83: 2012/05/31(木) 19:52:55.36 ID:H/SWMSSm0


「あなた様、小鳥嬢。折り入ってお話があるのですが……」

「どうしたの、貴音ちゃん?」

 いつもの事務所。貴音が仕事中の音無さんと俺に相談に来た。ん、どうした急に?

「実は三週間ほど有給を戴きたいのですが……」

「な……、三週間だとっ!?」

 とてもじゃないが容認できない。一体どういう事情で仕事を三週間も休むというのだ?

「私事で申し訳ないのですが、趣味で応募したツアーのチケットに当選しまして……」

「それで三週間も空けるって、一体どこに行くつもりなんだお前は?」

「月です」

「へ?」

「わたくしが当選したのは国際宇宙ステーション見学ツアーで、そのスケジュールの中で月面着陸が予定されています」

 ………マジかよ。しかし貴音の顔は大真面目だ。これは早急に社長達とと協議をする必要があるな。



アイドルマスター
84: 2012/05/31(木) 19:54:28.55 ID:H/SWMSSm0


―社長室―


「ああ話は聞いてるよ。これはNASAも協力している国家プロジェクトに関わる話だ。政府から直々に招待状が送られて
 来たよ。いくら私でも国には逆らえない。是非行ってきてくれたまえ」

 ホクホク顔の高木社長。これ以上の事務所の宣伝はないだろう。そして貴音は日本人の民間人第一号に選ばれたらしい。
月面着陸にあたりアメリカで10日間程度の研修とトレーニングが必要だそうだが、知識の豊富な貴音なら問題ないだろう。

「ありがとうございます高木殿。月面着陸はわたくしの長年の夢でした。人類の為に全力を尽くして参ります」

 なんだか壮大な話になってきたな。ただの体験ツアーじゃないのか?

「正直三週間も抜けられたら痛いけど、まあこのツアー自体が仕事みたいなもんだしね。こっちは私達に任せて頑張って
 きなさい」

 律子が笑顔で送り出す。てっきり反対すると思っていたのだが意外だな。

「ここで頑張らないでいつ頑張るんですか。幸い大きいライブの予定もありませんし大丈夫でしょう。だから
 プロデューサー殿、貴音を頼みましたよ」

 おう任せとけっ!!………なんだって?

「キミィ、ツアーの概要をよく読みたまえ。ここに『ペア』って書いてあるだろう?だからしっかり四条君をサポート
 するんだよ」

「ロマンチックですね宇宙旅行なんて~。乙女心が騒ぎます~」

 ウソだろ?俺も行くのかよ!熱海に温泉旅行じゃねえんだから、政府も軽々しくペアのツアーなんて企画してんじゃ
ねえよ!それから音無さん、そのセリフは10年くらいおそry

「あなた様はわたくしと月に行くのが嫌なのですか………」

「キミィ………」

「プロデューサー………」

「10年が何ですって………?」

 涙目の貴音と睨みつける社長達に抵抗出来ず、俺はお手上げのポーズをとった。わかりましたよ行きますよ。でも俺まで
抜けて大丈夫なんですか?宇宙から戻ってきたら事務所が無くなってるとか勘弁して下さいよ。


85: 2012/05/31(木) 19:56:44.10 ID:H/SWMSSm0


***


「プロデューサーさん聞きましたよっ!!宇宙旅行頑張って下さいねっ!!」

「いいなあ→、亜美も行きたいな→」

「月のお姫様が本当に月に行くなんて、これはお姫ちんの実家訪問ですなあ兄ちゃん」

「くぅ~、ロマンチックだな~っ!!ボクも行きたいですよっ!!」

「憧れちゃいますう。きっとお星さまとかきれいなんだろうなあ……」

 社長室の外にいた春香達が質問攻めをしてくる。決まっちまったもんは仕方ない。俺がいない間サボるんじゃ
ないぞ。

「プロデューサー、貴音とふたりきりだからって、やらしいことしたらダメだぞっ!!」

「ハニーとハネムーン旅行なんてズルいよ貴音~。ミキと代わろうよ~」

 響と美希が貴音をガードしている。お前らはどうしてそう飛躍しているんだよ。

「ふつつか者ですが、よろしくお願いします………」

 貴音が三つ指ついてしずしずと頭を下げる。お前もノるんじゃねえよ。

「うっうーっ!月の石持って帰ってきてくださいねプロデューサーッ!」

「プロデューサーがいない間はNASAの人が手伝いに来てくれるそうです。安心して行ってきて下さい」

「火星人さんに会ったら仲良くして下さいね~。貴音ちゃんも行ってらっしゃ~い」

「しっかりやってくるのよ。この計画には水瀬財閥も出資してるんだからねっ!!」

 こうして俺と貴音は、事務所のみんなに宇宙へ笑顔で送り出されて行った。誰も引き留めてくれないの?
女って薄情だよな……




86: 2012/05/31(木) 19:58:56.18 ID:H/SWMSSm0


―月―


「『山ほどアイマスSSを見て来たが、俺達が月に来たのは初めてじゃないのか……?』」

「『めたな会話ですね。あなた様、機材の調子はどうですか?』」

 宇宙服越しに通信機で問題ないと言い返して、俺と貴音は月の上を歩いた。偉大な月の上に、俺ごときの足跡など
つけて良いのだろうか。俺達はしばしの間、月面着陸を楽しんだ。

「『しかしこんなゴツイ宇宙服を着ていると、月を踏みしめた感触も感慨もないな。あのトレーニングや研修と比べれば
 楽しいが……』」

「『う…ううぅ……』」

 俺が月をピョンピョン飛び跳ねていると、突然貴音が泣き出した。どうしたっ!?何か問題でも起きたかっ!?

「『違うのですよあなた様……わたくしは嬉しいのです。ずっと憧れていて、地球上で眺めていた月の上に今こうして
 立っているなんて、まだ夢のようで……。見てくださいあなた様、地球があんなに青く美しく見えます……』」

 貴音が指を指した先には、我らが母の星が上半分だけぼんやりと浮かび上がっていた。“地球は青かった”確か
ガガーリンだっけか。こんな当たり前の言葉でも、月で見るとまた感じるものが違うなあ。

「『わたくしの生涯をかけての望みは達成されました。今この瞬間に、ここで氏んでも悔いはありません』」

「『おいおいそれは困るな。俺達には全員でトップアイドルになる夢があるだろう。無理矢理引っ張ってでも、お前には
 地球に帰ってもらうぞ』」

「『ふふ、冗談です。あなた様はいけずですね。まだもう少し時間があります。もう少しこの一時を楽しみましょう』」

 そう言って月の上を跳ねる貴音。あまり遠くに行くなよ。近い将来、こうして一般人でも月に行ける日も来るだろう。
それまでしっかり貯金しておけよ。そしたら好きな相手と新婚旅行でまた来れるかもしれないぞ。

「『そうですね。その時はまたよろしくお願いしますね。あなた様』」

 ん?どういう事だ?聞き返した俺に貴音は答える事無く、鼻歌を歌いながら月の散歩を楽しんでいた。


87: 2012/05/31(木) 20:00:28.42 ID:H/SWMSSm0


―765プロ事務所―


「ただいま~」

「ただいま戻りました」

 三週間ぶりに俺と貴音は事務所に、いや日本に戻って来た。さて、早速仕事にとりかかるかっ!!

「お帰りなさいプロデューサー殿。宇宙旅行お疲れ様でした」

 旅行じゃねえよ。トレーニングやら研修やらでほとんどゆっくり出来なかったんだぞ。俺も貴音ものんびり出来たのは
月の上だけだ。まあ貴重な体験だったけどな。

「今まで任せていて悪かったな律子。今日から俺も復帰するから。お前もゆっくりしていてくれ」

「全然問題ありませんよ。NASAの人達が手伝ってくれましたから先のスケジュールまで決まっちゃってて、私も随分楽を
 させてもらいましたよ」

 律子が苦笑しながら応接スペースの方を指さす。そこではイケメンアメリカンのナイスガイ2人が別れの挨拶をしていた。

「Good bye Chihaya. See you again.」

「ありがとうございました。ボブもアメリカで頑張って下さいね」

 いつもより豊かな表情の千早。へえ、ずいぶん心を開いているじゃないか。……何だこのモヤモヤ感は。

「Oh,Azusa……. I miss you, and I love you」

「マイケルさん……」

 おいおいあれは問題だろう。このままだとあずささんがあのメリケン野郎に攫われちまうぞ。


88: 2012/05/31(木) 20:01:58.86 ID:H/SWMSSm0


「おかえりなさいプロデューサーッ!!月の石持って帰ってきてくれましたかあ?」

 おおやよい。スマンな、国際条約で禁止されていて残念ながら持ち帰る事は出来なかったんだ。代わりといっては
なんだが、宇宙ならではのお土産があるぞ。

『―――宇宙名物・NASAせんべい―――』

「うわ―――――――んっ!!」

「ちょっとっ!!あんたなにやよい泣かせてんのよっ!!」

「うわあ……、これはないよ兄ちゃん……」

「これじゃああずさお姉ちゃんマイケル兄ちゃんに取られちゃうYO……」

 伊織と亜美真美に怒られた。おかしいなあ。喜んでくれると思ったんだけど……

「ところで響と美希の姿が見えませんが、仕事でしょうか?」

 貴音にそう言われて気付く。確か今日は全員揃っているって聞いてたんだがな。

「それがですね、ちょっと問題が発生しまして……」

 音無さんがこっそり耳打ちしてきた。どうしたんですか?

「今日の朝一番に事務所に電話がありまして。響ちゃんのペットが大ゲンカしちゃってマンションを追い出されちゃった
 みたいで、次のマンションが見つかるまで仕事を休むって言ってました」
 
 そりゃ大変だな。俺も手伝ってやらないと。


89: 2012/05/31(木) 20:02:42.58 ID:H/SWMSSm0


「いえ、響ちゃんはまだ大丈夫なんですけど大変なのは美希ちゃんの方で。こっちはもう一週間も休んでます」

 何やってるんだよアイツは。何か問題でも起こしたんですか?

「それが理由を教えてくれないんですよ。社長も律子さんも何度か家に行ったんですけど取り合ってくれなくて。ご両親
 も心当たりがないみたいで……」

 ずいぶん深刻ですね。帰って来て早々あいつは面倒かけるよ本当に。とりあえず響から片付けていくか。

「分かりました。とりあえず今日は荷物も片付けたいし、俺と貴音は帰りますね。後はよろしくお願いします」

「そうですね。プロデューサーさんと貴音ちゃんは明後日からお仕事ですので、ゆっくり旅の疲れを癒して下さい。
 私達はこれからボブさんとマイケルさんの送別会がありますので」

 そう言って、肉食獣のような視線をNASAのふたりに向ける音無さん。彼らを追ってそのままアメリカに行って
いただいても結構ですよ。でもあずささんと千早はしっかり守って下さいね。

「それじゃあ会場行くわよみんな~っ!!社長はもう会場確保してくれてるみたいだから、さっさと準備しなさ~い!!」

 はーい、と元気に返事をするアイドル達。この三週間ですっかり俺の居場所は奴らに奪われたようだ。765プロは奴ら
に任せて、俺はこのまま辞職しても誰も引き留めてくれなさそうじゃないか?やよいのがっかり具合は尋常じゃないし、
信頼回復に苦労しそうだぜ。

「ふむ。美希が休んでいる理由が何となく分かった気がします」

 ん?心当たりでもあるのか貴音。

「何でもありません。しかし美希はあなた様が迎えに行かなければならないでしょう。あの子も油断なりませんね。
 ふふふ……」

 貴音はそれだけ言い残すと、深々とおじぎをして事務所から姿を消した。俺は後を追おうとしたが、事務所の外を出ると
既に貴音の姿は無かった。相変わらず謎の多いやつだな。三週間一緒にいたけど、あいつの事で分かった事は笑点が好きな
ことくらいだ。ハードな研修中でも衛星放送を引いて欠かさず見ていた。ますます謎が深まったよ。



90: 2012/05/31(木) 20:03:34.92 ID:H/SWMSSm0


―夕方・P宅マンション前―


「あれ?あそこにいるのは……」

 家に帰ると、マンションの前に響がいた。

「あれ?プロデューサー?どうしてこんなところにいるさ?」

「どうしてって、ここは俺のマンションなんだが……」

「そうなのか?自分は不動産にペット可のマンション紹介されたから見に来たんだけど……」

 ああ、そういえばウチのマンションペット可だったな。所属アイドルのペットの面倒を見る可能性も考えて、ペット可の
物件を選んだんだったっけ。しかし今日追い出されたのか。ずいぶん急だな。

「そうだ。どうせなら今晩泊まって行くか?貴音の家はここから遠いし、どうせ今日見つからなかったら野宿でもする
 つもりだったんだろう?プロデューサーとして容認出来ないな」

「いいのかっ!?いや~助かったさ~っ!!今日は見に来ただけだったからホントに困ってたぞっ!!」

「ただし今日だけだからな。明日以降は貴音かあずささんのところにでも行って泊めてもらえよ」

「ん?どうしてだ?」

 どうしてだってなあ……。この警戒心のなさは沖縄人だからかなあ。

「じゃあさっそくお邪魔するぞっ!!みんな出て来るさーっ!!」

 響がそう呼びかけると、物陰から沢山の動物が出て来た。犬やウサギ程度ならともかく、ワニはOKなのだろうか。
俺は早くもちょっと後悔した。


91: 2012/05/31(木) 20:04:55.86 ID:H/SWMSSm0


―Pの部屋―


「いっただっきまーすっ!!」

「いただきます」

 響と共に夕食を囲む。三週間家を空けていたので食材は空っぽで、先ほど2人で食材の買い物に行った。予想はしていた
が、響はゴーヤやランチョンミートなど沖縄チックな食材をポンポンチョイスしていく。ランチョンミートって豚肉じゃ
なかったか?さっきお前のペットの中にいたような気がするのだが、別に構わないのだろうか。ツッコミを入れると泣く
かもしれないので黙っておく。そして響は晩ごはんを全部作ってくれた。うん、おいしい。お前料理出来たんだな。

「ふふん♪自分は完璧だからなっ!!実家では夕食は自分が担当していたぞっ!!」

 へえ。意外なスキルだ。ついでにペット達のご飯も作ってやって、にぎやかな夕食となった。

「なんだかこうしていると、響と同棲しているみたいだな」

「ぶはっ!?な、ななな何言い出すさこのヘンタイッ!!プロデューサーはヘンタイさーっ!!」

 響は味噌汁を噴き出しそうになる。いや、今更そんなリアクションを取るのか?よくそんなので今まで生きて来れたな。

「だ、だって貴音もプロデューサーもいなかったから久々に会えて嬉しかったというか……、って、何言わせるさ!」

 顔を真っ赤にしながら怒る響。ボブやマイケルとは上手くいかなかったのか?

「いや、あのふたりは良い人だったんだけど、自分ちょっとアメリカ人苦手で………」

 そっか。大変だったんだな。いつか沖縄の人達もアメリカと仲良く出来たらいいな。

「沖縄の人全員がアメリカ嫌いってことはないぞっ!!でもプロデューサーが戻って来てくれて良かったさ。きっと美希も
 喜ぶさっ!」

 何で美希が出て来るんだ?あいつもあのふたりと上手くいかなかったのか?

「プロデューサーは鈍感だな。あんまり鈍いと自分も怒るぞっ!」

 待て。どうして俺が怒られないといけないんだ?俺は美希にも皆と同じように優しく接しているつもりだぞ。

「えっと、それは………、うがーっ!!と、とりあえず明日は美希に優しくしてあげるさっ!!いつも美希がハニーハニー言って
 るんだから、明日はプロデューサーが美希の事ダーリンって言ってあげるさっ!!」

 いきなり響がキレた。ダーリンって、それは意味が違うと思うが……。しかし良いのか美希だけ特別扱いして。貴音と
宇宙に行った時だって、お前は気に入らなかったようだが。


92: 2012/05/31(木) 20:05:40.45 ID:H/SWMSSm0


「自分はもう満足さっ!プロデューサーに自分の料理をおいしいって言って食べてもらったし、今日家に泊めてもらうし。
 これ以上幸せになったらみんなに悪いぞ」

「これくらいで大げさだな。困った時はいつだって頼ってくれてもいいんだぞ。俺はお前の味方だ。いつだって力になって
 やる。またこうやって飯を作ってくれよ。響の料理ならずっと食べていても飽きなさそうだ」

「ホ…、ホントかっ!!」

 急に身を乗り出す響。ああ。お前は将来良いお嫁さんになれるよ。

「そ…、そうか……。えへへ、そうなのか……」

 そう言うと、響はデレデレと頭上のハム蔵をいじりはじめた。ハム蔵はぢゅーぢゅー悲鳴をあげている。

「な…、なあプロデューサー……。また来てもいいか……?この部屋パッと見は片付いているけど、部屋の隅にほこりが
 たまっているぞ。今度は掃除をしたいというか……」

「それは助かるが……。だが泊まるのは今晩だけだからな。夜にはちゃんと帰れよ」

「もちろんさっ!えへへ、何だかホントに同棲しているみたいだぞ………」

 ぶつぶつつぶやきながらも上機嫌の響であった。そういえばこのマンション、上の階に空き部屋があったっけな。下の階
なら防犯上の問題もありそうだけど、上なら大丈夫だろう。俺が近くにいれば、女の子の一人暮らしでも心配なさそうだし。
明日美希のところに行く前に不動産でちゃちゃっと契約してやるか。


93: 2012/05/31(木) 20:08:44.54 ID:H/SWMSSm0


―翌朝―


「……で、これはどういうことでしょうか?」

「いや、だから確かに昨日は響きがベッドで寝て、俺は床に布団を敷いてだな……」

「むにゃ……、ふにゃあ……。なんくるないさ~………」

「お黙りなさいっ!!」

 現在朝7時。現在俺は響と正座させられて、貴音に説教されている。話は少し前に遡る。以下回想

~~~

「……てください。起きて下さい、あなた様……」

俺を呼ぶ声に目を覚ますと、そこには貴音が能面のような顔で見下ろしていた。

「おはようございます、あなた様」

「ああ、貴音か……。おはよう………。もうちょっと寝かせてくれ………」

 寝ぼけていた俺はついつい宇宙旅行時の対応をする。貴音と過ごした三週間、全て俺は彼女に起こされていた。俺より
遅く寝るくせに、いつも俺より早く起きるのだ。結局貴音の寝顔を見た事は一度もなかった。

「……えい」

 べちゃ

「うおっ!?」

「ぢゅっ!?」

 顔の上にハム蔵を乗っけられて、俺は慌てて飛び起きた。……ってあれ?ここ俺の部屋じゃん。どうして貴音がここに
いるんだ?

「目が覚めましたかあなた様?」

「あ、ああ。おはよう貴音。どうやって入ったんだお前?」

「そんな些末な事はどうでも良いのです」

 いや、さらりと言うけど不法侵入だぞ。宇宙旅行中も勝手に俺の部屋に入ってたけどさ。


94: 2012/05/31(木) 20:09:41.02 ID:H/SWMSSm0


「あなた様、『男女7つにして席を同じゆうせず』という言葉を御存知でしょうか」

 儒教の教えだったか。まあいささか早い気もするが、そういう区別は大事だな。

「では、あなた様の横で寝ているその少女は何歳でしょうか」

 へ?貴音にそう言われて俺は初めて気づいた。俺の横では、獣のように丸まった響が幸せそうな顔ですやすや眠っていた。

「う~ん、にぃに………」

 響はそう言って、俺の腕にしがみつく。あ、柔らかい……

「……って、そうじゃなくてっ!!おい響っ!!お前どうして俺の横で寝てるんだよっ!!」

「ん~……、おはようさにぃに………」

「にぃにじゃないっ!!しっかり目を覚ませっ!!」

「どいてくださいあなた様。響が朝弱い事は承知しております。これを顔に乗せれば……」

 ふと振り返ると、貴音がワニ子を両腕に抱えて立っていた。ワニ子は貴音の迫力に圧されて身動き一つできないでいる。

「おい、無茶するな……、せめてねこ吉あたりにしておけ………」

「かなさんど……、プロデューサー………」

 え?なんだって?

「起きなさい響―――――っ!!」

 ブチ切れた貴音がワニ子を投げつけようとするのを何とか抑えて、俺は寝ぼけた響と貴音の説得に入るのだった。
回想終わり。

~~~


95: 2012/05/31(木) 20:10:43.73 ID:H/SWMSSm0


「ふむ。では本当にやましい事はなにひとつないと」

「だからそう言ってるだろうが。俺と響の間にはペット達が防波堤がわりになって寝てたんだぞ。近づこうにも
 近づけなかったよ」

 響が風呂に入っている間はやつらに取り囲まれていたからな。俺は身動き一つ出来なかった。

「みんなが誤解して気を利かせたらしいぞ。ホラ、自分とプロデューサーの腕にへび香が巻きついた跡があるさ。
 みんなが自分をベッドから落っことして、プロデューサーの横に寝かせたみたいだぞ」

 響のペット達による事情聴取で真実が判明した。ずいぶん主人想いだなお前ら。俺から響を守りつつも、ホームシックの
響のために一肌脱ぐとは恐れ入ったよ。

「あなた達、ずいぶんとおいたが過ぎたようですね………」

 ギ口リと貴音がペット達を睨みつけると、彼らは一斉に部屋の隅まで引き下がりぶるぶる震えだした。野性がなくても
本能的に怖いと感じるのだもん。俺も怖いもん。

「まあそういうワケだから、なんくるないさー!今から朝ごはん作るけど、貴音も食べていくか?食パンとサラダと
 ハムエッグだけど」

 響の笑顔に貴音はすっかり怒る気が失せたようで、溜息をつくと「戴きましょう」と答えた。ただ単に腹が減っていた
だけかもしれないが。響は朝からとても上機嫌で、キッチンで料理をしている。良い夢でも見たのだろうか。そのまま
三人で囲んで朝食を摂り、俺達はそれぞれの予定の為に身支度をした。

「それじゃあ貴音、響をよろしく頼むな」

「はい。お任せ下さいませあなた様」

「プロデューサーも、美希の事よろしく頼んだぞ!」

 俺は美希の自宅訪問。貴音は響と一緒にペット可のマンション探しだ。ウチのマンションでいいじゃないかと俺は言った
のだが、響が何故か恥ずかしがり、貴音が猛反対して却下された。何をそんなに気にしているんだ?


96: 2012/05/31(木) 20:21:44.90 ID:H/SWMSSm0

「あなた様」

 マンションの前で貴音に呼び止められる。ん?何だ?

「美希をよろしくお願いします。美希が幸せになるように導いてあげられるのはあなた様だけです。どうかあの子の気持ち
 にしっかり向き合ってあげて下さい」

 何を言ってるんだ?俺は美希にも皆と同じように優しくしているつもりだぞ?

「あなた様………」

「プロデューサー………」

 やや怖い顔をして、貴音と響が俺を睨みつける……………そっか、そろそろ俺も覚悟を決めないといけないのかもな。

「わかったよ、降参だ。でもお前達いいのか?自惚れているわけではないが、俺が『それ』に向き合ってしまったら、今後
 美希だけを特別扱いをすることになるかもしれないぞ」

「それを女に言わせるのは野暮というものです。わたくし達はわたくし達で、自分の気持ちにきちんと折り合いをつけて
 おります。思い上がるのも大概にしなさい」

 貴音がぴしゃりと言い放つ。う…、そうだな。スマン、何か勘違いしていたわ俺。

「自分と貴音は良い思いをしたし、今はこれで満足さ。それに美希もたまには報われてやらないとかわいそうさ。敵に塩を
 送るわけではないけど、美希も大事な仲間だからな!」

 響がえっへん、と胸を張る。いつでも取り返せるぞという意思表示だろうか。さすがいつも完璧完璧言ってるだけあるな。

「あまり恰好悪いところを見せないでくださいまし。他の子達もあめりかのお二方に奪われてしまいますよ」

 それは困るな。お前達のプロデューサーとして、俺はいつだってダンディじゃないといけないからな。

「さっさと美希を連れ戻して来るさ!もし失敗したら自分沖縄に帰っちゃうからなっ!」

 分かったよ。じゃあ行ってくる。俺はふたりにそう言って、美希の家に向かって駆け出した。




97: 2012/05/31(木) 20:23:29.85 ID:H/SWMSSm0


―公園―


「久しぶりだな。元気そうで良かったよ」

「うん。別にビョーキになったわけじゃないの。ハニーも元気そうで良かったの」

 ここは美希の行きつけの公園である。やや大きな池があって、美希はよくここでバードウォッチングをしている。別に
鳥が好きというわけではないそうだが、池に浮かぶカモ達からアイドルとしての在り方を教えてもらっているそうだ。
俺はまず美希の家に行き、ご両親に挨拶をした後に美希を公園に連れ出した。てっきり怒られると思って小さくなっていた
美希は、俺の誘いにやや戸惑いながらも大人しくついてきた。そして冒頭の会話に戻る。

「一週間も休んでいたそうじゃないか。理由を聞いても教えてくれないし、社長も事務所の皆も心配していたぞ。俺と貴音
 がいない間に、何か問題でもあったのか?」

 まずは優しく聞いてみる。返事は大体予想出来ているが、本人に確認する事は大事だ。

「なかったよ。アメリカのふたりはハニーよりカッコ良かったし仕事も出来たし、春香達とも上手くやってたの。ミキにも
 優しくしてくれたし、お仕事もいつもよりやりやすかったの」

 ハッキリ言われるとキツイな。確かに千早の様子を見ていたら彼らが優秀だという事はよく分かったが。アメリカで研修
を受けて俺もNASAの人達がエリートだという事は肌で感じた。でも男として比較されたら俺だって傷つくぞ。

「ボブもマイケルもハニーと違ってミキにとーっても優しくて、ミキが甘えてみても笑顔で相手してくれたの。お仕事の
 ジャマしちゃっても怒らないし、気難しい千早さんやデコちゃんとも上手くやってたの。律子も信頼していたし、
 まるであのふたりが最初から765プロのプロデューサーだったみたいなカンジに思えたの」

 何だかどんどんHPが削られていくような気がするんだが……。泣いていいかな、俺。

「でもそれがミキには逆にフシゼンだったの。みんなそれでいいの?その人達がハニーの居場所を取っちゃって、当たり前
 みたいに仕事しているけど、ハニーはすぐに帰ってくるんだよ?ボブもマイケルもイイ人だけど、その人達は助っ人で、
 765プロのプロデューサーじゃないんだよって、叫びたくなっちゃった。誰も悪くないケド」

 美希の声が途切れ途切れになる。今にも泣きそうだ。



98: 2012/05/31(木) 20:24:40.17 ID:H/SWMSSm0


「でもそう言ってるミキの中でも、あのふたりのコトがどんどん大きくなっていったの。それでハニーはどんどん小さく
 なっちゃったの。ミキはそれが怖かったの。そしてあれだけ大好きだったハニーのコトを忘れそうになっている自分が
 許せなかった。だから事務所に行かなかったら、ミキはハニーの事を好きでいられるかなって思って……」

 一応仕事をサボったことは申し訳なく思っているようだな。しかしこいつはホントに恋愛バカだな。同じ歳なのに、
どうして伊織とこんなにプロ意識に差があるのだろうか。今更言うことでもないけどな。

「カモ先生達はみんなで協力して旅をするの。今はここでゆっくり泳いでいるけど、自分達の居場所が寒くなってきたら
 暖かい所へ、時にはとーっても遠い外国まで飛んで行っちゃうの」

 渡り鳥はみんなそうだな。俺達が信じられないような距離をやつらは飛んでいる。

「ミキね、カモ先生から仲間の大切さを教えてもらったの。ひとりじゃ外国まで旅できなくても、みんなと一緒だったら
 どこまでも飛べる。それはミキ達も同じじゃないかなって。ハニーをリーダーにして、ミキ達はみんなでトップアイドル
 目指して飛んでいくの。そうじゃないとイヤなの……」

 そこまで言って、美希はめそめそ泣きだした。なるほどな。カモと同列に語られるのは何か違和感があるが、言いたい事
は理解できる。美希の中で群れのリーダーは俺だけらしい。だからボブとマイケルがそこに居るのが認められなかったと
言うわけが。長い間留守にして悪かったな。


99: 2012/05/31(木) 20:27:12.91 ID:H/SWMSSm0


「なあ美希、『刷り込み』って知ってるか?」

 俺は美希の横に並んで、池のカモ達を見る。その目線の先ではカモのお母さんがヒナ達を連れて泳いでいた。

「カモ先生達が、生まれて一番初めに見たものをお母さんだと思い込むってやつだよね?それがどうしたの?」

「俺はな、お前が俺に対して持っている好意も、それに近いんじゃないかと思うんだよ」

「………っ!!そ、そんなコト………っ!!………ないの」

 俺の言葉に美希は強く否定しようとしたが、思い当たるふしがあるようでその声は小さくなっていった。

「人間なんてのは単純な生き物なんだ。近くに居て優しくしてくれるだけで、こいつ俺に気があるのか?とすぐに勘違い
 してしまう。大人の俺だってそうなんだから、多感な成長期のお前らだったら尚更だろうな」

 美希は黙って聞いている。俺は美希の方を見ずに言葉を続ける。

「お前らアイドルはその立場上、家族以外の異性とあまり親しくなったり出来ないから、ついつい身近にいる若い男の俺に
 そういう気持ちを抱いてしまうんだと思う。しかしそれは所詮刷り込みによるものだから、今回のように俺より優秀で
 恰好良い若い男が来たら、そっちに靡いてしまうのも無理はない。それはごくごく自然なことだよ」

 それに好きと一言で言っても、その種類は色々あると思う。ビジネスライクな付き合いとか、兄を慕うような気持ちとか。
亜美や真美ややよいなんかは、まだそれがよく分かってないだろう。だから俺も変に気を持たせないように、アイドル達の
プロデュースにあたっては細心の注意を心掛けている。好意という気持ちは、そんな色々な好きと簡単に錯覚してしまう
からな。そこから始まる恋愛もあるかもしれないが、しかし俺は立場上、それを認める事は出来ない。

「そんな………、そうだったの………?ミキはプロデューサーだったら誰でも良かったの………?」

 さすがにショックを隠せない様子の美希。まるでこの世の終わりのような顔をしている。特に美希は惚れっぽい感じの
女の子だからなあ。それにハニーハニーと恥ずかしげもなく俺にべたべたくっついていたから、事実を知った衝撃が大きい
のだろう。


100: 2012/05/31(木) 20:28:22.79 ID:H/SWMSSm0


「だがな美希。俺は言ったよな?大人の俺でも勘違いをしてしまうと」

「え………?」

 俺はスーツの上を脱ぎ、ネクタイとメガネを外す。これでプロデューサーモードOFFだ。元々今日はオフだから私服
でも良かったのだが、美希のご両親に合わなければならなかったのでこの恰好をせざるを得なかった。

「いいか、一度しか言わないからよく聞けよ。これはプロデューサーとしてではない、俺というひとりの男の言葉だ」

 俺は美希の目をまっすぐ見て言った。メガネを外しているからぼんやりとしか見えないが、はっきり見えたら恥ずかし
くてとても言えん。ヘタレで結構。今からでも逃げ出したいくらいだよ。

「俺だって普通の男だ。美希みたいな可愛い女の子にハニーと呼ばれて俺が嬉しくないわけがないだろう。勿論勘違いも
 したさ。でもそれは刷り込みによる一時的なものであって、俺もそれを認めるわけにはいかなかった」

「ハニー……、それって………」

「でも今回、お前が俺の為に操を立ててくれた事で、お前の俺への気持ちは本物だとわかったよ。仕事をサボった事は
 プロデューサーとして許す事は出来ないが、俺個人としては素直に嬉しかった。ずっとひとりで俺の帰りを待っていて
 くれたんだな。ありがとう」

 俺は美希の涙をハンカチで優しく拭いてやる。いい加減に泣き止め。せっかくの美人が台無しじゃないか。俺は美希の
涙を拭いてやると、呼吸を整えて覚悟を決めた。


101: 2012/05/31(木) 20:29:41.36 ID:H/SWMSSm0


「ひとりの男として素直な気持ちを言おう。俺もお前が大好きだよ、美希。ひとりの女性として俺はお前を愛してる。
 お前が俺をハニーと呼ぶから俺はお前をダーリンと呼ばないといけないのかわからんが、そんな意味の好きだ」


 よくこんなこっぱずかしい台詞を噛まずに言えたな俺。顔から火が出そうだ。しかもこんな台詞を、自分より10以上
離れた中学生の女の子に言うことになるとは思わなかった。一世一代の告白だ。

「………美希?」

 いつまで経っても返事がないので、俺はメガネをかけて美希を確認する。美希は泣くのも忘れて、呆けたような顔で
固まっていた。ヤバイ、やはり俺の勘違いだったか?マジな告白にドン引きしているのかもしれん。俺みたいなうだつの
あがらない一介のリーマンに言い寄られて、美希はアイドルを辞めたりしないだろうか……

「ハニ―――――――――――――――――――――――――――――ッッッ!!!!!!」

「ぐはっ!?」

 俺が何か声をした瞬間、美希が俺の胸元を目がけて飛びついて来た。タックルに近い感覚で、俺は咄嗟に息が止まる。

「ちょ、ちょっと落ち着けむぐっ!?」

 引きはがそうとした俺の口を美希の口が塞ぐ。こいつ舌入れてきやがったっ!?どこでそんな事を知ったんだよっ!!

「んちゅ………、ぷはっ!えへへ、ミキのファーストキスあげちゃった………」

 美希が俺から離れて、真っ赤な顔をしてはにかむ。俺だってここまでドギツイのは初めてだよ。


102: 2012/05/31(木) 20:31:14.64 ID:H/SWMSSm0


「いっつもハニー素っ気なかったから、ミキの片想いだと思ってたの。でもハニーもミキの事が好きだったなんて、ミキ
 嬉しいのっ!!ようやくミキの想いがハニーに届いたの!!」

 そこまで喜んでもらえると男冥利に尽きるな。お前の気持ちはずっと前から届いていたさ。今までずっと寂しい想いを
させて悪かったな。でも話はまだ終わってないぞ。俺はネクタイを締め直し、メガネをかけてスーツを着直す。
プロデューサーモードONだ。

「でもな美希、聞いてくれ。俺はまだプロデューサーとしてみんなの夢を叶える使命がある。そしてみんなをトップ
 アイドルにすることが俺の夢でもあるんだ。だから今はまだお前だけの気持ちに応える事は出来ない。みんなが俺に
 好意を持っていてくれているように、俺もみんなが大好きだからな。だから今はまだ夢を追いかけていたいんだ」

「うん、そうだよね。ミキもみんなと一緒にもっとキラキラしたもんっ!!」

 一応まだトップアイドルを目指してはいるみたいで安心したよ。プロ意識はあるみたいだな。

「だからな美希、早くてもお前が20になるまで5年、いや高校を卒業するまでの3年くらいはお前もトップアイドルと
 いう目標を全力で追いかけてくれないか。今はまだバタバタしているけど、その頃には俺も仕事がある程度落ち着いて
 お前を迎えに行けると思うから」

「え~っ、そんなに待たないといけないの~?ミキが本気になったら半年後にはトップアイドルになっちゃうよ?」

 本当になりそうだから怖い。それに恋愛バカのこいつなら、16になった瞬間にアイドル辞めて結婚してもおかしくない。
今後の人生の為にもせめて高校は出とけ。親御さんとしては大学まで行って欲しいと思うが。


103: 2012/05/31(木) 20:32:10.01 ID:H/SWMSSm0


「そんなに待てないのっ!ミキおばさんになっちゃうよ?今すぐにでもパパとママに報告に行くの!」

 お前それ音無さんとあずささんの前で絶対言うなよ。律子は……いや、律子も怒るか。あんまりはしゃぐんじゃないぞ。

「まあそういう事だ。それじゃあまずは……」

「デート?デートだねっ!?今日はふたりの記念日なの!!思いっきりハニーとラブラブするのっ!!」

 くそ、オフだって言うんじゃなかった。響のマンション選びを手伝ってやりたかったが、どうやら無理そうだな。

「まずはこのまま事務所に行って、社長と律子と音無さんに謝らないとな。それからみんなもお前の抜けた穴を埋めて
 くれたんだ。事務所に居る子にはごめんないしないとな」

「う……、そういえばそうだったの………。現実はキビシイの………」

 当たり前だ。俺だって今すぐお前と付き合いたいけど、世の中そうはいかないんだよ。

「俺も一緒に謝ってやるから安心しろ。それが終わったら遊園地にでも連れてってやるよ。ちゃんと変装しろよ」

「ホントッ!?だったら今すぐ行くのっ!!律子なんて怖くないのっ!!」

 先程までしょんぼりしていた美希が、急に元気になる。律子さんってちゃんと呼べよ。それからしっかり反省しろ。俺も
プロデューサーとしてはお前に怒っているんだからな。


104: 2012/05/31(木) 20:33:22.23 ID:H/SWMSSm0


「わかったの♪それじゃ行くよハニーッ!!のんびりしてると日が暮れちゃうのっ!!」

 そう言って、眩しい笑顔で駆けていく美希。3年もあれば、こいつは間違いなく日本を代表するトップアイドルになる
だろう。俺はそれが見たいんだ。だから今は自分の気持ちを抑えて、全力でプロデューサー業に打ち込む。美希のサポート
をするためでもあるが、本音は美希にふさわしい男にならないといけないからな。美希だけではない、貴音や響、それに
他のアイドル達だって俺には高嶺の花だ。恰好悪いから言わないけどな。しかし今回の美希の無断欠勤はそんな俺の自信
のなさがもたらしたものでもある。だから俺も頑張らないといけない。俺以上の男なんていないと、美希に確信を持たせる
為にもな。俺はそんな事を考えながら、未来の恋人の後を追った。


end


引用: アイマスSS練習用スレ