919: 2010/12/26(日) 13:56:54ID:QwRoTeyN
今日はクリスマス。
とはいっても私、霧切響子にとってはクリスマス・イブもクリスマスも別に例年と大して変わりは無い。
何時も通りに過ごすだけの一日だ。
・・・まあ、今年のクリスマス・イブは学園のみんなと過ごしたので、例年に比べれば楽しかったのは認める。
・・・・・・・・・苗木君がいなかった事を除けば、だが。
しかしそれは彼も別にわたし達の事を嫌ってとかではなく、ただ単純に家族に「クリスマスぐらい帰って来い」と
言われたからだ。
それならば仕方ないと諦められるし、現に彼は最後までどうするか悩んでくれていた。
しかし根っ子から優しい彼だから・・・家族を蔑ろになど出来るはずもなかっただけの話だ。
そして今日はそれから夜が明けて25日。世間一般の男女の感覚でいえば今日こそが本番といえるのだろう。
実際学園の皆も其々思い思いのクリスマスを過ごす様だ。
例えば葉隠君と桑田君は二人で街に繰り出してナンパして女の子ゲットだぜ!と息巻いていた。
・・・普通に考えて今街はカップルの巣窟だと思うのだけれども、彼らは気付いているのだろうか?
舞園さんは自分達のアイドルグループメインのクリスマスコンサートがあると朝早くから出掛けていった。
彼女は自他共に認める超高校級のアイドルだ。こんな日に休ませてくれるほど事務所も甘くはない。
実際昨日パーティーに参加に出来たこと自体が奇跡に近いのだ。
・・・まあ、それ故、苗木君が参加していないと聞いた時の彼女の顔には、さすがに同情を禁じえなかったが・・・;
大和田君と不二咲さんは二人でツーリング(といっても不二咲さんは大和田君の後ろに乗るだけだが)をすると言っていた。
二人はよく普段もそうやって遠出をすることが多い。だがその理由は不二咲さん曰く、
「大和田君・・・女の子に振られるとバイクをかっ飛ばしたくなるんだって・・;けど一人だと事故りそうだから一緒に乗ってくれって・・w
あ、けどぼくも大和田君のバイク乗るの好きだから全然いいんだけどね?」
ということらしい。ここまで話だけをきけば只の友情話ですむのだが・・・・如何せん相手は不二咲さんだ。
・・・本人等にその気はないのだろうが、そういう風な行動を取っているからそっちの気があるのではと学園の女性達の中で
噂されるのではないだろうか?
実際二人がそんなことをしている場面をみれば傍からには恋人同士にしか見えない・・・大和田君が振られる原因の一つは
不二咲さんとの関係(誤解)の所為もある気がしてならない。
石丸君と十神君は苗木君と一緒で実家に帰っていた。まあ二人とも苗木君とは違ってクリスマスを家族と楽しむ様には見えないが・・・・。
ちなみに腐川さんは十神君を追いかける為、朝早くから出掛けていった。たまに彼女の行動力には感心すら覚える。
・・・・・決して真似したいとは思わないけど。
920: 2010/12/26(日) 13:58:02ID:QwRoTeyN
朝比奈さんと大神さんはクリスマスだというのに二人して強化合宿とやらに出掛けていた。こんな日ですら自らを鍛える事を止めない彼女らこそ
真ののスポーツマン(一人はスポーツの範疇を超えているけど)といえるのだろう。そこまで打ち込めるモノが無い私には羨ましさすら感じる。
江ノ島さんと戦場さんは昨日の深夜からどこかに出掛けていた。理由も聞いたが本人ら(主に発言したのは江ノ島さんだが)曰く、
「今日は私らにとって最高に「壊したい」日だから・・・まあ邪魔者は消えとこうってね・・・・♪」
とよく解からないことを言っていた。
・・・・・・・何かクリスマスに嫌な思い出でもあったのだろうか?
しかし確かに今思えば、昨日パーティーで見た彼女らは楽しんでいるようにも見えたが・・・・・・どこか不思議そうにしているようにも見えていた。
まるで、今感じている感情に何か・・・疑問というか納得できない・・・・そんな顔だったような・・・まあ推測でしかないのだけども。
一番意外なのはセレスさんと山田君のペアだろうか。何故なら二人は「二人っきり」で街に繰り出しているのだから。
まあ本人達は、
「只の荷物運びですわ(ニコ)」
「只の荷物運び役ですな・・・助けて皆さん!たえこ殿が我輩をいじめるのです!?」
「てめえぇぇぇ!その名で私を呼ぶなって言ってんだろうがあ、この腐れラードがあああああああああ!!??////」
「ひぃぃぃぃぃぃ、たえこ殿がご乱心!?ご乱心ですぞぉぉぉ!!????」
といいながら(叫びながら?)、寮を出て行ったが・・・なんだかんだであの二人はいいコンビな気がする。
まあそんな訳で、他の人と違い特に予定の無かった私は、普段の騒がしさが嘘のように静まり返った学園寮で久しぶりの独りを味わっていたのだ。
別に寂しいなどと子供のようなことは言わないし思いもしない。
元々私は独りでいることが嫌いではない。どちらかといえば独りの方が気楽だという人間だ。
しかし、それでも・・・この静かな寮にいる自分を違和感に感じるぐらいには、今の私は学園という「輪」の中にいたのだなと自覚する。
そんな風に思うようになったのは何時からだっただろうか・・・・・少なくともここにくる以前には感じなかったし、入学した当初も「騒がしい場所」ぐらい
にしか思わなかった。
・・・当時の私は「他人」という存在が信じられなかった。
いや、信じられなかった訳ではない。
ただ「信じる」のが怖かった。信じた時に裏切られるのが怖かったのだ。
今でも「この手」の原因となった事件は忘れられない。その為、当時の私は話しかけてきたクラスメイトにも素っ気無い態度しか取らなかった。
―最初から「情」を持たなければあんな後悔をしないで済む。そう思っていたからだ。
しかし・・・他のクラスメイトがそんな私から離れる中・・・・ただ一人懲りずに話し掛け続ける人物がいた。
「ねえ霧切さん。今日寮まで一緒に帰らない?」
・・・・・・『苗木 誠』。私に初めての「感情」を教えてくれた人。.
真ののスポーツマン(一人はスポーツの範疇を超えているけど)といえるのだろう。そこまで打ち込めるモノが無い私には羨ましさすら感じる。
江ノ島さんと戦場さんは昨日の深夜からどこかに出掛けていた。理由も聞いたが本人ら(主に発言したのは江ノ島さんだが)曰く、
「今日は私らにとって最高に「壊したい」日だから・・・まあ邪魔者は消えとこうってね・・・・♪」
とよく解からないことを言っていた。
・・・・・・・何かクリスマスに嫌な思い出でもあったのだろうか?
しかし確かに今思えば、昨日パーティーで見た彼女らは楽しんでいるようにも見えたが・・・・・・どこか不思議そうにしているようにも見えていた。
まるで、今感じている感情に何か・・・疑問というか納得できない・・・・そんな顔だったような・・・まあ推測でしかないのだけども。
一番意外なのはセレスさんと山田君のペアだろうか。何故なら二人は「二人っきり」で街に繰り出しているのだから。
まあ本人達は、
「只の荷物運びですわ(ニコ)」
「只の荷物運び役ですな・・・助けて皆さん!たえこ殿が我輩をいじめるのです!?」
「てめえぇぇぇ!その名で私を呼ぶなって言ってんだろうがあ、この腐れラードがあああああああああ!!??////」
「ひぃぃぃぃぃぃ、たえこ殿がご乱心!?ご乱心ですぞぉぉぉ!!????」
といいながら(叫びながら?)、寮を出て行ったが・・・なんだかんだであの二人はいいコンビな気がする。
まあそんな訳で、他の人と違い特に予定の無かった私は、普段の騒がしさが嘘のように静まり返った学園寮で久しぶりの独りを味わっていたのだ。
別に寂しいなどと子供のようなことは言わないし思いもしない。
元々私は独りでいることが嫌いではない。どちらかといえば独りの方が気楽だという人間だ。
しかし、それでも・・・この静かな寮にいる自分を違和感に感じるぐらいには、今の私は学園という「輪」の中にいたのだなと自覚する。
そんな風に思うようになったのは何時からだっただろうか・・・・・少なくともここにくる以前には感じなかったし、入学した当初も「騒がしい場所」ぐらい
にしか思わなかった。
・・・当時の私は「他人」という存在が信じられなかった。
いや、信じられなかった訳ではない。
ただ「信じる」のが怖かった。信じた時に裏切られるのが怖かったのだ。
今でも「この手」の原因となった事件は忘れられない。その為、当時の私は話しかけてきたクラスメイトにも素っ気無い態度しか取らなかった。
―最初から「情」を持たなければあんな後悔をしないで済む。そう思っていたからだ。
しかし・・・他のクラスメイトがそんな私から離れる中・・・・ただ一人懲りずに話し掛け続ける人物がいた。
「ねえ霧切さん。今日寮まで一緒に帰らない?」
・・・・・・『苗木 誠』。私に初めての「感情」を教えてくれた人。.
982: 2010/12/29(水) 21:04:56ID:cwEeLokP
「霧切・・・・さんで合ってるよね?良かったら一緒に帰らない?」
ここに入学して幾ばくもたってない頃、そう苗木君に誘われた。
繰り返すようだが私はその頃、他人という存在が信用できなかった。必要最低限の人付き合いはするが
それ以上の関係を誰ともなろうとは思っておらず、実際これまでにも何人かにこういう風に誘われたが
全て断っていた。この時もその例に漏れず・・・
「・・・悪いけど、今日は他に用事があるから失礼するわ」
「そっか・・・じゃあまた明日ね、霧切さん!」
私が断ると、苗木君は特に気にした様子もなく別れを言って去っていった。
用事があるというのは勿論嘘だ。他の人の時もそうやって断っているので、そろそろ皆これがただの方便
であることに気付いているだろう。まあ、それが私の狙いなので問題はない。
あと数日もすれば誰も私を誘おうとは思わなくなる・・・・・そう思っていた。
「霧切さん、一緒に帰らない?」
……その次の日も苗木君は私を誘いに来た。確かに「また明日」とは言っていたが、本当に来るとは思っていなかった。
だけど、私にその気は無い。これ以上は彼の無駄にもなると思い、わざと昨日と全く同じ理由で断った。
「悪いけど、今日も用事あるから・・・」
「そうなんだ・・・」
「おーーーーい苗木っち!早く帰るベー」
「苗木ー早くいこうぜー!俺マジ腹減ってんだよー!」
「今行くよー!・・・じゃあ霧切さんまた明日ね!バイバイ!!」
他の人とも約束をしていたのだろう、外で待っていたクラスメートに促されて苗木君は私に別れを言って去っていった。
今日何となく彼の事を見ていたが、彼の周りには彼を中心として多くの友人がいた。元々人付き合いのいい人なのだろう。
だがここまですれば私がその「輪」に入るつもりが無いことは解かったはずだ。彼には既に多くの友人がいるし、わざわざ
自分の様な者に執着する必要は無い。今日も「また明日」とは言っていたがこれ以上誘われることは無いだろう。
……それでいい。私はそう思いつつ、何故かその事に少し寂しさを覚えていたのだが・・・・・・
「霧切さん、今日は一緒に帰れる?」
「・・・・・」
……昨日の私の気持ちを返してほしい。私は思わずそんな事を考えていた。
というか彼には全く昨日の断りの真意を汲み取ってもらえなかったようだ。今日も彼は気にもせず私を誘いに来た。
彼はもしかして軟派な性格なのかとも思ったが、そうでは無いことは普段の学校生活を見ていれば解かる。苗木君は
どちらかといえば所謂「草食系」という言われる類だ。クラスの女子とも仲が良いが、特に誰とと言う訳では無く、本当に
只の友達として接しているのが解かる。(まあ女子の方はどう思っているか解からないが・・)
私はその事に不可解な疑問を持ち、思わず彼に質問した。
「・・・苗木君はどうして私を誘うの?」
「え?・・・どうしてって・・・・僕達クラスメートじゃない。何か変かな?」
「・・・いえ、変と言う事は無いけど・・・」
「・・・・?よくわかんないけど・・・・もしかして迷惑、だったかな?」
そう言うと彼はとても申しわけなそうな顔をした。その表情に少し罪悪感を覚えてしまい、思わず否定の言葉を口にして
しまった。
「そんなことは無いわ・・・けど---」
「そっか、良かった!じゃあ一緒に帰ろう!(ニコ)」
「え、ええ・・・解かったわ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」
その彼の無邪気な笑顔につい私は了承の返事をしてしまった・・・さっきのもしかして演技じゃないでしょうね?
その後も帰りの誘いだけではなく、色々な学校生活においても、彼は幾度と無く私を誘いに来た。
最初の内は私も誘いを断っていたのだが、そのあまりの頻度についに根負けをしてしまい(苗木君の断った時の心底残念そうな
表情の所為もあるが・・・たまに本当に計算ではないかと思う・・・)、いつからかあまり断らないようになってしまった。
必然・・・他のクラスメートにも普段から話掛けられるようになってしまった。彼の周りにはいつも「人」がいたから・・・。
だけども何時からか私は、他人を受け入れる事に以前ほどの恐怖を感じていなかった。
そしてこれも何時からかは解からないが・・・・・・・学校生活の間、いつも苗木君を目で追うようになっていた。
ここに入学して幾ばくもたってない頃、そう苗木君に誘われた。
繰り返すようだが私はその頃、他人という存在が信用できなかった。必要最低限の人付き合いはするが
それ以上の関係を誰ともなろうとは思っておらず、実際これまでにも何人かにこういう風に誘われたが
全て断っていた。この時もその例に漏れず・・・
「・・・悪いけど、今日は他に用事があるから失礼するわ」
「そっか・・・じゃあまた明日ね、霧切さん!」
私が断ると、苗木君は特に気にした様子もなく別れを言って去っていった。
用事があるというのは勿論嘘だ。他の人の時もそうやって断っているので、そろそろ皆これがただの方便
であることに気付いているだろう。まあ、それが私の狙いなので問題はない。
あと数日もすれば誰も私を誘おうとは思わなくなる・・・・・そう思っていた。
「霧切さん、一緒に帰らない?」
……その次の日も苗木君は私を誘いに来た。確かに「また明日」とは言っていたが、本当に来るとは思っていなかった。
だけど、私にその気は無い。これ以上は彼の無駄にもなると思い、わざと昨日と全く同じ理由で断った。
「悪いけど、今日も用事あるから・・・」
「そうなんだ・・・」
「おーーーーい苗木っち!早く帰るベー」
「苗木ー早くいこうぜー!俺マジ腹減ってんだよー!」
「今行くよー!・・・じゃあ霧切さんまた明日ね!バイバイ!!」
他の人とも約束をしていたのだろう、外で待っていたクラスメートに促されて苗木君は私に別れを言って去っていった。
今日何となく彼の事を見ていたが、彼の周りには彼を中心として多くの友人がいた。元々人付き合いのいい人なのだろう。
だがここまですれば私がその「輪」に入るつもりが無いことは解かったはずだ。彼には既に多くの友人がいるし、わざわざ
自分の様な者に執着する必要は無い。今日も「また明日」とは言っていたがこれ以上誘われることは無いだろう。
……それでいい。私はそう思いつつ、何故かその事に少し寂しさを覚えていたのだが・・・・・・
「霧切さん、今日は一緒に帰れる?」
「・・・・・」
……昨日の私の気持ちを返してほしい。私は思わずそんな事を考えていた。
というか彼には全く昨日の断りの真意を汲み取ってもらえなかったようだ。今日も彼は気にもせず私を誘いに来た。
彼はもしかして軟派な性格なのかとも思ったが、そうでは無いことは普段の学校生活を見ていれば解かる。苗木君は
どちらかといえば所謂「草食系」という言われる類だ。クラスの女子とも仲が良いが、特に誰とと言う訳では無く、本当に
只の友達として接しているのが解かる。(まあ女子の方はどう思っているか解からないが・・)
私はその事に不可解な疑問を持ち、思わず彼に質問した。
「・・・苗木君はどうして私を誘うの?」
「え?・・・どうしてって・・・・僕達クラスメートじゃない。何か変かな?」
「・・・いえ、変と言う事は無いけど・・・」
「・・・・?よくわかんないけど・・・・もしかして迷惑、だったかな?」
そう言うと彼はとても申しわけなそうな顔をした。その表情に少し罪悪感を覚えてしまい、思わず否定の言葉を口にして
しまった。
「そんなことは無いわ・・・けど---」
「そっか、良かった!じゃあ一緒に帰ろう!(ニコ)」
「え、ええ・・・解かったわ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」
その彼の無邪気な笑顔につい私は了承の返事をしてしまった・・・さっきのもしかして演技じゃないでしょうね?
その後も帰りの誘いだけではなく、色々な学校生活においても、彼は幾度と無く私を誘いに来た。
最初の内は私も誘いを断っていたのだが、そのあまりの頻度についに根負けをしてしまい(苗木君の断った時の心底残念そうな
表情の所為もあるが・・・たまに本当に計算ではないかと思う・・・)、いつからかあまり断らないようになってしまった。
必然・・・他のクラスメートにも普段から話掛けられるようになってしまった。彼の周りにはいつも「人」がいたから・・・。
だけども何時からか私は、他人を受け入れる事に以前ほどの恐怖を感じていなかった。
そしてこれも何時からかは解からないが・・・・・・・学校生活の間、いつも苗木君を目で追うようになっていた。
983: 2010/12/29(水) 21:24:31ID:2Hpe75Ot
「あれからもう半年以上も経つのね・・・・」
その間色々なことがあった。
春、親睦を深めようと彼が率先して皆に声をかけ、お花見をした。既に彼は皆の中心にいた。
夏、彼の一声で皆が集まり、海に行った。初めての仲間との海だった。
秋、「恋敵(ライバル)」が出来た。しかも複数。発端は勿論「彼」だった。だけど同時に「親友」にもなった。
そして冬・・・彼はそこにはいなかったが、彼のお陰で出来た「仲間」とのクリスマス・イブを楽しめた。
私は正直・・・昔、クリスマスというものが嫌いだった。
いや正確には嫌いになったのだ。
何故なら・・・私の願いを叶えてくれるサンタが・・・・・自分を祝ってくれる両親がいなかったからだ。
両親なき後、私を育ててくれた霧切家の親族が代わりに祝ってくれてはいたが、そこには少なからずの「同情」の感情があった。
私はそれが嫌だった。「あなたは可哀想な子」と言われているみたいだった。
ここに来た理由もそんなしがらみから解き離れたいと思ったからだ。父と決別する事で私はそんな「同情」を跳ね除けたかった。
だが・・・・今思えばそれは単なる詭弁だったのだ。私はただ父に直接問いたかっただけなのだ。
何故、霧切家を・・・・・私を捨てたのだ、と
今はもう父とはある程度和解が出来たが(ちなみにこれも誰かさんのおせっかいのせいだ)子供の頃からの確執がそんなに簡単に
解消出来る訳も無く、父との関係は未だギクシャクしている。
それでもここに来た当時とは違い、私は、「父」をまだ「父」と呼べる事になった事にどこか安心している自分がいるのを感じた。
……話が随分逸れてしまったが、早い話、私は10数年ぶりに穏やかにクリスマスを送れそうということだ。
今は一人きりだが、今までとは違い私を憐れむ人はなく、私自身もこのクリスマスという日を何のわだかまりも無く祝福できそうだからだ。
ただ・・・・・・・
「・・・私をそんな風に変えた張本人がここにいないのはどうなのかしらね?・・・・・フフ」
と、思っても仕様が無いことをぼやいてみた。そんな自分がおかしくて少し笑ってしまう。
……どうも自分は思ってたよりずっと苗木君にやられているようだ。
昔ならそんな感情は全く理解できなかったが今なら解かる。これが「恋慕」といわれる感情なのだと。
まあ、「恋敵」がいる時点で何をいまさらという話だが・・・
ガチャン
そんな事を考えていたときに、不意に寮の玄関から扉が開く音が聞こえた。こんな夜更けに他の寮生(上級生)が帰ってきたのかと思ったが、
足音はこの78期生の寮の方に向かっている。変ね?今日は誰も帰ってこないと聞いたのだけど・・・。
一瞬まさか不審人物?とも思ったがそれはありえない。この希望峰学園のセキュリティは並ではない。元々のセキュリティに
加え「超高校級の科学者」や「超高校級のプログラマー」等の手により国防総省も真っ青な強固なセキュリティを誇っているからだ。
おそらく他の78期生の誰かが予定を変更して帰ってきたのだろう。私は取り合えず挨拶だけはしておこうと足音の人物が近くに来るのに
合わせて部屋の扉を開けた。するとそこには・・・・・
「あ、霧切さん!」
「苗木君・・・!?あなた実家に帰ってたんじゃ・・・・?」
「うん、そうなんだけど・・・今日父さんが急に夜に仕事に戻らないといけなくなってさ、それで父さんの会社が
ここの近くだから僕もついでに一緒に帰ろうと思って・・・皆にも会いたかったしね」
「そうなの・・・けど残念ね。今日は見ての通り私以外誰もいないわよ?」
「みたいだね;・・・・・・けど」
「?」
「霧切さんには会えたからやっぱり帰ってきて良かったよ(ニコ)」
「なっ・・・・・///!?」
……そんな笑顔でそんな事を言うのは反則じゃないかしら?そんな風に誰とも接するから
「恋敵」が増えるというのに・・・・まあ本人には全く自覚がないから逆に問題なのだが・・・・。
「どうしたの、霧切さん?なんか顔赤いみたいだけど・・・・・・?」
「な、何でもないわ・・・苗木君の気のせいよ」
「そう?ならいいけど・・・・・・・・あっ!!」
「ど、どうしたの!?」
「外!外見て霧切さん!!」
「外?・・・・・・・・・・・あ・・・」
苗木君に促されて外を見るとそこにはさんさんと白い雪が降り始めていた。庭に設置された
巨大なツリー(大神さんが山から持ってきたらしい・・・担いで;)と相まって
それはとても美しかった。
「・・・・・・綺麗ね」
「ホワイトクリスマスだね・・・・・あ、そうだ霧切さん!今何時!?」
「え?・・・・・・・24時5分前だけど?」
「よかった、じゃあまだ間に合うね!」
「間に合う・・・?」
そう言うと苗木君はこちらに向き直って私をまっすぐ見て、ちょっと恥ずかしそうにしながら、こう告げた。
「ちょっと遅くなっちゃたけど・・・・・・メリークリスマス、霧切さん」
「・・・!?・・・・フフ、そうね・・・・・・・・メリークリスマス、苗木君」
どうやら私のサンタは随分遅れてやってきたようだ・・・・。
FIN
その間色々なことがあった。
春、親睦を深めようと彼が率先して皆に声をかけ、お花見をした。既に彼は皆の中心にいた。
夏、彼の一声で皆が集まり、海に行った。初めての仲間との海だった。
秋、「恋敵(ライバル)」が出来た。しかも複数。発端は勿論「彼」だった。だけど同時に「親友」にもなった。
そして冬・・・彼はそこにはいなかったが、彼のお陰で出来た「仲間」とのクリスマス・イブを楽しめた。
私は正直・・・昔、クリスマスというものが嫌いだった。
いや正確には嫌いになったのだ。
何故なら・・・私の願いを叶えてくれるサンタが・・・・・自分を祝ってくれる両親がいなかったからだ。
両親なき後、私を育ててくれた霧切家の親族が代わりに祝ってくれてはいたが、そこには少なからずの「同情」の感情があった。
私はそれが嫌だった。「あなたは可哀想な子」と言われているみたいだった。
ここに来た理由もそんなしがらみから解き離れたいと思ったからだ。父と決別する事で私はそんな「同情」を跳ね除けたかった。
だが・・・・今思えばそれは単なる詭弁だったのだ。私はただ父に直接問いたかっただけなのだ。
何故、霧切家を・・・・・私を捨てたのだ、と
今はもう父とはある程度和解が出来たが(ちなみにこれも誰かさんのおせっかいのせいだ)子供の頃からの確執がそんなに簡単に
解消出来る訳も無く、父との関係は未だギクシャクしている。
それでもここに来た当時とは違い、私は、「父」をまだ「父」と呼べる事になった事にどこか安心している自分がいるのを感じた。
……話が随分逸れてしまったが、早い話、私は10数年ぶりに穏やかにクリスマスを送れそうということだ。
今は一人きりだが、今までとは違い私を憐れむ人はなく、私自身もこのクリスマスという日を何のわだかまりも無く祝福できそうだからだ。
ただ・・・・・・・
「・・・私をそんな風に変えた張本人がここにいないのはどうなのかしらね?・・・・・フフ」
と、思っても仕様が無いことをぼやいてみた。そんな自分がおかしくて少し笑ってしまう。
……どうも自分は思ってたよりずっと苗木君にやられているようだ。
昔ならそんな感情は全く理解できなかったが今なら解かる。これが「恋慕」といわれる感情なのだと。
まあ、「恋敵」がいる時点で何をいまさらという話だが・・・
ガチャン
そんな事を考えていたときに、不意に寮の玄関から扉が開く音が聞こえた。こんな夜更けに他の寮生(上級生)が帰ってきたのかと思ったが、
足音はこの78期生の寮の方に向かっている。変ね?今日は誰も帰ってこないと聞いたのだけど・・・。
一瞬まさか不審人物?とも思ったがそれはありえない。この希望峰学園のセキュリティは並ではない。元々のセキュリティに
加え「超高校級の科学者」や「超高校級のプログラマー」等の手により国防総省も真っ青な強固なセキュリティを誇っているからだ。
おそらく他の78期生の誰かが予定を変更して帰ってきたのだろう。私は取り合えず挨拶だけはしておこうと足音の人物が近くに来るのに
合わせて部屋の扉を開けた。するとそこには・・・・・
「あ、霧切さん!」
「苗木君・・・!?あなた実家に帰ってたんじゃ・・・・?」
「うん、そうなんだけど・・・今日父さんが急に夜に仕事に戻らないといけなくなってさ、それで父さんの会社が
ここの近くだから僕もついでに一緒に帰ろうと思って・・・皆にも会いたかったしね」
「そうなの・・・けど残念ね。今日は見ての通り私以外誰もいないわよ?」
「みたいだね;・・・・・・けど」
「?」
「霧切さんには会えたからやっぱり帰ってきて良かったよ(ニコ)」
「なっ・・・・・///!?」
……そんな笑顔でそんな事を言うのは反則じゃないかしら?そんな風に誰とも接するから
「恋敵」が増えるというのに・・・・まあ本人には全く自覚がないから逆に問題なのだが・・・・。
「どうしたの、霧切さん?なんか顔赤いみたいだけど・・・・・・?」
「な、何でもないわ・・・苗木君の気のせいよ」
「そう?ならいいけど・・・・・・・・あっ!!」
「ど、どうしたの!?」
「外!外見て霧切さん!!」
「外?・・・・・・・・・・・あ・・・」
苗木君に促されて外を見るとそこにはさんさんと白い雪が降り始めていた。庭に設置された
巨大なツリー(大神さんが山から持ってきたらしい・・・担いで;)と相まって
それはとても美しかった。
「・・・・・・綺麗ね」
「ホワイトクリスマスだね・・・・・あ、そうだ霧切さん!今何時!?」
「え?・・・・・・・24時5分前だけど?」
「よかった、じゃあまだ間に合うね!」
「間に合う・・・?」
そう言うと苗木君はこちらに向き直って私をまっすぐ見て、ちょっと恥ずかしそうにしながら、こう告げた。
「ちょっと遅くなっちゃたけど・・・・・・メリークリスマス、霧切さん」
「・・・!?・・・・フフ、そうね・・・・・・・・メリークリスマス、苗木君」
どうやら私のサンタは随分遅れてやってきたようだ・・・・。
FIN



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