733: 2018/08/20(月) 23:36:06.33 ID:1QUlsanb0


前回:本田未央「プロデューサーとのごはん」モバP「金沢カレー編」
最初から:本田未央「プロデューサーとのごはん」

P「うどんを食べに行こう」

未央「え? ……いきなりどうしたの? またうどん探訪?」

P「いや、そうじゃなくてな……ちょっと、近所にうまいうどん屋ができたって聞いてな」

未央「それで、行ってみたくなった、と?」

P「そういうことだな」

未央「……普段のプロデューサーだったら、こういうとき、私に何も言わずにひとりで行かない? 男の人ひとりだとー、って店だとまだわかるけど、うどん屋さんでしょ? いや、プロデューサーは男の人ひとりだとちょっとって店でも割とひとりで行く印象あるけど」

P「そう言えばそうだな。最近はあんまり新しい店を開拓したりしてなかったが……いつもなら、未央を誘う前にひとりで行ってみることが多かったか」

未央「そうそう。今までもないことはなかったけど、珍しいなーと思って。どうしたの?」

P「どうした、って言われても……なんとなく、初めて行く場所だし未央も誘うか、って思っただけでな。特別な理由はない」

未央「……特別な理由はない、ですか」

P「ああ。……あ、ここはそれっぽい理由をでっち上げる場面だったか? デリカシー? 的に」

未央「そういうことを聞くほうがデリカシーないと思うんですけど? でも……うん。特別な理由がない、っていうのは高得点かな。未央ちゃん的に」

P「そう……なのか?」

未央「そうそう。それで、もう行く? 私は今すぐでも大丈夫だけど」

P「ああ。未央がいいなら、すぐに行こう。近くだし、サクッと行ってサクッと食べよう」

未央「ん。それじゃ、しゅっぱつしんこー」
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734: 2018/08/20(月) 23:36:46.52 ID:1QUlsanb0

――店の前

未央「おお、ほんとにすぐだね、プロデューサー。しかし、ここは……なんだか、思ってたよりもオシャレな雰囲気?」

P「だな。店の前にメニューが置いてなかったら素通りするところだった。あんまりうどん屋っぽくないが……メニューも、ちょっと凝ってるのも置いてあるな」

未央「ん、確かに。定番どころだけじゃなくて結構色んなのがある……かな? これは……ニュージェネレーションうどん?」

P「無理やり結び付けなくていいから。店の前でずっと立ってるのもなんだし、さっさと入るか」

未央「はーい。二名様、ご来店でーす」

P「お前はどの立場なんだよ」

735: 2018/08/20(月) 23:38:38.09 ID:1QUlsanb0

――店の中

未央「お、店の中もオシャレな雰囲気だけど……立ち食いなんだ。ちょっと意外」

P「そんなに広くないからかな。ビジネス街ってのも関係しているかもしれない。昼休みなんかにサッと入ってサッと出る、みたいな人が多いんじゃないか?」

未央「あー、そういう。えっと……あそこで注文する感じかな? うどんを注文している間に並べられている天ぷらなんかを選んでお会計するタイプ……うどん屋さんって、こういうの多い?」

P「んー……どうだろうな。俺もそんなにうどん屋に行ってるわけじゃないからなぁ……讃岐うどんはこういうスタイルの店が多いのかもしれない」

未央「ほうほう? それで、プロデューサーは何のうどんを注文するのかな?」

P「俺は……そうだな。冷かけで」

未央「冷かけ? って……かけうどんの、冷たいやつ?」

P「まんまだな。そうなんだが」

未央「『通』な食べ方ってやつ?」

P「いや、単に暑いからシンプルで冷たいのを一気に喉に流したかったってだけだな」

未央「おおう、そういう理由ですか……まあ、前にうどん屋さんに行ったときに変な食べ方してたもんね。そんなこと考えてないか」

P「ん? バカにしてるか?」

未央「してないしてないしてないヨー。それじゃ、私も同じので。注文しよしよ」

P「なんか釈然としないが、わかった。……すみません。冷かけの大盛りと並を一つずつ、お願いします」

未央「で、出来上がるのを待ってる間に天ぷらを?」

P「べつに取らなくてもいいんだろうけどな。このシステムだと……ついつい、取っちゃうよなぁ」

未央「だね。えっと……私は定番の鶏天かな。あ、かやくご飯もある。うどんと同じ出汁で……だって。そんなに量もないし、これも食べよ」

P「俺もまあ、似たような構成だな……それじゃ、俺は会計しとくから、適当に場所とっといてくれ。うどんは店員さんが出来上がり次第持ってきてくれるらしいから」

未央「ん。旦那さまの帰ってくる場所を守っておくのが妻の務めですからねー」

P「誰が旦那さまで誰が妻だよ……」

未央「それはもちろん、プロデューサーが旦那さまで、私が」

P「それ以上言わなくていい」

736: 2018/08/20(月) 23:40:22.83 ID:1QUlsanb0

――

P「ん、来たな」

未央「……こうやって見ると、なんだか綺麗だね。うどんと出汁だけって、どんな感じになるのかなーって思ったけど……シンプルなこの二つだけだからこそー、っていう。侘び寂び? みたいな?」

P「侘び寂びか? でも、シンプルだからこその美しさっていうのはわかる気がするな。引き算の……だったか。必要最小限のものだけだからこそ研ぎ澄まされた美しさを感じるのかもしれない」

未央「そう本田未央のプロデューサーは熱く語った。冷かけの美しさを語る彼の姿は、私には少し眩しく見えた――」

P「恥ずかしくなるからやめてくれないか? 侘び寂びとか言い出したの未央のくせに」

未央「いやー、冷静になるとうどんを前に何言ってるんだろって思ってね。確かに綺麗ではあるけど、食べ物なんだし、まずは食べなきゃ」

P「それはそうだが……まあいい。いただきます」

未央「いただきまーす」


未央(さてさて、ラーメンだったらここでまずスープから、という感じだけど……うどんは、どうだろ?)

未央(いつもだったら麺をずるずるとすすっていくところだけど……冷かけ? だし、出汁の塩梅を確認しておきましょうか)ズズ…

未央「……お」

未央(おおー……おいしい。いい感じに冷えてるし、香りも旨味もしっかり感じる。ぬるくはないけど冷たすぎもしないのがポイントだね。あんまりにもキンキンに冷えてると味がわからなくなっちゃうし。そう考えると、これくらいの冷たさはベストかも。ちょうど夏だし、あっさりしてるから、ゴクゴク飲めちゃう)

未央(っと、ゴクゴク飲んじゃダメなんだった。うどんだよ、うどん。出汁をゴクゴク飲むのはせめてうどんを食べてからでしょう)

未央(それで、うどんは……うん、やっぱり綺麗に感じる。店の照明のせいかな? それとも、この黄金色の出汁とあいまって? まあ、とにかく、食べてみなくちゃわからないってなもんでしょう)ズズー…

未央「……」

未央「……」ズズー……

未央(……ハッ! おいしくて、ついずるずると食べ進めてしまった)

未央(うーん……おいしい。おいしいね、これは。いい感じの弾力で、かたすぎもせず、やわらかすぎもしない。これぞ讃岐うどん、って感じ。詳しいわけじゃないんだけど)

未央(どこかしなやかで、するすると食べ進められてしまう。あっさりとしながらもしっかりとした旨味を持つ出汁が絡んで、ズルズルと啜っていくのが気持ちいい)

未央(ずずーっと啜って、はぁーっと一息。そしてまたずずーっと啜って、はぁーっと一息。このサイクルがたまらない。麺類のものを思い切り啜るのって、上品とは言えないんだろうけど、やっぱり、すごく気持ちいい)

未央(ここらで鶏天とかやくご飯もいただきましょう。……んん、これもこれで良い感じ。揚げたて熱々ってわけじゃなくて、むしろもうちょっと冷めちゃってるけど、これはこれでおいしいなぁ。こういう、ちょっと冷めた感じのもののおいしさって、どう表現すればいいんだろう。衣もサクサクじゃなくなっちゃってるんだけど、それが良い、みたいな……難しい)

未央(かやくご飯も同じで、ちょっと冷めてしまっている。でも、それが良い。少し冷めることで味がしみたりしているのだろうか。なんか、落ち着いていながらもしっかりとした味合いを感じて……そう言えば、うどんと同じ出汁を使ってるんだっけ。食べていると、どこか安心したような気分になる。家庭的……とは、ちょっと違うけど、どうしてか少し懐かしい。そんな感じだ)

未央(そうして、またうどんをずずーっと啜って、出汁をごくごく飲んで、はぁーっと一息ついて……ぱくっと鶏天やかやくご飯にお箸をつけて)

未央(んん……このサイクル、止められないっ!)

737: 2018/08/20(月) 23:43:38.75 ID:1QUlsanb0

――店の外

未央「はー……結局、お出汁、ぜんぶ飲んじゃったよー」

P「俺もそうだな。思ったよりも腹が膨れたんじゃないか?」

未央「うん。動けないーってほどじゃないけど、思ったよりは、ね。でも、あっさりしてたし、食べやすくて……たぶん、大盛りでもいけちゃったね。頼まなくてよかったけど」

P「そうだな。もうそろそろ夏も終わるが、あんまり食欲がないときなんかには重宝しそうだ」

未央「それは確かに……って、そう言えば、もうそんな時期かー。高校の頃だと……そろそろ夏休みが終わる頃だね。宿題に追われる時期だ」

P「去年なんて、確か、ちょっと早くに夏休みが終わって、もうそろそろ始まる頃だったんじゃないか?」

未央「んー……そうだったような気もするし、そうじゃなかったような気もする……去年は忙しかったからあんまり覚えてないね。学校でも学校じゃなくても、勉強してた気がするし」

P「受験生だったもんな。大学は九月の半ばか終わりくらいまで休み、だったか」

未央「だね。そのあたりはプロデューサーのほうが詳しいかも」

P「なんでだよ。確かに未央のスケジュールはだいたい頭に入ってるが」

未央「私よりも私のこと知ってるかも?」

P「そんなことはないと思うが……」

未央「でも、大学が休みでも、あんまり休みだーって感じはしないかも。プロデューサーがいっぱい仕事をくれるからねー」

P「ああ。高校の頃に比べて仕事を入れやすくてありがたい」

未央「私も仕事がいっぱいでありがたい……けど、お休みもほしいなー? なんて」

P「心配するな。身体は壊さないように気をつけてる」

未央「身体が壊れなかったらいいってものじゃないですよ?」

P「ははは」

未央「笑い事じゃないんですけど!?」

P「……まあ、ちゃんと考えてるよ。大学生とは言っても、だしな。昔に比べると、さすがに頑張りすぎたりはしないようになってるが」

未央「……そう言われたらそう言われたで、なんか、調子狂うね」

P「どうしろって言うんだよ。……とにかく、また休みは入れておくよ。遊びすぎて遊び疲れられても困るが……そういう日も、あったほうがいいかもしれないからな」

未央「……プロデューサーは?」

P「俺?」

未央「身体は壊さないように気をつけてるかもしれないけど……たまには遊ぶのも、大事だよ」

P「……そうだな。俺も、ちゃんと休んで、ちゃんと遊ぶよ。それでいいか?」

未央「んー……あんまり信じられませんなぁ」

P「そんなに信頼できないか? 俺」

未央「プロデューサーは私に頑張りすぎないようにって言うくせに、自分は頑張りすぎちゃったりしますからなぁ。休日はしっかり休んでるんだろうけど……遊ぶのは、信頼できない、から」

P「から?」

未央「私もプロデューサーもオフのときに、さ。……いっしょに遊んだり、しませんか?」

P「……」

未央「……む、無言は、ちょっと、悲しいんですけど?」

P「……あ、いや、悪い。……うん。そうだな。未央がいいなら、そう、するか」

未央「ほんとに? ほんとに、いいの?」

P「いいよ。むしろ、こっちからお願いしたいくらいだよ。未央は俺よりずっと遊び方を知ってるだろうし……未央となら、俺も、しっかり遊べそうだからな」

未央「……そ、っか。そっか。そう、ですか。……よーし! それじゃ、未央ちゃんがプロデューサーのことをヘトヘトになるまで遊び疲れさせちゃうからね! 覚悟しておくよーに!」

P「いや、ヘトヘトにされたら困るんだが……おい、聞いてるか? 未央? おーい」



本田未央「プロデューサーとのごはん」モバP「ハヤシライス編」
738: 2018/08/20(月) 23:49:14.36 ID:1QUlsanb0
これにて今回は終了です。
夏だしさっぱりしたものをー、って思いましたがちょっと涼しくなってきちゃいましたね。いや、涼しくなってきたこと自体は嬉しいんですが、また書くのがちょっと遅れちゃったかー、って感じです。

今回はうどんですね。讃岐うどん。ひやかけ、おいしいですよね。ごまかしがきかないとは言いますが、こんな季節にはおいしいお店でひやかけをぐいぐいするのが気持ちいいように思います。苦味がえぐみがなく、しかししっかりとした旨味を感じる出汁でいただく冷たいおうどんを一気にすする……気持ちいいです。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

引用: 本田未央「プロデューサーとのごはん」 その2