743: 2013/03/19(火) 23:22:05.16 ID:kMAr/gTeo
<ひまさくさくひま×高校生×お返し>
――――――櫻子の家、朝

櫻子「……ん~……」


ピンポーン


花子「あっ」
   「櫻子ーっ! ひま姉ちゃん来たし!」

櫻子「んんん~……あと10分」

花子「いや、起きろし」

櫻子「……んー」

花子「はぁ……」
   「……撫子お姉ちゃんが大学生になってから花子の仕事倍増したし」

花子「高校生になったんだから少しはしっかりしろし!」


ガチャンコ


向日葵「あら、花子ちゃん」
    「おはようございます」     

花子「ひま姉ちゃんおはようだし」
   「まだ、櫻子起きないから上がってて良いし」
ゆるゆり: 24【イラスト特典付】 (百合姫コミックス)
744: 2013/03/19(火) 23:28:15.25 ID:kMAr/gTeo
向日葵「そう……まだ起きませんの」
    「……私が起こしましょうか?」

花子「あー……そうしてくれるとありがたいし」

向日葵「では、上がらせていただきますわね」


向日葵「櫻子、入りますわよ」

櫻子「んー……」

向日葵「櫻子?」
     「朝ですわよ、起きなさいな」

櫻子「んんあと5分……」

向日葵「もう、電車に乗り遅れますわよ」
    「早く起きて!」

向日葵「櫻子っ!」

櫻子「んん~もぉ、しょうがないなぁ……」

向日葵「はぁ……ほら、早く起きて、顔洗ってきなさい」
    「カバンは私が持っていきますから」

櫻子「わかったぁ~」

向日葵「まったく……」

745: 2013/03/19(火) 23:34:51.49 ID:kMAr/gTeo
――――――――――――
向日葵「忘れ物は無いですわね?」

櫻子「ん~、たぶん」
   「なんか忘れたときには向日葵に貸してもらうから大丈夫だろっ」

向日葵「私の甘やかしが良くなかったのかしら」


花子「二人とも、気を付けて行ってくるし」

櫻子「おう、わかったー」

向日葵「ええ、行ってきますわね」

花子「あっ! あと、今日の当番櫻子だから忘れんなし!」

櫻子「げっ! そうだっけ!」

花子「いい加減撫子お姉ちゃんがシフトから外れたの覚えて欲しいし……」

向日葵「私がちゃんと言っておきますわ」

花子「ありがとうだし、ひま姉ちゃん」

櫻子「頼むぞ! 向日葵」

向日葵「何で貴女はエラそうなんですの……」

746: 2013/03/19(火) 23:40:30.62 ID:kMAr/gTeo
櫻子「あぁ~この時間帯って電車混むから嫌なんだよなぁ~」

向日葵「仕方ないじゃありませんの……」
    「それに、もう高校になってから1年近くたちますのよ」

向日葵「私はもう慣れましたわよ?」

櫻子「向日葵はそうかもしんないけどさーっ」
   「私はか弱いんだよっ!」

向日葵「まるで私がか弱くないみたいな言い方ですわね……」

櫻子「え?」

向日葵「何当然の事言っているの? みたいな顔しないでくださる!?」


向日葵「って、そういえば」
    「貴女まだそのマフラーつけていたの?」

櫻子「えっ? これのこと?」

向日葵「それ以外に何があるっていうんですの」
    「……それ、私が4年くらい前に貴女にあげたマフラーじゃありませんか」

向日葵「私の編みこみも弱かったですし、もう首もとがほつれてますわよ?」

櫻子「あれ? マジ?」
   「おっかしーなぁ……」


747: 2013/03/19(火) 23:45:32.58 ID:kMAr/gTeo
向日葵「何がおかしいんですの?」

櫻子「えっ? いや、べ、べっつにー?」

向日葵「……もう、また新しく編んであげますわよ」

櫻子「えーっ? まだこれ使えるし大丈夫だって」

向日葵「そんなこと言っても、もうボロボロなんですから」
    「それを付けてたらみっともないじゃありませんの」

櫻子「いいんだって! コレはあったかいんだよっ!」

向日葵「……」
    「そう。まぁ、そこまで言うなら」

向日葵「でも、それ以上ボロボロになったら、言ってくださいな」

櫻子「わかったわかった」
   「……って、あ!」

向日葵「どうかしたんですの?」

櫻子「電車、あと5分だ!」

向日葵「えっ!?」

櫻子「走るぞっ! 向日葵ぃ!」

向日葵「あっ、ちょ、ちょっと!」
    「いきなり手をつかんで走り出さないでくださる!?」

748: 2013/03/19(火) 23:58:00.06 ID:kMAr/gTeo
――――――――――――――――大門第五学園
櫻子「……はぁ、はぁ」

向日葵「……は、はぁー……」

櫻子「走ってきたけど、はぁ、30分遅れの電車じゃ……当然間に合わなかった」
   「だけど、なんとなーく席に着けば、ホームルームに紛れ込めるはずっ!」

向日葵「ちょ、ちょっと、櫻子、こっそり教室に入るつもりですの……?」
     「正直に先生に言った方が……」

櫻子「良いんだって! 向日葵も早く来いよ」

向日葵「えぇ……?」


櫻子「……」

つかさ「……あっ、櫻子、向日葵、おはよ」

櫻子「しーっ! 話しかけんなー」

向日葵「おはようございます、七尾さん」

「おーい、そこの二人、バレバレだぞ」
「早く席につけー」

櫻子「……」スゥ……

向日葵「何最初からいましたよみたいな顔してるんですの」

749: 2013/03/20(水) 00:05:50.01 ID:yTCc8ETVo
――――――――――――――――
つかさ「あははっ、二人ともしっかり怒られてやんの」
    「こっそり入り込む作戦、失敗だったね」

櫻子「……ぐぐ、ちくしょう」

よしの「どうして二人とも遅れたの?」

向日葵「電車に乗り遅れてしまいまして」
    「誰かさんが起きるのが遅いから……」

櫻子「はぁっ!? 向日葵が走るの遅いからだろっ!」

向日葵「なんですって!?」

櫻子「あそこでもっと早く走ってれば電車にヨユーで間に合ったもんね!」
   「っていうか、その胸につけてる重りはずせよ!」

向日葵「貴女がもっと早く起きていれば走る必要性すらなかったですわ!」
     「それに! 重りじゃありませんわっ!」

櫻子「なにをっ!?」

向日葵「なんですの!?」


つかさ「あー、また始まったよ口げんか」
    「……ってか、痴話げんか?」

よしの「ふふっ……」

750: 2013/03/20(水) 00:13:54.09 ID:yTCc8ETVo
――――――――――――――――

櫻子「……ちくしょう、向日葵め」
   「遅れを私のせいにしやがって」

櫻子「向日葵は毛布の恐ろしさを全然知らないんだ……」

櫻子「……って、ん?」
   「あれ、ペンケース入ってないなー……あるぇ?」

向日葵「あら?」
    「櫻子、どうしたんですの?」

櫻子「ペンケース忘れたみたい」

向日葵「そう」
    「シャーペン貸しましょうか?」

櫻子「おうっ!」

向日葵「なんで貴女はそんなにエラそうなんですの……」
    「……このセリフ、既に2回目ですわ」

向日葵「それにしても、貴女がペンケースを忘れるなんて珍しいですわね」
    「まさか、勉強をちゃんとしていたとか?」

櫻子「それは無いだろ」

向日葵「……いや、まぁ、分かってましたけど」
    「貴女がそういう風に言うのはどう……あ、もういいですわ」

751: 2013/03/20(水) 00:21:48.09 ID:yTCc8ETVo
―――――――――――――――――――

櫻子「向日葵! 宿題見せて!」

向日葵「はぁ、仕方ありませんわね……」
    「明日はちゃんとやってきなさいよ」
 
櫻子「んー」

―――――――――――――――――――

向日葵「櫻子、朝から言おうと思ってたんですけれど」
    「寝癖、酷いですわよ」

櫻子「えっ!? もっと早く言えよ~っ!」

向日葵「しょうがないじゃありませんの……朝は急いでいたんですから」
    「ほら、うしろ向きなさいな、髪を梳いてあげますわ」

櫻子「おう、頼んだーっ」

―――――――――――――――――――

櫻子「うぇ……プリント多すぎじゃん」
   「これ運ぶのかよっ」

向日葵「どうしたんですの?」

櫻子「先生からプリント運び手伝ってって言われた」

向日葵「でも、多いから大変だと」
    「……はぁ、もう、半分よこして」

向日葵「持ってあげますから……」

櫻子「ありがとー向日葵」

752: 2013/03/20(水) 00:28:42.15 ID:yTCc8ETVo
―――――――――――――――――――
櫻子「はぁーっ! 今日も終わったぁ」
   「よっしゃ、向日葵帰ろー」

向日葵「あ、私先生にちょっと頼まれごとされてましたの」
    「待ってるか、先に帰っているかしてくださる?」

櫻子「えーっ、そうなの?」
   「……じゃあ、待ってる」

向日葵「ごめんなさいね」
    「じゃあ、行ってきますわね」

櫻子「なるべく早く済ませろよー」

向日葵「はいはい……わかりましたわよ」


櫻子「……はぁ」
   「疲れたーっ」

つかさ「あ、櫻子」
    「一人で何してんの?」

櫻子「あ、つっちゃん」
   「向日葵のこと待ってやってんだ」

つかさ「あぁ、一人で帰るの寂しいもんね」

櫻子「はぁ!? んなことねーしっ!」

つかさ「あはは、冗談冗談」

753: 2013/03/20(水) 00:32:49.17 ID:yTCc8ETVo
櫻子「つっちゃんこそ何してんの?」

つかさ「あたしはちょっと、忘れ物取りに来たんだ」

櫻子「ふーん……」


つかさ「今日も櫻子、向日葵に頼りっぱだったね」

櫻子「え? 頼りっぱだった?」

つかさ「え? 頼りっぱじゃなかった?」

櫻子「いっつもこんなんだけど」

つかさ「うわぁ、それマジ?」

櫻子「うん」

つかさ「うわぁ」

櫻子「何だよー!」

つかさ「べっつにぃ」

櫻子「いや、言ってよ」


754: 2013/03/20(水) 00:41:13.51 ID:yTCc8ETVo
つかさ「……櫻子と向日葵って幼馴染なんだよね?」

櫻子「腐れ縁だってば」

つかさ「まぁ、どっちでもいいよ」
    「幼馴染のルールって言うか、どこまでが許されてるとか、そういうのわかんないけどさ」

つかさ「櫻子ちょっと、向日葵に頼りすぎじゃない?」

櫻子「そんなことない……と思う!」

つかさ「いやいや! あんなの毎日だったらふつう愛想つかされるよ?」

櫻子「えっ、そうなの?」

つかさ「そうだと思うよ」
    「あ、あとさ、ちゃんと向日葵に感謝とかしてる?」

櫻子「んー、まぁ、ありがとっては言うけど」

つかさ「ふーん」
    「やっぱりさ、たまにはしっかり感謝しなきゃ駄目だよ」

櫻子「しっかり? なんで?」

つかさ「なんでって言われてもなー」
    「ま、とにかく、いっつも助けてもらってるんだしさ、そういうこともしなきゃ」

つかさ「じゃないと本当に向日が愛想つかしていなくなっちゃうかもよ」
    (まぁ、向日葵ならそれは無いと思うけど)

櫻子「……んんー」

755: 2013/03/20(水) 00:44:45.57 ID:yTCc8ETVo
向日葵「櫻子、終わりましたわ」
    「待たせてすみま……って、七尾さん?」

つかさ「お! 向日葵ーお疲れ―」
    「向日葵が来たことだし私はそろそろ行こうかなぁー」

つかさ「じゃあね、二人とも。また明日ー」

向日葵「あっ、七尾さん……」
    「部活頑張って!」

つかさ「おーっ」


向日葵「櫻子、帰りましょうか」

櫻子「……」

向日葵「櫻子?」

櫻子「えっ?」
   「あー、そうだね」

向日葵「どうしたんですの? 様子がおかしいですけれど」

櫻子「別におかしくないって! 早くかえろーぜっ」

向日葵「はあ」

757: 2013/03/20(水) 00:50:02.35 ID:yTCc8ETVo
―――――――――――――――大室家
櫻子「……」


つかさ『向日葵に頼りすぎじゃない?』
    『向日葵が愛想つかしていなくなっちゃうかもよ』


櫻子「……んー」
   (向日葵に頼りすぎ……かぁ)

櫻子(今日を思い返してみると)

櫻子(朝起こしてもらってるし)

櫻子(シャーペン貸してもらったし、宿題見せてもらったし)

櫻子(髪梳かしてもらったし)

櫻子(プリントも運んでもらった)

櫻子(……ちゃんと考えてみれば、なんか)
   (わたしって本当に向日葵に頼ってばっかだな)

櫻子(でもでも、結構向日葵が自分から言ってくることだってあるし)

櫻子(私が頼ってるってわけじゃ)


つかさ『いなくなっちゃうかもよ』


櫻子(……)

758: 2013/03/20(水) 00:57:13.16 ID:yTCc8ETVo
櫻子(もし、向日葵がいなくなったらどうなるだろう)

櫻子(朝起こしてくれる人は)

櫻子(忘れ物を、貸してくれる人は)

櫻子(髪を梳かす人は)

櫻子(……一緒に、学校に行く人は)


櫻子(そんなの、やっぱ考えられない)
   (向日葵がいなくなったら……わたしが困る!)

櫻子(ちゃんとした生活が送れなくなっちゃうじゃん)

櫻子(そんなの、絶対許されないんだもん)

櫻子(……なにかで、感謝の気持ちを伝えなきゃ)

櫻子(なんだろう、何が良いんだろ)

櫻子(……)

櫻子(……ん?)


向日葵『新しく編んであげますわよ』


櫻子「それだっ!」


花子「櫻子! 何やってるし!」

櫻子「え? 何だよ、花子」

花子「ご飯係忘れてるしっ!」

櫻子「あ!」
   「……レトルトで良い?」

花子「作れし!」

759: 2013/03/20(水) 01:02:55.27 ID:yTCc8ETVo
――――――――――――――――――――――翌日
櫻子「……よし」

櫻子(編み物の本を買ってみたぞ)

櫻子(ふふ、見てろよ、向日葵)
   (絶対に驚かせてやるからな)

櫻子(絶対に、感謝の気持ちを伝えてやるからな!)

―――――――――――――――――――――――

櫻子「あるぇー?」

櫻子(な、なんだ、この指の動きは)
   (……難しすぎる)

櫻子(……ム、ムリゲー)

櫻子「く、この」
   「動け! このゆびっ!」

櫻子「いてー! 指つったー!」


花子(櫻子が……櫻子が編み物してるし……)
   (もうだめだし、早く帰ってきてほしいし、撫子お姉ちゃん……)

760: 2013/03/20(水) 01:07:07.53 ID:yTCc8ETVo
櫻子「くぬ……このっ」

櫻子「……ぐぎぎぎ」

櫻子「あいたー!」


櫻子「……」

櫻子「くそーっ! できるかーこんなもん!」

櫻子「……はぁ、はぁ」

櫻子「やめだやめだーっ!」


櫻子「あーもぉ、疲れたーっ!」

櫻子「……疲れた」


櫻子「……ん?」

櫻子「あれ、向日葵のマフラー」

櫻子「ここに置きっぱなしにしちゃってたか」

櫻子「まぁ、今日はマフラー作るために急いでたから仕方ないよな」

761: 2013/03/20(水) 01:12:26.27 ID:yTCc8ETVo
櫻子「……」


向日葵『これ、あげますわ』

櫻子『今日からまた、一緒に帰ったり宿題見たりできるの?』

向日葵『しょうがないですわね』


櫻子「……懐かしいな、中学生」

櫻子(向日葵、すげーなぁ)

櫻子(こんな難しいもん作れるんだもん)

櫻子(……ってか、わたしってあの頃から変わってないな)

櫻子(あの頃から、ずっと向日葵に頼ってばっかりだ)

櫻子(それなのに、向日葵は)

櫻子(嫌な顔……はしてたか)

櫻子(なんだかんだ言っても、ちゃんとわたしのわがままを聞いてくれてた)

櫻子「……」

櫻子「……っ!」ガバッ
   「わたしにだって、これくらいつくれるわい!」

762: 2013/03/20(水) 01:17:37.65 ID:yTCc8ETVo
――――――――――――――――――――
向日葵「おはようございます、花子ちゃん」

花子「ひま姉ちゃん……ごめんだし」
   「まだ櫻子寝てるし……」

向日葵「まぁ、想定内ですから」
    「起こしてきますわね」

花子「お願いするし」


向日葵「櫻子、入りますわよ」

向日葵「……?」

向日葵「櫻子?」


櫻子「……くかぁ」

向日葵「もう、櫻子! 机でなんか寝て……」
    「風邪をひきますわよ! 櫻子!」

櫻子「……んんぅ」

向日葵「もう、櫻子! ……って」
    「あら、何かしら、この毛糸……」

櫻子「んん……?」
   「んっ!?」

向日葵「きゃっ! いきなり起き上がってどうしましたの?」

763: 2013/03/20(水) 01:20:36.00 ID:yTCc8ETVo
櫻子「……見た?」

向日葵「え?」

櫻子「なんか、見た?」

向日葵(……毛糸のことかしら)
    (この子の様子から考えると……こういう時は)

向日葵「い、いえ、何にも」

櫻子「そっか」
   「ってか! 勝手に部屋に入るなぁ!」

向日葵「えぇ!? 今更ですの!?」
    「というか、起こしに来てあげているのに……」

櫻子「うっさい! あっ……ジャナカッタ、ありがとう!」 
   「と、とにかく一回部屋からでてけっ!」

向日葵「えぇ!? ちょ、ちょっと、なんなんですの、いったい」

櫻子「良いから出てけーっ!」

向日葵「分かりましたわ! わかりましたから! 押さないで……!」

764: 2013/03/20(水) 01:29:26.83 ID:yTCc8ETVo
――――――――――――――――――――翌日

櫻子「……」

櫻子「……んぐぐ」

櫻子「……よしっ」

――――――――――――――――――――翌々日

櫻子「……んーっ」

櫻子「お、出来てるっ!」

櫻子「……やっぱり天才だな」

――――――――――――――――――――

櫻子「ふぁぁ……」

櫻子「……んん」

櫻子「あぁ、ヌードルが……」


花子「ニードルだし」

765: 2013/03/20(水) 01:33:37.57 ID:yTCc8ETVo
――――――――――――――――――――――――

櫻子「……」

櫻子「んぐぐ……」

櫻子「……あ」


櫻子「できた」

櫻子「できたーっ!!」

櫻子「マフラーができたっ!」

櫻子「やっぱり天才に不可能はなかったー!!」


櫻子「フフフ、初めてにしてはなかなかの出来!」

櫻子「きっと、向日葵に渡したら、驚いて喜ぶぞ」

櫻子「さー、さっさと渡してこよう」


766: 2013/03/20(水) 01:37:30.12 ID:yTCc8ETVo
櫻子「……」

櫻子「……ん」

櫻子「……んん?」


櫻子(なんて言って渡せばいいんだろう)

櫻子(感謝の気持ちって言ったって)

櫻子(……なんていえば)

櫻子(それに、なんだこれ)

櫻子(渡すときになって、めちゃくちゃドキドキしてきたんだけど)

櫻子(あれ、いや……あれ?)

櫻子(普通に渡せば済むんだよな)

櫻子(……でも、あれ……うわ、ドキドキする!)


花子「……玄関で固まってなにやってるし」

櫻子「うおっ! びっくりした!」

花子「今日、櫻子当番だし」

櫻子「……分かってる!」

花子「いい加減撫子お姉ちゃんがシフトから外れ……って」
   「え?」

櫻子「今作るから」
   「材料は買ってきてある」

花子「……え?」

767: 2013/03/20(水) 01:41:01.55 ID:yTCc8ETVo


撫子「……」
   「ん? 花子からメールか」

撫子「櫻子がおかしくなった?」


撫子「……」


撫子「いや、元からだろ」


768: 2013/03/20(水) 01:44:31.52 ID:yTCc8ETVo
――――――――――――――――――――――――完成翌日

櫻子(結局昨日は渡せなかった)

櫻子(……)

櫻子(今日渡すか)

櫻子(向日葵が家に来た時に渡す)
   (ありがとうと言う、終わり!)

櫻子(完璧!)


向日葵「櫻子! 起き……って、もう起きてましたの」

櫻子「んっ!? な、なんだよ向日葵! 突然部屋に入ってくんな!」

向日葵「ちゃんとノックしましたわよ」

櫻子「聞こえなかったっての!」

向日葵「でもしました!」

櫻子「聞こえなかった!」

向日葵「しました!!」


769: 2013/03/20(水) 01:48:27.62 ID:yTCc8ETVo
――――――――――――――――――――――――
櫻子(言い争ってたら結局渡せなかった)

櫻子(くそう、櫻子め)

櫻子(一応持ってきたけど)
   (学校で渡すのはなんか嫌だな)

櫻子(茶化されるにちがいない)


つかさ「へっくしっ!」

よしの「つっちゃん、花粉症?」

つかさ「そんなはずないんだけどな」


櫻子(だから、帰り道に渡すしかないな)

櫻子(……いや、ぱぱっと渡してぱぱっと言えば終わりなんだし!)

櫻子(……楽勝!)


向日葵「……」

向日葵(なんだか、今日の櫻子は様子がおかしいですわ)

向日葵(朝も何かありましたし……熱でもあるのかしら)

770: 2013/03/20(水) 01:50:56.68 ID:yTCc8ETVo
――――――――――――――――――――――――
向日葵「……ふぅ」
    「今日も終わりましたわね」

向日葵「櫻子、帰りましょう」

櫻子「おっ!? お、おー」

向日葵「……櫻子?」

櫻子「よっし、帰るぞっ! さっさと帰るぞーっ!」

向日葵「……」


櫻子(つ、ついに来てしまったこの時間……)

櫻子(……いや、でも本当に、ドキドキする必要なんてないんだから)

櫻子(これただの感謝のきもちなんだからさ)

櫻子(……うん)


771: 2013/03/20(水) 01:54:43.33 ID:yTCc8ETVo
櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……ねぇ」

櫻子「……」

向日葵「櫻子?」

櫻子「へ? な、なにっ?」

向日葵「今日の貴女、おかしくありません?」

櫻子「……そ、そんなことないんじゃねーの?」

向日葵「いいえ、おかしいわ」
    「調子が悪いんですの? もしかして、熱があるとか」

櫻子「ないない! わたしはぴんぴんしてるって!」

向日葵「……でも、調子がおかしいんですわ」
    「今日はとりわけ……」

向日葵「……ここ最近貴女、調子がおかしいですわよね」

向日葵「何か隠しているというか、そんな感じもしますわ」

櫻子「……う」

772: 2013/03/20(水) 02:01:00.12 ID:yTCc8ETVo
向日葵「別に、隠し事をするなとは言いませんけど」

向日葵「……もし、何か、その……」

向日葵「病気とか、そういう悪い事だったらって思うと」

向日葵「……とっても、心配だから」


櫻子「……向日葵」

櫻子「そんな、悪いことじゃない」

櫻子「病気とか、そんなんじゃないよ」

向日葵「そう……」

櫻子「あのさ」

向日葵「はい? なんですの?」

櫻子「あの……」
   「えっと」

向日葵「……?」

櫻子「これっ!」

向日葵「……え? これって」
    「マフラー? それに、向日葵の刺繍まで」

773: 2013/03/20(水) 02:05:24.12 ID:yTCc8ETVo
櫻子「……ひ、向日葵にはさ」

櫻子「昔から、頼ってばっかりで……その」

櫻子「すごい、迷惑かけてたじゃん」


櫻子「……宿題見せてもらったり」

櫻子「……起こしてもらったり」

櫻子「それ以外にも、いろんなこと、してもらってた」

櫻子「そ、それなのにっ」

櫻子「全然、感謝とか、できてなかった、からさ」

櫻子「その、それは、そのっ……気持ち」

櫻子「感謝のっ、気持ち……なんだよ」

櫻子「ぶ、不格好だけど、めっちゃくちゃ頑張ったんだぞぉっ!」


向日葵「……櫻子」

向日葵「ふふっ、ふふふっ……」

櫻子「な、なんだよおっ!」

774: 2013/03/20(水) 02:09:03.42 ID:yTCc8ETVo
向日葵「マフラーに、向日葵って」
    「……使うのは冬なのに、なかなか不思議ですわね」

櫻子「なっ……!!」

向日葵「でも、ありがとう」
    「櫻子が作ってくれたマフラーですものね」

向日葵「……大切にして差し上げますわ」

向日葵「今の櫻子が、大切にしてくれている」
    「私のマフラーみたいに、いつまでも」

櫻子「……~~~っ」

櫻子「と、当然だろぉっ!!」


向日葵「櫻子、何で泣いていますの?」

櫻子「泣いてないモン!」

向日葵「もう、鼻まで出てますわよ」

櫻子「でてな……ひっ」

向日葵「……ほら、こっち向いて」
    「拭いて差し上げますから」

櫻子「子どもじゃないもんっ!!」

向日葵「はいはい……」

775: 2013/03/20(水) 02:14:48.13 ID:yTCc8ETVo
向日葵「……」
    「……ふふ、暖かいですわ」

櫻子「と、当然だろ!」
   「……わたしがつくったんだもん!」

向日葵「そうですわね」

櫻子「……」
   「……似合ってる」

向日葵「……ありがとう、櫻子」

向日葵「もうちょっと、早くに作ってくれれば」
    「今シーズン、もっと長く使えましたのに」

櫻子「しょうがないじゃん!」
   「最初だから手間取ったんだよ!」

向日葵「はいはい」

櫻子「……くっそー」

向日葵「でも……来シーズンが、楽しみ」

櫻子「……」
   「……うん」

櫻子「……ありがとう、向日葵」

776: 2013/03/20(水) 02:30:43.85 ID:yTCc8ETVo


向日葵(でもね、櫻子)

向日葵(私は、感謝されなくても十分なんです)

向日葵(私が好きでやっていることなのだから)

向日葵(あなたが好きで、やっていることなのだから)


向日葵(むしろ、感謝するのは私の方)



――――櫻子、いつも、一緒にいてくれてありがとう

これからも、よろしくおねがいしますわね


(終わり)

777: 2013/03/20(水) 02:33:00.03 ID:yTCc8ETVo
電車シーンもやりたかったな。
なんかさくひまひまさくっぽさが少なかった気もするな……。

次も未定です。

引用: 百合短編SSで全レスする