15: 2021/08/03(火) 22:57:17.36 ID:4NaNrAQc0

スティーヴィー・ワンダー “I Just Call To Say I Love You” 編

コンコン

オレンジペコ「はい」

ガチャ

寮母「失礼します。オレンジペコ様宛にお電話がきております」

オレンジペコ「そうですか。どなたからでしょうか」

寮母「ローズヒップ様からです。遠征先のローズヒップ様から長距離のお電話を頂いております」

オレンジペコ「わかりました。すぐに降りますのでそのままにしておいてください」

寮母「はいかしこまりました」


16: 2021/08/03(火) 22:57:58.63 ID:4NaNrAQc0

オレンジペコ「――もしもし。お待たせしました、ローズヒップさん」

ローズヒップ『オレンジペコさん、お久しぶりですわー!』

オレンジペコ「お久しぶりです。ローズヒップさん」

オレンジペコ「それとあと、そんなに大声を出さなくても十分聞こえていますよ」

ローズヒップ『え? なんて言ったんですの!』

オレンジペコ「大声を出さなくても聞こえていますと言ったんです」

ローズヒップ『ああそうですかわかりましたわ! もう大声は出さないで喋りたいと思いますわ!!』

オレンジペコ「それが大声なんです!」

ローズヒップ『あーっ、またやってしまいましたわ! ごめん遊ばせっ!!』

オレンジペコ「………」

オレンジペコ「…もういいですから、それでご用件は? 長距離なんですから、手短に言わないとお金がかかってしまいますよ」

ローズヒップ『そうでしたわ! ご用件! それでご用件というのは……』

オレンジペコ「はい」

ローズヒップ『ご用件というのは……』

オレンジペコ「はい聞いていますよ」

ローズヒップ『………』

オレンジペコ「………」

ローズヒップ『忘れてしまいましたわ!!!!』キーン

オレンジペコ「うるs…! だから叫ばないでもいいですから!!」

ローズヒップ『ごめんあそばせっ!!!』キーン

オレンジペコ「直す気がないでしょう!」


17: 2021/08/03(火) 22:58:25.46 ID:4NaNrAQc0

オレンジペコ「――それで、ご用件は忘れてしまったと」

ローズヒップ『申し訳ございませんわ』

オレンジペコ「いえ、いいんです。また思い出したときにかけてくれたら」

ローズヒップ『はいい……』

オレンジペコ「……それでは」

ローズヒップ『って、ちょちょちょ、もう切っちゃうんですの!』

オレンジペコ「はい?」

ローズヒップ『せっかく久し振りにお話しできたのですから、もっとお話ししたいですわ!』

オレンジペコ「……それは……わたしも………」

オレンジペコ「…………」

オレンジペコ「でもいいんですか? 長く話せばお金が沢山かかっちゃいますよ?」

ローズヒップ『それはご心配なく!』

ローズヒップ『お父様とお母様から頂いていたお金をぜーんぶ小銭に替えてありますの! ここにたーんと山積みでありますわ!』

オレンジペコ「でもそれって、遠征の……」

オレンジペコ「……」

オレンジペコ「……そうですか」クス


ローズヒップ『あ、そうでした。オレンジペコさんは大丈夫ですの? お時間あるんですの?』

オレンジペコ「わたしなら大丈夫ですよ」

ローズヒップ『それはよろしゅうございましてよ!!』


18: 2021/08/03(火) 22:58:53.93 ID:4NaNrAQc0

オレンジペコ「――それで、遠征のほうはどうですか? 充実していますか?」

ローズヒップ『はい! ぼちぼちやっておりますわ!』

オレンジペコ「ごはんはちゃんと食べていますか? 朝昼晩とちゃんと出るんですか?」

ローズヒップ『ええそれはもう! 品数が多くて取り合いにならないのでお優雅にお食事が摂れておりますわ!』

オレンジペコ「そうですか…。それはよかったです」

ローズヒップ『はい!』

オレンジペコ「それで……」


オレンジペコ「今、ひとりで寂しくないですか…?」


ローズヒップ『……はい?』

オレンジペコ「!」

オレンジペコ「あ、ああ。変なこと訊いてしまってすみません」

オレンジペコ「それは明るいローズヒップさんのことですもんね。お友達の二三人はもう出来ているんでしょうね。すみません、今言ったことは忘れてください」


ローズヒップ『え? さっき何て言ったんですの? 声が小さくてよく聞こえませんでしたわ! もう一度言ってくださいまし!』

オレンジペコ「………」

オレンジペコ「………いえ、なんでもありません」

ローズヒップ『そうですか!!』


19: 2021/08/03(火) 22:59:48.72 ID:4NaNrAQc0

ローズヒップ『でもこうしてオレンジペコさんと他愛無いお話をするのも普段あまりないことでとっても新鮮な感じがしますわ!』

オレンジペコ「本当ですね。何だか本当に新鮮な気がします」

ローズヒップ『そういえば……』

ローズヒップ『こういう他愛ない電話の歌ってなんかありましたわよね…たしか………』

ローズヒップ『♪~♪』

ローズヒップ『みたいな感じの曲で……』

オレンジペコ「ああ、それはスティーヴィー・ワンダーですね」

ローズヒップ『す、すてぃーびー?』

オレンジペコ「スティーヴィー・ワンダーです。アメリカのシンガーソングライターです」

ローズヒップ『ああ、そうでしたっけ。電話の歌でしたわよね』

オレンジペコ「そうですね」

ローズヒップ『たしか…』

ローズヒップ『アイ・ジャスコー・ツセー♪』


ローズヒップ『フフーフー♪』


ローズヒップ『的な歌詞でしたわよね!』

オレンジペコ「…そうですね。大事なところを覚えていないようですが……」

ローズヒップ『フフーフー♪の部分はなんだったでしょう? 全然思い出せませんわ!』

オレンジペコ「本当ですか? 結構抱き合わせで覚えやすい文ですが……」

ローズヒップ『そうなんですの? そういうオレンジペコさんは覚えていらして?』

オレンジペコ「はい。私はしっかり覚えていますよ」

ローズヒップ『じゃあ教えていただいても?』

オレンジペコ「はい。アイ――」


ローズヒップ『ちょーーーーっとおお待ち遊ばせ!!!!』キーン


オレンジペコ「きゃあ!」

オレンジペコ「…だから大声を……」

ローズヒップ『やっぱり私当てますわ!』

ローズヒップ『当てさせてくださいまし!!』

オレンジペコ「……もう。はい。わかりました」

20: 2021/08/03(火) 23:00:57.34 ID:4NaNrAQc0


ローズヒップ『ヒント! ヒントは何かありまして?』

オレンジペコ「ヒントですか?」

ローズヒップ『はい! ヒントですわ!』

オレンジペコ「そうですね……。どうでしょう、電話しなければならないほど伝えなければならない想いといいますか、それほど強い想いを表した言葉がここには入りますね」

ローズヒップ『電話しなければならないほど伝えたい想い、ですの?』

オレンジペコ「まあそのような言葉が入りますね」

ローズヒップ『そうですか……』

ローズヒップ『じゃあ、私が今オレンジペコさんにお電話差し上げてるのと、同じような思いということになりますわね!!』

オレンジペコ「…えええ!!? そ、それはどうでしょうか……」

ローズヒップ『違うんですの?』

オレンジペコ「違うというか、そのう……。ローズヒップさんがどういったお心持でお電話してくれたのか私にはわかりませんし…?」

オレンジペコ「まあお電話してくれたのはご用件があったからなんでしょうけど、どうしてそのご用件を伝えるためだけに小銭をいっぱい目の前に用意しているのかも、私にはわかりませんし?」

オレンジペコ「そのご用件をお忘れになった今もどうして私とお話を続けたかったのかも私にはわかりませんしおすし?」

オレンジペコ「……ローズヒップさんは、今、どういう、お気持ちで私に電話してくれているんですか……?」

ローズヒップ『私の今思っていることですの?』

オレンジペコ「……はい」

ローズヒップ『それは…』


ローズヒップ『お台所からいい匂いがしてきたなーと……』


オレンジペコ「…………」


21: 2021/08/03(火) 23:01:27.20 ID:4NaNrAQc0

ローズヒップ『もうすぐごはんかな、とか…』

オレンジペコ「…………」

ローズヒップ『うなぎの匂いが――』

オレンジペコ「切ります」

ローズヒップ『え!? ちょっちょっ、ちょっと! お待ち遊ばせ!!』

オレンジペコ「待ちません」

ローズヒップ『お待ちなさいって! 冗談ですの!! 冗談ですって!』

オレンジペコ「ほんとうですか」

ローズヒップ『今私がオレンジペコさんにお電話差し上げてる理由といいますか、思いなんて…』

ローズヒップ『そんなのオレンジペコさんとお話ししたかったから以外にありませんわ!』

ローズヒップ『ただオレンジペコさんのお声が聞きたくて…』

ローズヒップ『そんな軽い気持だけでオレンジペコさんにお電話を差し上げてはいけませんの? ご迷惑ですの…?』

オレンジペコ「…………」

オレンジペコ「今回は切りません」

ローズヒップ『よかったですわ!』

オレンジペコ「ふふ」


22: 2021/08/03(火) 23:02:03.05 ID:4NaNrAQc0

ローズヒップ『――で、何の話でしたっけ……』

オレンジペコ「スティーヴィー・ワンダーです」

ローズヒップ『す、すてぃー…? あ、歌詞でしたわね』

オレンジペコ「そうです。”I just call to say”の後に続く歌詞の話です」

ローズヒップ『ときに、オレンジペコさんはその言葉を伝えるために、誰かに電話をしたことはありますの?』

オレンジペコ「わたしですか?」

ローズヒップ『はい!』

オレンジペコ「え、えーっと、わたしは……」

ローズヒップ『はい!』

オレンジペコ「今のところ、経験はありませんが……」

ローズヒップ『そうなんですの?』

オレンジペコ「はい」

ローズヒップ『なんでも物識り顔していらっしゃるオレンジペコさんでも経験のないことがありますの?』

オレンジペコ「それは沢山ありますよ。ちょっと言い方が気に障りますが」

ローズヒップ『そうですかあ。じゃあわたくしには到底分かり得ない気持ちなのかもしれませんわねえ……』

オレンジペコ「そ、そんなことありませんっ! そんなことありませんよ!!」

ローズヒップ『……へ?』


23: 2021/08/03(火) 23:02:38.90 ID:4NaNrAQc0

オレンジペコ「ローズヒップさんだって自分の気持に正直に行動していれば、誰かにこの気持ちを無性に伝えたくなって、それで電話してしまうことだってきっとありますっ」

ローズヒップ『そうなんですの?』

オレンジペコ「わたしだって今まで、どんなにローズヒップさんにお電話差し上げて、このきもちをおつた――」

オレンジペコ「――って、はっ!?」

オレンジペコ「……」

オレンジペコ「なんでもありません。ローズヒップさん、今のはなんでもありません」

オレンジペコ「ちょっと口が勝手に回っただけで、なんでもありませんから、忘れてください、ね?」


ローズヒップ『ああ、そうですの』

ローズヒップ『――じゃあ、そうですねえ。次のヒントは……その気持ちをズバリ動物に例えるなら! 一体何ですの??』

オレンジペコ「…………」

ローズヒップ『………』

オレンジペコ「………………」

ローズヒップ『…あら? もしもーし。オレンジペコさーん。聞こえていらっしゃいますのー?』

オレンジペコ「……流すんですか」

ローズヒップ『はい?』

オレンジペコ「…さっきのわたしの失言を流すんですか」

ローズヒップ『しつげん…?』

オレンジペコ「………はあ、もういいです」

ローズヒップ『湿原…。カバですの………?』


24: 2021/08/03(火) 23:03:09.04 ID:4NaNrAQc0

ローズヒップ『――じゃあ、最後のヒント!』

ローズヒップ『ズバリ! 「フフーフー♪」の部分を日本語で表すとどうなりますの!? それを私が英語に直して当てはめてみますわ!』

オレンジペコ「日本語に直すと、ですか?」

ローズヒップ『はい!』

オレンジペコ「そうですね…。夏目漱石は、これを『月が綺麗ですね』と訳しましたね」

ローズヒップ『つ、月が……?』

オレンジペコ「はい」

ローズヒップ『それが歌詞になりますの?』

オレンジペコ「はい」

ローズヒップ『えー、ということは、えーっと、ザ・ムーン・イズ………』

オレンジペコ「あ、いやそういうことではなく……」

ローズヒップ『ということは……』

ローズヒップ『アイ・ジャス・コー・ツセー・ザムーンイズビューティフルー♪ という…』

ローズヒップ『……ちょっと言葉が多いんじゃありません?』

オレンジペコ「あの、違います。すいません」

ローズヒップ『はあ』

25: 2021/08/03(火) 23:03:38.33 ID:4NaNrAQc0

オレンジペコ「それを直訳すると、『好きです』です。夏目漱石は、日本人は相手に好意を告白するとき、そんな直接的な言い方はしないと言って、月が――」

ローズヒップ『「好きです」ですわね!! ということは「ライク」ですわね!』

オレンジペコ「――きれ、」

オレンジペコ「………………」

ローズヒップ『ということは、”I just call to say I like you”ですわねっ!!!』

ローズヒップ『確かにこれだった気がしますわ!!』

オレンジペコ「………」

ローズヒップ『アイジャスコ―、ツセー、アイライクユー♪』

オレンジペコ「……………」

ローズヒップ『すごい!! すごくしっくりきますわ!! ですよね、オレンジペコさんっ!!!』


オレンジペコ「違いますっ!!!!!」キーン


ローズヒップ『おわっ!? 耳がッ。声でけエ!』

オレンジペコ「ちーがーいーまーす! 違います!!」

ローズヒップ『そうなんですの!!?』

オレンジペコ「アイ・ラヴ・ユーです!!」

ローズヒップ『え? なんですの? なんていったんですの?』

オレンジペコ「アイ・ラヴ・ユーと言ったんです!!」

ローズヒップ『アイ・ラヴ・ユー? アイ・ラヴ・ユー…ですの? そうでしたっけ……』

オレンジペコ「そうですよ! アイ・ラヴ・ユーですよ!」

ローズヒップ『ユー・ラヴ・ミーでなくて?』

オレンジペコ「アイ・ラヴ・ユーです!!!」

オレンジペコ「誰がなんと言おうとアイ・ラヴ・ユーなんですっ!!!」



ダージリン「…………」ジー

ダージリン「オレンジペコ…青春してるわね………」


オレンジペコ「だから何度言ったらわかるんですっ! アイ・ラヴ・ユーーーー!!!!!!」


スティーヴィー・ワンダー”I Just Call To Say I Love You” 編 完



引用: 歌詞を思い出せないガルパンシリーズ