1: 2009/01/13(火) 20:39:50.42ID:PkJTeWXl0

男「…………うぅ……あ、ん?」

女「起きた?」

男「え、ええ?ここはどこ?」

女「私は知らない。恐らくあなたも知らないと思う」

男「…………」

男「……ちょっと、待ってくれ…」

男「まずは、君が一体誰なのか……教えて欲しい」

女「知らない」

男「おいおい、人をからかうのはやめてくれよ…」

女「じゃあ、逆に聞くわ」

女「あなたは誰?」

男「何馬鹿な事言ってんだよ……俺は……」

男「お、俺は……」

男「…………」

4: 2009/01/13(火) 20:40:43.12ID:PkJTeWXl0

女「分かった?
  あなたが起きる前、私はずっと思い出そうとしてる」

女「でも、何も思い出せない…」

女「親が誰なのか、自分の名前は何なのか…
  どこで生まれたのか…恋人はいたのか、友人は?」

女「そして…」

女「『何で私はここにいるの?』ってね」

女「……残念だけど、全く思い出せないわ」

男「………そんな馬鹿な……」

6: 2009/01/13(火) 20:41:20.11ID:PkJTeWXl0

女「閉じ込められた部屋」

女「隣で寝ている男」

女「これで今の状況は理解出来た?」

男「手詰まりで……
  俺を起こしたってことか…」

女「ご明察」

女「……で」

女「私が左、あなたが右」

男「…なんのことだ……?」

7: 2009/01/13(火) 20:42:26.76ID:PkJTeWXl0

女「さて問題」

女「この部屋には二人だけ、あなたと私」

男「……ああ」

女「ここに二つの鍵があって」

男「おう」

女「二つの鍵穴がある」

男「………」

女「さて、どうすればいいですか?」

男「………入れて回す」

女「正解」

10: 2009/01/13(火) 20:43:30.34ID:PkJTeWXl0

男「し、しかし、何が起こるか分からんぞ?
  そのために危険は冒したくない…」

女「………でも」

女「今の状況に甘んじてたら…最終的には…
  餓氏するしか道は無いと思うけど…」

女「しかも、あなたが急に異常な行動に出るかもしれないし…」

男「………異常な行動?」

女「…レOプとか……」

男「…………」

男「………な」

11: 2009/01/13(火) 20:44:08.55ID:PkJTeWXl0

男「お、おまえみたいなブス、好き好んで襲うかよ!」

女「ひ、ひどーいッ!」

男「うっせ、バーカ。もうしんね。
  んじゃ、もう俺先に回すからな」

女「ちょっ、同時にまわ──」

男「よし、ガチャッと…」

女「え?」

女「………な、何コレ……」

男「ん?どうした?」

12: 2009/01/13(火) 20:44:46.56ID:PkJTeWXl0

女「…や、やだ……」

女「……の、のぼって……こない……で」

男「お、おい、どうしたんだよ!」

バンッ

男「うわっ!?!」

女「や……やだ……氏にたく…ないよぉ………ゴブェ…」

男「……あ」

男「………ああああ」

男「………なんてことだ………」

13: 2009/01/13(火) 20:45:22.11ID:PkJTeWXl0

ガチャ


大男「よし、ナンバー32」

男「……え?」

大男「貴様が生き残ったみたいだな」

男「ちょっ、ちょっと待って下さい!
  あなたは一体誰なんですか!」

大男「………しかし、盛大にぶちまけたもんだな」

男「……な」

14: 2009/01/13(火) 20:45:56.74ID:PkJTeWXl0

大男「お前が頃した訳だ。
   まあ、殺さなければ殺される世界。
   別にお前は間違っちゃいねえよ、ハハハ」

男「な、何を言ってるんだ!!
  鍵を回したら彼女の腹がブチ撒かれて
  氏んでしまうなんて、俺は知らなかった!!」

大男「まあ、お前は知らなかったのかもな。
   だが、その女はどうやら知ってたようだぞ」

男「……そ、そんな馬鹿な話…」

大男「ほれ」

ドサッ

15: 2009/01/13(火) 20:46:44.77ID:PkJTeWXl0
サッ

男「おい!!人の氏体になんてことするんだ!!」

大男「いいから激情しないで、
   女の尻が踏んでとこ見てみろ」

男「…………?」

男「………紙か……?」

大男「読んでみろよ」

男「い、言われなくたって読むさ!」

男「……『先に鍵を回した方が生き残る』……」

大男「そういうこと」

16: 2009/01/13(火) 20:47:27.80ID:PkJTeWXl0

男「……じゃあ、何で彼女は先に……」

大男「知らね、そんなことは関係ねぇんだよ。
   お前が生きて、女が氏んだ。
   ただ、それだけだ」

男「き、貴様ーー!!!!」

男「って……立てない……?」

大男「次の部屋で生きてみろよ」

大男「そしたら立てるようになるぜ」

男「……お、俺に何をした……?」

大男「はいはい。うるさい野郎には
   再度寝てもらいますか…」

男「や、やめ」

ドゴッ

18: 2009/01/13(火) 20:49:21.78ID:PkJTeWXl0

男「…………」

男「………うぅ」

男「こ、ここは?」

ピザ「………すぅすぅ……」

男「今度は逆の立場?」

男「な、何なんだ……
  この世界は一体なんなんだ……」

男「……俺は、人を頃してしまったのか…」

男「…………」

19: 2009/01/13(火) 20:49:59.25ID:PkJTeWXl0

男「……く、くそ!!
  なんで早まったりしたッ!」

男「こ、こんなことなら……
  彼女が回せば良かったのに……」

男「……うぅ……」

男「…………」

男「………ああ…」

男「…………ん?」

男「………紙?」

20: 2009/01/13(火) 20:50:42.24ID:PkJTeWXl0

『隣の男は幼女誘拐殺人事件の犯人』

『現在でも警察には捕まっておらず、
   今後も捕まることは無いだろう』

『男のこの嗜好は続いており
 今も行方不明の少女が二人ほど監禁されている』

男「……な、何だコレは…」

男「ご丁寧に……写真まで撮ってある……」

『部屋の真ん中にある箱を見て欲しい』

男「………箱?」

男「あ、あれか……」

男「……足は繋がってるが…手を伸ばせば十分届くな……」

21: 2009/01/13(火) 20:52:29.72ID:PkJTeWXl0

男「よいしょっ……」

男「ん」

男「よし!取れた…」

『その箱に入っている凶器で、この男を殺せ』

『さすれば、足の鎖は解き放たれるだろう』

男「な、な……」

男「ま、また俺に人を殺めろと言うのか!?」

男「…………くそっ!」

男「……なんなんだこれは!」

男「誰か、出てこい!」

男「俺に何故こんなことをさせる!!」

23: 2009/01/13(火) 20:53:05.49ID:PkJTeWXl0

『男は起きない』

『だが、もしあなたが起こしたいと思うなら、
 箱の底にある注射器を打ってやれば良い』

男「…………」

男「………話を聞くだけ聞いてみるか…」

男「こんな錆び付いたナイフで殺せなんて……」

男「幾らこいつが最低な屑でも俺には出来んぞ…」

男「…………」

24: 2009/01/13(火) 20:53:45.21ID:PkJTeWXl0

男「……と、とりあえず……この凶器は隠しといて…」

男「まずは、この事実が正しいのか聞かないとな…」

男「こ、この注射か…」

男「………大丈夫だろうな…」

男「これが実は毒入りだとか……」

男「………仕方ない…やるか」

プスッ

ピザ「……う!!」

男「………どうだ?」

ピザ「…………」

男「……ま、またなのか……?」

25: 2009/01/13(火) 20:54:23.03ID:PkJTeWXl0

ピザ「……………」

ピザ「………………あ、あれぇ?」

男「よ、よし!!大丈夫か!?
  ここがどこか分かるか!!」

ピザ「な、なんなんだお前は……!」

ピザ「ぼ、僕の家じゃないの……か…!」

ピザ「……お、お前!」

ピザ「……か、体が動かないぞ…!!
   僕に何をやった!!」 

男「ちょっ、ちょっと待て……
  俺はやってない……お前を起こしただけだ…」

26: 2009/01/13(火) 20:54:56.88ID:PkJTeWXl0

ピザ「う、嘘をつくな!
   その注射器で、僕になんかしたんだろ!」

男「ち、違う!!
  これでお前を起こしてやろうと……」

ピザ「うぅ………何で、動けないんだ……。
   家で……二人が待ってるというのに…」

男「………すまん。
  ……………って二人?」

ピザ「い、いや、何でもない……」

男「…………」

男「ちょっと待て……
  実はお前に関する資料がここにあるんだ」

ピザ「え?」

28: 2009/01/13(火) 20:55:40.75ID:PkJTeWXl0

男「年齢28歳、職業無職…
  大学中退後…親のすねかじり…。
  現在は祖父母が住んでいた一軒家で一人暮らし…」

ピザ「…………」

男「そして…」

男「数年前に起きた…連続幼女殺害事件の犯人」

ピザ「ぼ、僕じゃない…。
   証拠がどこにあるって言うんだ!!」

男「ほれ」

ピザ「……え?」

男「お前の自宅から…氏んだ少女の衣類と髪の毛などが
  見つかったらしいぞ…ご丁寧に写真と鑑定付きで…」

ピザ「……そ、そんな…」

29: 2009/01/13(火) 20:56:27.22ID:PkJTeWXl0

男「でだ。
  さっき言ってた二人って何だ?」

ピザ「い、いや……その……、
   と、友達だよ、友達!家に遊びに来てるんだ」

男「…………」

男「…酒井明菜ちゃんと、佐藤唯ちゃんがか?」

ピザ「………あああ」

男「どうやら、二人とも現在は行方不明らしい…」

男「……それで、この少女の写真も……
  ほれ」

30: 2009/01/13(火) 20:57:04.38ID:PkJTeWXl0

ピザ「…………」

男「………何黙ってるんだ…」

ピザ「………うぅ……そ、」

ピザ「そ、それがどうかしたのか!!
   僕が、犯人だとして…!
   君にこんなことをする権利はありのか!」

男「な…」

ピザ「まさしく人権の侵害だ!!
   弁護士を呼べ、お前を訴えてやるからな!」

男「お、お前、言う事に欠いてそれか!」

ピザ「う、うるさいんだよ!
   僕は悪くないんだ!悪いのは社会なんだ!
   この社会を作ってる政治家達が悪いんだ!!」

ピザ「み、見てろよ!
   お前がそうやって僕を見下して……
   って──」

男「?」

31: 2009/01/13(火) 20:57:52.65ID:PkJTeWXl0

ピザ「お前の後ろにある凶器は、何だ……?
   もしかしてそれで俺を頃すつもりなのか…!」

男「い、いいや待ってくれ!
  これは前からあったもんだ。
  お前をどうこうするつもりはない」

ピザ「う、うそだ……それで社会に代わって
   僕に制裁を下すつもりか…!」

ピザ「や、止めてくれ!僕はまだ氏にたくないんだ!
   あの子達が氏んだのは自業自得なんだ!」

男「じ、自業自得…?
  どういうことだ…?」

ピザ「……あ、ああ」

ピザ「あれは、数年前のことだ…」

32: 2009/01/13(火) 20:58:36.58ID:PkJTeWXl0
>>31

×もしかしてそれで俺を頃すつもりなのか…!
○もしかしてそれで僕を頃すつもりなのか…!

33: 2009/01/13(火) 20:59:10.42ID:PkJTeWXl0

ピザ「僕がいつものようにコンビニで弁当を買って
   家に戻ろうとした時…」

ピザ「二人の女の子が…僕の家の前で喋ってたんだ…」

ピザ「僕は……その時、まだ人が怖くて……」

ピザ「早く去ってくれないかなって…隠れて待ってんだ」

ピザ「そ、そしたら……二人の話してる声が聞こえてきて…」

ピザ「曰く、
  『ここに住んでるデブの人って引きこもりなんだよ』」

ピザ「『ええ、まじキモイ…。
   だからあんなオドオドしてるんだ』」

ピザ「『お母さんが言ってたけど…話しかけられたら
   逃げなさいだって。アイツにそんな度胸無いよねー』」

ピザ「『あるわけないよー。引きこもりだよー。
   明らかに僕キモイです話せません…って顔じゃん!』」

ピザ「『何それーハハハ』ってね」

34: 2009/01/13(火) 21:00:03.50ID:PkJTeWXl0

ピザ「あんな夜ももう遅いのにだよ…。
   人のことを罵ってたんだ。しかも●学生が!」

ピザ「同級生に言われるならまだしも……あんなガキに…」

ピザ「悔しかった。本当に悔しかった……。
   そしてそれ以上に、そいつらを頃してやりたかった!」

ピザ「その後は簡単だった…すぐさま力づくで家に押し込み…
   頭を打って気絶させ……思うままさせて貰ったさ」

男「………お、お前…」

ピザ「僕が全部悪いっていうのかい!?
   あんな時間にうろうろしてる方が問題だよ!
   責任が僕にだけあるなんて、思わないで欲しい!」

ピザ「やられる奴にはやられるだけの理由がある!
   それがこの社会なんだ!」

男「…………」

35: 2009/01/13(火) 21:00:49.84ID:PkJTeWXl0

ピザ「君は僕の事を哀れで醜い奴だと思ってるだろうよ…。
   でもね。僕は今の自分に誇りを持ってるんだ!
   今の二人は何でも言う事を聞いてくれる…」

男「もう止めてくれ…」

ピザ「何をやっても許されるんだ!
   あの家の中では僕が神、絶対者なんだ!!」

男「………だ…れ」

男「……だまれだまれ」

男「黙れーーッ!!!!!」

ピザ「ひっ!?」

男「何が絶対者だ!何がやられた方に責任があるだ!」

男「自分より弱い者を虐げ、それで良いと思ってるのかッ!」

38: 2009/01/13(火) 21:01:38.84ID:PkJTeWXl0

ピザ「……うぅ……」

ピザ「…く、君には分からないよ、到底理解出来ないんだ」

男「くそったれが!
  俺じゃなかったら頃してやるところだ!」

ピザ「…………」

ピザ「………あれ?」

ピザ「……動くぞ」

男「……?」

バンッ

ピザ「よっと!へへ、ざまーみろ!
   おまえのナイフ奪ってやったよ!」

39: 2009/01/13(火) 21:02:44.07ID:PkJTeWXl0

男「なっ!動けないんじゃなかったのか…?」

ピザ「残念!今は正にこの通りさ。
   足が繋がれてるお前と、五体満足の僕。
   さてさて、形勢逆転だ!!」

男「……ッ」

ピザ「よくもさっきは調子こいたこと言ってくれたな!
   お前もそうだ!
   殺られる奴には殺られる側の責任があるんだよ!」

ピザ「だからこのナイフでお前を頃す!
   怨んでくれるなよ!言いたい事言った、
   お前の責任だ!」

男「くそっ」

ピザ「オリャー!!!!!」

男「……ッ」

グサッ

40: 2009/01/13(火) 21:03:37.99ID:PkJTeWXl0

ピザ「………」

男「………」

ピザ「……うぇ…??」

男「……きちんと持ってないと
  手首返すのは容易だぞ…」

ピザ「そ、そんな馬鹿な……グェ……ビチャ…」

男「………結局は──」

ピザ「………氏、にたく……ないよぉ……母さん……グチャ…」

バタッ

男「──こうなってしまうのか…」

41: 2009/01/13(火) 21:04:08.86ID:PkJTeWXl0

男「……………」

男「…………でも」

男「………でも待てよ……」

男「アイツは……
  アイツは……社会のゴミみたいな奴だった…」

男「まだ、監禁されていた少女もいた……」

男「今後も警察には捕まらないって……」

男「………もしかしたら…」

男「結果的に…俺が頃して…
  良かったんじゃないのか…?」

42: 2009/01/13(火) 21:04:53.40ID:PkJTeWXl0

男「……………」

男「……ハハハ」

男「……ハハハハハ、そうだよ!
  頃してやった正解だったじゃないか!」

男「何を俺は躊躇ってたんだ」

男「頃すべき男を頃した……
  それに何の罪と良心が痛むって言うんだ!」

男「ははははははははははははは」

ガチャン

男「……あれ」

43: 2009/01/13(火) 21:05:28.96ID:PkJTeWXl0

男「……鎖が取れたぞ…?」

男「もしかして…これで自由?」

男「……なんだ!
  歩けるぞ!
  こんなに簡単なら早く頃すべきだった!」

男「ドアも開くかな?」

ガチャ

男「あは、開いた」

44: 2009/01/13(火) 21:05:59.85ID:PkJTeWXl0

男「………ん?」

男「なんだろ……この廊下……」

男「一杯部屋が並んでるみたいだぞ…?」

男「少し覗いてみるか…」

男「…………」

男「……な、なんだこれ…」

男「ま、真っ赤だ……」

ピンポンパンポン♪

男「?」

45: 2009/01/13(火) 21:06:38.83ID:PkJTeWXl0

?『さて皆さん、時間になりました』

?『実は制限時間を設けてたんだ。
  案外それで爆発しちゃった人が多かったようです』

?『百人いて……一回目で五十…
  二回目で十三か……』

?『ちょっと少ないですね』

?『まあ、いいです。続けましょう』

男「な、なんなんだ……?」

?『よく漫画や、映画であるじゃないですか。
  サバイバルゲーム』

46: 2009/01/13(火) 21:07:43.22ID:PkJTeWXl0

?『でもね。君たちに頃し合いなんてさせても
  こちらは何の得にもないんですよ』

?『だから次の試練。
  記憶を取り戻して下さい』

男「……き、記憶?」

?『長い通路をどれでもいいので進んで下さい』

?『すると、突き当たりに壁が』

?『そしてそこに電話があります』

?『ベルが鳴るのですぐに出る』

47: 2009/01/13(火) 21:08:48.32ID:PkJTeWXl0

?『質問が三つ』

?『正解すると頭の爆発はなし』

?『とても簡単な質問です』

?『「はい」か「いいえ」』

?『まずは精神状態を試させて頂きます』

?『では、頑張って下さい』

ピンポンパンポン♪

男「……と、とりあえず歩けばいいのか…」

トコトコトコ

49: 2009/01/13(火) 21:09:39.25ID:PkJTeWXl0

男「…………」

トコトコトコ

男「……まだ着かないのか…」

トコトコトコ

男「………」

トコトコトコ…タッタッタ……

男「も、もしかして、また、制限時間がある、かもっ
  急げ!」

50: 2009/01/13(火) 21:10:39.78ID:PkJTeWXl0

タッタッタッタ……

男「……ん?」

タッタタッタタッタ………トコトコ……ピタッ…

男「…………」

男「……壁だ」

男「そして…電話……」

男「…………かかってこないぞ?」

51: 2009/01/13(火) 21:11:15.14ID:PkJTeWXl0

トゥルトゥルトゥルトゥル

男「…うおっ」

男「……と、これを、と、取ればいいんだな…」

ガチャ

男「もしもし…」

?『…………』

男「……あ、あの」

?『あなたは、人を頃した事がありますか?』

男「……(今日のことか…以前のことか??)」

男「は、はい」

?『…………』

53: 2009/01/13(火) 21:12:01.72ID:PkJTeWXl0

?『次』

男「は、ふぅー……」

?『あなたは、生きる価値のある人間ですか?』

男「……(なんだ?完璧に分からなくなったぞ…)」

男「……(ど、どっちだ?)」

男「……(し、しかし、こんな状況にいる以上、
  ろくな人間じゃなかったのか、俺は…?)」

男「…い、いいえ」

ドクンドクン

?『…………』

55: 2009/01/13(火) 21:12:58.67ID:PkJTeWXl0

?『次』

男「ッ(た、助かった……)」

?『最後の質問』

男「は、はい」

?『あなたは──』






?『──………娘と妻を見頃しにしましたか?』







男「……………」

56: 2009/01/13(火) 21:13:28.93ID:PkJTeWXl0

男「…はい」

?『…………終了』

?『壁から離れて下さい』

ゴゴゴゴゴゴゴ

男「か、壁が……上がっていく…?」

男「妻と娘か……」

男「………そうだったな」

男「……少しだけ、思い出してきたよ」

男「……で、次はどうすればいいんだ?」

男「この新しく出来た道を進みのか…?」

男「…………ん?」

ピンポンパンポン♪

58: 2009/01/13(火) 21:14:18.18ID:PkJTeWXl0

?『さて、どうやら皆さん終わったようですね』

?『十三人中、正解出来たのは7人。
  失敗したのは5人。一人はおかしくなって、
  壁まで辿り着きませんでした』

?『ここまでは相当簡単にしたつもりなんですけどね』

?『まあ、7人ですか。ラッキーナンバー。
  縁起がいいから良しとしますか──』

?『でも、これからが本当に生き残りなんですよ』

?『今までのは言わば“間引き”
  これからが、本当の選択のお時間です』

?『用意はいいですか?』

?『では次を説明致します』

60: 2009/01/13(火) 21:16:49.93ID:PkJTeWXl0

?『過去の断片を取り戻したあなた達7人』

?『ただ、全ては思い出せないように細工がされています』

?『で、次こそ本当に記憶の全てを思い出して貰うわけです』

?『ついでに、正しい選択もして下さいね』

?『まずは新しく出来た道を歩く』

男「………歩く…」

トコトコトコ……

61: 2009/01/13(火) 21:17:25.31ID:PkJTeWXl0

?『すると、いつの間にか、世界が変化していきます』

?『人の声、時には暑く、時には冷たく…』

?『あなた達それぞれの運命の日に…』

?『戻っていくはずです』

トコトコトコ…

男「な。何なんだ……?」

男「……さ、寒い…ぞ…」

男「……ひ、人の声……?」

62: 2009/01/13(火) 21:18:06.01ID:PkJTeWXl0

?『本来なら、時は戻りません』

?『しかし、あなたたちは7人には失った記憶のある一日を
  もう一度繰り返してもらうのです』

?『分かりますよね?』

?『あなたたちは今日、ここで人を頃しました。
  そして…その力の偉大さ、絶大さを認識したはずです』

?『それを知った今、あなたは過去でどんな行動をしますか?』

?『同じ行動?』

?『同じ選択?』

63: 2009/01/13(火) 21:18:54.74ID:PkJTeWXl0

?『選んでみて下さい。そして──』

?『何人生き残れるか…楽しみにしています』

?『では──』



男「あああ………」

男「………これは……」

男「……眩しい………眩しいぞ……」

男「……そうだ……」

男「……俺はあの日………」

男「…………休日なのに……会社にいたんだった…」


64: 2009/01/13(火) 21:19:34.73ID:PkJTeWXl0






ザザザザザザザザザ


──繋がる


ザザザザザザザザザ







74: 2009/01/13(火) 21:50:02.65ID:PkJTeWXl0

メガネ「男さん、男さん…」

男「……あ……ああ……」

メガネ「男さん、男さん!!ちょっと!」

男「……な、なんだ…?」

メガネ「ちょ、ちょっと大丈夫ですか?
    顔色悪いですよ……具合が悪いなら早く言っ──」

男「(こ、ここは……)」

男「お、おい…ここはどこだ?」

メガネ「は?何言ってるんですか?
    そんなこと言っても残業手当は出ないですよ、多分」

男「(そうだ……そうだ俺の会社だ……)」

75: 2009/01/13(火) 21:50:57.11ID:PkJTeWXl0

男「わ、悪い……で、あと何時間で締め切りだ?」

メガネ「そんなことまで忘れちゃったんですか!?
    しっかりして下さいよー……あと三時間…
    男さんの分担はここ…早めに終わって下さい」

男「あ、ああ」

メガネ「まあ、悪いのはアイツなんですけどね」

男「え?」

メガネ「梶原ですよ。今頃になって『担当の分が絶対に終わらな
    い』とか何言ってんだって。お前が自分でやるとか言い
    出したくせに…知らん顔ですよアイツ」

男「梶原……ああ、あの小ちゃい奴だな…」

76: 2009/01/13(火) 21:51:34.21ID:PkJTeWXl0

メガネ「…大丈夫ですかー男さん?
    男さんは今日娘さんの誕生日だったんでしょう?
    連絡入れた時、凄い怒ってましたよ…」

男「そ、そうだったな」

メガネ「…………。ま、とりあえず頑張りましょう?
    早めに帰ってあげれば、まだ間に合いますしね」

男「お、おう」

メガネ「じゃあ、僕も一踏ん張りしてきます。
    男さんも頑張りましょう!」

男「(やはり……あの日のままだ……)」

男「(でも、どうして……娘と妻が氏んだんだっけ…?
   くそ、記憶が断片で曖昧すぎる!)」

男「(まずはこの仕事をなんとかしないとな…)」

77: 2009/01/13(火) 21:52:30.40ID:PkJTeWXl0

──三時間後


メガネ「よっしゃー終わったああ!!!」

男「ああ……しかし寒いな…」

メガネ「暖房装置が壊れてますからねえ…」

メガネ「どんなブラックだ!と言いたいですけど…
    給料はそこまで安くないですし……」

男「(と、とりあえず仕事は終えたが……
   どうすればいいんだ…)」

男「(ま、まずは…)」

男「悪い。急いで帰るわ…」

メガネ「あ、そうでしたね。
    この時間ならまだ起きてると思いますよ。
    娘さんにハッピバースデーとお伝え下さい」

男「おう、ありがとな」

バタン

78: 2009/01/13(火) 21:53:25.79ID:PkJTeWXl0




梶原「……………」

梶原「男先輩………僕は……」

梶原「………………」

梶原「……………あなたが心底羨ましい…」




79: 2009/01/13(火) 21:53:55.21ID:PkJTeWXl0

──駐車場

男「……とりあえず、自宅に向かえばいいのか…?」

男「分からん…。何が起こって二人が氏ぬのか…」

男「車にまずは乗ろう…」

ピピピ

ガチャ

男「よし」

男「じゃあ、行くぞ」

トゥルトゥルトゥルトゥル

ん、電話?

80: 2009/01/13(火) 21:55:31.76ID:PkJTeWXl0

男「は、はい、もしもし…」

?『……………ぇ』

男「ん……すみません、聞こえない?」

?『……あなた…』

男「妻か!?」

妻『あ……なた……助けて……』

男「(そうだ、そうだそうだそうだ!!
   思い出したぞ!!)」

81: 2009/01/13(火) 21:56:06.06ID:PkJTeWXl0

男「ど、どうした!?何があった!?」

妻『…し、知らない人たちが……家に……』

男「聞こえづらいぞ!?もっとはっきりと…」

男「(違う違うそうじゃない……そうじゃない…)」

男「(妻は確か……娘と一緒に隠れてるんだった……)」

妻『……あなた……助けにきて……怖い……』

男「警察だ。警察に電話を」

妻『……早く助けにきて……もう気付かれるから…切る…』

男「お、おい!!」

ツー…ツー…ツー…ツー…

82: 2009/01/13(火) 21:56:46.24ID:PkJTeWXl0

男「く、くそぉぉおお!!!!」

男「で、電話だ……警察にまずは電話……」

男「(警察……けいさつは…
  あの時俺は……気が動転して…電話しなかったのか…)」

男「で、でも…俺が……この距離なら一番近いか…?」

男「……行くぞ」

……ドゥドゥドゥ……

83: 2009/01/13(火) 21:58:18.08ID:PkJTeWXl0

男「………くそっ…邪魔だドケ!!」

男「頼む、頼むから、間に合ってくれ!」

男「ああ、こんなことなら
  警察に連絡を入れとくべきだったッ!」

男「いや落ち着け…落ち着け……
  あの日を思い出すんだ……この後、どうなった!?」

男「……………」

男「………そうだ、家には間に合ったんだ…」

男「く……その後がまだ、思い出せん……」

男「…と、兎に角…それだけでも分かれば……」

男「スピード上げるぞ……」

84: 2009/01/13(火) 21:59:32.46ID:PkJTeWXl0

──自宅

男「……………」

男「つ、着いた…」

男「明かりが付いてる……」

男「記憶ではまだ、この時点では氏んでない…」

男「見つかって…拘束されてるんだったな…」

男「……くっ…」

男「身代金目当てだったのか…?」

85: 2009/01/13(火) 22:00:50.56ID:PkJTeWXl0

………カチャ

男「(扉を静かに開ける)」

男「(ここまで記憶通りだ……)」

男「(二階だ……)」

男「(凶器凶器……)」

男「(そうか……)」

男「(あの時俺は…気が動転していて…
   素手で行ったんだ……)」

男「(多少、武術に心得があったから…
  自分の力を過信してたんだったな…)」

86: 2009/01/13(火) 22:01:28.90ID:PkJTeWXl0

男「(くそ、何か……)」

男「ん?」

男「こ、これは……錆び付いたナイフ?」

男「(ここで……あの世界とリンクするのか…)」

男「(………やってやろうじゃないか)」

男「……………」

87: 2009/01/13(火) 22:02:13.05ID:PkJTeWXl0

──二階

?「おい、奥さん」

?「旦那の連絡先を教えろ」

妻「……………」

?「いいからさっさと言えやゴラア!!」

バンッ

妻「きゃあ!」

娘「お、お母さん!」

?「おい、さっさとしねえと、
  娘とお前にもっと痛い目合わせるぞッ!」

?「殴る程度じゃ済まさねぇ……分かるな?」

88: 2009/01/13(火) 22:04:00.54ID:PkJTeWXl0

妻「…………ッ」

妻「…………分かりました」

妻「……これが夫の電話番号です…」

?「よし、分かってんじゃねえか…」

?「おい……外に見回りにいってこい」

?「分かった」

ガチャン

89: 2009/01/13(火) 22:04:51.57ID:PkJTeWXl0

──階段

男「(もう少しで…犯人の一人がやってくるはずだ…)」

男「(あの時は何とか倒したが音を立てて、
   もう一人に気付かれたんだよな)」

男「(もう、同じミスはしない…)」

ガチャン

男「(来た)」

?「くそ…なんで俺が見回りなんだよ…」

?「あんな女ども犯しちゃえばいいのによ…。
  馬鹿だな…糞が」

90: 2009/01/13(火) 22:05:53.49ID:PkJTeWXl0

男「(……今だ!)」

?「…………ッン!!!」

男「(ナイフで首の動脈を切る…)」

ブシャ

?「………ンンンンンッ!!!!!」

バタン

男「ハハ、簡単だ」

男「…………」

男「………あと一人…」

91: 2009/01/13(火) 22:06:59.98ID:PkJTeWXl0

──二階

……バタン

?「何だ……??」

?「もしかして……誰か帰ってきたのか…!」

?「…ッ」

?「おい!てめぇ誰だ!!!
  返事しやがれ!」

92: 2009/01/13(火) 22:07:30.10ID:PkJTeWXl0

──階段

男「…くそ、気付かれたか…」

男「これだと過去と同じになってしまう…」

男「あの時は確か…」

男「妻と娘の首にナイフが当てられてる状態で…」

男「…………」

男「結局、選択を誤って両方殺させちゃったんだっけ…」

男「………」

男「………今度はそうはさせないッ!」

93: 2009/01/13(火) 22:08:04.69ID:PkJTeWXl0

──二階

?「…………」

?「き、気のせいだったのか?」

?「くそっ、何かヤバい予感がするぜ!」

?「おい、二人ともこっちにこい!」

妻・娘「キャッ!」

?「よし、それでいい」

?「おい!!はやく出てこい!!
  そうしないとまずは片一方を頃してやる!!」

ガチャ

94: 2009/01/13(火) 22:08:47.23ID:PkJTeWXl0

?「な?!」

男「………出てきたぞ。
  早く二人を解放しろ」

妻「あ、あなた!!!」
娘「お父さん!!」

?「くそ!!!黙ってろゴラア!」

?「お前、なんだその血だらけの服は!?」

?「もしかして、お前アイツを頃したのか!!
  どうなんだ!答えろ!!!」

男「……………」

妻「え??」
娘「お、お父さん……?」

96: 2009/01/13(火) 22:10:08.23ID:PkJTeWXl0

男「二人とも……心配しなくていい…」

男「これは俺の血だ……アイツに刺されてな…」

妻「そんな……」
妻「…あ、なた……大丈夫なの……?」

?「じゃ、じゃあ!アイツは今どこにいるんだ!」

男「不覚にも一差しもらったが、武術には心得があってな。
  苦戦したが、倒させてもらったよ」

?「くっ!貴様ーー!!!良くも!!」

男「お前が言えた義理か。
  人の家に押し入って、何を企んでる?」

?「…………」

97: 2009/01/13(火) 22:11:34.75ID:PkJTeWXl0

?「…………ハハ」

?「………お、おい」

?「……お前、そこで氏んでみろ…
  そしたらこの二人助けてやるよ…」

男「(記憶通りだな……)」

男「(これで俺は強行に出て、二人とも殺されたんだ…)」

男「(どうする?)」

男「(どうすれば二人は助かる……?)」

?「おい!黙ってねぇで、そこで氏んでみろ!
  ナイフ持ってんだろ!!」

男「…………ああ」

99: 2009/01/13(火) 22:15:56.06ID:PkJTeWXl0

男「…………ああ」

男「それで、本当に二人は解放されるのか…?」

?「そうよ!お前はあの世だが、二人は助かる…。
  お前には選択権が無いんだ、早くしろ!!」

男「(……どうすれば…)」

男「(このままだと記憶の二の舞だ…)」

男「(何か絶対に活路があるはず……)」


──『あなたたちは今日、ここで人を頃しました。
   そして…その力の偉大さ、絶大さを認識したはずです』


男「(くそっ、だからなんだ!)」

100: 2009/01/13(火) 22:16:47.56ID:PkJTeWXl0

男「(それだけでは……救えないじゃないか!!!)」


──『同じ行動?』


男「(……違う……違う……)」




──『同じ選択?』





男「(……………え)」

男「(選択……選択………せんたく??)」





101: 2009/01/13(火) 22:17:26.60ID:PkJTeWXl0

男「……………」

?「おい!早くしろ!
  二人とも氏んでもいいのか!!!」

男「分かった氏のう……」

?「お、おう。分かってんじゃねえか…」

妻「あなたダメ!!!」
娘「お父さん止めて!」

?「黙ってろ貴様ら!!」

バン

妻・娘「キャ!」

102: 2009/01/13(火) 22:19:16.80ID:PkJTeWXl0

男「お、おい!止めてくれ!
  俺なら今ここで氏ぬから!!」

?「だったら早くしろ!!(コイツ馬鹿か!
  お前が氏んだところで助けるわけないだろ。
  顔も見られてんだ、皆頃しだ)」

男「……いくぞ…」

妻・娘「……う!!」

グサッ…

男「ああ………」

?「(おっ、やったか?)」

バタン

?「へへ、もう立てる気力も無いか!
  んじゃ、最後に冥土の土産に持っていけ!
  助けるわけねぇだろボケが!!」

103: 2009/01/13(火) 22:20:06.86ID:PkJTeWXl0

男「だろうな」

?「へ?」

ダン

ザッ

ザザッ……

?「お……あ………え?」

男「氏ね、屑が」

……グググ………

?「あああ!!!………だ……が」

104: 2009/01/13(火) 22:21:07.35ID:PkJTeWXl0

?「お前の、妻も……道連れだ……」

妻「……………あ………」

娘「お母さん!!」

男「そんなこと……」

男「初めから覚悟の上だあああああああああ!!!!」

?「うおおお…お………お…………ブェッ…」

バタン

男「くそっ!!!」

男「ダメか……、首もと…か…!!」

妻「…あ、あなた……」

105: 2009/01/13(火) 22:21:58.52ID:PkJTeWXl0

男「ま、待ってろ!!絶対何とかしてみせるから!!」

娘「…うぅ……ひっくひっ……お母さん……」

妻「ありがと…。
  あなたの選択……間違ってないわ……」

男「ち、違うんだ……待て、まだ氏ぬんじゃない!」

妻「いい、いいの……あのまま、だと、
  二人とも氏んでたから……これが正しいの、よ…」

男「違う違う違う!!
  俺は二人とも助けようと……あああああ!」

106: 2009/01/13(火) 22:22:48.04ID:PkJTeWXl0

妻「…………ふふ………優しい人……
  お願い………これから…罪の意識で……悩まないで……」

妻「娘も……ね?…お父さんと仲良く、やってくのよ……」 

娘「うぅ……ひっく……ひっくひ……」

妻「あ、あなた……娘を……よろ、し………く…………ね…」

男「………ああ」

男「そんな……そんなあ…………」

男「ああああああああああああああああああ!!!」

108: 2009/01/13(火) 22:24:10.49ID:PkJTeWXl0






ザザザザザザザザザ


──繋がる


ザザザザザザザザザ






109: 2009/01/13(火) 22:25:11.83ID:PkJTeWXl0

男「……うぅ……ああ……うう…」

男「…………ここは……??」

男「そ、そうか………結局、
  二人とも氏なせた事実は変わらないのか…」

男「選択だっけ……?じゃあ、俺は…誤ったのか…」

男「二人とも生かせれなかったんだもんな……」

男「に、二度も妻をこの手で失うなんて……ああ」

男「うあ…あああ…!」


ピンポンパンポン♪

110: 2009/01/13(火) 22:25:53.60ID:PkJTeWXl0

?『お疲れさまです』

?『さてさて、結果発表』

?『七人中、何人が生き残ったかな?』

?『二人……二人だけですか…あれま…』

男「………え?」

?『今、生きてるってことは、
  選択は誤りじゃないってことですね』

?『ここからは名指しでいいか。もう少ないしね』

男「お、おれは……まだ生きてるのか……?」


111: 2009/01/13(火) 22:27:34.18ID:PkJTeWXl0

?『そうですよ、男さん!
  あなたは見事、正しい選択が出来たんです』

男「で、でも………妻を……」

?『あの展開で求められるのは、
  二人ともを助けたいと望むことではありません。
  あの状況下では、どうやって一方を助けるか』

?『それこそが、求められた選択だったんです』

男「妻を殺させてもか……」

?『では逆に……あなたの過去は、どうなりましたか?
  二人を助けようと曖昧な行動をし、
  両方とも氏なせてしまった』

?『それが現実です。
  だからこそ、さきほどのように娘さんを助けようと
  まず動いたことは最良の選択』

113: 2009/01/13(火) 22:28:23.41ID:PkJTeWXl0

男「…………ぅ」

?『何です?』

男「……違う」

男「……違う違う違う違う」

男「ちがーーーうッッ!!!!」

男「俺は二人とも助けようとしたんだ!!」

?『では無意識の行動だったんじゃないですか。
  私が見るに、明らかに娘さんを守りに行ってますね。
  まあ、結果が全てですから。あなたはクリアです』

114: 2009/01/13(火) 22:29:27.55ID:PkJTeWXl0

?『もう一人の方は……。
  まあ、言う事ないですね。完璧です』

男「…………くそっ」

?『ま、男さん、諦めて下さい。
  過去を結局は変えられない訳ですから。
  では次の説明をしたいと思います』

?『結果的に二人になってしまった訳ですが』

?『次で本当に最後です』

?『お疲れさま』

?『では、そのまま歩いて下さい』

123: 2009/01/13(火) 22:50:50.90ID:ymiZNv5s0

男「………俺は……もう…ここで終わりでいい……」

男「……こんな世界で……俺は何をすれば良いって言うんだ」

男「もう…生きる価値なんて無い……」




男「初めに無関係な女を頃し……」





124: 2009/01/13(火) 22:51:41.12ID:ymiZNv5s0




男「次の奴に罪があったとしても
  ……俺が頃していい理由は無かった…」




男「犯罪者じゃないか……俺は……」

男「これ以上……人を殺めたくない」




──妻『…………ふふ………優しい人…──





125: 2009/01/13(火) 22:52:24.92ID:ymiZNv5s0

?『………………』

?『まあ、その気持ちも分からなくはありませんが、
  選ぶのは全て終わってからにしたらどうです?』

男「………何があろうと俺は……」

?『………………』

?『一人の男がいました』

?『彼は体が小さく、顔も醜い部類だった。
  要領も悪く、常に馬鹿にされてきた』

男「…………何の話だ…」

126: 2009/01/13(火) 22:53:06.97ID:ymiZNv5s0

?『しかし、何とか頑張って、ある会社に入ったんです。
  そこで必氏に頑張ろう。そう思い、その男は
  自分で強く仕事を要求するようになる』

?『でも、現実はうまくいかない』

?『そんな矢先、自分と真逆な人間に出会うんです。
  顔は普通ぐらいのに、綺麗な妻がいて娘がいて…
  自分より位も上で……全てが劣る相手』

男「………な。何の話だ?」

?『羨ましかったそうです。本当に羨ましかったそうです。
  そしてそれが…
  憎しみに変わるのも、そう時間がかからなかった』

男「……………」

ドクン

127: 2009/01/13(火) 22:54:05.24ID:ymiZNv5s0

?『男は裏社会に手を伸ばします。
  そこで二人のギャングに出会い、
  自分が今まで溜めてきた金を資金に、あることを頼みます』

ドクンドクン

男「(な、なんだ……この胸の鼓動は……何だ?)」

?『羨ましかった。そして、何より憎かった。
  だからこそ、その存在が許せなかった』

?『そして…そのギャングに妻と娘を人質に、
  身代金を奪うことを計画させます』

俺「…………ああ」

ドクンドクンドクン


130: 2009/01/13(火) 22:54:38.43ID:ymiZNv5s0
ドクンドクンドクン

?『意図的に、会社の仕事を残し、
  休日に相手を出勤させる。
  計画は順調に運びました』

?『ギャングの一人の殺人衝動は、予測出来ずに』

俺「…………あああ」

ドクンドクンドクン

?『二人を殺させるつもりはありませんでした…。
  お金を取って…少し痛い目を見ればいいと、
  思っていただけなんです。と、彼は語ります』

ドクンドクンドクンドクン

?『でも、結果、相手の家族は氏に。
  予想外の展開が待っていました』

?『もう、お分かりですね』

131: 2009/01/13(火) 22:55:27.50ID:ymiZNv5s0

ガガガガガガガガ……

道の先の……扉が……上がる……


?『あなたたちの本当の憎悪を──』

?『最終試験』

?『どうぞ、好きにして下さい』

?『いたぶるも頃すも、あなたたち次第』

?『さあ、始まりです』



133: 2009/01/13(火) 22:56:04.74ID:ymiZNv5s0


男「……………」

男「か、………」







男「かじわらあああああああああああああッ!!!!!」









梶原「ひっ…」

梶原「ごめんなさいごめんさいごめんなさいごめんさい」


147: 2009/01/13(火) 23:05:55.83ID:QVLIKfBa0





タ、タ、タ、タ、タ

男「お前か……お前が、俺の人生を狂わせたんだな……」

梶原「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
   ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
   ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」





148: 2009/01/13(火) 23:06:48.20ID:QVLIKfBa0




タ、タ、タ、タ、タ

男「貴様が……あいつらを使って…
  …俺の愛する人を殺させたんだな」

梶原「殺させるつもりは……無かったんです!!
   信じて下さい!」

男「だまれええええ!!!!」

梶原「ひっ!」




150: 2009/01/13(火) 23:07:37.24ID:QVLIKfBa0

男「お前がお前がお前が!!!妻と娘を頃したんだああ!!!」

バン

梶原「うぅ……わああああ」

男「……動けないのか」

梶原「………すみませんすみませんすみません」

男「謝って許されると思うなよ……」

男「痛み付けてやる……苦しめて苦しめて!!!
  そう簡単には氏なせてやらないからなァ!!」

梶原「……あ………あああ」

男「……………」

151: 2009/01/13(火) 23:08:30.32ID:QVLIKfBa0

男「……凶器はどこだ…?」

男「………このナイフしか無いのか?」

男「いいだろ……だったら…これで」

男「……切り刻んでやるッ!」

梶原「……あ、あああ、ああああああああ」

男「………なんだ、もう壊れたのか…」

男「まだ…初めて無いのに…
  もう精神が壊れたと言うのか……」

梶原「あへ……あ、だすけ、…えへへ…」

男「くそぉぉぉぉっ!」

男「これじゃ、なんの復讐にもならないじゃないか!」

153: 2009/01/13(火) 23:09:11.51ID:QVLIKfBa0






──妻『…………ふふ………優しい人…──






男「………ああ」

男「…そうか……」

男「俺は……何をしようとしてたんだ…」

154: 2009/01/13(火) 23:09:56.93ID:QVLIKfBa0

男「………こいつを頃したところで…
  妻と娘は帰ってこないのか…」

男「あは…」

男「あははは」

男「………………うぅ……!!」

男「……もう……だめだ……」

男「……うぅ……あああ……ああああああ!」


ピンポンパンポン♪

155: 2009/01/13(火) 23:10:43.37ID:QVLIKfBa0

?『はい、終了』

?『お二人とも合格ですよ』

?『たった二人ですが、本当に素晴らしい』

男「……………」

男「…………え?どうして?」

?『いいですか』

158: 2009/01/13(火) 23:12:13.06ID:QVLIKfBa0

?『私は、ただの殺人鬼を作りたいわけじゃない』

?『そんな人間は…反吐が出るほど醜い』

男「な、何を言ってるんだ……」

?『美しくないんですよ!
  自分の欲望のみで他人を頃し、
  思慮分別も出来なくなった…そんな人間は美しくない』

?『本当の美しさとは…
  『頃したいが殺せない』…『殺せるが殺さない』…
  その葛藤にこそ生まれるものなのです』

?『その境界線を隔てるのは…状況と罪の重さ。
  殺さなければいけない場合と、
  殺さなくてもいい場合』

?『つまり…私情のみで復讐をするような人間は…
  私の思うところでは無いのです』

159: 2009/01/13(火) 23:13:52.84ID:QVLIKfBa0

?『おめでとう』

?『最終試験を見事クリアし、
  あなたたちは現代の“アサシン”となるわけです』

男「………なにが…暗殺者だ……」

男「あまりにも幼稚で……狂っているッ…」

?『…………』

?『何とでもおっしゃって下さい。
  まあ、とりあえず──』

?『手始めに、そいつ“ら”は頃しときますよ』

男「………え?」

ガチャン

160: 2009/01/13(火) 23:14:36.81ID:QVLIKfBa0

男「な?」

大男「久しぶりだな。
   よくここまで生き残ったよお前」

男「………なんだ、その鉈は…」

大男「これか?
   ま、俺みたいな出来損ないは
   そこで頭が逝っちゃってる奴の処理だわな」

男「………梶原を頃すのか…?」

大男「そういうこと」

男「……おい!」

男「これは、お前の言う醜い行動なんじゃないのか!」

170: 2009/01/13(火) 23:22:48.55ID:lL0NRVA20

?『…………』

?『そうですが、私は既に美しい人間などではないわけです。
  ここに私情で人間を集わせ、殺させ、
  そして生き残ったのは二人だけ』

?『そいつも頃します。
  あなたちにとっては苦しいかもしれませんが、
  耐えてくれると助かりますよ』

?『仕上がりをするのです。
  世界で、唯一、頃してやりたいほど憎んでる相手。
  それをあなたたちではなく、私が頃してやる』

?『そうすることで、全てが完成する訳です』

?『おっ…隣の部屋ではもう終わりましたよ』

?『男さん、あとはあなたの仕上がりだけです』

172: 2009/01/13(火) 23:23:48.19ID:lL0NRVA20

男「…………」

男「……………お前らは狂ってる…」

男「いや、…既に俺も気が狂ってるわな」

大男「…………おい」

男「だがな、力の無い梶原を裁くのは、
  俺でもない……お前らでもない。
  『法』でいいんだよ」

大男「いいから、どけ」

男「こんな無力な奴を頃す意味など無いじゃないか…。
  それこそ理に叶っていない」

大男「どかないと頃すぞ」

177: 2009/01/13(火) 23:25:06.50ID:lL0NRVA20

?『まあ、待って下さい』

?『そうは言いますが、この状態になってしまった以上、
  目撃者である彼は、氏んでもらうしか無い訳でして…』

男「馬鹿野郎」

男「そんなの、俺の知ったことじゃねぇ」

?『………あれま…』

?『…これは……失敗だったかな?』

?『変な正義感が生まれてますね…ダメだ…失敗だな…』

?『よし、そいつも頃していいですよ』

179: 2009/01/13(火) 23:26:03.08ID:lL0NRVA20

大男「ハハ、滑稽だ」

大男「そういうことなんで、俺と同じ失敗君。
   氏んでもらうことに急遽決まりました」

ビュン

男「…ッ」

大男「………一発で氏ねよ。
   俺はお前と違って鍛えられてんだ。
   下手に逃げてイタい目見るだけだぞ?」

男「………」

男「やってみないと分かんないぞ」

大男「馬鹿だな本当お前。
   漫画とかの見過ぎじゃねえの?
   とりあえず、お前は後回し」

大男「よっと──」

181: 2009/01/13(火) 23:28:42.80ID:lL0NRVA20

男「……え?」

ヒュイヒュイヒュイ………グサッ

梶原「……うう……グェ…ビチャ」

男「………な…」

大男「ビンゴ!
   一瞬だったな、で、次お前」

男「……(くそっ、なんて俺は無力なんだ!)」

大男「んじゃ、凶器もないんで…
   撲殺で」

182: 2009/01/13(火) 23:29:26.64ID:lL0NRVA20

男「……………」

男「………く、行くぞ!」

男「おりゃあああ……ああ!」

大男「…………」

大男「………ほんと、アホ…」

大男「……勝てるわけないだろお前」

男「…諦めない!」

大男「俺が初めに言った事覚えてるか──」

184: 2009/01/13(火) 23:30:09.05ID:lL0NRVA20








──うるさい野郎には
    再度寝てもらいます…だよ!!







バンッ





188: 2009/01/13(火) 23:31:07.25ID:lL0NRVA20




……ピンポンパンポン♪


?『ん、結局、一人だけになっちゃいましたね』

?『まあ、いいです』

?『これからこれから。
  世界の悪を根絶していきましょう』

?『そして──』

?『権力者が怯える世界を』

?『ははっ』





190: 2009/01/13(火) 23:33:04.15ID:lL0NRVA20


──隔離地域 ゴミ捨て場

男「……………」

男「……………う…」

男「………うぉ……ああ…」

男「………な、なんだ?……生きてる…?」

男「……ぅ…あちこちが……痛い……」

男「…そうだ……」

男「あの大男に一瞬でのされて……」

男「あ…れ…?」

男「何で……俺……殺されたんじゃ………ないの?」



193: 2009/01/13(火) 23:34:09.32ID:lL0NRVA20

──???

?『……………』

?『まあ……男さん……』

?『あなたは少し……予想外に行動したわけで……』

?『頃すのはおしいかと思ったんですよね…』

?『まあ、私から最早あなたにすることも無いですし…』

?『今後どうなってくれるか……期待ですよ…』

?『……………』

?『ふふ』

?『まずは彼女を鍛えないとね──』


195: 2009/01/13(火) 23:35:17.80ID:lL0NRVA20

──隔離地域 ゴミ捨て場

男「………」

男「………生きてるのか…」

男「………ま、まずは傷を治さないとな…」

男「……運が良かったのか…それとも悪かったのか…」

男「……まずは…」

男「家のベットで横になりたいな──」

?「あ………!」

?「…だい……う………か?!」

男「………(なんだ声が聞こえる……?)」

男「……(まあ、いいか……もう……げん…か…い)」

196: 2009/01/13(火) 23:36:30.99ID:lL0NRVA20

……………。
……………。

数年後。
ある街に『アサシン』と名乗る、一人の殺人者が現れる。
それによって──
この国は、揺れることになった。

──英雄などではない、ただの殺人者

しかし殺される人間は何らしかの罪を負った者。
権力を持つ故、その罪が裁かれない者。

資本社会と司法の行き詰まりを、
強く揺さぶるような、そんな存在が生まれたのだ。

ただ、それはまた別のお話。




──ピンポンパンポン♪




~Fin~

201: 2009/01/13(火) 23:39:14.51ID:+/8ZstPQ0

209: 2009/01/13(火) 23:42:52.89ID:lL0NRVA20
俺から厨二を取ったら何も残らない

妹SSが行き詰まったんで、その時の気分で書いた

後半の展開がとび過ぎなんで、
いつか完結させたい

210: 2009/01/13(火) 23:45:41.92ID:lL0NRVA20
みんな最後まで見てくれてありがとよ!
暇だったら明日、妹SS見に来てくれー!
じゃあなーノシ

引用: 女「ねぇ……ちょっと!!…寝てないで起きて!!」