1: 2012/08/11(土) 21:52:26.14 ID:wegBz3lu0
~町外れの寂れた洋館~


キンコーン


男「……」


キンコーン


男「……」

男「……」

男「……留守か?」


キンコーン


ガチャリ


魔女「……うーるせぇ」

男「お……」

AHS Synthesizer V 2 AI 宮舞モカ

2: 2012/08/11(土) 21:53:23.69 ID:wegBz3lu0
魔女「……あー」

男「いるじゃねぇか」

魔女「何だ、お前か」

男「俺で悪かったな」

魔女「起きて損した……」

男「パジャマかよ」

魔女「裸のほうがよかったか?」

男「お前それ、前に裸でドア開けられたときはドン引きだったからな」

魔女「あー、ねみ」

3: 2012/08/11(土) 21:54:06.85 ID:wegBz3lu0
男「ほら、プリント」

魔女「いらねーよクソ」

男「クソとかいうな」

魔女「あー? なになに……、『中間テスト期間中の時間割変更のお知らせ』?」

男「……」

魔女「……」

男「……おい」

魔女「……」

男「……おいおい」

魔女「ヒコーキできたぁ」

男「馬鹿か」

4: 2012/08/11(土) 21:54:54.31 ID:wegBz3lu0
魔女「えい」ヒョイ

男「お前なー……」


男(……2ヶ月ほど前、俺の学校に転校してきた少女)

男(小柄だけど、小動物くらいなら睨み殺せそうな最悪の目付き)

男(口も最悪)

男(真っ白な髪は、本人曰く地毛らしい)


魔女「おー……」

男「超飛ぶな、そのヒコーキ」


男(……正直、近寄りがたい)

5: 2012/08/11(土) 21:55:43.16 ID:wegBz3lu0
男(……転校してきて一週間で、学校に来なくなった)

男(それ以来、ずっと不登校)

男(……何故か俺が、学校で出たプリントやら何やらをこいつに届ける係になっていて)


男「……家、逆方向なんだけど」

魔女「何か言ったかー馬鹿男ー」

男「うるせー馬鹿」

魔女「おぉ、まだ飛ぶ」

男「……」

魔女「……」

男「……は!? まだ飛ぶの!?」

魔女「ヒッヒッヒ、すげーだろ」

男「キモい笑い方やめろ」


男(笑うと、少し可愛いかもしれない……)

6: 2012/08/11(土) 21:56:15.72 ID:wegBz3lu0
魔女「……」

男「……落ちた」

魔女「持って帰っていいよ」

男「いらねぇから」

魔女「帰れっつってんの馬鹿」

男「……お前さ」

魔女「あ?」

男「学校来ないの?」

魔女「……あー」

7: 2012/08/11(土) 21:56:43.64 ID:wegBz3lu0
男「……」

魔女「行きたいのはヤマヤマなんだけどさー」

男「何か、あるのか?」

魔女「いや、何て言うか……」

男「……」

魔女「朝眠い」

男「クズか」

魔女「うるせ」

8: 2012/08/11(土) 21:57:39.13 ID:wegBz3lu0
男「じゃ、用済んだから」

魔女「あ、ちょっと寄ってく?」

男「は?」

魔女「茶くらい出すぞ」

男「さっき帰れって言ったじゃねぇか……」

魔女「気が変わったんだよ」

男「勝手なヤツだなー……」

魔女「で、どうすんだよクソ男」

男「クソとか言うな。帰るよ」

魔女「ふぅん?」

男「帰り、遅くなると家の人間がうるさいし」

魔女「そうかよ」

9: 2012/08/11(土) 21:58:12.44 ID:wegBz3lu0
男「じゃ」

魔女「おう」

男「……」

魔女「ふぁ……、寝なおすかぁ」

男「……今度」

魔女「……あー?」

男「今度来たときに、寄らせろよ」

魔女「やーなこった」

男「なんだよ……」

魔女「ヒッヒッヒ」


ガチャ


バタン

10: 2012/08/11(土) 21:58:55.68 ID:wegBz3lu0
男「……」

男「……はぁ」

男「……」

男「……」

男「……紙ヒコーキ」


ガサ

ヒョイ


男「……」


ポトリ


男「全然飛ばねぇじゃん……」

11: 2012/08/11(土) 21:59:42.61 ID:wegBz3lu0
~別の日:学校~


男「……魔女?」

友「そうそう!」

男「……何が?」

友「だーかーら! お前がちょくちょく会いに行ってる転校生!」

男「会いに行かされてる、だ。で……アイツが?」

友「魔女だって」

男「……」

友「……」

男「……馬鹿?」

友「なんでそう、口が悪いのお前は……」

19: 2012/08/12(日) 16:58:28.58 ID:qq7U/UqW0
男「はぁ……、魔女ねぇ……」

友「うわ、今心底馬鹿にしただろ、お前」

男「高校生にもなって、真顔で魔女はねぇよ友君……」

友「いや、噂だって! 他の組の連中が、何かそんな話しててさ」

男「……」

友「でも、確かにさー、そんな感じの雰囲気あったじゃん、あの子」

男(……過去形)

友「神秘的って言うかさ、妙な迫力あって」

男「……白髪のせいだろ」

友「あはは、すげーよな、頭真っ白」

20: 2012/08/12(日) 16:59:09.87 ID:qq7U/UqW0
男「……ってかさ」

友「ん?」

男「何で魔女」

友「んー……、さぁ」

男「……」

友「魔法使うんじゃない? 知らんけど」

男「変な手品とか? オマジナイでもするのか?」

友「知らねーって」

男「マハリクマハリタ?」

友「アレは魔法使いだろ」

男「魔女と違うのか」

友「いや俺は、他の連中が話してるのを聞いただけだから。詳しい話は分からないって」

男「駄目じゃねーか」

21: 2012/08/12(日) 17:00:27.79 ID:qq7U/UqW0
委員長「おはよ、なになに? 何の話?」

友「うー」

男「うぃー」

委員長「ゾンビみたいな挨拶やめて」

友「うぁぁぅぅ」

男「うぃぃいぃ」

委員長「ゾンビやめてキモい! 白目剥くな!」

友「なぁ、委員長なら知ってるんじゃない?」

委員長「え?」

友「転校生の白髪、魔女だって話」

男「……」

委員長「んー」

22: 2012/08/12(日) 17:01:30.33 ID:qq7U/UqW0
委員長「えと……、あぁ。確かにそんな噂、聞いたことあるけど」

友「ほらなー!」

男「何でお前が得意げなんだよ……」

友「で、どんな噂、どんな噂?」

委員長「いやぁ、私もよくは知らないんだけどね」

男「……」

委員長「何か、公園であの子が呪文? みたいなのを、独りでブツブツ唱えてるところを見た子がいるとか」

友「ふぅーん」

男「……」

23: 2012/08/12(日) 17:02:50.15 ID:qq7U/UqW0
委員長「あと、あの子の住んでるあたり、野良猫多かったらしいんだけどね、あの子が越してきてから、猫が全然いなくなたって」

友「どういうこと?」

委員長「あの子が野良猫を捕まえて、ヘンなギシキに使ってるんじゃないかって」

友「うげ」

男「アホくさ……」

委員長「わ、私だって、本気で信じてるわけじゃないわよぅ」

友「そうなの?」

委員長「当たり前でしょー。自分で見たわけでも、見た人に会ったわけでもないし。証拠も証人もない、噂ってよりは、ただの質悪いデマでしょ」

友「そっかぁ……」

24: 2012/08/12(日) 17:03:55.30 ID:qq7U/UqW0
委員長「ともかく! 私も話しといて何だけど、噂でクラスメイトのこと悪く言うのはやめましょう!」

友「ごもっとも」

委員長「友君、私が言ったこともあんまり周りに広めないでよね」

友「へいへい」

男「委員長もな」

委員長「う……。そ、そうね……男君も、この話聞くと何だか不機嫌になるみたいだし」

男「はっ? 俺が?」

友「お、確かに仏頂面」

男「生まれつきだっての」

25: 2012/08/12(日) 17:04:24.17 ID:qq7U/UqW0
委員長「でもいつもより、ほら、眉間のしーわー」グリグリ

男「いって、押すな馬鹿っ」

友「眉間のしわとしわを合わせてー」グリグリ

委員長「しーあーわーせー」グリグリ

男「うざっ……、や、やめろお前ら! 結構痛い!」

友「あはは!」

男「たく……」


男(……)

男(……魔女……)

26: 2012/08/12(日) 17:05:04.61 ID:qq7U/UqW0
~放課後:洋館~


キンコーン


男「……」


キンコーン


男「……」

魔女「何してんだよ、人ん家の前で」

男「うっわぁ!」ビクッ

魔女「うるせぇ変な声出すな馬鹿」

男「い、いつの間に後ろに……」

魔女「今だよ。買い物帰りだ」

男「あ……そうか……」

男(普段着だ……)

27: 2012/08/12(日) 17:05:58.47 ID:qq7U/UqW0
魔女「あー、重て」ガサガサ

男(エコバッグ……)

魔女「鍵どこやったっけ……」


ガチャリ


ギィ


男「……」

魔女「……なーに突っ立ってんだ、クソ男」

男「クソとか言……」

魔女「あがれよ」

男「あ……、おう……」

28: 2012/08/12(日) 17:06:37.70 ID:qq7U/UqW0
魔女「うっへぇ……」ヨタヨタ

男「持つぞ、荷物」

魔女「いいよ馬鹿」

男「いいから貸せ馬鹿」

魔女「タンポンとか入ってんだよ馬鹿」

男「あ、はい、すみません」

魔女「ここ、客間だから。ちょっと座って待ってろ」

男「おう」

魔女「重てー」ヨタヨタ

男「……」

29: 2012/08/12(日) 17:07:10.91 ID:qq7U/UqW0
~客間~


男「……」

男「……」

男(思ったより、綺麗な部屋だ……)

男(外からの見た目は、ボロ屋敷なのに……)

男「……」

男(なんか……)

男「……」ソワソワ

男(落ち着かない……)

30: 2012/08/12(日) 17:08:42.12 ID:qq7U/UqW0
男「……」チラッ

男(書棚……)

男「……」

男「……洋書?」


『Eight Sabbats for Witches』

『Journeys out of the Body』

『Pigs, Wars, and Witches』

『かもめのジョナサン』


男「……Witches」


~~

友『魔女だって』

~~


男「……」

31: 2012/08/12(日) 17:09:14.20 ID:qq7U/UqW0
ガチャリ


魔女「うわ……、律儀に座って待ってるよコイツ……」

男「お前が通したんだろうが」

魔女「何しにきたのお前……」

男「喧嘩なら買うぞこの野郎」

魔女「冗談だよ。仏頂面すんな」

男「お前も睨むな」

魔女「ヒッヒッヒ」

男「キモい笑いやめろ……」

32: 2012/08/12(日) 17:09:43.88 ID:qq7U/UqW0
コト


魔女「ほら、茶」

男「お、おう……」

魔女「……」ゴク

男「いただきます……」

魔女「……」

男「……」ゴク

魔女「……」

男「げぼっ」

魔女「ヒヒッ」

男「にっ……があぁぁ!!」

魔女「ヒッヒッヒ。おもしれー」

33: 2012/08/12(日) 17:10:21.04 ID:qq7U/UqW0
男「は? 何これ? 毒?」

魔女「ちげーよクソ男。ハーブティー」

男「……お前、お茶淹れる才能なさすぎるだろ。ちょっとコンビニで麦茶買ってこいよ」

魔女「はっ倒すぞお前……。いや、慣れると美味いんだって」

男「マジかー……」チビ

魔女「家の庭で育ててるハーブでな、身体にいいのよ」

男「お前が? 自家製ハーブ栽培?」

魔女「おう」

男「意外だ……」

魔女「うーるせ」

37: 2012/08/13(月) 13:19:42.84 ID:mqarTbAw0
男「……」ゴク

魔女「……」ゴクゴク

男「にが……」

魔女「……」

男「……」ゴク

魔女「……」ゴクゴク

男「にっげぇ……」

魔女「何か」

男「お」

38: 2012/08/13(月) 13:20:23.05 ID:mqarTbAw0
魔女「聞きたいことがあるんだろ?」

男「別に」

魔女「嘘吐け」

男「何だよ」

魔女「顔に書いてある」

男「……」

魔女「隠し事は、嫌いだ」

男「……」

魔女「……」

39: 2012/08/13(月) 13:20:53.79 ID:mqarTbAw0
男「噂で……」

魔女「おう」

男「……いや、いい」

魔女「っがー! うーざーいー!!」

男「なぁ」

魔女「おう」

男「……魔女なのか、お前」

魔女「おう」

40: 2012/08/13(月) 13:21:59.85 ID:mqarTbAw0
男「……」

魔女「私は魔女だ」

男「……」

魔女「……」

男「……えぇー」

魔女「ドン引きやめろよ」

男「なんだよ、魔女って……」

魔女「言っとくけど、別に箒で空飛ぶわけじゃねぇぞ」

男「マハリクマハリタ?」

魔女「アレは魔法使いだろ」

41: 2012/08/13(月) 13:22:50.05 ID:mqarTbAw0
男「黒魔術の、儀式……?」

魔女「しねぇよクソ馬鹿」

男「猫の血を、使って――……」

魔女「使うわけねーだろバーカ」

男「……」

魔女「いや、マジお前、人のこと何だと思ってるんだよ」

男「だから、魔女なんだろ……」

魔女「あれか、お前あれか。人間の子供食ったり、悪魔召喚したりするアレだと思ってるだろ」

男「まさか」

魔女「イメージ的にさ」

男「……」

42: 2012/08/13(月) 13:23:43.74 ID:mqarTbAw0
魔女「あのな、魔女は、お前が思ってるようなもんじゃねーの」

男「……」

魔女「ほら、断罪の塔の異教徒じゃなくて、どっちかって言うとシールケ的な」

男「シールケて。どの面下げて――……」

魔女「……」ゲシッ

男「いって! 脛蹴るなこの野郎……っ!」

魔女「口の減らねぇヤツだな、まったく……」

男「お前が言うな、お前が」

43: 2012/08/13(月) 13:24:19.78 ID:mqarTbAw0
男「……」

魔女「……」


男(……魔女)

男(正直、馬鹿馬鹿しいとは思う……)


魔女「……ったく。男、お前ちょっと、立て」

男「何だよ」

魔女「お前なんかに誤解されても、馬鹿にされても何とも思わねーけども」

男「……馬鹿になんて――」

魔女「気が向いた。見せてやるよ」

男「何を」

魔女「魔女の、魔法を」

男「……」

44: 2012/08/13(月) 13:25:47.73 ID:mqarTbAw0
男(馬鹿馬鹿しいけど……)

男(でも……)


魔女「おら、立て、シャンと背筋伸ばして、真っ直ぐ」

男「わ、分かったよ……」

魔女「木をイメージしろー。お前は地面から生えてる一本の木だ、このウドの大木」

男「悪口混ぜんな……」


男(……魔女が、自分を魔女だと語ることに)

男(……それほど、違和感も感じない)

男(イタい、とか、頭おかしいとも、思わない……)

男(……とても自然に、俺は魔女が魔女だと受け入れているように、感じる)


魔女「……」ベシッ

男「って! ドツくなよおい」

45: 2012/08/13(月) 13:26:48.86 ID:mqarTbAw0
魔女「おら、もっとシャンと立て。ドツかれてよろつく木があるか馬鹿」ベシベシ

男「ちょ……、分かったからやめろって! ……たく」

魔女「そうそう、そのまま深呼吸」

男「……」スー

魔女「……木が根を張るように……」

男「……」ハー

魔女「……深く、息を……」

男「……」スー

魔女「……ん」ギュッ

男「!?」

46: 2012/08/13(月) 13:27:25.56 ID:mqarTbAw0
魔女「……んー」ギュウッ

男「何して――……」

魔女「うるせぇ。じっとしてろ」


男(魔女が……いきなり抱きついてきて……)

男(がっしりと、抱き締められて……)


魔女「力を抜け」

男「……おい」

魔女「深呼吸」

男「……」スー

魔女「……」ギュ

男「……」ハー


男(……何だこれ)

47: 2012/08/13(月) 13:28:20.61 ID:mqarTbAw0
男「……」スー

魔女「……」

男「……」ハー

男(……魔女は)

男(……不思議な匂いがする……)

魔女「リラックスし、木のように、重力に垂直に立つのは――」

男(……香水の……匂いだと思う……けど……)

魔女「グラウンディングとセンターリングという、基礎的な魔法の一種で――」

男(それだけじゃない……、花の……甘い、匂い……)

48: 2012/08/13(月) 13:29:00.55 ID:mqarTbAw0
魔女「マナ、魔力、霊力……何でもいいけど、つまり人間の持つエネルギーは、地面からもたらされ――」

男(若草の……、少し苦いような……爽やかな、匂い……)

魔女「人間の身体から、中空……世界へ還る。そのエネルギーは、また大地へ……、そして身体へ――」

男(それから……スパイス……? 複雑で、深みのある……)

魔女「循環だ。人間のエネルギーは世界の一部であり、その循環を、こうして辿ることで――……、……おい」

男(不思議な……、ずっと嗅いでいたいような……)

魔女「おい」

男「……うぇ?」

49: 2012/08/13(月) 13:29:34.01 ID:mqarTbAw0
魔女「……」

男「……」

魔女「……聞いてた?」

男「……」

魔女「……」

男「あー……」

魔女「……」

男「何だっけ」

魔女「……ベアハッグー」ギリギリギリ

男「いってぇぇぇやめろ馬鹿力ぁぁギブギブギブ!」

53: 2012/08/13(月) 20:27:03.90 ID:mqarTbAw0




男「マジいてぇ……」

魔女「ふん……、なるほどねぇ」

男「なるほどって……、何なんだよ……」

魔女「今、私は、お前を抱き締めることで」

男「……」

魔女「……照れてるんじゃねぇよ。可愛いな」ゲシッ

男「って。 照れてねえよ」

魔女「……お前を抱くことで、お前の中を流れるエネルギーを感知したわけ」

男「エネルギー……?」

魔女「魔力、精気、マナ、レイス、なんでもいいけど」

54: 2012/08/13(月) 20:30:48.60 ID:mqarTbAw0
男「……オカルトかよ」

魔女「おう」

男「……」

魔女「魔女だからな」

男「……それで?」

魔女「ん?」

男「ただ俺をベアハグして、それで終り、ってことはねえんだろ?」

魔女「……」ジッ

男「何だよ」

魔女「……んー」

男「……」

55: 2012/08/13(月) 20:33:03.51 ID:mqarTbAw0
魔女「……肩の辺りに、多少、エネルギーの澱みを感じた、かな」

男「……」


男(……野球部にいたころに)

男(……壊した肩の怪我は)

男(……もうすっかり、治っている)


男「……肩は、別に悪くねぇよ」

魔女「あ。そ」

男「……」

魔女「それから」

56: 2012/08/13(月) 20:35:27.00 ID:mqarTbAw0
男「……」

魔女「それから、下腹部」

男「……」

魔女「全身に流れていたエネルギーが、一部だけ、流れていない」

男「……な」

魔女「ま、具体的には、ペOスだな」

男「……」

魔女「お前さぁ」

57: 2012/08/13(月) 20:37:06.85 ID:mqarTbAw0
男「……」

魔女「勃たねぇだろ」

男「……」

魔女「……」

男「……なんで」

魔女「ヒッヒッヒ」

男「……」

魔女「分かるさ」

男「……」

魔女「魔女だからな」

男「……」

60: 2012/08/13(月) 20:40:58.36 ID:mqarTbAw0
~おまけ~


ウイッカ (Wicca) は、20世紀に興ったペイガニズム(キリスト教以前の古い多神教)の復興運動の一種で、

欧州古代の多神教的信仰、特に女神崇拝を復活させたとされる。

主に英語圏でみられるが、日本にも存在する。

ウイッカを信仰する者をウイッカン (Wiccan) と呼ぶ。

日本では、魔女の宗教としてのウイッチクラフトおよびウイッカの訳語として「魔女宗」という言葉も使われている。


(Wikipedia『ウィッカ』http://ja.wikipedia.org/wiki/ウィッカ)

61: 2012/08/13(月) 20:42:03.89 ID:mqarTbAw0
~おまけ2~


十八世紀、迫害の時代の終焉とともに、不信の時代が到来しました。

当時、正しいクラフトの記憶は薄れ、残されたのはお決まりの馬鹿げた魔女像だけでした。


今世紀になって初めて、魔女が「魔女」のホウキを捨て、

悪のイメージに対抗できるようになったのです。


(中略)


魔女とは見えないものに形を与える「創造者」であり、

そうすることによって魔術に満ちた生活を送る賢者(ワイズ)となるのです。



(スターホーク『聖魔女術 …スパイラル・ダンス…』)

64: 2012/08/15(水) 00:18:59.18 ID:4vpUEH2w0
魔女「ヒッヒッヒ、そーかそーか」

男「……」

魔女「無愛想で硬派決め込んで、女に興味ねーですー、なんて面して」

男「……」

魔女「要はDの前にEが来るアレってオチかよ、そーかそーか」

男「……」

魔女「硬派って、カタいのは性格だけ、ってか、こりゃ傑さ――……」

男「……」

魔女「……」

男「……」

魔女「……あー」

65: 2012/08/15(水) 00:20:21.55 ID:4vpUEH2w0
男「……」

魔女「……あー、うん。思春期はホルモンバランスが乱れやすいからな」

男「……」

魔女「身体が変調をきたすことも、頻繁にあるらしい」

男「……」

魔女「特に男性機能は、ホルモンの影響を受けやすくて……」

男「……」

魔女「うん、だから、まあ」

男「……」

魔女「ドンマイっ」

男「うるせーちくしょー!」

66: 2012/08/15(水) 00:21:14.53 ID:4vpUEH2w0
男「何なの!? マジでお前何!? 馬鹿か!?」

魔女「魔女だが」

男「そうじゃねぇよ馬鹿!」

魔女「声でけぇよ」

男「いや、普通さ、あるだろ、デリカシーとか、思いやりみたいなもんが」

魔女「あぁ」

男「あぁ、じゃないですよ! お前な、気付いても黙っておく優しさを――」

魔女「泣くなよ」

男「泣いてねぇぇ!」

67: 2012/08/15(水) 00:22:12.24 ID:4vpUEH2w0
男「はぁ……、やだもうこいつ……」

魔女「……っていうか」

男「あ?」

魔女「何で分かったんだー、とか、ねぇのかよ、少しは」

男「あぁ? そういう魔法だったんだろ?」

魔女「……いや、魔法とか言われたら普通」

男「お前が普通とか言うな馬鹿」

魔女「うるせぇヤクタタズ」

男「うぅぅぅ」

魔女「……ヒヒ」

68: 2012/08/15(水) 00:23:40.59 ID:4vpUEH2w0
男「……ちなみに」

魔女「おう」

男「治す方法とかって、魔術的には」

魔女「まぁ……、魔術的に言えば、病院行け」

男「魔術関係ねー……」ガタリ

魔女「ん」

男「……帰る」

魔女「そうかい」

男「……海よりも深く心が折れた」

魔女「海よりも深く折れるって、中々詩的だな」

男「うるせー馬鹿ー……」トボトボ

69: 2012/08/15(水) 00:25:13.60 ID:4vpUEH2w0
魔女「またな」

男「もうこねぇよ……」

魔女「ヒッヒッヒ」


ガチャ


バタン


男「……はぁ」

男「……」トボトボ


男(感じるのは……)

男(苛立ち……だけじゃなくて)

男(羞恥、……それから、情けなさ……)

70: 2012/08/15(水) 00:26:53.96 ID:4vpUEH2w0
男(……魔女に抱き締められたときの)

男(不思議な匂いと、不思議な感覚……)

男(……いや、それと)


男「……はぁ」


男(興奮も、していて……)

男(けれど……俺の……)


野良猫「ニャー」

男「……あ」

猫「……」

男「ニャー」

猫「ニャー」

男「……いるじゃん、野良猫……」オイデオイデ

猫「ニャー」

71: 2012/08/15(水) 00:27:58.82 ID:4vpUEH2w0
~翌日:学校~


男「……」

男「……はぁ」


男(魔女は、悪気はなかっただろう)

男(俺を侮辱するつもりも……)

男(ただちょっと、意地が悪いだけで)


友「おーっす」

男「……」


男(……分かっていても、心が晴れないあたり)

男(器の小さい男だとは、自分でも思う……)


友「男ー? おはー」

男「あぁ?」

友「怖い」

72: 2012/08/15(水) 00:29:12.25 ID:4vpUEH2w0
友「おいおいおい、機嫌悪ぃな、いつにも増して」

男「別にー……」

友「いや、もう、殺気で犬に吠えられるレベルだぞ」

男「猫になら、引っ掻かれたけどな」

友「あはは、猫にも警戒されてやんの。どれどれ?」

男「ん」

友「うわ、いたそー」

委員長「おはよー、二人ともー」

73: 2012/08/15(水) 00:30:23.11 ID:4vpUEH2w0
友「委員長、はよーっす」

男「……おう」

委員長「……」

友「……」

委員長「どしたの? 親を馬鹿にされたマフィアみたいな顔してるけど」

男「別に」

委員長「沢尻?」

友「猫に引っ掻かれたんだとさー」

委員長「へぇー」

74: 2012/08/15(水) 00:31:22.41 ID:4vpUEH2w0
男「それは関係ねぇよ」

友「あ、そうなの?」

委員長「じゃ、どうしたのよぅ」

男「だから、別に、って。いつも通りだよ」

友「それはない」

委員長「それはない」

男(……、そんなに顔に出るのか、俺……)

委員長「ふふん、なら、当てちゃってもいいかしらー?」

友「お、分かるの?」

男「分かるわけねぇだろ。魔女じゃあるまいし」

75: 2012/08/15(水) 00:32:05.30 ID:4vpUEH2w0
委員長「……ん?」

友「ん?」

男「……え」

委員長「ん? 魔女?」

友「魔女? って……転校生?」

男「え……」

委員長「……男君、ひょっとして」

男「……」

委員長「あの子と、何かあった?」

男「……あ、いや」

委員長「ケンカとか」

男「……!」

76: 2012/08/15(水) 00:33:25.89 ID:4vpUEH2w0
友「……」

委員長「……」

男「な、違……」

友「……ビンゴっすね、委員長」

委員長「ピタリ賞っすね」

男「違う、おい、お前ら……」

友「男ー、今度ババ抜きやろうぜ。何か賭けて」

委員長「私も混ぜてー。男君になら絶対負けない自信あるわ」

男「あーもう! あーもううるせー!」

83: 2012/08/16(木) 00:15:15.71 ID:3qrc5A0+0
男「……ってか、ケンカってほどでもねぇよ」

友「じゃあ何だよもう、焦らすなよ」

男「説明しづらいんだよ、色々と」

友「……色々って」

男「……色々」

友「……工口工口?」

委員長「えええ工口!?」ガターン

男「うるせぇ馬鹿」

委員長「ちょちょちょちょっとどういうことですかねぇ!?」ガタタガタン

男「机揺らすな馬鹿」

84: 2012/08/16(木) 00:16:21.51 ID:3qrc5A0+0
~放課後:学校~


男「……さて」

男「……」

男(……どうしよう)

男(……行くべきか)

男(……魔女の館に)

男「……」

男(……ぶっちゃけ、気まずい)

委員長「男君」

男「お」

85: 2012/08/16(木) 00:17:26.63 ID:3qrc5A0+0
委員長「今日も、あの子の家行く?」

男「……あー」

委員長「……」ジー

男「……やましいことは何もねぇぞ」

委員長「そ、そっか。うん、そりゃそうよね」

男「クソ真面目なやつだなぁ……」

委員長「ほっといて。……それより」

男「ん」

86: 2012/08/16(木) 00:19:49.34 ID:3qrc5A0+0
委員長「行きたくないなら、私から先生に断ろうか? プリント届けるの」

男「……どうした?」

委員長「腰重そう」

男「……あー」

委員長「……男君、意外と根は優しいし、断りづらいのかなって」

男「意外とか言うな馬鹿……」

委員長「馬鹿って言わないでよぅ。……それに」

男「ん」

委員長「今日、なんか落ち込んでたみたいだから、男君」

男「……」

委員長「……あの子に、何か、嫌なことされたんじゃないか、って、思って」

男「……」

87: 2012/08/16(木) 00:21:17.57 ID:3qrc5A0+0
委員長「『あんな噂』もあるからさ、ちょっと危ない子なんじゃないか、心配で……」

男「……」

委員長「ねぇ、何なら私も付いて行って――……」

男「委員長、部活あるだろ。陸上部」

委員長「でも……」

男「心配ねぇよ。あいつは……」

委員長「……」

男「変なヤツだし、口も性格も頭も悪いけど、嫌なヤツでも、悪いヤツでもないよ」

委員長「……」

男「あんまり怖がってやるなって」

委員長「……うん」

88: 2012/08/16(木) 00:22:12.28 ID:3qrc5A0+0
男「まぁ、ありがとな、委員長」

委員長「へ?」

男「心配してくれて」

委員長「え、あぁ、いや、お礼言われるほどでも……」

男「……さて」


男(……委員長に、心配するなと言ってしまった手前)

男(行かざるを得なくなったな……)


男「んじゃ、また明日な」

委員長「うん……、男君!」

男「ん」

委員長「な、仲直り……」

男「……」

委員長「できるといいね!」

男「……おう」

89: 2012/08/16(木) 00:22:57.80 ID:3qrc5A0+0
~洋館~


キンコーン


男「……」


男(……来たはいいが)

男(……出ねぇ)


キンコーン


男「……」


男(寝てるのか……)

男(軽口とはいえ、『もう来ない』とまで言ってしまったからな……)

男(アイツも、腹立てて――……)


『男かー?』

男「……魔女?」

90: 2012/08/16(木) 00:23:43.16 ID:3qrc5A0+0
『おーう』

男「魔女か? お前、どこだ? 声しかしねぇぞ」

『おう、ちょっと、来い。こっち来い』

男「こっちで分かるか馬鹿」

『玄関のー、右手ぐるっと周って来いー馬鹿ー』

男「……こっちか」


ガサ

ガサ

91: 2012/08/16(木) 00:24:29.98 ID:3qrc5A0+0
~洋館:庭~


男「魔女……」

魔女「おう、いいところに来た」

男「何してんだ、お前」

魔女「ハーブの収穫。お前も手伝え」

男「……収穫」

魔女「ひよこ豆とハーブで、マフィン作るんだよ」

男「……マフィン」

魔女「おら、軍手貸すから」

男「……何かもう、お前のイメージ不安定すぎて辛いわ……」

魔女「おう、よく分かんねーけど、喧嘩なら買うぞ」

92: 2012/08/16(木) 00:25:34.97 ID:3qrc5A0+0
男「……で、どのハーブ摘むんだ?」

魔女「適当ー」

男「おい……」

魔女「お前のセンスで」

男「ハーブなんて、どれがどれだか分からねぇぞ俺」

魔女「いいよ。お前が摘んだ後で私が選ぶから」

男「意味あるのか、それ……」

魔女「この籠半分くらいまでお願いしまーす」

男「……ったく、お前は」


男(……気を病んでたこっちが)

男(……馬鹿みたいだ)

93: 2012/08/16(木) 00:27:02.96 ID:3qrc5A0+0




男(……確かに、いわゆる魔女といえば)

男(薬草にも精通しているイメージもあるけど……)

男(ハーブも、その一種なのだろうか……)


男「魔女ー、これはー?」

魔女「んー……、血行促進に効くやつだな。オッケー」

男「へぇ……」

魔女「……ぐぁ、腰いて」

男「魔女、これは?」

魔女「ゲロ止まらなくなるやつ。ダウト」

男「毒じゃん……」

魔女「解毒になるんだよ」

男「へぇ……」

94: 2012/08/16(木) 00:28:30.65 ID:3qrc5A0+0
男(さすが魔女……)

男(詳しいな……)


男「魔女、こっちは?」

魔女「集中力が上がるけど、気分が沈んで氏にたくなるやつ。ダウト」

男「……、……これは」

魔女「小人さんとお喋りできるやつ。ダウト」

男「……」

魔女「……」

男「……」

魔女「……」


男(警察……)

魔女「冗談だぞ」

95: 2012/08/16(木) 00:29:18.75 ID:3qrc5A0+0
今日はここまでです

98: 2012/08/16(木) 22:32:19.25 ID:3qrc5A0+0





男「んー……」

男(この葉は、食用か……?)


魔女「男ー、そんなもんでいいぞー」

男「……あ、もういいのか?」

魔女「採りすぎたくらいだ。……うぁ、腰いて……」

男「髪、土だらけだぞ馬鹿」

魔女「土いじってりゃ当たり前だろ、馬鹿男」

男「……この葉っぱは、食えるやつか?」

魔女「ダウト」

99: 2012/08/16(木) 22:34:24.87 ID:3qrc5A0+0
~洋館:キッチン~


魔女「……こっちが、食べられるハーブ」

男「ん」

魔女「細かく千切って、このボウルに入れて」

男「はい」

魔女「お前でも、それくらいならできるだろ」

男「馬鹿にしすぎだろ、さすがに」

魔女「よろしくー」

男「おう」

魔女「……」

男「……」ブチブチ

魔女「……」

男「……」ブチブチ

100: 2012/08/16(木) 22:35:09.05 ID:3qrc5A0+0
魔女「……」

男「……」ブチブチ

魔女「……」

男「……」ブチブチ

101: 2012/08/16(木) 22:35:46.89 ID:3qrc5A0+0
魔女「……」

男「……」

魔女「……」

男「……」

魔女「……男ー」

男「おー」ブチブチ

魔女「……この間のさー」

男「……おー」

102: 2012/08/16(木) 22:36:18.98 ID:3qrc5A0+0
魔女「……あれさー」

男「……」

魔女「……無神経だったかー、私」

男「……」ブチブチ

魔女「……」

男「……」

魔女「……」

男「……ちょっとな」ブチブチ

魔女「……そっかー」

男「……」

魔女「……」

男「……」

103: 2012/08/16(木) 22:37:22.61 ID:3qrc5A0+0
魔女「……」

男「……」

魔女「……ごめんなー」

男「……ん」

魔女「……」

男「……別に」ブチブチ

魔女「……」

男「……俺こそ」ブチブチ

魔女「……男ー」

男「……おう」

魔女「指切ったぁぁー」

男「……は? うぉ、血っ、うわっ!」

104: 2012/08/16(木) 22:39:14.18 ID:3qrc5A0+0
魔女「くっそ痛いー……」

男「何でマフィンで指切るんだよ! 馬鹿か!」

魔女「ついでにベーコン切って、入れようかしたら……」

男「喋りながらやってるからだボケ魔女! 絆創膏ねぇのかこの家!」

魔女「……うわ、超ザックリいってる……、エグ……」ボタボタ

男「いいから! おい、血! 血ぃこぼれてる!」

魔女「男ー」

男「あぁ!?」

魔女「舐めるか」

男「は……、はぁ?」

105: 2012/08/16(木) 22:40:08.17 ID:3qrc5A0+0
魔女「魔女の血は」

男「……」

魔女「好いリンゴ酒の味がするんだぜー」

男「嘘吐け」

魔女「……そう、思うか?」

男「……」

魔女「ほら」

男「……おい」

魔女「……」

男「……」

106: 2012/08/16(木) 22:41:11.48 ID:3qrc5A0+0
魔女「口、開けて」

男「……」

魔女「……目閉じて」

男「……」

魔女「……」

男「……」

魔女「吸って」

男「……」

魔女「……」

男「……」

107: 2012/08/16(木) 22:41:48.78 ID:3qrc5A0+0
魔女「……」

男「……」チュウ

魔女「……」

男「……」

男「……げ」

魔女「…………ヒヒッ」

男「ぅげ……、ぇ、ペッ……!」

魔女「ヒッヒッヒ、ばーかばーか」

男「てめ……っ! マジで飲んじまったじゃねぇか馬鹿魔女!」

魔女「ヒッヒ、あー、超指いてぇ」

116: 2012/08/17(金) 23:38:23.37 ID:SFOaY7Xy0




魔女「……ん、あとは焼くだけ」

男「どれくらいかかる?」

魔女「三十分くらいか」

男「……んー」

魔女「……」

男「……」

魔女「……帰るか?」

男「……おう」

117: 2012/08/17(金) 23:38:58.15 ID:SFOaY7Xy0
魔女「何げに、いい時間になってたなー」

男「さすがに、親にドヤされる」

魔女「おー、外真っ暗」

男「……」

魔女「……」

男「……」

魔女「……じゃ」

男「……」

魔女「お疲れ」

男「……あー」

118: 2012/08/17(金) 23:40:51.12 ID:SFOaY7Xy0
男「……そうだ」

魔女「ん?」

男「プリント」

魔女「……んん?」

男「……数学の。持ってきたから」ガサゴソ

魔女「……」

男「ほら、これ」

魔女「……」

男「……魔女?」

魔女「……」

119: 2012/08/17(金) 23:41:51.71 ID:SFOaY7Xy0
男「……おい?」

魔女「……お前さぁ」

男「何だよ」

魔女「……何しに来たんだっけ?」

男「……」

魔女「……」

男「これ、届けるため」

魔女「……へぇ」

男「……」

魔女「そう」

男「……」

魔女「……数学ねーぇ」ヒョイ

120: 2012/08/17(金) 23:42:40.79 ID:SFOaY7Xy0
男「……あ」

魔女「……」ビリッ

男「おい……っ」

魔女「すべてを切り裂く!」ビリー

男「なっ……、おいこら! 何してんだ馬鹿!」

魔女「……つまんね」

男「は……」

魔女「つまんねぇし、お前もう来なくていいわ」

男「はぁ!?」

121: 2012/08/17(金) 23:43:21.41 ID:SFOaY7Xy0
魔女「頼まれたからとか、用事があるからとか」

男「……」

魔女「いちいち、そんな理由つけて来るくらいなら」

男「……」

魔女「クソつまんねぇから、来なくていい」

男「……魔女」

魔女「……次来るときは」

男「……」

魔女「ただの客として来い」

男「……」

魔女「私に会うためだけに、来い」

122: 2012/08/17(金) 23:44:19.67 ID:SFOaY7Xy0
男「……」

魔女「アンダスタン?」

男「あぁ……」

魔女「……」

男「分かったよ」

魔女「ヒッヒッヒ、素直でよろしい」

男「面倒くせぇヤツ……」

魔女「うるせ」

男「じゃ、またな」

魔女「おう」

127: 2012/08/19(日) 14:29:50.38 ID:JzQabQ4B0
~別の日:某大学病院~


女医「……でぇ、ここの数値が、この値より低いとぉ」

男「……」

女医「男性機能が問題が生じるんですけどぉ……、ほら、正常値の範囲内」

男(……なんで)

女医「あと、こっちと……こっちも、問題ないみたいですねぇ」

男「……」

女医「ふふ、とっても健康で、イイ身体ですよぉ」ポンポン

男「はぁ……」

男(なんで女のセンセイなんだ……)

128: 2012/08/19(日) 14:30:46.54 ID:JzQabQ4B0
女医「――とまぁ、おちOちんの方は問題ないみたいですのでぇ」

男(おちOちん……)

女医「あとは、神経系の検査が必要かも……」

男「検査……」

女医「CTスキャンで脳を撮って、調べるの」

男「……」

女医「あとはぁ、心因的なものも考えられますねぇ」

男「……」

女医「結構多いんですよぉ、あなたくらい若い子でも。今の子はストレスに晒されてるからぁ」

男「はぁ……」

女医「心当たりは、ありませんかぁ?」

男「……いえ」

129: 2012/08/19(日) 14:33:38.13 ID:JzQabQ4B0
女医「……」

男「……特には……」

女医「うぅん、そうですかぁ……」

男「……」

女医「心因的な不能でも、お薬で改善する場合があるんですけどぉ」

男「……」

女医「ひとまず、もっとよく検査が必要でしょうねぇ」

男「……」

女医「……あと」

男「……」

女医「話を聞くときは、ちゃんと人の目を見て、ね?」

男「……え」

女医「ふふっ、意外とシャイなのかなぁ?」

男「あー……」

130: 2012/08/19(日) 14:34:18.55 ID:JzQabQ4B0




兄「……」

男「兄さん」

兄「ん……あぁ、終わったかい?」

男「はい。……お待たせしました」

兄「はは、そんなかしこまらなくても。……検査も全部終了?」

男「えぇ」

兄「それじゃ、帰ろうか」

男「はい」

131: 2012/08/19(日) 14:34:44.94 ID:JzQabQ4B0
~車(兄の)~


兄「……」

男「……」

兄「……お医者さんは、何だって?」

男「……もう少し、検査が必要だと」

兄「そうか」

男「……」

兄「びっくりしたよ、お前から話があったときは」

男「すみません、心配かけて。……こうして、手間もかけちゃって」

兄「いいんだ、気にするな」

男「……」

132: 2012/08/19(日) 14:35:32.46 ID:JzQabQ4B0
兄「……それに」

男「……」

兄「もう少し早く相談してくれても、よかったんだぞ」

男「……すみません。ちょっと……言い辛くて」

兄「はは、そうだよな。ごめん」

男「いえ」

兄「……」

男「母さんにも……心配かけるんじゃないかと……」

兄「すごく心配してたぞ、男のこと。……父さんも」

男「あぁ……」

133: 2012/08/19(日) 14:36:31.62 ID:JzQabQ4B0
兄「ただ、お前自身の身体のことだ」

男「……」

兄「心配かけるとか、変に気を回すことはないさ……」

男「はい……」

兄「……」

男「……」

兄「……それに、心配かけたくないって話なら」

男「……」

兄「……最近、学校の帰りが遅いみたいじゃないか」

男「あ」

兄「母さん、心配してたけどな」

男「いや、えーっと……。ごめんなさい」

134: 2012/08/19(日) 14:37:05.46 ID:JzQabQ4B0
兄「何か、あるのか?」

男「いえ……、ただ友人と、遊んでるだけで」

兄「……悪い付き合いじゃないよな、まさか」

男「そういうのじゃ、ないですよ。普通の――……」

兄「……」

男「……あ、いえ、ちょっと、普通じゃないかもしれませんけど」

兄「……なるほど」

男「……」

兄「彼女か」

男「うぇ!?」

兄「はっは、そうか、なるほどなるほど。お前もついに……」

男「ちが……っ、違いますよ! ちょっと、兄さん!?」

兄「母さんには、俺からちゃんと、心配いらないって説明するから」

男「やめて!」

135: 2012/08/19(日) 14:37:49.53 ID:JzQabQ4B0
~別の日:洋館~


魔女「ふぅん……」

男「……」

魔女「女医ねぇ……」

男「そこかよ、食いつくポイント」

魔女「……ま、何だ。気長にがんばれ」

男「他人事だな」

魔女「実際そうだしな」

男「……」

魔女「……」

男「……」ゴク

魔女「……」ゴクゴク

男「お茶まっずぅぅ!!」

魔女「な……っ、うるせぇクソインポ!」

男「いやお前、ひっどいこれ! まっずい! 苦いとかじゃなくて、お前……不っ味い! すごい!」

魔女「よーし分かった! そんなに氏にたきゃガチの毒で茶ぁ淹れてやるから、それ飲んで氏ね!」

144: 2012/08/20(月) 22:53:44.26 ID:2EaUAdLx0
男「……」

魔女「はぁ……」

男「……」

魔女「ぁー……」

男「……」

魔女「ねみ……」

男「魔女ー」

魔女「ん……」

男「前も聞いたかもしれねぇけど……」

魔女「おう」

男「……」

145: 2012/08/20(月) 22:54:59.98 ID:2EaUAdLx0
男「……身体の不調? ってか、問題を……」

魔女「あるぞー」

男「……え」

魔女「ゲンキになる魔法」

男「……なぁ」

魔女「あとで見せてやるよ」

男「……本当に」

魔女「私のパンツ」

男「……」

魔女「ヒッヒッヒ」

男「はぁ……」

146: 2012/08/20(月) 22:56:21.34 ID:2EaUAdLx0
男「……」

魔女「……」

男「……」

魔女「お茶、おかわりいるか?」

男「……くれ」

魔女「ん」トプトプ

男「……」

魔女「……ん」

男「……」ゴク

魔女「……」

男「……まじぃ」

魔女「男ー」

147: 2012/08/20(月) 22:57:58.79 ID:2EaUAdLx0
男「……おう」

魔女「魔法ってのはな」

男「……」

魔女「お前が考えているようなもんじゃねーんだぞ」

男「……」

魔女「……魔法ってのは、要は、物の見方を変える方法だ」

男「……」

魔女「ダイアン・フォーチュン曰く、『魔法とは、思うがままに意識を変革する技術』だ」

男「……誰?」

魔女「魔女」

男「……」

148: 2012/08/20(月) 22:58:57.74 ID:2EaUAdLx0
魔女「意識が変われば」

男「……」

魔女「見えなかったものが、見えるようになる」

男「……」

魔女「感じられなかったものが、感じられるようになる」

男「……」

魔女「ないはずのものが、あるんだって、分かる」

男「……」

魔女「今、この部屋の中にある空気。何もないように見える空間でも」

男「……」

魔女「細菌学者なら、無数のウィルスや黴に満ちていると識っている」

男「……」

149: 2012/08/20(月) 23:00:30.48 ID:2EaUAdLx0
魔女「そして、それらの生命の動きを感じることだってできるはずだ」

男「……」

魔女「物理学者なら、空間に満ち溢れたニュートリノの宇宙的な孤独を感じることができる」

男「……」

魔女「詩人なら、塵や埃にも隕石を――地球に降ってきて、燃え尽き、空気に溶けた名もなき星の輝きを――」

男「……」

魔女「感じることができる」

男「……」

魔女「魔女なら」

男「……」

魔女「エネルギーを感じる。人間、自然、星、宇宙……、全ての根源にあるエネルギーを」

男「……壮大な話だな」

150: 2012/08/20(月) 23:01:56.38 ID:2EaUAdLx0
魔女「そうでもねーよ」

男「……」

魔女「もっとミクロな……極小サイズの話さ」

男「……」

魔女「たとえば、お前のペOスとか」

男「やかましいわ、極小サイズとか言うな」

魔女「ヒッヒッヒ」

男「……」

魔女「……私から知覚では、お前のソレは」

男「……」

魔女「本来あるべきエネルギーが流れていない、乱れている」

男「……」

魔女「だからゲンキがない」

151: 2012/08/20(月) 23:03:11.09 ID:2EaUAdLx0
男「……」

魔女「……ただ、何でエネルギーが流れないのか――、って話になると」

男「……」

魔女「知らねーよ、ってなるわけだ」

男「……そうか」

魔女「たとえば病気が原因で、クスリ飲んで、それで病気が治って、……ソレも治ったとして」

男「……」

魔女「私が言えるのは、エネルギーが正しく流れ出した。だからゲンキになった」

男「……」

魔女「……意味ねーだろ」

男「……そうかもな」

152: 2012/08/20(月) 23:04:25.03 ID:2EaUAdLx0
魔女「だろ。これが魔法ってやつだ。期待はずれだろ?」

男「……」

魔女「ついでに、魔女じゃないお前には魔法が使えない」

男「……あぁ」

魔女「……以上、終わり。ご聴講ありがとなデカブツ」

男「……」

魔女「……あー、だる……」

男「……お前さ」

魔女「あぁ?」

男「『治す方法はない』って」

魔女「……」

男「何で言わないんだよ」

魔女「……ぁー」

153: 2012/08/20(月) 23:05:40.46 ID:2EaUAdLx0
男「……魔女」

魔女「……」

男「本当は、何かあるんじゃないのか?」

魔女「……」

男「……」

魔女「……」

男「……頼むよ」

魔女「……あるよ」

男「……え」

魔女「治す方法。運がよければ……、って程度だけどな」

男「……本当か!」

魔女「おう」

154: 2012/08/20(月) 23:06:30.96 ID:2EaUAdLx0
男「頼む、俺に教え――……」

魔女「……いや、いーんだけどさぁ」

男「……」

魔女「……私はいいんだけど」

男「……何だよ」

魔女「お前、絶対イヤがるだろうから」

男「何で」

魔女「……」

男「……」

魔女「……」

男「……」

魔女「……」

男「……大丈夫」

魔女「……」

155: 2012/08/20(月) 23:08:14.16 ID:2EaUAdLx0
男「どんなことがあっても、イヤに思ったりしない」

魔女「……ふん」

男「……お前のことだって、イヤになったりしねぇよ」

魔女「……」ゲシッ

男「って! 何で蹴るんだよ馬鹿!」

魔女「……ったく。仕方ねぇなこのフニャチン……」

男「魔女……」

魔女「明日、学校休みだろ。土曜日って」

男「おう」

魔女「……ウチに来い」

男「……おう」

魔女「泊まりで」

男「泊まり?」

魔女「儀式を行う」

男「……泊ま……え、泊まり?」

156: 2012/08/20(月) 23:08:43.35 ID:2EaUAdLx0
ここまでです

引用: 男「魔女?」魔女「おう」