598: 2015/05/31(日) 23:24:19.96 ID:1MAWl3G60
前回:赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」【6】
この章の初め:赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」
最初から:提督「…さて、と」
◇
金剛がいきなり振り向いて。
砲撃された。
榛名「……っ!」
それは、輪形陣へ突入するつもりだった榛名の虚をつく形となり。
ドン!
上がる水柱。
直撃弾は無し。
金剛の砲撃は、急回頭に伴う慣性力により狙いが狂ったのだ。
しかし、至近弾は榛名の体制を崩す。
お陰で、榛名はスムーズに射撃姿勢への移行が出来なかった。
榛名(やりますねぇ……)
ストレスを与えつつ、目の前に脅威をぶら下げて。
更に、敢えて反撃を貰うことで意識を完全に釣り上げる。
鳳翔主導の、上手い陽動だった。
にも関わらず、まるで榛名の存在がわかっていたかのような、振り向きざまの攻撃。
599: 2015/05/31(日) 23:25:41.05 ID:1MAWl3G60
榛名(運が良い……というのは過小評価ですね。
読まれましたか)
舌打ち。
金剛が再装填し、狙いをつけようとしている。
目の前に、金剛の砲撃を避け、膝立ち状態の摩耶も居て。
その摩耶もまた、すぐにでも動き出せる状況の中、砲を構えようとしていた。
対空砲火に勤しむその他の二人も、榛名の存在は把握している。
榛名(不意打ち失敗……
何か対策を講じねばなりませんね)
これが実戦ならば榛名は艤装の砲塔等、機関部以外の部位を全てパージ、身軽になって格闘戦を挑むが……
榛名(訓練で艤装を海中投棄するのはご法度ですし。サルベージが大変ですから……)
四門の主砲が重い。
動きが鈍重にならざるを得ない。
榛名(……せめて格闘戦が許可されていれば……)
眉をひそめる。
訓練用の砲弾がある砲撃戦とは違い、格闘戦では訓練でも普通にダメージが入る。
実戦では格闘戦がある程度有効な為に、訓練としての格闘戦を禁じる規則は無い。
しかし、特に最前線の部隊は損害を嫌って、格闘戦を行わない事を不文律としている。
不文律と、している。
格闘戦を禁じる規則は無い。
格闘戦は、起こりうる。
榛名(……)
読まれましたか)
舌打ち。
金剛が再装填し、狙いをつけようとしている。
目の前に、金剛の砲撃を避け、膝立ち状態の摩耶も居て。
その摩耶もまた、すぐにでも動き出せる状況の中、砲を構えようとしていた。
対空砲火に勤しむその他の二人も、榛名の存在は把握している。
榛名(不意打ち失敗……
何か対策を講じねばなりませんね)
これが実戦ならば榛名は艤装の砲塔等、機関部以外の部位を全てパージ、身軽になって格闘戦を挑むが……
榛名(訓練で艤装を海中投棄するのはご法度ですし。サルベージが大変ですから……)
四門の主砲が重い。
動きが鈍重にならざるを得ない。
榛名(……せめて格闘戦が許可されていれば……)
眉をひそめる。
訓練用の砲弾がある砲撃戦とは違い、格闘戦では訓練でも普通にダメージが入る。
実戦では格闘戦がある程度有効な為に、訓練としての格闘戦を禁じる規則は無い。
しかし、特に最前線の部隊は損害を嫌って、格闘戦を行わない事を不文律としている。
不文律と、している。
格闘戦を禁じる規則は無い。
格闘戦は、起こりうる。
榛名(……)
600: 2015/05/31(日) 23:26:45.98 ID:1MAWl3G60
榛名は、英雄提督の忠実な僕だった。
理性がある以上。
たかが演習で暴走し、提督の信頼を失う訳にはいかない。
が。
榛名(……私の)
大切な男の名誉が失われる事を、榛名の心は許さなかった。
榛名(私の私の私の提督が……18戦隊?なんて……
聞いたこと無いような部隊にぃ……
負ける事は……この私が許しませんよ……)
しかし。
ここで自分が敵を撃破出来なければ負けるだろう。
思考する。
榛名(摩耶さん……
応接室で、好戦的な視線を私に向けていましたね……)
金剛との会話を思い出す。
榛名(最近珍しい近接武闘派、らしいですね……
でも、実戦経験は浅そう。
そして同僚との仲も良い……)
薄ら笑いを浮かべながら出した結論は。
榛名(……取り敢えず煽ってみるか)
理性がある以上。
たかが演習で暴走し、提督の信頼を失う訳にはいかない。
が。
榛名(……私の)
大切な男の名誉が失われる事を、榛名の心は許さなかった。
榛名(私の私の私の提督が……18戦隊?なんて……
聞いたこと無いような部隊にぃ……
負ける事は……この私が許しませんよ……)
しかし。
ここで自分が敵を撃破出来なければ負けるだろう。
思考する。
榛名(摩耶さん……
応接室で、好戦的な視線を私に向けていましたね……)
金剛との会話を思い出す。
榛名(最近珍しい近接武闘派、らしいですね……
でも、実戦経験は浅そう。
そして同僚との仲も良い……)
薄ら笑いを浮かべながら出した結論は。
榛名(……取り敢えず煽ってみるか)
601: 2015/05/31(日) 23:27:44.51 ID:1MAWl3G60
どうせ自分の体勢は崩れている。
砲撃は止めだ。
そう決めると、榛名は前のめりのまま、摩耶に向かって全速力を維持して突っ込む。
摩耶「……!」
摩耶も反応する。
この重巡もまた砲撃を断念し、位置取りに専念するようだ。
再装填を終え、左前方で砲を構える金剛の射線を考慮し、前に出る榛名の右から背後へ抜けようとする。
が。
その程度の動きが予想出来ない榛名ではない。
榛名は既に右寄りの針路を取っていた。
摩耶が顔を顰める。
結果。二人は交差地点で、艤装が接触する程に接近。
交錯の瞬間。
榛名は勢いよく右手を振り上げた。
摩耶は防御のため、慌てて顔の前で腕を交差させる。
しかし。
榛名は、果たして右手を挙げただけであった。
砲撃は止めだ。
そう決めると、榛名は前のめりのまま、摩耶に向かって全速力を維持して突っ込む。
摩耶「……!」
摩耶も反応する。
この重巡もまた砲撃を断念し、位置取りに専念するようだ。
再装填を終え、左前方で砲を構える金剛の射線を考慮し、前に出る榛名の右から背後へ抜けようとする。
が。
その程度の動きが予想出来ない榛名ではない。
榛名は既に右寄りの針路を取っていた。
摩耶が顔を顰める。
結果。二人は交差地点で、艤装が接触する程に接近。
交錯の瞬間。
榛名は勢いよく右手を振り上げた。
摩耶は防御のため、慌てて顔の前で腕を交差させる。
しかし。
榛名は、果たして右手を挙げただけであった。
602: 2015/05/31(日) 23:31:02.07 ID:1MAWl3G60
摩耶は腕を交差させたまま、榛名の右腕の下を、間抜けに通り過ぎる。
攻撃する代わり。
榛名は、すれ違い様に。
無様な摩耶を鼻で笑った。
部隊間、司令官同士の関係に気を遣った、最低限の煽り。
だが。
たったそれだけの事が。
摩耶の目を大きく見開かせた。
そんな摩耶の様子を目の端に捉えつつ、榛名は針路を変えた。
その先には陽炎。
被弾し、弱っている駆逐艦だ。
榛名は、金剛すら無視し。
摩耶に見せつけるように砲を構える。
フリをした。
攻撃する代わり。
榛名は、すれ違い様に。
無様な摩耶を鼻で笑った。
部隊間、司令官同士の関係に気を遣った、最低限の煽り。
だが。
たったそれだけの事が。
摩耶の目を大きく見開かせた。
そんな摩耶の様子を目の端に捉えつつ、榛名は針路を変えた。
その先には陽炎。
被弾し、弱っている駆逐艦だ。
榛名は、金剛すら無視し。
摩耶に見せつけるように砲を構える。
フリをした。
603: 2015/05/31(日) 23:32:42.43 ID:1MAWl3G60
◇
金剛(摩耶が射線から抜けた……貰ったわ、榛名!)
ニヤリと笑う金剛がいよいよ砲を放とうとする。
金剛(狙いは陽炎?この状況で私を無視するとは、いい度胸ね……!)
最早、砲が外れる距離ではない。
艤装の砲塔、その栓尾に火を入れようとした、その瞬間。
摩耶「撃たせねぇぇぇ!」
摩耶が、榛名に背後から殴りかかっていた。
金剛「What the……
Fuck 摩耶……!
Get the hell out of there!」
味方の乱入で、主砲を撃てなくなった金剛が叫ぶ。
金剛(摩耶が射線から抜けた……貰ったわ、榛名!)
ニヤリと笑う金剛がいよいよ砲を放とうとする。
金剛(狙いは陽炎?この状況で私を無視するとは、いい度胸ね……!)
最早、砲が外れる距離ではない。
艤装の砲塔、その栓尾に火を入れようとした、その瞬間。
摩耶「撃たせねぇぇぇ!」
摩耶が、榛名に背後から殴りかかっていた。
金剛「What the……
Fuck 摩耶……!
Get the hell out of there!」
味方の乱入で、主砲を撃てなくなった金剛が叫ぶ。
604: 2015/05/31(日) 23:33:17.92 ID:1MAWl3G60
摩耶「んな事してたら陽炎が撃たれるだろうが!」
負けじと摩耶も叫び返す。
金剛(何故?!さっきまで格闘戦に持ち込む気配は無かったのに……!
今、今、撃てていれば確実にもっていけた……!)
金剛は地団駄を踏みたい気分に駆られた。
が、摩耶は摩耶で頭に血が昇っていて。
摩耶(この野郎……!
アタシを、馬鹿にしやがって……
金剛も、陽炎をダシに使うような真似は気持ち良くねぇよ……!)
すっかり榛名の術中に嵌り、摩耶は拳を構える。
摩耶(つまりアタシがケリをつければ良いだろ!
魚雷か何だか知らんが、ぶっ倒してやらぁ!)
狙うは榛名の脊椎付近にある、判定装置。
これを破壊すれば、自動的に轟沈判定となる。
摩耶「シッ……!」
放つ、渾身の右ストレート。
負けじと摩耶も叫び返す。
金剛(何故?!さっきまで格闘戦に持ち込む気配は無かったのに……!
今、今、撃てていれば確実にもっていけた……!)
金剛は地団駄を踏みたい気分に駆られた。
が、摩耶は摩耶で頭に血が昇っていて。
摩耶(この野郎……!
アタシを、馬鹿にしやがって……
金剛も、陽炎をダシに使うような真似は気持ち良くねぇよ……!)
すっかり榛名の術中に嵌り、摩耶は拳を構える。
摩耶(つまりアタシがケリをつければ良いだろ!
魚雷か何だか知らんが、ぶっ倒してやらぁ!)
狙うは榛名の脊椎付近にある、判定装置。
これを破壊すれば、自動的に轟沈判定となる。
摩耶「シッ……!」
放つ、渾身の右ストレート。
605: 2015/05/31(日) 23:34:27.59 ID:1MAWl3G60
◇
雑魚が掛かったぞ。
榛名はほくそ笑む。
なんと仲間思いで。
なんと御し易い艦娘か。
榛名は、摩耶の右ストレートを艤装で受けた。
ガゥン!
軋む砲塔。
歪む艤装。
榛名「きゃ……!」
わざとらしく声を上げる。
無線がその声を拾うように。
鳳翔の艦攻からもその光景は見えていた。
鳳翔『こちら鳳翔。摩耶さんが榛名さんに格闘戦を……!』
少し焦ったような報告。
提督『何っ?』
提督が驚く。
鳳翔『榛名さんからは攻撃を行ってません……
こ、このままでは……!』
事実、摩耶に向き直った榛名は、摩耶の怒濤の攻撃を受けていた。
素手の攻撃は、面積が小さく。
ガードが難しい。
それ故に、拳が当たる。
雑魚が掛かったぞ。
榛名はほくそ笑む。
なんと仲間思いで。
なんと御し易い艦娘か。
榛名は、摩耶の右ストレートを艤装で受けた。
ガゥン!
軋む砲塔。
歪む艤装。
榛名「きゃ……!」
わざとらしく声を上げる。
無線がその声を拾うように。
鳳翔の艦攻からもその光景は見えていた。
鳳翔『こちら鳳翔。摩耶さんが榛名さんに格闘戦を……!』
少し焦ったような報告。
提督『何っ?』
提督が驚く。
鳳翔『榛名さんからは攻撃を行ってません……
こ、このままでは……!』
事実、摩耶に向き直った榛名は、摩耶の怒濤の攻撃を受けていた。
素手の攻撃は、面積が小さく。
ガードが難しい。
それ故に、拳が当たる。
606: 2015/05/31(日) 23:36:25.62 ID:1MAWl3G60
榛名「て、提督ぅ……あうっ」
保護欲を掻き立てるような、甘える声で呼び掛け。
榛名は、致命的な技だけを防ぎ、避け、提督の許可を待つ。
格闘戦の許可を。
摩耶「喋くりたぁ、悠長だな、ええ?!」
摩耶は攻勢を強めた。
榛名「くっ……!」
なんとか捌く。
鳳翔『提督……!』
榛名と摩耶は密着している為、攻撃機による援護も難しい。
提督は判断を迫られていた。
榛名を信用していない訳ではない。
訓練でも暴走する事は無く。
何より、本土で黒提督を殺さなかった。
過去に暴走した際も、榛名が艦娘を殺害した事はない。
故に、提督は榛名が艦娘を殺害する事は無いだろうと踏んでいた。
だが……
保護欲を掻き立てるような、甘える声で呼び掛け。
榛名は、致命的な技だけを防ぎ、避け、提督の許可を待つ。
格闘戦の許可を。
摩耶「喋くりたぁ、悠長だな、ええ?!」
摩耶は攻勢を強めた。
榛名「くっ……!」
なんとか捌く。
鳳翔『提督……!』
榛名と摩耶は密着している為、攻撃機による援護も難しい。
提督は判断を迫られていた。
榛名を信用していない訳ではない。
訓練でも暴走する事は無く。
何より、本土で黒提督を殺さなかった。
過去に暴走した際も、榛名が艦娘を殺害した事はない。
故に、提督は榛名が艦娘を殺害する事は無いだろうと踏んでいた。
だが……
607: 2015/05/31(日) 23:36:53.76 ID:1MAWl3G60
提督(……太郎くんのとこの新人と、榛名を闘わせて良いのか?)
殺害する事は無いだろうが、それでも。
榛名『痛いっ!……てい……とくっ!』
無線から聞こえる、悲痛な榛名の声。
榛名の猫被りを看過できない提督では無い、が。
心を動かされない訳では無い。
決断する。
提督『……くれぐれもやり過ぎるなよ、榛名』
提督は仕方ない、と溜息と共に告げて。
榛名「……ありがとう、ございます」
榛名の口元は歪に吊り上がる。
殺害する事は無いだろうが、それでも。
榛名『痛いっ!……てい……とくっ!』
無線から聞こえる、悲痛な榛名の声。
榛名の猫被りを看過できない提督では無い、が。
心を動かされない訳では無い。
決断する。
提督『……くれぐれもやり過ぎるなよ、榛名』
提督は仕方ない、と溜息と共に告げて。
榛名「……ありがとう、ございます」
榛名の口元は歪に吊り上がる。
608: 2015/05/31(日) 23:37:26.72 ID:1MAWl3G60
◇
摩耶(防戦一方かよ……!)
自分の有効打が無い事に苛立つ。
摩耶「口程にもねぇなぁ、オイ!」
榛名「……」
摩耶(埒があかねぇ……投げるか)
摩耶は更に距離を詰める。
右の中段正拳突き。
防がれるが、無論それを読んでの事だ。
摩耶(貰うぜ右手……!)
摩耶は、左手を伸ばす。
その手は、ガードの為に上がった、榛名の右手首を掴み。
引き寄せる。
摩耶(防戦一方かよ……!)
自分の有効打が無い事に苛立つ。
摩耶「口程にもねぇなぁ、オイ!」
榛名「……」
摩耶(埒があかねぇ……投げるか)
摩耶は更に距離を詰める。
右の中段正拳突き。
防がれるが、無論それを読んでの事だ。
摩耶(貰うぜ右手……!)
摩耶は、左手を伸ばす。
その手は、ガードの為に上がった、榛名の右手首を掴み。
引き寄せる。
609: 2015/05/31(日) 23:37:58.64 ID:1MAWl3G60
榛名「わ……」
前のめりになる榛名。
その襟元が空いた。
どう投げる?
腰で投げるには艤装が邪魔だ。
……大外刈りで後頭部から落としてやろう。
摩耶(決まりだ)
榛名は今、体勢を崩しているように見えた。
今のうちに釣り手をとるべし、と榛名の空いた襟に右手を伸ばす。
誘われている事に気付かずに。
前のめりになる榛名。
その襟元が空いた。
どう投げる?
腰で投げるには艤装が邪魔だ。
……大外刈りで後頭部から落としてやろう。
摩耶(決まりだ)
榛名は今、体勢を崩しているように見えた。
今のうちに釣り手をとるべし、と榛名の空いた襟に右手を伸ばす。
誘われている事に気付かずに。
610: 2015/05/31(日) 23:38:32.76 ID:1MAWl3G60
◇
榛名はバランスを取るのが得意だった。
敵からは、榛名がバランスを崩しているように見えても、それはフェイントである事が多い。
摩耶も、そのフェイントの餌食となった。
彼女の右手が伸びてくるのが榛名には見えている。
榛名(やりますか……)
自分の右手は掴まれて動かせないが、左手はフリーだ。
襟を狙いに来ている摩耶の右掌を、その左手で掴んだ。
榛名はバランスを取るのが得意だった。
敵からは、榛名がバランスを崩しているように見えても、それはフェイントである事が多い。
摩耶も、そのフェイントの餌食となった。
彼女の右手が伸びてくるのが榛名には見えている。
榛名(やりますか……)
自分の右手は掴まれて動かせないが、左手はフリーだ。
襟を狙いに来ている摩耶の右掌を、その左手で掴んだ。
611: 2015/05/31(日) 23:42:07.99 ID:1MAWl3G60
摩耶「……?!」
榛名がバランスを崩していると誤解していた摩耶は、予想できなかった動きに驚愕する。
榛名は顔を上げた。
摩耶と視線が合う。
榛名は歪んだ笑みを見せ。
戦艦の圧倒的な膂力から。
摩耶の右掌を握り潰した。
グチャッ。
ボキボキボキボキ。
と、嫌な音がする。
摩耶「あがっ……!」
激痛に、摩耶の顔が引き攣り。
堪らず榛名の腕を掴んでいた左手を離し、相手を突き飛ばした。
榛名も摩耶の右手を離し、五指と掌の骨をへし折られた手が露わになる。
唇を噛んで痛みに耐える摩耶へ。
両手がフリーになった榛名は追撃を仕掛ける。
榛名がバランスを崩していると誤解していた摩耶は、予想できなかった動きに驚愕する。
榛名は顔を上げた。
摩耶と視線が合う。
榛名は歪んだ笑みを見せ。
戦艦の圧倒的な膂力から。
摩耶の右掌を握り潰した。
グチャッ。
ボキボキボキボキ。
と、嫌な音がする。
摩耶「あがっ……!」
激痛に、摩耶の顔が引き攣り。
堪らず榛名の腕を掴んでいた左手を離し、相手を突き飛ばした。
榛名も摩耶の右手を離し、五指と掌の骨をへし折られた手が露わになる。
唇を噛んで痛みに耐える摩耶へ。
両手がフリーになった榛名は追撃を仕掛ける。
612: 2015/05/31(日) 23:43:10.22 ID:1MAWl3G60
摩耶「……畜生……!」
摩耶は榛名の接近に合わせ、榛名を引き離す意図で、左の正拳突きを放つ。
が。
榛名は下がらず。
逆に前へ出ながら左腕でそれを受け。
更に体幹を思い切り左に捻る事で、打撃をいなした。
榛名の流れるような動作により、摩耶は腹部がガラ空きになる。
摩耶(やっべ……)
摩耶の意識は危機を認識するが、左腕は榛名に流され、伸びきっている。
右手に至ってはうまく動かず。
ガードが出来ない。
そんな摩耶を尻目に。
榛名は、左に捩れた体を、今度は勢い良く右に捻った。
腰の回転が、腕に乗る。
そして。
榛名は。
猛烈な右裏拳を。
一切の容赦無く、摩耶の鳩尾に叩き込んだ。
摩耶は榛名の接近に合わせ、榛名を引き離す意図で、左の正拳突きを放つ。
が。
榛名は下がらず。
逆に前へ出ながら左腕でそれを受け。
更に体幹を思い切り左に捻る事で、打撃をいなした。
榛名の流れるような動作により、摩耶は腹部がガラ空きになる。
摩耶(やっべ……)
摩耶の意識は危機を認識するが、左腕は榛名に流され、伸びきっている。
右手に至ってはうまく動かず。
ガードが出来ない。
そんな摩耶を尻目に。
榛名は、左に捩れた体を、今度は勢い良く右に捻った。
腰の回転が、腕に乗る。
そして。
榛名は。
猛烈な右裏拳を。
一切の容赦無く、摩耶の鳩尾に叩き込んだ。
613: 2015/05/31(日) 23:44:00.61 ID:1MAWl3G60
摩耶の鍛えられていた筈の腹筋は、スポンジのように凹み。
摩耶「ごぼっ……」
横隔膜がダメージを受け、呼吸が止まり。
摩耶の体がくの字に折れ曲がり、顎が前に出る。
その、顎を。
撃ち抜く榛名の左アッパー。
摩耶「ガッ」
摩耶は視界が真っ白になる。
脳が激しく揺さぶられて脳震盪を起こし、意識が混濁する。
自分が何処に居るのか、立っているのか、寝ているのかすら。
わからなくなる。
最早勝負はついた。
が、ここで榛名は終わらない。
一瞬で周囲を確認する。
摩耶「ごぼっ……」
横隔膜がダメージを受け、呼吸が止まり。
摩耶の体がくの字に折れ曲がり、顎が前に出る。
その、顎を。
撃ち抜く榛名の左アッパー。
摩耶「ガッ」
摩耶は視界が真っ白になる。
脳が激しく揺さぶられて脳震盪を起こし、意識が混濁する。
自分が何処に居るのか、立っているのか、寝ているのかすら。
わからなくなる。
最早勝負はついた。
が、ここで榛名は終わらない。
一瞬で周囲を確認する。
614: 2015/05/31(日) 23:44:45.82 ID:1MAWl3G60
榛名(金剛さんは……私に狙いをつけたまま……
陽炎さんは此方をチラチラ見ながら対空砲火……
翔鶴さんは私を見る余裕は無さそうですね)
金剛は動けないでいた。
閉鎖機に弾を突っ込んだ状態で近接戦闘をすると暴発し兼ねない。
かといって、閉鎖機から弾を取り出すと、隙ができる。
が、榛名も動けない。
摩耶から離れた瞬間、金剛に撃たれる。
榛名(……誰も安易に動けない……ならーー)
ここで。
瀕氏の摩耶を、どう使うか。
榛名(ーーこいつを嬲るか)
決める。
理不尽な暴力が摩耶を襲う事が、決まる。
陽炎さんは此方をチラチラ見ながら対空砲火……
翔鶴さんは私を見る余裕は無さそうですね)
金剛は動けないでいた。
閉鎖機に弾を突っ込んだ状態で近接戦闘をすると暴発し兼ねない。
かといって、閉鎖機から弾を取り出すと、隙ができる。
が、榛名も動けない。
摩耶から離れた瞬間、金剛に撃たれる。
榛名(……誰も安易に動けない……ならーー)
ここで。
瀕氏の摩耶を、どう使うか。
榛名(ーーこいつを嬲るか)
決める。
理不尽な暴力が摩耶を襲う事が、決まる。
615: 2015/05/31(日) 23:45:31.73 ID:1MAWl3G60
榛名が繰り出すは下段回し蹴り。
最早抵抗出来ない摩耶の左膝が、曲がってはいけない方向に曲がる。
そのまま、ガクンと膝をつくように、前屈みになり。
差し出された頭を榛名は両手で掴み。
顔に強烈な膝蹴りをぶち込む。
鼻の軟骨が砕け、血が吹き出る。
顔面への膝蹴りによって摩耶の体が跳ね上がり、再び腹部が無防備に晒される。
そこへ、榛名は軽いワンツー。
苦痛から、摩耶の体が再びくの字に折れ曲がる。
差し出された後頭部をつかんで。
再び、顔面へと強烈な膝蹴り。
吹き出る血。
最早抵抗出来ない摩耶の左膝が、曲がってはいけない方向に曲がる。
そのまま、ガクンと膝をつくように、前屈みになり。
差し出された頭を榛名は両手で掴み。
顔に強烈な膝蹴りをぶち込む。
鼻の軟骨が砕け、血が吹き出る。
顔面への膝蹴りによって摩耶の体が跳ね上がり、再び腹部が無防備に晒される。
そこへ、榛名は軽いワンツー。
苦痛から、摩耶の体が再びくの字に折れ曲がる。
差し出された後頭部をつかんで。
再び、顔面へと強烈な膝蹴り。
吹き出る血。
616: 2015/05/31(日) 23:46:18.75 ID:1MAWl3G60
終わらない。
反動で立ち上がる摩耶。
そこへ、胃の付近を右中段前蹴り。
蹌踉めいた所へ、左膝に下段足刀蹴り。
膝をつきそうになれば、顔面へ肘鉄。
後ろへ倒れそうになる頭を掴み、三度目の膝蹴り。
止まらない。
右脇腹へ中段足刀蹴り。
傾いた右側頭部へ上段回し蹴り。
脳天に鉄槌。
崩れ落ちる摩耶の顎に蹴り上げ。
ガラ空きの鳩尾へ、全体重を乗せた諸手突き。
摩耶が血の塊を吐いた。
反動で立ち上がる摩耶。
そこへ、胃の付近を右中段前蹴り。
蹌踉めいた所へ、左膝に下段足刀蹴り。
膝をつきそうになれば、顔面へ肘鉄。
後ろへ倒れそうになる頭を掴み、三度目の膝蹴り。
止まらない。
右脇腹へ中段足刀蹴り。
傾いた右側頭部へ上段回し蹴り。
脳天に鉄槌。
崩れ落ちる摩耶の顎に蹴り上げ。
ガラ空きの鳩尾へ、全体重を乗せた諸手突き。
摩耶が血の塊を吐いた。
617: 2015/05/31(日) 23:48:30.32 ID:1MAWl3G60
陽炎「嫌あああああ!
やめて、やめてよおおおおお!
摩耶が、摩耶が氏んじゃううううう!」
陽炎が泣き叫ぶ。
だが、榛名は底冷えのする笑いを浮かべたまま。
摩耶へと暴力を振るう。
悪鬼羅刹がそこに居た。
額への上段正拳。
空いた喉仏へと貫手。
咳き込む摩耶の胸骨への飛び膝。
落ちてくる顔面へと裏打ち。
股間を蹴り上げ。
上がってきた顎に頭突き。
陽炎「あああああ!」
ついに陽炎が、いたぶられる摩耶を見ていられなくなり、憤怒のままに榛名へと突っ込んで行った。
やめて、やめてよおおおおお!
摩耶が、摩耶が氏んじゃううううう!」
陽炎が泣き叫ぶ。
だが、榛名は底冷えのする笑いを浮かべたまま。
摩耶へと暴力を振るう。
悪鬼羅刹がそこに居た。
額への上段正拳。
空いた喉仏へと貫手。
咳き込む摩耶の胸骨への飛び膝。
落ちてくる顔面へと裏打ち。
股間を蹴り上げ。
上がってきた顎に頭突き。
陽炎「あああああ!」
ついに陽炎が、いたぶられる摩耶を見ていられなくなり、憤怒のままに榛名へと突っ込んで行った。
618: 2015/05/31(日) 23:48:59.75 ID:1MAWl3G60
金剛「No!陽炎!」
金剛の制止も聞かずに、猪突猛進に。
榛名は。
それを待っていた。
榛名は、別に好きで摩耶を嬲っていた訳では無い。
18戦隊は艦娘同士、仲が良い。
だからこそ、摩耶を餌にして。
次の獲物を釣り上げようと。
待っていたのだ。
陽炎「摩耶を離せええええええ!」
そうとは知らずに。
全速で、榛名の背後からタックルを仕掛ける陽炎。
陽炎が榛名の間合いに入った瞬間、榛名は摩耶への攻撃を止め。
全力の下段・右後ろ回し蹴りを陽炎へと放った。
陽炎「ーーばっ」
榛名の踵は、陽炎の艤装右舷をスクラップにし。
陽炎本体ごと、吹き飛ばした。
壊れた人形のように、すっ飛んでいく陽炎は。
背中から強かに、海面へと叩きつけられた。
金剛の制止も聞かずに、猪突猛進に。
榛名は。
それを待っていた。
榛名は、別に好きで摩耶を嬲っていた訳では無い。
18戦隊は艦娘同士、仲が良い。
だからこそ、摩耶を餌にして。
次の獲物を釣り上げようと。
待っていたのだ。
陽炎「摩耶を離せええええええ!」
そうとは知らずに。
全速で、榛名の背後からタックルを仕掛ける陽炎。
陽炎が榛名の間合いに入った瞬間、榛名は摩耶への攻撃を止め。
全力の下段・右後ろ回し蹴りを陽炎へと放った。
陽炎「ーーばっ」
榛名の踵は、陽炎の艤装右舷をスクラップにし。
陽炎本体ごと、吹き飛ばした。
壊れた人形のように、すっ飛んでいく陽炎は。
背中から強かに、海面へと叩きつけられた。
639: 2015/06/01(月) 21:50:10.11 ID:gxK4/g3v0
陽炎「こひゅっ……」
肺と腰が圧迫され、息が出来ず。
立ち上がれない。
が、意識はあった。
榛名(……上手いこと仰向けに飛びましたね。良かった良かった)
うつ伏せの状態で立ち上がれなければ、呼吸が出来ずに氏んでしまう。
もしうつ伏せになったら、陽炎を抱き起こしに行かざるを得なかった。
榛名はそんな事を。
役目を終えた摩耶を裸締めで絞め落としながら、つらつらと考えていた。
榛名(金剛さんも翔鶴さんも、摩耶さんでは釣れなさそうですし。
摩耶さんのお仕事はここで終わりですね)
弱々しい抵抗が無くなり、摩耶が意識を失う。
そこで気付いた。
榛名(……あれ?これ意識無い艦娘って水面に置いといて大丈夫なんですかね?)
肺と腰が圧迫され、息が出来ず。
立ち上がれない。
が、意識はあった。
榛名(……上手いこと仰向けに飛びましたね。良かった良かった)
うつ伏せの状態で立ち上がれなければ、呼吸が出来ずに氏んでしまう。
もしうつ伏せになったら、陽炎を抱き起こしに行かざるを得なかった。
榛名はそんな事を。
役目を終えた摩耶を裸締めで絞め落としながら、つらつらと考えていた。
榛名(金剛さんも翔鶴さんも、摩耶さんでは釣れなさそうですし。
摩耶さんのお仕事はここで終わりですね)
弱々しい抵抗が無くなり、摩耶が意識を失う。
そこで気付いた。
榛名(……あれ?これ意識無い艦娘って水面に置いといて大丈夫なんですかね?)
640: 2015/06/01(月) 21:51:19.48 ID:gxK4/g3v0
意識の無い艦娘が海上で姿勢を保つ事は出来ない。
榛名(大丈夫じゃないですよね……
摩耶さん溺れちゃうと不味いから……持っててあげないと……)
しくじりましたね、と小さく呟く。
実戦なら首の骨をへし折ってポイッと捨てる所だが、そういう訳にも行かない。
榛名(どーしましょ……)
困った。
金剛はまだ此方を狙っている。
翔鶴は鳳翔の艦攻を一手に引き受け、脚部艤装がほぼ働かなくなっていた。
その代わり、鳳翔の攻撃隊は魚雷を撃ちつくし、一旦補給に戻っている。
その為、今は翔鶴も弓で榛名を狙っていた。
榛名(うーん……動けない……
でも優勢ですし……
と、取り敢えず……降伏勧告でもしてみますか?)
グッと摩耶を抱き上げ、言ってみる。
榛名「こ、降伏しなさいー。
む、無駄な抵抗はやめるのです!」
返事の代わりに砲撃が飛んで来た。
榛名(大丈夫じゃないですよね……
摩耶さん溺れちゃうと不味いから……持っててあげないと……)
しくじりましたね、と小さく呟く。
実戦なら首の骨をへし折ってポイッと捨てる所だが、そういう訳にも行かない。
榛名(どーしましょ……)
困った。
金剛はまだ此方を狙っている。
翔鶴は鳳翔の艦攻を一手に引き受け、脚部艤装がほぼ働かなくなっていた。
その代わり、鳳翔の攻撃隊は魚雷を撃ちつくし、一旦補給に戻っている。
その為、今は翔鶴も弓で榛名を狙っていた。
榛名(うーん……動けない……
でも優勢ですし……
と、取り敢えず……降伏勧告でもしてみますか?)
グッと摩耶を抱き上げ、言ってみる。
榛名「こ、降伏しなさいー。
む、無駄な抵抗はやめるのです!」
返事の代わりに砲撃が飛んで来た。
641: 2015/06/01(月) 21:52:34.47 ID:gxK4/g3v0
………
……
…
北上「……」
大井「……」
隼鷹「……(やべぇ……お通夜ムードだコレ……)」
北上「……やべぇ……」
大井「……」
隼鷹「……うちの榛名がすいません……」
北上「……いやいや……摩耶から殴りかかってたし……」
大井「……そうね。
……と言うか、生きてるわよね?
摩耶の艤装のカメラ、レンズが血塗れで、何も見えないのだけど」
隼鷹「榛名は……頃しはしないぜ」
北上「……」
隼鷹「……たぶん」
北上「自信ないんかーい!」
大井「お、落ち着いて北上さん!ツッコミは貴女の仕事じゃないわ!」
北上「ハッ!アタシは一体何を……?」
隼鷹(別に大丈夫そうだなこの人達……)
…
……
………
……
…
北上「……」
大井「……」
隼鷹「……(やべぇ……お通夜ムードだコレ……)」
北上「……やべぇ……」
大井「……」
隼鷹「……うちの榛名がすいません……」
北上「……いやいや……摩耶から殴りかかってたし……」
大井「……そうね。
……と言うか、生きてるわよね?
摩耶の艤装のカメラ、レンズが血塗れで、何も見えないのだけど」
隼鷹「榛名は……頃しはしないぜ」
北上「……」
隼鷹「……たぶん」
北上「自信ないんかーい!」
大井「お、落ち着いて北上さん!ツッコミは貴女の仕事じゃないわ!」
北上「ハッ!アタシは一体何を……?」
隼鷹(別に大丈夫そうだなこの人達……)
…
……
………
642: 2015/06/01(月) 21:53:23.30 ID:gxK4/g3v0
◇
摩耶と陽炎が二人、斃れ。
艦攻を一手に引き受けた翔鶴は中破。
速力が大幅に低下してしまって。
ただひとり無事な金剛は。
金剛(……総員、自覚が足りてない……)
ゲンナリしていた。
金剛(油断に命令違反に……
この私に、ケツを拭かせないで欲しいんだけど……)
第18戦隊が辺境の島の防衛隊に負ける。
あってはならない。
と、無線が入る。
激しい音が止み、戦闘が小休止に入ったと判断した太郎だった。
摩耶と陽炎が二人、斃れ。
艦攻を一手に引き受けた翔鶴は中破。
速力が大幅に低下してしまって。
ただひとり無事な金剛は。
金剛(……総員、自覚が足りてない……)
ゲンナリしていた。
金剛(油断に命令違反に……
この私に、ケツを拭かせないで欲しいんだけど……)
第18戦隊が辺境の島の防衛隊に負ける。
あってはならない。
と、無線が入る。
激しい音が止み、戦闘が小休止に入ったと判断した太郎だった。
643: 2015/06/01(月) 21:54:21.78 ID:gxK4/g3v0
太郎『……金剛、コマンド。状況はどうなっている、オーバー』
全てを察した上で、太郎は聞いていた。
近接戦闘や航空戦闘中に無線通信を入れると、往々にして失敗が起こる。
攻撃隊を落とされた際の翔鶴が良い例だ。
艦娘達が必ず交戦前に許可を取る理由はそれである。
交戦中、艦隊と司令官は、お互いに一方的な情報提供を行う事のみに留めるのが普通だ。
だからこそ、現場レベルでの状況把握・即応が出来る旗艦の存在が重要なのだが。
金剛「コマンド、金剛。As you know sir.
We got 摩耶 and 陽炎 down.」
金剛は榛名から目を離さぬまま告げる。
太郎『……金剛、コマンド。了解した。二人の息は有るな?オーバー』
金剛「コマンド、金剛。Affirmative.」
是の意。
全てを察した上で、太郎は聞いていた。
近接戦闘や航空戦闘中に無線通信を入れると、往々にして失敗が起こる。
攻撃隊を落とされた際の翔鶴が良い例だ。
艦娘達が必ず交戦前に許可を取る理由はそれである。
交戦中、艦隊と司令官は、お互いに一方的な情報提供を行う事のみに留めるのが普通だ。
だからこそ、現場レベルでの状況把握・即応が出来る旗艦の存在が重要なのだが。
金剛「コマンド、金剛。As you know sir.
We got 摩耶 and 陽炎 down.」
金剛は榛名から目を離さぬまま告げる。
太郎『……金剛、コマンド。了解した。二人の息は有るな?オーバー』
金剛「コマンド、金剛。Affirmative.」
是の意。
644: 2015/06/01(月) 21:56:32.64 ID:gxK4/g3v0
太郎『……金剛、コマンド。了解。……ならばまぁ、いい経験になったろう』
その言葉を聞いて、金剛はカッと頭に血が昇るのを感じた。
金剛(太郎さん的には、純粋に経験を積ませる目的なんだろうけど……
結果を見た上層部は、他の司令官は、提督は。
そうは思ってくれない……)
苛立つ。
金剛(……相手が提督だから、榛名が居るから、演習だから……勝てない?負けてもいい?
そんな物は、言い訳でしか無い。
如何なる敗北にも、価値は無い……!)
ギリッと歯を噛みしめる。
金剛(……今、あなたと相対している男は、どんな戦いにおいても妥協しなかったわよ、太郎さん……)
そんな折に、狙いをつけていた榛名が口を開いた。
榛名「こ、降伏しなさいー。
む、無駄な抵抗はやめるのです!」
その言葉を聞いて、金剛はカッと頭に血が昇るのを感じた。
金剛(太郎さん的には、純粋に経験を積ませる目的なんだろうけど……
結果を見た上層部は、他の司令官は、提督は。
そうは思ってくれない……)
苛立つ。
金剛(……相手が提督だから、榛名が居るから、演習だから……勝てない?負けてもいい?
そんな物は、言い訳でしか無い。
如何なる敗北にも、価値は無い……!)
ギリッと歯を噛みしめる。
金剛(……今、あなたと相対している男は、どんな戦いにおいても妥協しなかったわよ、太郎さん……)
そんな折に、狙いをつけていた榛名が口を開いた。
榛名「こ、降伏しなさいー。
む、無駄な抵抗はやめるのです!」
645: 2015/06/01(月) 21:58:11.76 ID:gxK4/g3v0
それを聞いて。
プッツーンと。
金剛のこめかみに血管が浮かび上がり。
金剛「Engaging.」
金剛は摩耶ごと榛名を砲撃した。
榛名「ぎゃあ?!」
砲弾は摩耶に命中し、少なくない量の蛍光液が榛名にも付着する。
翔鶴「ちょ、ちょっと金剛?!」
翔鶴が抗議の声を上げた。
が。
金剛「Shut the fuck up 翔鶴.
摩耶 is dead and gone.」
冷たく。
黙れ、摩耶は轟沈した。
と告げた。
翔鶴が息を飲む。
金剛は翔鶴を無視して、榛名が体勢を崩している間に次弾装填。
プッツーンと。
金剛のこめかみに血管が浮かび上がり。
金剛「Engaging.」
金剛は摩耶ごと榛名を砲撃した。
榛名「ぎゃあ?!」
砲弾は摩耶に命中し、少なくない量の蛍光液が榛名にも付着する。
翔鶴「ちょ、ちょっと金剛?!」
翔鶴が抗議の声を上げた。
が。
金剛「Shut the fuck up 翔鶴.
摩耶 is dead and gone.」
冷たく。
黙れ、摩耶は轟沈した。
と告げた。
翔鶴が息を飲む。
金剛は翔鶴を無視して、榛名が体勢を崩している間に次弾装填。
646: 2015/06/01(月) 21:59:50.13 ID:gxK4/g3v0
呟く。
金剛「Surrender……?榛名、You're telling me to surrender……?」
降伏せよ?私に降伏せよと、言うのか?
無駄だから?
舐めるなよ。
カラカラと、金剛の喉から乾いた笑いが出て。
怒鳴る。
金剛「SILLY SILLY SILLY!
That was a good joke, 榛名!」
面白い冗談だと。
金剛「Am I going to surrender?
NO NO NO NO……!」
降参はあり得ないと。
二射目の装填が完了した。
発射する。
金剛「Surrender……?榛名、You're telling me to surrender……?」
降伏せよ?私に降伏せよと、言うのか?
無駄だから?
舐めるなよ。
カラカラと、金剛の喉から乾いた笑いが出て。
怒鳴る。
金剛「SILLY SILLY SILLY!
That was a good joke, 榛名!」
面白い冗談だと。
金剛「Am I going to surrender?
NO NO NO NO……!」
降参はあり得ないと。
二射目の装填が完了した。
発射する。
648: 2015/06/01(月) 22:06:51.27 ID:gxK4/g3v0
榛名「くっ……」
再び摩耶に着弾。
摩耶は既に蛍光液まみれだ。
榛名もかなり液を被り、判定は中破まで進行している。
榛名(もうちょい躊躇すると思ったんですけどね……!
せめて鳳翔さんの増援を待つ筈が……
あれ?もしかして私、人を怒らせる才能あります?)
馬鹿なことを考えている場合では無い。
このままではジリ貧だ。
金剛は再装填している。
その隙に、榛名は摩耶を盾にして金剛と翔鶴の射線を躱しつつ、前進を試みた。
榛名(距離を詰めたいけれど……
摩耶さん重っ……)
思うように速度が出ない。
モタついている間に、金剛の装填が終わり。
砲撃が来た。
これも摩耶で防ぐが、前に進んでいる分、被弾が増える。
榛名(チッ……大破判定……)
だが、金剛には十分近付けた。
榛名は金剛の顔に向けて摩耶を頭から投げつける。
これは衝突させるのが目的ではない。
氏角と、隙を作る為だ。
再び摩耶に着弾。
摩耶は既に蛍光液まみれだ。
榛名もかなり液を被り、判定は中破まで進行している。
榛名(もうちょい躊躇すると思ったんですけどね……!
せめて鳳翔さんの増援を待つ筈が……
あれ?もしかして私、人を怒らせる才能あります?)
馬鹿なことを考えている場合では無い。
このままではジリ貧だ。
金剛は再装填している。
その隙に、榛名は摩耶を盾にして金剛と翔鶴の射線を躱しつつ、前進を試みた。
榛名(距離を詰めたいけれど……
摩耶さん重っ……)
思うように速度が出ない。
モタついている間に、金剛の装填が終わり。
砲撃が来た。
これも摩耶で防ぐが、前に進んでいる分、被弾が増える。
榛名(チッ……大破判定……)
だが、金剛には十分近付けた。
榛名は金剛の顔に向けて摩耶を頭から投げつける。
これは衝突させるのが目的ではない。
氏角と、隙を作る為だ。
649: 2015/06/01(月) 22:11:18.08 ID:gxK4/g3v0
金剛「……!」
金剛は飛んでくる摩耶を見て、迷う。
目の前の摩耶を叩き落とすべきか、受け止めるべきか。
勢い良く叩き落とせば、その下の榛名も潰す事が出来るだろう。
逡巡する。
摩耶は意識が無いようだ。
それでも、演習弾は当たってもダメージが無い。
しかし、打撃はそうも行かない。
さらに、これを避けても摩耶は海面で頭を強打するだろう。
金剛「………………Fuck」
悔しそうに小さく呟き。
金剛は、大事な仲間を抱き止めるためにガードを捨て、腕を伸ばした。
それを見て、ほくそ笑む悪魔。
榛名(なんだかんだ言って……
受け止めようとするんですね。
摩耶さんが叩き落とされていたら、私の負けでした)
その優しさは、隙になる。
榛名は超低姿勢から、強烈な加速。
一瞬で金剛の懐へ潜り込んだ。
榛名(御免なさいね、金剛さん。
私、あなたの事、好きですよ。
でも、提督の方が……もっともっともっともっともっともっと大切なんです)
金剛は飛んでくる摩耶を見て、迷う。
目の前の摩耶を叩き落とすべきか、受け止めるべきか。
勢い良く叩き落とせば、その下の榛名も潰す事が出来るだろう。
逡巡する。
摩耶は意識が無いようだ。
それでも、演習弾は当たってもダメージが無い。
しかし、打撃はそうも行かない。
さらに、これを避けても摩耶は海面で頭を強打するだろう。
金剛「………………Fuck」
悔しそうに小さく呟き。
金剛は、大事な仲間を抱き止めるためにガードを捨て、腕を伸ばした。
それを見て、ほくそ笑む悪魔。
榛名(なんだかんだ言って……
受け止めようとするんですね。
摩耶さんが叩き落とされていたら、私の負けでした)
その優しさは、隙になる。
榛名は超低姿勢から、強烈な加速。
一瞬で金剛の懐へ潜り込んだ。
榛名(御免なさいね、金剛さん。
私、あなたの事、好きですよ。
でも、提督の方が……もっともっともっともっともっともっと大切なんです)
650: 2015/06/01(月) 22:12:59.74 ID:gxK4/g3v0
金剛が、摩耶を受け止めた瞬間。
榛名は金剛の腹へ、下から突き上げるような肘鉄を放つ。
速度の乗ったそれにより、金剛は苦悶の表情を浮かべ。
体がくの字に曲がり、摩耶を取り落としてしまう。
榛名は、意識の無い摩耶が水面に落ちないよう、左手で首根っこをキャッチしつつ。
金剛の首に右腕をかけた。
榛名「……勝利をーー」
一の腕と二の腕で、ガッチリ金剛の首を前からロック。
すっぽ抜けないように、メキッ、と金剛の首骨が軋む程の圧力をかける。
そのまま、後ろ蹴りで金剛の軸足を払いながら、一気に体を沈ませ。
榛名「ーー提督に」
投げた。
榛名は金剛の腹へ、下から突き上げるような肘鉄を放つ。
速度の乗ったそれにより、金剛は苦悶の表情を浮かべ。
体がくの字に曲がり、摩耶を取り落としてしまう。
榛名は、意識の無い摩耶が水面に落ちないよう、左手で首根っこをキャッチしつつ。
金剛の首に右腕をかけた。
榛名「……勝利をーー」
一の腕と二の腕で、ガッチリ金剛の首を前からロック。
すっぽ抜けないように、メキッ、と金剛の首骨が軋む程の圧力をかける。
そのまま、後ろ蹴りで金剛の軸足を払いながら、一気に体を沈ませ。
榛名「ーー提督に」
投げた。
651: 2015/06/01(月) 22:14:39.10 ID:gxK4/g3v0
榛名の右上腕が支点となり。
金剛は綺麗に縦回転。
金剛が味わうは浮遊感。
キラキラと、太陽が照らす水飛沫が頭上に見えた次の瞬間。
背後から海面に叩きつけられる。
膂力に物を言わせた、首投げ。
金剛「ガッ……」
から、流れるように繋げた、裸締め。
投げ出されたばかりで、ガードも儘ならない金剛の首をギリギリギリと締め付ける。
だが、締める手が片手であるせいか金剛の意識は中々落ちず、苦しそうに暴れる。
しかし、ここで決着をつけたい榛名は、離さない。
状況は絶望的。
左手に摩耶を。
右手に金剛を。
抱える榛名の微笑みに。
翔鶴は邪悪を感じる。
金剛は綺麗に縦回転。
金剛が味わうは浮遊感。
キラキラと、太陽が照らす水飛沫が頭上に見えた次の瞬間。
背後から海面に叩きつけられる。
膂力に物を言わせた、首投げ。
金剛「ガッ……」
から、流れるように繋げた、裸締め。
投げ出されたばかりで、ガードも儘ならない金剛の首をギリギリギリと締め付ける。
だが、締める手が片手であるせいか金剛の意識は中々落ちず、苦しそうに暴れる。
しかし、ここで決着をつけたい榛名は、離さない。
状況は絶望的。
左手に摩耶を。
右手に金剛を。
抱える榛名の微笑みに。
翔鶴は邪悪を感じる。
652: 2015/06/01(月) 22:20:40.35 ID:gxK4/g3v0
翔鶴(……金剛が接近戦に敗れた以上、私が撃たねばなりませんね。
金剛をやらせる訳には……)
翔鶴は弓を構えているが、榛名は金剛を盾にするようにしている。
しかし、ここで金剛を喪失すれば、その時点で負けが決定する。
翔鶴「……金剛ぉぉぉぉっー!!」
何とか隙を作れないか、と。
弓を引き絞りながら、叫ぶ。
それに呼応して、金剛は苦しい中、脚部艤装の出力を全開にした。
しかし、金剛は榛名にバックチョークを極められている。
そんな事をすれば、より苦しくなるのは自明だ。
金剛をやらせる訳には……)
翔鶴は弓を構えているが、榛名は金剛を盾にするようにしている。
しかし、ここで金剛を喪失すれば、その時点で負けが決定する。
翔鶴「……金剛ぉぉぉぉっー!!」
何とか隙を作れないか、と。
弓を引き絞りながら、叫ぶ。
それに呼応して、金剛は苦しい中、脚部艤装の出力を全開にした。
しかし、金剛は榛名にバックチョークを極められている。
そんな事をすれば、より苦しくなるのは自明だ。
653: 2015/06/01(月) 22:21:51.33 ID:gxK4/g3v0
榛名「?!」
だからこそ、それは榛名の虚をついた。
腕が、金剛の首に深く沈む。
それにより体が引っ張られ。
金剛の陰に隠れていた榛名の頭が、弓の射線に晒される。
見えている部位は頭部のみ。
チャンスはこの一瞬だけ。
榛名と翔鶴の視線が交錯した、その瞬間。
翔鶴「頭一個。
……抜いて魅せる……!」
裂帛の気合いと共に、放つ。
果たして、訓練用の矢は。
翔鶴「ーー合いましたぁ!」
榛名の眉間を撃ち抜いた。
だからこそ、それは榛名の虚をついた。
腕が、金剛の首に深く沈む。
それにより体が引っ張られ。
金剛の陰に隠れていた榛名の頭が、弓の射線に晒される。
見えている部位は頭部のみ。
チャンスはこの一瞬だけ。
榛名と翔鶴の視線が交錯した、その瞬間。
翔鶴「頭一個。
……抜いて魅せる……!」
裂帛の気合いと共に、放つ。
果たして、訓練用の矢は。
翔鶴「ーー合いましたぁ!」
榛名の眉間を撃ち抜いた。
654: 2015/06/01(月) 22:23:18.16 ID:gxK4/g3v0
榛名「がっ……」
衝撃で仰け反り。
金剛と摩耶を解放する榛名は、判定機より轟沈判定を受けた。
金剛「ゴホッゲホッ……」
金剛は自分の加速で気管を傷付けたのか、少量の鮮血を吐く。
その状態でもしっかりと摩耶を受け止めたあたり、流石旗艦と言えよう。
翔鶴「大丈夫?」
翔鶴が心配そうに呼び掛けた。
金剛「No problem.
ただのトマトジュースだヨ」
指で口許の血を払いながら答える金剛。
衝撃で仰け反り。
金剛と摩耶を解放する榛名は、判定機より轟沈判定を受けた。
金剛「ゴホッゲホッ……」
金剛は自分の加速で気管を傷付けたのか、少量の鮮血を吐く。
その状態でもしっかりと摩耶を受け止めたあたり、流石旗艦と言えよう。
翔鶴「大丈夫?」
翔鶴が心配そうに呼び掛けた。
金剛「No problem.
ただのトマトジュースだヨ」
指で口許の血を払いながら答える金剛。
657: 2015/06/01(月) 22:33:01.90 ID:gxK4/g3v0
翔鶴「……やるのね」
金剛「当たり前だヨ」
翔鶴「私は動けない……
あなたも、判定こそ無傷だけど……かなり傷ついてる」
金剛「何が言いたいノ?」
依然気絶したままの摩耶を、翔鶴に任せながら聞く。
諦めろというのか、と。
金剛の目は、責めるように翔鶴を見つめていた。
翔鶴「……いえ」
金剛が負けず嫌い、と言うより。
艦娘として高潔である事を、翔鶴はよく知っている。
敗北してはならぬ、と。
人間の為に、弱い艦娘の為に、敗北してはならぬ、と。
己が守護者である、と。
金剛は決して諦めない。
金剛「当たり前だヨ」
翔鶴「私は動けない……
あなたも、判定こそ無傷だけど……かなり傷ついてる」
金剛「何が言いたいノ?」
依然気絶したままの摩耶を、翔鶴に任せながら聞く。
諦めろというのか、と。
金剛の目は、責めるように翔鶴を見つめていた。
翔鶴「……いえ」
金剛が負けず嫌い、と言うより。
艦娘として高潔である事を、翔鶴はよく知っている。
敗北してはならぬ、と。
人間の為に、弱い艦娘の為に、敗北してはならぬ、と。
己が守護者である、と。
金剛は決して諦めない。
658: 2015/06/01(月) 22:33:49.31 ID:gxK4/g3v0
翔鶴「……敵は実質三倍よ」
翔鶴はなんだか居た堪れなくなって、自分の足元を見つめながら呟いた。
金剛「三倍?……たかが三倍ネ」
そんな翔鶴の肩をポンポンと叩き。
金剛は言う。
金剛「Cover me 翔鶴。I'm going in.」
援護せよ。
攻め入る。
翔鶴「……」
18戦隊の心臓、金剛。
未だ、止まらず。
金剛「Remember.
ーーDefeat is NOT an option.」
敗北は、選択肢に無い。
翔鶴はなんだか居た堪れなくなって、自分の足元を見つめながら呟いた。
金剛「三倍?……たかが三倍ネ」
そんな翔鶴の肩をポンポンと叩き。
金剛は言う。
金剛「Cover me 翔鶴。I'm going in.」
援護せよ。
攻め入る。
翔鶴「……」
18戦隊の心臓、金剛。
未だ、止まらず。
金剛「Remember.
ーーDefeat is NOT an option.」
敗北は、選択肢に無い。
676: 2015/06/04(木) 21:01:02.04 ID:Ome3SCLk0
◇
足柄「榛名、応答せよ」
しかし、帰ってくる言葉は無い。
足柄「榛名、空押しせよ、送れ」
やはり反応は無く。
足柄「本部、こちら足柄。榛名ロスト」
提督『……本部了解』
足柄は舌打ちする。
足柄(あのポンコツめ……
戦果を上げる為に、一人で決着を付けようとしたわね?)
溜息。
足柄(あんなに接近しなくても、隠れながら北西に追い込めば良いものを……
負けてちゃ世話無いわ)
足柄「榛名、応答せよ」
しかし、帰ってくる言葉は無い。
足柄「榛名、空押しせよ、送れ」
やはり反応は無く。
足柄「本部、こちら足柄。榛名ロスト」
提督『……本部了解』
足柄は舌打ちする。
足柄(あのポンコツめ……
戦果を上げる為に、一人で決着を付けようとしたわね?)
溜息。
足柄(あんなに接近しなくても、隠れながら北西に追い込めば良いものを……
負けてちゃ世話無いわ)
677: 2015/06/04(木) 21:01:58.24 ID:Ome3SCLk0
足柄は、水偵から一部始終を見ていた。
足柄(大体金剛さんを残してどーすんのよ……
ペーペーの相手なんて誰でも出来るんだから……)
そう思いつつも、意識は水偵に乗ったまま金剛らを見つめ続けている。
足柄(取り敢えず……陽炎さんと摩耶さんがダウン。
……旗艦が単艦で突出、ね)
鳳翔の報告によると、翔鶴にもかなりの損害を与えたそうだ。
足柄(もう金剛さんしか戦えない、か。
まぁこっちも似たような状況だけど……あれ?)
足柄(大体金剛さんを残してどーすんのよ……
ペーペーの相手なんて誰でも出来るんだから……)
そう思いつつも、意識は水偵に乗ったまま金剛らを見つめ続けている。
足柄(取り敢えず……陽炎さんと摩耶さんがダウン。
……旗艦が単艦で突出、ね)
鳳翔の報告によると、翔鶴にもかなりの損害を与えたそうだ。
足柄(もう金剛さんしか戦えない、か。
まぁこっちも似たような状況だけど……あれ?)
678: 2015/06/04(木) 21:11:38.20 ID:Ome3SCLk0
ふと、気がつく。
足柄(針路が北西じゃない……
金剛さんが西南西に向かってる……
……待ち伏せを嫌がったか)
しかし、今は悠長に考えている場合では無い。
足柄「鳳翔、こちら足柄。
脅威がそちらへ向かっている。
警戒せよ。
ブレイク、ブレイク。
本部、こちら足柄。
敵針路2-5-0。快速で別働隊に接近中」
提督『足柄、こちら本部。
了解。針路2-2-5を取れ、応援急げ』
足柄「足柄了解」
鳳翔「こちら鳳翔、艦載機の出撃許可を」
提督「出撃を許可する」
鳳翔「鳳翔了解」
その返事を聞いてから、提督は溜息。
提督(こうなると困るから、榛名には堅実に動いて欲しかった所だが……)
足柄(針路が北西じゃない……
金剛さんが西南西に向かってる……
……待ち伏せを嫌がったか)
しかし、今は悠長に考えている場合では無い。
足柄「鳳翔、こちら足柄。
脅威がそちらへ向かっている。
警戒せよ。
ブレイク、ブレイク。
本部、こちら足柄。
敵針路2-5-0。快速で別働隊に接近中」
提督『足柄、こちら本部。
了解。針路2-2-5を取れ、応援急げ』
足柄「足柄了解」
鳳翔「こちら鳳翔、艦載機の出撃許可を」
提督「出撃を許可する」
鳳翔「鳳翔了解」
その返事を聞いてから、提督は溜息。
提督(こうなると困るから、榛名には堅実に動いて欲しかった所だが……)
679: 2015/06/04(木) 21:13:20.55 ID:Ome3SCLk0
◇
金剛(さて……)ゴホッ
血の混じった咳をしつつも海図を開き、戦略を練る。
金剛(3対1……相手は全員負傷している……
勝ち目はある)
金剛「コマンド、金剛。
敵の待ち伏せが予想されマス。
西への進軍を提案しマス,over」
自分達が北西に針路を取っていたことは敵も知っている。
とすれば、今現在敵が待ち構えているのは北西だ。
待たれているとわかっている場所へ自ら進んで行く必要は無い。
太郎『……金剛、コマンド。
Roger, 針路 2-5-0を取れ』
太郎も同じ事を考えていたようで、提言をすぐに承認。
金剛「針路 2-5-0, Roger.」
金剛は針路を方位2-5-0へ向けた。
金剛(さて……)ゴホッ
血の混じった咳をしつつも海図を開き、戦略を練る。
金剛(3対1……相手は全員負傷している……
勝ち目はある)
金剛「コマンド、金剛。
敵の待ち伏せが予想されマス。
西への進軍を提案しマス,over」
自分達が北西に針路を取っていたことは敵も知っている。
とすれば、今現在敵が待ち構えているのは北西だ。
待たれているとわかっている場所へ自ら進んで行く必要は無い。
太郎『……金剛、コマンド。
Roger, 針路 2-5-0を取れ』
太郎も同じ事を考えていたようで、提言をすぐに承認。
金剛「針路 2-5-0, Roger.」
金剛は針路を方位2-5-0へ向けた。
680: 2015/06/04(木) 21:14:06.36 ID:Ome3SCLk0
太郎『翔鶴、コマンド。状況報告を要請、オーバー』
翔鶴「コマンド、翔鶴。
摩耶、及び陽炎が負傷。
自律航行不能。
演習状況終了まで曳航状態で待機予定」
太郎『翔鶴、コマンド。
了解した。彩雲は出せるか、オーバー』
翔鶴「コマンド、翔鶴。可能です、オーバー」
太郎『翔鶴、コマンド。彩雲にて金剛を支援せよ、オーバー』
翔鶴「翔鶴、了解」
翔鶴は摩耶と陽炎を支えたまま、無事な彩雲を全機、即ち9機放った。
翔鶴「彩雲エアボーン」
意識が彩雲に乗る。
翔鶴「コマンド、翔鶴。
摩耶、及び陽炎が負傷。
自律航行不能。
演習状況終了まで曳航状態で待機予定」
太郎『翔鶴、コマンド。
了解した。彩雲は出せるか、オーバー』
翔鶴「コマンド、翔鶴。可能です、オーバー」
太郎『翔鶴、コマンド。彩雲にて金剛を支援せよ、オーバー』
翔鶴「翔鶴、了解」
翔鶴は摩耶と陽炎を支えたまま、無事な彩雲を全機、即ち9機放った。
翔鶴「彩雲エアボーン」
意識が彩雲に乗る。
681: 2015/06/04(木) 21:16:37.58 ID:Ome3SCLk0
翔鶴「……艦載機通報。
北西、方位3-1-5、2000の距離に敵影有。
……西南西上空に敵航空機編隊確認。
コマンド、指示を、オーバー」
太郎『翔鶴、コマンド。西南西の敵機を突っ切って強行偵察を行え、オーバー』
翔鶴らの会話を聞き、金剛は大体敵の戦力がどう分散したか、予想がついた。
金剛(西で艦載機が見えたという事は、西に空母が居るという事)
仮に北西に鳳翔が居たとして、時間をかけて西に迂回させてまで、金剛の正面から艦載機を突っ込ませる意味が無い。
金剛(おそらく榛名は南から北へ、私達を狩り出す役目だった……
北西で待っているのは狼……榛名との挟撃を狙っていた筈。
空母は、戦闘に巻き込まれないように南下した、って所かしら)
ゴホゴホと激しい咳をしつつも、意志は強く。
金剛(……都合が良いかも知れない)
そんな折、翔鶴から通信。
翔鶴「艦載機通報。
西に空母と駆逐を確認。
接近する攻撃機に注意して下さい」
数機を落とされながらも、無理に敵機編隊を突破した偵察の結果は、金剛の予想を裏付けた。
金剛(Bingo。……攻めるわ)
北西、方位3-1-5、2000の距離に敵影有。
……西南西上空に敵航空機編隊確認。
コマンド、指示を、オーバー」
太郎『翔鶴、コマンド。西南西の敵機を突っ切って強行偵察を行え、オーバー』
翔鶴らの会話を聞き、金剛は大体敵の戦力がどう分散したか、予想がついた。
金剛(西で艦載機が見えたという事は、西に空母が居るという事)
仮に北西に鳳翔が居たとして、時間をかけて西に迂回させてまで、金剛の正面から艦載機を突っ込ませる意味が無い。
金剛(おそらく榛名は南から北へ、私達を狩り出す役目だった……
北西で待っているのは狼……榛名との挟撃を狙っていた筈。
空母は、戦闘に巻き込まれないように南下した、って所かしら)
ゴホゴホと激しい咳をしつつも、意志は強く。
金剛(……都合が良いかも知れない)
そんな折、翔鶴から通信。
翔鶴「艦載機通報。
西に空母と駆逐を確認。
接近する攻撃機に注意して下さい」
数機を落とされながらも、無理に敵機編隊を突破した偵察の結果は、金剛の予想を裏付けた。
金剛(Bingo。……攻めるわ)
682: 2015/06/04(木) 21:18:30.89 ID:Ome3SCLk0
◇
鳳翔(不味いですね……)
足柄は速力が低下している為、襲撃には間に合わないだろう。
鳳翔「……雷さん、生きている武装は?」
雷「胸から下はダメダメよ。
魚雷管ロスト、主砲のみ稼動しているけど……
戦艦相手は、あまり期待しないで欲しいわ」
溜息と共に告げる雷。
魚雷があれば、まだなんとかなったかも知れないが。
鳳翔「……弓で、なんとかなるでしょうか……」
むむ、と眉間に皺を寄せる。
雷「弓って射程1000か1500よね。
超接近すればなんとか?」
鳳翔「それは……難しいですね……」
そこまで接近する前に排除されるだろう。
弓でダメージを入れるのはあまり現実的で無い、と判断して、鳳翔は自分の飛行甲板を見た。
攻撃機の残機は僅か5機。
正直、これだけで戦艦をなんとか出来る気がしない。
特に、相手は彩雲でこちらの攻撃隊を見ている。
悪条件が重なっていた。
鳳翔(不味いですね……)
足柄は速力が低下している為、襲撃には間に合わないだろう。
鳳翔「……雷さん、生きている武装は?」
雷「胸から下はダメダメよ。
魚雷管ロスト、主砲のみ稼動しているけど……
戦艦相手は、あまり期待しないで欲しいわ」
溜息と共に告げる雷。
魚雷があれば、まだなんとかなったかも知れないが。
鳳翔「……弓で、なんとかなるでしょうか……」
むむ、と眉間に皺を寄せる。
雷「弓って射程1000か1500よね。
超接近すればなんとか?」
鳳翔「それは……難しいですね……」
そこまで接近する前に排除されるだろう。
弓でダメージを入れるのはあまり現実的で無い、と判断して、鳳翔は自分の飛行甲板を見た。
攻撃機の残機は僅か5機。
正直、これだけで戦艦をなんとか出来る気がしない。
特に、相手は彩雲でこちらの攻撃隊を見ている。
悪条件が重なっていた。
683: 2015/06/04(木) 21:21:28.83 ID:Ome3SCLk0
と、その時。
鳳翔「……!艦攻から金剛さんが見えました!
方位0-4-0、距離4000、島群の西端に差し掛かってます!
もう目と鼻の先です!」
接敵する。
途端に飛んでくる対空砲火。
鳳翔(……さて、どうしましょうか……)
なんとか、ダメージを入れておきたい。
いくら足柄が歴戦の重巡でも、無傷の戦艦とやりあうのは荷が重いだろう。
相手もやり手なら尚更。
鳳翔(……あまり使いたくない手ですが……致し方ありませんね)
ふぅ、と深呼吸。
鳳翔(……勝利の、礎となりましょう)
鳳翔「……!艦攻から金剛さんが見えました!
方位0-4-0、距離4000、島群の西端に差し掛かってます!
もう目と鼻の先です!」
接敵する。
途端に飛んでくる対空砲火。
鳳翔(……さて、どうしましょうか……)
なんとか、ダメージを入れておきたい。
いくら足柄が歴戦の重巡でも、無傷の戦艦とやりあうのは荷が重いだろう。
相手もやり手なら尚更。
鳳翔(……あまり使いたくない手ですが……致し方ありませんね)
ふぅ、と深呼吸。
鳳翔(……勝利の、礎となりましょう)
684: 2015/06/04(木) 21:24:34.77 ID:Ome3SCLk0
◇
金剛(翔鶴の報告的に、そろそろ攻撃隊が見えてもいい頃……)
しきりに出る咳を鬱陶しく思いつつ、金剛は目を皿のようにして水平を見渡していた。
そこから幾つかの岩陰を抜けたところで、上空に敵編隊を認める。
金剛「Contact hostile warbirds. Engaging.」
まぐれ当たりを期待し、対空砲火を開始する。
それに対し、敵機が散会しながら接近し、その正確な数が把握された。
金剛(5機……)
大した数ではない。
自分なら避けれる。
そう判断し。
対空砲火は続けながら、足は止めない。
金剛の計算だと、自分はあと3分程で島群を抜ける。
つまり、敵が自分の射程内に入るまで、あと3分。
この180秒のうちに、敵はアタックを仕掛けたい筈だ。
つまり、今すぐに来てもおかしく無くーー
金剛(翔鶴の報告的に、そろそろ攻撃隊が見えてもいい頃……)
しきりに出る咳を鬱陶しく思いつつ、金剛は目を皿のようにして水平を見渡していた。
そこから幾つかの岩陰を抜けたところで、上空に敵編隊を認める。
金剛「Contact hostile warbirds. Engaging.」
まぐれ当たりを期待し、対空砲火を開始する。
それに対し、敵機が散会しながら接近し、その正確な数が把握された。
金剛(5機……)
大した数ではない。
自分なら避けれる。
そう判断し。
対空砲火は続けながら、足は止めない。
金剛の計算だと、自分はあと3分程で島群を抜ける。
つまり、敵が自分の射程内に入るまで、あと3分。
この180秒のうちに、敵はアタックを仕掛けたい筈だ。
つまり、今すぐに来てもおかしく無くーー
685: 2015/06/04(木) 21:27:03.01 ID:Ome3SCLk0
金剛(ほら……来た)
ーーそう考えているうちに、敵が降下してきた。
翔鶴『金剛、インカミング!』
彩雲から見ていた翔鶴が叫ぶが、言われるまでもない。
金剛は対空砲火を維持したまま、回避機動を取った。
一見ランダムに見える、不連続なトロコイド曲線を描く金剛。
決して急では無いが、魚雷や爆弾を放る側からすると予測が難しい。
一方、不規則移動しながらの対空砲火では艦攻を撃墜する事は叶わず。
魚雷が4発投下される。
が、機動のお陰で艦攻側も命中弾が無かった。
航空魚雷は金剛の両サイドをそのまま抜けて行く。
残弾の無い艦攻隊は低空飛行を保ったまま、魚雷を追うように離脱。
金剛(……よし)
ふー、と溜息。
被弾は無し。
これで、一つ目の関門は越えた。
追撃は良いだろう。
もう、二つ目の関門が見えるはずだから。
ーーそう考えているうちに、敵が降下してきた。
翔鶴『金剛、インカミング!』
彩雲から見ていた翔鶴が叫ぶが、言われるまでもない。
金剛は対空砲火を維持したまま、回避機動を取った。
一見ランダムに見える、不連続なトロコイド曲線を描く金剛。
決して急では無いが、魚雷や爆弾を放る側からすると予測が難しい。
一方、不規則移動しながらの対空砲火では艦攻を撃墜する事は叶わず。
魚雷が4発投下される。
が、機動のお陰で艦攻側も命中弾が無かった。
航空魚雷は金剛の両サイドをそのまま抜けて行く。
残弾の無い艦攻隊は低空飛行を保ったまま、魚雷を追うように離脱。
金剛(……よし)
ふー、と溜息。
被弾は無し。
これで、一つ目の関門は越えた。
追撃は良いだろう。
もう、二つ目の関門が見えるはずだから。
686: 2015/06/04(木) 21:28:11.79 ID:Ome3SCLk0
金剛(……島群を、抜けるーー)
一気に開ける視界。
そして、浮かび上がる敵影。
金剛「Enemy contact.」
接敵。
金剛「Azimuth 2-4-0, dist 3000, two visual.」
方位2-4-0、距離3000、敵影2。
金剛「Engaging.」
交戦する。
金剛「Guns loaded.」
艤装が唸り、主砲に弾薬が装填された。
金剛「Open fire.」
ズドン、という轟音と共に、砲撃戦が始まる。
一気に開ける視界。
そして、浮かび上がる敵影。
金剛「Enemy contact.」
接敵。
金剛「Azimuth 2-4-0, dist 3000, two visual.」
方位2-4-0、距離3000、敵影2。
金剛「Engaging.」
交戦する。
金剛「Guns loaded.」
艤装が唸り、主砲に弾薬が装填された。
金剛「Open fire.」
ズドン、という轟音と共に、砲撃戦が始まる。
687: 2015/06/04(木) 21:33:05.89 ID:Ome3SCLk0
◇
雷(来たわ来たわ……)
ガシャコン、と右肩の主砲に装薬と砲弾を装填しつつ、前方を注視。
距離3000に、島群を抜けたばかりの敵が見える。
雷「雷、火器管制良し!主砲撃方始め!」
初弾を放った。
12.7cm砲では戦艦に有効打を与えるのは難しいだろう。
その上、雷は大破し極めて低速である。
敵からすればいい的だ。
が、座して氏を待つのも癪である。
雷「一矢報いたいわね……!」
と、呟くと同時に。
金剛の35.6cm砲弾が、一斉に海面に着弾。
雷の前方に、凄まじい高さの水柱が幾つも立ち、視界を覆い隠す。
雷(全近だけど……ほとんど正中……!)
金剛は正中、つまり左右にブレ無く弾を放り込んで来た。
雷(やばっ……やっぱり足が遅いと一瞬で狙われる……)
雷(来たわ来たわ……)
ガシャコン、と右肩の主砲に装薬と砲弾を装填しつつ、前方を注視。
距離3000に、島群を抜けたばかりの敵が見える。
雷「雷、火器管制良し!主砲撃方始め!」
初弾を放った。
12.7cm砲では戦艦に有効打を与えるのは難しいだろう。
その上、雷は大破し極めて低速である。
敵からすればいい的だ。
が、座して氏を待つのも癪である。
雷「一矢報いたいわね……!」
と、呟くと同時に。
金剛の35.6cm砲弾が、一斉に海面に着弾。
雷の前方に、凄まじい高さの水柱が幾つも立ち、視界を覆い隠す。
雷(全近だけど……ほとんど正中……!)
金剛は正中、つまり左右にブレ無く弾を放り込んで来た。
雷(やばっ……やっぱり足が遅いと一瞬で狙われる……)
688: 2015/06/04(木) 21:34:39.90 ID:Ome3SCLk0
敵はどうやら、一人ずつ仕留めるつもりのようだ。
高精度砲撃を受けている今、自分の弾着がどうのと言っている場合では無い。
雷は二射目を装填しながら、舵を斜めに切った。
鈍足ながらも、全速航行でなんとか敵の砲撃の軸線を避けようとする。
が。
直後、雷の前後、至近の海面が爆発した。
金剛の砲撃である。
雷(夾叉……!)
砲弾の巻き上げた水柱により、濡れ鼠になった雷は歯噛みする。
視認から僅か数十秒。
既に敵は自分を砲の散布界に収めようとしていた。
次からは確実に有効弾が飛んでくる。
これはかなり、不味い。
自分の速力が小さすぎる。
満足に蛇行も出来ない。
チラッと少し離れた鳳翔の方を見る。
彼女は膝立ちで矢を放っていたが、そもそも艦娘の弓は射程距離1000や1500の近接用だ。
3000の距離を撃ち抜く物ではない。
援護して貰うのは難しいだろう。
状況は非常に不味い。
と、雷近傍に一発着弾し、雷は更に水をかぶる。
至近弾でこそ無かったが、それはとても運が良かっただけだ。
もういつ被弾してもおかしく無い。
高精度砲撃を受けている今、自分の弾着がどうのと言っている場合では無い。
雷は二射目を装填しながら、舵を斜めに切った。
鈍足ながらも、全速航行でなんとか敵の砲撃の軸線を避けようとする。
が。
直後、雷の前後、至近の海面が爆発した。
金剛の砲撃である。
雷(夾叉……!)
砲弾の巻き上げた水柱により、濡れ鼠になった雷は歯噛みする。
視認から僅か数十秒。
既に敵は自分を砲の散布界に収めようとしていた。
次からは確実に有効弾が飛んでくる。
これはかなり、不味い。
自分の速力が小さすぎる。
満足に蛇行も出来ない。
チラッと少し離れた鳳翔の方を見る。
彼女は膝立ちで矢を放っていたが、そもそも艦娘の弓は射程距離1000や1500の近接用だ。
3000の距離を撃ち抜く物ではない。
援護して貰うのは難しいだろう。
状況は非常に不味い。
と、雷近傍に一発着弾し、雷は更に水をかぶる。
至近弾でこそ無かったが、それはとても運が良かっただけだ。
もういつ被弾してもおかしく無い。
689: 2015/06/04(木) 21:36:06.90 ID:Ome3SCLk0
焦って無線に叫ぶ。
雷「足柄!まだなの!」
足柄『到達予想は300、凌いで頂戴』
雷「300も持たないわ……!」
そう言いつつも、動けぬ状態で少しでも被弾の確率を避ける為、雷は伏射体勢に移行した。
脚部艤装が水面から露出し移動が全く出来なくなるこれは、砲弾回避の最終手段だ。
と、金剛の四射目が来る。
雷の少し横に着弾。
もし伏射に移行し、速度を頃してなければ確実に被弾していた。
ーーだが、次は避けれないだろう。
雷「……ああもうっ!」
悪態をつきながら雷も伏せたまま、殆どあてずっぽうで狙いをつける。
ゆっくりと測距測角している時間はない。
砲撃。
しかし、その着弾を確認する前に。
金剛の五射目が雷を捉えた。
雷「足柄!まだなの!」
足柄『到達予想は300、凌いで頂戴』
雷「300も持たないわ……!」
そう言いつつも、動けぬ状態で少しでも被弾の確率を避ける為、雷は伏射体勢に移行した。
脚部艤装が水面から露出し移動が全く出来なくなるこれは、砲弾回避の最終手段だ。
と、金剛の四射目が来る。
雷の少し横に着弾。
もし伏射に移行し、速度を頃してなければ確実に被弾していた。
ーーだが、次は避けれないだろう。
雷「……ああもうっ!」
悪態をつきながら雷も伏せたまま、殆どあてずっぽうで狙いをつける。
ゆっくりと測距測角している時間はない。
砲撃。
しかし、その着弾を確認する前に。
金剛の五射目が雷を捉えた。
690: 2015/06/04(木) 21:37:20.74 ID:Ome3SCLk0
◇
金剛「Good hit on target. DA follow.」
命中弾に、握り拳を作り、翔鶴に攻撃成果の判定を頼む。
翔鶴『雷ダウン。
ビューティフル』
翔鶴は賞賛と共に雷の撃破を伝えた。
金剛はよし、と満足気に頷く。
次は、先程から矢を放ってくる鳳翔だ。
流石に距離があり、弓は脅威ではない。
そう判断し、金剛は速度を落とす。
雷と鳳翔の相対位置を考慮し、落ち着いておおまかな狙いをつけた。
艦娘には便利な射撃管制装置は無い。
その代わり、簡単な電探であったり、パッと見で大体の距離がわかったりする。
そこから如何に目標に当てるかが、艦娘の腕の見せ所だ。
金剛「Good hit on target. DA follow.」
命中弾に、握り拳を作り、翔鶴に攻撃成果の判定を頼む。
翔鶴『雷ダウン。
ビューティフル』
翔鶴は賞賛と共に雷の撃破を伝えた。
金剛はよし、と満足気に頷く。
次は、先程から矢を放ってくる鳳翔だ。
流石に距離があり、弓は脅威ではない。
そう判断し、金剛は速度を落とす。
雷と鳳翔の相対位置を考慮し、落ち着いておおまかな狙いをつけた。
艦娘には便利な射撃管制装置は無い。
その代わり、簡単な電探であったり、パッと見で大体の距離がわかったりする。
そこから如何に目標に当てるかが、艦娘の腕の見せ所だ。
691: 2015/06/04(木) 21:38:18.08 ID:Ome3SCLk0
実際の艦隊砲撃戦の様に、厳密な理論に基づいて砲撃を行う艦娘も居るには居る。
が、艦娘には意識が一つしかない。
人がかつて駆った艦艇のように、舵や砲撃の役割分担が出来ない以上、実戦で公算やら何やらを考慮する時間は無い。
そもそも、目標が小さ過ぎるので、船の理論通りにいく筈も無いのだが。
だから、風向きやら湿度やらを考えず、感覚で取り敢えず試射するのが普通だ。
そこから、修正を加える。
それが最も手っ取り早く、単純で効果があるから。
が、艦娘には意識が一つしかない。
人がかつて駆った艦艇のように、舵や砲撃の役割分担が出来ない以上、実戦で公算やら何やらを考慮する時間は無い。
そもそも、目標が小さ過ぎるので、船の理論通りにいく筈も無いのだが。
だから、風向きやら湿度やらを考えず、感覚で取り敢えず試射するのが普通だ。
そこから、修正を加える。
それが最も手っ取り早く、単純で効果があるから。
692: 2015/06/04(木) 21:40:52.88 ID:Ome3SCLk0
金剛「Fire.」
金剛は最初、わざと手前に投射した。
着弾。
無論全近、左寄り。
金剛は立った水柱の高さと鳳翔の大きさを相対的に評価し、次弾を準備する。
金剛「Fire.」
第二射、斉射。
着弾。
今度は全遠、大きく右寄り。
どうやら鳳翔は手前側に回頭を始めたようだ。
敵の未来位置を予測して仰角、方位角を調整。
金剛「Fire.」
斉射。
着弾。
全近、若干右寄り。
先程の着弾地点よりは鳳翔に近い。
金剛(砲撃の精度がイマイチ……咳が鬱陶しい……
……鳳翔さんは回頭を続けるのかしら?)
今、鳳翔は回頭の頂点にいる。
次にどう動くかは、同平面からの視点ではわからない。
金剛は最初、わざと手前に投射した。
着弾。
無論全近、左寄り。
金剛は立った水柱の高さと鳳翔の大きさを相対的に評価し、次弾を準備する。
金剛「Fire.」
第二射、斉射。
着弾。
今度は全遠、大きく右寄り。
どうやら鳳翔は手前側に回頭を始めたようだ。
敵の未来位置を予測して仰角、方位角を調整。
金剛「Fire.」
斉射。
着弾。
全近、若干右寄り。
先程の着弾地点よりは鳳翔に近い。
金剛(砲撃の精度がイマイチ……咳が鬱陶しい……
……鳳翔さんは回頭を続けるのかしら?)
今、鳳翔は回頭の頂点にいる。
次にどう動くかは、同平面からの視点ではわからない。
693: 2015/06/04(木) 21:41:45.46 ID:Ome3SCLk0
金剛は次弾の装填を済ませつつ、翔鶴に鳳翔の体が傾斜しているかを聞いた。
金剛「翔鶴!Is 鳳翔 leaning right?」
翔鶴『アファーマティブ!』
肯定。
そこから、鳳翔が回頭を続けると判断。
砲塔を上げ、方位角微調整。
放つ。
金剛「Fire.」
着弾を待たずに、方位角のみを右に調整し、追加で砲撃。
金剛「Fire.」
二射目を放った頃、一斉射目が着弾した。
正中、全遠。
その砲弾が鳳翔の正面を爆裂させ。
鳳翔は慌てて、やや旋回を早める。
その結果、続いての二射目が夾叉となった。
金剛(捕まえた)
金剛は砲の仰角、方位角を記憶、鳳翔の動きをトレスするように脚部艤装の出力を調整。
金剛「翔鶴!Is 鳳翔 leaning right?」
翔鶴『アファーマティブ!』
肯定。
そこから、鳳翔が回頭を続けると判断。
砲塔を上げ、方位角微調整。
放つ。
金剛「Fire.」
着弾を待たずに、方位角のみを右に調整し、追加で砲撃。
金剛「Fire.」
二射目を放った頃、一斉射目が着弾した。
正中、全遠。
その砲弾が鳳翔の正面を爆裂させ。
鳳翔は慌てて、やや旋回を早める。
その結果、続いての二射目が夾叉となった。
金剛(捕まえた)
金剛は砲の仰角、方位角を記憶、鳳翔の動きをトレスするように脚部艤装の出力を調整。
694: 2015/06/04(木) 21:44:26.21 ID:Ome3SCLk0
若干先読み気味の動きから放つ、第六射。
再び夾叉。
有効弾無し。
足柄が近付いて来ている。
早期に決着をつけねばならぬのに、運が無い。
焦りを感じて舌打ちしつつ、角度を微調整して第七射。
蛇行していた鳳翔を、遂に至近弾が捉えた。
翔鶴が興奮して叫ぶ。
翔鶴『至近弾!』
金剛(よし……)
鳳翔は着弾の衝撃からバランスを崩した。
敵の失速に合わせ、金剛も減速。
金剛(完璧な相対位置……仕留めるわ)
ニヤリと、獰猛に笑い。
放つ、第八斉射。
そしてーー
金剛「ーーBullseye.」
再び夾叉。
有効弾無し。
足柄が近付いて来ている。
早期に決着をつけねばならぬのに、運が無い。
焦りを感じて舌打ちしつつ、角度を微調整して第七射。
蛇行していた鳳翔を、遂に至近弾が捉えた。
翔鶴が興奮して叫ぶ。
翔鶴『至近弾!』
金剛(よし……)
鳳翔は着弾の衝撃からバランスを崩した。
敵の失速に合わせ、金剛も減速。
金剛(完璧な相対位置……仕留めるわ)
ニヤリと、獰猛に笑い。
放つ、第八斉射。
そしてーー
金剛「ーーBullseye.」
695: 2015/06/04(木) 21:45:01.71 ID:Ome3SCLk0
◇
何故、翔鶴が彩雲を落とされつつも、観測を続ける事が出来ていたのか。
それは数機がまだ落とされていないから。
何故、鳳翔が20機の艦戦を展開しているにも関わらず、全て落とされていないのか。
翔鶴の腕前が確かだから、というのもある。
が。
最大の要因は、鳳翔が別の事に集中していたから。
金剛の背後、500。
島群の中から迫る、単機の攻撃機。
何故、翔鶴が彩雲を落とされつつも、観測を続ける事が出来ていたのか。
それは数機がまだ落とされていないから。
何故、鳳翔が20機の艦戦を展開しているにも関わらず、全て落とされていないのか。
翔鶴の腕前が確かだから、というのもある。
が。
最大の要因は、鳳翔が別の事に集中していたから。
金剛の背後、500。
島群の中から迫る、単機の攻撃機。
696: 2015/06/04(木) 21:46:33.52 ID:Ome3SCLk0
先程、金剛が島群を抜ける前に鳳翔の攻撃隊が放った魚雷は4発。
対する攻撃機の数は5機。
一発温存していたのだ。
この瞬間の為に。
金剛は見事に、鳳翔隊は魚雷を全て放った物だと誤認していた。
そして今、完全に射撃に集中している。
鳳翔からすると、絶好の攻撃チャンスだ。
翔鶴の彩雲からも接近を知られぬよう、鳳翔は細心の注意と共に低空飛行でギリギリまで接近。
金剛が低速第8斉射を行った瞬間、魚雷投下。
金剛は背後からの攻撃に全く気付かない。
ズン。
衝撃。
鳳翔「ぅくっ……」
金剛「?!……What the……」
まずは鳳翔が、少し遅れて金剛が被弾する。
鳳翔にとっては、骨を断たせて肉を切る格好になったが、そうでもせねばこの状況で金剛にダメージを入れる事は難しかった。
対する攻撃機の数は5機。
一発温存していたのだ。
この瞬間の為に。
金剛は見事に、鳳翔隊は魚雷を全て放った物だと誤認していた。
そして今、完全に射撃に集中している。
鳳翔からすると、絶好の攻撃チャンスだ。
翔鶴の彩雲からも接近を知られぬよう、鳳翔は細心の注意と共に低空飛行でギリギリまで接近。
金剛が低速第8斉射を行った瞬間、魚雷投下。
金剛は背後からの攻撃に全く気付かない。
ズン。
衝撃。
鳳翔「ぅくっ……」
金剛「?!……What the……」
まずは鳳翔が、少し遅れて金剛が被弾する。
鳳翔にとっては、骨を断たせて肉を切る格好になったが、そうでもせねばこの状況で金剛にダメージを入れる事は難しかった。
697: 2015/06/04(木) 22:13:34.86 ID:Ome3SCLk0
鳳翔「私は轟沈、判定ですね……」
ふぅ、と溜息。
轟沈判定を受けた空母は、艦載機による攻撃を速やかに中止、収容せねばならない。
艦載機を収容していると、同じく轟沈判定を受けた雷が近付いて来た。
雷「お疲れ様。一矢報いたわね?」
鳳翔「……そう……だと良いのですが」
中破していたら良いな、と思う。
雷「……うーん。足柄さん、勝てるかしら。
お互い魚雷一発喰らってて……」
鳳翔「……」
正直、難しいだろう。
足柄は歴戦の重巡かも知れない。
が、金剛もなかなかのやり手だというのが鳳翔の感想だった。
鳳翔(夾叉までの持って行き方は少し雑でしたが……
その後は完全に回避機動を読まれていました……)
艤装の向きと体の傾き。
重心移動とテンポ。
経験と、勘。
艦娘はこれらの要素から相手の未来航路を予想して砲撃する。
熟練している者程その読みはシャープになり。
鳳翔の様に、対策せずに回避機動を取ってもバシバシ当ててくる。
雷「……むー。北西に流れてくれたらなぁ。
足柄さんと戦ってる時に、横っ腹を艦載機で殴れたのにね」
鳳翔「……そこは敵が冴えていた、という事でしょう」
はぁ、と雷は溜息。
鳳翔(……足柄さん、後はーー)
空を仰いで、目を瞑る。
ふぅ、と溜息。
轟沈判定を受けた空母は、艦載機による攻撃を速やかに中止、収容せねばならない。
艦載機を収容していると、同じく轟沈判定を受けた雷が近付いて来た。
雷「お疲れ様。一矢報いたわね?」
鳳翔「……そう……だと良いのですが」
中破していたら良いな、と思う。
雷「……うーん。足柄さん、勝てるかしら。
お互い魚雷一発喰らってて……」
鳳翔「……」
正直、難しいだろう。
足柄は歴戦の重巡かも知れない。
が、金剛もなかなかのやり手だというのが鳳翔の感想だった。
鳳翔(夾叉までの持って行き方は少し雑でしたが……
その後は完全に回避機動を読まれていました……)
艤装の向きと体の傾き。
重心移動とテンポ。
経験と、勘。
艦娘はこれらの要素から相手の未来航路を予想して砲撃する。
熟練している者程その読みはシャープになり。
鳳翔の様に、対策せずに回避機動を取ってもバシバシ当ててくる。
雷「……むー。北西に流れてくれたらなぁ。
足柄さんと戦ってる時に、横っ腹を艦載機で殴れたのにね」
鳳翔「……そこは敵が冴えていた、という事でしょう」
はぁ、と雷は溜息。
鳳翔(……足柄さん、後はーー)
空を仰いで、目を瞑る。
698: 2015/06/04(木) 22:52:57.32 ID:Ome3SCLk0
………
……
…
提督『はぁ……どうやら鳳翔と雷がやられたらしいな』
足柄「そうみたいね」
魚雷管のチェック。左右問題なし。
提督『残りは金剛とお前だけだ』
足柄「ん」
主砲は正常、装填済み。
提督『どうも鳳翔が一発与えたようだ』
足柄「やるわねぇ」
脚部艤装は出力が4割近く減少。
提督『ふと思ったが、演習弾の蛍光色は修復材で落ちるのか?』
足柄「落ちるは落ちるわよ」
鼻歌を歌いながら、襟元とスカーフが乱れていないかをチェック。
提督『やはり落ちにくいのか』
足柄「ベトベトがね。漬けときゃ消えるんだけど……擦る方が早いのよ。
んで皆擦るわけ」
手袋と服の裾が裏返っていないかを確かめる。
提督『大変そうだな……』
足柄「大変よ。知らなかったの?」
締めに髪の毛を手で梳いて。
……
…
提督『はぁ……どうやら鳳翔と雷がやられたらしいな』
足柄「そうみたいね」
魚雷管のチェック。左右問題なし。
提督『残りは金剛とお前だけだ』
足柄「ん」
主砲は正常、装填済み。
提督『どうも鳳翔が一発与えたようだ』
足柄「やるわねぇ」
脚部艤装は出力が4割近く減少。
提督『ふと思ったが、演習弾の蛍光色は修復材で落ちるのか?』
足柄「落ちるは落ちるわよ」
鼻歌を歌いながら、襟元とスカーフが乱れていないかをチェック。
提督『やはり落ちにくいのか』
足柄「ベトベトがね。漬けときゃ消えるんだけど……擦る方が早いのよ。
んで皆擦るわけ」
手袋と服の裾が裏返っていないかを確かめる。
提督『大変そうだな……』
足柄「大変よ。知らなかったの?」
締めに髪の毛を手で梳いて。
699: 2015/06/04(木) 22:58:05.77 ID:Ome3SCLk0
足柄「……あ、じゃあ、あたしが勝ったらぁ……
あなたが家事、やってくれないかしら?」
提督『何だと……』
足柄「洗うの面倒だしぃ。鳳翔さんに押し付けるのも悪いしぃ。
洗濯ついでにご飯風呂諸々よろしくぅ!」
あはは!と笑う。
提督『……執務が有るんだがなぁ……』
足柄「イマドキ家事出来なきゃモテないわよ?」
あなたはモテなくても良いんだけど。
提督『どこでそんな情報を仕入れて来るんだ……
少なくとも飯は鳳翔の方が良いんじゃないか』
足柄「何よー。料理も出来ないのかしら?」
ちょっかいをかけるように、煽ってみる。
提督『ほう……そこまで言うのなら、男の料理を見せてやろう』
足柄「あら、楽しみにしてるわ」
それは本音で。
提督『しかし……飯といえば……
昼飯を食ってないな……』
呟く提督に。
足柄「そうね」
足柄は応じる。
あなたが家事、やってくれないかしら?」
提督『何だと……』
足柄「洗うの面倒だしぃ。鳳翔さんに押し付けるのも悪いしぃ。
洗濯ついでにご飯風呂諸々よろしくぅ!」
あはは!と笑う。
提督『……執務が有るんだがなぁ……』
足柄「イマドキ家事出来なきゃモテないわよ?」
あなたはモテなくても良いんだけど。
提督『どこでそんな情報を仕入れて来るんだ……
少なくとも飯は鳳翔の方が良いんじゃないか』
足柄「何よー。料理も出来ないのかしら?」
ちょっかいをかけるように、煽ってみる。
提督『ほう……そこまで言うのなら、男の料理を見せてやろう』
足柄「あら、楽しみにしてるわ」
それは本音で。
提督『しかし……飯といえば……
昼飯を食ってないな……』
呟く提督に。
足柄「そうね」
足柄は応じる。
700: 2015/06/04(木) 22:58:56.99 ID:Ome3SCLk0
軽口の応酬は、終わりだ。
提督『お前も、そろそろ腹が減ったろう』
今度は提督が煽った。
足柄「ええーー」
その感情の昂りに乗って。
足柄「ーー腹が、減ったわ」
精悍な餓狼が、牙を剥く。
赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」【8】
提督『お前も、そろそろ腹が減ったろう』
今度は提督が煽った。
足柄「ええーー」
その感情の昂りに乗って。
足柄「ーー腹が、減ったわ」
精悍な餓狼が、牙を剥く。
赤城「……さて、と」提督「昔話を、しようか」【8】
701: 2015/06/04(木) 23:02:23.79 ID:Ome3SCLk0
ここまで
次で演習は決着がつきます
砲撃戦の描写は難しい……
なんとか盛り上げたいところです
次で演習は決着がつきます
砲撃戦の描写は難しい……
なんとか盛り上げたいところです



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