

瑞鶴「…んで?加賀さん。なんで妙高さんと言い争うことに?」

加賀「…」

瑞鶴「無線入力切ってるわよ。」

加賀「…大反攻戦で、主張派の艦娘が大勢氏んだわ。妙高の妹、那智もその一人。そして、指揮官の一人が左遷提督だったというだけよ。」

瑞鶴「…ねぇ、主張派は…なんで…」

加賀「軍事機密だから。あまり詳しい事はお話できないわ。今私が話してる事だって、聞かれたらとても怒られる。」

日向「…」

加賀「…そうね。軍機ついでにひとつだけ、教えてあげるわ。」

瑞鶴「…?」

298: 2015/03/14(土) 11:50:24.26 ID:icBJggVQ0
加賀「主張派ってね。略語なのよ。」

響「…加賀さん?」

加賀「…主張派はね。艦娘の主張派、の略。」

龍驤「…は?…え?」

日向「初耳だぞ…」

加賀「そうでしょうね…だって、」

響「加賀さん。いけないよ。」

加賀「…あら。…ごめんなさい、戯言よ。忘れて頂戴。」


提督「…さて、と」【4】

299: 2015/03/14(土) 11:52:42.35 ID:icBJggVQ0
お昼はここまで

そろそろ簡単な戦闘シーン、地の文で突っ込みます



引用: 【艦これ】提督「…さて、と」