71: 2016/04/06(水) 20:10:26.09 ID:QnPQBTkbo
前回:曙「このアホ提督!」 陸奥「アホ提督ね♪」【2】
この章の最初から:曙「このアホ提督!」 陸奥「アホ提督ね♪」
一番最初から:陸奥「堅物なこまったさんね~」
――――― 曙着任から3ヶ月後 鎮守府廊下
72: 2016/04/06(水) 20:10:53.77 ID:QnPQBTkbo
曙 「さて、じゃあ遠征報告行ってくるわ」
潮 「あ、わたしも行くよ」
朧 「潮、また提督に叫んだりしちゃわない?」
漣 「ご主人様もびっくりするのが面白いよね! 」
潮 「だ、大丈夫だよ……多分…… 」
曙 「潮も大分クソ提督に慣れてきたよね」
朧 「提督のほうが、いつ叫ばれるかとビクビクしてる感じだね、最近は」
漣 「潮も頑張って苦手克服してるんだねぇ。これも毎日の近代化改装のおかげかもね☆」
潮 「漣ちゃん! もうわかってるもん! 補給だよ補給! 」
朧 「あははは」
73: 2016/04/06(水) 20:12:14.79 ID:QnPQBTkbo
――――― 少し後 提督執務室
曙 「以上、遠征は成功しました」
五月雨「遠征お疲れ様でしたー! 南方の遠征はいかがですか? 」
曙 「きつかった。成功したものの結構ギリギリだったわ」
比叡 「遠征も大変そうね。お疲れ様」
潮 「比叡さん、今日はどうされたんですか? 」
比叡 「今朝廊下でね、五月雨が目の前で転んで、大事な資料をわたしにぶちまけたのよ……。その流れで手伝いにね」
五月雨「あ、あはは…… 」
時雨 「五月雨のドジは相変わらずだからね」
羽黒 「あはは……でも、五月雨ちゃんのおかげでお手伝いがいっぱいいるからね」
利根 「五月雨は顔が広いからのー」
曙 「確かに、最近はいつも執務室は人でいっぱいよね。クソ提督、こんなんでちゃんと執務できてるの? 」
提督 「ああ、皆手伝ってくれて助かっている。それで遠征の件だが、曙でも南方の燃料輸送遠征は厳しそうか? 」
曙 「そうね……燃料を得るとなるともう少し奥地に行かないと駄目そうだから、もう一段階高い練度がいるでしょうね」
提督 「そうか……ありがとう。七駆は数日は休暇になる。ゆっくり休んでくれ。潮もご苦労だった」
潮 「は、はいぃぃぃ、ありがとうございます!(裏声) 」
74: 2016/04/06(水) 20:12:53.05 ID:QnPQBTkbo
――――― 直後 鎮守府廊下
曙 「潮も大分慣れたじゃない。急に話しかけられても叫ばなかったし」
潮 「う、うん。すごくびっくりしたけど、ギリギリセーフだったよ」
曙 「最初は、一歩近づかれるだけで泣きながら逃げ出してたのにね」
潮 「だって……提督すごく大きいし……いつも難しい顔してるし……怖かったんだもん」
曙 「今は怖くないんだ? 」
潮 「うん。実はすごく優しい人だって分かったし……。だからみんなも提督とすごく仲良くなってるみたいだし」
曙 「そうねぇ……まったく、あんなクソ提督のどこが良いんだか」
潮 「うふふ、曙ちゃんもすっかり提督と仲良しだね」
曙 「今の発言からどうしてそうなるのよ! 」
75: 2016/04/06(水) 20:13:22.15 ID:QnPQBTkbo
++++++++++
この頃は、執務室にいつも何人かの艦娘が入り浸っていて、五月雨を手伝って秘書艦業務をしてたのよね。アホ提督と二人になったときに昔のことを謝りたいと思っていたあたしは、考えてみたら二人きりになる時間なんて全く無いと気がついて……イライラしていた。一歩踏み出せば二人で話せる時間なんていくらでも作れるのにね。ほんと、あたしのアホ!
だけど……この後事態はどんどん悪くなっていく。それもまたあたしのせいでもあったんだけどね……
++++++++++
76: 2016/04/06(水) 20:14:17.93 ID:QnPQBTkbo
――――― 1週間後 港
朧 「ええっ! 五月雨ちゃんが旗艦なの!? 」
五月雨「はいっ! 今後当分はわたしが旗艦でこの遠征を続けますのでよろしくお願いしますっ」
潮 「え、え? じゃあ秘書艦はどうするの? 」
五月雨「秘書艦は……神通さんに交代になりました。だからわたしもこれからは遠征要員です! よろしくねっ」
曙 「よろしくねって……最初からずっと秘書艦だったのに、五月雨はそれでいいの? 」
涼風 「ああっと、みんな、ちょっと来てくんなっ」
涼風 (五月雨、さんざん泣いて落ち込んで、やっと元気になったんだ。どうか触れないでやってくれよ)
漣 (やっぱりショックだったんですね。ご主人様はどうして秘書艦交代なんてしたんだろ)
五月雨「これ涼風! 旗艦のわたしをのけものにしてナイショ話しないのっ! この遠征の旗艦を努められる練度の駆逐艦ってわたしだけだから仕方ないの」
潮 「確かに五月雨ちゃんはうちで一番練度が高い駆逐艦だけど…… 」
五月雨「それに……最近は人数がすごく増えて行ける海域も増えて……わたしは事務作業とか得意じゃないから、秘書艦仕事も限界だったのかなって。だから自分にできる仕事として、遠征頑張るよ!」
朧 「そうだね。確かに五月雨にしか出来ない役割だもんねこれは。あたし達も練度上げて、交代できるようにならなきゃ」
曙 (………… )
77: 2016/04/06(水) 20:15:08.36 ID:QnPQBTkbo
――――― 午後 提督執務室
五月雨「というわけで、遠征は無事成功です! 燃料と鋼材をいっぱい持って帰ってきました! 」
神通 「五月雨ちゃん、お疲れ様でした」
提督 「ひさしぶりの遠征なのに、いきなりきついのを任せてすまなかった。無事でホッとした」
五月雨「えへへ、がんばっちゃいました! さて、この後もう1回行ってきますね! 」
提督 「1日2回で計画しているが、どうか無理はしないでくれ。早急に駆逐艦の練度を上げて、交代できるようにするからな」
五月雨「このくらいへっちゃらですよ! それじゃあ行ってきまーす! 」
バタン
曙 「……クソ提督、何考えてんのよ」
提督 「……」
曙 「そりゃこの遠征を上手く回せれば資材はすごく楽になるわよ。でもそのために五月雨を秘書から外すってどういうことよ! 」
提督 「神通が秘書では不満か……? 」
神通 「…… 」
曙 「え!? 神通さんで不満とかそういう話じゃなくて…… 」
提督 「秘書艦をずっと固定している鎮守府のほうが珍しいんだ。それに最近は秘書仕事が多すぎて、五月雨に毎日残業してもらって苦労をかけていた。そういうことも含めた判断だ」
曙 「……えーえー、確かに正論なんでしょうよ。でも、あたしがしてるのはそういう話じゃないのっ。その様子じゃ五月雨にもちゃんと話して無いんでしょ? まったく、ほんとにクソ提督よ、このクソ提督!! 」
バタン
78: 2016/04/06(水) 20:15:56.95 ID:QnPQBTkbo
提督 「……………………はぁ 」
神通 「提督……差し出がましいとは思いますが……曙ちゃんの言うことも一理あります。五月雨ちゃん、すごく落ち込んでると思いますよ」
提督 「…… 」
神通 「五月雨ちゃんを急に秘書から外したこと、代わりにわたしを秘書に起用されたこと。突然過ぎて、わたしも含めてみな首をかしげています。少なくとも五月雨ちゃんと……わたしには、理由をご説明いただけると嬉しいです。それから、何を期待してわたしを秘書艦に起用したのかも知りたいですね」
提督 「……。俺はミスが怖い。司令部の判断ミスで、誰かが沈んだり傷ついたりすることが無いように努めたい。そういう点では五月雨は俺の秘書艦にはあまり向いていない。どちらかと言えば『ミスをしない』の対極にいるような子だからな」
神通 「そんな……。確かにドジな子ですけれど、その分がんばり屋で、大勢の仲間に支えられて、しっかり秘書艦を努めてきたじゃないですか」
提督 「ああ。だが、俺の期待に応えるために無理に無理を重ねているのは見ていて辛かった。本当ならもっと早く秘書艦を交代すべきだったんだ。だが、俺が彼女に甘えてここまで引っ張ってしまった」
神通 「…… 」
提督 「君に期待することは、俺がミスをしないよう、どこまでも厳しく監督することだ。よろしく頼む」
神通 「はい……承知しました…… 」
79: 2016/04/06(水) 20:16:41.88 ID:QnPQBTkbo
――――― 数日後 港
漣 「ふー、無事帰還! 今日はこれで終わりかぁ。毎日忙しくてやんなっちゃう! 」
朧 「うん、急に忙しくなったね。南方の遠征に出られる練度の駆逐艦が少ないから仕方ないけど」
潮 「はふー、ほんとに疲れたよー」
曙 「文句言わない。五月雨なんてわたしたちよりもう1回多く遠征出たんだよ、今日も」
五月雨「曙ちゃんありがとうー。でも電ちゃんも旗艦出来るようになったから楽になったよ、すっごく」
涼風 「でも五月雨もちょっと疲れてるよ。さ、すぐ帰って早く寝よう」
曙 「それがいいよ。報告はあたしの方で行っておくからさ」
五月雨「うん、ありがとう~」
80: 2016/04/06(水) 20:17:23.96 ID:QnPQBTkbo
――――― 少し後 提督執務室
コンコンコン
曙 「曙、入ります」
神通 「遠征報告ですね。お疲れ様です」
曙 「はい。遠征は無事大成功でした」
提督 「お疲れ様」
シーン
神通 「…… 」
曙 「…… 」
毎日あんなに賑やかだった執務室が……。もちろん、これが普通なのは分かる。でも……。
提督 「曙、後ほど皆にも通達が行くが、今後は遠征報告は執務室まで来なくても大丈夫だ」
曙 「……どういうこと? 」
提督 「港横の工廠入り口で、夕張が遠征報告を受け付ける仕組みにした。だから明日からはいちいち執務室まで上がらなくて大丈夫だ」
曙 「……ご配慮アリガトウ。心から感謝いたしますわ、このクソ提督っ! 」
バタン
81: 2016/04/06(水) 20:17:51.47 ID:QnPQBTkbo
――――― 夜 第七駆逐隊の部屋
漣 (潮、ほら頼んだっ)
朧 (潮、お願いね)
潮 (えー、どうしてわたしばっかり……)
曙 「……何こそこそ話してんのよ」
漣 「え!? いや、ほら……ねぇ」
朧 「え、えっと、潮から話があるんだって。ほら、潮」
潮 「え、えー! 」
曙 「……何なのよ」
潮 「あの……あのね曙ちゃん。帰ってきてからずっと難しい顔してるけど、どうしたの……? 」
曙 「はぁ? 別になにもないわよ」
漣 「いやー、それは無理があるでしょ。ずっと眉間にシワがよりっぱなしだし」
朧 「何か思い出しては『チッ』とか舌打ちしてるし…… 」
曙 「……チッ」
漣 「ひぃぃ」
82: 2016/04/06(水) 20:18:43.78 ID:QnPQBTkbo
曙 「……悪かったわよ。ちょっとイライラしてたから」
潮 「提督のところに行ってからだよね。提督とケンカしちゃった? 」
漣 (聞きにくいことをナチュラルに聞いたっ。そこに痺れるあk(ry
曙 「……何も無いわよ」
潮 「なにもないならどうして? 」
曙 「何もなかったからイライラしてたの! 」
潮 「……ふぇ? 」
曙 「だからー! 潮も聞いたでしょ? 遠征報告で執務室に行かなくて良くなるって」
潮 「あ、うん。聞いたけど……それがどうしたの? 」
曙 「秘書艦が五月雨じゃなくなったから、執務室に人が集まらなくなったでしょ! その上、報告も誰も行かなくなるんだよ? つまり執務室は1日中、クソ提督と神通さんが無言で作業をするだけの場所になっちゃうのよ! 」
潮 「そっか……そうだね。なんだか急に寂しくなっちゃうね」
曙 「そうよ! せっかく賑やかで楽しそうだったのに! 今日行った時も、無言の寒々しい雰囲気だったわよ! 」
潮 「えっと、それは分かるんだけど……それでどうして曙ちゃんがイライラしちゃうの? 」
曙 「え!? えっと、それは…… 」
潮 「提督が寂しくなっちゃって可哀想だから? 」
曙 「/// ばっ、馬鹿言わないでよ! クソ提督が寂しかろうがあたしには全然関係ないわよ。そもそも自業自得……そう、自業自得なのに寂しそうにしてたからイライラしたのよ! 」
潮 「ふーん。なんだか難しいね」
漣 「うんうん、そうなんだよ潮くん。ぼのたんは難しい子なのだ」
曙 「漣っ! 何わかった風なこと言ってるのよっ」
漣 「きゃー、ぼのたんが怒ったー! 」
ワイワイ
83: 2016/04/06(水) 20:19:10.38 ID:QnPQBTkbo
++++++++++
この時あたしは、アホ提督がわざと自分を追い込むような決断をしたんだって知らなかった。
だから、色々やってみては墓穴を掘っておかしな方向に進んでいると思って、それでイライラしていたのだ。
知らないっていうのは本当に罪深い。提督の自業自得なんて言っていたけれど……自業自得なのはあたしの方じゃないか!
++++++++++
曙「このアホ提督!」 陸奥「アホ提督ね♪」【4】
84: 2016/04/06(水) 20:19:57.60 ID:QnPQBTkbo
本日分は以上となります。次回は明後日金曜日には更新したいなーと思っています。
おそらく次回か次々回で回想編が終わって、むっちゃんも登場する本編に入ります。もうしばらくお付き合いください!

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