923: 2015/04/15(水) 23:14:34.24 ID:/AUn5jAw0
前回:提督「…さて、と」【9】
最初から:提督「…さて、と」
家路
雨の中。
ずぶ濡れの二人が、一応傘をさして歩いている。
提督「(不知火の話、気付いていない訳では無かった……が)」
提督「(……やはり、新人教育を、赤城と愛宕に任せるべきでは無かった)」
提督「(不知火の自信の無さの原因は、そこにある、か……クソ、本当にあの頃の俺は周りが見えて無さ過ぎた……!)」
提督「(……それよりも、帰路に宿舎へ電話しても、不知火が取らなかった……今はそれが怖い)」
榛名「っ」クチュン
提督「……帰ったら、早めに風呂であったまってくれ。
(……鎮守府内の誰でも利用できる船渠に、この娘を入れるのはちょっとな……)」
榛名「ごめんなさい……ご迷惑、でしたよね」
提督「そんな事は無い。助かったよ」
榛名「本当ですか?」
提督「ああ」
榛名「……良かったです」
提督「(そう……助かった、助かったんだが……)
そろそろ宿舎だな……」
924: 2015/04/15(水) 23:15:48.47 ID:/AUn5jAw0
榛名「あ、ほんとです……ね……」
霞む遠方の中、宿舎の影が見えた。
しかし、宿舎前にあるものを見て、榛名の言葉が尻すぼみに消えた。
榛名「……あぁ……」
苦虫を噛み潰したような顔。
その視線の先には。
提督「(……まぁ、こうなる、か)」
雨の中。
不知火は一人。
傘もささずに佇んでいた。
不知火「……お帰りなさい……」
提督「……只今帰った」
不知火「ご一緒、だったんですね」
榛名「……ごめんなさい……」
不知火「……いえ、無事でしたら、それで……」
提督「取り敢えず、中に入るぞ」
霞む遠方の中、宿舎の影が見えた。
しかし、宿舎前にあるものを見て、榛名の言葉が尻すぼみに消えた。
榛名「……あぁ……」
苦虫を噛み潰したような顔。
その視線の先には。
提督「(……まぁ、こうなる、か)」
雨の中。
不知火は一人。
傘もささずに佇んでいた。
不知火「……お帰りなさい……」
提督「……只今帰った」
不知火「ご一緒、だったんですね」
榛名「……ごめんなさい……」
不知火「……いえ、無事でしたら、それで……」
提督「取り敢えず、中に入るぞ」
925: 2015/04/15(水) 23:16:58.37 ID:/AUn5jAw0
宿舎内
提督「榛名、お前たちの部屋に備え付きの風呂に入ってこい」
榛名「いえ、不知火さんが先に……」
提督「不知火は俺の部屋の風呂に入れる。行ってこい」
榛名「それでは提督がーー」
提督「良いから入ってこい」
榛名「……わかり、ました」シュン
バタン
提督「来い、不知火」
不知火「はい……」
提督の部屋
ガチャ
提督「私は着替えで済ませる。風呂を使え」
不知火「……またしても、榛名を一人に……申し訳、御座いません……」
提督「榛名の勝手な行動だと聞いている。気にするな」
不知火「……」ギリ……
提督「……不知火。まずは風呂に入ってこい。頭を冷やせ」
不知火「……はい」
テクテク……
提督「(……どうしたものか……不知火の不安定さに対して、恐らく榛名がイニシアチブを握ろうとしている)」
提督「(不知火に、艦娘達を纏め上げて欲しかったが……荷が、重かったか)」
提督「(……いや……この言い方は良くないな。不知火は決して無能ではない……無いんだが……)」
提督「……」
提督「榛名、お前たちの部屋に備え付きの風呂に入ってこい」
榛名「いえ、不知火さんが先に……」
提督「不知火は俺の部屋の風呂に入れる。行ってこい」
榛名「それでは提督がーー」
提督「良いから入ってこい」
榛名「……わかり、ました」シュン
バタン
提督「来い、不知火」
不知火「はい……」
提督の部屋
ガチャ
提督「私は着替えで済ませる。風呂を使え」
不知火「……またしても、榛名を一人に……申し訳、御座いません……」
提督「榛名の勝手な行動だと聞いている。気にするな」
不知火「……」ギリ……
提督「……不知火。まずは風呂に入ってこい。頭を冷やせ」
不知火「……はい」
テクテク……
提督「(……どうしたものか……不知火の不安定さに対して、恐らく榛名がイニシアチブを握ろうとしている)」
提督「(不知火に、艦娘達を纏め上げて欲しかったが……荷が、重かったか)」
提督「(……いや……この言い方は良くないな。不知火は決して無能ではない……無いんだが……)」
提督「……」
926: 2015/04/15(水) 23:18:27.38 ID:/AUn5jAw0
………
……
…
鎮守府庁舎、執務室
コンコン
山口「山口、出頭致しました」
中央長官「入れ」
ガチャ
山口「失礼します」
中央長官「英雄提督はどうだった」
山口「良い感触は有りませんでした。やはり、大反攻戦が尾を引いている様子で」
中央長官「奴も人間だったと言う事か。事後処理を誤ったな……」
山口「……」
中央長官「ふむ、彼がああだと……来るであろう赤城への対処に加賀が使えるかと思って、アレを渡したが……早計だったか?」
山口「……お言葉ですが、加賀よりは飛龍の方が……」
中央長官「そんな事はわかっている。飛龍と蒼龍で赤城を撃破出来ればベストだ。だが、戦力が多いに越した事は無い。特に、加賀と提督の組み合わせならな」
山口「……」
中央長官「……赤城の演習を見た事があるが、一人だけ異次元だった。しかもアレは英雄提督の右腕として、戦術も把握している。
記憶がそのままだとすると、赤城自身が無傷の第一機動部隊と積極的に事を構えるとは考えにくい」
……
…
鎮守府庁舎、執務室
コンコン
山口「山口、出頭致しました」
中央長官「入れ」
ガチャ
山口「失礼します」
中央長官「英雄提督はどうだった」
山口「良い感触は有りませんでした。やはり、大反攻戦が尾を引いている様子で」
中央長官「奴も人間だったと言う事か。事後処理を誤ったな……」
山口「……」
中央長官「ふむ、彼がああだと……来るであろう赤城への対処に加賀が使えるかと思って、アレを渡したが……早計だったか?」
山口「……お言葉ですが、加賀よりは飛龍の方が……」
中央長官「そんな事はわかっている。飛龍と蒼龍で赤城を撃破出来ればベストだ。だが、戦力が多いに越した事は無い。特に、加賀と提督の組み合わせならな」
山口「……」
中央長官「……赤城の演習を見た事があるが、一人だけ異次元だった。しかもアレは英雄提督の右腕として、戦術も把握している。
記憶がそのままだとすると、赤城自身が無傷の第一機動部隊と積極的に事を構えるとは考えにくい」
927: 2015/04/15(水) 23:20:11.34 ID:/AUn5jAw0
山口「……」
中央長官「そこで、だ。来襲される可能性が高い英雄提督。彼に着け、敵戦力を漸減できる最適な艦娘は、加賀だろう」
山口「……確かに、そうですが……北が黙っていませんよ」
中央長官「それは、ネックの一つだな……まぁ、段階を踏ませるつもりだ」
山口「……」
中央長官「対赤城本隊として、左遷島のある南西海域に第一機動部隊を放つ」
山口「……あくまで英雄提督は、餌ですか」
中央長官「……そうとも言える」
山口「……あれは、主張派だったとは言え、現場指揮としては優秀です。何より、人間として戦場に立っています」
中央長官「そんな事は知っている。だが、脅威は赤城だけではないのだ。
少なくとも、赤城は確実に処理せねばならない。多少の犠牲があってもな」
山口「……」
中央長官「そこで、だ。来襲される可能性が高い英雄提督。彼に着け、敵戦力を漸減できる最適な艦娘は、加賀だろう」
山口「……確かに、そうですが……北が黙っていませんよ」
中央長官「それは、ネックの一つだな……まぁ、段階を踏ませるつもりだ」
山口「……」
中央長官「対赤城本隊として、左遷島のある南西海域に第一機動部隊を放つ」
山口「……あくまで英雄提督は、餌ですか」
中央長官「……そうとも言える」
山口「……あれは、主張派だったとは言え、現場指揮としては優秀です。何より、人間として戦場に立っています」
中央長官「そんな事は知っている。だが、脅威は赤城だけではないのだ。
少なくとも、赤城は確実に処理せねばならない。多少の犠牲があってもな」
山口「……」
928: 2015/04/15(水) 23:22:19.85 ID:/AUn5jAw0
………
……
…
宿舎、提督の自室
不知火「提督、お風呂いただきました」
提督「着替えはそこに置いてある。着たらーー」
ジリリリリリ
提督「電話か。済まないが、風呂から出たら一旦部屋に戻ってくれ、不知火」
不知火「……はい」
ガチャ
中央長官『私だ』
提督「中央長官殿。如何なさいましたか?」
中央長官『少し内密な話がーー』
提督「ーー」
不知火「……失礼しますね」ボソッ
ガチャ、バタン
不知火「……部屋に戻りますか」
宿舎、榛名と不知火の相部屋
ガチャ
不知火「……」
榛名「ぁ……」
不知火「……どうも」
榛名「……」
不知火「……」
榛名「……ごめんなさい、勝手に出て行ってしまって」
不知火「……」
榛名「(やはり、怒ってますね……わかりきった事ですが。まぁ、折り込み済みです)」
榛名「……早く帰るつもりが、途中で提督のお知り合いにお会いして……確か、件の加賀さんでしたか」
不知火「……」
榛名「その方が転倒なさって、それで立てないとかで……提督が処置をなさって……」
不知火「……」
榛名「……あのーー」
ガチャ
提督「不知火、榛名。休んでいるところ悪いが、私は少し急用で出る。留守を頼みたい」
榛名「は、はい」
不知火「……私も少し、外へ」
榛名「……?!」
提督「不知火、今回は私は一人でーー」
不知火「いえ、少し……外の空気を吸いに……」
提督「……そうか。それなら自由にしてくれ。榛名、留守を頼む。抜かりの無いようにな」
榛名「はい!」
……
…
宿舎、提督の自室
不知火「提督、お風呂いただきました」
提督「着替えはそこに置いてある。着たらーー」
ジリリリリリ
提督「電話か。済まないが、風呂から出たら一旦部屋に戻ってくれ、不知火」
不知火「……はい」
ガチャ
中央長官『私だ』
提督「中央長官殿。如何なさいましたか?」
中央長官『少し内密な話がーー』
提督「ーー」
不知火「……失礼しますね」ボソッ
ガチャ、バタン
不知火「……部屋に戻りますか」
宿舎、榛名と不知火の相部屋
ガチャ
不知火「……」
榛名「ぁ……」
不知火「……どうも」
榛名「……」
不知火「……」
榛名「……ごめんなさい、勝手に出て行ってしまって」
不知火「……」
榛名「(やはり、怒ってますね……わかりきった事ですが。まぁ、折り込み済みです)」
榛名「……早く帰るつもりが、途中で提督のお知り合いにお会いして……確か、件の加賀さんでしたか」
不知火「……」
榛名「その方が転倒なさって、それで立てないとかで……提督が処置をなさって……」
不知火「……」
榛名「……あのーー」
ガチャ
提督「不知火、榛名。休んでいるところ悪いが、私は少し急用で出る。留守を頼みたい」
榛名「は、はい」
不知火「……私も少し、外へ」
榛名「……?!」
提督「不知火、今回は私は一人でーー」
不知火「いえ、少し……外の空気を吸いに……」
提督「……そうか。それなら自由にしてくれ。榛名、留守を頼む。抜かりの無いようにな」
榛名「はい!」
929: 2015/04/15(水) 23:23:04.10 ID:/AUn5jAw0
宿舎前
提督「雨は止んだか……では、私は鎮守府庁舎へ向かう。……不知火、お前は休暇扱いとしておこう。……早めに帰れ」
不知火「はい。提督もお気をつけて」
提督「……ではな。念の為傘は持てよ」カツカツカツ……
不知火「……」
不知火「……また、やってしまいました……本当に、私は……」
不知火「……」
不知火「……適当に、どこか行きますか」
北の宿舎
龍驤「いやー疲れたわ……ありがとうな、日向。着替え用意してくれて」
日向「構わん構わん。お安い御用だ。加賀もすぐに治ったようだし、良かった」
加賀「ごめんなさいね」
響「……北提に入渠の件、報告しないとね。気が重い……」
日向「それは私と加賀で行くさ。他の皆は部屋で休んでてくれ」
瑞鶴「……私も行くわ」
龍驤「……アタシもーー」
日向「あんま大人数で行くのも、な。ぶつかった瑞鶴は兎も角、龍驤と響は休んでいてくれ」
響「む……」
龍驤「……わかった。行こ、響」
響「むー」テクテク
日向「……さて、と。行くか」
加賀「はい」
瑞鶴「……」
提督「雨は止んだか……では、私は鎮守府庁舎へ向かう。……不知火、お前は休暇扱いとしておこう。……早めに帰れ」
不知火「はい。提督もお気をつけて」
提督「……ではな。念の為傘は持てよ」カツカツカツ……
不知火「……」
不知火「……また、やってしまいました……本当に、私は……」
不知火「……」
不知火「……適当に、どこか行きますか」
北の宿舎
龍驤「いやー疲れたわ……ありがとうな、日向。着替え用意してくれて」
日向「構わん構わん。お安い御用だ。加賀もすぐに治ったようだし、良かった」
加賀「ごめんなさいね」
響「……北提に入渠の件、報告しないとね。気が重い……」
日向「それは私と加賀で行くさ。他の皆は部屋で休んでてくれ」
瑞鶴「……私も行くわ」
龍驤「……アタシもーー」
日向「あんま大人数で行くのも、な。ぶつかった瑞鶴は兎も角、龍驤と響は休んでいてくれ」
響「む……」
龍驤「……わかった。行こ、響」
響「むー」テクテク
日向「……さて、と。行くか」
加賀「はい」
瑞鶴「……」
930: 2015/04/15(水) 23:24:53.49 ID:/AUn5jAw0
北提の部屋の前
日向「着いたな……」
コンコン
シーン……
コンコン
日向「……反応がない?取り込み中か?いや、電気はついていたはず……」
加賀「どうかしたのかしら」
日向「……中から少し言い争うような声……?」
瑞鶴「!……少し確認を……」スッ
ガチャ……
日向「おいっ」
北提「いえ……それは……」
日向「なんだ、電話か。出直して……」
北提「……私に加賀を手放せと仰るのですか!」
日向「!」
北提「……しかし……彼女を教官にするなど……!」
加賀「ーー!」
北提「……瑞鶴ではまだ……!」
瑞鶴「……!」
北提「……わかりました。また明日、お伺いさせていただきます。では……はい。……はい」ガチャ
日向「……」
コンコン
日向は、半開きのまま、ドアをノックした。
北提「……!お前たち……聞いて、いたのか」
日向「すまない」
北提「……ノックを……」
日向「一応、したんだが。反応が無かったので、心配になってな」
北提「……」
日向「……加賀の異動の話……電話の相手は、あの英雄提督か?」
加賀「……」
日向「着いたな……」
コンコン
シーン……
コンコン
日向「……反応がない?取り込み中か?いや、電気はついていたはず……」
加賀「どうかしたのかしら」
日向「……中から少し言い争うような声……?」
瑞鶴「!……少し確認を……」スッ
ガチャ……
日向「おいっ」
北提「いえ……それは……」
日向「なんだ、電話か。出直して……」
北提「……私に加賀を手放せと仰るのですか!」
日向「!」
北提「……しかし……彼女を教官にするなど……!」
加賀「ーー!」
北提「……瑞鶴ではまだ……!」
瑞鶴「……!」
北提「……わかりました。また明日、お伺いさせていただきます。では……はい。……はい」ガチャ
日向「……」
コンコン
日向は、半開きのまま、ドアをノックした。
北提「……!お前たち……聞いて、いたのか」
日向「すまない」
北提「……ノックを……」
日向「一応、したんだが。反応が無かったので、心配になってな」
北提「……」
日向「……加賀の異動の話……電話の相手は、あの英雄提督か?」
加賀「……」
931: 2015/04/15(水) 23:25:36.11 ID:/AUn5jAw0
北提「……だったらまだ良かったんだけどね……中央長官だよ」
加賀「?!一体何を」
北提「……前線から退かせて、教官にするって……言われたよ……」
加賀「……教……官」
北提「故障があるから、もう戦わせない、と」
加賀「……嘘……」
北提「……」
加賀「……」
北提「……そうだ、ここに来たのは、加賀さんの入渠の件かい?」
日向「……ああ」
北提「大丈夫だった?加賀さん」
加賀「……ええ」
北提「ついさっき、英雄提督から宿舎に電話があったんだ。その件で。サポーターはきちんとしろ、だそうだ」
加賀「……そう」
北提「……」
加賀「……でも、もう関係無いわね。……前線から消えるんだもの」
北提「……教官だからってーー」
加賀「艦娘の教官が、どういうものか、私が一番わかっているつもりよ……戦闘では使えない、旧型、故障艦の行き着く先」
北提「……」
加賀「……」
北提「……まだそうなると決まった訳じゃ無い。……今日は皆、下がってくれ」
日向「……わかった……失礼する」
バタン
加賀「……」フラフラ
瑞鶴「(さっきの話……私は、『まだ』……?まだ、何なの……?)」グッ……
加賀「……少し、風に当たってくるわ」フラ〜
日向「あっ……おい!」
瑞鶴「……加賀さんが、居なくなる……私が、もっとしっかりしないと……」
日向「瑞鶴……?」
瑞鶴「……ごめん、日向。ちょっと行くとこ出来た」ダッ
日向「ちょ、お前もか……」
日向「……ハァ。どうなるんだ……」
加賀「?!一体何を」
北提「……前線から退かせて、教官にするって……言われたよ……」
加賀「……教……官」
北提「故障があるから、もう戦わせない、と」
加賀「……嘘……」
北提「……」
加賀「……」
北提「……そうだ、ここに来たのは、加賀さんの入渠の件かい?」
日向「……ああ」
北提「大丈夫だった?加賀さん」
加賀「……ええ」
北提「ついさっき、英雄提督から宿舎に電話があったんだ。その件で。サポーターはきちんとしろ、だそうだ」
加賀「……そう」
北提「……」
加賀「……でも、もう関係無いわね。……前線から消えるんだもの」
北提「……教官だからってーー」
加賀「艦娘の教官が、どういうものか、私が一番わかっているつもりよ……戦闘では使えない、旧型、故障艦の行き着く先」
北提「……」
加賀「……」
北提「……まだそうなると決まった訳じゃ無い。……今日は皆、下がってくれ」
日向「……わかった……失礼する」
バタン
加賀「……」フラフラ
瑞鶴「(さっきの話……私は、『まだ』……?まだ、何なの……?)」グッ……
加賀「……少し、風に当たってくるわ」フラ〜
日向「あっ……おい!」
瑞鶴「……加賀さんが、居なくなる……私が、もっとしっかりしないと……」
日向「瑞鶴……?」
瑞鶴「……ごめん、日向。ちょっと行くとこ出来た」ダッ
日向「ちょ、お前もか……」
日向「……ハァ。どうなるんだ……」
932: 2015/04/15(水) 23:26:34.05 ID:/AUn5jAw0
艦娘酒場
艦娘の酒場がある。
艦娘は休暇中にしか飲酒が許可されていない為、いつも閑散としている。
そんな中、夕方からビールを飲む加賀の姿があった。
加賀「(……この、この私が……!もう、もう、提督の横に立てない……?だったらあの夜……何故……)」
苛立ちに任せて、グラスに半分ほど残っていたビールを一気に飲み干した。
加賀「(……提督も、私を避けるようにっ……なんで、なんで!)」
飛龍の言葉が脳裏に浮かぶ。
『そういうとこも見てんのかもよ?』
ギリッと音の鳴る程、奥歯を噛み締めたのはいつ以来か。
加賀「……もう空っぽ」
空のグラスを見つめていると、急に涙が込み上げてくる。
それを拭い、それを忘れる為に、加賀は酒を頼む。
艦娘の酒場がある。
艦娘は休暇中にしか飲酒が許可されていない為、いつも閑散としている。
そんな中、夕方からビールを飲む加賀の姿があった。
加賀「(……この、この私が……!もう、もう、提督の横に立てない……?だったらあの夜……何故……)」
苛立ちに任せて、グラスに半分ほど残っていたビールを一気に飲み干した。
加賀「(……提督も、私を避けるようにっ……なんで、なんで!)」
飛龍の言葉が脳裏に浮かぶ。
『そういうとこも見てんのかもよ?』
ギリッと音の鳴る程、奥歯を噛み締めたのはいつ以来か。
加賀「……もう空っぽ」
空のグラスを見つめていると、急に涙が込み上げてくる。
それを拭い、それを忘れる為に、加賀は酒を頼む。
933: 2015/04/15(水) 23:27:31.43 ID:/AUn5jAw0
「「……すいません、ビール一つ」」
誰かと注文が被った。
その聞き覚えのある声は背後から。
加賀「不知火……」
不知火「……何してるんですか、加賀さん」
不知火もそこそこ飲んでいるようで、顔が微かに紅潮している。
加賀「……別に」
不知火「……ふーん」
その答えに加賀は苛立つ。
加賀「そちらこそ、何を?」
不知火「……別に」
鸚鵡返しに、負の感情は募る。
加賀「……」
不知火「そいえば、今日、提督に会ったんですか?榛名が言ってましたけど」
空のグラスを握る手に、力が篭った。
加賀「……それが何か」
不知火「……毎日、楽しそうですねぇ」
誰かと注文が被った。
その聞き覚えのある声は背後から。
加賀「不知火……」
不知火「……何してるんですか、加賀さん」
不知火もそこそこ飲んでいるようで、顔が微かに紅潮している。
加賀「……別に」
不知火「……ふーん」
その答えに加賀は苛立つ。
加賀「そちらこそ、何を?」
不知火「……別に」
鸚鵡返しに、負の感情は募る。
加賀「……」
不知火「そいえば、今日、提督に会ったんですか?榛名が言ってましたけど」
空のグラスを握る手に、力が篭った。
加賀「……それが何か」
不知火「……毎日、楽しそうですねぇ」
934: 2015/04/15(水) 23:28:53.31 ID:/AUn5jAw0
理性がトんだ。
掌の圧力でグラスが破裂する。
目の前の机を蹴り上げ、椅子を蹴飛ばし、加賀は振り返った。
向こう側を向いて座る不知火の肩を乱暴に掴み、こちらを向かせ、背後からテーブルに叩きつける。
不知火「……何か?」
それでも飄々とした態度を崩さぬ不知火。
加賀の思いが爆発する。
加賀「提督に、私は避けられているのにっ……楽しいだなんて……!」
不知火「仕方ないですよ。加賀さん、弱くなりましたし」
煽る不知火。
飛龍の姿が不知火に重なる。
加賀「私が弱くなったから……いけないの……?!」
不知火「そりゃ、そうですよ」
突きつけられた現実に、漏れる嗚咽。
不知火を抑えつけていた力が緩む。
加賀「……今日、艦娘の教官になれと、そういう話があったわ」
不知火「……それは、提督が喜びそうですね」
鼻で笑う不知火に、加賀は膝から崩れ落ちた。
涙が止まらない。
掌の圧力でグラスが破裂する。
目の前の机を蹴り上げ、椅子を蹴飛ばし、加賀は振り返った。
向こう側を向いて座る不知火の肩を乱暴に掴み、こちらを向かせ、背後からテーブルに叩きつける。
不知火「……何か?」
それでも飄々とした態度を崩さぬ不知火。
加賀の思いが爆発する。
加賀「提督に、私は避けられているのにっ……楽しいだなんて……!」
不知火「仕方ないですよ。加賀さん、弱くなりましたし」
煽る不知火。
飛龍の姿が不知火に重なる。
加賀「私が弱くなったから……いけないの……?!」
不知火「そりゃ、そうですよ」
突きつけられた現実に、漏れる嗚咽。
不知火を抑えつけていた力が緩む。
加賀「……今日、艦娘の教官になれと、そういう話があったわ」
不知火「……それは、提督が喜びそうですね」
鼻で笑う不知火に、加賀は膝から崩れ落ちた。
涙が止まらない。
935: 2015/04/15(水) 23:30:24.83 ID:/AUn5jAw0
不知火「……」
それを見た不知火は立ち上がる。
立ち上がって。
加賀の胸ぐらを掴んだ。
不知火「……何、泣いてんですか……!」
加賀「……?!」
不知火「泣きたいのは……泣きたいのは、こっちだよ!」
不知火が吼える。
加賀の体がビクりと震える。
不知火「本当に自分の事しか見えてないんですか?!何故自分が避けられるか、本当にわからないんですか?!」
ガクガクと、加賀を揺さぶる。
加賀「……提督はっ……わだじを……遠ざげでっ……」
えぐっえぐっとしゃくり上げながら言う加賀の言葉は弱々しい。
不甲斐ないかつての先輩の姿に、我慢出来ずに、まくしたてる。
それを見た不知火は立ち上がる。
立ち上がって。
加賀の胸ぐらを掴んだ。
不知火「……何、泣いてんですか……!」
加賀「……?!」
不知火「泣きたいのは……泣きたいのは、こっちだよ!」
不知火が吼える。
加賀の体がビクりと震える。
不知火「本当に自分の事しか見えてないんですか?!何故自分が避けられるか、本当にわからないんですか?!」
ガクガクと、加賀を揺さぶる。
加賀「……提督はっ……わだじを……遠ざげでっ……」
えぐっえぐっとしゃくり上げながら言う加賀の言葉は弱々しい。
不甲斐ないかつての先輩の姿に、我慢出来ずに、まくしたてる。
936: 2015/04/15(水) 23:31:20.45 ID:/AUn5jAw0
不知火「……そんなのっ!そんなの、あなたを守る為に決まってるじゃないですか!」
937: 2015/04/15(水) 23:32:47.67 ID:/AUn5jAw0
加賀「……?」
不知火「あなたが弱くなったから!今のあなたは、深海棲艦化した赤城さん達にきっと殺されちゃうから!
だから、提督はあなたを遠ざけてるのにっ!この、独り善がりの、分からず屋ぁぁ!」
加賀「っ……」
不知火「……五十鈴さんが敵対して、いつ赤城さんが来るかわからないこの状況で、提督があなたに優しく出来ると、本当にそう思ってるんですか……?」
不知火の目尻に涙が浮かぶ。
加賀「……」
不知火「あなたが反攻戦で倒れて!
その治療中、苦労して保守派の中でも穏健な人探してっ!
あなたを北提の元へ送る事に、どれだけ提督が苦労なさったか!」
加賀「……ぁぅ」
不知火「まさか、主張派の艦娘が、偶然あんな甘い上司に着けたと、そう思ってたんですか?」
加賀「……」
不知火「そんなに、そんなに愛されてるのにっ!……どうして……どうして、言わせる、かなぁ……」
不知火「あなたが弱くなったから!今のあなたは、深海棲艦化した赤城さん達にきっと殺されちゃうから!
だから、提督はあなたを遠ざけてるのにっ!この、独り善がりの、分からず屋ぁぁ!」
加賀「っ……」
不知火「……五十鈴さんが敵対して、いつ赤城さんが来るかわからないこの状況で、提督があなたに優しく出来ると、本当にそう思ってるんですか……?」
不知火の目尻に涙が浮かぶ。
加賀「……」
不知火「あなたが反攻戦で倒れて!
その治療中、苦労して保守派の中でも穏健な人探してっ!
あなたを北提の元へ送る事に、どれだけ提督が苦労なさったか!」
加賀「……ぁぅ」
不知火「まさか、主張派の艦娘が、偶然あんな甘い上司に着けたと、そう思ってたんですか?」
加賀「……」
不知火「そんなに、そんなに愛されてるのにっ!……どうして……どうして、言わせる、かなぁ……」
957: 2015/04/16(木) 20:58:57.14 ID:BUGvYus60
不知火「……提督は加賀さんを遠ざけ、私を近くに置いています。そんなの、そんなのっ!」
不知火「私が沈んでも、大した損失にならないって!私が敵に回っても、大した事がないって!そう、そう言われてるような物じゃないですか!」
加賀「……そんな事はーー」
不知火「私は、私はっ……今日も、ミスを犯しました……二回目ですよ。同じミスを二度も。
目を離すなと言われた人に、二度も逃げられました」
不知火の語気が弱まる
不知火「なのに……なのに……提督は、気にするなと……」
加賀「……?」
不知火「怒らないんですよ、提督は……私を、怒らないんです。それが、それがどれ程の苦痛かっ……!」
加賀「……」
不知火「……あの人は、合理的な人です……その提督が、ミスをしても怒らないんですよ。それって……私がどうでも良いって事じゃないですか」
加賀「……」
不知火「……私は、沈んでも良い、艦娘なんですよ……」
不知火「私が沈んでも、大した損失にならないって!私が敵に回っても、大した事がないって!そう、そう言われてるような物じゃないですか!」
加賀「……そんな事はーー」
不知火「私は、私はっ……今日も、ミスを犯しました……二回目ですよ。同じミスを二度も。
目を離すなと言われた人に、二度も逃げられました」
不知火の語気が弱まる
不知火「なのに……なのに……提督は、気にするなと……」
加賀「……?」
不知火「怒らないんですよ、提督は……私を、怒らないんです。それが、それがどれ程の苦痛かっ……!」
加賀「……」
不知火「……あの人は、合理的な人です……その提督が、ミスをしても怒らないんですよ。それって……私がどうでも良いって事じゃないですか」
加賀「……」
不知火「……私は、沈んでも良い、艦娘なんですよ……」
958: 2015/04/16(木) 21:09:23.73 ID:BUGvYus60
加賀「……そんなこと、無いっ。あなたは間違ってる」
不知火「……知ったような口を……!」
加賀「私だって疑問だったわ。何故、あなたが側に居るのか。でも、いくら考えても、提督があなたを頼ってるからとしか思えなかった!」
不知火「……何をーー」
加賀「正直、あなたはセンスが無いわ。弱い。そして事務が有能な訳でもない」
不知火「……!」
加賀「……従順で有能なだけなら川内でも良かった……でも、あなたは、提督に選ばれた。あなたが頼りになると、それがあの人の心なのよ……!」
不知火「……そんな訳が……」
加賀「……そもそも、あの人が合理性を重んじるなら、自分に好意を持たぬ、仕事の出来る艦娘を使うでしょう。それこそ保守派の」
不知火「……」
加賀「自己肯定感を、責められる事で得ようとしないで。あの人が怒らないのは、本当に怒る必要が無いからよ。
提督の言葉を信じないで、誰の言葉を信じると言うの?」
不知火「……」
加賀「……愚直で、責任感が強くて、例え弱くても提督が重用なさるあなたが、私は羨ましかった……」
不知火「……」
加賀「……沈んだら困るから遠ざけられる艦娘と、弱くても側に置ける艦娘なら、私は後者が良い。……いえ、艦娘なら誰だって……」
不知火「……」
加賀「……」
不知火「……」
加賀「……」スクッ
不知火「……行くのですか」
加賀「……帰ります」
不知火「……」
加賀「……私もあなたも……人のことばかり……」
不知火「……」
加賀「……さよなら。また、会いましょう」
バタン
不知火「……」
不知火「……知ったような口を……!」
加賀「私だって疑問だったわ。何故、あなたが側に居るのか。でも、いくら考えても、提督があなたを頼ってるからとしか思えなかった!」
不知火「……何をーー」
加賀「正直、あなたはセンスが無いわ。弱い。そして事務が有能な訳でもない」
不知火「……!」
加賀「……従順で有能なだけなら川内でも良かった……でも、あなたは、提督に選ばれた。あなたが頼りになると、それがあの人の心なのよ……!」
不知火「……そんな訳が……」
加賀「……そもそも、あの人が合理性を重んじるなら、自分に好意を持たぬ、仕事の出来る艦娘を使うでしょう。それこそ保守派の」
不知火「……」
加賀「自己肯定感を、責められる事で得ようとしないで。あの人が怒らないのは、本当に怒る必要が無いからよ。
提督の言葉を信じないで、誰の言葉を信じると言うの?」
不知火「……」
加賀「……愚直で、責任感が強くて、例え弱くても提督が重用なさるあなたが、私は羨ましかった……」
不知火「……」
加賀「……沈んだら困るから遠ざけられる艦娘と、弱くても側に置ける艦娘なら、私は後者が良い。……いえ、艦娘なら誰だって……」
不知火「……」
加賀「……」
不知火「……」
加賀「……」スクッ
不知火「……行くのですか」
加賀「……帰ります」
不知火「……」
加賀「……私もあなたも……人のことばかり……」
不知火「……」
加賀「……さよなら。また、会いましょう」
バタン
不知火「……」
982: 2015/04/18(土) 23:27:37.56 ID:YrO8cEV80
その頃……
飛龍「(蒼龍が山口さんに連れてかれて、暇ぁ)」
飛龍「山口さんてば、蒼龍ばっかり連れ回してるなぁ。……やっぱ、胸か?!」
飛龍「……ま、面倒じゃなくて良いけどサ。間宮行こっかなぁ……♪」
鼻歌を歌いながら、ぶらりぶらりと雨上がりの夕暮れを歩く。そこに、雨後の湿気た空気を吹き飛ばすような風が吹き、飛龍の髪を撫ぜた。
飛龍「あーきもち……」
間宮の甘味を思うと、自然と唾液が出る。飛龍の足取りは軽く、心は浮ついた。
来訪者があるまでは。
飛龍の元を訪れた者は、その前に立ちふさがり、飛龍の歩みを止めた。
瑞鶴である。
飛龍「……私間宮行きたいんだけど」
瑞鶴「……飛龍さんにお願いがあって来ました」
飛龍「何?」
瑞鶴「私に、戦い方を教えてください」
飛龍「……北のひよっ子は礼儀を知らないのかい?司令官通しな。
大体、加賀が居るだろ。教え方甘いみたいだけど、ひよっ子にはあいつで十分だよ」
瑞鶴「……そこをなんとか、お願いします!」
飛龍「……加賀に大恥かかせる事になるって事、わかってる?北提の顔にも泥を塗ることになるよ」
瑞鶴「……なんとしても、私は!強くなりたい……強くならないと、いけないんです!」
飛龍「ふぅーん。心意気は認めてあげるよ。でもパス」
瑞鶴「……そこを、なんとか!」
瑞鶴は飛龍にすがりつく。
飛龍は嫌そうな顔を隠そうともしない。
飛龍「……しつこいなぁ……」
瑞鶴「お願いします!」
飛龍「私は英雄提督は嫌いだけどさ、加賀に嫌がらせしたい訳じゃ無いんだ。この事は黙っててやるから、もう帰んな」
瑞鶴「……お願い、します!」
飛龍「……」
はぁぁぁぁ〜と長い溜息。
飛龍「私は口先だけの奴は嫌いだ」
瑞鶴「……はい」
飛龍「とりあえず訓練所に行こうか。練度と……根性、見せてもらおう。教えてあげるかはそれ次第」
瑞鶴「……はい!」
ーーそしてこの日、瑞鶴は初めて訓練で血を吐く事になる。
飛龍の教導の代償として。
飛龍「(蒼龍が山口さんに連れてかれて、暇ぁ)」
飛龍「山口さんてば、蒼龍ばっかり連れ回してるなぁ。……やっぱ、胸か?!」
飛龍「……ま、面倒じゃなくて良いけどサ。間宮行こっかなぁ……♪」
鼻歌を歌いながら、ぶらりぶらりと雨上がりの夕暮れを歩く。そこに、雨後の湿気た空気を吹き飛ばすような風が吹き、飛龍の髪を撫ぜた。
飛龍「あーきもち……」
間宮の甘味を思うと、自然と唾液が出る。飛龍の足取りは軽く、心は浮ついた。
来訪者があるまでは。
飛龍の元を訪れた者は、その前に立ちふさがり、飛龍の歩みを止めた。
瑞鶴である。
飛龍「……私間宮行きたいんだけど」
瑞鶴「……飛龍さんにお願いがあって来ました」
飛龍「何?」
瑞鶴「私に、戦い方を教えてください」
飛龍「……北のひよっ子は礼儀を知らないのかい?司令官通しな。
大体、加賀が居るだろ。教え方甘いみたいだけど、ひよっ子にはあいつで十分だよ」
瑞鶴「……そこをなんとか、お願いします!」
飛龍「……加賀に大恥かかせる事になるって事、わかってる?北提の顔にも泥を塗ることになるよ」
瑞鶴「……なんとしても、私は!強くなりたい……強くならないと、いけないんです!」
飛龍「ふぅーん。心意気は認めてあげるよ。でもパス」
瑞鶴「……そこを、なんとか!」
瑞鶴は飛龍にすがりつく。
飛龍は嫌そうな顔を隠そうともしない。
飛龍「……しつこいなぁ……」
瑞鶴「お願いします!」
飛龍「私は英雄提督は嫌いだけどさ、加賀に嫌がらせしたい訳じゃ無いんだ。この事は黙っててやるから、もう帰んな」
瑞鶴「……お願い、します!」
飛龍「……」
はぁぁぁぁ〜と長い溜息。
飛龍「私は口先だけの奴は嫌いだ」
瑞鶴「……はい」
飛龍「とりあえず訓練所に行こうか。練度と……根性、見せてもらおう。教えてあげるかはそれ次第」
瑞鶴「……はい!」
ーーそしてこの日、瑞鶴は初めて訓練で血を吐く事になる。
飛龍の教導の代償として。
983: 2015/04/18(土) 23:32:11.31 ID:YrO8cEV80
艦娘酒屋前、外
ガチャ、とドアが開き、艦娘が一人、酒屋から出て来た。
川内「……もう行くんだ、加賀。早かったね」
その出て来た艦娘に、入り口で座り込んでいた艦娘が話しかけた。
加賀「……盗み聞き?最低ね」
川内「アハハ。そう言うなよ、提督の大切さん」
加賀「……チッ」ツカツカツカ
川内「あ、おーい!どこ行くのさー……あーあ、行っちゃった……折角、瑞鶴がヤバい事してるって教えてあげようとしたのに……」
ガチャ
不知火「……何してるんですか、川内」
川内「あ、提督の頼り人」
不知火「……それが何か?」
川内「……急に自身を得たなぁ……」
不知火「……そう言うあなたは、提督の何なんですか?」
川内「ーーは?」
沈黙。
不知火「……私は帰ります」フンス
テクテク
川内「あ、おい!……って行っちゃったよ……」
川内「やれやれ、ほんと、二人とも素直なんだから……」
川内「……アハッ♪
アハハッ
アハハハハ!」
川内「あいつら馬鹿だなぁ!実に馬鹿だなぁ!」
川内「お互い提督に直接言い寄れば良いのに!無駄な衝突して勝手に理解しあって!ありがたいよ、全く!アハハ!」
川内「単純だなぁ!すぐ、お互いの言葉信じて!」
川内「これで、加賀は北提の元で大人しくなるだろうし!本調子に戻った不知火は、榛名をしっかり管理するだろうし!」
川内「アタシにもチャンスが出来たじゃん!」
川内「アハハ!……ハハ……」
川内「……」
川内「……アタシ、いつから、こんなんなったんだっけ……いつから、かつての仲間の言葉、素直に聞けなくなったっけ……アタシ、提督のなんだっけ……?」
ガチャ、とドアが開き、艦娘が一人、酒屋から出て来た。
川内「……もう行くんだ、加賀。早かったね」
その出て来た艦娘に、入り口で座り込んでいた艦娘が話しかけた。
加賀「……盗み聞き?最低ね」
川内「アハハ。そう言うなよ、提督の大切さん」
加賀「……チッ」ツカツカツカ
川内「あ、おーい!どこ行くのさー……あーあ、行っちゃった……折角、瑞鶴がヤバい事してるって教えてあげようとしたのに……」
ガチャ
不知火「……何してるんですか、川内」
川内「あ、提督の頼り人」
不知火「……それが何か?」
川内「……急に自身を得たなぁ……」
不知火「……そう言うあなたは、提督の何なんですか?」
川内「ーーは?」
沈黙。
不知火「……私は帰ります」フンス
テクテク
川内「あ、おい!……って行っちゃったよ……」
川内「やれやれ、ほんと、二人とも素直なんだから……」
川内「……アハッ♪
アハハッ
アハハハハ!」
川内「あいつら馬鹿だなぁ!実に馬鹿だなぁ!」
川内「お互い提督に直接言い寄れば良いのに!無駄な衝突して勝手に理解しあって!ありがたいよ、全く!アハハ!」
川内「単純だなぁ!すぐ、お互いの言葉信じて!」
川内「これで、加賀は北提の元で大人しくなるだろうし!本調子に戻った不知火は、榛名をしっかり管理するだろうし!」
川内「アタシにもチャンスが出来たじゃん!」
川内「アハハ!……ハハ……」
川内「……」
川内「……アタシ、いつから、こんなんなったんだっけ……いつから、かつての仲間の言葉、素直に聞けなくなったっけ……アタシ、提督のなんだっけ……?」
984: 2015/04/18(土) 23:32:49.15 ID:YrO8cEV80
川内「……クソッ……見苦しいなぁ……」
川内が虚しい気持ちで夕日を眺めていると、酒屋の扉からまた誰かが出て来た。そして、川内に呼び掛ける。
ガチャ
「……おい、お前」
川内「……なんだい?」
不機嫌な川内がギ口リと入り口を睨むと、そこには酒屋の主任が居た。
主任「む!その顔は夜戦隊の……また貴様か!」
川内「……げっ」
主任「言い逃れは出来んぞ!よくもまた、店の中で暴れてくれたな!」
川内「……いや、今回は本当にアタシじゃーー」
主任「問答無用!ここに居るという事は、休暇中だな?!さぁ、掃除してもらうぞ!……割ったグラスの分の皿洗いもな!」
川内「えちょ、待って待ってヤダヤダヤダぁぁぁ!」
首根っこを掴まれた川内は、ズルズルと店の中へ引き摺り込まれた。
川内「加賀っ不知火っ覚えてろよぉぉぉぉ!」
バタン!
川内が虚しい気持ちで夕日を眺めていると、酒屋の扉からまた誰かが出て来た。そして、川内に呼び掛ける。
ガチャ
「……おい、お前」
川内「……なんだい?」
不機嫌な川内がギ口リと入り口を睨むと、そこには酒屋の主任が居た。
主任「む!その顔は夜戦隊の……また貴様か!」
川内「……げっ」
主任「言い逃れは出来んぞ!よくもまた、店の中で暴れてくれたな!」
川内「……いや、今回は本当にアタシじゃーー」
主任「問答無用!ここに居るという事は、休暇中だな?!さぁ、掃除してもらうぞ!……割ったグラスの分の皿洗いもな!」
川内「えちょ、待って待ってヤダヤダヤダぁぁぁ!」
首根っこを掴まれた川内は、ズルズルと店の中へ引き摺り込まれた。
川内「加賀っ不知火っ覚えてろよぉぉぉぉ!」
バタン!
985: 2015/04/18(土) 23:33:44.28 ID:YrO8cEV80
鎮守府庁舎
コンコン
提督「失礼致します」
中央長官「入れ」
ガチャ
提督「遅くなり、申し訳ございません」
中央長官「急に呼び出したのは此方だ。気にするな」
提督「は……」
中央長官「……君の居るサセン島に配備されている艦娘は榛名、足柄、不知火に鳳翔。隼鷹と雷は兎も角、戦力だけを見るならば、ある程度揃っているな」
提督「はい」
中央長官「英雄提督。君に命令を下す」
提督「はっ」
中央長官「近く、南方海域に敵主力級の出現が予想されている。
南方方面軍サセン島防衛隊は更に練度を高め、これに備えよ」
提督「はっ!謹んで拝命いたします」
中央長官「ついては、これを渡しておこう」スッ
提督「……?(小箱?)」
中央長官「開けてみろ」
提督「失礼します」ぱかっ
提督「……これは……!……廃棄されたのでは……?」
中央長官「中身に関して、私は一切関知しない」
提督「……」
中央長官「困った事に、もう一箱有ったのだが、加賀が『勝手』に持って行ってしまった」
提督「……それは……しかし……」
中央長官「私は君を理解しているつもりだ」
提督「……」
中央長官「……加賀には本土にて『それなりの』訓練を積ませる。『あくまでも教官とする為』にな。しかし、今後どうするかについては、元上司の、君の意見を大いに取り入れるつもりだ」
提督「……」
中央長官「話が逸れたな……そのことはよく検討しておいてくれ。どうせ直ぐには動かせん」
提督「……はい」
中央長官「さて、赤城らはまだ動きを見せていない。だが、これまでの経験から、君の居場所が判れば、そこに敵が殺到することは予想出来る」
提督「……」
中央長官「今回の会議の結果に従い、情報開示し、今は防衛線を固める。君には、その奥で練度を高めておいて貰おう。今はまだ、息を潜めていろ」
提督「はっ」
中央長官「決戦の際は作戦の決定に伴い、部隊の再編を行う可能性があるだろうが、現時点で編成の変更予定はない。今の艦隊で最善を尽くせ」
提督「はっ」
中央長官「詳しい作戦等は検討の後、追って通達する。……君が今すべき事は、その小箱を持ってすぐさま島に戻り、部下と情報を共有し、防衛戦略を練る事だ」
提督「はっ!」
中央長官「他の南方方面軍とも連携して、抜かりなく頼むぞ。……行ってこい」
提督「はっ!失礼いたします」
コンコン
提督「失礼致します」
中央長官「入れ」
ガチャ
提督「遅くなり、申し訳ございません」
中央長官「急に呼び出したのは此方だ。気にするな」
提督「は……」
中央長官「……君の居るサセン島に配備されている艦娘は榛名、足柄、不知火に鳳翔。隼鷹と雷は兎も角、戦力だけを見るならば、ある程度揃っているな」
提督「はい」
中央長官「英雄提督。君に命令を下す」
提督「はっ」
中央長官「近く、南方海域に敵主力級の出現が予想されている。
南方方面軍サセン島防衛隊は更に練度を高め、これに備えよ」
提督「はっ!謹んで拝命いたします」
中央長官「ついては、これを渡しておこう」スッ
提督「……?(小箱?)」
中央長官「開けてみろ」
提督「失礼します」ぱかっ
提督「……これは……!……廃棄されたのでは……?」
中央長官「中身に関して、私は一切関知しない」
提督「……」
中央長官「困った事に、もう一箱有ったのだが、加賀が『勝手』に持って行ってしまった」
提督「……それは……しかし……」
中央長官「私は君を理解しているつもりだ」
提督「……」
中央長官「……加賀には本土にて『それなりの』訓練を積ませる。『あくまでも教官とする為』にな。しかし、今後どうするかについては、元上司の、君の意見を大いに取り入れるつもりだ」
提督「……」
中央長官「話が逸れたな……そのことはよく検討しておいてくれ。どうせ直ぐには動かせん」
提督「……はい」
中央長官「さて、赤城らはまだ動きを見せていない。だが、これまでの経験から、君の居場所が判れば、そこに敵が殺到することは予想出来る」
提督「……」
中央長官「今回の会議の結果に従い、情報開示し、今は防衛線を固める。君には、その奥で練度を高めておいて貰おう。今はまだ、息を潜めていろ」
提督「はっ」
中央長官「決戦の際は作戦の決定に伴い、部隊の再編を行う可能性があるだろうが、現時点で編成の変更予定はない。今の艦隊で最善を尽くせ」
提督「はっ」
中央長官「詳しい作戦等は検討の後、追って通達する。……君が今すべき事は、その小箱を持ってすぐさま島に戻り、部下と情報を共有し、防衛戦略を練る事だ」
提督「はっ!」
中央長官「他の南方方面軍とも連携して、抜かりなく頼むぞ。……行ってこい」
提督「はっ!失礼いたします」
986: 2015/04/18(土) 23:36:07.08 ID:YrO8cEV80
宿舎
コンコン
提督「帰った」
ガチャ
不知火「お疲れ様です」
榛名「お疲れ様です!」
提督「ああ。……急だが、明日の便で島に戻る事になった。準備をしておけ」
不知火「……!そうですか。わかりました」
榛名「はい!」
提督「頼んだ」
バタン
提督の部屋
提督「中央長官も無茶をなさる……こんな物を用意するとは、な」
提督はチラリと手元の箱を見た。
提督「やれやれ、退去に伴う書類の処理を急がねばな……お陰で挨拶に回る暇もない」
提督は部屋の机に座り、書類作業を始める。
暫くして、ふと呟いた。
提督「……いよいよ、現実的になってきたな……赤城達との戦いが」
そう言って、提督は胸元に手を遣り、ペンダントが無いのを思い出す。
提督「……結局、誰に渡したんだか。超硬合金だし、御守りにでもと思ったが……」
コンコン
提督「帰った」
ガチャ
不知火「お疲れ様です」
榛名「お疲れ様です!」
提督「ああ。……急だが、明日の便で島に戻る事になった。準備をしておけ」
不知火「……!そうですか。わかりました」
榛名「はい!」
提督「頼んだ」
バタン
提督の部屋
提督「中央長官も無茶をなさる……こんな物を用意するとは、な」
提督はチラリと手元の箱を見た。
提督「やれやれ、退去に伴う書類の処理を急がねばな……お陰で挨拶に回る暇もない」
提督は部屋の机に座り、書類作業を始める。
暫くして、ふと呟いた。
提督「……いよいよ、現実的になってきたな……赤城達との戦いが」
そう言って、提督は胸元に手を遣り、ペンダントが無いのを思い出す。
提督「……結局、誰に渡したんだか。超硬合金だし、御守りにでもと思ったが……」
987: 2015/04/18(土) 23:38:15.49 ID:YrO8cEV80
翌日、港
榛名「いやぁ、入港は大変だったのに、出港は緩いもんですね。手続きが……」
提督「そんなものだ」
不知火「提督、お時間の方が迫っています。皆様にご挨拶を……」
提督「そうだな。少し、行ってくる」
………
……
…
提督「南方長官、本来ならば此方からお伺いせねばならぬ所を、申し訳御座いません。……お世話になりました」
南「構わん、こちらこそ世話になった」
提督「そう仰って頂けると、光栄です。情報開示や防衛戦略等、課題は山積しておりますが、必ずやこの戦い、勝利しましょう」
南「勿論だ」
南がスッと手を差し出した。
提督はそれをガシッと掴み、二人は握手を交わす。
そこへ、駆けて来る一団があった。
太郎「提督さー金剛「テイトクー!遅れてsorryネー!」
翔鶴「ちょっと金剛?!」
提督「太郎君、金剛、翔鶴……すまないな、わざわざ」
太郎「そんな!とんでもありません」
金剛「テイトクー寂しいヨー!」
提督「そうかそうか」よしよし
金剛「えへへ……」
提督「……やっぱり、姉妹だな」
金剛「?……what……?」
提督「こちらの話だ。……太郎君、例の件はくれぐれも慎重にな」
太郎「……はい。……私も翔鶴の艤装の改修が済み次第、直ぐに戦線に復帰します。その際、もし宜しければ、是非演習を……」
提督「構わん。こちらからお願いしたい位だ」
太郎「ありがとうございます!……船旅、お気をつけて」
翔鶴「……」ぺこり
提督「ああ。またな」
金剛「Bon Voyage、テートク!」
提督「Merci、金剛」
榛名「いやぁ、入港は大変だったのに、出港は緩いもんですね。手続きが……」
提督「そんなものだ」
不知火「提督、お時間の方が迫っています。皆様にご挨拶を……」
提督「そうだな。少し、行ってくる」
………
……
…
提督「南方長官、本来ならば此方からお伺いせねばならぬ所を、申し訳御座いません。……お世話になりました」
南「構わん、こちらこそ世話になった」
提督「そう仰って頂けると、光栄です。情報開示や防衛戦略等、課題は山積しておりますが、必ずやこの戦い、勝利しましょう」
南「勿論だ」
南がスッと手を差し出した。
提督はそれをガシッと掴み、二人は握手を交わす。
そこへ、駆けて来る一団があった。
太郎「提督さー金剛「テイトクー!遅れてsorryネー!」
翔鶴「ちょっと金剛?!」
提督「太郎君、金剛、翔鶴……すまないな、わざわざ」
太郎「そんな!とんでもありません」
金剛「テイトクー寂しいヨー!」
提督「そうかそうか」よしよし
金剛「えへへ……」
提督「……やっぱり、姉妹だな」
金剛「?……what……?」
提督「こちらの話だ。……太郎君、例の件はくれぐれも慎重にな」
太郎「……はい。……私も翔鶴の艤装の改修が済み次第、直ぐに戦線に復帰します。その際、もし宜しければ、是非演習を……」
提督「構わん。こちらからお願いしたい位だ」
太郎「ありがとうございます!……船旅、お気をつけて」
翔鶴「……」ぺこり
提督「ああ。またな」
金剛「Bon Voyage、テートク!」
提督「Merci、金剛」
988: 2015/04/18(土) 23:39:14.14 ID:YrO8cEV80
………
……
…
提督「見送りご苦労さん」
川内「えっへっへ!」
神通「……」ペコ
提督「……川内、随分と疲れているようだな」
川内「……朝まで皿洗って掃除しててたからねぇ……」
提督「……?」
川内「ま、それは良いよ。……アタシ、振られちゃったみたいだね」
提督「まぁ、最初から断っていた話だ」
川内「……」
提督「お前達は強い。本当に私の力となる心算が有るのなら、今は待て。そう遠くない日に、私の方からお前達を呼ぶ事になる」
川内「……それは夜戦隊として、だよねぇ」
提督「そうだな」
川内「……わかった!氏ぬ前に呼んでよ?」
提督「……ありがとう。では、私は行く……これ以上、危険な真似はするな。良いな、川内」
川内「しないしない!」
提督「それは嘘つきの顔だな……」ハァ
川内「……ほんとだって」
提督「川内。一線は越えるな」
川内「……わかってるよ」
提督「私を失望させるなよ」
川内「うん」
提督「……じゃあな。また、会おう」
川内「バイバイ!」
神通「お気をつけて」
川内「行ったか。……ダメだよ、提督。赤城が、いつも言ってたろ。『一番以外に、価値は無い』って」
川内「……アタシはまだ諦めて無いぜ」
神通「……」
川内「……行くぞ神通」
神通「はい」
……
…
提督「見送りご苦労さん」
川内「えっへっへ!」
神通「……」ペコ
提督「……川内、随分と疲れているようだな」
川内「……朝まで皿洗って掃除しててたからねぇ……」
提督「……?」
川内「ま、それは良いよ。……アタシ、振られちゃったみたいだね」
提督「まぁ、最初から断っていた話だ」
川内「……」
提督「お前達は強い。本当に私の力となる心算が有るのなら、今は待て。そう遠くない日に、私の方からお前達を呼ぶ事になる」
川内「……それは夜戦隊として、だよねぇ」
提督「そうだな」
川内「……わかった!氏ぬ前に呼んでよ?」
提督「……ありがとう。では、私は行く……これ以上、危険な真似はするな。良いな、川内」
川内「しないしない!」
提督「それは嘘つきの顔だな……」ハァ
川内「……ほんとだって」
提督「川内。一線は越えるな」
川内「……わかってるよ」
提督「私を失望させるなよ」
川内「うん」
提督「……じゃあな。また、会おう」
川内「バイバイ!」
神通「お気をつけて」
川内「行ったか。……ダメだよ、提督。赤城が、いつも言ってたろ。『一番以外に、価値は無い』って」
川内「……アタシはまだ諦めて無いぜ」
神通「……」
川内「……行くぞ神通」
神通「はい」
989: 2015/04/18(土) 23:41:11.85 ID:YrO8cEV80
………
……
…
英雄提督が本土を離れるらしい。
その情報と共に、昨晩行方知れずだった瑞鶴は帰って来た。
全身ボロボロの状態で。
加賀は今すぐにでも走り出したかったが、瑞鶴をそのままにしておけなかった。
しかし、龍驤が、瑞鶴は見といたるから行っといで、とその背中を押す。
加賀は感謝の言葉と共に、港へ向けて駆け出した。
加賀「……提督!」
提督「……探したぞ、加賀」
加賀「私、もよ……」
全力で駆けて来た為、息が荒い。
それを落ち着けていると、提督が話し始めた。
提督「……昨晩、中央長官から懐かしい物を受け取った」
そう言って懐から取り出した物は。
加賀「それは……私も、その前の日に頂いたわ」
それを提督が無言で元の場所に戻すと、暫しの沈黙が訪れた。
提督「今まで色々すまなかった」
加賀「提督……」
提督「……私は、お前を近くに置きたくなかった。少なくとも、赤城とケリをつける迄は」
加賀「……知ってますよ。不知火から、聞きました」
提督「何?……言ったのか、奴は……」
加賀「あの子も、色々抱え込んでいたわ」
提督「……そうだろうな。不甲斐ない話だ。全部を赤城に丸投げしていた、そのツケだな」
加賀「あの人は、もう居ないわ。ちゃんと、不知火を見てあげて頂戴」
提督「……心掛けよう」
……
…
英雄提督が本土を離れるらしい。
その情報と共に、昨晩行方知れずだった瑞鶴は帰って来た。
全身ボロボロの状態で。
加賀は今すぐにでも走り出したかったが、瑞鶴をそのままにしておけなかった。
しかし、龍驤が、瑞鶴は見といたるから行っといで、とその背中を押す。
加賀は感謝の言葉と共に、港へ向けて駆け出した。
加賀「……提督!」
提督「……探したぞ、加賀」
加賀「私、もよ……」
全力で駆けて来た為、息が荒い。
それを落ち着けていると、提督が話し始めた。
提督「……昨晩、中央長官から懐かしい物を受け取った」
そう言って懐から取り出した物は。
加賀「それは……私も、その前の日に頂いたわ」
それを提督が無言で元の場所に戻すと、暫しの沈黙が訪れた。
提督「今まで色々すまなかった」
加賀「提督……」
提督「……私は、お前を近くに置きたくなかった。少なくとも、赤城とケリをつける迄は」
加賀「……知ってますよ。不知火から、聞きました」
提督「何?……言ったのか、奴は……」
加賀「あの子も、色々抱え込んでいたわ」
提督「……そうだろうな。不甲斐ない話だ。全部を赤城に丸投げしていた、そのツケだな」
加賀「あの人は、もう居ないわ。ちゃんと、不知火を見てあげて頂戴」
提督「……心掛けよう」
990: 2015/04/18(土) 23:45:45.71 ID:YrO8cEV80
加賀「……そして、私は大丈夫よ。教官になる事に決まりそうなの。もう……戦う事も無いわ」
提督「……生憎だが、そうも言ってられなくなった」
加賀「え?しかし、中央長官の……」
提督「……相変わらず、お前は少し頭が硬いな」
加賀「何をーー」
ムッとした加賀の頭を優しく撫ぜる。
提督「よく考えてみろ。中央長官が俺とお前に渡した物を。このタイミングだ。明らかに赤城を意識しているだろう」
加賀「……という事は、これは、まだ機能するのですか?……これを使う事は禁じられて……まさか、また使えと……」
提督は狼狽する加賀を見て苦笑し、言った。
提督「本部も余裕が無い、という事だ」
加賀「……しかし」
提督「……真面目なのは、お前の美徳だな」
加賀「っ……」
再び髪を撫でる提督に、加賀は俯いて喋れなくなる。
提督「……生憎だが、そうも言ってられなくなった」
加賀「え?しかし、中央長官の……」
提督「……相変わらず、お前は少し頭が硬いな」
加賀「何をーー」
ムッとした加賀の頭を優しく撫ぜる。
提督「よく考えてみろ。中央長官が俺とお前に渡した物を。このタイミングだ。明らかに赤城を意識しているだろう」
加賀「……という事は、これは、まだ機能するのですか?……これを使う事は禁じられて……まさか、また使えと……」
提督は狼狽する加賀を見て苦笑し、言った。
提督「本部も余裕が無い、という事だ」
加賀「……しかし」
提督「……真面目なのは、お前の美徳だな」
加賀「っ……」
再び髪を撫でる提督に、加賀は俯いて喋れなくなる。
991: 2015/04/18(土) 23:46:17.65 ID:YrO8cEV80
提督「なぁ、加賀」
加賀「……はい」
提督「俺は最近、ふと自分がわからなくなる事がある」
加賀「……」
提督「俺は何をしているのか、とね……」
加賀「……人生、そんな日もあるわ」
提督「ふっ。加賀センセの有り難いお言葉だな」
加賀「馬鹿にしてるわね……頭に来ました」
提督「そんな事はない。怒るな、怒るな。……まぁ、なんだ。今は本土の最新鋭の授業とやらをみっちり受けてくれ、加賀センセ」
加賀「……その、センセって言うの、やめて欲しいのだけれど」
提督「俺は良いと思うぞ」
ははは、と笑ってから、提督は踵を返した。
提督「……そろそろ、時間だ。また連絡する」
加賀「そう……キチンとお願いね」
提督「ああ」
加賀「……」
提督「……」
加賀「……行かないの?」
提督「……なんか、最後に一言くれないか」
背を向けたまま、提督は加賀に頼んだ。
その背中は少し寂しそうで。
加賀は少し考え込み。
加賀「……」コホン
加賀「……こ、困ったら先生に相談なさい?」
加賀「……はい」
提督「俺は最近、ふと自分がわからなくなる事がある」
加賀「……」
提督「俺は何をしているのか、とね……」
加賀「……人生、そんな日もあるわ」
提督「ふっ。加賀センセの有り難いお言葉だな」
加賀「馬鹿にしてるわね……頭に来ました」
提督「そんな事はない。怒るな、怒るな。……まぁ、なんだ。今は本土の最新鋭の授業とやらをみっちり受けてくれ、加賀センセ」
加賀「……その、センセって言うの、やめて欲しいのだけれど」
提督「俺は良いと思うぞ」
ははは、と笑ってから、提督は踵を返した。
提督「……そろそろ、時間だ。また連絡する」
加賀「そう……キチンとお願いね」
提督「ああ」
加賀「……」
提督「……」
加賀「……行かないの?」
提督「……なんか、最後に一言くれないか」
背を向けたまま、提督は加賀に頼んだ。
その背中は少し寂しそうで。
加賀は少し考え込み。
加賀「……」コホン
加賀「……こ、困ったら先生に相談なさい?」
992: 2015/04/18(土) 23:46:53.83 ID:YrO8cEV80
提督は思わず振り返ると。
加賀の頬は染まり、綺麗な栗色の瞳は、斜め下を見つめていた。
羞恥心からか、指がモゾモゾと動いている。
提督「……それは、ありがたい事だ。心に留めておくよ」
恥じ入る加賀の姿を記憶に納め、提督は笑う。
提督「今度こそ、行く」
加賀「コホン……気をつけて」
提督「……また会おう」
加賀「……はい」
………
……
…
提督「待たせたな」
不知火「いえ、大丈夫です」
提督「よし、では、不知火及び榛名は艤装を受け取り、高速輸送船へ向かえ。輸送船内の艤装収容施設にて合流しよう」
不知火「了解です。行きましょう、榛名さん」
榛名「は、はい!」
不知火と榛名は艤装を受け取る為、提督の元を離れて行く。
提督「やれやれ、最後まで慌ただしい日々だったな……」
加賀の頬は染まり、綺麗な栗色の瞳は、斜め下を見つめていた。
羞恥心からか、指がモゾモゾと動いている。
提督「……それは、ありがたい事だ。心に留めておくよ」
恥じ入る加賀の姿を記憶に納め、提督は笑う。
提督「今度こそ、行く」
加賀「コホン……気をつけて」
提督「……また会おう」
加賀「……はい」
………
……
…
提督「待たせたな」
不知火「いえ、大丈夫です」
提督「よし、では、不知火及び榛名は艤装を受け取り、高速輸送船へ向かえ。輸送船内の艤装収容施設にて合流しよう」
不知火「了解です。行きましょう、榛名さん」
榛名「は、はい!」
不知火と榛名は艤装を受け取る為、提督の元を離れて行く。
提督「やれやれ、最後まで慌ただしい日々だったな……」
993: 2015/04/18(土) 23:50:24.23 ID:YrO8cEV80
提督「…さて、と」
もうすぐ昼だ。
太陽はぐんぐんと高度を増して行き、その光は中央鎮守府を綺麗に照らしている。
しかし、ひとたび海を見れば、遠くに黒い、大きな積乱雲が見える。
嵐が来るか。そう、心の中で呟いて、提督は船へと歩き出した。
もうすぐ昼だ。
太陽はぐんぐんと高度を増して行き、その光は中央鎮守府を綺麗に照らしている。
しかし、ひとたび海を見れば、遠くに黒い、大きな積乱雲が見える。
嵐が来るか。そう、心の中で呟いて、提督は船へと歩き出した。
994: 2015/04/18(土) 23:57:41.84 ID:YrO8cEV80
投下終わりです
このスレ内で終わらせようとした為、かなり強引な終わり方ですが、本土編はここまで
お付き合いありがとうございました!
次スレもよろしければ、お願いします
赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」【1】
明日も埋まって無ければ、本編と関係のない、1レスで完結する話を投下していこうかと考えています
このスレ内で終わらせようとした為、かなり強引な終わり方ですが、本土編はここまで
お付き合いありがとうございました!
次スレもよろしければ、お願いします
赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」【1】
明日も埋まって無ければ、本編と関係のない、1レスで完結する話を投下していこうかと考えています
997: 2015/04/19(日) 06:26:25.83 ID:Qb9BmLOS0
乙です
引用: 【艦これ】提督「…さて、と」



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