713: 2015/04/04(土) 22:14:06.61 ID:ehogOpVN0


前回:提督「…さて、と」【7】
最初から:提督「…さて、と」

提督「……何を、言っている」

川内「良いって、そういうの。アタシと提督の仲じゃん。わかるでしょ?アハハ」

提督「……」

川内「アタシは提督のやりたい事を知ってる。アタシはその手助けも出来る。アタシは、アタシが一番提督の側で上手くやれる!……だからさ、来て?」

提督「……」

川内「後始末、付けなきゃなんでしょ?……きっともうすぐ来るよ。提督が育てた敵が、海の底から」

提督「……そんな事は、わからんだろ」

川内「わかってるくせに。アハハ」

提督「……」
「艦これ」ピクトリアルモデリングガイド 大和編: 『艦これ』提督のための艦船模型ガイドブック

714: 2015/04/04(土) 22:14:58.24 ID:ehogOpVN0
川内「勝てるの?今の戦力で」

提督「……仮定の話をしても無駄だ」

川内「現実を見なよ。左遷島に居るので、戦力になりそうなのを調べたけど、足柄くらいだよね」

榛名「榛名も戦えますから」

川内「……うるさいなぁ。敵も知らない癖に……」

榛名「敵は深海棲艦では?」

川内「……あーもう!ややこしいからお前は黙ってて!」

榛名「……相手が誰であろうと、やってみねばわかりませんから」

川内「……ウザいなぁ……」

榛名「……はぁ?」

川内「……まぁいいや。とにかく、提督。アタシと来てよ。じゃじゃ馬の加賀くらいなら連れて来て良いからさ。最悪、榛名も一緒で良いよ」

715: 2015/04/04(土) 22:17:52.01 ID:ehogOpVN0
提督「……そんな中身もわからん話に、やすやすと乗れると思うのか」

川内「アタシが信用出来ないの?あなたの川内だよ?」

提督「……」

川内「まぁ、考えといて。何のために提督が皆に土下座して回ったのか、忘れてないよね」

提督「……」

川内「今度ゆっくり話そう。今日はもう時間が無いんだ。……この黒提督、貰ってくよ」

黒提督「う……」

川内「うーん、衰弱してるなぁ……そりゃ昼にボコられて夜まで放置されたらなぁ……」

716: 2015/04/04(土) 22:18:23.99 ID:ehogOpVN0
提督「そいつをどうするつもりだ」

川内「頃しはしないよ。足がついちゃうからね。でも、ま、もう会う事も無いかな……」

提督「……」

川内「ほいじゃ、またね。ちゃんと考えといてよ、提督。……おら、起きろ、黒提督……」

717: 2015/04/04(土) 22:19:40.89 ID:ehogOpVN0
黒提督「うう……英雄、提督殿……」

提督「……」

黒提督「ふ、ふ……やはり、あなたは……特別です……」

提督「……」

黒提督「私が……愚かでした……凡夫が……叶わぬ、夢を見ました……」

提督「……」

黒提督「……目が、醒めました……」

川内「……早くしてくんないと、艦娘区画にお前を入れたのが管理局にバレちゃうよ」

黒提督「……では、御達者で……ああ、それと……どうか、どうか榛名をーー」

川内「……ほら、早く」グイッ

黒提督「うっ……」ズルズル

718: 2015/04/04(土) 22:20:35.22 ID:ehogOpVN0
………
……



提督「行ったか……」

提督「……」

榛名「提督?大丈夫ですか?」

提督「ああ……すまない。お前は怪我はないか?」

榛名「はい!拳に傷がついただけです!」

提督「……(黒提督は、無抵抗に殴られていたのか……)」

提督「……(そして、川内の話に、検討の余地はあるのか……?)」

提督「……(ダメだ……会議もあるし、考える事が多すぎる……)」

提督「……(榛名の事も……)」

榛名「……提督?……榛名は、幸せですよ?」

719: 2015/04/04(土) 22:25:55.92 ID:ehogOpVN0
提督「……幸せ、か」

榛名「はい。苦痛も、苦悩も、この時の為に積み上げてきた物だと、そう思います。……榛名は、報われたのだと」

提督「……そうか」

榛名「うふふ。心が、踊ります。体を締め付けていた鎖が、全て落ちたような……そんな気分です」

提督「……」

榛名「榛名は今、幸せですよ。大丈夫です、提督。嫌な事は全部、あなたで上書きされてしまいましたから」

提督「……そう、か」

榛名「えへへ……帰りましょう、提督。黒提督も連れて行かれてしまいましたから」

提督「……(榛名の苦労も、苦悩も、体を締め付けていた鎖も、全て俺が原因だ……それが故意では無くともな……わかっていて俺は……)」

提督「ああ。そうしよう」

榛名「……あの」

提督「……ん?」

榛名「撫でて、いただけますか?」

提督「……」撫で

榛名「えへへへ……」

提督「……(……黒提督よ。愚かなのは、お前だけじゃない……俺もだ。特別?そうだな……俺は特別に、クズだ)」

729: 2015/04/06(月) 18:53:37.14 ID:SVTDIEc20
宿舎


不知火「……二人とも、遅いですね」

不知火「……何かあったのでしょうか?」

不知火「……何故、不知火は置いて行かれたのでしょう……」

不知火「……提督は……」

不知火「……」

コンコン
提督「すまない。今帰った」

不知火「……!お疲れ様です」ガチャ

提督「ああ……留守の間、問題は無かったか?」

不知火「はい」

提督「それは良かった……明日もある。そろそろ休もう」

不知火「はい……そちらも、大丈夫でしたか?」

提督「ああ。心配を掛けたな」

不知火「いえ、そんな……」

提督「ほら、榛名……あまりくっつくな……」

榛名「ん……ごめんなさい」

不知火「(……二人で一体何をしていたのですか……?)」

提督「では、また明日」

榛名「うふふ。はい。おやすみなさい、提督」

不知火「……おやすみなさい」

730: 2015/04/06(月) 18:54:18.22 ID:SVTDIEc20
翌朝


コンコン
榛名「提督、おはようございます」

提督「ああ、入ってくれ」

榛名・不知火「失礼します」

提督「おはよう。本日も私は会議に赴く。その間、二人には資料室の方で最近の戦闘記録の洗い出しを頼みたい。恐らく、そろそろ必要になる」

榛名・不知火「はい!」

提督「特に探して欲しい資料はーーとーーー関連だな……よし、それでは頼んだ。私はもう出る。休息は適当に取ってくれ」

榛名・不知火「お任せ下さい」

提督「(問題が山積しているな……先ずは会議だ。なんとか情報開示に漕ぎ着けたい。それ以外は川内の動きが気にかかるが……最早榛名と不知火を信じるしかあるまい)」

榛名「提督、お気を付けて!」

提督「ああ。(……榛名……榛名か……結果的には、問題なかった。寧ろ、良かった……そう思う自分がいるな……馬鹿な話だ。馬鹿な話だが……)」

提督「……では、いってくる」

不知火「……」

榛名「さ、不知火さん!私達も資料室へ行きましょうか」

731: 2015/04/06(月) 19:18:28.44 ID:SVTDIEc20
………
……



中央鎮守府、会議室前


提督「(……)」

龍驤「ウチこんなん聞いてないで……会議で証言せなあかんて……」

北提「……言った筈なんだけどな……」

龍驤「いやや……いやや……」

加賀「少しは落ち着きなさい……」

提督「(こいつらは会議室の前で何をやっているんだ……そして、何故俺は隠れて盗み聞きの様な真似を……)」

龍驤「あかんねんてウチ……緊張すんの苦手やねん……ほんまに胃が痛いんや……」

日向「心配しすぎだ」

龍驤「あああー……あああああー……」

響「ちょ、うるさいよ……」

龍驤「あ、あかん……胃が!胃が今取れた……出そうや……!」

瑞鶴「ちょ、ちょっと?」

北提「お、おい、大丈夫か?」

提督「(馬鹿なのかこいつらは……ここが何処かわかっているのか?それこそ北方長官に見つかったら……)」



732: 2015/04/06(月) 19:19:19.92 ID:SVTDIEc20
カツン……カツン……

提督「(……やれやれ……噂をすれば、か。……加賀、気付け……!)」

龍驤「おうえ……」

加賀「ああ……もう……しっかりして頂戴」

瑞鶴「うわぁ……」

北提「こ、困ったな……」

提督「(……誰も北方長官の接近に気付いて無い……仕方ないか……)」

733: 2015/04/06(月) 19:20:42.26 ID:SVTDIEc20
提督「……何を騒いでいる」

瑞鶴「いっ……」

加賀「ぁ……!」

提督「会議前だろう、北提。貴殿は艦娘の管理も出来んのか」

北提「申し訳、御座いません」

提督「遠足気分では困る。そこに整列しろ」

瑞鶴「……」イラッ

龍驤「うう……はい……」

提督「(耐えろよ龍驤……耐えてくれ……)」

龍驤「う……」フラッ

提督「(……)」はぁ

日向「!龍じょーー」

その時、提督は目眩からフラついて、崩れ落ちる龍驤を受け止めた

734: 2015/04/06(月) 19:21:31.08 ID:SVTDIEc20
瑞鶴「龍驤?!」

提督「静かにしろ。何度も言わせるな」

瑞鶴「仲間がーー」

提督「黙れと言っている。……お前もだ、日向。姿勢を崩すな」

瑞鶴「〜〜!」

日向「……!」

北提「提督殿……!」

提督「落ち着け。……一人で立て、龍驤」

龍驤「ふぁい……」フラフラ

提督「フラつくな。……良いか。お前は証言をする必要は無い。喋れないなら、黙って背筋を伸ばして立っていろ」

龍驤「は、はい……」

北提「……お言葉ですが、提督殿ーー」

735: 2015/04/06(月) 19:22:07.04 ID:SVTDIEc20
北方長官「おはよう、諸君」

北提「!……おはようございます、北方長官」

提督「おはようございます」

北方長官「うむ。して……これは何事だ?英雄提督殿が、我が配下の艦隊に何の御用かな?」

提督「……はっ。現在最も活躍している艦隊の様子を伺おうかと……」

北方長官「余計な事は止めて欲しいものだ。君には関係の無い事だろう」

提督「はっ……」

北方長官「己の立場を弁えたまえ」

提督「申し訳御座いません。……失礼致します」カツカツカツ……

提督「(北提……思っていたより……やはり、俺に人を見る目は無いのか……?)」

北方長官「フン、行ったか……大丈夫だったか、北提」

北提「はい、何も問題は御座いません」

北方長官「よし。今日の会議も期待している」

北提「はっ!」

北方長官「……あの落伍者と、その艦娘との接触は避けろ。皆、良いな」

一同「はっ!」

加賀「……」

736: 2015/04/06(月) 19:24:31.41 ID:SVTDIEc20
数時間後、艦娘区画


龍驤「はぁー……緊張した……会議から解放されてスッキリや……」

響「北提と長官達はまだ会議を続けるみたいだね」

瑞鶴「疲れたわねー……ご飯よご飯!」

日向「うむ」

龍驤「ほんま一言も喋らんで良かったな、アタシ……」

瑞鶴「……そういえば、朝のあの人が英雄提督だっけ?」

加賀「……そうね」

日向「……私は好かんな」

加賀「……」

響「きつい感じの人だったね……」

瑞鶴「他と変わんないじゃん!北提のがよっぽど優しいよ!」

加賀「……優しければ良いと言う物でもないわ。龍驤、北提の仰った事も忘れているのは弛み過ぎよ」

龍驤「はい……」

737: 2015/04/06(月) 19:28:01.89 ID:SVTDIEc20
瑞鶴「……英雄提督って昔からあんなだったの?」

加賀「それは……」

日向「大体加賀の事も無視じゃないか。昔同じだったなら他に何か……あるだろう」

加賀「……忙しい方、ですから……」

瑞鶴「……」

龍驤「ま、まぁ、でも助かったやん?北方長官にグラついてるとこ見られてたらヤバかったわ……整列させられたし」

響「……偶然だろう、流石に」

日向「怪我の功名、か」

加賀「……」

瑞鶴「……とりあえず、ご飯いきましょ。お腹空いたの!そこで話しましょうよ」

753: 2015/04/07(火) 19:08:56.50 ID:XO780uaJ0
艦娘用食堂


不知火「……美味しそうに食べますね……」

榛名「美味しいですから!」もしゃもしゃ

不知火「うちの基地では、時間の都合上作り置きが多かったですからね……何時でも作りたてを食べれるというのは、確かに良いですね」

榛名「味は鳳翔さんが一番良い気がしますけど。ただ、揚げ豆腐とかは冷めたら食べられないですし……」

不知火「そして本土なら食材が豊富ですからね」もぐもぐ

榛名「はい!あ……アイスクリーム……も有るんですね」

不知火「後で頼みますか」クスクス

榛名「……はい」えへへ

754: 2015/04/07(火) 19:10:11.38 ID:XO780uaJ0
不知火「……そういえば、昨晩は提督と何をしてらっしゃったのですか?」

榛名「何……何、ですか。うーん……」

榛名「デート、とか」

不知火「……デート」

榛名は不知火の表情の変化を見逃さなかった。
不知火の鋭角な目。それを僅かに揺るがす苛立ちを。

榛名「……」

榛名の双眸はほんの、ほんの少し薄められる。

755: 2015/04/07(火) 19:10:53.49 ID:XO780uaJ0
榛名「なんて、冗談ですよ。えへへ」

不知火「……吃驚しました」

榛名「少し、提督にご相談をしていました」

不知火「……それは、昨日のお昼の事ですか?」

榛名「……はい」

不知火「……良ければ、不知火にも教えて頂けますか?」

榛名「……わかりました。実は……」

不知火「はい」

榛名「こけた時に、衣服を傷つけてしまって。補修に回すべきか、少し……」

不知火「そう、だったのですか」

榛名「はい……不知火さんにはご心配をお掛けしたくなくて……」

不知火「そんな気遣い、不要ですよ。同じ艦隊じゃないですか」

榛名「不知火さん……」

不知火「(もう少し、上手い嘘があるでしょうに……これではまるで、『お前には教えない』と言われているようで……いえ、事実そうなってますか)」

不知火「困った事があったら、ちゃんと言って下さいね?」

榛名「……はい。ありがとうございます」

756: 2015/04/07(火) 19:11:27.97 ID:XO780uaJ0
ガチャ
龍驤「食ったるで!」

瑞鶴「食ってやるわ!」

日向「煩いぞお前達……」

加賀「……情けない。静かになさい」

瑞鶴「腹が減っては戦は出来ぬわ!恥ずかしくなんて」

ぐぅうー

瑞鶴「……」ぐー

龍驤「……」

加賀「……恥ずかしくなんて、何かしら」

瑞鶴「今すぐに海の底に沈んでしまいたい……」

日向「はっはっは。とりあえず、カウンターで食事を受け取ろう」

757: 2015/04/07(火) 19:12:13.24 ID:XO780uaJ0
不知火「……騒がしいのが来ましたね」

榛名「楽しそうですねぇ……足柄さんとか居たら、こっちも賑やかなんでしょうねぇ……」もぐもぐ

不知火「大変な事になりそうですけどね……左遷島の皆は大丈夫なのでしょうか?」

榛名「さぁ……提督にお聞きすればわかるかもしれません」もぐもぐ

不知火「ですね……」

榛名「あ、食事を持ってこっちに来ますね」

758: 2015/04/07(火) 19:12:54.60 ID:XO780uaJ0
日向「ここに座ろうか」

瑞鶴「いただきまーす!」

龍驤「うう……胃が喜んでる……こんな美味い飯は初めてや……」

響「大袈裟だなぁ……」

加賀「(朝の北方長官の接近……それに私が気付けていれば、恐らく提督は出てこなかったでしょう……あの人が居なければ、北方長官に睨まれていたのは私達。助けられてしまいました……不覚です……)」

加賀「(……それに、私が気付いていれば、必要以上に提督との接触を禁じられることも無かった……自分に、腹が立つ……)」

瑞鶴「……おーい、加賀さん?」

加賀「……ごめんなさい。少し考え事をしていたわ」

瑞鶴「どうせそうだろうと思ったわ……英雄提督でしょ?」

加賀「……」

瑞鶴「会いに行けば?」

加賀「いえ……」

龍驤「なんや気の無い返事やなぁ」もぐもぐ

加賀「……」

759: 2015/04/07(火) 19:13:41.71 ID:XO780uaJ0
瑞鶴「待ってちゃダメよ。会いたかったら会いに行かないと」

日向「瑞鶴。そういう事では無いだろう。北提が許可しない。北方長官が英雄提督とは接触するなと仰っていただろ」

加賀「……この状況下で会うわけにはいきません。北提の不利益となります。瑞鶴、もう少し考えてから口を開きなさい。先日、不知火さんと私を怒らせたばかりでしょう」

瑞鶴「う……ごめんなさい」

加賀「……あなた、素直なのは良い事だけれど。素直過ぎるわ」

瑞鶴「……はい」

加賀「(……瑞鶴に当たってしまった……図星ね。私は、あの人に会えば、向こうから求められると思っていた。思っていたのに……)」

加賀「(……どうして、提督は私を見て下さらないのかしら。会議にいらっしゃるという事は、私がここにいる事はご存知のはず)」

加賀「(……提督と遠く離れはしたけれど、戦果を上げて、存在を知らせた。不知火からのアプローチもした。これ以上、どうすれば……)」

加賀「(まさか……私は、意図的に提督に遠ざけられている……?)」

加賀「(……いえ、止しましょう。提督にも事情がある筈……私は北の所属なのだから……)」

加賀「……」

加賀「(……逢いたい)」

760: 2015/04/07(火) 19:15:11.85 ID:XO780uaJ0
別のテーブル


榛名「……近くに座ってるから、向こうのグループの話が聞こえてしまいますね。……不知火さん、向こうと何かあったんですか?」もぐもぐ

不知火「……ええ、少し。向こうに昔の同僚が居るので、それ関連で……」

榛名「成る程……」もぐもぐ

不知火「……榛名さん、そろそろ」

榛名「(え……)」もぐ……

榛名「(アイスクリーム……)」チラ

不知火「……」

榛名「……わかりました、行きましょう。ご馳走様でした!」カタン

不知火「すみません」

榛名「いえいえ」

761: 2015/04/07(火) 19:15:49.80 ID:XO780uaJ0
不知火「ごめんなさい、椅子の後ろ、失礼します」

龍驤「あ、すんません……お?」

瑞鶴「げっ……」

加賀「……あら、不知火。そんな近くに居たのね……」

不知火「ども。これから皆様お食事ですか」

加賀「そのつもりだけれど。……あなた達はもう食べ終えた様子ね」

不知火「はい。そろそろ失礼しようかと」

加賀「そう」

不知火「では、ごゆっくり」

加賀「ぁ……」

不知火「……はい?何か」

加賀「……いえ」

不知火「……そうですか。では」

榛名「……」チラ

加賀「……」

榛名「……失礼します」ニコ
テコテコ

762: 2015/04/07(火) 19:17:31.94 ID:XO780uaJ0
テコテコ

榛名「そういえば、あの方々はどこの……?」

不知火「北の艦隊ですよ」

榛名「確かに北提がどうのとか聞こえてましたね……不知火さんがお話していた方が元同僚の方ですか?」

不知火「そうですね」

榛名「……ふぅん……」

榛名「(あれらは敵……?なにやら剣呑な雰囲気を感じましたね。不知火さんと揉めたからでしょうか)」

763: 2015/04/07(火) 19:18:09.93 ID:XO780uaJ0
日向「なんだ、あの連中は……」

響「不知火さんと……誰だろ。微笑んでたのに、目が全然笑ってなかったね」

瑞鶴「不知火さんはくたびれた感じだったけど……もう一人は何か、嫌な視線だったわね。艦娘を見定めるような……あの人も英雄提督の部下なのかしら」

加賀「そうよ。あの子は榛名ね」

日向「榛名?……『魚雷』か?」

龍驤「……マジ?」

瑞鶴「え、何?あのナリで駆逐艦か軽巡なの?」

日向「いいや。榛名は戦艦だ」

龍驤「瑞鶴は知らんのか……魚雷の榛名……」

瑞鶴「何それ……」

龍驤「標的見つけたら、いきなりすっ飛んで行って、わざわざ格闘戦でボコボコにするから『魚雷』言われてたんや」

瑞鶴「ふーん……」

日向「まぁ、すっ飛んで行く先が、敵だけなら良かったんだがな」

764: 2015/04/07(火) 19:19:01.01 ID:XO780uaJ0
瑞鶴「まさか、味方も?」

日向「味方の2,3隻を大破に追い込んだ事があるらしい。そのうち1隻は再起不能まで追い込まれたとか」

瑞鶴「全然そんな感じに見えなかったけど……なんでそんなのが野放しになってんのよ……」

日向「建造当初は貴重な戦力だったんだ。武勲も多数あったしな……それで解体を避けた結果、更に犠牲者が増えて……」

龍驤「左遷、やね。それであの提督が手懐けたんちゃうか?」

瑞鶴「……手懐けたって……不安なんだけど」

日向「……まぁ、用心するに越したことは無い」

加賀「……(この苛立ちは嫉妬かしら。……なんとかして、提督にお会いしたい……)」

775: 2015/04/08(水) 22:18:55.90 ID:AVAP27sd0
会議終了後……夜、鎮守府庁舎前


提督「(北方長官にたっぷり嫌味を言われたな……北提のところの艦娘にも嫌われただろうし……今日は良い事が無い)」

日はとっくに暮れ、辺りは夜の冷たい空気に包まれていた。

提督「(だがしかし。北の艦隊による五十鈴戦の証言から、情報開示が重要である事は全員が理解しただろう。響が行動不能に陥った事等、な……これで、少しでも艦娘の被害が減ると良いんだが……)」

ほぅ、と提督は首を上に向け、溜息をついた。そして、その目に入るは中央鎮守府の港湾部を優しく照らす灯台。

提督「……帰るか」

暫くぼーっと灯台を眺めていた提督が、帰途に着こうとした時。何者かが提督の背後から抱き着き、提督の目をその掌で覆った。

「Hey, テートクー。Guess who?」

776: 2015/04/08(水) 22:19:36.22 ID:AVAP27sd0
提督「……悪ふざけはよせ。川内」

川内「あれ?わかっちゃう?アハハ」

提督「……何の用だ」

川内「んー?……来ちゃった・」

提督「……」ハァ

川内「なんで溜息つくのさー」

提督「お前は昨日問題を起こしたばかりだろう……」

川内「まぁ、良いじゃん!それよりどう?久しぶりに飲まない?」

提督「……どこでだ」

川内「夜戦隊のねぐらさ」

777: 2015/04/08(水) 22:20:45.93 ID:AVAP27sd0
夜戦隊のねぐら


提督「散らかっているな……」

川内「そりゃ、ここは夜戦隊四人の共同スペースだからね……なに呑む?」

提督「……任せる」

川内「ふむ……デュワーズのホワイトラベル。それか、ジョニーウォーカーのブラックラベル。どっちが良い?」

提督「ブラックラベル」

川内「アハハ。昔からジョニーウォーカー好きだね。はい」コトン

提督「しかし、両方ともスコッチのブレンドか。よく手に入ったな」

川内「提督の為さ……乾杯」

チン

川内「懐かしいなぁ、こういうの……昔はよく、二人で飲んだよね」

提督「まぁな」

川内「アタシは提督が会いに来てくれた毎回の事、全部覚えてるよ」

提督「そうか」ぐい

川内「ま、その頃アタシはもう第四機動群ではなかったけどさ」

提督「そうだな……だが、」グビー

提督「ーーそのおかげで、お前は氏んでない」ゴトン

778: 2015/04/08(水) 22:22:09.61 ID:AVAP27sd0
川内「注ぐよ……アタシなら、第四機動群に居ても氏ななかったかもね」コポコポ

提督「どうだかな。まぁ、今更遅い」ぐい

川内「……アタシはーー」

提督「いや、過去は良い。これからの話をしよう」

川内「!……提督、アタシと来てくれるの?」

提督「落ち着け。詳しい話を聞かせろ……そのために待ってたんだろう」

川内「んー。……会わせたい面子が居るんだ」

提督「ほう」

川内「実はもう奥に居るんだけどね。……皆、出て来てー」

ゾロゾロ

天龍「うっす」

龍田「あらあら、今晩は〜」

神通「……提督様、お久しぶりです」

川内「じゃーん!我ら四人で夜戦隊だよ!」

提督「……」

川内「全員、強いよ。……フィジカルも、メンタルも。……相手が元艦娘でも、問題無く闘える」

提督「へえ」

779: 2015/04/08(水) 22:24:59.18 ID:AVAP27sd0
天龍「よっ!アンタが英雄提督か!いやー会いたかったんだよなー!」

龍田「天龍ちゃん?言葉遣いを改めなさい?」

天龍「ん、んだよぉ」

神通「仲間の非礼をお詫び致します……」

提督「いや、構わん。プライベートだ」

天龍「お!話のわかる提督じゃん!」

龍田「天龍ちゃん?」

川内「とまぁ、こんな感じ。神通とは顔見知りじゃないっけ?」

提督「……大反攻戦の時、直接会ったな。獅子奮迅の働きを見せてくれたのを覚えている」

神通「……光栄です」

天龍「神通は『中』だっけ。オレと龍田はその時、無線で指示を貰っただけだからなー。くそー」

川内「ま、アタシも無線だったし。『中』で生き残ったのなんて、数える程しか居ないよ」

提督「天龍、龍田もよく聞く名だった。共に戦った事は無かったがな」

天龍「おお!嬉しいねぇ」

龍田「あらあら」

提督「……しかし、よく集めたな。これだけの面子を」

川内「でしょ?褒めてくれても良いよ?まぁ、そんなに難しくはなかったけどね」

提督「……」

川内「夜戦隊の面子はさ、現状に不満を持ってたのさ。保守派の奴らにね。アタシは、反抗的な態度を取る艦娘の中から仲間を選別しただけだよ」

780: 2015/04/08(水) 22:25:59.10 ID:AVAP27sd0
川内「……そして、夜戦隊はこうも思ってる。何故、優秀な英雄提督が左遷されなければならないのか、と。それならば、我らの指揮を執って欲しいと」

提督「……夜戦隊の提督にならば、俺はなれるとお前は思う訳だ」

川内「夜戦隊は所属が中央とは言え、かなりの下位組織だし、お偉いさんのプライドを刺激する事も無い。降格人事になる訳だし。
……そして、今の夜戦隊の監督者はアタシの傀儡だから、いつでも首が飛ばせる」

提督「……五十鈴の出現に乗じて、中央に返り咲く、か」

川内「そうさ。提督は中央に呼ばれた。提督を呼ぶ程、中央は焦ったんだ、五十鈴の出現に」

提督「……」

川内「五十鈴が敵として出た以上、沈んだ主張派の艦娘は確実に深海棲艦となっていると見ていい」

川内「特に、提督の愛宕、赤城、霧島、那智は、深海棲艦化したら、東の前線基地の事件の様に、血眼になって提督を探すだろうね」

781: 2015/04/08(水) 22:26:36.05 ID:AVAP27sd0
川内「……今がチャンスなんだよ、提督、わかるよね。中央は提督の、作戦参謀としての能力を高く買ってる。だから提督は『提督権』を失っていない」

提督「提督権。艦娘の指揮を執る為の権限、か」

川内「それが無いと、基本的に艦娘とは接触出来ないからね。まぁ、そんな秘密主義的な制度があるお陰で、元主張派の人間が軍部にそこそこ残ってるんだけどさ」

提督「提督権の取得は時間が掛かるからな。艦娘の世話を、艦娘自身が『主計艦娘』として行っているのも、その提督権の所為。とにかく、艦娘に接する人間を少なくしようと言う話だったが……」

川内「そ。提督権の存在から、育成の遅い後任が着任するまでの艦娘関連の雑務係として、仕方なく軍に残された元主張派の人々」

川内「それから時間が経ち、監視も緩くなった今、英雄提督に強く賛同する者を、アタシは中央に集めた」

川内「中央に長官達が集まるタイミングで、平時の作業員だけでは数が足りなくなるからね。地方からの増員に志願してもらった」

提督「……その中の一人が、黒提督だった訳だ」

川内「そうだよ。その集めた主張派の人々には、人数で提督を推してもらうつもりさ」

782: 2015/04/08(水) 22:27:09.40 ID:AVAP27sd0
川内「……今は有事なんだ。中央はあなたを欲している。敗北を恐れる者からはケープゴートとして。勝利を願う者からは切り札として。」

川内「でも中央に呼ぶ口実が無い。そこで、扱い難い艦娘ばかりの、夜戦隊のポストが空くのさ。幸いにも、提督には厄介な左遷島をなんとかする手腕がある。ならば、と。中央はそう判断する……と、アタシは踏んでる」

提督「そう上手く行くとは思えんな」

川内「裏が取れてない訳じゃない。外野の一押しも用意してある。勝算はあるよ。何より……これは、あなたの為なんだから!」

川内「赤城。愛宕。霧島。那智。大反攻戦で沈んだこの四人、きちんと成仏させてあげないと、なんでしょ?だって。それが、あなたが頑として提督権を手放そうとしなかった理由、でしょ?」

提督「…さて、と」【9】
783: 2015/04/08(水) 22:31:34.46 ID:AVAP27sd0
ここまで

自分が思ってた以上に不知火と加賀がドロドロしてた……


引用: 【艦これ】提督「…さて、と」