279: 2010/12/07(火) 13:06:12ID:nXBZT0d6
勝手に投下 3~4レス予定


「うー、寒いね。霧切さん。」
「そうね」

もう12月。
寒いのは当たり前なのだが、やはり「寒い」と言ってしまうのが平凡なボクだ。
今日は霧切さんと2人きり。すなわち「デート」。
ショッピングモールを巡り、今は公園のベンチに腰掛けている。

「12月、だね。」
「えぇ」

しばらくの沈黙。
付き合いたてのカップルというのはこういうものなのだろうか、と考えるが
すぐにやめる。
そんなことを考える時間が、今のボクにはもったいない。

「霧切さんは、サンタさんを信じてる?」

と、言った途端になんて幼稚な質問かと後悔する。
霧切さんはしばらく考えるような表情をしたあと、こう言った。

「苗木君は、『さん』付けするのね」

はい、後悔。

305: 2010/12/07(火) 22:42:06ID:5DZ/+PDV
>>293の設定を使って1ネタ。
つまりは、苗木君と霧切さんは寄宿生ってことで
有り得たかも知れない過去の一風景を。



「霧切さん、ここの数値なんだけど……」
「ここはこっちの数値と比例しているから、平均値を取れば……後は分かるわね、苗木君」
「んっと、この平均値が比例で……そうか、分かったよ。ありがとう、霧切さん」

 物理の実験で宿題として出された、実験のレポート作成。
 霧切さんと同じ班で実験していた苗木は、どうせ実験結果が共用のものなのだからと、霧切を自室に呼んで一緒にレポート作成をすることにしたのだった。

「これで実験結果は終わりだし、後は考察と感想か。ちょっと一息入れようか、霧切さん」
「そうね。あまり根を詰めすぎてもいい結果にはならないし」
「じゃあ僕、何か飲み物買ってくるよ。霧切さんは何がいい?」
「苗木君に任せるわ」
「わかった。じゃあちょっと待っててね」

 そう言って部屋から出て行く苗木。
 一人になり、レポートも一段落。霧切は何となく苗木の部屋を見渡すぐらいしか、することがなかった。

「これが、苗木君の部屋……」

 強いて言えば、特徴の無いのが特徴、とでも言うべきか。最近流行っているグループのCDに、話題になったゲーム。名前ぐらいは誰でも聞いたことがあるだろう漫画。
 見れば見るほど、同年代の男子の平均値を集めたような部屋だった。
 しかしそんな苗木の部屋であっても、霧切にとっては面白いというもの。
 故に、超高校級の探偵である霧切の目にそれが見つかるのは、当然といえば当然なのかもしれなかった。

「? 何かしら。この額縁……妙に厚みが」

 ドサッ

 壁から不自然に離れた額縁。表面的には部屋に備え付けの名も知らぬ絵画だし、おそらく普通の人ならば気づかないであろう違和感。
 しかしそれに気づいて調べてしまった霧切。その結果額縁の裏から落ちてきたのは
ダンガンロンパ3―The End of 希望ヶ峰学園―未来編
280: 2010/12/07(火) 13:18:12ID:nXBZT0d6
「こ、これは偶然だよ!その、いつもは呼び捨てでっ」
「ふふ、苗木君が呼び捨てにするなんてありえないわ」
「うっ…」

恥ずかしい。
きっと霧切さんはなんて子供っぽいと思ってるんだろうな。
そう思っていると、霧切さんは「そうね…」と呟く。

「私は、サンタ『さん』を信じてたのかしら?」

何故か答えは疑問符付きだった。

「どういう意味?」
「私は、サンタ『さん』を…恨んでたのかもしれないわ」
「…え?」

恨む、なんて物騒な言葉が出てくるとは思わなかった。
予想外の答えにボクはただ戸惑うばかりだった。
霧切さんはそんなボクに気づいてか、小さく笑う。

「ごめんなさい、変な事を言っちゃったわね。忘れて」

そういう霧切さんはいつもの微笑だったが…どこか悲しそうに見えた。

「ううん、霧切さんが悲しそうにしてるのは嫌だから。何でもボクに言って。」

霧切さんは驚いた表情をしながらも、「そう」とまた呟く。

281: 2010/12/07(火) 13:21:03ID:aj6474qG
「ねぇ霧切さん、質問してもいいかな?」
「どうでもいいこと以外なら答えてあげるわ」
「うっ…」
「どうでもいいことなのね」
「そ、それは違うよ! 仲間として信頼を深め合うのに大切なことだよ!」
「…まあいいわ。一応聞いてあげる【仲間】だものね」
「(なんで仲間を強調するのかな)霧切さんって…探偵小説や漫画…好きかな」
「そうね…好き…ううん、好きだった、かしら」
「どういうこと?」
「子供の頃は好きだった。明智小五郎やシャーロックホームズ、金田一耕介にその孫、名探偵コナン…みんなが憧れだった」
「うん」
「でも、成長して自分で探偵をするようになって…どうしても穿った目で見てしまうようになったのよ。…私自身、氏神が見えるなんてオカルト体質だって言うのにね」
「霧切さん…」
「でも…それでも、やっぱり今でも彼らは憧れよ。昔みたいに素直には見られないから…やっぱり【好きだった】が正しいとは思うけど」
「そっか…」
「話すぎたわ。…何をへらへらしているのよ」
「霧切さんが自分のことを話してくれたのが嬉しかったんだ。…後、笑ったお詫びってわけじゃないけど…これ」
「蝶ネクタイ?」
「型の変声機だよ。…やっぱり、こんなおもちゃみたいなのいらないかな」
「…いいえ、とても嬉しいわ。ありがとう苗木くん」
「どういたしまして」
「…今度は、あなたの恥ずかしい昔話も聞かせなさい。それでおあいこにしてあげるから」
「…そうだね。「実は僕は小学六年までおねしょをしてたんだ! とかね」…ええっ!?」
「…これ、玩具みたいな見た目の割に、ちゃんと苗木くんの声が出たわね」
「き、霧切さんっ!(意外と当たってるのが怖い…)」

285: 2010/12/07(火) 13:39:12ID:nXBZT0d6
「私は…恨んでた。みんなが、サンタサンタと騒いでいるのを。
 でも、勘違いしないで。
 私にも、ちゃんとクリスマスにはプレゼントはあったわ。」
「うん」
「プレゼントしてくれたのは、学校の先生や親戚の人達。
 嬉しかった、本当に。 
 …でも。」

霧切さんは深呼吸をして、話を続ける。

「みんな決まって言うの。
 『大丈夫よ、響子ちゃんにはちゃんとサンタさんがいるからね。』って。
 みんな[可哀想な子]として私を見る。それが、いやだった。
 私には、[あの人]がいないから。
 だから…恨んでいたの。サンタ『さん』を…」

そう言って霧切さんは俯く。うっすらと見える表情はつらそうだった。
それがボクにはつらくて、痛くて、苦しくて。
ボクは気がつけば、霧切さんの手を握っていた。
霧切さんはそれを解こうともせずに、ずっと黙っていた。

「だったら…ボクが」

あれ、と何かおかしい。

「ボクが、霧切さんのサンタになる!」

霧切さんは顔を上げて、ボクを見る。
はは、馬鹿みたいだな。
どうしてボクが泣いて、霧切さんが笑っているんだろう。
普通は逆のはずなのに。でも、止まらない。

「ふふ」

霧切さんがまた笑う。
そして、ボクの頬に流れている涙をそっと拭ってくれる。

「泣き虫なサンタね。でも、私のサンタならそれでいいの。」

そういうと、霧切さんは握っていたボクの手をそっと両手で包み込む。
手袋だけど、暖かさはないけど、でも感じる。
霧切さんだけの、暖かさ。
ボクだけがわかる、大切な暖かさを――忘れない。




スレ汚しごめん。
なんか微妙な出来になってしまった、ごめんなさい。
またシリアス話があるので、いつか投下します。

306: 2010/12/07(火) 22:43:28ID:5DZ/+PDV
「これは? ……!!?」

 まあ高校生男子なら当然の持ち物ではあるのだが、それはいわゆる、いかがわしい書籍だった。
 表紙にはダイナマイトバディーな女性の裸体。そして、巨O特集の文字。
 それを手にとって見てしまった霧切は、羞恥からか、それとも別の感情か、はたまたその両方なのか、顔を真っ赤にしてぷるぷると震えていた。

「ただいまー。霧切さん、午前の紅茶とリプトソ、どっちがい…い……」

 帰ってきた苗木の目に付いたのは、あったはずの厚みが無くなった額縁と、その前でぷるぷる震えている霧切だった。

「き、霧切さん何してるの!? いや、というかこれは違」
「苗木君……」
「は、はい!」

 霧切の呼びかけに、言い知れぬ恐怖と圧迫感を感じて、思わず直立不動になる苗木。
 その苗木を、霧切は真っ赤な顔のまま睨みつける。

「……最低ね。もう金輪際話しかけないで」

 それだけ言って涙まで部屋から走り去っていく霧切。
 もちろんのこと、それを止める術を苗木は持っていなかった。

「はぁ、弱ったなぁ。霧切さん、こういうえOちなの嫌いそうだもんなぁ……」

 苗木はそう一人呟いて、どうやって霧切に謝ろうかという悩みで眠れぬ夜をすごすことになるのだった。



――その頃、霧切は――

(苗木君のバカ! 苗木君だけは胸で女性を選ばないと思っていたのに!)

 苗木の想像とは少し違ったベクトルで怒っていたとか何とか。



以上っす。
ネタが無ぇ…でも霧切さんのSSが書きたくてしょうがないぜ。

引用: 【手袋が】霧切響子の正体は俺の嫁 Part1【本体】