779: 2016/06/10(金) 17:40:48.32 ID:DWUCQWXfO
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前回:ブレードカンムス・ヴェイカント・ヴェンジェンス#23

最初から:ウェルカムトゥ・ネオサイタマ・チンジフ

ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース 17 (チャンピオンREDコミックス)
780: 2016/06/10(金) 17:44:07.99 ID:DWUCQWXfO
【KANMUSLAYER】

781: 2016/06/10(金) 17:53:15.76 ID:DWUCQWXfO
檻の中の駆逐水キは上体だけ起こして伸びをした。小柄でぐうたらではあるが中々のスタイルの持ち主であるようだ。「仮にヤバくなってもあたしのことはほっといていーから。役立たずだし」「そうはいかないわ、あなたも深海棲艦として生まれたからには使命がある。そしてそれを全うする義務がある」「ないない。艦娘は敵だとか、チンジフをやっつけるとかどーでもいいもん。めんどいし」彼女はパタパタと手を振った。

782: 2016/06/10(金) 18:00:58.36 ID:DWUCQWXfO
もしこの言葉を上司である離島棲キが聞いたら瞬時にオニめいた形相になり、2時間はくどくどと説教するであろうと重巡棲キは思った。しかし彼女は怒るよりも呆れ、説教をする気にもならなかった。自分が何を言おうが駆逐水キは動こうとしないだろう。ここまでの聞かん坊はさすがに手に負えない。「はぁ……とにかく今この施設はそういう状況にある。万が一にも備えておいて」「あーい」

783: 2016/06/10(金) 23:08:07.68 ID:wENcXRQE0
退出しようとする彼女に檻の中の駆逐水キが声をかけてくる。「あ、そうだ。寝ててもご飯くれるのは嬉しいんだけどさ、スシない?スシ食べたいんだけど」「私たちの仕事を手伝うなら好きなだけ食べさせてあげるわ」「えー…じゃあいいや。はぁ〜あ、敵に捕まったらネオサイタマはおいしい刑務所飯出してくれるかなあ。提督とかいうのに色目使ったらなんか食べさせてくれるかな」重巡棲キはげんなりとしながら倉庫を後にした。

784: 2016/06/10(金) 23:20:24.72 ID:wENcXRQE0
これまで重巡棲キはつとめて真面目に与えられた業務や任務をこなしてきた。武功を重ね、周囲の評価も上がり出世した。しかし、ただ一段上へ上がっただけなのにこの有様は何だろう?飛行場キから面倒な仕事を頻繁にマルナゲされ、港湾棲キからは日常的にセクシュアル・ハラスメントをされ、装甲空母キの過酷な筋力トレーニングに付き合わされ、(弱いくせに)サケに酔った離島棲キの愚痴を延々と聴かされ……中途半端に出世しても何も良いことはない。重巡棲キはそう思った。

791: 2016/06/12(日) 22:45:35.02 ID:hSnVZ4Qh0
一方その頃、センダイ一行は施設内のダクトを這って移動していた。入り口の鋼鉄ドアはヒヨウが激突し歪み、電気系統がショートしていたためスゴイ級程度のハッカー技術を持つグラーフでも開けることができた。しかしそれ以上は叶わなかった。施設内には強力なファイアウォールがしかれており、無闇なハッキングは逆に返討ちにされニューロンが焼かれてしまう。なのでナチの提案により、セキュリティが行き届いてないと思われるダクト内を移動するに至ったのである。

792: 2016/06/12(日) 22:58:48.02 ID:hSnVZ4Qh0
先陣を切るセンダイは注意深く前方を警戒している。ダクト内は暗闇だが、3人のカンムス視力を持ってすれば何ら問題はない。しかし2人の間にいるグラーフは難儀そうに吐息を漏らしている。「うぐっ……ちとキツイな。最近太ったか…?」自分の胸と尻がたまにつかえるのだ。「しかもバケツ(注釈:BKT成分)も切れてきたみたいだ……クラクラしてきた」「しっかりして下さい」「ああ……提督にやめろと何回も言われてきたんだがなあ。やめどきが分からんのだよ実際」

793: 2016/06/12(日) 23:02:59.53 ID:hSnVZ4Qh0
「フン、昔の帝国軍人めいた貴様はどこに行ったのであろうな。クスリにおぼれるとは堕落極まりなし」「返す言葉もないねナチ=サン」しかしそんなことを言いながら後方のナチは先をゆくグラーフの尻を凝視している。水に濡れたスカートがペタリと張り付き、半分ほどめくれ、下着がくいこんでいる。(だがしかし、中々良い光景だ…)ナチは思わずその尻に手を伸ばしかけた。読者の方もお気づきであろうが、彼女は自分の性別さえも判然としていないほど狂気に陥っている。非常に不安定な精神状態なのである。

794: 2016/06/12(日) 23:25:15.61 ID:hSnVZ4Qh0
「濡れた服も気持ち悪いし散々だな……作戦会議の時にあんな提案するんじゃなかったなこれは」「待ってください」BKT切れのせいでダウナー状態にあるグラーフの文句をセンダイが遮った。「ここから出れるようです」指差した先には鉄格子がはめられており、僅かな光が漏れ出している。「やっと出口か!早く開けてくれ!」「イヤーッ!」センダイは鉄格子に力を入れ無理矢理外した。そのままダクト内から這いずり出る。

795: 2016/06/12(日) 23:32:23.68 ID:hSnVZ4Qh0
ダクトの出口は天井近くにあるようだ。センダイは廊下にスタリと着地する。「高さがあります。気をつけ…」「うお!?グワーッ畜生!」しかしセンダイの警告むなしく着地仕損なったグラーフは尻を廊下に強打した。「あだ…あだだ……みんなには言わないでくれよ…」「はあ」流石にセンダイもやや呆れたような面持ちになってしまう。かつてのグラーフは軍の規律を過剰に重んじるとても厳しいセンパイとして恐れられていた。しかし今、このセンパイはクスリ切れでフラつきながら身を起こしているのだ。実際情けない状態であるのは否めない。

796: 2016/06/13(月) 00:46:22.91 ID:Ij1auhA70
「妙だな」その後ろで問題なく着地したナチが呟いた。「何がだい?今のドジはBKTが切れているだけで」「違うわ愚か者め。私が妙だといっているのはこの廊下だ。この廊下には部屋がない」確かにナチの言う通りこの廊下に隣接した部屋はなく、廊下がそこまで長くないのにも関わらず両端が鋼鉄扉によって閉ざされている。「これはひょっとすると……」

797: 2016/06/13(月) 01:11:24.45 ID:Ij1auhA70
ナチは言葉が終えるその前に、廊下の前方からじわじわ迫ってくる網目状のレーザー光線を睨み据えた。「これは」「やはり罠か!」果たして、後方からも、赤い網目状のレーザー光線が出現していた。アナヤ、この廊下はトラップ廊下だったのだ!突然の窮地に陥った3人を、監視カメラ越しに見下ろす者がいる。((ケケケ……!まんまとハマりやがったな!そのまま3人!仲良く黒コゲになりやがれーッ!))この部屋に誘い込んだ張本人、集積地棲キはモニターに向け、歪んだ笑みを浮かべた。

805: 2016/06/15(水) 17:16:09.83 ID:sNui1LjBO
「ダクト内にアタシの目が行き届いてないと思ってたのかよ?ケケケ……とんだアホAIをつんでるみてーだなぁ~?」ここは秘密施設の中央司令室。そこで集積地棲キは20枚近くのUNIXモニタすべてをヘッドフォン型端末にUSB接続し、俯瞰している。普通ならばニューロンの負荷限界をとうに超えているが、ヤバイ級のハッカー能力を持つ彼女にとってはベイビー・サブミッションに過ぎないのだ。

806: 2016/06/15(水) 17:25:51.18 ID:sNui1LjBO
集積地棲キが両腕に装備しているブレーサーはとてもIRCのタイプに適した物とは思えぬ大きさである。しかしそのブレーサーの巨大な指先に注目していただきたい!小型ロボットアームが10本全ての指先から展開しており、指一本一本がキーボードを高速物理タイプしているのだ。つまり集積地棲キの演算能力は、単純計算すれば通常の10倍に相当する。なんたる恐るべきカンムスマルチタスク能力か!

807: 2016/06/15(水) 22:01:30.73 ID:Ks3CyQFN0
セキュリティシステムに多重ログインした集積地棲キにとって監視カメラは己の眼であり、スピーカーは己の耳であり、迎撃システムは己のカラテそのものなのだ!「とっとと終わらせたらァーッ!3人まとめてケバブめいてこんがり焼けちまうがいいぜぇ!」絶え間ない多重高速タイプを続け、使用者の精神をフラットに澄み渡らせる効果のあるザゼンドリンクを啜りながらも集積地棲キはまるでアーケードゲームをプレイするかのように3人を大爆発四散に追い込むことができるのである!ナムアミダブツ!

808: 2016/06/15(水) 22:17:26.07 ID:Ks3CyQFN0
一方その頃!「イヤーッ!」センダイはゼロセンを投擲!狙いは勿論、ドア近くの壁にある緊急停止スイッチだ!((無駄だぜーッ!))しかしレーザーの隙間をゼロセンが通過しようとしたその瞬間、瞬時にレーザーが収束!KABOOM!ゼロセン撃墜!「イヤーッ!」ナチの折り畳み式ショートボウから射た矢が、そのわずかな隙間を通過する。しかし矢の羽が焼け落ち、スイッチを外れてしまった。羽が無ければ狙いは定まらぬ!

809: 2016/06/15(水) 22:29:05.85 ID:Ks3CyQFN0
「くっ…」「ホーリーシット!ベトコン共めが!卑劣な罠を!」センダイとナチは次々とゼロセンを投擲し、矢を射るがことごとく撃墜又は的を外れてしまう。レーザー光線はその様子をあざ笑うかのようにタタミ3枚近くまでに接近!このままではレーザー光線に焼かれ、黒コゲ後、大爆発四散は確実!((抵抗しようと無意味なんだよ!連続3KILLでポイント倍点だぜ!うけけけけーッ!))集積地棲キが中央指令室でブキミに笑った。彼女にとってイクサとは、己の腕試し程度のゲームに過ぎないのだ!

810: 2016/06/15(水) 22:36:37.10 ID:Ks3CyQFN0
しかし絶体絶命の危機に立たされたエネミーキャラクターの一人であるセンダイは、電撃的速度で打開策を導き出した!ゼロセンも矢も羽根がある、しかしそれゆえレーザー光線の狭い隙間に引っかかってしまうのだ。ならば羽根のない、流線型の物体ならばどうだ!?そう、グラーフのリボルバー拳銃ならば!「グラーフ=サン!あのスイッチを!」その言葉を聞いた瞬間、ナチもその意味を理解した。「成程!貴様の弾丸ならば隙間を通り抜けるのは可能!早くやれーッ!」

811: 2016/06/15(水) 22:44:43.65 ID:Ks3CyQFN0
だが……当のグラーフは二人の間で膝を抱え座り込んでいる!何故!?「グラーフ=サン!?」「バカ者めーッ!何をやっとるかああああ!」しかし二人の言葉も耳に入らない様子でグラーフは何かをブツブツと呟いている。「……そう、だよなあ……昔より太ったし、太ももも太くなったし…髪の毛のツヤも落ちたし……提督も、私になんて魅力感じないよなあ……ハハハ……」「グラーフ=サン!?」「何をいっとんだ貴様ーッ!」

812: 2016/06/15(水) 22:53:36.01 ID:Ks3CyQFN0
「ワカル、ワカルよ。ヤク中だし、女っけもないし…尻もでかいし。ヒュウガ=サンみたいに奥ゆかしくないし、カガ=サンみたいに真面目でもないし…当然だよな…ハハ」「グラーフ=サン!?」「だッ・かッ・らッッッッ!何をいっとんだ貴様ァアアアアアアーッ!」ナ…ナムアミダブツ!これはBKT中毒者特有の、BKT切れによる極度のダウナー状態だ!思考能力が極端に低下し、ネガティヴな感情がグラーフを支配する!二人の言葉に耳を貸さず、虚ろな眼で乾いた笑いをこぼしている。なんたるブザマ!

813: 2016/06/15(水) 23:00:59.62 ID:Ks3CyQFN0
「グラーフ=サン!?しっかり気を保って下さい!」「大バカ者が!早く目を覚まして撃てーッ!」ナチが襟を掴みぶんぶんと揺するがグラーフはされるがままである。「ワカル、ワカルよセンダイ=サン…君に比べりゃもう私はオバサンで」「グラーフ=サン!?」「頼むから早く眼を覚ませーッ!」ナムサンこの情けないセンパイは使い物にならない!だがセンダイは、それすらも打開する策を思いついた。グラーフのコートの中に手を突っ込む!「シツレイします!」「ンアーッ!?流石にそんな趣味はないぞ!」「私もです!」

814: 2016/06/15(水) 23:07:58.62 ID:Ks3CyQFN0
センダイは思い出したのだ、重度のBKT愛好者であるグラーフが、持っているはずの『例のもの』を!センダイは『それ』をグラーフのコート内から見つけ出した。その小瓶にのラベルには『20㎎配合、バケツタブレット』の文字が!そう、これは実際ほぼ違法であるBKT成分を大量に含んだ脱法タブレットなのだ!チンジフ内でもしこれが見つかれば3日間はケジメ、さらにタツタの懲罰拷問が課される程の禁止アイテム。しかしグラーフの眼を覚ますにはこれしかない!

815: 2016/06/15(水) 23:13:49.90 ID:Ks3CyQFN0
「おおッ!それは!」ナチはセンダイからその小瓶を受け取ると、フタを開け直接グラーフの口内に流し込んだ!「え、アバーッ!!」「いい加減眼を覚ませといっとるんだこのアホがァアアアアアーッ!!」「アババババ!アババババーッ!」多量のBKT成分がグラーフのニューロンと体内を駆け巡る!しかしレーザー光線は3人のタタミ1枚近くまで接近!万事休すか!?

816: 2016/06/15(水) 23:21:25.29 ID:Ks3CyQFN0
この瞬間、モニター越しの集積地棲キは勝利を確信した。だが、次の瞬間!!「…………YEAAAAAHAAAAAーッ!!!!」凄まじきシャウトと共に立ち上がる者あり!((ワッザファック!?))その主はそう!BKTの過剰摂取によりアブナイ・ハイ状態になったグラーフ・ツェッペリンその人であった!「遥かに!遥かにイイぞッ!見える!私にもイルカチャンが見えるぞーッ!うわっはははははーッ!!」恍惚の笑みを浮かべながら双眸を爛々と輝かせている!コワイ!

817: 2016/06/15(水) 23:28:04.69 ID:Ks3CyQFN0
「グラーフ=サン!?」「早くあそこのスイッチを撃てーッ!!」「ハイヨロコンデー!!FOOOOOOOOOOOO!!」グラーフは奇妙な姿勢のままリボルバーを三連射!それにも関わらず針の穴を通すかのように正確に撃ち出された弾丸は、レーザーの隙間を……すり抜けた!そのまま3発の弾丸は吸い込まれるようにスイッチに着弾!レーザートラップは3人の半タタミ分で停止し、消失!ゴウランガ…おお!ゴウランガ!

818: 2016/06/15(水) 23:35:36.19 ID:Ks3CyQFN0
危機を脱し、センダイとナチは思わず床にへたり込む。なんだか分からぬ徒労感が二人を襲う。「ハァーッ……いい判断力だ。若いが見どころがある。お前も私たちとサヴァイヴしないか?」「……お断りさせてもらう」「ハッ!ますますお前に興味が沸いてきた!しかし…」二人はハイになり、自分を見失った艦娘に視線を移した。「おおおッ…!リロードタイムがこんなにも息吹を!イルカチャン!?そうか!いいセンスか!そうだろう!?アハハハハハ!!」「…アイツは置いていくべきか」「………」センダイは目を伏せた。

819: 2016/06/15(水) 23:36:33.16 ID:Ks3CyQFN0

引用: 【艦殺(艦これ×忍殺)】ブレードカンムス・ヴェイカント・ヴェンジェンス