67: 2011/09/02(金) 14:15:50.52 ID:s+jwSGpa0
「ここが学園都市、かぁ……」
俺の名は上条当麻。
ちょっと不幸なごく普通の一般高校生である。―――――この右手に宿ったチカラを除けば。
『幻想頃し』。
異能の力を全て打ち消してしまうこの右手は、悲しいことに俺の幸運や運命までもを悉く無効化してしまうらしい。
はあ、不幸だ。
だがその不幸も今日まで。この超能力者養成機関『学園都市』で、何としても俺はこの不幸を断ち切る方法を見つけだすのだ。
「ったく、アイツが帰って来るってのに今日に限って家に居るのが私とアンタだけとはね」
「仕方ありません、皆それぞれ外せない用事があったのですから、とミサカは弁明します」
おっと、さっそく第一・第二町人発見。どうやらお隣さんのようだ。
見たところ二人とも中学生のようだけど、………やけによく似ているな?
「こんにちは、初めまして。俺、隣に引っ越してきた上条当麻」
「あ、上条さん家の。……私は御坂美琴。ココん家の次女よ。で、こっちは双子の妹の―――――」
なん……だと……?
御坂(自称次女)の説明はまだ続いていたようだが、俺はそれどころではなかった。
隣に立っている御坂美琴そっくりの少女はよく見ると……まさか、まさか……
「『量産能力者計画』が、実用化されていただと………?」
何と言うことだ。
学園都市に七人しか存在しないと言われる超能力者、その内の一人『超電磁砲』。
彼女のクローン『妹達』を大量生産する計画は、既に実行に移っていたのか。
「お、おい御坂!他の妹達はどうしたんだよ!?計画では確か二万は生産される予定だっただろ!!」
「に、二万!?うちのママっていうか普通の人間が二万人も産めるワケないじゃない!そもそも双子だって言ってん―――――」
「まさか!!『絶対能力進化実験』に利用されちまってんのか!?」
「聞きなさいよ、人の話!!」
なんて言うことだ、なんて言うことだ、なんて言うことだ!!
俺が学園都市に来るのがもっと早ければ妹達は氏ななくて済んだのに!!
俺が自責の念に駆られているとコツ、コツと足音とは違う何かをついたような音が聞こえてきた。
とてつもない焦燥に襲われ、後ろを振り返る。
今この状況で御坂と御坂妹を着け狙ってくる者。それは、それは……
68: 2011/09/02(金) 14:17:13.64 ID:s+jwSGpa0
「大声出して何やってンだ、オマエら」
「やっぱりテメエの仕業か、一方通行!!」
白い髪、細身の身体、赤い瞳。
学園都市の頂点に君臨する最強の超能力者、一方通行。
自分勝手に絶対能力者なんて目的を立てて、妹達を惨頃していった張本人め!!
「おい美琴、コイツ誰だ?」
「隣に引っ越してきた上条さん家の息子らしいんだけど……私とこの子が双子だって言ったら計画がどうとか妹達がどうとか言いだして……」
「彼によればミサカ達は実は双子ではなく二万人子だったようです。他の一九九九九人は既に他界したようですが、とミサカは補足します」
「意味分かンねェ………」
「おや?こちらをジっと見てますよ。アルビノがそんなに珍しいのでしょうか、とミサカは気持ち悪いなコイツとドン引きしながらお姉様に相談します」
御坂達にあの一方通行が何か喋っている。
どう言うことだ?あれだけ妹を殺された御坂がそう簡単にアイツを許すとも思えねえし……
もしかして!!
「あ、あーっと……紹介するわね。コイツは鈴科。名字違うけど一応家族。ずっとアメリカに留学してたんだけど今帰って――――――」
「御坂と御坂妹に手え出そうとしてんじゃねえよ、この三下があああああああ!!!!」
「ええええええ!?紹介された途端に何殴ってんのコイツ!?」
ドガシャアアアア!と物凄い音がしたが、それどころではない。
コイツは触れるだけで人を殺せるチカラを持っている。
ベクトル操作……なんて恐ろしい能力なんだ!!
「だったらこの右手で攻撃するだけ!!」
「ちょ、杖ついてる人間相手にマウント取り始めたぞコイツ!とミサカは驚愕します!!」
「け、警察!!誰か警察呼んでええええええええ!!!」
いきなり殴ったかと思うと倒れた鈴科の上に跨りなおも殴り続ける上条当麻に、慌てふためく美琴達。
それもそうだ。
会ったばかりの人間がワケのわからないことをほざきまくった挙句、杖をついた人間相手に血が出るまで拳を打ちつけているのだから。
もう自分達では手がつけられない。あんなDQNを相手にしたら自分達までボコボコにされる。
誰か助けを呼ぼうと携帯に手を掛けた美琴は、次の瞬間かかった声に、ああメシアがやって来たのだと感じたという。
「―――――――また人様に中二病設定つけちゃって。何をやってるのかな、とうま?」
銀髪碧眼のその少女は、まさしく救世主そのものだった。
69: 2011/09/02(金) 14:19:19.34 ID:s+jwSGpa0
「これはミサカ982号の分、これはミサカ983号の分、これはミサカ984号の――――――」
ゴフゥ、ゴフゥ!と相手が悲鳴を上げようがなお殴り続ける上条に、メシアは優しく声をかけた。
その声はまるで聖女のように優しく、穏やかであった。
「とうま。その人にもう戦意なんてない、止めるんだよ」
メシアの言葉に上条は、殴り続けるその右手を止め、そっと振り返る。
メシアは、ニコリと笑った。
「誰にだって誤りはある。その人は間違った道を選んでしまった後、引き返す術を知らなかっただけ。
許してあげるなんて出来ないかもしれない。でも、その人に与えるべき罰は『痛み』じゃない。
もう一度やり直して何が正しいかを知るための『責任』だよ」
唇を噛み締めた上条が、跨いでいた鈴科の体からスクリと立ち上がった。
どこか悔しそうな表情は彼を一方的に責めてしまった自分にだろうか。
それとも、妹達の仇をとれなかったことに対する美琴達への申し訳なさだろうか。
「――――分か、った。もう、コイツは殴らない。………だが約束しろ、一方通行。もう二度と御坂妹達を手にかけない、実験は続けないって」
「え?………あ、うン」
「インデックスの言った通り、お前の受けるべき罰は実験への責任を負うこと、だ。これから先、御坂妹みたいなクローンがどう扱われるか分からねえ。
ちゃんとお前が、護ってやれよ。―――――――じゃあインデックス、俺先帰るから」
「今日はとうやもしいなも遅いからご飯作っておいてね、とうま」
台風のような勢いで現れた上条が颯爽と去っていくのを見届けると、辺り一面に何とも微妙な空気が流れる。
特に初対面で唐突に殴られ、勝手に説教をされて約束まで強いられた鈴科には何が何だかさっぱりだ。
「何だったンだ……アイツ……」
「とうまはね、厨二病なんだよ。それも重度の。中学の時に事故で頭を打って以来ずっとああなの。
そのせいでクラスでも阻害されてたから、お父さんの転勤を皮切りに引っ越してきたんだけど――――」
「それで会うなり勝手に設定付けられた、ってワケね」
「あれはとうまが妄想で作った世界に出てくるツンデレ少女とそのクローン、それにクローンを利用して無敵になろうとするライバルの設定だね。
きっとピッタリの人間を見つけたもんだからこれ見よがしに当て嵌めちゃったのかも」
「何と言うハタ迷惑な……、とミサカはお前誰だと解説者に問いつつ感想を述べます」
「あ、私はとうまの家でホームステイしてる留学生。とうまの親戚なんだけど、何故か十万三千冊の魔道書を記憶するシスターってことにされてるんだ」
「親戚相手に目次みてェな名前まで付けやがって、馬鹿だろソイツ。大方この町の『学園都市』なンて名前に惹かれて妄想も広がったンだろォが……
…………実際はただ学校が多く集まったから名付いた振興開発地なのによ」
「ホント、ご迷惑をお掛けするけど仲良くしてあげて欲しいんだよ。とうまの厨二設定には適当な厨二設定で返せば大抵会話は成立するから」
はあ……。
嵐が去ったことで溜まった疲れがドッと溢れ、思わず全員で溜息を吐いてしまった彼らは知らない。
「俺達を散々利用しやがってアレイスター!」と校長に殴りかかる彼を必氏に止めたり、
「アイツの能力は俺の右手で抑えるから!」と立て篭もり犯に体一つで突っ込んでいく彼を助けるために奮闘させられたり、
魔術師と戦うのだと無一文でロシアに向かおうとする彼を馬鹿かアンタは!と叱り付けたり。
お人好しであるが故に、上条当麻の妄想に巻き込まれ頭を悩ませる日々が近い未来やって来ることに、彼らはまだ気付いていない。
――――――上条当麻の溢れ出て来る妄想の世界。彼はそれを『とある魔術の禁書目録』、と呼ぶ。
70: 2011/09/02(金) 14:19:59.08 ID:s+jwSGpa0
以上です。
上条さんが重度の厨二病患者で原作の設定が全部彼の妄想だったら、という話。
ちなみにインデックスという名前も彼が親戚相手に勝手に付けた設定。
お粗末さまでした。
上条さんが重度の厨二病患者で原作の設定が全部彼の妄想だったら、という話。
ちなみにインデックスという名前も彼が親戚相手に勝手に付けた設定。
お粗末さまでした。



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