202: 2015/05/22(金) 19:35:01.33 ID:/gYzyE9so

【艦これ】大淀「駆逐艦の子たちはわたしが守ります!」綾波編
――――― 数日後 夕方 工廠


提督「遊びにきたぞー」

明石「提督、いらっしゃい。あれ、大淀も一緒なんですか? 」

夕張「大淀さんも一緒なんて珍しいですね」

大淀「ええ、たまには参加してみたいなと思いまして」



提督みたいな、趣味に夢中になる男性は、共通の趣味があると一気に二人の距離が縮まるらしいです(出典:オタク男の落とし方)。そう考えると、実は明石と夕張が一番提督に近いのでは……! わたしも各種開発や装備に関しての知識はしっかり勉強してありますから、提督に機械好き仲間と認めてもらうのですっ! という意気込みで、工廠に遊びに行く提督についてきた次第です。

劇場版 艦これ

203: 2015/05/22(金) 19:35:45.70 ID:/gYzyE9so


提督「ほんじゃ、今日も昨日の続きと行くか」

夕張「あ、実は今日暇だったんで、オーバーホールまで済ませちゃいました」

明石「さっき試運転してきましたけど、バッチリでしたよ」

提督「えー! バラすの見たかったのになぁ。俺、バイクって全然いじったこと無いからさ」

明石「あ、もう一台、ジャンク品取り寄せたのが届いてますから、よかったらあっちをバラして見て下さい。部品取りにしか使えないかもなので」

提督「おお、じゃあ早速バラすよ。大淀、一緒にやろうぜ」

大淀「は、はい……」



ま、まずいです。わたしは艦娘の艤装や装備はひと通り勉強していますが、それ以外の機械は全くダメなんです……



204: 2015/05/22(金) 19:36:13.26 ID:/gYzyE9so


…
……

提督「大淀、プラグとって」

大淀「プ、プラグですか……こ、これかな……? 」

提督「ありがとう……って、これモンキーレンチなんだけど……」

大淀「す、すみません、プラグってわからなくて……」

提督「工具の横に落ちてる、芋虫みたいな機械ってわかるか? 」

大淀「ありました! 」

提督「それそれ、サンキュー」



…
……

提督「よし、かかった! ちょっとアイドリング調整するから、タコメータみててくれる? 」

大淀「は、はい……(タコのメータ……? それらしいのは無いですけど……)」

提督「このぐらいか……今の回転数どのぐらい? 」

大淀「え、えっと、足なら八本だと思いますけれど……」

提督「……えっと、ハンドルの真ん中にある2個のメーターの左の方を見て、その数字×1000を教えてくれるか? 」

大淀「は、はい……えっと、およそ1600です」

提督「ありがと、じゃあちょっとずつ落とすから1200になったら教えてくれ」

大淀「は、はい 」

…
……



205: 2015/05/22(金) 19:36:46.50 ID:/gYzyE9so


提督「明石ー、エンジンは大丈夫だったぞ。アイドリングもちゃんと安定してる」

明石「そうでしたか、いやー、良い買い物でした! 」

夕張「これが大丈夫なら3台になりますね。提督もツーリング一緒に行けますよ! 」

提督「あはは、まぁ、そのうちにな」

大淀(しょぼーん……)


提督「大淀、バイクとか車は全然なんだな。つまんなかったんじゃないか? 」

大淀「い、いえ、ちょっと戸惑いましたけど……。すみません、わたしは艦娘関係の機械にならそれなりに詳しいのですが……」

提督「仕事で覚えちゃうしなぁ」

夕張「大淀さんもバイク乗りたいならもう一台取り寄せますよ! 」

大淀「い、いえ……運転もできませんし……お気持ちだけで……」

提督「ま、今日は俺の趣味にわざわざ付き合ってくれて、ありがとな」



うう……大失敗です。機械にダメな子って思われましたよね。逆に距離がひらいてしまった気がします……。



206: 2015/05/22(金) 19:37:26.43 ID:/gYzyE9so


――――― 翌日 昼 提督執務室


昨日は失敗してしまいましたが、今日は負けません!

男子を射止めるには、甘やかすのが一番! 「あーん」なんてとっても効果的。「一口ちょうだい」「しょうがないわね、はい、あーん」なんていう流れができたら、もう二人は恋人ね!(出典:気になる彼をゲットしちゃおう!)

これです! この分野では、雷や瑞鳳が圧倒的に進んでいます。わたしも負けてはいられません! 今日は執務室でお弁当ですから……チャンスですっ。


提督「今日は幕の内弁当か。鳳翔さんには感謝だなぁ」

大淀「そうですね。頂きます」


さて……作戦開始です……ドキドキ


大淀「うわぁ、この金時豆、おいしいなぁ」(ちらっ)

提督「そうなのか? どれどれ……うん、確かに美味いな」(もぐもぐ)



し、しまった! 同じお弁当ですから、『美味しい』『一口頂戴』の流れは無理ですっ。……落ち着くのよ大淀、戦場では予想外の出来事なんて当たり前……ここで冷静に対処しないと……



207: 2015/05/22(金) 19:37:54.98 ID:/gYzyE9so


大淀「提督、確かエビフライお好きでしたよね? 」

提督「? ああ、好物だが」

大淀「では、わたしの分も食べて下さい」

提督「いやー、大淀のおかずを奪うほどじゃないよ。気持ちだけ受け取っておくよ」

大淀「まぁまぁまぁまぁ、そうおっしゃらず、わたしは食べないつもりなので、もったいないですから食べて下さい」

提督「うーん、そこまで言うなら頂こうかな」



かかりました!



提督「じゃあ、頂きます」(はしをのばしてきて……)

大淀「いけませんっ!」(ばしっ)

提督「いてっ。ど、どうした、やっぱり自分で食べることにしたのか? 」

大淀「提督、分かっていません! ここは、口を開けるところです! 」

提督「??? 口を……開ける? こうか……?」(ぱかっ)



い、いまです……ここで『はい、あーん』って言ってやさしく口に……



208: 2015/05/22(金) 19:38:25.05 ID:/gYzyE9so


大淀「そ、そう。それでいいんです。そ、それでは……行きます! 」



ゆ、ゆっくり口に……だめ、恥ずかしくて出来ません!



大淀「と、とりゃーー!」



……エビフライが一直線に提督の口に飛び込んで行きます……



提督「もがっ!」(AA略)



ええ……わかります……これは違います。どこかで間違えました……



提督「もぐもぐ。確かに頂いた……。大淀、どうしたんだよ。何か怒らせるようなことしたか……? 」



ああもう、ひとの気もしらないでっ!



大淀「怒ってません! 知りませんっ! 」(ぷいっ)

提督(えー……ほんと、なんで怒ってるんだ……?)



209: 2015/05/22(金) 19:39:03.94 ID:/gYzyE9so


――――― 翌日 朝 提督執務室前廊下


……昨日も大失敗でした。でも、しっかり勉強しなおして来ました。今日こそは大丈夫。



今、男子に最も人気があるのは、やっぱり「ツンデレ」。普段はツンツンと冷たく接して、でも、仲良く出来たり優しくされると、急に可愛くなっちゃう子が大人気!(出典:いまどきのモテ系女子)


大淀「よし……作戦開始。(ガチャ)おはようございます」

提督「お、おはよう」


…
……

提督「お、もう計画できたのか……ありがとう」

大淀「勘違いしないでくださいねっ。別に提督のためにやったわけではありませんからっ」

提督「あ、ああ……」


…
……

提督「さて、一段落ついたし、お茶にするか」

大淀「あら、そういえばお茶が出てくると思ってるのですか? 虫が良いですね」

提督「い、いえ。自分で入れますから、はい……」



210: 2015/05/22(金) 19:39:32.37 ID:/gYzyE9so


――――― 夕方 提督執務室


提督「なー、大淀、ほんとに何を怒ってるんだよー。いろいろ考えたけど分からなくて、仕事が手に付かない。頼むから教えてくれ……な? 」



…………どうやら……失敗だったようです。



大淀「いえ、わたしも、いろいろ思うところがあったのですが……失敗したみたいで……ご迷惑をおかけしました」(ぺこり)

提督「いやー、失敗は別にいいんだけど、どうして怒ってるのかって」

大淀「ですから、怒っていません。本当です」

提督「だってなー……ここのところ明らかにおかしいし……どう見ても怒ってるだろ? 」

大淀「本当に怒っていません! では、今日はもう失礼しますっ! 」


バタン


提督「……どう見ても怒ってるよなぁ……一体どうしちゃったんだ?」



大淀「ああもう! ああもう! 戦闘はちゃんと作戦通りに行くのに、どうして恋は上手くいかないのっ! 」



211: 2015/05/22(金) 19:40:19.16 ID:/gYzyE9so


その後も、毎日いろんな作戦を実行してみましたが……


…
……

『かわいい語尾を付けて、彼をキュンとさせちゃおう!』


大淀「大淀、今日もがんばるぴょんっ! 」

提督「お、大淀……? 」

大淀「/// わ、忘れてください~~! 」


…
……

『たまには髪型を変えて。堅物な彼なら子どもっぽい髪型のほうが喜ばれるかも』


提督「大淀、珍しいな。今日はおさげにしてるんだな」

大淀「は、はい……どうでしょうか? 」

提督「うーん……時雨を呼んでくれ! 」

大淀「? は、はぁ……」


時雨「提督、僕を呼んだかい? 」

提督「ああ、見てくれ、今日は大淀がお揃いなんだ」

時雨「本当だ。大淀さん、素敵だね」(にっこり)

大淀「あ、ありがとう……(提督に言って欲しいのに……)」

提督「うんうん、並ぶと姉妹のようだ」

時雨「そうかい? 大淀……お姉ちゃん……(ボソ)」



なんて破壊力……負けたわ……



大淀「時雨、かわいいわ」(抱きっ)

時雨「うう、ちょっと苦しいよ……その……お姉ちゃん」

提督「うんうん、素晴らしい……」



212: 2015/05/22(金) 19:41:04.91 ID:/gYzyE9so


…
……

『今話題の例の紐!』


提督「大淀……。その紐はなんだ……? なんだか動きにくそうだけど……」

大淀「なんでもありませんっ! こんなものはこうですっ(びしっ)」

※筆者注)わからない人は「例の紐」でぐぐって下さい。





何故でしょう……しっかり情報を集め、作戦を立てて挑んでいるのに……上手く行きません……。


いいえ、諦めません! 自分の経験不足から躊躇していましたが……ここはやはり大人らしく…


 お 色 気 ♪


で攻めましょう。いえ、最初からそうすべきだったのです! ちょっと自信ない部分もありますけれど……大丈夫、自信を持って……大淀、がんばります!





221: 2015/05/24(日) 19:27:05.64 ID:t0otpWoro


――――― 2日後 1800 提督執務室

提督(書類仕事中)

大淀(書類仕事中)


大淀「さて、わたしのほうは、ほぼ終わりですね。提督はいかがですか?」

提督「うーん、あと1時間ぐらいかな」



計画通りっ! そうなるように仕事を割り振ったのですから。



大淀「そうですか。それでは、1時間後ぐらいにお夕食をお持ちしますので、ご一緒にいかがですか?」

提督「悪いな、助かるよ」

大淀「いいえ、お気になさらず。では、また1時間後に戻ってまいります」


提督(全面的に様子がおかしかった大淀だけど、昨日今日は結構普通だったなぁ。時折ブツブツ言ってるぐらいで……。食事を一緒になんて、やっと仲直り? なのか……?)




222: 2015/05/24(日) 19:27:57.68 ID:t0otpWoro


――――― 少し後 大淀の部屋


よしっ! よしっ! ここまでは完璧です。今日こそ……今日こそは……!


まずは着替えです……大至急で取り寄せた……白のノースリーブシャツ、かわいいミニスカ、メガネも細フレームのかわいい感じのにして……。


髪型は、おさげで失敗しましたから……思い切ってポニーテールで!


うう、なんか幼く見えるかなぁ。やっぱりもうちょっとアダルト向けファッション誌を参考にすればよかったでしょうか……。でも、こんなの誰かに見てチェックしてもらう訳にもいきませんし……。大丈夫、いつもと雰囲気を変えて、意識させればいいんです!



…………急に自信が無くなってきました……。どうしようどうしよう……。



あー! でももう時間です。迷ってる時間は無いです。行かないと行かないと!


しかも誰にも見つからないように! ルート設定は念入りに……


あせあせ




223: 2015/05/24(日) 19:28:26.60 ID:t0otpWoro


――――― 1900 提督執務室


提督「ふう、終わった。ちょうど1900か。待たせなくて済みそうだな」


コンコンコン


提督「ほーい、どうぞ」

大淀「お、大淀、入ります……」


ガチャ


おずおず


大淀「その……お約束どおり、お夕食をお持ちしました…… ///」

提督「おー、すまんな……………(だ、誰?)」




224: 2015/05/24(日) 19:29:29.47 ID:t0otpWoro


提督(私服! ポニーテール! メガネも違う! 女学生みたいな大淀だと……! イメージとしては……鈴谷と同じクラスの、でも地味で真面目な委員長が、デートでがんばって慣れないおしゃれをしたみたいな……って、我ながら例えが変O的だ)

提督(いや、でも、ほんとに……普段とイメージが全然違う。こうやって見ると、大淀も普通の女の子なんだなぁ)



提督……無言です……。ま、まさか引かれた!



大淀「わたっ、わたっ、わたしは、お仕事終わった後ですし、プライベートですし! 軍服を着ているのも変かなーって思ったんです。あと、暑いから髪もアップにしてみたりして! 」

提督「あ、あはは、そっか、暑いもんな。いや、びっくりしたけど、すごく可愛いよ」

提督(あ、うっかり変なこと口走った。またセクハラだって怒られるか……? せっかく機嫌直ったみたいなのに……)


大淀「/// い、いやですよ、提督、からかっては。さ、お夕食持ってきましたから!」



可愛いですって! これは……これはいけます! 今日こそ……勝利を!




225: 2015/05/24(日) 19:30:12.99 ID:t0otpWoro


大淀「せっかくですからお酒でもと思いまして、日本酒と、あとは、おつまみ風のお弁当をお持ちしました」

提督「お、いいね。それじゃあ、乾杯と行くか」

大淀「乾杯」


カチャン



提督「いや、でも、ほんとに驚いたよ。大淀の私服姿って初めてだったから」

大淀「わたしだって、私服ぐらい持っていますよ(あわてて買ったんですけど)」

提督「そりゃそうだよな。でもさ、いつも軍服だから、そうやって女の子らしい服着てると……。すごく失礼かもしれないけど、大淀も女の子なんだなって思うよ」


提督(とはいえ、あのスリットは軍服らしくなくて……女の子と言うより「女!」って目で見ちゃうけどな……見ないように努力してるけど)




226: 2015/05/24(日) 19:31:15.82 ID:t0otpWoro


大淀「くすくす……ほんとに失礼ですねっ。じゃあ普段は何に見えているんですか? 」

提督「あはは、そう聞かれると困るけど、軍服でイメージが固まっちゃってるっていうか。そうだなぁ、大淀もさ、俺が、いまどきの若者風のラフなかっこしてるの、あんまり想像つかないだろ? 」



…………確かにあまり想像つきません。提督はいつも軍服か、作業着……。



大淀「ぐぬぬ……反論できません。でも……提督にそういう服装は、あまりに似合わなそうです」

提督「俺もそう思うよ。でも、大淀は違うな。すごく似合ってる」

大淀「///」



考えてみたら……提督には、仕事ぶりや頑張りを褒めてもらったことはたくさんありますけど、女としての部分を褒められたのは初めてかもしれません。恥ずかしいですけど……やっぱり嬉しいです。



提督(なんというか、容姿とか女らしさ的な部分でなにか言うと、怒られるんじゃないか、嫌がられるんじゃないかと我慢してたけど……意外と普通に話せるものなんだなぁ)




227: 2015/05/24(日) 19:32:16.41 ID:t0otpWoro


提督「この日本酒は、飲みやすい感じだなぁ。たまにはこういうのもいいな」

大淀「わたしは、あんまり辛いのよりこのぐらいのほうが好みですね。これは加賀さんが大好きなお酒なので、鳳翔さんがいつも仕入れてくれているそうですよ」

提督「あはは、加賀だけに石川の地酒かぁ」

大淀「明石は灘のお酒が好きですし、やっぱりゆかりの土地に関係するのでしょうか」

提督「じゃあ、霧島は芋焼酎霧島が好きなのかな、やっぱ」

大淀「くすっ。どうでしょう」

提督「こうやって執務室で飲むのもいいな。いっそ、執務室にカウンターバー作って、みんなが好きなお酒でも揃えてみようか……」

大淀「提督、そんなことをしたら、毎晩、隼鷹さんを中心に酒盛りになってしまいますよ」

提督「……やめておこう」

大淀「くすくす、それがいいですね……」


提督(ポニーテールだから……酒が回ってきて、ほんのり赤くなったうなじがみえる……いかんいかんいかん! 俺は何を考えてるんだ……)




……こうやって二人でゆっくりお酒を飲むなんて……なんだか楽しいです。もっと早くこういう機会をつくればよかったですね……。


って、いけないいけない! わたしは作戦があるんです……もうちょっとタイミングを測ってから……。




228: 2015/05/24(日) 19:32:58.59 ID:t0otpWoro


提督「そういえばさ、もう大丈夫そうだから聞くけど……。一昨日ぐらいまで、すごく様子が変だっただろ? 良かったら理由を聞かせてもらえないか? 俺が原因なら、できれば気をつけたいんだよ」


……ぐぬぬ、相変わらず堅物です。なんか機嫌治ったみたいだからいいかーって済ませればいいのに、自分が原因だったら治さないと、みたいに気にするんですよね。



大淀「いえ、提督が悪いわけでは無いんです。ご迷惑をお掛けしました」



本当は、提督が鈍いのが悪いんですけど!



提督「うーん、そう言われてもなぁ」

大淀「えっとですね……。わたしも、わたしなりに挑戦していることというか……頑張りたいことがあります」

提督「うん」

大淀「それでその……わたしも器用なタイプではありませんので、なかなか上手く行かなかったり、提督にご心配をお掛けしたりしてしまったようです」

提督「そっか……詳細は聞かないけど、頑張っていたんだな。それなら、機嫌が悪くなるぐらいどうってことない。大淀の挑戦、できれば応援させてくれ」


なでなでなで




229: 2015/05/24(日) 19:34:35.53 ID:t0otpWoro


また子ども扱いして…………でも……提督……大好き……



大淀「提督……わ、わたし、ちょっと酔っちゃったみたいです。暑くなって来ちゃいました……」



ここでボタンを外してっ。このために買ったシャツなのですから! うう、でも恥ずかしい……



大淀「提督…………」(うるうる)



提督(ぐ、ぐおぉぉ。なんだよ、そんな、泣きそうな、すがるような目で、震える声で……。必氏に誘惑してるのか!? でも、そんな痛々しい感じじゃ、『はいそうですか』なんてできるかっ。大淀、やっぱり本気で俺のこと……)

提督(てか、胸元が……だめだ、見るな俺! このまま流されちまう。俺はまだ決心してない。流される訳にはいかん! )




230: 2015/05/24(日) 19:36:45.61 ID:t0otpWoro


提督「あ、ああ。暑いな。窓あけよう、窓」


スタスタスタ


ガラガラ


提督「ふー、いい風だな」



大淀「…………」



提督……わたしを見もしない……第二ボタンまであけてるのに! 高雄さんや愛宕さんのおっOいをいつも目で追ってるくせに! しかも……窓際から戻ってこない……距離を……取られた……?



提督(俺は……どうしたらいい? 大淀は本気だ……。初志貫徹するなら、今しっかりと断ればいい……。だが俺はそうしたくない……)


提督(認めるしか無い。俺も大淀を愛してる。でも……でも、こんな流されるように関係をもっていいのか……? 俺は艦娘のみんなとどんな関係を築くと決めていた? では、特別な存在になる大淀とどうやって向き合う……? だめだ、即答できるような問題じゃない! )




231: 2015/05/24(日) 19:37:24.12 ID:t0otpWoro


提督「さて、あんまり酔っ払うのもあれだし、今日はこのぐらいにするか」



やっぱり……わかっていて距離をおいてる……わたし……女としてそんなに魅力ないですか……?



大淀「……そうですね、では、今日は失礼します」


ぽろぽろぽろ


提督「大淀……(しまった、泣かせた!)」



また泣いてしまってます……でも、でももう知りません、もういいんです!



大淀「もう……もう知りません、提督のばかぁぁぁぁ! 」



バタン





242: 2015/05/26(火) 17:55:40.45 ID:hZk9eVIjo


――――― 翌日 0900 工廠


明石「あれ、提督、おはようございます。どうしたんですか、朝から? 」

提督「おはよう。えっとだな……大淀、来てないか? 」

明石「いえ、来ていませんけれど……どうしたんですか? 」

提督「そっか、いや、もしかしたら明石のところかなと思ったんだけど……、違うんならいいんだ、ありがとう」

明石「……すごく気になるんですけど。大淀、今日も当然秘書艦ですよね? 出勤してないんですか? 」

提督「あっと……うん、まぁ……」

明石(明らかにお茶を濁してますね……これは、何かありましたね)




243: 2015/05/26(火) 17:57:02.91 ID:hZk9eVIjo


明石「提督~? そもそも、大淀が来ないことに、心当たりがありそうに見えますけど? 」

提督「うー……あー……まぁ、ちょっと昨夜、ケンカというか、行き違いみたいなことになってな……全面的に俺が悪くて、それで、怒ってるんだろうなと……」

明石「ふぅ~ん、行き違いですか。提督、大淀の部屋には行ったんですよね? 居なかったんですか? 」

提督「声はかけたんだけど返事が無くてな……それで、もしかしたら明石のところかと……。まさか勝手に部屋に入るわけにはいかないし……」


明石(この歯切れの悪さ! 明らかに恋愛がらみっ。やっと決心して前進した……訳ではなさそうですね……)


明石(じーーーー)


提督「ぐっ……。だめだ、事情は話せない。でも、すまん、お願いだから助けてくれ! 多分、部屋に居るけど、俺が行っても出てきてくれないから。明石なら合鍵も持ってるだろうし……頼むっ」


明石(土下座しそうな勢いですね……。事情は聞き出せそうにないし、仕方ない)


明石「分かりました。もしかしたら体調崩して返事も出来ないのかもですもんね。わたしが行ってきます。提督はちゃんと執務室に居てくださいね。今、無人なんでしょ? 」

提督「あ、ああ。すまんな。もし会えたら大淀に…………。いや、伝言するようなことじゃないな。すまん、大淀がとりあえず元気ならそれでいいんだ。確認頼んだ」

明石「はいはい。行ってきます」


明石(あーあ。提督がこんなに取り乱して必氏になるなんて……。そんなの大淀だけなんだよ。わかってるのかなぁ)



244: 2015/05/26(火) 17:57:30.74 ID:hZk9eVIjo


――――― 少し後 大淀の部屋


コンコンコン


明石「大淀、いるの? 提督が心配してるよ。返事してー? 」



しーーーん



明石「もしかして倒れてるなんてことは無いよね? 悪いけど確認のため開けるよ」



ガチャ



明石「大淀~、いないの~?」


大淀「……………………」


明石(やっぱりいた! でも……ベッドの上で体育座りして……目がうつろです……ハイライトが無いよ! )

明石「大淀……? どうしちゃったの? 体調悪いの……? 」


テクテクテク



245: 2015/05/26(火) 17:58:00.46 ID:hZk9eVIjo


明石「ちょっとおでこ失礼。熱は……無いけど……ひゃっ」


わしっ わしっ


大淀「…………なるほど、見た目だけでなく触り心地もこんなに違うのですね」


もみもみもみ


明石「ちょ、ちょっと、大淀、やめてっ。何してるのっ」


大淀「今更かもしれませんが、しっかり研究しないと」


明石「えっ……? うわぁぁぁ」


押し倒しっ 馬乗りっ



246: 2015/05/26(火) 17:58:35.47 ID:hZk9eVIjo


明石「お、大淀……どうしたの? 目が怖いよ……?」(ビクビク)


大淀「…………」


めくりっ


明石「ひゃ、ひゃぁぁぁぁ」


大淀「なるほど、生だとなおさら大きさと柔らかさが際立ちますね……これは確かに大きな違いです……必要とされるのもうなずけます」


もみもみもみもみ こりこり もみもみもみもみ


明石「ひゃんっ。や、やぁ……。やめて、大淀……どうして……?」(うるうる)


大淀「そんな顔をされるともっと揉みたくなります……。やっぱり実践は大事ですね」


明石「い、いや……あ……いやぁぁ、誰かたすけてぇぇぇぇぇ」




247: 2015/05/26(火) 17:59:11.18 ID:hZk9eVIjo


――――― 数分後


大淀「失礼、ちょっと取り乱してしまいました」

明石「しくしく……しくしく……もうお嫁にいけない……しくしく……」

大淀「大丈夫ですよ。そんなに大きなおっOいがあるんですもの」(にっこり)

明石「うわーん、大淀、どうしちゃったのー。いいから訳を話して! 昨日、提督と何かあったんでしょ? 」


大淀「昨日……提督と……? ……そう、昨日……」


どよーん


明石(あ、またどん底に……)

明石「提督も心配してたよ……? お願い、話して? 」



248: 2015/05/26(火) 18:00:09.96 ID:hZk9eVIjo


大淀「……少し前に、ちょっときっかけがあって……わたしも……提督にしっかり気持ちを伝えようって……そう思ったんです」

明石「うん。大淀が提督のこと大好きなの気づいてたよ。ちゃんと伝える決心したんだね」

大淀「それで……いろんな本で勉強して、作戦を練って……」


…
……

大淀「……という感じで失敗ばかりなのです……」

明石「がんばってるのに、なかなか上手く行かなかったんだね(大淀も、仕事はできるのにこういうのはダメなんだなぁ……)」

大淀「そうなんです。どうしても上手く行かなくて……。それで、もっと大人なアタックをしようと……」



249: 2015/05/26(火) 18:01:01.35 ID:hZk9eVIjo


…
……

大淀「という訳で、昨夜は、ここまでは上手く行ったんですよ! 」

明石「うん、すごいいい雰囲気だよね……それでそれで……? 」

大淀「『わたし、酔っちゃったみたいで、暑くなってきちゃいました……』 それで、シャツのボタンを第一、第二と外して……」

明石「うわ! 大淀エOチ! 大人の誘惑だぁ……それでそれでっ! 」

大淀「……それで……それなのに……胸元なんて見向きもせず、窓を開けに行って……。そのまま近づいてこないで、お開きです……」

明石(あれ……また大淀の目のハイライトが消えた……)


わしっ わしっ


大淀「そう、わたしもこんなおっOいだったら、今頃は……」


もみもみもみもみ


明石「ひやぁぁぁ、もうやめてぇ~~」



250: 2015/05/26(火) 18:02:52.59 ID:hZk9eVIjo


大淀「失礼、ちょっと取り乱しました」

明石「しくしく……しくしく……」

大淀「というわけで、おっOいが無くて振られたんですよ、ちくしょぉぉぉぉぉ」

明石「大淀、落ち着いて! 」

大淀「これが落ち着いていられますかっ! うわぁぁぁん」


明石「ああもうっ。落ち着いてわたしの話を聞いて! 大淀、わたしがもう、提督に告白して振られてるって知らないでしょ? 」


大淀「!!!」


告白……明石が……やっぱり……


大淀「知りませんでした……。そう、やっぱり明石も提督のこと……」

明石「うん……。その時の話をちゃんとするから、落ち着いて聞いて? 」

大淀「え、ええ……」



251: 2015/05/26(火) 18:05:45.22 ID:hZk9eVIjo


明石「わたし、先月ぐらいから、練度上げに少しずつ演習とか参加してるでしょ? 」

大淀「ええ、改になって、装備改修や修理を効果的にするためですよね」

明石「うん……。それで、みんなに守ってもらって、どうにか練度上げしてるわけですけど……。一回、相手が予想外の空母艦隊で、わたしが空爆受けて大破扱いになったことありますよね。覚えてます? 」

大淀「提督が血相を変えて『明石のところに行ってくるから留守番頼む』って飛んでいった時ですよね。演習だからペイント弾受けただけなのに、なんて過保護な! って思いました」

明石「うん、そうなんだけどね……。ただ……。わたし、その時はもう完全にパニックというか茫然自失だったの」

大淀「……? ペイント弾を受けただけなのに……? 」

明石「うん……。わたしさ、前世でも戦闘艦じゃないから、なんというか……戦闘そのものの恐怖心もすごく強くて……。その上ね、前世で沈んだ時……空襲の第一目標みたいになってたみたいで、すごい数の敵機が群がってきて次々と爆弾を落とされて……それを思い出しちゃったの」

大淀「そうだったんですか……」

明石「提督はね、その辺をちゃんと分かっていて、空母がいない相手を見繕って演習を組んでくれていたそうです。でも、直前で編成が変えられちゃうこともあるそうで……。それで、慌てて来てくれて……」



提督らしい……。本当に、ひとりひとりの前世や、気持ちや、想いを、すごく気にして……。




252: 2015/05/26(火) 18:07:06.67 ID:hZk9eVIjo


明石「提督に抱きしめてもらって……もう大丈夫って言ってもらって……。それで、わたし、安心して気が緩んじゃって……うっかり……好きですって言っちゃったの」

大淀「……」

明石「前からね、好きだったの。工廠で一緒に機械いじって……夕張と三人ですごく楽しくて。わたしが寂しく無いようにっていろいろ気を使ってくれて。夕張が一緒に着任したのもさ、わたしが一人にならないように、頑張って夕張を建造してくれたって聞いたし……」

大淀「そうですね……」

明石「でもね、ダメだった。わたしのことはとても好きだし大切だけど、家族として見ているって。家族として、うんと頼って甘えて欲しいけど、恋愛関係にはなれないって」

大淀「わたしも……提督に告白した子を知ってますけど、やっぱり同じような返事だったみたいです」

明石「うん、大淀は知らないかもですけど、提督に告白したり、告白っぽいことをした子は一人や二人じゃ無いんですよ。でも、みんな同じような返事だったみたいです。わたしもその一員ですね……たはは……」

大淀「……」



253: 2015/05/26(火) 18:10:55.01 ID:hZk9eVIjo


明石「その時ね、提督は好きな人はいないんですか?って聞いたの。そしたら、多分自分はこの人が好きなんだろうっていう相手は居るって。でも、自分には、その人と恋愛する資格はないから、これからもずっと今のままだと思うよって」

大淀「資格……。どういう……意味でしょう……? 」

明石「わたしにも分からなかった。でも、提督が言う『多分好きな人』は、大淀だって思ったよ。いつも提督のそばにいる人……提督が一番一緒に居たい人って言ったら、大淀しかいないですし」

大淀「違いますよ……違いました……」

明石「ううん。違わないよ。だって提督は、告白寸前みたいな事された時……あの堅物な人は……まじめに、すっごくまじめに、ごめんなさいしますから。でも、昨夜の大淀への反応はやっぱり違ったね」



……そうですね、提督はそういう人。




254: 2015/05/26(火) 18:11:36.19 ID:hZk9eVIjo


明石「きっとね、提督は大淀が好きなのに、なんだか知らないけど、大淀の恋人になる資格が無いって思い込んでるんだよ。だから……それを頑張って乗り越えてほしいな……」


ぽろぽろぽろ……


明石「だって、提督は孤独だよ。わたしが一人ぼっちにならないようにっていろいろ気を使って……でも、その提督は誰にも悩みを言えず、一人で抱え込んで……ぐす……。わたしはあの人が好き……できたら、あの人の悩みを共有したかった……わたしが支えたかった……でも、わたしには出来なかった……うう……ぐす……」

大淀「明石……」


ぎゅっ


明石「あの人を……孤独から救ってあげて……大淀……あなたにしか……ぐすっぐすっ……うわぁぁん」

大淀「ほんとに……あの人は……困った人ですね……ぐす……ぐすっ……」



明石と抱き合って、少しだけ二人で泣きました。恋の切なさと辛さを二人で噛み締めながら……。







262: 2015/05/28(木) 19:32:57.11 ID:W066HP7vo


――――― 少し後 提督執務室


コンコンコン

明石「明石、はいります」

提督「待ってた。どうだった? 大淀居たか? 」

明石「はい、すごく落ち込んでましたけど、ちゃんと部屋にいました。今日はやっぱりお休みしたいとのことです」

提督「そうかぁ。よかった、出て行ってしまったとかじゃないならいいんだ。うん」


明石「……大淀から、事情詳しく聞きましたよ? 」

提督「ぅ……」

明石「提督、大淀の気持ちは、ずっと前からわかってるんですよね」

提督「あー……うん……」




263: 2015/05/28(木) 19:33:39.41 ID:W066HP7vo


明石「で、昨日の大淀とのやりとりですけど……。わたしの時には、すぐにちゃんとお断りされましたよね」

提督「ぐぬ……。ああ、あの時はほんと……期待に応えられなくてすまん……」

明石「あ、いえいえいえいえ! わたしの話は置いといて! 大淀にはしっかり断らずに、曖昧に応対されたみたいですね」

提督「うん……そうだな……」

明石「どうして? って聞かなくてもわかりますよね。前におっしゃっていた、提督が多分好きな相手って、大淀なんですね? 」

提督「ぐぬぬ…………。はぁ、そうだな、言い訳してもしょうがない。正解。そうだよ」

明石「わたしにはわかりません。自分が好きな相手と両思いだってわかってるのに、あえて距離を取ろうとするなんて……」

提督「まぁ、そうだろうなぁ」

明石「理由……前にお話されていた『資格が無い』っていう話、聞かせていただけませんか? 」

提督「うーん、これはすごく微妙な問題でなぁ。正直、話しにくい」

明石「大事な親友の一大事ですから。わたしも引き下がれません。大淀がどれほど落ち込んで泣いていたか、提督にもお見せしたかったです」

提督(ズキッ)




264: 2015/05/28(木) 19:34:20.46 ID:W066HP7vo


明石「……提督が何か悩んでいて、躊躇しているのはわかります。でも、その結果、大淀が泣いてます……。提督、どうしてなんですか……? 」

提督「ぐ……。そうだな、俺だって大淀を泣かせたくない……。だが、俺のこの一時の感情……大淀が好きだ、悲しませたくない……それを解決することで……将来、大きな後悔を背負ったり、みんなを悲しませたりするんじゃないか? そういう感じなんだよ」

明石「将来……? みんなを……? 」

提督「うん、そうなんだ。一人の男としての俺自身と、一人の女性としての大淀との関係なら、俺は何も迷わないんだけどな……」


明石「ふーむ……。提督としての役割とか責任との関係で、大淀と恋人にはなれないみたいな感じなんでしょうか? 」

提督「うーん……。すごく簡単に言ってしまえば、そういうことになるかな」

明石「じゃあ、提督は、お仕事のために大淀を不幸にするんだ~(チラ)」

提督「ぐ……。いや、恋人にならなくても、大淀が不幸になるわけじゃ……」

明石「あーあ、さっきの大淀の様子、提督に見せたかったなー。どう見ても不幸のどん底だったなぁー(チラ)」




265: 2015/05/28(木) 19:34:52.09 ID:W066HP7vo


提督「うぐ……。……なあ、明石。俺は女心には疎いんだが……。好きな相手と、家族として仲良くやっていくのはダメなのか? やっぱり恋人として結ばれないと幸せでは無いのか? 」

明石「えっ! え、えっと……。うー……。そうですね、ダメです。『好き』っていう気持ちが報われるには、やっぱり男女として結ばれないと……」

提督「うーん……。やっぱそうなのかぁ……。俺は公平でさえあればいいと思ってたんだけど……これはやっぱり男の考えなのかなぁ……」

明石「公平? 」

提督「うん。俺は提督で、この鎮守府でただ一人の男で、ここに所属する艦娘のみんなとは特別な絆がある、そういう関係だよな」

明石「はい」

提督「だから、全員と仲良く、等しく距離をとった状態がベストだと思ってたんだ」




266: 2015/05/28(木) 19:35:21.23 ID:W066HP7vo


明石「うわぁ……。いかにも提督らしいですねえ」

提督「これってダメだろうか?」

明石「ダメもいいところですね」

提督「そんなにダメか!?」

明石「そりゃそうですよー。もっとがんばったり、もっとおしゃれしたり、もっと可愛くなったり……。提督にもっと好きになってもらうために、いっぱい努力したとして……」

提督「…………」

明石「その努力とか関係なく『全員と等距離』って、頑張る意味が無いじゃないですか」

提督「そんな、俺なんかに好かれるためにがんばらなくても……」

明石「あちゃー。これは提督は頭の修理をしたほうがいいですね。好きになっちゃったら、がんばりたくなるのは当然じゃないですか」

提督「……」




267: 2015/05/28(木) 19:36:02.40 ID:W066HP7vo


明石「提督は、理屈で考え過ぎですよ。みんなとの関係も、大淀のことも。恋愛は気持ちですよ、気持ち! 」

提督「俺はまず考えてから行動するタイプだから、そういうのが一番苦手なんだよなぁ」

明石「そんなことも言ってられませんよ……。大淀の落ち込み方、本当にひどくて……このままじゃ、出て行ってしまいますね……(嘘ですけど)」

提督「……大淀、そんなこと言っていたのか? 」

明石「え、ええ、まぁ……(お、落ち込んでいたのは本当だよね)」

提督「もう迷う時間も無いってことか……」

明石「で、でも、そんな、確かに落ち込んでましたけど、すぐに居なくなっちゃうとかそういう感じじゃ……」

提督「……」

明石(ど、どうしよう……嘘だとか言えないし……。提督、なんか黙っちゃうし……)




268: 2015/05/28(木) 19:36:40.98 ID:W066HP7vo


提督「……大淀と恋人になったら……きっと後悔することになると思った。だから躊躇していたけれど……このまま大淀を失ったら、おそらくもっと後悔するな……」

明石(う、上手くまとまってくれるといいな……ドキドキ)

提督「よし、今は迷わず行動すべき時だ! 明石、感謝する! 」

明石(や、やった、結果オーライ!)

明石「は、はいっ。提督、どうか大淀のことをよろしくお願いします」

提督「そうと決まれば、早速行動しないとな。部屋に引きこもってる大淀を引っ張りだして……ブツブツ」

明石(うん、提督はやっぱり迷わず前進するのが似合います。これでいいんですよね……これで……)




275: 2015/06/01(月) 21:02:46.72 ID:yQ5bEU1Zo


―――――― 1600 大淀の部屋


ぐぅぅぅ~~~~



はぁ……アンニュイな気分が台無しですけど、こんな時でもやっぱりお腹は空いてしまうのですね。そういえば朝もお昼も食べていません。


でも……お腹が空いて、こそこそ出て行ったところを提督に見つかりでもしたら……。ぐぬぬ……想像しただけで泣きそうです。とは言え、部屋に食べられるようなものも無いです……とほほ。



ウ~~~~~~~



大淀「!!! 緊急警報! 」



霧島「緊急警報です。鎮守府内にて緊急事態発生。対策のため、秘書艦・大淀は大至急、鎮守府正面玄関に向かってください。繰り返します……」



緊急警報まで出して、鎮守府内にて緊急事態……! 資源備蓄庫で火災? 基地電探施設の故障? 灯台の破損……? と、とにかく行かないと! わたしが呼ばれるということは、やはり備蓄周りかしら……



276: 2015/06/01(月) 21:04:07.10 ID:yQ5bEU1Zo


―――――― 1610 鎮守府正門


タッタッタッタッタ



ふう、大至急で来たけれど、やっぱり正門は遠い……あれ、バイクが待っているんでしょうか。明石かしら? 何か施設の破損修理なのでしょうか


違う……あれは提督! どうして……でも、気まずいとか言っていられません!


大淀「大淀参りました。提督、何があったのですか? 」

提督「説明している時間が惜しい。とにかく後ろに乗ってくれ」

大淀「は、はいっ! 」


大淀「乗りました! 」

提督「飛ばすから、しっかりつかまってくれ」



つかまるって……バイクって乗ったこと無いですけど……映像で見たとおり運転者に……その……抱きつくんですよね…………うう……えいっ!



提督「OKだ。そのまましっかりつかまっててくれよ」



ぶおぉぉん、ぶおぉぉん


大淀「は、はいっ…………きゃぁぁぁ」




277: 2015/06/01(月) 21:04:35.19 ID:yQ5bEU1Zo


ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん


怖い! こんな不安定な乗り物でこんなスピードを出すなんて!


ぶぉぉんぶぉぉん ぶぅぅぅぅん


提督「ここから未舗装の山道だ、ひどい揺れかたするから、ほんとにしっかりつかまっていてくれよ! 」(大声)

大淀「もうおろしてーーー! きゃ、きゃぁぁぁぁぁぁぁ」

提督「ひたすらカーブが続くけど、我慢してくれよ、もうすぐだから」

大淀「おろしてー、とめてーーー! きゃーーーー」




278: 2015/06/01(月) 21:09:05.57 ID:yQ5bEU1Zo


――――― 1630 鎮守府内の小山山頂 基地電探施設前


提督「ふう、到着だ。大淀~、大丈夫かー? 」

大淀「…………はい……大丈夫……です……」(ぐったり)

提督「立ち上がるのも無理そうだな。失礼して、ベンチまで運ばせてもらうぞ。よいしょっ」



……お姫様抱っこ……。うう、情けないやら……



提督「ほいお茶。大淀は高速艦だし、バイクの速度なんて、大淀の戦闘速度とほとんど変わらないのになぁ」

大淀「……自分で動くのと、あんな怖い乗り物に運ばれるのでは訳が違いますっ。それに、わたしは急旋回が苦手な艦ですから、あんな急カーブは怖いんですっ! 」

提督「あはは、ごめんな」

大淀「そ、そうでした! わたしのことはどうでもいいんですっ。緊急事態って電探施設の故障ですか!? 」

提督「ああ、違う違う」

大淀「え……? それじゃあ、どうしてここに? 」

提督「緊急事態っていうのは、秘書艦大淀の不調だよ。それで、引きこもった大淀を無理やり引っ張りだすのと、気分転換と、ゆっくり話す場所確保、などなどを考慮して、ここまで来てみた」



…………だまされたーー!




279: 2015/06/01(月) 21:09:38.74 ID:yQ5bEU1Zo


大淀「提督……覚悟はよろしいですね? 」

提督「覚悟ねぇ。ま、騙した訳じゃないぞ。なにせ、秘書艦の無断欠勤だ。緊急事態だろ?」

大淀「う゛……」

提督「それにさ、俺も大淀もいろいろ考え過ぎちゃうタイプだ。バイクですっ飛ばして、思いっきり叫んだりしたら、少しはスッキリして話ができるかもしれないと思ってな」

大淀「はぁ……。分かりました、わたしの負けです。確かに、思いっきり叫びましたし、バイクの後席も、慣れてきたらちょっと楽しかったですから」



あんなに叫んだのは、生まれてはじめてです。確かに……結構スッキリしました……



大淀「はぁ、なんだか気が抜けてしまいました……」



ぐぅ~~~~~~~



大淀「///」

提督「……ぷっ」



ばしっ、ばしっ、ばしっ、ばしっ




280: 2015/06/01(月) 21:11:11.68 ID:yQ5bEU1Zo


提督「あはは、叩きすぎ。笑って悪かったよ」

大淀「はぁはぁ、そもそも、全部提督が悪いんですからっ!」(ばしっばしっ)

提督「悪かったってば。ほら、おにぎり持ってきてるんだ。夕食にはちょっと早いけどどうぞ。部屋に閉じこもってたから、何も食べてないんだろ? 」



……何もかもお見通しみたいな言い方がムカつきます!



大淀「……頂きます」


もぐもぐ。ムカつきますけど美味しいです。



提督「このバイク、この間一緒に修理したやつだぞ。エンジンもかからなくて廃棄寸前のジャンク品として買ったらしいけど、ちょっと治しただけで、これだけちゃんと動くんだよな」

大淀「(もぐもぐ)そうでしたか。提督は本当に機械が好きですね」

提督「ああ。子供の頃から機械が大好きでな。最初は時計を分解したけど、元に戻せなくておやじにぶん殴られたなぁ」

大淀「くすっ」

提督「それで、一番心を惹かれるのが乗り物でさ。最初は自転車を徹底的にいじって……それから、トラクターとかトラックとか、家の乗り物をいろいろいじったよ」

大淀「今とあまり変わりませんね」




281: 2015/06/01(月) 21:12:10.21 ID:yQ5bEU1Zo


提督「あはは、そうかもな。でもさ、一つ一つの何ていうことのない部品をさ、技術を持って組み上げると、意思を持った生き物のように元気に走る。これがとても好きでな。本当なら、飛行機とか……そして……船もな。分解したりいじってみたかったんだよ」

大淀(ささっ)

提督「……なんで離れるんだよ。本物の船の方だよ。山のように大きな船。やっぱ憧れだったんだ」

大淀「……それならいいんですけど。分解したりいじられたりされると困りますから」

提督「あはは。だからさ、君たちの前世に心が踊る。大勢の努力で、技術の粋を集めて建造され。そして、すごい性能で国と人々を守っていた。実物をさわったりは出来ないけど、資料はずいぶんと読んだよ」

大淀「……」

提督「それなのにさ……。大きな目的を持って建造されながら、戦争の変化で全く活躍できなかったり、無茶な作戦の犠牲になったり……敗戦が決まっているような状況で、無謀な特攻に駆り出されたり……。そして、なんとか生き残っても、新兵器の実験標的にされたり……。結局、君たちの前世は、大体が悲しい結末で……ほとんどは、今でも一人海の底に沈んでるはずだ」

大淀「そう……なのですか……」




282: 2015/06/01(月) 21:12:54.81 ID:yQ5bEU1Zo


提督「それなのに……そんな寂しい結末を迎えたのに……君たちは、君たちの魂は、また国や人を守るために戦っている……艦娘という存在になって。その気持ちに、心からの感謝と……一人の軍人として、本当に申し訳なく思う」


大淀「そんな風に思われる必要はありません。わたしたちは戦うために生まれてきました。ですから、命令通り戦うことに、何の悲しみも迷いもありません」

提督「うん、それはわかってるよ」


なでなで


大淀「提督……。提督が、その……お父さんのようであろうとするのは……それが理由なのですか……? 」


提督「……うーん、そうだな。確かに、これも理由の一つだろう」

大淀「もっと大きな理由があるのですか? 」



知りたい……




283: 2015/06/01(月) 21:14:00.60 ID:yQ5bEU1Zo


提督「そうだなぁ。まず、俺はまだまだ若造だ。それなのに、駆逐艦みたいな子どもたちならともかく、大人の女性たちにまでお父さん風を吹かせるのは、おかしく見えるかもしれないな」

大淀「……いいえ。わたしは、司令官としての責任感の形みたいなものなのかな? と考えていました」

提督「そうだなー。ある意味ではそうなのかもな。でもさ、それ以前に何よりさ……。みんなさ、この世に艦娘として生まれて……建造されてというべきかな? 一番長い子でも数年っていうところだ。そういう意味では、みんな本当に子どもみたいなものだと思うんだよな」

大淀「お言葉ですが、艦娘は知識と前世の記憶を持って生まれてきます。ですから、生まれてからの年齢で判断されては困ります」

提督「あはは、もちろんわかってるよ。でもさ……みんな、船としての前世の記憶を持ってるよな。確かにそれはそうだ。船に乗っていた大勢の乗組員たち、建造に関わった人たち、設計者、そういういろんな人達の想いとかも受け継いでる。それはよくわかってる」

大淀「でしたら……」

提督「でもさ、『艦娘』という『人』としての存在の経験は、本当に数年分しか無いわけだ。だからさ、例えばさっきの大淀でいえば……。大淀ってさ、乗り物に乗ったこと、無かったんじゃないか? 」

大淀「……そのとおりです。クレーンに釣り上げられた記憶はありますけれど、何かに乗って移動したのは初めてです」

提督「そういうことだよ。前世の経験、そこからくる分別、艦娘として持ってきた知識、そういう色々なものはありつつも、人としての経験はとても少ない。俺から見ると、とてもアンバランスな感じだ」



提督……目がお父さんになってます……




284: 2015/06/01(月) 21:16:35.44 ID:yQ5bEU1Zo


提督「悲しい前世を持ちつつ、国と人を守るために、また戦ってくれている君たち……。その君たちに俺ができることは何か……。せっかく艦娘として、人として生まれ変わったんだ。人としての喜びや幸せをできるだけ味わって貰いたい。例えば、アイスの甘さ、例えばバイクに乗る楽しさ、例えば花のかおり……友達をつくるなんていうのもそうだな」

大淀「そう……ですね……。はい、確かにその通りです。艦娘として生まれてきたことで……前世では分からなかったこと、知らなかったことを、たくさん知りました」

提督「俺にできることなんて本当にささやかだけどな。だからまぁ、すぐに間宮券を渡しちゃうくらいは、勘弁して欲しい」

大淀「くすっ……ええ、あんまり叱っちゃだめですね」

提督「あとは、騙してバイクに乗せて、その楽しみを教えたりな」(にやっ)

大淀「……駆逐艦の子たちは間宮券、わたしは騙してバイク……。とっても不公平です。許しません」

提督「あはは、子ども扱いすると怒るくせに、困ったものだな」

大淀「うふふ。もちろん、楽しかったですよ、バイク。怖かったですけどね」

提督「きゃーきゃー叫ぶ大淀は新鮮で良かったよ」

大淀「やっぱり許しません」(ぷくっ)

提督「あははは」




285: 2015/06/01(月) 21:17:37.42 ID:yQ5bEU1Zo


提督「とはいえなぁ。正直言えば、最近はちょっと困ってるんだ」

大淀「といいますと? 」

提督「みんなにさ、できるだけ艦娘としての喜びや幸せを味わってもらいたいって思う気持ちは変わってないんだ。ただ、みんな女性だろ? 俺、女心ってほんとに全然わかんなくてな」

大淀「はいはい、ご自覚があるのは良いことだと思います」

提督「はぁ……。やっぱさ、女性は恋愛にすごく興味があるんだよな。それでもって、俺はここで唯一の男だろ? やっぱ、恋愛に憧れる子たちからアタックを受けたりするわけだ」

大淀「!!!」

提督「その子の喜びや幸せという点で言えば、俺はその申し出を受けて、恋人になるのが一番なのかもしれない。だけど、俺は、この鎮守府にいる艦娘みんなのものであるべきだ。そう思う」

大淀「提督……」

提督「それにさ、みんなが俺に向けてくれる感情は……。恋愛への憧れもあるだろうけど……。人という存在になって初めて感じること。近くに居たい、暖かさを感じたいっていく気持ち……家族のような絆を求めてのものなんじゃないかな? って思うんだよ。だから、恋人になるのではなく、暖かな家族として、みんなとともにあるのが一番かなって、ずっとそう思ってた」

大淀「……ほんと、女心分かってませんね」

提督「うげー、やっぱり大淀の意見もそうかぁ。明石にも強烈な駄目出しを食らったんだよなぁ」

大淀「ええ、どうしようもなくダメです」




286: 2015/06/01(月) 21:18:13.92 ID:yQ5bEU1Zo


提督「そうかぁ……。あとさ、何よりも大きな問題があるんだよ」

大淀「もっと問題があるんですか……」

提督「ああ。今の話って、艦娘の誰かから恋愛感情を向けられて、俺がそれにどういう距離感で対応するか、みたいな話だろ? 」

大淀「ええ、そうですね。ダメダメですけど」

提督「ぐぬぬ……。まぁ、それでだ、問題はさ、俺のほうが、距離をおかず、もっと近づきたい!って感じることもあるんだよ」

大淀「提督のほうが……ですか? 」

提督「うん。艦娘の誰かから『恋愛感情を向けられる』っていう話じゃなくて、俺のほうが『恋愛感情を向ける』っていうことだな」

大淀「回りくどく言ってますけど……それって……!」




287: 2015/06/01(月) 21:18:53.52 ID:yQ5bEU1Zo


提督「あはは、まぁ、俺も照れと緊張があるんだよ……。要するに、俺にも好きな子がいて、みんなと平等に距離を取るべきだと理屈では思ってるんだけど、もっと近づきたいという感情があるんだ」


じーーーー


ドッドッドッドッドッドッ(←大淀の心臓の鼓動)



提督……わたしを見てる……これって…………もしかして…………



提督「大淀。俺は君の事が好きだ。……君を愛してる」




……気が付くと、もう涙がこぼれていました。


……心からあふれる気持ちが自然と涙になる…………。これもまた……艦娘になったことで初めて知ったことです……涙も……すべて……提督が教えてくれました……。




294: 2015/06/03(水) 22:35:58.64 ID:ftBfrv7ho



涙を止めることができず……泣いたままでみっともないですけど……


大淀「ぐす……嬉しいです、提督……。わたしも……大好きです。愛しています」

提督「ああ、ありがとう。ずっと待たせて済まなかった」


ぎゅっ



……抱きしめられたら……きっと緊張するだろうと思っていました……でも、全然そんなことはありませんでした。あたたかな心が……愛情があふれているのが分かります。とても充実した気持ちです


ぎゅっ



わたしも……同じ気持ちでお返しです……




295: 2015/06/03(水) 22:36:27.85 ID:ftBfrv7ho


提督「ずっと我慢してたんだ。実は、ずっと前から好きだったんだ……」

大淀「わたしも……わたしもです……我慢なんてしないでほしかったです……」


ぎゅっ


提督「ごめんな……一度抱きしめてしまったら引き返せない。そんな気がしてたんだ。その予感はあたったみたいだ。この幸せな気持ちを失うなんて、もう無理だ……」

大淀「ぐすん……はい……はい……幸せです……」


提督「大淀も俺のことを好いてくれているって、なんとなくは感じてた。自信は無かったけどな……。どのくらい前からだったんだ? 」

大淀「提督も話してくださるなら、教えてもいいですよ」

提督「げー、自分の気持ちを話すのは恥ずかしいなぁ」

大淀「あら、お互い様ですよ」

提督「そうだよなぁ……良いよ、じゃあお互い話すということで」




296: 2015/06/03(水) 22:36:58.59 ID:ftBfrv7ho


…
……

大淀「提督が駆逐艦の子たちをかわいがっていて……今思えば嫉妬だったのかなって……」

提督「そんな前からだったのかぁ」


…
……

大淀「島風に、わたしが島風を大事に思ってるって話してくださって……それですごく懐かれて……」

提督「ああ、あったな、そういうこと」

大淀「あの時、わたしの頑張りとかを知ってもらって、分かり合えたら、わたしも笑顔になれるかと思ったって、そういうお話してくださったの、覚えてます? 」

提督「ああ、覚えてる」

大淀「今思うと……これが……提督のことが好きだって自覚した瞬間だったかもしれません」

提督「そっか……」

大淀「はい。心の中を覗かれたような恥ずかしさもありましたけど……わたしの秘めた望みとか悩みとかを気づいてもらったような……なんだかそんな感じで……」



297: 2015/06/03(水) 22:37:25.59 ID:ftBfrv7ho


…
……

大淀「暁が、遠征計画を手伝ってくれた時のこと、覚えてますか? 」

提督「懐かしいな。レディの仕事を見学するみたいな時だろ? 」

大淀「あの時、わたしの仕事ぶりを……仲間のために地道なことを黙って頑張ることを……まっすぐにわたしを見つめて、評価してくださって」

提督「ああ、よく覚えてる」

大淀「真剣にまっすぐ見つめられて……この時、ほんとに告白されちゃうんじ!? ってドキドキしたんですよ」

提督「いや、実は勢いで言いそうになって、俺もちょっと慌てたんだよ。あーあ、ここで言ってしまっても良かったのかなぁ」

大淀「あ、じゃあ、この時にはもう、わたしのことが好きだったんですね! 」

提督「ぐぬぬ……。認めるしか無い、そうだな、この頃にはもう、はっきり自覚するくらい好きだった……」

大淀「うふふ……提督も本当に随分前からだったんですね♪」



298: 2015/06/03(水) 22:38:07.69 ID:ftBfrv7ho


…
……

大淀「しおいを改装して、パナマ運河演習した時。あの時って、わたしに指揮を取らせましたよね? 」

提督「ああ」

大淀「あれは、わたしが前世で潜水艦隊の指揮をするために建造されたけれど、実際に指揮をとることはなかったって、ご存知だからだったのでしょう? しおいに前世の夢を果たさせるのと同時に、わたしにも……」

提督「気づいていたのか……。そうだな、しおいみたいに無念があるようには見えなかったけど、やっぱり心残りとかあるかもしれないなって思っててな。余計なおせっかいだったかもしれないけど……」

大淀「いいえ……わたしのことを気にして、できることをしようとしてくださったこと、すごく嬉しかったんですよ。だから……早朝執務のお手伝いを申し出たんですよ。本当は、シャクだから、提督が手伝ってって言うまで我慢しようと思ってたんですけど♪ 」

提督「一人で執務させると危なっかしいって思われてるのかと思ってさ。いやぁ、俺はほんとに信用ないんだなーってちょっとがっかりしてたんだよ、この時」

大淀「えー。わたし、嬉しくて……一緒にいたいから……申し出たのにー。はぁ……ほんっと、女たらしのくせに、女心はまるでダメですね、提督は……」




299: 2015/06/03(水) 22:38:34.14 ID:ftBfrv7ho


…
……

提督「そういえば、潮と羽黒でペアを組ませた時……。大淀に、わたしも撫でてって言われて……。撫でたら泣いちゃった時があったよな」

大淀「わーー! それは無しっ、無しですっ」

提督「今までの話からして、嫌だったわけじゃないよな……? 」

大淀「嫌なわけないじゃないですか。そうじゃなくて……あの時は……もう提督のことが大好きで……でも、提督は父親目線でしかわたしたちを見ていないことも分かっていて……それですごく切なくて……もうっ、提督が悪いんですよ! 」(ばしっばしっ)

提督「女心ってやっぱり謎だよ……」



300: 2015/06/03(水) 22:39:35.45 ID:ftBfrv7ho


…
……

大淀「……そういえば……綾波を振ったの、知ってますよ。あの時、扉の外にいたんです」

提督「げげっ! 」

大淀「あの後、泣く綾波を慰めて……ほんっと、女たらしなんですからっ!」

提督「そんなこと言われても……。ちゃんと断ったんだぞ。何より、綾波はまだ子どもだ。家族愛と恋愛がごっちゃになってたんだろうし、そのへんもちゃんと話したぞ」

大淀「提督はほんっっとにダメダメですね! ……綾波は、ちゃんと女として提督のことが好きだったんですよ。でも、提督の言葉を尊重して、しっかり身を引いたんです。提督よりずっと大人ですよ」

提督「……ぐぬぬ…………」

大淀「しかもですね……わたしも提督が好きなことをちゃんと気づいていて……。提督が好きな人って多分わたしだから、しっかりがんばってって応援されました」

提督「そんなことまで気づかれてたのか……綾波、あんなにほやっとしてるのに、鋭いなぁ……」

大淀「提督は女を甘く見過ぎですね」

提督「うう、怖いよぉ……」

大淀「綾波の頑張りを見て、わたしも……提督にちゃんと想いを伝えようって思ったんですよ」


提督「……まてよ。綾波に告白された直後……ははぁ、大淀が変なことをしだした時期だな」

大淀「変なことって何ですかっ! 綾波に勇気をもらって、それこそ氏ぬ気で頑張ったのに……提督の鈍さで台無しでした! 」

提督「……いや、あれは俺のせいじゃないよ……」




301: 2015/06/03(水) 22:40:23.62 ID:ftBfrv7ho


…
……

大淀「それで……昨夜は、今日こそはって思って……ぐすん……」

提督「昨夜はほんとにやばかったよ……一瞬の油断で理性が飛びそうだった……」

大淀「えっ?」

提督「大淀に大人の誘惑をされただろ。胸元開けられたりしてさ」

大淀「///」

提督「その場の勢いでなし崩し的に抱いちゃうとか、俺はそういうのはどうしても嫌だった。かと言って、俺は大淀が好きだから……大淀を突き放す事もできなかった……。それで、情けないことに……保留して逃げちゃったのさ……」

大淀「……そう……だったのですか……」

提督「ほんと、すごい破壊力だったよ。最後、窓際に逃げたけど、追いかけられて抱きつかれたら、もう我慢できなかっただろうなぁ……」

大淀「わたし……おっOい小さいですし……女としての魅力が足りなくて相手にされなかったんだと……」

提督「何言ってるんだよ。俺は心で血の涙を流して我慢してたんだぞー。許されるなら、いますぐ抱いてしまいたいくらい魅力的だよ、大淀は」

大淀「/// す、スOベっ!」

提督「あはははは」




302: 2015/06/03(水) 22:41:12.37 ID:ftBfrv7ho


提督「その前に……これから俺達がどうするか。大淀にも考えてもらわないといけないな。後悔しないために……」



……真剣な表情です。本当に話したかったことはここからですね……。



大淀「どういう……意味でしょう……。何を懸念されているんですか……? 」

提督「ちゃんと話すよ……。未来のことを」



未来……。提督が、みんなと等しく距離を置こうとした理由……。わたしを愛しているのに……うふふ……我慢していた理由……。



提督「俺が持っている情報を総合するとだが……。この戦いは当分は終わらない。深海棲艦を駆逐しつくす手段が無いからだ」

大淀「はい……。今のところは、湧き続ける深海棲艦から特定の海域を確保し続けるのがやっとです」




303: 2015/06/03(水) 22:42:13.96 ID:ftBfrv7ho


提督「仮に深海棲艦を滅ぼすことが出来たとしても……。はい解散とはいかないしな……」

大淀「……」

提督「深海棲艦がまた現れるかもしれない……外国が艦娘で攻撃してくるかもしれない……どこかの提督が艦娘を率いて反乱を起こすかもしれない……。結局、艦娘でないと対抗できない存在があるかぎり、軍としては艦娘をどうにかして維持したいはずだ」

大淀「そうですね……国家戦略上、そうなるのが当然かと思います……」

提督「そして、艦娘は、艦娘を率いる素質がある提督でないと率いることが出来ず、一度具現化した艦娘は、その提督の指示しか聞かず、転属などはできない。つまり、艦娘を維持し続けようとすれば、その艦娘を生み出した提督に率いさせ続けるしか無いのさ」

大淀「はい……艦娘は自分を生み出した提督の指示しか受け付けないのは知っています」

提督「でも、大淀もわかるだろう。特別な力を持つ艦娘。そして、その絶対の忠誠を受ける提督。軍の上層部からしたら、これは脅威だ。もし反乱を起こされたら……?という不安は消せないだろう」

大淀「……」




304: 2015/06/03(水) 22:43:03.75 ID:ftBfrv7ho


提督「とはいえ、俺達だって先手を打たれて粛清されるのは嫌だ。かといって、艦娘の力を使って上層部に成り代わるなんていう意思もない。結果、俺と俺の仲間たちが出した『良い戦後』の結論はこうだ。無事深海棲艦を倒すことができたら、提督と艦娘は全員、本土から遠く離れた泊地……トラックとかパラオとかな……に移動して、提督が氏ぬまで、艦娘と一緒に静かに暮す……また敵が現れる日に備えて……な」

大淀「そんな……では提督はもう帰れないのですか…………」

提督「ああ、それでいいんだ。こんなに素敵な家族に恵まれてるんだ。これ以上望むものなんてないさ」

大淀「でも……悲しいことです……。提督はご両親もいらっしゃるのに……」

提督「いいんだよ。でも、ここからが問題なんだ」

大淀「……? 」

提督「これから何年も……もし俺が長生きしたら何十年も、俺と艦娘のみんなで生きていくんだ。だからこそ……一人を特別扱いしたりできない」

大淀「!!!」



理解しました。これが提督の我慢の理由……。とてもこの人らしい理由……。




305: 2015/06/03(水) 22:43:51.14 ID:ftBfrv7ho


提督「そう……思ってたんだよ……。でもさ、明石にも大淀にも言われたけど……。公平に接していたら、みんな幸せだ、という考えは間違っているのかもしれないな」

大淀「その……お気持ちはすごくよく分かります。わたしでもそう考えたかもしれません。でも……残念ですが、提督は男性で、わたしたちは女です。公平なだけでは、誰も幸せにはなれません……」

提督「そうかぁ……。なかなか簡単ではないな」



提督が……先のこと……というより『終わり』まで見据えていたなんて……。それで身動きが取れなかった理由……気持ち……すごく良く分かってしまいます。でも、人の気持ちは理屈ではないですね……いつも理詰めのわたしが言うのもなんですけど……。



提督「大淀がさ、いっそ……本当にもろくて弱くて、『この子は俺がそばにいないとダメだ!』なんて思ってしまうような感じの子だったら、こんなにも我慢しなかったと思うけどなぁ……」

大淀「あ、ひどいです。わたしも……本当に……。うーん、辛かったわけじゃないですけれど……すごく、その、切なかったんですよ。恋愛っていうのは本当に厄介なものです」

提督「あはは、大淀らしいな。でも、そんな大淀がさ、俺とのちょっとしたことで、泣いたり、バランスを崩したりしてるのを見て……。俺もどうしたら良いか分からなくなっちゃってな。ほんと、恋愛っていうのは厄介だ。自分は冷静なつもりなんだけど、後から振り返ってみると、すごいオロオロしてるのな」

大淀「あは。本当にそうです。思い出すだけで顔から火が出そうですよ……」




306: 2015/06/03(水) 22:45:05.43 ID:ftBfrv7ho


提督「それでな、大淀。説明したとおり、俺は、これからもずっとずっと続くみんなとの生活のことを考えた上で、君との関係をどうしたら良いか、もうわからないんだ。俺は君が好きだ。じゃあケッコンして二人でラブラブする。それで、本当にみんなとこれからもやっていけるんだろうか……」

大淀「それは……」



提督と仲良く夫婦になれるのは嬉しいです……でも……じゃあ他のみんなは……? わたしが提督を独占して……。みんなはそれで幸せなの……?



大淀「……。わたしは、提督にちゃんと女として愛していただかないと幸せではないです……」

提督「そうか……」

大淀「でも……それは他のみんなも同じだと思います。もちろん、駆逐艦の子と、大人の女性では内容は違うと思いますが……提督に愛してもらわないと幸せでないっていうのは同じだと思います」

提督「ぐぬぬ……」

大淀「ですから、提督は平等に距離を取るのではなく……平等にみんなを、女として、愛して下さい」

提督「えええ! それって、ハーレムみたいじゃないか! 」

大淀「でも、子どもには手を出しちゃダメですよ! 」

提督「……でもさ、大淀はそれでいいのか……? 」

大淀「良くありません! わたしはヤキモチ妬きですからねっ。でも……だからといって……みんなから提督を取り上げるのは嫌です……」

提督「大淀……」

大淀「た・だ・し! わたしと居るときは、わたしだけを見ることっ。いいですね! 」

提督「うーん、俺のほうがそんなにハーレムの王様みたいな行動ができるかどうか自信無いけど……大淀と居るときに、君だけを見るのは自信あるよ」

大淀「……もうっ。歯が浮くようなこと言って! ///」



307: 2015/06/03(水) 22:45:39.80 ID:ftBfrv7ho


提督「本当だよ。やっぱり君は本当に素敵だ……」


ちゅっ



え……! ええええーー! キスされましたキス!


大淀「///」


提督「自分の気持ちだけじゃなく……みんなの気持ちを考えて答えを出す。すごく大淀らしいし、とても素敵だ。そんな君だからこそ、俺は好きになった……」


ぎゅっ


大淀「提督……ぐすん……わたしもです……いつもみんなの幸せを考えて、自分のことは後回しで……そんなあなただから……わたしは…………」



……抱きしめて、抱きしめられて、キスして、キスされて、手をつないで、寄り添って……。これもまた、前世では味わえなかったこと。今日のこの瞬間だけで、艦娘に転生した幸せのすべてを味わえたような……そんな気持ちでした。





315: 2015/06/05(金) 19:37:09.02 ID:juJmbRWco


――――― 1800 鎮守府内の小山山頂 ベンチ


提督「夕日、綺麗だな。ここからだと、海に沈む夕日がしっかり見えるんだよ」

大淀「……そういえば、提督は海に沈む夕日、なかなか見る機会が無いんですね」

提督「艦娘のみんなは良く見てるんだろうけどな。川内なら『待ちに待った夜戦だぁ!』って喜ぶ時間だよな」

大淀「うふふ、まさにそんな感じです。あと、夜戦はともかく、海で見る月もすごく綺麗ですよ」

提督「月も星も綺麗そうだよな。俺も艦娘だったらなぁ。南方に遠征して、夜の星空とか見たいよ」

大淀「ここからでも綺麗に見えると思いますよ。せっかくですから見て行きましょうか」

提督「そうだな。大淀、寒くないか? 」

大淀「え、真夏ですから暑いくらいですけど……」

提督「ほら、寒いだろうから膝においで」

大淀「はい……真夏なのになぜか寒いのでおじゃますることにします……」


…
……

提督「今日はちょうど満月だったか。綺麗だなぁ」

大淀「ええ、本当に……」



二人で見上げる月は、なんだか特別です。




316: 2015/06/05(金) 19:38:17.94 ID:juJmbRWco


提督「やっぱり、大淀は大人だよなぁ。駆逐艦が膝に乗ることは結構あるけど、やっぱりぜんぜん違う……」

大淀「重くて悪かったですね(怒)」

提督「違う違う……。すごくこう、嬉しいというか興奮するというか……そういう感じで」


ぎゅっ


大淀「/// も、もう……」



あ、あれ……このおわりに当たる感触は……もしかして……


大淀「て、提督……その……あたってます……」

提督「ぐ…。す、すまん。駆逐艦を膝に乗っけても、こんなことにはまずならないんだけど……やっぱ大淀だとやばいみたいだ……」

大淀「/// あ、あやまらないでください……。わたしで……その……興奮していただけるのは、女としてとても嬉しいというか……」

提督「あ、あははは。いや、いやいや、さすがになぁ……そんなこと言われちゃうとなぁ……俺も男だし、いろいろ盛り上がってしまうというか」

大淀「あ、あははは……。いえその……わたしとしましても……いろいろ心がいっぱいでもっと一緒に居たいというか……」

提督「……俺の部屋、来る? 」

大淀「/// お、お邪魔します……」

提督「よ、よし、帰るか、うん、もう遅いしな! 」

大淀「は、はいっ。もう遅いですし! 」



きゅ、急展開です……。ま、まさか今夜このまま……。うう、まずお風呂入って着替えたいですけど、そんなこと言い出せるでしょうか……。ああ、今日の下着どんなのでしたっけ……うう、どうしよう……。




317: 2015/06/05(金) 19:38:57.30 ID:juJmbRWco


ぶろろろぉぉぉぉ……どっどっどっどっどっど…………


提督「し、しまった……」

大淀「どうされました?」

提督「ライトが付かない……そこまでチェックしてなかった……。おそらく球切れだ」

大淀「え……この暗い山道をライト無しでは……」

提督「ああ、さすがに自殺行為だ。とは言え歩いて帰れる距離でもないし……」

大淀「……」

提督「仕方ない、明るくなるまでここにいよう」

大淀「はい。仕方ないですね」



ほっ……セーフです! ちょっと残念ですけど……明日ちゃんとコンディションを整えてから……



提督「大淀……」


ぎゅっ


大淀「あ……提督……」

提督「すまんが、我慢できん……」

大淀「え……」




318: 2015/06/05(金) 19:39:52.45 ID:juJmbRWco


…
……

大淀「そ、そんな……外でこんな格好……」

提督「誰も見てないよ……」



…
……

大淀「……! ……ぅ! 」

提督「大淀、そんなに声を抑えなくても大丈夫……誰もいないから」

大淀「で、でも……外でなんて……恥ずかしくて……(うるうる)」

提督「ぐっ……そんな目でそんな事言われると、意地でも声を聞きたくなるな……」

大淀「そんな……提督、いじわるです……ぁ……」




319: 2015/06/05(金) 19:40:21.69 ID:juJmbRWco


――――― 翌早朝


ん……明るい……朝ですね……


提督「zzz...zzzz...」


ふふ、腕枕してくれてたんですね。でも、そんなことじゃ許しません。提督がこんなにケダモノだったなんて! わたし、初めてだったのに、外でなんて! しかもあんなに激しく!


つんつん


提督「んぐ……zzz...」


うふふ……でも、やっぱり許してあげます。あんなに激しく求められるなんて……愛されてるって実感出来ました。あーあ、でもシャワーが無いのはきついですね。確かこの場所、井戸があったはずですから、せめて少し身だしなみを……


提督「zzz...zzz...」


はぁ、男の人は気楽でいいですね……




320: 2015/06/05(金) 19:40:47.76 ID:juJmbRWco


大淀「提督、そろそろ起きて下さい。朝ですよ。早く戻らないとみんなが心配してしまいます」


提督「う……うん……朝か……大淀、おはよう」(にっこり)

大淀「/// お、おはようございます」



うう、昨夜のことを思い出すと恥ずかしくて顔が見られません……



ぎゅっ


大淀「きゃっ」

提督「昨夜はかわいかったよ」

大淀「/// な、何を言うんですか、もうっ!」(ばしっばしっ)

提督「あはは、改めておはよう。さ、帰ろうか」

大淀「そうです、みんなが心配しますよっ! 」




321: 2015/06/05(金) 19:41:39.84 ID:juJmbRWco


――――― 0600 鎮守府入り口


ぶるるるるるるるる


大淀「無断外泊してしまって、皆さん心配していないと良いのですが。捜索隊とか出ていたらどうしましょう……」

提督「一応、何人かには事情を説明して出てきているから大丈夫だと思うけど……」

大淀「……説明って、どんな……? 」

提督「いや、大淀を引っ張りだして、ちゃんと二人で話がしたいから協力してくれって」

大淀「……それって……事情を知っている人から見たら……二人で鎮守府を抜けだして、朝帰りしたって見えますよね、これ……」

提督「ぁ……言われてみれば……」

大淀「言われてみれば、じゃないです! どうするんですかぁぁぁ」

提督「どうするって言ってもなぁ……まんまその通りだし……」

大淀「う、うう……」



確かにその通りなのですが……言い訳しようがないじゃないですか!



提督「って、あれ、入り口、なんか人がいるぞ」

大淀「……嫌な予感しかしません……」




322: 2015/06/05(金) 19:42:21.29 ID:juJmbRWco


足柄「おかえりなさい、提督、大淀。まずはおめでとう! 」

明石「大淀、おめでとう! 」

夕張「おめでとうございます! 」



何ですか、みんなしてニヤニヤして! 何もかもお見通し見たいな顔してっ! ここは冷静にごまかさないと……



大淀「全然おめでたく無いです。バイクのライトが壊れていて、夜道を帰って来られなかったんです。ひどい目にあいました」

提督「そうなんだよー。エンジンばっかり見てて、ライトまでは気が回らなかったよ……ははは」



足柄「まーでも、結果的にねぇ」(にやにや)

夕張「刺激的でいいよねー」(にやにや)

明石「///」



……何か知られてる!!




323: 2015/06/05(金) 19:43:02.23 ID:juJmbRWco


青葉「大淀さん、ごめんなさい。二人が帰ってこないのが心配だから偵察して欲しいって頼まれて……特製の夜偵を飛ばしてしまいまして……あ、青葉……み、みちゃいました ///」

大淀「えっ! え~~~~!! 」



昨夜の……もろもろを……見られた…………



足柄「プライバシーだからねぇ。詳しくは聞いてないわよ」(にやにや)

夕張「ただ、お二人が激しく夜戦してるってだけで」(にやにや)

明石「大淀、すごい大胆だよね……」

青葉「わたしには刺激が強すぎました……見ちゃいましたけど……」

大淀「う……う……うわぁぁぁん……」


だだだだだっ




324: 2015/06/05(金) 19:44:32.82 ID:juJmbRWco


足柄「あはは、さすがにからかいすぎたかな」

提督「おいおい、悪いのは俺なんだから、大淀をいじめないでくれよ……」

夕張「そうですよね、提督がケダモノだったんですよね。青葉、早速記事にしなきゃ! 」

青葉「わたしの新聞はR18じゃないですから……そういうのは……」

明石「ちょっと読んでみたいなぁ……」





大淀「うわーーーん」


うう、恥ずかしくて氏にそうです! あんな場所でするからっ、誰も見てないって言ったのにっ、提督のバカバカバカバカ!


うう……でも……氏ぬほど恥ずかしかったですけど……これもまた幸せの形…………なの……かなぁ?




333: 2015/06/07(日) 23:17:36.96 ID:kPTnpYwko


――――― 一週間後 朝 提督執務室


……提督とわたしの関係は変わりました。でも、日々の業務が変わるわけではありません。何も変わらず、提督と秘書艦として、毎日忙しく働いています。



暁「わたしが遠征から外れるっ!? どうして! しっかり頑張っているのにっ」

提督「うん、いつもきつい遠征を、文句も言わずしっかりこなしてくれていて、本当に感謝してる。いつもありがとな」(なでなで)

暁「こ、子ども扱いしないでってば! それなら、どうして! 」

提督「まず、暁たちの代わりに、南方の遠征をこなせる練度に達した駆逐艦が増えてきたんだよ」

暁「そうね、それでローテーションもすごく楽になってるけど……」

提督「だから、そろそろ第六駆逐隊のみんなは遠征から外れてもらって……危険だが、最前線の出撃に回ってもらいたい」

響「ハラショー」

雷「わたしたちがっ」

電「前線なのですっ!」




334: 2015/06/07(日) 23:18:21.98 ID:kPTnpYwko


大淀「最近の大規模な作戦は、多方面同時展開が多くなってきています。今後もこのような作戦が続くようでは、前線の駆逐艦がとても足りないのです」

提督「現状、最前線勤務の駆逐艦たちに続く練度を持っているのは君たち第六駆逐隊だ。危険だが……どうだ、やってくれないか」


暁「……もちろん……やるわ! 」

提督「ありがとう、さすが暁だ」

大淀「それでね、暁。あなたに更なる改装。つまり、改二への改装が準備出来たみたいなの」

暁「ほ、ほんとに! やった、わたしももっと成長できる時が来たのねっ」

雷「うわぁ、うらやましい! おめでとう!」

電「暁ちゃん、おめでとうなのです!」

響「ハラショー! こいつはめでたいね」




335: 2015/06/07(日) 23:18:56.88 ID:kPTnpYwko


提督「ただ、高練度が必要だから、今のままではまだ足りない。響も、もう一息で更なる改装だし、前線で是非頑張ってくれ! 」

大淀「前線での駆逐艦の役割や注意点などは、前線勤務の駆逐艦たちから直接聞くのが良いと思います」

島風「おまかせだよ! 早く一緒に艦隊組もうね!」

夕立「暁ちゃんも改二かぁ。一緒に、最高に素敵なパーティーするっぽい! 」

暁「うん、わたしも、夕立みたいに、改装で背が伸びてスタイルが良くなって……楽しみだわ! 」

吹雪「…………(暁ちゃんも、きっと体型は変わらない気がする……ぐすん)」

綾波「わたしみたいに、すごく髪が伸びちゃうかもですよ!」

提督「うんうん、みんなで仲良く、前線勤務を乗り切ってくれな」

駆逐艦たち「はーーい! 」




336: 2015/06/07(日) 23:19:22.82 ID:kPTnpYwko


――――― 午後 工廠


提督「うーん、41cm砲が足りん! やっぱ開発で集中的にやるしかないか……」

夕張「でも、レシピ通りやっても、そうそうできるものでは無いですよ? 」

明石「装備改修で必要な量は膨大です。開発で賄おうとしたら、資源消費が大変なことに……」

提督「うーん、でもなぁ」

大淀「て・い・と・く・? 装備改修は慌てずにやる、無理はしない……って、あれほど約束されましたよね……? 」

提督「ぎくっ」

大淀「そもそも……現状、どうしても改修が必要なわけでもないですし……」

提督「そこに……強化できる装備がある。理由はそれだけで十分さっ」

夕張「あ、分かります。そうですよね、それ以上の理由は何もいらないですね」

明石「そっか、そういうことなら早速……」

大淀「良くありません!! 」

提督「えー……」




337: 2015/06/07(日) 23:19:58.92 ID:kPTnpYwko


大淀「提督……。大和さんや武蔵さん、大鳳さんをお迎えするために、大型建造を頑張りたいんですよね? でしたら、ここはちゃんと我慢して下さい」

提督「そっか、そうだよな。わかった……ありがとう、大淀。やっぱり俺は、君が支えてくれないとダメだ」(じーー)

大淀「いえ、わたしこそ、うるさく言ってしまって……。でも、提督の夢のために、場合によってはこの大淀、鬼にならなくては……」(じーー)

提督「大淀っ」(だきっ)

大淀「提督っ」(だきっ)


明石「…………置いてけぼり?」

夕張「……二人で仕事してよっか」

明石「うん……。大淀、すっかりメロメロになっちゃって……喜んでいいのかなぁ」




338: 2015/06/07(日) 23:20:52.97 ID:kPTnpYwko


――――― 夕方 間宮さんのお店


伊401「あ、大淀さーん」

大淀「あら、しおいさん。出撃から戻られたのですね、おかえりなさい」

伊58「今日も大変だったでち~」

伊19「でも、しっかり資源をあつめてきたのね!」

伊168「しっかり魚雷当ててきたわっ」

大淀「潜水艦の皆さんは、ほとんど毎日出撃で、本当にお疲れ様です」

伊401「あはは、提督も全く同じこと言って、間宮券くれたんですよっ」

伊58「ふっふっふっ、今日もあんみつパフェにするでちっ」

大淀「提督も相変わらず甘いですね。困ったものです……ふふ」




339: 2015/06/07(日) 23:21:32.56 ID:kPTnpYwko


伊19「大淀から正妻の貫禄を感じるのねっ。すっかり尻に敷いてるのねっ」

伊401「そうなの!? 提督と大淀さんの夫婦生活って、あんまり想像出来ないんですよねー」

大淀「/// 別に、いつもと変わりませんよっ」

伊19「そんなこと言って~~、毎晩夜戦で大変なのねっ」

伊401「えー、せっかく夫婦になったのに、夜戦なんかしてるのー? 川内さんじゃあるまいしっ。せっかくだから二人仲良くすればいいのに」

伊19「しおいはお子様なのねっ。この夜戦っていうのは……」

大淀「わーわー! それじゃあ、わたしは戻りますっ。イクさん、変な話はしないこと、いいですね!?」(キラーン)

伊19(殺気!?) 「わ、わかったのね。大人しくしてるのね……」

伊401「えー、わたしにも教えてよー」




340: 2015/06/07(日) 23:22:31.06 ID:kPTnpYwko


――――― 同時刻 提督執務室


提督「出撃報告ありがとう……ところで、足柄……それがすごく気になるんだが……」

足柄「え、これ? 」 ←連装砲に貼られたうさぎさんシールを指さして

羽黒「わたしも貼ってますよ、ほらっ! 」

潮「第七駆逐隊のトレードマーク? なんです! 」

提督「あ、うん。漣が連れてるうさぎのシールだよな。うん、それは知ってるんだ。なんか最近流行ってるなぁ」

羽黒「へっへっへ~」

潮「わたしたちでシールを配ってるんです。こういうことをきっかけに、もっと皆さんと仲良くできたらいいなって」

羽黒「ねー!」

足柄「それで、わたしももらったっていうわけ。かわいくていいわよね~」

提督「あ、うん……。長門も連装砲に貼ってたよ……。うん、かわいいよな……」

足柄「なあに、何か言いたげね?」(じろっ)

提督「い、いや、別に。そうそう、大淀もさー、見えるところに貼るのは恥ずかしいのか、格納庫の内側にこっそり貼ってあったぞ」




341: 2015/06/07(日) 23:24:10.67 ID:kPTnpYwko


羽黒「大淀さんにも、先日差し上げたんです。嫌だったんじゃないかって心配だったのですが、気に入って頂けたなら良かったです」

潮「良かったですー! でも、格納庫の内側なんて……提督、良く見つけましたね?」

提督「い、いやぁ。まあな……」

足柄「潮、二人はもう恋人だから、提督は大淀の隅々まで整備してるのよ……二人っきりで……(にやり)」

潮「うわぁ……恋人になると……そんなことまで……(ドキドキ)」

羽黒「司令官さん…………」

提督「いや、たまたま見つけただけだから、ほんとにっ! 」




342: 2015/06/07(日) 23:24:54.64 ID:kPTnpYwko


――――― 1900 提督執務室


提督「よし、今日はこんなところかな。今日もお疲れ! 」

大淀「はい、お疲れ様です。今日はいろいろありましたね」

提督「うちも大所帯になってきたしなぁ。ま、とりあえず晩飯にしよう。遅くなったし、鳳翔さんのところで食べて帰ろうぜ」

大淀「はい、そうしましょう」



以前と違うのは、勤務の後、必ず夕食をご一緒するようになったこと。そして……




343: 2015/06/07(日) 23:25:52.59 ID:kPTnpYwko


――――― 2000 提督私室


提督「ふー、食った食った。ただいまー」

大淀「た、ただいま……」



こうして、提督のお部屋にご一緒するようになったこと……



提督「まだ余所余所しいなぁ。慣れないか? 」

大淀「はい、なんとなく落ち着きません」

提督「まー、一人用の殺風景な部屋だしなぁ。そのうち、二人部屋に引っ越すかね」

大淀「……でも、そうすると……わたしと提督が同居しているってことになってしまいます……」

提督「今もほとんどそうじゃないか。なんだ、それは困るのか? 」

大淀「うーん……そうですね、いろいろ考えていることがありまして……」

提督「ふむ、その考えも気になるが……」


抱きっ


大淀「あ……提督……」


ぎゅっ


提督「まずは抱きしめさせてくれ……。1日一緒にいるのに、ずっと我慢してたから……」

大淀「わたしも……です……」


ぎゅ~~




344: 2015/06/07(日) 23:26:53.79 ID:kPTnpYwko


大淀「……提督……あの日から、わたしたちの関係は変わりました……。でも、日々の業務が変わるわけではありません。何も変わらず、提督と秘書艦として、毎日忙しく働いていますよね……」

提督「? ああ、そうだな」


大淀「それなのに……提督との関係が変わっただけなのに……。白黒だった世界がカラーになったような……。真冬から南国になったような……。何もかもが違うんです……」

提督「そうか……そうだな、俺もそう感じる……」

大淀「わたし……こんなに幸せで……ぐすっ……どうして……」


ぎゅ~~~~


提督「俺の好きな人が……俺と居ることで幸せだと感じてくれる。それはとても嬉しいんだ……。ありがとう。ありがとう……」

大淀「提督……提督っ! 」


ぎゅ~~



本当は同棲みたいなことはダメだって思っているのですが……毎晩こうして……朝まで……。




345: 2015/06/07(日) 23:27:46.46 ID:kPTnpYwko


――――― さらに一週間後


大淀「結局……ずるずると同棲状態です……」

提督「そうだなぁ。毎晩俺の横で寝てるわけで……これは間違いなく同棲だよなぁ」

大淀「……提督を独占しちゃダメですから、ちゃんと節度をもって距離を取ろうと思っているんです……」

提督「でもなぁ、俺の膝の上でお茶飲みながら言っても説得力がなぁ」(なでなで)

大淀「でも……わたしたちは、そういう関係を目指さないといけません。違いますか? 」

提督「違わない」

大淀「だったら……! 」

提督「でもさ、大淀も、理屈ではそうすべきだと思っていても、そうできないでいるわけだろ? 」

大淀「ぐぬぬ……恥ずかしながらそうです……」

提督「そうだよな。だからさ、今はこのままでいいと思う」

大淀「でもっ……」




346: 2015/06/07(日) 23:28:47.23 ID:kPTnpYwko


提督「俺達が考えるべき未来はずっと続いている。鎮守府のみんなと、何年……十何年……もしかしたら数十年……。俺達がいるのは、ほんの入口だ」

大淀「はい……」

提督「考える時間も……克服すべき時間も……いくらでもある。二人でゆっくり考えていこう」

大淀「そう……ですね……でも……。でも、わたし……。わたしだけ、提督を独占してすごく幸せで……。みんなに……申し訳なくて……」

提督「大淀らしいな。でも、みんなちゃんとした大人だ。それぞれ考えてくれるよ。ただ、子どもたち……駆逐艦とかな。彼女たちの幸せは、俺達でしっかり作っていこう。俺が鎮守府のお父さんなら、大淀はほら……もうすぐお母さんってことになるわけだし……」(ぽりぽり)



提督……考えてくれてるんだ……ケッコン…………まだ練度が足りないけど……



大淀「はいっ。わたしは提督の本妻ですからっ。駆逐艦の子たちはわたしが守りますっ。……提督と一緒に……」

提督「うん、君となら一緒にやっていける。かけがえのない……俺の……奥さん ///」

大淀「て、提督っ。気が早いですっ ///」




347: 2015/06/07(日) 23:29:34.10 ID:kPTnpYwko


艦娘として生まれて……。連合艦隊旗艦としての前世から、膨大な情報や戦闘知識を持っていました。



それを活かして、作戦参謀、情報将校、着任後は秘書艦など、専門的な仕事をして……。



能力に誇りと自信を持っていましたし、それに見合う成果もあげました。だから……何もかも分かっている、そんな風に感じていたのかもしれません。



でも……今なら分かります。提督の言うとおり、わたしは『ひととして生きる』ことに関しては何も分かっていなかった。喜びも悲しみも、切なさも痛みも……そして、信じられないような幸せも……。



大淀「提督……これからもわたしに、いろいろなことを教えて下さい……」


提督「わかった。じゃあ今日はもっとエOチな事を……」


大淀「だ、台無しです! ばかぁぁぁ」(ぽかぽか)



……でも……エOチな事も教えて……下さいね……?





おしまい




348: 2015/06/07(日) 23:39:03.41 ID:kPTnpYwko


以上で完結です。長い間お付き合い頂きましてありがとうございました(o_ _)oペコリ

先日も書きましたが、真面目委員長系の大淀さんが、フリーダムな人たちに振り回されたり困ったり叱ったりするのが、僕的にはとてもしっくりくるので、大淀さんにはとても苦労をかけてしまいました。

そんな風に苦労をかけてしまいましたので……終わりの部分、本当はもう少し哀愁ある感じだったのですが、悩んだ末、全面的に書き直しまして、大淀さんがよりハッピーな感じにしました。そのため投下が遅くなりまして申し訳ないです。


なお、自分の過去作品は以下のような感じです。もし興味がありましたら是非。一応、同じ時代の、同じ世界の提督たちで、お互い知り合いであるという設定になっています。

また、最初に書きましたとおり、この鎮守府は「工作艦 明石。がんばります!」のスレのIFとなっております。

それではまた、次のお話でお会いできることを楽しみにしております(o_ _)oペコリ


349: 2015/06/07(日) 23:39:48.46 ID:4CdqbkIlo
乙でした

引用: 大淀「駆逐艦の子たちはわたしが守ります!」