517: 2015/05/25(月) 19:57:29.76 ID:GRn4Pv9R0
前回:赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」【5】
この章の初め:赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」
最初から:提督「…さて、と」
◇
艦載機からの視界は、それを操る空母にしか見えない。だから局地的な航空戦略は基本的に空母が立てる。
翔鶴(……さて、今私がすべき事は……)
戦闘哨戒空域の拡大。
今、最も警戒すべきは敵の艦爆・艦攻によるカウンターエア。
翔鶴「コマンド、翔鶴。哨戒空域の拡大を提案、オーバー」
太郎『翔鶴、コマンド。提案を承認する、アウト』
翔鶴は、1系統でくるくると回していた12機の艦戦を6系統に分割、散開させ、哨戒旋回半径をグッと増やした。
518: 2015/05/25(月) 19:58:40.02 ID:GRn4Pv9R0
本来的には対空防御は艦戦で行うべきではない。
それは艦爆・艦攻の役目だ。
無論、それは空戦を行うと言う意味ではないが。
航空機の特性とは、いつでも、どこへでも、どこからでも。
つまり、何時どこから侵入されるかが全くわからない。
艦戦による戦闘空中哨戒ですべての侵攻を防ごうとする事には無理がある。
だからこそ、爆撃なのだ。
つまり、甲板の破壊。
早期の艦載機発着艦能力の簒奪こそが最も有効な防空戦術である。
その接近を見落としたら、寡兵からの一発逆転もあり得るのが航空戦の怖い所でもあり。
翔鶴(……先程の制空戦、増援は出てこなかった……
これは、出てこれなかった、もしくはもう出ていた、という事……)
思案する。
翔鶴(出てこれなかったとしたら、それは残りのペイロードに艦爆・艦攻しか積んでいなかったという事)
思案する。
翔鶴(出てこなかったとしたら、それは攻撃編隊が此方に向かっている可能性が高いという事)
思案する。
それは艦爆・艦攻の役目だ。
無論、それは空戦を行うと言う意味ではないが。
航空機の特性とは、いつでも、どこへでも、どこからでも。
つまり、何時どこから侵入されるかが全くわからない。
艦戦による戦闘空中哨戒ですべての侵攻を防ごうとする事には無理がある。
だからこそ、爆撃なのだ。
つまり、甲板の破壊。
早期の艦載機発着艦能力の簒奪こそが最も有効な防空戦術である。
その接近を見落としたら、寡兵からの一発逆転もあり得るのが航空戦の怖い所でもあり。
翔鶴(……先程の制空戦、増援は出てこなかった……
これは、出てこれなかった、もしくはもう出ていた、という事……)
思案する。
翔鶴(出てこれなかったとしたら、それは残りのペイロードに艦爆・艦攻しか積んでいなかったという事)
思案する。
翔鶴(出てこなかったとしたら、それは攻撃編隊が此方に向かっている可能性が高いという事)
思案する。
519: 2015/05/25(月) 20:00:19.06 ID:GRn4Pv9R0
翔鶴(攻撃隊への追撃も無い……
ならば、どちらのケースも戦闘空中哨戒に重点を置きつつ、早急に第二次攻撃を加えるのが最善手の筈……)
やはり、自分の判断に間違いは無い、と再確認。
翔鶴(この搭載差で、空戦を積極的に展開してくるとは考え辛いから……
一番不味いのは、私が被弾して艦載機運用能力を喪失する事……)
懸念事項の検討。
翔鶴(でも、相手の攻撃機数は多くない。
……大丈夫、オーソドックスに守って攻めれば、勝てる筈。
だから神経を空中哨戒に集中させて……)
そこまで考えて、ふぅ、と深呼吸。
翔鶴(しかし……少し、疲れましたね……)
勝利には確実に迫っている。
このまま、情勢を維持せねば。
翔鶴はさらに哨戒へと注力した。
ならば、どちらのケースも戦闘空中哨戒に重点を置きつつ、早急に第二次攻撃を加えるのが最善手の筈……)
やはり、自分の判断に間違いは無い、と再確認。
翔鶴(この搭載差で、空戦を積極的に展開してくるとは考え辛いから……
一番不味いのは、私が被弾して艦載機運用能力を喪失する事……)
懸念事項の検討。
翔鶴(でも、相手の攻撃機数は多くない。
……大丈夫、オーソドックスに守って攻めれば、勝てる筈。
だから神経を空中哨戒に集中させて……)
そこまで考えて、ふぅ、と深呼吸。
翔鶴(しかし……少し、疲れましたね……)
勝利には確実に迫っている。
このまま、情勢を維持せねば。
翔鶴はさらに哨戒へと注力した。
520: 2015/05/25(月) 20:04:47.73 ID:GRn4Pv9R0
◇
戦場で、一番油断のある瞬間はいつか。
それは単純。
勝った時だ。
それが局地戦であろうと、大局的な戦いであろうと。
ストレス反応により極限まで高められた緊張が弛緩する、その時が一番危ない。
副交感神経が働き、血管が拡大し、疲労から注意力が散漫になる。
心では無い。体が油断をする。
それは艦娘でも同じ事。
提督『……さて、と』
提督が口を開く。
戦場で、一番油断のある瞬間はいつか。
それは単純。
勝った時だ。
それが局地戦であろうと、大局的な戦いであろうと。
ストレス反応により極限まで高められた緊張が弛緩する、その時が一番危ない。
副交感神経が働き、血管が拡大し、疲労から注意力が散漫になる。
心では無い。体が油断をする。
それは艦娘でも同じ事。
提督『……さて、と』
提督が口を開く。
521: 2015/05/25(月) 20:08:44.17 ID:GRn4Pv9R0
提督『榛名、単艦で針路1-8-0へ全速前進。南部島群への最短経路を取れ』
榛名「榛名、了解です!」
無傷の榛名は快速で南下していく。
提督『足柄以下、榛名に追随せよ』
足柄「足柄了解」
提督『鳳翔と雷は同行、足柄は速度に余裕があるならば単独航行を許可する』
鳳翔「鳳翔了解」
雷「雷了解」
足柄「足柄了解」
それから間も無く。
鳳翔「……本部、こちら鳳翔。
敵が、かかりました」
極めて落ち着いた声で告げる。
返って来る言葉もまた、落ち着いていて。
提督『始めろ、鳳翔。
我々は……周到な送り狼だ』
鳳翔「……はい」
反撃の狼煙が上がる。
榛名「榛名、了解です!」
無傷の榛名は快速で南下していく。
提督『足柄以下、榛名に追随せよ』
足柄「足柄了解」
提督『鳳翔と雷は同行、足柄は速度に余裕があるならば単独航行を許可する』
鳳翔「鳳翔了解」
雷「雷了解」
足柄「足柄了解」
それから間も無く。
鳳翔「……本部、こちら鳳翔。
敵が、かかりました」
極めて落ち着いた声で告げる。
返って来る言葉もまた、落ち着いていて。
提督『始めろ、鳳翔。
我々は……周到な送り狼だ』
鳳翔「……はい」
反撃の狼煙が上がる。
522: 2015/05/25(月) 20:18:35.61 ID:GRn4Pv9R0
提督『榛名、単艦で針路1-8-0へ全速前進。南部島群への最短経路を取れ』
榛名「榛名、了解です!」
無傷の榛名は快速で南下していく。
提督『足柄以下、榛名に追随せよ』
足柄「足柄了解」
提督『鳳翔と雷は同行、足柄は速度に余裕があるならば単独航行を許可する』
鳳翔「鳳翔了解」
雷「雷了解」
足柄「足柄了解」
それから間も無く。
鳳翔「……本部、こちら鳳翔。
敵が、かかりました」
極めて落ち着いた声で告げる。
返って来る言葉もまた、落ち着いていて。
提督『始めろ、鳳翔。
我々は……周到な送り狼だ』
鳳翔「……はい」
反撃の狼煙が上がる。
榛名「榛名、了解です!」
無傷の榛名は快速で南下していく。
提督『足柄以下、榛名に追随せよ』
足柄「足柄了解」
提督『鳳翔と雷は同行、足柄は速度に余裕があるならば単独航行を許可する』
鳳翔「鳳翔了解」
雷「雷了解」
足柄「足柄了解」
それから間も無く。
鳳翔「……本部、こちら鳳翔。
敵が、かかりました」
極めて落ち着いた声で告げる。
返って来る言葉もまた、落ち着いていて。
提督『始めろ、鳳翔。
我々は……周到な送り狼だ』
鳳翔「……はい」
反撃の狼煙が上がる。
523: 2015/05/25(月) 20:19:38.50 ID:GRn4Pv9R0
◇
洋上を飛ぶ攻撃編隊の内、10機が何の前触れも無く撃墜された。
翔鶴「はぁ?!」
翔鶴は思わず、似つかわしくない声を上げる。
訪れるパニック。
翔鶴(一体どこから?!
追撃機は無かったはず!見落とし?!馬鹿な!)
しかし、流石は最前線に立つ空母。
撃ち落とされた艦載機から情報を割り出し、攻撃された方向を判定。
攻撃編隊の系統を分割しつつ、翔鶴は意識の全てを、その方向に向ける。
しかし、それは罠だ。
翔鶴(しまった……!眩、しい……!)
翔鶴は8以上の視点から同時に太陽を直視してしまった。
太陽とは。
希望の象徴であり、道標であり。
そして、空における最大の障害物だ。
空戦中に、太陽の事を忘れる空母は意外と多い。
いつだってそこにある物は、往々にして無いように感じるものだ。
艦載機に瞼は無いから、咄嗟に目を閉じる事が出来ない。
直ぐに視線を逸らすが、既に目に太陽が焼き付いており、視界の中心に大きな黒い円。
まともに前が見えない。
洋上を飛ぶ攻撃編隊の内、10機が何の前触れも無く撃墜された。
翔鶴「はぁ?!」
翔鶴は思わず、似つかわしくない声を上げる。
訪れるパニック。
翔鶴(一体どこから?!
追撃機は無かったはず!見落とし?!馬鹿な!)
しかし、流石は最前線に立つ空母。
撃ち落とされた艦載機から情報を割り出し、攻撃された方向を判定。
攻撃編隊の系統を分割しつつ、翔鶴は意識の全てを、その方向に向ける。
しかし、それは罠だ。
翔鶴(しまった……!眩、しい……!)
翔鶴は8以上の視点から同時に太陽を直視してしまった。
太陽とは。
希望の象徴であり、道標であり。
そして、空における最大の障害物だ。
空戦中に、太陽の事を忘れる空母は意外と多い。
いつだってそこにある物は、往々にして無いように感じるものだ。
艦載機に瞼は無いから、咄嗟に目を閉じる事が出来ない。
直ぐに視線を逸らすが、既に目に太陽が焼き付いており、視界の中心に大きな黒い円。
まともに前が見えない。
524: 2015/05/25(月) 20:20:18.61 ID:GRn4Pv9R0
翔鶴(不味い不味い不味い不味い不味い不味い)
募る焦り。
翔鶴(結局敵がよく見えない!不味い不味い不味い……!
ジンキング、しないと……!)
果たしてその焦りの通り、追撃は来た。
敵の射線を躱すために、上下左右に動く機動をジンキングと呼ぶ。
本来は、どうしても敵を振り切れない際の最終手段だ。
翔鶴はそれを繰り返すが、敵が見えていないのに射線をかわせる筈も無く。
更に8機が落とされる。
既に艦戦は全て失われ、残っている艦攻にも、無傷の物は殆どない。
これはつまり。
翔鶴(艦攻と、無傷の機体を狙われた……
極めて計画的な……襲撃……!
これは……確実に待ち伏せされていた……!)
募る焦り。
翔鶴(結局敵がよく見えない!不味い不味い不味い……!
ジンキング、しないと……!)
果たしてその焦りの通り、追撃は来た。
敵の射線を躱すために、上下左右に動く機動をジンキングと呼ぶ。
本来は、どうしても敵を振り切れない際の最終手段だ。
翔鶴はそれを繰り返すが、敵が見えていないのに射線をかわせる筈も無く。
更に8機が落とされる。
既に艦戦は全て失われ、残っている艦攻にも、無傷の物は殆どない。
これはつまり。
翔鶴(艦攻と、無傷の機体を狙われた……
極めて計画的な……襲撃……!
これは……確実に待ち伏せされていた……!)
525: 2015/05/25(月) 20:22:19.45 ID:GRn4Pv9R0
太郎『翔鶴、コマンド。状況を報告せよ、オーバー』
翔鶴の声に疑問を持った太郎が質問し。
翔鶴「コ、コマンド、翔鶴!
アンブッシュ!アンブッシュ!」
アンブッシュ、つまり、待ち伏せ。
翔鶴は艦載機の襲撃に慌てるあまり、この通信を艦載機通報では無く、通常コールサインから送信してしまった。
待ち伏せだ、と。
必然的に、艦隊の付近に伏兵が居たと、そう判断した金剛が艤装の速度を一気に落とし、摩耶と陽炎が翔鶴の左右に展開。
18戦隊は、極めてスムーズに輪形陣へと移行した。
金剛「Clear!」
陽炎「クリアー!」
摩耶「クリア!」
素早く全360度を三人が目視で索敵、敵が見えない事を伝え合う。
翔鶴「ディスリガード!
コレクトアイセイアゲン、艦載機通報、待ち伏せされていました!
ディフェンシブ!」
翔鶴が慌てて訂正すると共に、急減速によって目前に迫った金剛を避ける。
金剛も気付いて急回頭し、激突はすんでの所で回避された。
が、隊列は大きく乱れ。
艦隊の速度が一時大きく低下した。
翔鶴の声に疑問を持った太郎が質問し。
翔鶴「コ、コマンド、翔鶴!
アンブッシュ!アンブッシュ!」
アンブッシュ、つまり、待ち伏せ。
翔鶴は艦載機の襲撃に慌てるあまり、この通信を艦載機通報では無く、通常コールサインから送信してしまった。
待ち伏せだ、と。
必然的に、艦隊の付近に伏兵が居たと、そう判断した金剛が艤装の速度を一気に落とし、摩耶と陽炎が翔鶴の左右に展開。
18戦隊は、極めてスムーズに輪形陣へと移行した。
金剛「Clear!」
陽炎「クリアー!」
摩耶「クリア!」
素早く全360度を三人が目視で索敵、敵が見えない事を伝え合う。
翔鶴「ディスリガード!
コレクトアイセイアゲン、艦載機通報、待ち伏せされていました!
ディフェンシブ!」
翔鶴が慌てて訂正すると共に、急減速によって目前に迫った金剛を避ける。
金剛も気付いて急回頭し、激突はすんでの所で回避された。
が、隊列は大きく乱れ。
艦隊の速度が一時大きく低下した。
526: 2015/05/25(月) 20:23:03.45 ID:GRn4Pv9R0
更に、この騒乱の影響から艦載機に気を配れなかった翔鶴は、更に被撃墜数を重ねていた。
翔鶴(……ああもう!)
そもそも何故待ち伏せが、と苛立つ。
少ない兵力を更に分散させるなど、あり得ない。
あり得ない。あり得ない。
翔鶴(……あり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ない!)
そもそも、いつ飛ばした?
自分は襲撃の少し前から、絶えず監視していたはずだ。
直掩機以外の発艦はおろか、遠くの機影すら見ていない。
つまり、この待ち伏せ隊はかなり前から飛ばしていた事になる。
そして、増援に駆け付けるわけでもなく。
ただひたすらに、待っていた。
本隊が攻撃されても、ただひたすらに。
つまり、初めから攻撃後の帰還を狙った待ち伏せだった訳だ。
翔鶴(こんな、小規模艦隊同士の戦闘で、本隊の多大な損害と引き換えに……!
艦載機だけを狙い撃ちですか……?!
出鱈目な……!)
36機もあった此方の残機は、僅か艦攻が14機。
視力が回復し、太陽を直視しないようにして周囲を確認する。
翔鶴(……ああもう!)
そもそも何故待ち伏せが、と苛立つ。
少ない兵力を更に分散させるなど、あり得ない。
あり得ない。あり得ない。
翔鶴(……あり得ないあり得ないあり得ないあり得ないあり得ない!)
そもそも、いつ飛ばした?
自分は襲撃の少し前から、絶えず監視していたはずだ。
直掩機以外の発艦はおろか、遠くの機影すら見ていない。
つまり、この待ち伏せ隊はかなり前から飛ばしていた事になる。
そして、増援に駆け付けるわけでもなく。
ただひたすらに、待っていた。
本隊が攻撃されても、ただひたすらに。
つまり、初めから攻撃後の帰還を狙った待ち伏せだった訳だ。
翔鶴(こんな、小規模艦隊同士の戦闘で、本隊の多大な損害と引き換えに……!
艦載機だけを狙い撃ちですか……?!
出鱈目な……!)
36機もあった此方の残機は、僅か艦攻が14機。
視力が回復し、太陽を直視しないようにして周囲を確認する。
527: 2015/05/25(月) 20:25:14.93 ID:GRn4Pv9R0
翔鶴(居た……!
上空……14?15?の編隊……
そろそろ太陽から抜けます。
影が見えれば、ダイブアンドズームでも何とか……)
ダイブアンドズーム。
高空からの不意打ち後、再上昇しての再度攻撃を狙う戦術。
これは一見、一方的な戦術に見えるが、実際はそうでもない。
とにかく再上昇のタイミングが難しいのだ。遅ければ位置取りはずれ、最悪後ろを取られる。
早すぎても、弾が当たらない。
翔鶴(仕掛けてきた……4度目のアタック!)
翔鶴はタイミングを計る。
残った艦攻は何れも速度が低下していて、編隊が上手く組めない。
恐らく、これも計算済みなのだろう。
翔鶴(10機……いや、8機残れば……まだ、私は、戦える……!)
鳳翔隊が降下し、距離を詰め、まさに機銃を放とうとした、その瞬間。
翔鶴(小手先の戦術で……思い通りになると思うなぁぁぁぁぁ!)
完璧なタイミングで翔鶴隊はブレイク。
鳳翔隊は完全に攻撃のタイミングを失った。
かのように、見えた。
翔鶴(……違う!ハナから攻撃する気何てなかった!
格闘戦に持ち込むつもりで……減速していたんですね……!)
鳳翔は。
翔鶴の完璧なブレイクに対し。
完璧な減速から、格闘戦に持ち込んだ。
翔鶴(このっ……教本みたいな、動きですね……!)
最早翔鶴に、打つ手は無い。
上空……14?15?の編隊……
そろそろ太陽から抜けます。
影が見えれば、ダイブアンドズームでも何とか……)
ダイブアンドズーム。
高空からの不意打ち後、再上昇しての再度攻撃を狙う戦術。
これは一見、一方的な戦術に見えるが、実際はそうでもない。
とにかく再上昇のタイミングが難しいのだ。遅ければ位置取りはずれ、最悪後ろを取られる。
早すぎても、弾が当たらない。
翔鶴(仕掛けてきた……4度目のアタック!)
翔鶴はタイミングを計る。
残った艦攻は何れも速度が低下していて、編隊が上手く組めない。
恐らく、これも計算済みなのだろう。
翔鶴(10機……いや、8機残れば……まだ、私は、戦える……!)
鳳翔隊が降下し、距離を詰め、まさに機銃を放とうとした、その瞬間。
翔鶴(小手先の戦術で……思い通りになると思うなぁぁぁぁぁ!)
完璧なタイミングで翔鶴隊はブレイク。
鳳翔隊は完全に攻撃のタイミングを失った。
かのように、見えた。
翔鶴(……違う!ハナから攻撃する気何てなかった!
格闘戦に持ち込むつもりで……減速していたんですね……!)
鳳翔は。
翔鶴の完璧なブレイクに対し。
完璧な減速から、格闘戦に持ち込んだ。
翔鶴(このっ……教本みたいな、動きですね……!)
最早翔鶴に、打つ手は無い。
529: 2015/05/25(月) 21:03:38.64 ID:GRn4Pv9R0
◇
鳳翔「鳳翔より通達。奇襲に成功。
撃墜36、被撃墜0。敵は全滅です」
提督『上々だな』
鳳翔「直進する編隊飛行から、敵艦隊の位置、割り出しました。
南方を直進していると仮定し、相対座標180-30付近に敵艦隊が居ると予想されます」
提督『了解した』
鳳翔「第二航空隊、補給の為、一旦帰投します」
提督『よし。艦攻を出すぞ。最早敵に攻撃手段は無い。艦戦は艦攻の直掩だ』
鳳翔「了解」
一瞬にして航空優勢が入れ替わった。
提督(脆いな、翔鶴。この程度では……
いや、まだ結論を出すには早い)
提督(さてさて……次も肝心だ。しっかり頼むぞ、鳳翔)
鳳翔「鳳翔より通達。奇襲に成功。
撃墜36、被撃墜0。敵は全滅です」
提督『上々だな』
鳳翔「直進する編隊飛行から、敵艦隊の位置、割り出しました。
南方を直進していると仮定し、相対座標180-30付近に敵艦隊が居ると予想されます」
提督『了解した』
鳳翔「第二航空隊、補給の為、一旦帰投します」
提督『よし。艦攻を出すぞ。最早敵に攻撃手段は無い。艦戦は艦攻の直掩だ』
鳳翔「了解」
一瞬にして航空優勢が入れ替わった。
提督(脆いな、翔鶴。この程度では……
いや、まだ結論を出すには早い)
提督(さてさて……次も肝心だ。しっかり頼むぞ、鳳翔)
531: 2015/05/25(月) 21:23:17.83 ID:GRn4Pv9R0
………
……
…
北上「……カメラが無いから何とも言えないけどさぁ。まぁ、大体何が起こったかわかったわ」
大井「油断かしら?」
北上「何にせよ、待ち伏せを見つけられなかったって事だろうねぇ。
陣形も一時期乱れてヤバかった。あわや衝突ってカンジ」
大井「そりゃ、普通にアンブッシュ!なんて叫んだらそうなるわよ」
北上「相当テンパってるねぇ」
隼鷹「なんかよくわからんが……こっちが勝ってるんだろ?」
北上「隼鷹っちは空母だからもっとわかろうよ……」
隼鷹「うへへ」
大井「しっかし、翔鶴。48機喪失、ね。
鳳翔さんのキルレシオ、4.5よ4.5。とんでもない数字よね」
北上「ああんもう、翔ぴーしっかりぃー」
隼鷹「イケイケ鳳翔さん!」
…
……
………
……
…
北上「……カメラが無いから何とも言えないけどさぁ。まぁ、大体何が起こったかわかったわ」
大井「油断かしら?」
北上「何にせよ、待ち伏せを見つけられなかったって事だろうねぇ。
陣形も一時期乱れてヤバかった。あわや衝突ってカンジ」
大井「そりゃ、普通にアンブッシュ!なんて叫んだらそうなるわよ」
北上「相当テンパってるねぇ」
隼鷹「なんかよくわからんが……こっちが勝ってるんだろ?」
北上「隼鷹っちは空母だからもっとわかろうよ……」
隼鷹「うへへ」
大井「しっかし、翔鶴。48機喪失、ね。
鳳翔さんのキルレシオ、4.5よ4.5。とんでもない数字よね」
北上「ああんもう、翔ぴーしっかりぃー」
隼鷹「イケイケ鳳翔さん!」
…
……
………
532: 2015/05/25(月) 21:24:09.17 ID:GRn4Pv9R0
◇
翔鶴「……か、艦載機通報……全機、そ、喪失……」
翔鶴が震える声で言う。
陽炎「嘘……」
金剛「……」
太郎『……翔鶴、コマンド。
落ち着け。状況は絶望的ではない。
残機を駆使し、防空に努めよ』
太郎は努めて冷静に返すが。
翔鶴「翔鶴……了解」
沈痛な面持ちで呟く翔鶴。
予想し得なかった事態に、艦隊の空気が一気に重くなる。
しかし。
太郎は、これしきの事で動揺する男では無い。
太郎『……なんだ?お前達』
艦隊に、太郎は告げる。
太郎『怖気付いたのか?』
挑発するように。
摩耶はそれに対し、拳を打ち鳴らして応じる。
摩耶「ハッ!……んな訳ねぇだろ!」
陽炎「士気は高いわよ……!」
金剛「当たり前ネ……!」
太郎『いい返事だ。
……聞け!摩耶、陽炎、金剛!
お節介な翔鶴が、お前たちに見せ場を作ってくれたそうだ!
存分に実力を発揮しろ!』
金剛「Aye, aye, sir!」
太郎『派手に、行こうぜ……!』
翔鶴「……か、艦載機通報……全機、そ、喪失……」
翔鶴が震える声で言う。
陽炎「嘘……」
金剛「……」
太郎『……翔鶴、コマンド。
落ち着け。状況は絶望的ではない。
残機を駆使し、防空に努めよ』
太郎は努めて冷静に返すが。
翔鶴「翔鶴……了解」
沈痛な面持ちで呟く翔鶴。
予想し得なかった事態に、艦隊の空気が一気に重くなる。
しかし。
太郎は、これしきの事で動揺する男では無い。
太郎『……なんだ?お前達』
艦隊に、太郎は告げる。
太郎『怖気付いたのか?』
挑発するように。
摩耶はそれに対し、拳を打ち鳴らして応じる。
摩耶「ハッ!……んな訳ねぇだろ!」
陽炎「士気は高いわよ……!」
金剛「当たり前ネ……!」
太郎『いい返事だ。
……聞け!摩耶、陽炎、金剛!
お節介な翔鶴が、お前たちに見せ場を作ってくれたそうだ!
存分に実力を発揮しろ!』
金剛「Aye, aye, sir!」
太郎『派手に、行こうぜ……!』
533: 2015/05/25(月) 21:24:38.02 ID:GRn4Pv9R0
摩耶「へっ、任せとけよ……!」
陽炎「合点承知!」
金剛「Very well!」
翔鶴「……ぁ……」
太郎『翔鶴、コマンド。戦闘空中哨戒を継続しているか?オーバー』
翔鶴「は、はい!」
太郎『失った物はたかが艦載機48機。
たかが48機だ。
攻撃を終えた艦載機にどれ程の価値がある?
……これしきの事で抜かるなよ。
私の空母は負けちゃ居ない。
そうだろ?』
翔鶴「……はい!」
太郎『艦隊、針路ステディー!
島群は直ぐそこだ!敵も直ぐそこだ!
決戦の時は近いぞ……!』
陽炎「ええ!」
太郎『祭りだ!艦隊決戦だ!
諸君、白昼の花火大会と洒落込もうじゃあないか……!』
陽炎「合点承知!」
金剛「Very well!」
翔鶴「……ぁ……」
太郎『翔鶴、コマンド。戦闘空中哨戒を継続しているか?オーバー』
翔鶴「は、はい!」
太郎『失った物はたかが艦載機48機。
たかが48機だ。
攻撃を終えた艦載機にどれ程の価値がある?
……これしきの事で抜かるなよ。
私の空母は負けちゃ居ない。
そうだろ?』
翔鶴「……はい!」
太郎『艦隊、針路ステディー!
島群は直ぐそこだ!敵も直ぐそこだ!
決戦の時は近いぞ……!』
陽炎「ええ!」
太郎『祭りだ!艦隊決戦だ!
諸君、白昼の花火大会と洒落込もうじゃあないか……!』
544: 2015/05/26(火) 23:37:54.65 ID:Jb7T/n0L0
◇
足柄「あー……こちら足柄、戦闘序列を離脱する。これより単独航行に移行」
提督『了解した』
そこそこ速度が出ていた為、突出気味だった足柄が戦闘序列からの離脱を宣言した。
これで、艦隊は完全に3つに分かれた事になる。
低速の雷、鳳翔。
中速の足柄。
高速の榛名。
榛名『本部、こちら榛名。島影を経由して順調に航行中。敵偵察機見えず』
提督『了解。航行を続けろ』
大きく先行する榛名は、敵の偵察機から見えぬよう細心の注意を払いつつ進んでいた。
足柄「あー……こちら足柄、戦闘序列を離脱する。これより単独航行に移行」
提督『了解した』
そこそこ速度が出ていた為、突出気味だった足柄が戦闘序列からの離脱を宣言した。
これで、艦隊は完全に3つに分かれた事になる。
低速の雷、鳳翔。
中速の足柄。
高速の榛名。
榛名『本部、こちら榛名。島影を経由して順調に航行中。敵偵察機見えず』
提督『了解。航行を続けろ』
大きく先行する榛名は、敵の偵察機から見えぬよう細心の注意を払いつつ進んでいた。
545: 2015/05/26(火) 23:39:21.40 ID:Jb7T/n0L0
榛名(凄いです、鳳翔さん……私も頑張って……提督に褒められたい……)
決意を胸に、榛名は一人進む。
鳳翔「こちら鳳翔。艦載機補給完了。艦戦20、艦攻14。いつでも行けます」
素早く着艦と補給を終えた鳳翔が告げる。
提督『了解。全34機について、敵予測到達点に向け、攻撃隊としてすぐに発艦。
速攻だ……!』
鳳翔「鳳翔了解」
提督『総員、グズグズするなよ。
拙速を尊べ。
Smooth, Swift, Deadlyだ』
雷「……?!」
足柄『Rog.』
鳳翔「了解」
榛名『らじゃー!』
決意を胸に、榛名は一人進む。
鳳翔「こちら鳳翔。艦載機補給完了。艦戦20、艦攻14。いつでも行けます」
素早く着艦と補給を終えた鳳翔が告げる。
提督『了解。全34機について、敵予測到達点に向け、攻撃隊としてすぐに発艦。
速攻だ……!』
鳳翔「鳳翔了解」
提督『総員、グズグズするなよ。
拙速を尊べ。
Smooth, Swift, Deadlyだ』
雷「……?!」
足柄『Rog.』
鳳翔「了解」
榛名『らじゃー!』
546: 2015/05/26(火) 23:40:58.14 ID:Jb7T/n0L0
足柄『本部、こちら足柄。水偵発艦許可を』
翔鶴の残機は既に割れている。
艦攻48機、艦戦12機、艦偵1機の計61機を撃墜している。
つまり、残りは艦戦12機、艦偵11機だ。
対して、鳳翔は艦攻14機を含む計34機。この状況で艦戦がこちらに出張ってくる事はまず考えられない。
提督『足柄、発艦を許可する』
来るとしたら、それは艦偵。
水偵を上げ、遠方・高空で艦偵を発見出来たならば。
体の小さい艦娘など、側に島影が有ればいくらでも身を隠す事が出来る。
足柄『水偵3機発艦』
そして。
提督『鳳翔!敵は今、確実に動揺している!
冷静に考える時間なぞ与えるな!
一度膝をついた者を、再び立ち上がらせるな!
潰せ、潰せ、潰せ!』
鳳翔「はい。
……あなたの、仰せのままに」
翔鶴の残機は既に割れている。
艦攻48機、艦戦12機、艦偵1機の計61機を撃墜している。
つまり、残りは艦戦12機、艦偵11機だ。
対して、鳳翔は艦攻14機を含む計34機。この状況で艦戦がこちらに出張ってくる事はまず考えられない。
提督『足柄、発艦を許可する』
来るとしたら、それは艦偵。
水偵を上げ、遠方・高空で艦偵を発見出来たならば。
体の小さい艦娘など、側に島影が有ればいくらでも身を隠す事が出来る。
足柄『水偵3機発艦』
そして。
提督『鳳翔!敵は今、確実に動揺している!
冷静に考える時間なぞ与えるな!
一度膝をついた者を、再び立ち上がらせるな!
潰せ、潰せ、潰せ!』
鳳翔「はい。
……あなたの、仰せのままに」
547: 2015/05/26(火) 23:42:17.10 ID:Jb7T/n0L0
………
……
…
北上「諸君!白昼の花火大会と洒落込もうじゃないかぁ!んんー?」
大井「ふふふふ。後で本人に聞かせてあげましょうよ、それ」
北上「うはは!でも、まぁ士気は持ち直したね。
前々から思ってたけど、翔鶴はメンタルがちと弱いなぁ」
大井「そうね。今回は太郎さんが盛り上げたけれど……」
北上「……ま、ゴッさんが居るし、大丈夫っしょ」
隼鷹「ウチの提督もなんかかっこいい事言えよ!了解しか言わねぇ!」
大井「いやいや……本来は無線で雑談なんてご法度も良いところよ?」
北上「うははは!……こっちの勝ちだな!」
隼鷹「くっ……」
大井「……」
北上「しっかし、榛名っち単騎かぁ。
うーん……一応格闘戦控えろ、とは言われてるんだよね、榛名っち」
隼鷹「おう。提督が言ってたぞ。
向こうから仕掛けてこない限り、格闘戦は厳禁って」
……
…
北上「諸君!白昼の花火大会と洒落込もうじゃないかぁ!んんー?」
大井「ふふふふ。後で本人に聞かせてあげましょうよ、それ」
北上「うはは!でも、まぁ士気は持ち直したね。
前々から思ってたけど、翔鶴はメンタルがちと弱いなぁ」
大井「そうね。今回は太郎さんが盛り上げたけれど……」
北上「……ま、ゴッさんが居るし、大丈夫っしょ」
隼鷹「ウチの提督もなんかかっこいい事言えよ!了解しか言わねぇ!」
大井「いやいや……本来は無線で雑談なんてご法度も良いところよ?」
北上「うははは!……こっちの勝ちだな!」
隼鷹「くっ……」
大井「……」
北上「しっかし、榛名っち単騎かぁ。
うーん……一応格闘戦控えろ、とは言われてるんだよね、榛名っち」
隼鷹「おう。提督が言ってたぞ。
向こうから仕掛けてこない限り、格闘戦は厳禁って」
548: 2015/05/26(火) 23:43:11.53 ID:Jb7T/n0L0
北上「仕掛けてこない限り、か」
隼鷹「……そりゃ格闘戦のレンジでは、角度的に砲が当たらんから仕方無くね?」
北上「……やべぇなぁ……マズいことしたかなぁ」
大井「……大丈夫よ北上さん。
氏にはしないわ。……多分。
摩耶は丈夫だし」
隼鷹「ええ……なんの話だよ……」
北上「いやぁ……アタシ、摩耶を煽っちゃったからさぁ。
なんか、アイツなら、自分から殴りかねんよなぁ、と……いちおー止められてるけど」
隼鷹「ええ……アタシゃどうなっても知らんよ……」
…
……
………
549: 2015/05/26(火) 23:44:58.03 ID:Jb7T/n0L0
◇
太郎は思案する。
太郎(ああは言った物の。計60機の損失は痛いな……
航空機数が逆転した。
さてどうすべきか……)
敵の次の一手は確実に航空機による攻めだ。
太郎(……敵を真似るか?)
艦戦を迎撃にあげない選択肢を考える。
太郎(ここで更に艦載機の損失を増やすのは良くない……
島群に空からの目無しで入るのは自殺行為だ)
しかし、そこで思い当たる。
太郎(……いや。ダメだ。陽炎と摩耶の練度では、対空砲だけでは対処が難しい……回避も。
誰かが被雷し、速力が低下した場合……それを置いて行くことは出来ない……特に制空能力の低下した今……孤立は即ち、轟沈だ)
つまり、被雷が有れば、艦隊全体の速度が低下する。
太郎(……やはり迎撃の艦載機は必要か……しかし、艦戦も一緒に来るだろう……ううむ。
向こうの方が数もあるだろうから……)
太郎は思案する。
太郎(ああは言った物の。計60機の損失は痛いな……
航空機数が逆転した。
さてどうすべきか……)
敵の次の一手は確実に航空機による攻めだ。
太郎(……敵を真似るか?)
艦戦を迎撃にあげない選択肢を考える。
太郎(ここで更に艦載機の損失を増やすのは良くない……
島群に空からの目無しで入るのは自殺行為だ)
しかし、そこで思い当たる。
太郎(……いや。ダメだ。陽炎と摩耶の練度では、対空砲だけでは対処が難しい……回避も。
誰かが被雷し、速力が低下した場合……それを置いて行くことは出来ない……特に制空能力の低下した今……孤立は即ち、轟沈だ)
つまり、被雷が有れば、艦隊全体の速度が低下する。
太郎(……やはり迎撃の艦載機は必要か……しかし、艦戦も一緒に来るだろう……ううむ。
向こうの方が数もあるだろうから……)
550: 2015/05/26(火) 23:45:57.83 ID:Jb7T/n0L0
太郎の立てた戦略に、航空劣勢となるシナリオは存在していなかった。
太郎(……それを見透かされた、かな。
しかし……艦隊を犠牲にして艦載機を落とすとはまた、破天荒な……)
どうしたものか、と考え、翔鶴に伝える
時間を提督が与える筈がなかった。
翔鶴「艦載機通報!タリホー!ベアリング3-1-5フォー1500!
敵の艦攻、下降中!」
太郎(早い……考える余裕を与えない、と……
しかし、1500の距離に接近されるまで発見出来なかったか、翔鶴。
やはり敗北が堪えている様だな)
とは言うものの、艦載機はかなり小さい。2000でギリギリ見えるかどうか、と言った程度だ。
足柄は3000の距離から視認したが、それは足柄がおかしいだけである。
太郎『……翔鶴、コマンド。敵に魚雷を撃たせるな』
太郎は、そう言う事しか出来なかった。
翔鶴「翔鶴、了解……!」
太郎(……それを見透かされた、かな。
しかし……艦隊を犠牲にして艦載機を落とすとはまた、破天荒な……)
どうしたものか、と考え、翔鶴に伝える
時間を提督が与える筈がなかった。
翔鶴「艦載機通報!タリホー!ベアリング3-1-5フォー1500!
敵の艦攻、下降中!」
太郎(早い……考える余裕を与えない、と……
しかし、1500の距離に接近されるまで発見出来なかったか、翔鶴。
やはり敗北が堪えている様だな)
とは言うものの、艦載機はかなり小さい。2000でギリギリ見えるかどうか、と言った程度だ。
足柄は3000の距離から視認したが、それは足柄がおかしいだけである。
太郎『……翔鶴、コマンド。敵に魚雷を撃たせるな』
太郎は、そう言う事しか出来なかった。
翔鶴「翔鶴、了解……!」
551: 2015/05/26(火) 23:47:37.41 ID:Jb7T/n0L0
が。
提督『鳳翔。恐らくワゴンホイールだ』
提督が別の戦術について言及した。
ワゴンホイール。
複数の戦闘機が同じ円上を旋回し、一機が後ろにつかれると、自動的に後方の味方が敵の後ろを取る事になる、という戦術であるが。
提督『二機編隊なら、敵の戦闘空中哨戒と見てまず間違いないだろう。
敵には12機しか無い。
2機編隊でサッチウィーブより、ワゴンホイールの方が現実的だ』
そう。
2機編隊でのサッチウィーブは、4機を一箇所に留める必要がある。
円周360度を三隊で見る事は非効率だし、穴も増える。
鳳翔「了解」
鳳翔はサッチウィーブの可能性を捨て、ワゴンホイールの対策へと切り替えた。
鳳翔は艦戦隊を4機ずつの5系統に分割。
うち1系統は、目前の艦戦を追って。
他3系統は敵を無視して直進。
最後の1系統は、高度を更に上げて、超高空からの視界を確保した。
提督『鳳翔。恐らくワゴンホイールだ』
提督が別の戦術について言及した。
ワゴンホイール。
複数の戦闘機が同じ円上を旋回し、一機が後ろにつかれると、自動的に後方の味方が敵の後ろを取る事になる、という戦術であるが。
提督『二機編隊なら、敵の戦闘空中哨戒と見てまず間違いないだろう。
敵には12機しか無い。
2機編隊でサッチウィーブより、ワゴンホイールの方が現実的だ』
そう。
2機編隊でのサッチウィーブは、4機を一箇所に留める必要がある。
円周360度を三隊で見る事は非効率だし、穴も増える。
鳳翔「了解」
鳳翔はサッチウィーブの可能性を捨て、ワゴンホイールの対策へと切り替えた。
鳳翔は艦戦隊を4機ずつの5系統に分割。
うち1系統は、目前の艦戦を追って。
他3系統は敵を無視して直進。
最後の1系統は、高度を更に上げて、超高空からの視界を確保した。
552: 2015/05/26(火) 23:48:14.05 ID:Jb7T/n0L0
その結果。
鳳翔(……後方で緩やかな旋回を続ける敵機が有りますね)
上空の系統を、直近のそれへの対処に充てる。
それとは別に、鳳翔は直進していた3系統をロールさせ、背面飛行に移行。
鳳翔(……居た)
自分の艦攻を狙った下降中の艦戦を、遥か先に見つける。
鳳翔(10……12機。
これで敵の位置は全て、把握出来ましたね。
どうやら艦戦の一部を囮にして、艦攻を優先的に抑えようとしている様子ですが……)
ふぅ、と短くため息。
今度は自分が高度も、速度も、数も勝っている。
気合いを入れて。
鳳翔(……補習の時間ですよ?)
鳳翔(……後方で緩やかな旋回を続ける敵機が有りますね)
上空の系統を、直近のそれへの対処に充てる。
それとは別に、鳳翔は直進していた3系統をロールさせ、背面飛行に移行。
鳳翔(……居た)
自分の艦攻を狙った下降中の艦戦を、遥か先に見つける。
鳳翔(10……12機。
これで敵の位置は全て、把握出来ましたね。
どうやら艦戦の一部を囮にして、艦攻を優先的に抑えようとしている様子ですが……)
ふぅ、と短くため息。
今度は自分が高度も、速度も、数も勝っている。
気合いを入れて。
鳳翔(……補習の時間ですよ?)
553: 2015/05/26(火) 23:49:01.88 ID:Jb7T/n0L0
◇
翔鶴「艦載機通報!
……艦戦、4機喪失……!ダメです、敵艦攻押さえきれません!
敵が防衛線を突破、方位2-7-0より侵入されました……!
備えて下さい!」
翔鶴はボロボロだった。
まず、障壁となる筈のワゴンホイールを垂直方向から崩され。
それを囮と割り切って、下の艦攻を攻撃したのがまずかった。
艦攻もまた、囮だったのだ。
敵艦攻2機の撃墜と引き換えに、翔鶴は艦戦の殆どを失ってしまっていた。
翔鶴(私の艦載機のせいで、味方は対空砲を撃てないままに接近されるわ、上空は取られるわ……どうして、こんな……私は……)
失敗をした者が、一番失敗し易いのいつか。
これも単純。
失敗の直後である。
ミスを取り返そうと、それだけに必氏になり、艦攻ばかりを気にして視野の狭まった翔鶴に、圧倒的不利を覆せる道理は無かった。
翔鶴「艦載機通報!
……艦戦、4機喪失……!ダメです、敵艦攻押さえきれません!
敵が防衛線を突破、方位2-7-0より侵入されました……!
備えて下さい!」
翔鶴はボロボロだった。
まず、障壁となる筈のワゴンホイールを垂直方向から崩され。
それを囮と割り切って、下の艦攻を攻撃したのがまずかった。
艦攻もまた、囮だったのだ。
敵艦攻2機の撃墜と引き換えに、翔鶴は艦戦の殆どを失ってしまっていた。
翔鶴(私の艦載機のせいで、味方は対空砲を撃てないままに接近されるわ、上空は取られるわ……どうして、こんな……私は……)
失敗をした者が、一番失敗し易いのいつか。
これも単純。
失敗の直後である。
ミスを取り返そうと、それだけに必氏になり、艦攻ばかりを気にして視野の狭まった翔鶴に、圧倒的不利を覆せる道理は無かった。
554: 2015/05/26(火) 23:50:11.80 ID:Jb7T/n0L0
翔鶴「ああ……」
最悪だ。
絶望が心を染めあげる。
正直、少し鳳翔を見下していた。
だって、自分は……自分は最前線の空母で……。
型落ち、教官風情に負ける訳が無いと。
それが、どうだ。
情けないーー
ドン!!!
翔鶴「ゴボッ……?!」
棒立ちで感傷に浸り、泣きそうになっていた翔鶴の全身に海水が打ち付けられた。
まるで至近距離に砲弾が着弾したかのような衝撃と水柱。
口に大量の海水が入り、咳き込む。
その正体は。
金剛の、海面への全力の踵落とし。
金剛は敢えて、それを翔鶴の近傍で行った。
金剛「Good morning ma'am.
Nap time's over.」
ずぶ濡れの翔鶴に、昼寝は終わりだ、と告げる。
最悪だ。
絶望が心を染めあげる。
正直、少し鳳翔を見下していた。
だって、自分は……自分は最前線の空母で……。
型落ち、教官風情に負ける訳が無いと。
それが、どうだ。
情けないーー
ドン!!!
翔鶴「ゴボッ……?!」
棒立ちで感傷に浸り、泣きそうになっていた翔鶴の全身に海水が打ち付けられた。
まるで至近距離に砲弾が着弾したかのような衝撃と水柱。
口に大量の海水が入り、咳き込む。
その正体は。
金剛の、海面への全力の踵落とし。
金剛は敢えて、それを翔鶴の近傍で行った。
金剛「Good morning ma'am.
Nap time's over.」
ずぶ濡れの翔鶴に、昼寝は終わりだ、と告げる。
555: 2015/05/26(火) 23:51:12.89 ID:Jb7T/n0L0
金剛「Do that later. You are not alone.」
反省は後でやれ、と。
お前は一人ではない、と。
翔鶴「……はい……っ」
お前は一人ではない。
叱責と同時に、励ましの言葉でもある。
今は、皆で凌がねば、ならない。
太郎『艦隊、対空砲火!短時間で火力を集中しろ!』
敵は既に程近い。
回避行動までの僅かな時間の間に、少しでも敵を削る。
金剛「回避ー!」
金剛がそう叫ぶ迄に、4機を撃墜。
敵の艦攻は僅か8機。
この数なら、恐らく1人に狙いを集中させる筈だ。
誰だ、誰を狙う?
緊迫の一瞬。
翔鶴「……私っ……?!」
翔鶴が、狙われた。
翔鶴(……どうしてっ、もう艦載機も無いのに……私を?!)
驚愕し、反応が遅れる。
慌てて回頭するが。
翔鶴(嫌……いやっ!)
当る。
その瞬間。
陽炎「翔鶴さんには……触れさせないんだからぁ!」
陽炎がすんでのところで、翔鶴を庇った。
着弾する。
反省は後でやれ、と。
お前は一人ではない、と。
翔鶴「……はい……っ」
お前は一人ではない。
叱責と同時に、励ましの言葉でもある。
今は、皆で凌がねば、ならない。
太郎『艦隊、対空砲火!短時間で火力を集中しろ!』
敵は既に程近い。
回避行動までの僅かな時間の間に、少しでも敵を削る。
金剛「回避ー!」
金剛がそう叫ぶ迄に、4機を撃墜。
敵の艦攻は僅か8機。
この数なら、恐らく1人に狙いを集中させる筈だ。
誰だ、誰を狙う?
緊迫の一瞬。
翔鶴「……私っ……?!」
翔鶴が、狙われた。
翔鶴(……どうしてっ、もう艦載機も無いのに……私を?!)
驚愕し、反応が遅れる。
慌てて回頭するが。
翔鶴(嫌……いやっ!)
当る。
その瞬間。
陽炎「翔鶴さんには……触れさせないんだからぁ!」
陽炎がすんでのところで、翔鶴を庇った。
着弾する。
556: 2015/05/26(火) 23:52:40.23 ID:Jb7T/n0L0
翔鶴「陽炎?!」
陽炎「えへへ……うわぁ……ベトベトだ……」
翔鶴「なんで……そんな馬鹿な事を……私はもう戦えないのよ……?」
陽炎「……わかんない。つい……」
翔鶴「……なんでっ!こんなーー」
太郎『翔鶴。今お前がすべき事は叱責では無いな』
陽炎の行動は、決して褒められた物では無い。
しかし、それで怒るのは違う。
翔鶴の、不甲斐ない自分への怒りが他人へと向けられようとしたのを、太郎が止めた。
翔鶴「は……い」
太郎『艦隊、ダメージリポート!』
金剛「No damage.」
摩耶「ノーダメージ」
陽炎「中破、速力低下、航行に問題なし」
翔鶴「ノー……ダメージ。艦戦全喪失。残機、彩雲11機……の、み」
太郎『把握した』
状況は太郎が想定した、限りなく最悪に近い。
そして。
摩耶「コマンド、摩耶。島群に差し掛かるぞ、オーバー」
艦隊は島群に到達していた。
陽炎「えへへ……うわぁ……ベトベトだ……」
翔鶴「なんで……そんな馬鹿な事を……私はもう戦えないのよ……?」
陽炎「……わかんない。つい……」
翔鶴「……なんでっ!こんなーー」
太郎『翔鶴。今お前がすべき事は叱責では無いな』
陽炎の行動は、決して褒められた物では無い。
しかし、それで怒るのは違う。
翔鶴の、不甲斐ない自分への怒りが他人へと向けられようとしたのを、太郎が止めた。
翔鶴「は……い」
太郎『艦隊、ダメージリポート!』
金剛「No damage.」
摩耶「ノーダメージ」
陽炎「中破、速力低下、航行に問題なし」
翔鶴「ノー……ダメージ。艦戦全喪失。残機、彩雲11機……の、み」
太郎『把握した』
状況は太郎が想定した、限りなく最悪に近い。
そして。
摩耶「コマンド、摩耶。島群に差し掛かるぞ、オーバー」
艦隊は島群に到達していた。
557: 2015/05/26(火) 23:53:10.91 ID:Jb7T/n0L0
太郎(不利な、択だ……引いても突っ込んでも、不利。
ならば……突っ込んで……
最速で抜ける他、無い)
太郎『艦隊、針路ステディー。戦闘序列、陽炎を基準に調整せよ』
金剛「Roger」
太郎(陽炎を一人、置き去りに……すべきか……?
いや、敵も速度が落ちているはず……
何より……空が完全に取られている今、一人置いていくことなど、出来ない……)
手で眉間を抑える。
太郎(完全に制空能力を喪失した……
マズイことに、なったな……
偵察も無しに、こんなに早く攻められるものか……?
……戦略が単純過ぎたか?)
太郎『水平に細心の注意を払えよ。
艦攻はたかが8機。落として避ければ、問題無い』
そう、無線では言うが。
そう、単純でない事は太郎が一番よくわかっていた。
ならば……突っ込んで……
最速で抜ける他、無い)
太郎『艦隊、針路ステディー。戦闘序列、陽炎を基準に調整せよ』
金剛「Roger」
太郎(陽炎を一人、置き去りに……すべきか……?
いや、敵も速度が落ちているはず……
何より……空が完全に取られている今、一人置いていくことなど、出来ない……)
手で眉間を抑える。
太郎(完全に制空能力を喪失した……
マズイことに、なったな……
偵察も無しに、こんなに早く攻められるものか……?
……戦略が単純過ぎたか?)
太郎『水平に細心の注意を払えよ。
艦攻はたかが8機。落として避ければ、問題無い』
そう、無線では言うが。
そう、単純でない事は太郎が一番よくわかっていた。
558: 2015/05/26(火) 23:53:54.18 ID:Jb7T/n0L0
◇
鳳翔「……撃墜12。被撃墜6。敵は完全に空戦能力を喪失しました」
提督『素晴らしい』
その声を聞きながら、鳳翔は飛行編隊を引き上げさせて行く。
鳳翔「敵艦隊、被雷した陽炎さんを中心とした隊形に移行して、島群へと侵入して行きます。針路2-7-0、速度低下」
提督『良いぞ。
正規空母相手によくやってくれた、鳳翔。素晴らしい戦果だ。
……流石、私の空母だな』
そんな、と照れる。
正直に、勝てて嬉しい。
褒められて、嬉しい。
期待に応える事が出来て、嬉しい。
鳳翔はニヤける口許を手で隠し、平静を装った。
鳳翔「……撃墜12。被撃墜6。敵は完全に空戦能力を喪失しました」
提督『素晴らしい』
その声を聞きながら、鳳翔は飛行編隊を引き上げさせて行く。
鳳翔「敵艦隊、被雷した陽炎さんを中心とした隊形に移行して、島群へと侵入して行きます。針路2-7-0、速度低下」
提督『良いぞ。
正規空母相手によくやってくれた、鳳翔。素晴らしい戦果だ。
……流石、私の空母だな』
そんな、と照れる。
正直に、勝てて嬉しい。
褒められて、嬉しい。
期待に応える事が出来て、嬉しい。
鳳翔はニヤける口許を手で隠し、平静を装った。
559: 2015/05/26(火) 23:55:48.80 ID:Jb7T/n0L0
提督『引き続き空は頼むぞ、鳳翔』
鳳翔「はい!私に、お任せ下さい」
丁度、榛名と足柄から通信が入る。
榛名『こちら榛名、島群に侵入しました』
足柄『こちら足柄、島群から5000の位置に到達。水偵からの視界もクリア』
満足そうに、提督は良し、と呟く。
提督『……さて、と。
空は鳳翔が取った。
食い荒らせ、餓狼共。
……狩りの時間だ』
鳳翔「はい!私に、お任せ下さい」
丁度、榛名と足柄から通信が入る。
榛名『こちら榛名、島群に侵入しました』
足柄『こちら足柄、島群から5000の位置に到達。水偵からの視界もクリア』
満足そうに、提督は良し、と呟く。
提督『……さて、と。
空は鳳翔が取った。
食い荒らせ、餓狼共。
……狩りの時間だ』
575: 2015/05/29(金) 22:08:14.35 ID:99biNk7PO
◇
金剛(さてと、どうすべきかしら……)
思案する。
金剛(こちらの手駒は無傷の私、摩耶、中破の陽炎……そして翔鶴……はもうダメね)
翔鶴はさっきから俯きっぱなしだ。
金剛(普段失敗しない子が立て続けに失敗すると、こうなるのよね……
ミスを誘発されたのだろうけど)
太郎『翔鶴、コマンド。偵察機上げろ、オーバー』
翔鶴「……」
太郎『翔鶴、コマンド。復唱を要求する、オーバー』
翔鶴「……あ、コマンド、翔鶴!偵察機了解」
そして、彩雲6機を空へと放つ。
金剛(これは……私と摩耶でなんとかするしか無い……
この演習は……負けられない)
金剛(さてと、どうすべきかしら……)
思案する。
金剛(こちらの手駒は無傷の私、摩耶、中破の陽炎……そして翔鶴……はもうダメね)
翔鶴はさっきから俯きっぱなしだ。
金剛(普段失敗しない子が立て続けに失敗すると、こうなるのよね……
ミスを誘発されたのだろうけど)
太郎『翔鶴、コマンド。偵察機上げろ、オーバー』
翔鶴「……」
太郎『翔鶴、コマンド。復唱を要求する、オーバー』
翔鶴「……あ、コマンド、翔鶴!偵察機了解」
そして、彩雲6機を空へと放つ。
金剛(これは……私と摩耶でなんとかするしか無い……
この演習は……負けられない)
576: 2015/05/29(金) 22:26:33.62 ID:99biNk7PO
◇
水偵から。
足柄はそれを見た。
足柄(?……光の帯が……
プロペラ?……偵察機?)
距離は……正面からではわからない。
三機あげた水偵のうち、別の二機からも同じ方向を伺う。
足柄(また光った……うーん?三角測距で……8000と見た)
記憶した三角関数から、おおよその距離を叩き出す。
距離8000。
サイズは掌大の、敵艦載機。
それは見える見えないでは無く、最早直感の領域に達しつつある。
僅かな、しかし特徴的な金属の反射光を、足柄は確かに捉えた。
水偵から。
足柄はそれを見た。
足柄(?……光の帯が……
プロペラ?……偵察機?)
距離は……正面からではわからない。
三機あげた水偵のうち、別の二機からも同じ方向を伺う。
足柄(また光った……うーん?三角測距で……8000と見た)
記憶した三角関数から、おおよその距離を叩き出す。
距離8000。
サイズは掌大の、敵艦載機。
それは見える見えないでは無く、最早直感の領域に達しつつある。
僅かな、しかし特徴的な金属の反射光を、足柄は確かに捉えた。
577: 2015/05/29(金) 22:42:02.61 ID:99biNk7PO
海図を開く。
足柄(……敵艦隊の位置的にもおかしくない。
うん、あれは偵察機でしょうね)
無線に向けて喋る。
足柄「……榛名、こちら足柄。そちらの正面、距離6000に不明機。
ブレイク、ブレイク、鳳翔、こちら足柄。方位1-5-0、距離12000に不明機を確認。進行方向不明。航空支援要請、送れ」
鳳翔『足柄、こちら鳳翔。要請を把握しました。少し待て』
そのまま鳳翔は提督に攻撃許可を取る。
鳳翔『……足柄、こちら鳳翔。要請は受理されました。艦戦、補給を途中で切り上げ、迎撃にあたります』
足柄「足柄了解」
これで、補給を終え次第、鳳翔の艦載機が偵察機の排除を行う筈だ。
ふぅ、と溜息。
足柄(……しっかし提督もエゲツない事させるわよね……
まぁ、榛名が適任なんだろうけど、さ)
提督の目論見は単純。
敵艦隊の真っ只中に榛名を放り込み、そこを鳳翔の艦攻と足柄が援護する。
足柄(……敵艦隊の位置的にもおかしくない。
うん、あれは偵察機でしょうね)
無線に向けて喋る。
足柄「……榛名、こちら足柄。そちらの正面、距離6000に不明機。
ブレイク、ブレイク、鳳翔、こちら足柄。方位1-5-0、距離12000に不明機を確認。進行方向不明。航空支援要請、送れ」
鳳翔『足柄、こちら鳳翔。要請を把握しました。少し待て』
そのまま鳳翔は提督に攻撃許可を取る。
鳳翔『……足柄、こちら鳳翔。要請は受理されました。艦戦、補給を途中で切り上げ、迎撃にあたります』
足柄「足柄了解」
これで、補給を終え次第、鳳翔の艦載機が偵察機の排除を行う筈だ。
ふぅ、と溜息。
足柄(……しっかし提督もエゲツない事させるわよね……
まぁ、榛名が適任なんだろうけど、さ)
提督の目論見は単純。
敵艦隊の真っ只中に榛名を放り込み、そこを鳳翔の艦攻と足柄が援護する。
578: 2015/05/29(金) 23:02:28.44 ID:99biNk7PO
密集形態を取る艦隊の中に、いきなり敵が単艦で出現したらどうなるか。
これは、敵味方双方ともが甚大な被害を被ることになる。
一見、敵の単艦が袋叩きに合って終わりそうだ。
しかし、輪形陣等の密集形態の中に入られた時点で、砲撃が極めて難しくなる。
砲撃が外れた場合、敵の背後の味方に当たる可能性がある故に、安易に撃てないのだ。
単艦側は如何に敵と同一射線上に立つか。
艦隊側は如何に敵と射線が被らないようにするか。
位置の取り合い、立ち回りの勝負になる。
榛名はこの立ち回りが上手かった。
否、経験から、体が立ち回りを覚えていた。
榛名は決して天才ではない。
只ひたすらに、強いられ。
研鑽を積み。
痛みと、怒りを糧に。
かつて、屍の山を築くに至った。
足柄(更に……味方の攻撃を避けるのも上手い、か……
これは良い事でも無いんだけど……)
最前線で戦っていた頃、榛名はその戦闘スタイルの性質上、戦果を独占する傾向があった。
それを疎ましく思う味方は、敵陣に榛名が居る居ないに関わらず、容赦の無い砲撃を加えて。
その為、背後からの味方の攻撃を避ける技術を、彼女は体得せざるを得なかった。
『魚雷』として『完成』する迄に。
榛名が歩んだ道程はあまりに痛ましく。
心が歪まない、筈もなかった。
これは、敵味方双方ともが甚大な被害を被ることになる。
一見、敵の単艦が袋叩きに合って終わりそうだ。
しかし、輪形陣等の密集形態の中に入られた時点で、砲撃が極めて難しくなる。
砲撃が外れた場合、敵の背後の味方に当たる可能性がある故に、安易に撃てないのだ。
単艦側は如何に敵と同一射線上に立つか。
艦隊側は如何に敵と射線が被らないようにするか。
位置の取り合い、立ち回りの勝負になる。
榛名はこの立ち回りが上手かった。
否、経験から、体が立ち回りを覚えていた。
榛名は決して天才ではない。
只ひたすらに、強いられ。
研鑽を積み。
痛みと、怒りを糧に。
かつて、屍の山を築くに至った。
足柄(更に……味方の攻撃を避けるのも上手い、か……
これは良い事でも無いんだけど……)
最前線で戦っていた頃、榛名はその戦闘スタイルの性質上、戦果を独占する傾向があった。
それを疎ましく思う味方は、敵陣に榛名が居る居ないに関わらず、容赦の無い砲撃を加えて。
その為、背後からの味方の攻撃を避ける技術を、彼女は体得せざるを得なかった。
『魚雷』として『完成』する迄に。
榛名が歩んだ道程はあまりに痛ましく。
心が歪まない、筈もなかった。
579: 2015/05/29(金) 23:59:11.15 ID:99biNk7PO
だから。
懸念がある。
足柄(……暴走しないわよね?)
普段は温厚な榛名だが、一度戦場に出ると、悪鬼羅刹と化す。
単艦で突っ込む以上、榛名が暴走し始めると、それを止める術はない。
最悪の場合、比喩抜きに皆頃しになる可能性すらあるのだ。
提督は榛名を信頼しているようだったが……
本土から帰り、榛名が少し変わったとは言え……些か無責任な気がしてならない。
足柄(万一の際は……あたしがなんとかしろって事かしら……)
提督が足柄の単独航行を認めたのは、そういう背景もあるのだろうか?
足柄(……あーあ……演習とは思えないくらい、しんどいじゃない……
おまけに地味だし……)
水偵から、岩陰に小ぢんまりと隠れる榛名を見つつ、はぁ、と短く溜息。
足柄(……ま、誰かさんが大変さをわかってくれたら、それで良いわね。
どうやって労って貰おうかしら……)
その誰かさんから、通信が入った。
提督『現在地の確認だ』
そう言って、艦隊の位置を確認していく。
榛名は島群内部、岩場の中を進んでおり。
足柄は島群の外、北北西から島群を臨み。
鳳翔と雷は、その足柄の背後に居た。
懸念がある。
足柄(……暴走しないわよね?)
普段は温厚な榛名だが、一度戦場に出ると、悪鬼羅刹と化す。
単艦で突っ込む以上、榛名が暴走し始めると、それを止める術はない。
最悪の場合、比喩抜きに皆頃しになる可能性すらあるのだ。
提督は榛名を信頼しているようだったが……
本土から帰り、榛名が少し変わったとは言え……些か無責任な気がしてならない。
足柄(万一の際は……あたしがなんとかしろって事かしら……)
提督が足柄の単独航行を認めたのは、そういう背景もあるのだろうか?
足柄(……あーあ……演習とは思えないくらい、しんどいじゃない……
おまけに地味だし……)
水偵から、岩陰に小ぢんまりと隠れる榛名を見つつ、はぁ、と短く溜息。
足柄(……ま、誰かさんが大変さをわかってくれたら、それで良いわね。
どうやって労って貰おうかしら……)
その誰かさんから、通信が入った。
提督『現在地の確認だ』
そう言って、艦隊の位置を確認していく。
榛名は島群内部、岩場の中を進んでおり。
足柄は島群の外、北北西から島群を臨み。
鳳翔と雷は、その足柄の背後に居た。
580: 2015/05/30(土) 00:12:25.57 ID:9/vbkoCzO
提督『概ね計画通りだな。
さて、榛名。お前にはこれから更に南下してもらう』
そう言って、提督は作戦を切り出した。
提督『敵は減速している。海域南端に到達後、回頭して敵の南東から接近、側面を叩け』
榛名『榛名、了解です!』
敵艦隊は海域の南端付近を真西へと航行している。
故に、北と西を最も警戒すると考え。
南東からの接近ならば、発見が遅れる可能性が高い。
提督『足柄。南東から榛名が敵を狩り出す。
敵は北西に逃れようとするだろう。
北北西に居るお前は、現在地で待ち伏せし、これを叩け』
足柄「足柄了解」
提督『鳳翔、雷はこのまま南下を続けろ。島群の真西に陣取り、艦載機の拠点となって貰う』
空母が敵に近い程、短い間隔で艦載機の補給を行え、攻撃できる回数が増える。
しかし、その分接近される危険性も高くなるのだが。
今回は榛名が南から攻め上がる為、提督は敢えて南下させる事で敵を遠ざけようとした。
鳳翔『鳳翔了解』
雷『雷了解よ』
提督『彩雲排除が接近開始の合図だ。各員、抜かるなよ。臨機応変にな』
さて、榛名。お前にはこれから更に南下してもらう』
そう言って、提督は作戦を切り出した。
提督『敵は減速している。海域南端に到達後、回頭して敵の南東から接近、側面を叩け』
榛名『榛名、了解です!』
敵艦隊は海域の南端付近を真西へと航行している。
故に、北と西を最も警戒すると考え。
南東からの接近ならば、発見が遅れる可能性が高い。
提督『足柄。南東から榛名が敵を狩り出す。
敵は北西に逃れようとするだろう。
北北西に居るお前は、現在地で待ち伏せし、これを叩け』
足柄「足柄了解」
提督『鳳翔、雷はこのまま南下を続けろ。島群の真西に陣取り、艦載機の拠点となって貰う』
空母が敵に近い程、短い間隔で艦載機の補給を行え、攻撃できる回数が増える。
しかし、その分接近される危険性も高くなるのだが。
今回は榛名が南から攻め上がる為、提督は敢えて南下させる事で敵を遠ざけようとした。
鳳翔『鳳翔了解』
雷『雷了解よ』
提督『彩雲排除が接近開始の合図だ。各員、抜かるなよ。臨機応変にな』
581: 2015/05/30(土) 00:26:26.70 ID:9/vbkoCzO
………
……
…
北上「いやいや、足柄さん目良すぎでしょ。笑えねーよ」
大井「彩雲上げたその瞬間に見つかったわね……
元々その方向に居るのがわかってるし、注視してたんでしょうけれど……それにしても……」
北上「うーん。太郎さんからしたら、敵が退いたタイミングでなんとか偵察をしたかっただろうに……
ヤバイなぁ!」
うがー!と、頭をワシャワシャ掻き毟る北上。
隼鷹「……しっかし、何で提督は榛名に南下させるんだ?
岩陰でじっとしてた方が航跡も無くて、不意打ちには良いんじゃ無いの?」
北上「停止、或いは減速しての待ち伏せは敵にバレづらいけど、確実に敵を葬れる確証がない限りは得策じゃないよぉ。
人間の足と違い、艦娘は急に加速できないからねぇ」
大井「艤装は停止状態から巡航速度になる迄、時間がかかるわ。
つまり、『停止状態の待ち伏せ』を突破された場合ーー」
北上「ーー通り過ぎて行く敵には追い付けないわ、敵からの良い標的になるわ、とエライ事になるワケよ」
大井「特に今回、待ち伏せを仕掛けるのは榛名さん1人。
固定砲台として4隻を相手にするには、火力が全く足りていないわね」
北上「待ち伏せとは、動的な奇襲に他ならないのだぁ!」
隼鷹「成る程なぁ……」
…
……
………
……
…
北上「いやいや、足柄さん目良すぎでしょ。笑えねーよ」
大井「彩雲上げたその瞬間に見つかったわね……
元々その方向に居るのがわかってるし、注視してたんでしょうけれど……それにしても……」
北上「うーん。太郎さんからしたら、敵が退いたタイミングでなんとか偵察をしたかっただろうに……
ヤバイなぁ!」
うがー!と、頭をワシャワシャ掻き毟る北上。
隼鷹「……しっかし、何で提督は榛名に南下させるんだ?
岩陰でじっとしてた方が航跡も無くて、不意打ちには良いんじゃ無いの?」
北上「停止、或いは減速しての待ち伏せは敵にバレづらいけど、確実に敵を葬れる確証がない限りは得策じゃないよぉ。
人間の足と違い、艦娘は急に加速できないからねぇ」
大井「艤装は停止状態から巡航速度になる迄、時間がかかるわ。
つまり、『停止状態の待ち伏せ』を突破された場合ーー」
北上「ーー通り過ぎて行く敵には追い付けないわ、敵からの良い標的になるわ、とエライ事になるワケよ」
大井「特に今回、待ち伏せを仕掛けるのは榛名さん1人。
固定砲台として4隻を相手にするには、火力が全く足りていないわね」
北上「待ち伏せとは、動的な奇襲に他ならないのだぁ!」
隼鷹「成る程なぁ……」
…
……
………
582: 2015/05/30(土) 01:09:03.61 ID:9/vbkoCzO
◇
翔鶴「……艦載機通報。
彩雲6機、全て敵艦載機に発見され、撤退。
敵艦隊の位置不明」
そう言って、ため息と共に翔鶴は彩雲を収容する。
太郎『目敏いな……艦戦は去っていったばかりだったが……
まともに補給せずに出て来たか』
こんなに早く敵と鉢合わせると言う事は。
彩雲が上がった事、及びその位置が敵に露見していたという事だ。
太郎(一体どこから……
見落とし?艦隊付近を別の艦載機が飛んでいる?
いや……思考を読まれた?)
太郎は眉間を押さえた。
翔鶴が信じられない程に追い込まれている。
素早い彩雲が、狭い演習海域で敵の影すら見れない状況は、異常だ。
太郎(……いや、そもそも航空機をほぼ全て喪失している状態が……
とにかく、今は艦娘の目視に頼るしかない)
翔鶴「……艦載機通報。
彩雲6機、全て敵艦載機に発見され、撤退。
敵艦隊の位置不明」
そう言って、ため息と共に翔鶴は彩雲を収容する。
太郎『目敏いな……艦戦は去っていったばかりだったが……
まともに補給せずに出て来たか』
こんなに早く敵と鉢合わせると言う事は。
彩雲が上がった事、及びその位置が敵に露見していたという事だ。
太郎(一体どこから……
見落とし?艦隊付近を別の艦載機が飛んでいる?
いや……思考を読まれた?)
太郎は眉間を押さえた。
翔鶴が信じられない程に追い込まれている。
素早い彩雲が、狭い演習海域で敵の影すら見れない状況は、異常だ。
太郎(……いや、そもそも航空機をほぼ全て喪失している状態が……
とにかく、今は艦娘の目視に頼るしかない)
583: 2015/05/30(土) 01:10:15.58 ID:9/vbkoCzO
海図を見る。
現在の艦隊の位置は、島群の中心部付近。
島群を半分抜けた計算になる。
太郎(……今の所待ち伏せは無し、か。敵も速度が落ちている艦に合わせていて、島群に到達してない……?
……いや、無いな……
どちらにせよ、そろそろ艦載機の二次攻撃隊が来てもおかしくない……)
本来ならば、艦戦もこれくらいのタイミングで来る筈だ。
それを読んでの彩雲だったのだが。
太郎(……空は一先ず置こう。
敵艦隊が速度を落としているとしたら……近くに居る筈だ)
でなければ、早すぎる対応の説明がつかない。
太郎(最後の観測と照らし合わせて、島群の北西に船団が居ると見て良いだろう。
北西に抜ける……そこに敵が居る筈だ……)
太郎『艦隊、針路3-1-5。敵が近い。気を抜くなよ!』
金剛「針路3-1-5, Roger」
輪形陣を維持したまま、方向転換。
翔鶴「……ごめんなさい、皆さん。
私が足を引っ張ってしまって……」
翔鶴が何度目かの謝罪をする。
現在の艦隊の位置は、島群の中心部付近。
島群を半分抜けた計算になる。
太郎(……今の所待ち伏せは無し、か。敵も速度が落ちている艦に合わせていて、島群に到達してない……?
……いや、無いな……
どちらにせよ、そろそろ艦載機の二次攻撃隊が来てもおかしくない……)
本来ならば、艦戦もこれくらいのタイミングで来る筈だ。
それを読んでの彩雲だったのだが。
太郎(……空は一先ず置こう。
敵艦隊が速度を落としているとしたら……近くに居る筈だ)
でなければ、早すぎる対応の説明がつかない。
太郎(最後の観測と照らし合わせて、島群の北西に船団が居ると見て良いだろう。
北西に抜ける……そこに敵が居る筈だ……)
太郎『艦隊、針路3-1-5。敵が近い。気を抜くなよ!』
金剛「針路3-1-5, Roger」
輪形陣を維持したまま、方向転換。
翔鶴「……ごめんなさい、皆さん。
私が足を引っ張ってしまって……」
翔鶴が何度目かの謝罪をする。
584: 2015/05/30(土) 01:11:30.30 ID:9/vbkoCzO
陽炎「クヨクヨしない!」
金剛「……翔鶴はもう仕事をしたヨ。後は任せナサイ!」
ぽんぽん、と肩を叩いて励ます。
金剛「艤装へのダメージ的にはこっちが有利ネ。
後は榛名さえなんとか出来れば、どうにでもなるヨ」
軽くウインク。
本当は言いたい事もある。
が、今それを言っても、状況の改善は見込めない。
ならば黙っていた方が良いと言うものだ。
陽炎「問題はその榛名さんが、どこに居るかなんだけど……」
摩耶「……今の所、見えねえよなぁ」
金剛「気を抜いてはNo!ヨー」
陽炎「きっと敵も固まってるんじゃないかしら?」
陽炎が楽観的な意見を述べる。
金剛「それはあり得ないネ」
陽炎「そう?」
金剛「敵は無思慮では無いヨ。
何故、艤装を犠牲にしてまで此方の航空戦力を削ったかを考えるネ」
摩耶「……この島群で、事を有利に運ぶため、か」
金剛「Exactly. 今から島群を抜けるまでの時間、そこが一番危ないヨ」
絶対に仕掛けて来る。
その確信が金剛にはあった。
陽炎「そうね……索敵、索敵……」
金剛「……翔鶴はもう仕事をしたヨ。後は任せナサイ!」
ぽんぽん、と肩を叩いて励ます。
金剛「艤装へのダメージ的にはこっちが有利ネ。
後は榛名さえなんとか出来れば、どうにでもなるヨ」
軽くウインク。
本当は言いたい事もある。
が、今それを言っても、状況の改善は見込めない。
ならば黙っていた方が良いと言うものだ。
陽炎「問題はその榛名さんが、どこに居るかなんだけど……」
摩耶「……今の所、見えねえよなぁ」
金剛「気を抜いてはNo!ヨー」
陽炎「きっと敵も固まってるんじゃないかしら?」
陽炎が楽観的な意見を述べる。
金剛「それはあり得ないネ」
陽炎「そう?」
金剛「敵は無思慮では無いヨ。
何故、艤装を犠牲にしてまで此方の航空戦力を削ったかを考えるネ」
摩耶「……この島群で、事を有利に運ぶため、か」
金剛「Exactly. 今から島群を抜けるまでの時間、そこが一番危ないヨ」
絶対に仕掛けて来る。
その確信が金剛にはあった。
陽炎「そうね……索敵、索敵……」
585: 2015/05/30(土) 01:13:21.10 ID:9/vbkoCzO
一般的に、強いストレス下での索敵中、意識は前のめりになる。
敵がどこに潜んでいるかわからない。
ならば。
自分達が何事も無く通って来た道より、未だ見ぬ前方に敵が潜む。
そう思えるのは必然だ。
翔鶴「……コマンド、翔鶴。強行偵察を提案、オーバー」
太郎『……翔鶴、コマンド。強行偵察をーー』
太郎と翔鶴が通信している時。
現にそれは、前から来た。
前方。
岩と岩の隙間を縫うように飛ぶ何か。
金剛「Flash, flash, flash!
Contact hostile warbirds, 10 o'clock!」
会話中の無線に割り込んで叫ぶ。
10時の方向に、敵艦載機を見たからだ。
岩場での、艦攻の低空飛行。
それは、空母にとって難易度が高いが。
同時に隠匿効果も高く。
故に、接近に気付くのが遅れる。
金剛の声に呼応して、全員が対空兵器を構えた。
太郎『接近を許すな!放て!』
号令と共に発砲。
張られる弾幕。
敵がどこに潜んでいるかわからない。
ならば。
自分達が何事も無く通って来た道より、未だ見ぬ前方に敵が潜む。
そう思えるのは必然だ。
翔鶴「……コマンド、翔鶴。強行偵察を提案、オーバー」
太郎『……翔鶴、コマンド。強行偵察をーー』
太郎と翔鶴が通信している時。
現にそれは、前から来た。
前方。
岩と岩の隙間を縫うように飛ぶ何か。
金剛「Flash, flash, flash!
Contact hostile warbirds, 10 o'clock!」
会話中の無線に割り込んで叫ぶ。
10時の方向に、敵艦載機を見たからだ。
岩場での、艦攻の低空飛行。
それは、空母にとって難易度が高いが。
同時に隠匿効果も高く。
故に、接近に気付くのが遅れる。
金剛の声に呼応して、全員が対空兵器を構えた。
太郎『接近を許すな!放て!』
号令と共に発砲。
張られる弾幕。
586: 2015/05/30(土) 01:18:52.05 ID:9/vbkoCzO
前方からの艦載機に、対処する。
対処は出来ている。
敵は弾幕の前に、攻めあぐねているようだ。
しかし。
ーーこれで、良いのか?
金剛の理性は。
艦攻の脅威を捉えるが。
金剛の本能は。
疑問を呈していた。
艦攻だけ?
艦攻だけの攻撃があり得るのか?
提督がそんな中途半端な事をさせるのか?
自分が見ている光景は、作られたものじゃないのか?
……榛名が居るんじゃ無いのか?
この状況で榛名が居るとしたら何処だ?
ーー後ろだ。
対空攻撃の最中、冷静に思考し。
バッと勢いよく、振り返る。
背後、輪形陣の後部に陣取る摩耶と目が合う。
いきなり、主砲に切り替えつつ振り返る金剛に、怪訝な顔を向ける摩耶。
その摩耶の、更に向こう側。
奴は居た。
否。
このタイミングで、居ない訳が無かった。
金剛「摩ぁ耶ーー!」
叫ぶ。
反射的にその場でしゃがむ摩耶。
太郎の攻撃許可を待っている暇はない。
榛名との距離が余りにも近い。
もし弾をばら撒かれたら、艦隊は瓦解する。
終わりだ。
しかし。
だからこそ。
金剛は冷静に。
回頭中にも関わらず、榛名に狙いをつける。
唸る35.6cm砲。
揚弾。装填。閉鎖。着火。
金剛「ーーFire.」
ーー滑らかに、素早く。
火力投射。
赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」【7】
対処は出来ている。
敵は弾幕の前に、攻めあぐねているようだ。
しかし。
ーーこれで、良いのか?
金剛の理性は。
艦攻の脅威を捉えるが。
金剛の本能は。
疑問を呈していた。
艦攻だけ?
艦攻だけの攻撃があり得るのか?
提督がそんな中途半端な事をさせるのか?
自分が見ている光景は、作られたものじゃないのか?
……榛名が居るんじゃ無いのか?
この状況で榛名が居るとしたら何処だ?
ーー後ろだ。
対空攻撃の最中、冷静に思考し。
バッと勢いよく、振り返る。
背後、輪形陣の後部に陣取る摩耶と目が合う。
いきなり、主砲に切り替えつつ振り返る金剛に、怪訝な顔を向ける摩耶。
その摩耶の、更に向こう側。
奴は居た。
否。
このタイミングで、居ない訳が無かった。
金剛「摩ぁ耶ーー!」
叫ぶ。
反射的にその場でしゃがむ摩耶。
太郎の攻撃許可を待っている暇はない。
榛名との距離が余りにも近い。
もし弾をばら撒かれたら、艦隊は瓦解する。
終わりだ。
しかし。
だからこそ。
金剛は冷静に。
回頭中にも関わらず、榛名に狙いをつける。
唸る35.6cm砲。
揚弾。装填。閉鎖。着火。
金剛「ーーFire.」
ーー滑らかに、素早く。
火力投射。
赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」【7】
587: 2015/05/30(土) 01:20:09.05 ID:9/vbkoCzO
ここまで
決戦への導入部という事で……
端折りつつの地味ーな説明回です
土日中に決着をつけたい所
決戦への導入部という事で……
端折りつつの地味ーな説明回です
土日中に決着をつけたい所



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