870: 2016/07/08(金) 22:39:29.48 ID:hXNK2wen0
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
前回:ブレードカンムス・ヴェイカント・ヴェンジェンス#25
最初から:ウェルカムトゥ・ネオサイタマ・チンジフ
871: 2016/07/08(金) 22:40:04.72 ID:hXNK2wen0
【KANMUSLAYER】
872: 2016/07/08(金) 22:42:46.52 ID:hXNK2wen0
ストココココ、ストココココ、ストココココ……。UNIX電算音で満たされた空間、壁に沿って並べられた計器類。眼下、無人のデスクに身を隠すグラーフに背を向ける形で、長身の深海棲艦娘がキーボードを殴りながら罵声を吐いている。おそらくこの施設のセキュリティ主任であろう。
873: 2016/07/08(金) 22:48:30.25 ID:hXNK2wen0
その深海棲艦娘の他に、アサルトライフルで武装したクローン軽巡洋艦が5人。クローンハッカー妖精、クローンヤクザ妖精が数匹。(((許容範囲内だな…)))グラーフは沈思黙考する。敵はまだ自分の存在に気づいていない。別行動をとっている二人に相当執着しているのだろう。親玉をアンブッシュで仕留めさえすれば後はどうにでもなる筈。
874: 2016/07/08(金) 22:53:08.04 ID:hXNK2wen0
(((迷っている時間はないな)))二人は過酷なトラップを引き受けてもらっている。到着を待つのもいいが、いたずらに時間を過ごして状況を悪化させるわけにはゆかぬ。とにかく中枢を破壊するのが優先だ。グラーフは意を決するとリボルバーを握る手に力を込め、デスクから上体を跳ね起こした!
875: 2016/07/08(金) 23:01:43.19 ID:hXNK2wen0
しかしグラーフの視界は何かによって遮られた。(((なッ……!?)))デスクを隔てた目の前にいつの間にか誰かが立っている。モデルめいた体形、白い肌、思慮深げな瞳、そして振り上げた腕の掌中央から放たれる閃光。「ここで銃を撃たないで。備品が壊れたら、始末書を書かなきゃならないから」その深海棲艦娘は呟いた。
876: 2016/07/08(金) 23:06:52.32 ID:hXNK2wen0
グラーフの判断は早かった!「イヤーッ!」掌から放たれる閃光爆発!これをすんでのところでバックフリップ回避するグラーフ!「おいおいおいおいおい!こんなに近くにいるなら声をかけてくれ!」爆発の余波で後退しながらも、素早くリボルバーを構えなおし、アイサツする。「ドーモ、グラーフです。ちょいとお邪魔してるよ!」
877: 2016/07/08(金) 23:13:27.54 ID:hXNK2wen0
(((……結局自分で机を壊してしまったわ)))彼女はやや後悔した後、オジギしアイサツした。「ドーモ、重巡棲キです」その両手には強化スーツめいたガントレット。掌中央に備えられた爆発閃光の発射口、手首からひじにかけて備え付けられた蛍光灯めいた発光体、そのいずれからも不穏な赤い光が継続的に放たれている。
878: 2016/07/08(金) 23:19:18.98 ID:hXNK2wen0
「クソックソックソッ……ン?そこで何してんだ重巡棲キ=サン?って、ソイツ誰だよ!?」流石にセキュリティシステムに没頭していた集積地棲キも気づいたようだ。面食らった様子でこちらを振り向いている。「敵よ。気づくのが遅い」「うっせ!ドーモ集積地棲キです!よく見りゃテメエは腐れ艦娘の残りの一人じゃねーか!」
879: 2016/07/08(金) 23:24:09.66 ID:hXNK2wen0
「「「ざっけんこらー!」」」「「「ザッケンナコラー艦娘!」」」ナムアミダブツ!もはやクローン軽巡洋艦もクローンヤクザ妖精さえもグラーフに銃を向けている!なんたる完全包囲か!(((なんてこったい……!一転してピンチじゃあないか!)))グラーフの銃を握る手に汗がにじむ。ここでやられては元も子もない!
880: 2016/07/08(金) 23:30:35.97 ID:hXNK2wen0
「投降して。ここを壊したくない」集積地棲キは掌をこちらに向けている。鉄製の床がひしゃげているのを見ると、閃光爆発に直撃すればただでは済まないだろう。さらにその身のこなしからは極めて高いカラテを感じさせる、グラーフの長年のカンがそう告げる。「投降、ね……中々心が広いじゃないか」グラーフはそう呟き、銃口を下げた。
881: 2016/07/08(金) 23:36:51.82 ID:hXNK2wen0
全員の視線が僅かに下がった、その刹那!「………答えはノーだけどな!!」サイバネ・コンタクトレンズのデュアルエイムアシスト機能によって放たれた弾丸が、クローン軽巡洋艦とクローン妖精それぞれ2体ずつを撃ちぬいた!「「グワーッ!」」「「あばーっ!」」「イヤーッ!」集積地棲キに向けられた残り1発を重巡棲キは弾き返しガード!そのままグラーフに向かって跳躍する!
882: 2016/07/08(金) 23:42:48.39 ID:hXNK2wen0
「イヤーッ!」「イヤーッ!」振り下ろされたチョップをクロスして銃身で受け止めるグラーフ!着地した重巡棲キは掌底めいて掌を突き出す!「イヤーッ!」間髪いれず放たれる閃光爆発!「イヤーッ!」グラーフは発砲反動を利用したダッキング回避!「アバーッ!」さらにこちらを狙おうとしていたクローン軽巡洋艦をその弾丸で撃ちぬいた!ワザマエ!
883: 2016/07/09(土) 00:21:19.59 ID:OJjxbVPC0
グラーフはその勢いのままバック転し、鉄製の棚の後ろに飛び隠れる!一瞬遅れてその軌跡を火線が薙ぎはらう。壁からせり出したマシンガンだ!「テメーもアタシをコケにした奴の1人だよなぁ~!?穴あきチーズにしてやるぜッ!」室内のセキュリティシステムに平行接続した集積地棲キが吠える!グラーフを鉄製棚ごと集中放火!
884: 2016/07/09(土) 00:31:17.91 ID:OJjxbVPC0
「ムダに弾を使わないで、勿体無い」「努力するよ!オラオラオラオラオラーッ!」削り取られていく鉄製棚の後ろでグラーフは身を縮めながらクイックローダーにはめられた弾丸を投げ上げ、曲芸めいて高速リロードする。(((無茶苦茶やってくれるね畜生!)))鉄製棚が削り切られる直前、飛び出したグラーフはローリングしながらリボルバー連射!「イヤーッ!」「ぐわーっ!」「アバーッ!」火線を一点に集中させていた一部のクローンヤクザ妖精とクローン軽巡洋艦はなす術もなく被弾!
887: 2016/07/09(土) 22:17:56.56 ID:OJjxbVPC0
「イヤーッ!」重巡棲キがジャンプパンチで襲い掛かる!「イヤーッ!」これを側転で回避したグラーフは真横から銃身をねじ込むように拳を放つ。重巡棲キはグラーフの手首を弾きそらし、カウンター掌底と閃光爆発を叩きこむ!「イヤーッ!」
888: 2016/07/09(土) 22:23:11.65 ID:OJjxbVPC0
しかしこれはグラーフの想定内だ!掌が突き出されたと同時に重巡棲キのワン・インチ距離に踏み込むと、ガントレットを脇に挟み込んだ。無論、閃光爆発はグラーフの後方で炸裂し無効!「イヤーッ!」「グワーッ!」さらにガントレットを抱えたまま頭突きを繰り出す!重巡棲キはたまらず苦悶!
889: 2016/07/09(土) 22:30:08.25 ID:OJjxbVPC0
グラーフは残りの手でゼロ距離リボルバー射撃を試みたが、重巡棲キもさる者!「イヤーッ!」巧みな体重移動で姿勢を瞬時に変更しグラーフを投げ飛ばす!「イヤーッ!」グラーフは叩きつけられた衝撃をウケミで無効化し、床を蹴って再び重巡棲キに掴みかかかる!「イヤーッ!」「イヤーッ!」2名は木人拳めいたコンパクトな応酬を開始する。まさにチョーチョー・ハッシ!
890: 2016/07/09(土) 22:37:44.90 ID:OJjxbVPC0
「クソ……クソ!重巡棲キ=サン!ソイツもぎ離せ!狙えねーだろーが!」「今は無理。イヤーッ!」集積地棲キはその様子を歯噛みしながら見守るしかない。ここまで2者の距離が近いとなると援護射撃がフレンドリーファイアなり得るからだ。(((やはり撃ってこないか。とりあえずは狙い通りだ)))グラーフは打撃の応酬を続けながらも、このイクサにおける最適解を選択してゆく。経験にモノをいわせた老獪な戦法である。
891: 2016/07/09(土) 22:44:17.13 ID:OJjxbVPC0
「イヤーッ!イヤーッ!なあ君!私は君のジツを知ってるぞ!イヤーッ!」舌戦についても優位に立つのも忘れてはいけない。打撃をいなしながら重巡棲キを揺さぶりにかける。「実弾じゃなくてエネルギー!ヒカリ・ジツだろ!?イヤーッ!」「イヤーッ!」重巡棲キは応えない。しかし表情がほんのわずかに変化したのをグラーフは見逃さなかった。
892: 2016/07/09(土) 22:50:06.94 ID:OJjxbVPC0
通常、艦娘や深海棲艦娘はカラテ砲やカラテ機銃には実弾を用いる。弾丸にカラテを込め撃ち出すのだ。しかし一部には弾丸ではなく、無形のエネルギーを飛び道具として用いる者がいる。プラズマキャノンやレーザーライフルなどが代表される。その中でも図星であろう重巡棲キのヒカリ・ジツは血中カラテを炸裂閃光エネルギーに変換し、叩きこむ強力なジツだ!
893: 2016/07/09(土) 22:58:25.27 ID:OJjxbVPC0
「ヒカリ・ジツの弱点は!イヤーッ!」一瞬の隙を見計らい銃撃反動肘鉄を叩きこむ!「グワーッ!」「カラテエネルギーの消費が激しく連射が効かない事!」「イヤーッ!」重巡棲キはダメージを振り払い、左掌底を繰り出す!「次は!当たりさえすれば強力だが!」グラーフはアッパー銃撃で左ガントレットを跳ね上げる!撃ち出された閃光爆発は天井に炸裂!
894: 2016/07/09(土) 23:03:38.18 ID:OJjxbVPC0
「外した時のリスクが大きいことだッ!」「!」無防備になった重巡棲キの額に銃口を向ける!なんたるジツの特性を把握したグラーフの頭脳カラテか!ハイ状態から脱したといえど、いまだグラーフの体内にはBKT物質が駆け巡っているのだ!(((これで終わりだ!)))グラーフはトリガーにカラテを込める!
895: 2016/07/09(土) 23:09:51.81 ID:OJjxbVPC0
そう、それはまさに銃弾が発射されようとするほんの一瞬の間であった。グラーフのサイバネ・コンタクトレンズを赤い閃光が駆け抜けたのだ。その閃光の軌跡にあったリボルバーの銃身が切断され、ボトリと落ちた。(((………な)))ほぼ本能的にそらした顔の、頬の傷口が焼ける匂いが鼻をつく。「確かに、私のジツは連射も効かないし、外した時の隙も大きい」
896: 2016/07/09(土) 23:17:14.48 ID:OJjxbVPC0
右手を振りぬいた重巡棲キは静かに語った。「でも、こんな使い方もある」右手ガントレットの蛍光灯めいた発光体から、閃光の刃が飛び出している。やがてそれは光を失って消えた。「これも1度に一回斬りつけたら消えてしまう……それでも、銃身くらいなら簡単に斬れるから」
897: 2016/07/09(土) 23:18:20.18 ID:OJjxbVPC0
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898: 2016/07/09(土) 23:27:07.71 ID:OJjxbVPC0
ナチはキャノン砲によって開けられた穴から降り立ち、周囲を見渡す。様々な備品が積まれた棚がずらりと並んでいる。お目当ての倉庫の丁度上で先頭を行っていたという事なのだ。(((モッチャム!)))しかしナチは油断せず、ショートボウを展開してすり足で全身する。警備の者がいれば即座に射頃すのみだ。
899: 2016/07/09(土) 23:30:58.27 ID:OJjxbVPC0
「うっわ、何かヘンなのが来た」皮肉めかした言葉が聞こえた。ナチはそちらに弓を構え振り向く。その声の主は檻の中で肘を突き、横になっている。艦娘……違う。この雪めいて白い肌は深海棲艦娘だ。彼女の奥の目には、どこかものぐさなアトモスフィアがある。「侵入者ってあんた?ご苦労なこったねー」
900: 2016/07/10(日) 00:04:20.69 ID:gXsK7Fsx0
「何者だ」ナチは問うた。深海棲艦娘はあくびをした。「何者って?見て分かるでしょーに。あんたらのにっくき敵のひとりでーす。にしてもおかしな格好してんね」「貴様は捕虜か?」「捕虜?」深海棲艦娘は訊き返した。「ぷっ!戦争ゴッコでもしてるの?んなわけないっしょ、同じ深海棲艦娘なのにさぁ」
901: 2016/07/10(日) 00:07:29.72 ID:gXsK7Fsx0
「では懲罰中か。戦争のドサクサでスシでもつまみ食いしたか」「まだ言ってやんの。あんたの妄想にこっちも付き合わなきゃいかんのかい」「フゥーム」ナチは親指で顎を擦った。「ジャングルの奥地でイクサを投げ出した脱走兵の話は、聞いた事がある。ヤレヤレ!情けない奴め」「アー……もうそういうことでいいや、うん」
902: 2016/07/10(日) 00:11:25.11 ID:gXsK7Fsx0
深海棲艦娘は尻を掻いた。「とにかくあたしのことはアレだ、いないと思っていいよ。別に通報したりしないし、好きに家捜しすりゃいいんじゃない?ここって割となんでもあるっぽいし、あたしにゃ関係ないけど」「……」ナチは思案した。「私はナチだ。貴様の名前は?」「名前ぇ?駆逐水キだけど」
903: 2016/07/10(日) 00:16:40.39 ID:gXsK7Fsx0
「とにかくさぁー、アンタなにしにきたワケ?ドロボー?」駆逐水キは言った。「ドロボーではない!施設侵入のち物資強奪だ」「ドロボーじゃん」「やかましい、あるふたりと一時的に協力しここまで侵入してきたのだ」「艦娘?」「そうだ」「………」駆逐水キは目を閉じた。「中央指令室に反応がひとつ。少し離れてもうひとつ」
904: 2016/07/10(日) 00:23:02.63 ID:gXsK7Fsx0
「居場所が分かるのか?」ナチは言った。駆逐水キは起き上がり、体育座りした。「まあ一応、そういうジツとかなんとかだって。疲れるから使うのヤなんだけどね」「実際有用な能力だ。なぜ檻の中にいる?」駆逐水キは何度目かわからないあくびをしている。「ヨルノヤミガー、コワクテー、コワクテー…」「まじめに答えろ」「仕事がめんどいから」
905: 2016/07/10(日) 00:30:11.08 ID:gXsK7Fsx0
「職務放棄か」「そーだよ。バツとしてここでこうしてる。。何もする事ないし、寝てるってワケ」駆逐水キは再び寝そべった。「そろそろ行けば?」「……」ナチは檻に手をかけた。「ヌゥーッ……!」「ちょっ…タンマタンマ、なにしてんの?アタシのこと大破させるつもり?それはさすがに勘弁してよ」「大破?何をバカな」格子を捻じ曲げながら言った。「へあ?」「お前は一緒に来い。我がサヴァイヴァー・チンジフに!」ナチはそう言い放つと、さらに手にカラテを込めた。
906: 2016/07/10(日) 00:30:41.84 ID:gXsK7Fsx0



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