583: 2011/08/19(金) 00:55:25.68 ID:FdVhUW3C0



澄み切った空気が肌を撫でる。
気持ちが高揚し、思わず鼻歌が洩れる。


美琴(今日はジャソプの発売日だし、王がどうなってるのか気になるのよね)フンフーン

美琴(黒子に話してもわかってくれないし)

美琴(誰か話せる人いないかなー)

美琴「……ん、あれって」


彼女の目線の先には大きなダンボールがあった。
表面には丁寧に書かれた「拾って下さい」の文字。
それを見て連想するのは捨て猫であった。


美琴(全く、責任もてないなら最初から飼うんじゃないわよ)フンス

美琴(でも私が拾っても飼えないし……嫌われちゃうし)

美琴「……見て確認するだけなら、いいわよね?」


誰に問うわけでもなく、自分の行動を肯定するために小さく呟く。
猫(と決まったわけではないのだが)を少しでも驚かせないようにと、
そろりと足音を立てないように注意を向けながら近づいていく。



とある魔術の禁書目録II マグカップ 上条当麻

584: 2011/08/19(金) 00:55:53.36 ID:FdVhUW3C0



美琴「にゃ、にゃーん?」ソロリ


幼児に向けるような甘い声を出しながら、ダンボールの中を覗き込んだ。
一拍。
空気がピシリと固まった。

ここで一言。
思いこみとは危険である。

期待して裏切られる、なんてよくあることだ。
一々後悔なんてしていたら身が持たない。

それでも彼女は、ダンボールなんて無視して行けば良かったと後悔した。
後悔せざるを、得なかった。


美琴「な、何でコイツが……一方通行が、ここにいるのよ……」


白い塊がモゾリと動いた。



585: 2011/08/19(金) 00:56:19.24 ID:FdVhUW3C0



さてどうするか。
彼女が真っ先に取ろうとした行動は単純であった。
すなわち、ここから去ること。
今あったことは忘れてそのままコンビニに直行する。
そう、それで済んだ筈なのだ。
少なくとも彼女にとっては。

しかし、


一方通行「ン、ァ……」モゾ


何とタイミングの悪いことか。


一方通行「あァ? ……オリジナルかァ?」

美琴「……そうよ」


彼女――御坂美琴は自分の不幸を呪った。
澄み切っていたはずの空気が一気に重苦しく感じるのは、気のせいではないだろう。




586: 2011/08/19(金) 00:56:47.30 ID:FdVhUW3C0



一方通行「……」

美琴「……」

一方通行(なンだこれ。いや待て。なンで俺はダンボールの中に入ってるンだ?)

美琴(何でコイツ捨てられてんだろう)

一方通行(昨日は、あァーっと……いや特に何も無かったはずだが)

美琴(……衝撃的すぎて毒気抜かれちゃったわね)

一方通行(……こォいうことやりそうなヤツってェと)

美琴(そういえば実験が終わってからどうしてんだろ)

一方通行(番外個体か)ハァ

美琴「ねぇ」

一方通行「あァ!?」




587: 2011/08/19(金) 00:57:26.10 ID:FdVhUW3C0



美琴「アンタって今どうしてんのよ」

一方通行「……はァ?」

美琴「いや捨てられてることは分かるんだけどね」

一方通行「捨てられてる?」

美琴「え? だってホラここ」チョンチョン


<拾ってください>


一方通行「」

美琴「ね?」

一方通行「」

美琴「つまり――捨て能力者? ってことかしら」フム

一方通行「洒落になンねェからヤメロ」




588: 2011/08/19(金) 00:58:04.11 ID:FdVhUW3C0



美琴「でもまぁそうじゃなくて、……実験のあとのことよ」

一方通行「……ハッ何もねェよ。安心しろ実験は再開してねェからなァ」

美琴「それは知っているわ。私もね妹達から聞いていることはあるの」

一方通行「へェ? 自分のクローンと和気藹々と話せるもンかねェ」

美琴「その格好で凄まれても全然怖くないわよ」パシャ

一方通行「」

美琴「まぁ見ちゃった手前私も無かったことにすることは出来ないし」

一方通行「……脅す気かオマエ」

美琴「そういうわけじゃないわよ」

一方通行(じゃあ今の写真はなンなンだよ……クソ)チッ




589: 2011/08/19(金) 00:58:29.28 ID:FdVhUW3C0



一方通行「……オイ、やったヤツのことは何となくわかってンだ。放っておけ」

美琴「んー? そういうわけにもいかないっていうか」

一方通行「あン?」

美琴「猫じゃないなら拾っても大丈夫でしょ。色々聞きたいこともあるしね」

一方通行「何言って」

美琴「だぁーかぁーらぁ、拾ってあげるって言ってんのよ。この美琴さまがね」フンス

一方通行「……」

一方通行「はァああああ!?」


一方通行の叫び声が青い空に吸い込まれると、美琴は満足げに鼻を鳴らした。
不幸だって利用してやる。
そう考えれば一方通行に妹達から聞いた真偽を確かめるのにも良い機会だ。

彼女は口を開けて間抜けな顔をさらしている一方通行に向かって満面の笑みを浮かべた。




590: 2011/08/19(金) 00:59:04.09 ID:FdVhUW3C0



▽▲▽▲


番外個体「さぁてモヤシは起きたかなっと」ニマニマ テトテト

番外個体「驚く顔が見物だよねっと」テト

番外個体「……あ、あれ?」

ヒュルルー

番外個体「第一位が、いない?」



おわり




引用: ▽【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-32冊目-【超電磁砲】