82: 2016/07/30(土) 22:16:24.62 ID:DsRXIQsv0
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前回:ガール・フー・イズント・ボーイ・アウェイクン#3

最初から:ウェルカムトゥ・ネオサイタマ・チンジフ

ニンジャスレイヤー キョート・ヘル・オン・アース 17 (チャンピオンREDコミックス)
83: 2016/07/30(土) 22:17:27.38 ID:DsRXIQsv0
【KANMUSLAYER】

84: 2016/07/30(土) 22:19:03.34 ID:DsRXIQsv0
ビスマルクはしばしレーベを見つめた後、静かに口を開いた。「今回の6月イベント……一部の提督は絶望し、クリアするのを諦めた」部下の艦娘たちがさらに叫んだ。「その心は!」……禅問答だ!ビスマルクは未だレーベを見つめている。

85: 2016/07/30(土) 22:24:16.72 ID:DsRXIQsv0
「ハ…ハイッ!」レーベ(なお彼女はくれぐれも女性である)は背をぴんと張って返事した。「空襲システムとラスダンで道中E以外のマスが全強化される理不尽仕様だったからです!」「バカ!」ビスマルクはレーベの頬を平手で打った。「ンアーッ!」なお、これは禅問答であるため、答えの内容に関係なく、罵りと張り手は飛んでくる。

86: 2016/07/31(日) 00:23:26.06 ID:bDzbICom0
「素晴らしい!レーベ=サン、ブッダも貴方を見ています。これからもさらに励みなさい」「うう……アリガトウゴザイマス!」涙目になりながらも、駆逐艦娘レーベレヒト・マース、通称レーベは健気にオジギした。ここはグランドマスター・ビスマルクの室内カテドラル、本日も早朝から朝礼が行われている。

87: 2016/07/31(日) 00:30:05.94 ID:bDzbICom0
チェス盤めいて等間隔に並ぶレーベを含めた部下の艦娘たちの前に立つビスマルク、彼女は歩き回るのを止め、レーベを目を細めて見つめている。緊張するレーベはごくりと唾をのんだ。「時にレーベ=サン、本日貴方は始めて実戦に出ると聞きましたが?」「は、ハイ。今までは偵察任務や遠征だけだったんですが……」レーベは先日アプレンティス位階からアデプト位階になったばかりの新米だ。今回の駐屯基地防衛作戦が、始めての本格的なイクサである。

88: 2016/07/31(日) 00:40:41.40 ID:bDzbICom0
ビスマルクは柔らかなアルカイックスマイルを浮かべているが、その心情は窺い知れない。しかしそのアトモスフィアは間違いなく強者のそれである。「不安なのですか?」しばし沈黙していたビスマルクはおもむろに口を開いた。見抜かれている、レーベはびくりと震え、何を言うべきか言葉を選んだ。何か間違えればまた平手打ちされてしまうかもしれないからだ。

89: 2016/07/31(日) 00:53:32.45 ID:bDzbICom0
「その……あの……ボクは」言い淀むレーベ(なお彼女はくれぐれも女性である)、しかしビスマルクは咎めなかった。「不安なのですね。仕方のないことです、誰しもが通った道です。私もそうでした」そこでアルカイックスマイルから一転、引き締まった表情になる。「だが私たちにはロードのご加護があります、なので恐れる必要はありません」ビスマルクが目配せすると「その心は!」再び部下の艦娘が叫ぶ!ナムサン!また禅問答だ!

90: 2016/07/31(日) 01:02:11.94 ID:bDzbICom0
「ハイ!」言い淀むレーベに対し、ケイサク・メイスを持って、不用意に動いてしまった部下を殴打する役割をしていた艦娘プリンツ・オイゲン、通称プリンツが勢いよく挙手した。プリンツはビスマルクの最も忠実な部下であり、ビスマルクを「姉さま」と呼び敬愛し、常にそばにいる艦娘だ。

91: 2016/07/31(日) 01:04:47.59 ID:bDzbICom0
「はい、プリンツ=サン」ビスマルクがプリンツを刺した。「私たちにとってロードはほとんどブッダ。ゆえにロードのご加護はブッダのご加護だからです!」「バカ!」ビスマルクはプリンツの頬を平手で打った。「ンアーッ!」なお、これは禅問答であるため、答えの内容に関係なく、罵りと張り手は飛んでくる。

92: 2016/07/31(日) 01:12:32.08 ID:bDzbICom0
しかしビスマルクは涙目のプリンツをすかさず抱きかかえ、優しく囁きかけた。「プリンツ=サン……まさにその通り。流石ね、今日の夜は私の寝室に来なさい」「ああ姉さま、プリンツはとても幸せです…!」艦娘同士の顔が近い、ブディズムにおいて異性同士のむやみな恋愛は控えるべきだといわれている。なので同性同士なら何も問題はないのだ。

93: 2016/07/31(日) 01:21:16.90 ID:bDzbICom0
「分かりましたね?レーベ=サン」「え?あ、ハイ!」ビスマルクが再びレーベに向き直る。他の艦娘たちと、その様子を何とも言えぬ表情で見ていたレーベは慌てて背筋を伸ばした。「私たちはロードの拳であり、なおかつブッダの千の拳の一つ一つなのです。なのでレーベ=サン、貴方はブッダの拳として、敵を殴りなさい」ビスマルクは敬虔なブディストとして、レーベの上官として、有無を言わせぬアトモスフィアでそう言った。

98: 2016/08/03(水) 13:30:26.31 ID:FO5BJiZD0
◆今日な~◆

101: 2016/08/03(水) 22:04:02.56 ID:FO5BJiZD0
さらに数時間後、レーベは海の上にいた。ここはアサクサ海、ネオサイタマ第12駐屯基地……以前はそう呼ばれていた、今はキョートのものだ。奪還した矢先に凄惨なる全裸ケジメ事件が起きたことは記憶に新しい。そしてブキミな静けさが支配するこの海域には、辺りを視界を遮るように白い霧がたちこめている。

102: 2016/08/03(水) 22:09:04.51 ID:FO5BJiZD0
(((ふぅ…ふぅ…)))レーベは不安を押し消すように先ほどから息を整えている。初めての実戦だ、何があるか分からない。押し寄せる不安感を中々拭うことができず、レーベは落ち着かないように辺りを見回している。すると「オイ、レーベ=サンきょろきょろすんな!みっともねぇぞ?」一喝するかのような声で、レーベは小さく飛び上がってしまった。

103: 2016/08/03(水) 22:15:17.84 ID:FO5BJiZD0
「わっ!?は、ハイ!ゴメンナサイ!」慌ててペコペコ頭を下げるレーベをその艦娘、ジュンヨウは呆れたように見やった。「ケッ、敵どもがここまでくる確率は低いからッてこんなヒヨッコと一緒に組まされるとはな」ジュンヨウは肩に担いだ鉄塊めいた巨大メイスを一振りし、吸っていたBKTタバコを握りつぶして消した。「そんなナヨナヨしてて敵の暴力に耐えられんのか?あ?」

104: 2016/08/03(水) 22:20:19.14 ID:FO5BJiZD0
赤く燃えるように尖った髪、豊満な胸にサラシを巻き、片方の肩を剥き出しにし、装束の背中側に刻まれたオスモウ書体の「健」「康」の威圧的な2文字、闘争心溢れる瞳、まさに暴力を全身で体現しているかのような、キョート・シテンノのひとりであるマスター艦娘の佇まいに、レーベはただ小さくなるばかりだ。

105: 2016/08/03(水) 22:32:09.14 ID:FO5BJiZD0
「まあまあまあ……ジュンヨウ=サン、仕方ないよ。初めての実戦なんだから緊張して当然!だよね?」しかし縮こまるレーベと不満げなジュンヨウの間に、なだめるように1人の重巡洋艦娘が割り込んできた。「モガミ=サン…」ニコニコと快活に笑う、その艦娘モガミはレーベ肩をやさしくポンと叩く。彼女はこの海域の防衛を任された部隊の旗艦、彼女もマスター位階の艦娘である。

106: 2016/08/03(水) 22:44:46.38 ID:FO5BJiZD0
「センセイも私に言ったんだ、こほん…『まあ、初めてのときなら誰でもそうなるな』って、だから一緒にガンバロ!」「…はいっ!」白い霧に包まれたこの場所に咲いた一輪の向日葵のような笑顔は、たちどころにレーベの心を和らげた。「そうそう、その気持ちとっても分かるよ」「ファイトです!」同じ部隊のユラとフルタカも自分を元気づけてくれる。

107: 2016/08/03(水) 22:49:28.27 ID:FO5BJiZD0
「へっ、別にビビらせるつもりで言ったワケじゃねぇよ。ハッパかけたンだ、いけんのか?レーベ=サン」「が、がんばります!」「精々気張れや」そう言うとジュンヨウはレーベの方へ歩み寄ってきた。「それともう一つ、聞きたいことがある」「へ…?」目の前に立ったジュンヨウをレーベは訝しむように見た。聞きたい?何をだろうか?

108: 2016/08/03(水) 22:54:31.69 ID:FO5BJiZD0
「おめー本当に女なのか……よっ!」そう言ったジュンヨウは突然、レーベの股に腕を滑り込ませてきた!「ンアーッ!?」再び驚いて飛び上がるレーベ!「ち、ちょっとジュンヨウ=サン!なにしてんのさ!」慌ててモガミが止めに入る。もしジュンヨウではなくレーベの股に手を滑り込ませたのが提督だったら、憲兵が直ちにその股間にゼロセンを食らわせたであろう程のハラスメントである。しかし同性同士なのでハラスメントには当たらない。

109: 2016/08/03(水) 22:58:56.23 ID:FO5BJiZD0
「やっぱついてねえ…(男のは触ったことないから分からんが)女なんだな、おめー」「当たり前でしょ!」感触を確かめるかのように指を動かすジュンヨウをモガミがたしなめている。「ぼ、ボク……女の子ですよぅ」そして涙目で弱々しく抗議するレーベ。「艦娘なんだから女の子に決まってるじゃん!もー!」「触んなきゃわかんねえだろ!前から気になってたんだ、コイツが女なのか男なのかよー」

110: 2016/08/03(水) 23:04:49.76 ID:FO5BJiZD0
「どっからどう見ても女の子じゃん!」「そう言うおめーもだモガミ=サン!髪が短髪だからか男にも見える!そう思わねーかおめーら!?」ジュンヨウから話題を振られたユラとフルタカは困ったような笑みを浮かべるしかない。「失敬な!ボーイッシュって言ってよ、ボクだって女の子だもん!」「そのボクって一人称もだよ。紛らわしいッてんだよ、ハッキリしやがれ!」「んなこと言われても…」

111: 2016/08/03(水) 23:09:54.27 ID:FO5BJiZD0
めちゃくちゃな言い分のジュンヨウをなだめるように、次はユラが割って入ってきた。「まあまあそのへんにしましょうよジュンヨウ=サン。ところで、なんでいきなり男だ、女だって?」ユラの問いかけに、ジュンヨウは鼻白んだような表情になった。「え?あー……そうだな、レーベ=サンみてえな見た目の男をどっかで見たような」「男の人?キョートにはいないじゃないですか」歯切れの悪いジュンヨウの言葉に、フルタカが首を傾げる。

112: 2016/08/03(水) 23:17:50.89 ID:FO5BJiZD0
「わーってるよ、でもどっかで見た気がしたんだ……思い出せねーけど」「はいはい!どうせボクは女っ気ないですよーだ!センセイにも言われたことあるし慣れてるもん!」「おいおい、ヘソ曲げんなよ」一気に和やかになったアトモスフィアにレーベは胸を撫で下ろした。この張り詰めた空気が、自分を緊張させていたのかもしれない。上官のビスマルクの顔に泥は濡れない、急いだヒキャクがカロウシした、コトワザを通りにならないように落ち着いてやろう。

113: 2016/08/03(水) 23:25:03.09 ID:FO5BJiZD0
四方を見張るクローンヤクザ妖精たちが何かを見つけた様子もない、しばしの沈黙の後『…重点!通信重点な!』「ん…?タニカゼ=サンかな?」モガミの小型IRCに受信があったようだ。全員の目線がそちらに注目する、モガミの言った通り通信の相手はこの海域を交代で巡回警備していたタニカゼであろう。彼女は古代ローマカラテの油断ならぬ使い手である。

114: 2016/08/03(水) 23:32:20.13 ID:FO5BJiZD0
「モシモシ?タニカゼ=サン?どうしたの?」『……………』無言、タニカゼは何も言わない。モガミは首を傾げ、もう一度名前を呼んだ。「タニカゼ=サン…?」『……………敵しゅ、う…ヤバイの、が』そこから先は続かなかった。『……アバッ!サヨナラ!』大爆発四散音でかき消されたからだ!「タニカゼ=サン!?モシモシ!タニカゼ=サン!」モガミの呼びかけに応じる声はもうなかった。「タニカゼ=サンが、やられちゃった…!」モガミのその言葉を聞いた全員を衝撃が貫いた。タニカゼがやられた、つまり敵襲か!?

115: 2016/08/03(水) 23:36:29.46 ID:FO5BJiZD0
(((…………ッ!?)))次の瞬間、レーベは身体をびくりと震わせた。ユラもフルタカも同じだ、急に顔から冷や汗が噴き出した。なぜか?突然、周囲の気温が数度下がったように感じられた……その極寒の冷気めいたアトモスフィアがこの駐屯基地に迫ってくる、そうカンムス第六感が告げている。心臓の鼓動が早鐘を打つように加速する。怖い、そちらに目を向けられない。

116: 2016/08/03(水) 23:42:24.79 ID:FO5BJiZD0
しかしモガミとジュンヨウは、その主たちを見据えている。「まさか……!」「ヘッ、こんな端の方で、大物が釣れちまうとはなぁ!」レーベは荒い息を吐きながら、なんとかそちらの方へと目を向けた。白い霧の中から出でる3つの影、ゆっくりと、こちらに歩を進めてくる。その暗い圧力が、この場所を覆っていく。「………君たちの仲間は、すでに1人処罰した」影の中の1人が声を発した。喉元にカタナを突きつけられたような、ゾッとするアトモスフィアがレーベを苛む。

117: 2016/08/03(水) 23:52:19.33 ID:FO5BJiZD0
「アタイたちの提督のさぁ、領海をブン取ってくれるなんて大した度胸してるよなあ?いい覚悟だ」「司令官に迷惑をかける悪い子たちにはお仕置きが必要よねぇ?」それ続くように残りの2人が口を開いた。3つの影にかかった霧が薄らいでゆく、まるで、恐れているかのように。レーベはガチガチと奥歯を震わせた、コワイ、コワイ、コワイコワイコワイ、その場から一歩も動けない。

118: 2016/08/04(木) 00:23:46.17 ID:yUaBwXBR0
そして霧が薄れ、そこにいた3人の好戦的な眼差し、にこやかな眼差し、鋭い眼差し。それに共通するのは禍々しきキリングオーラ。そのうち、鋭い眼差しの黒髪の艦娘が一歩前に出た。モガミとジュンヨウは瞬時にカラテを構えた。しかしその艦娘は平然した様子で言葉を続けた。

119: 2016/08/04(木) 00:30:16.49 ID:yUaBwXBR0
「僕の名前はハツヅキ、聞いたところによると君たちは、ジツに操られているそうだね?」「アサシモだ」「キサラギで~す」続く2人も一歩前に出る。ドス黒いオーラが辺りを包む。「しかしそんなことは関係ない。ネオサイタマ・チンジフ、僕の提督に仇なすものに慈悲など必要ないからね。我らコロス・カンムスクラン、君たちに氏を持って償ってもらうよ」ハツヅキと名乗った艦娘が背負ったカタナを引き抜く。空気が悲鳴を上げ、切り裂かれた。

120: 2016/08/04(木) 00:33:31.07 ID:yUaBwXBR0

引用: 【艦殺(艦これ×忍殺)】ガール・フー・イズント・ボーイ・アウェイクン