810: 2011/10/17(月) 20:36:25.85 ID:W/io922W0
「悪ィ、俺はオマエをそンなふうには見れねェわ」
自分の全てを賭けて守り続けてきた少女の決氏の愛の告白への応えは素っ気無いとすら思える程に冷たく響いた。
811: 2011/10/17(月) 20:37:05.77 ID:W/io922W0
ただでさえ大きな瞳が、真円に見開かれる。
零れそうな宝石のような瞳が揺れ、薄い水の天蓋が広がっていくのを暗澹たる心地で一方通行は見下ろしていた。
目の前の少女が嫌いなのではない。寧ろその逆だ。
兄のように、或いは父親のような気持ちさえもっているのかもしれない。
何をおいても守りたい。自分の四肢が捥がれ様とも、それによって少女に傷一つ付かなければそれで構わない。
そう思う程に大切にしてきた。
そんな大切な少女からの告白を切って捨てた言葉は舌打ちしたくなる程冷たくリビングに虚しく響いた。
鳶色の瞳に浮かぶ涙を拭ってやろうと伸ばした手は思いがけずに強い力で振り払われた。
バカにしないで。
そう訴えるような意思の強い表情に、少女がいつのまにか随分と成長していたのだと的外れな感傷がよぎった。
部屋に駆けて行く後ろ姿と、叩かれ、所在無く半端に伸ばされた手を見比べて一方通行は力なくソファに座りこむ。
湧き上がるのは後悔。想いに応えなかったことではない。
少女に向けた言葉に対しての後悔だ。
もう少しマシな言い方が出来なかったのか。
812: 2011/10/17(月) 20:40:41.39 ID:W/io922W0
一方通行には理解出来ない。
部屋に閉じこもった少女、そして彼女の姉妹達。
自分にとって何ものにも替え難い大切な存在だというのに、どうしてそれだけではいけないのだろうか。
少女達と出会い過ごしていく中で手に入れた人間らしさ。
そのことに口には出さないものの感謝を忘れたことは無い。
何を賭けても、何を捨てても守りたいと思ってきた。今でも思っている。
打ち止めも、番外個体も、他の妹達も。
恋人がいる時であっても、優先順位が覆ったことは無い。
813: 2011/10/17(月) 20:47:59.27 ID:W/io922W0
それでも、過ごしてきた時間がそれなりの長さになろうとも尚一方通行は戸惑う。
番外個体、打ち止め、妹達の感情の複雑さに。
彼女達に限らず、女すべてが一方通行にとって不思議な生き物なのかもしれない。
一方通行は困惑する。
どうしてなのだろうかと。
この世界には愛などいくらでもあるというのに。
丹心、崇敬、親愛、恋
それらは等しく存在するのに。
彼女達は自分にその中の一つ、恋心だけしか愛だと認めないかのように求め訴えてくる。
髪をかきむしる。
眉間に刻まれた皺が深くなっていく。
一方通行にはわからない。
どうして大切というだけではいけないのだろうか。
恋人がいる時であってもいつだって妹達の方が占めるウエイトは大きく、
恋人をおざなりにしてでも打ち止めや番外個体のお願いを聞き入れることは日常茶飯事だった。
妹達は彼にとって最優先にすべき存在であり、打ち止めは一番大切な子だ。
それではいけないのだろうか。
そのままというのは間違っているのだろうか。
気付けば妹達は彼を飛び越して心を豊かにしている。
ようやく年相応の精神年齢になりつつある一方通行は、大人びた少女達の抱く感情の深さ、強さにただただ困惑し、翻弄される。
814: 2011/10/17(月) 20:50:56.42 ID:W/io922W0
以上で投下を終了します。
エラーで混雑してるという表示が出たので少し間を開けて投下しました。
女の子の方が精神的な成長速度は速いですよねというお話。
打ち止めさんは一方通行が照れたり、俺にお前の気持ちを受け取る資格なンかねェ、みたいなリアクションを想像してたら素で困られてショックだったという描写を付け忘れてました。
それでは失礼したします ノシ
エラーで混雑してるという表示が出たので少し間を開けて投下しました。
女の子の方が精神的な成長速度は速いですよねというお話。
打ち止めさんは一方通行が照れたり、俺にお前の気持ちを受け取る資格なンかねェ、みたいなリアクションを想像してたら素で困られてショックだったという描写を付け忘れてました。
それでは失礼したします ノシ
815: 2011/10/17(月) 23:18:52.22 ID:rkmRa7FY0
なにこれ切ない
乙
乙



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