1: 2025/12/17(水) 17:43:49 ID:???Sa
吟子「何突然おかしなこと言ってるん?」

花帆「ええー!? 突然じゃないよ!」

吟子「……ちょっと説明してほしいんだけど」

花帆「いや、だってさ、今新曲作ってる途中だよね?」

吟子「ああ、そういうこと」

花帆「そうだよ! 今回の新曲はさ……キ、キスがテーマなのです!」

2: 2025/12/17(水) 17:44:49 ID:???Sa
吟子「うんうん唸りながらノートとにらめっこしてると思ったら、そんなこと考えてたんだ」

花帆「それで、どうなの? 吟子ちゃん!?」

吟子「どうって……それは……ない……けど」

花帆「そっか~」

吟子「なんなん? べ、別になくたっていいでしょ」

花帆「そうだけど、でも……」

吟子「そ、そういう花帆先輩はどうなの? あるの? ないの?」

花帆「え……えっと」

吟子「えっと?」

花帆「……ありません」

3: 2025/12/17(水) 17:47:26 ID:???Sa
吟子「まあ、わかってた。あったらそんなに悩まないだろうしね」

花帆「で、でもでも! 恋愛小説はたくさん読んでるんだから!」

吟子「小説? ……それで? なんて書いてあったの? ミカン味? キウイ味?」

花帆「それが……どれもあまり詳しく書いてありません……」

吟子「詳しかったら生々しすぎるでしょ。そういうのが売りの話もあるのかもだけど」

花帆「そういうのが売りのは読んだことがありません……」

吟子「じゃあ、読んでみたらいいんじゃないの?」

花帆「ぎ、吟子ちゃんの変O! ムッツリスOベ! そ、そんな本を薦めるなんて……!」

4: 2025/12/17(水) 17:48:49 ID:???Sa
吟子「何それ。……だって、どんな感じか知りたいんでしょ?」

花帆「そうだけど、でも本で読んだってさ……」

吟子「何?」

花帆「……そりゃあね、空を飛びたいとかね、魔法を使いたいとかならね、誰もやったことないから、こんな感じ~って歌詞を書いても大丈夫だけどさ」

吟子「そう、だね」

花帆「実際にキスしたこともないのにさ、キスってこんな感じだよねって書いて、『え? 全然違うんだけど。もしかしてこの子経験ない?』って思われたらどうするの?」

吟子「それは別にいいんじゃ……」

花帆「じゃあ、吟子ちゃんが作詞したって言っていい?」

吟子「やめて」

5: 2025/12/17(水) 17:49:42 ID:???Sa
花帆「ほら! ……だからさ、どんな感じか実際にしたことある人に聞きたいなーって」

吟子「とは言っても……したことある人って……」

瑠璃乃「おやおや?花帆ちゃん、吟子ちゃん。 スリブの打ち合わせ? 何か困ってそうな雰囲気だけど、力になれること、ある?」

花帆「あ! 瑠璃乃ちゃん!」

吟子「ちょ、ちょっと待って花帆先輩、まさか……」

花帆「うん、ちょうどいいところに来てくれたよね」

吟子「大丈夫かな? 失礼なんじゃ。親しき仲にも礼儀ありじゃない?」

花帆「吟子ちゃんだってあたしに聞いたくせに」

吟子「それは、花帆先輩が先に聞いてきたからでしょ」

6: 2025/12/17(水) 17:50:54 ID:???Sa
瑠璃乃「何の話か分からないけど……ルリと二人の仲だからね。何でも聞いてくれていいんだぜ!」

吟子「えっと、じゃあ……」

花帆「あのね、瑠璃乃ちゃん、瑠璃乃ちゃんはキス、したことある?」

瑠璃乃「ええ!? キ、キス!?」

花帆「そう、瑠璃乃ちゃんは……したことあるの?」

瑠璃乃「ル、ルリは、その……カ、カリフォルニアにいたからね。キスなんてえぶりでい……だよ」

7: 2025/12/17(水) 17:51:44 ID:???Sa
吟子「そうじゃなくて!」

花帆「吟子ちゃん!?」

吟子「挨拶じゃなくて、ちゃんと……唇と唇の、やつです」

瑠璃乃「それは、ありません……」

花帆「瑠璃乃ちゃんもないかー」

吟子「これで経験のないのが三人、ですね」

瑠璃乃「あ、二人もないんだ。ふいー、何か試されてるのかと思って焦ったぜー」

瑠璃乃「それで、何でキスの経験を?」

花帆「それは——」

8: 2025/12/17(水) 17:52:29 ID:???Sa
瑠璃乃「なるほどねー。作詞のためかー」

花帆「そう! 実体験に基づくリアルな感想を求めているのです!」

吟子「でも、やっぱりそう都合よく話を聞ける人は来ないんじゃ……」

瑠璃乃「結局……唇と唇が触れあうわけじゃん?」

花帆「え、うん」

瑠璃乃「じゃあさ、こう……自分の上唇と下唇をくっつけてみたらわかるんじゃない?」

吟子「なるほど」

瑠璃乃「ほら、んー」

花帆「んー」

吟子「んー」

9: 2025/12/17(水) 17:53:39 ID:???Sa
瑠璃乃「んー……あの、これ自分で言っておいてなんだけど……」

吟子「んー……はい」

花帆「んー……うん、ちょっとよくわかんないね」

さやか「こんにちは、みなさん。並んで口を突き出して、今日は一体何をしているんですか?」

吟子「さやか先輩? どうしてここに?」

さやか「はい、いつものパターンなら、そろそろ花帆さんか小鈴さんあたりが何か困っているころじゃないかと思いまして」

瑠璃乃「休日の行動パターンが予測されてる!?」

花帆「さすがさやかちゃん。そう、ちょうど誰か来ないかと思ってたんだよ」

10: 2025/12/17(水) 17:54:21 ID:???Sa
さやか「それは、いいタイミングでしたね。それで、どうしたんですか?」

花帆「それがね、さやかちゃんは……キス、したことある?」

さやか「なっ!? キ、キ、キス……ですか?」

吟子「そう、キスです」

さやか「そ、それは……」

吟子「それは……?」

さやか「フィ、フィギュアスケートの採点結果を待つ場所のことを、何と呼ぶか知っていますか?」

花帆「え、何だっけ。何か聞いたことあるような……」

瑠璃乃「えーと、確か……何とかアンド何とか、みたいな」

吟子「そうだ、キスアンドクライです!」

さやか「そう、キスアンドクライ。採点結果を受けて、時には涙し、そして時には歓喜の口づけを交わす……そんな場所です」

11: 2025/12/17(水) 17:55:29 ID:???Sa
花帆「おおー!」

さやか「これまで何度あの場所に行ったか」

瑠璃乃「と、いうことは?」

さやか「はい」

吟子「どうなんですか?」

さやか「……すみません、したことありません」

瑠璃乃「駄目かー」

花帆「ええー、ある流れじゃなかった? 今の」

さやか「みなさんの、真剣で期待に満ちた目を見たら……つい勿体ぶってしまいました」

吟子「でも、さやか先輩も駄目となると……」

花帆「うーん、次は誰か来るかなあ」

さやか「ところで、なぜ……その、キスの経験を聞いているんですか?」

花帆「それがね——」

12: 2025/12/17(水) 17:56:30 ID:???Sa
さやか「なるほど、新曲の歌詞ですか」

花帆「そう、説得力のある歌詞を書くためには、経験者の助けが必要なの」

さやか「しかし、なかなか都合よく経験者が来る気はしませんね」

瑠璃乃「さっきはそう言ってたらさやかちゃんが来たんだけどね」

さやか「では、わたしたちが実際に経験してみてはどうですか?」

吟子「え? さやか先輩?」

瑠璃乃「だ、誰かとキスするってこと!?」

花帆「そ、そういうのはやっぱり……ほら、本当に好きな人とじゃないと駄目だよ!」

13: 2025/12/17(水) 17:57:42 ID:???Sa
さやか「いえ、経験といっても、疑似的なものです」

瑠璃乃「つまり……?」

さやか「何か感触の近いもので、試してみるということです」

花帆「なるほど……」

吟子「感触の近いものって、なんだろう」

瑠璃乃「うーん、適度な弾力と柔らかさがあってー……」

花帆「お餅は?」

さやか「お餅だと、ちょっと柔らかすぎるかもしれませんね」

吟子「じゃあ、白玉……とか?」

花帆「それだ! それだよ、吟子ちゃん!」

さやか「なるほど、白玉ですか」

瑠璃乃「でも、白玉って、街まで行かないと手に入らないんじゃない?」

さやか「ご心配なく。小鈴さんのおやつ用に白玉粉なら常備しています」

花帆「さっすがさやかちゃん! じゃあ、今から作れるの?」

さやか「はい、そうしましょう」

14: 2025/12/17(水) 17:58:52 ID:???Sa
……


小鈴「お~? 何だか、いい匂いが~」

さやか「あ、小鈴さん」

小鈴「あ、さやか先輩。それに花帆先輩に瑠璃乃先輩、吟子ちゃんも」

花帆「小鈴ちゃん、こんにちは」

小鈴「こんにちは。……徒町、いい匂いにつられて来てしまいました」

さやか「ちょうど今白玉をゆでているところですから、少し待っていてください」

小鈴「はい! 白玉楽しみです! でも、どうしてみなさんで白玉をゆでているんですか?」

15: 2025/12/17(水) 17:59:38 ID:???Sa
花帆「あのね、小鈴ちゃん……」

吟子「待って待って! 小鈴だよ?」

さやか「そうです、小鈴さんに限って、そんなこと……」

瑠璃乃「でもさ、ウチら中学時代の小鈴ちゃんのこと、あまり知らなくない?」

さやか「それは……」

瑠璃乃「福井では当たり前ですっ! とか言われちゃったら、どうする?」

さやか「そんな、小鈴さんに経験があるなんて、わたしは……保護者として、どうしたら」

16: 2025/12/17(水) 18:00:21 ID:???Sa
小鈴「あのー、何の話ですか……?」

花帆「ほら、やっぱり確かめてみないと!」

吟子「う~、じゃあ……小鈴、その……小鈴は、キスって……したことある?」

小鈴「え? ない……けど」

花帆「はあ~、よかった~」

瑠璃乃「セーフセーフ」

さやか「ラブライブ!決勝より緊張しました」

小鈴「ええと……?」

吟子「あのね——」

17: 2025/12/17(水) 18:01:04 ID:???Sa
小鈴「そうなんだ。キスの経験……徒町経験なくてごめんね、吟子ちゃん」

吟子「ううん、こっちこそ、経験なくいてくれてありがとう」

小鈴「……?」

小鈴「あ! でも、もしかしたら力になれるかも!」

吟子「小鈴?」

小鈴「さやか先輩! あれをやりましょう!」

さやか「あれ……ですか?」

小鈴「はい! あれです!」

さやか「まさか……今ここで?」

小鈴「はい! みなさんのためにも!」

さやか「わかりました。みなさんのために一肌脱ぎましょう」

吟子「このパターンは、何か嫌な予感が」

18: 2025/12/17(水) 18:02:12 ID:???Sa
さやか「……ショートコント『キスの味』」

小鈴「さやか先輩! 徒町、キスの味を知ってしまいました!」

さやか「ええ!? 小鈴さんが? ……それで、どんな味だったんですか?」

小鈴「はい、少し生臭いですが、うまみが強くておいしかったです!」

さやか「それは……魚の鱚の味ですね」

小鈴「ちぇすとー!!」

19: 2025/12/17(水) 18:02:55 ID:???Sa
吟子「それ、なんで今やったの?」

さやか「ふう、お役に立てたでしょうか」

瑠璃乃「全っ然役に立ってないよ? 魚の鱚じゃん!?」

さやか「ええ!? そんな……では、もう一つ別のものを」

花帆「そ、それより、もういいんじゃない? 白玉」

さやか「あ、そうですね……みんな浮かんできましたし、大丈夫だと思います」

20: 2025/12/17(水) 18:04:01 ID:???Sa
瑠璃乃「やったー」

さやか「では、氷水で冷まして……冷やしておいたこちらの器に入れたら……はい、冷やし白玉ぜんざいのできあがりです」

小鈴「おいしそうです!」

花帆「それじゃあ、いっただきまーす!」

吟子「待って!」

花帆「吟子ちゃん?」

吟子「花帆先輩、当初の目的を見失ってる」

花帆「あ! そうだった! ……おいしそうで、つい」

吟子「もう、しっかりしてよね」

花帆「よし、それじゃあ……試してみるね」

21: 2025/12/17(水) 18:05:03 ID:???Sa
花帆「……」

花帆「……はー、どきどきしてきた」

吟子「早くやって」

花帆「ちょっと待ってよ、もう。じゃあ吟子ちゃんが先にやって」

吟子「え……う、うん」

花帆『ほらほら、早く~」

吟子「ちょっと、意識すると何だか……」

セラス「あれ? 花ちゃん。……それに、先輩方」

22: 2025/12/17(水) 18:06:05 ID:???Sa
瑠璃乃「あ、セラスちゃん」

セラス「どうしてみんなでそんな真剣にぜんざいを見つめているんですか?」

さやか「……セ、セラスさんに聞くのはセーフでしょうか」

瑠璃乃「後輩にこういうこと聞くのってセクハラじゃないかな……?」

吟子「これが問題になって、一年間の対外活動禁止、BGPも頓挫、なんてことになったら……」

小鈴「ええ~!? そんな~!」

花帆「……大丈夫! あたしとせっちゃんは幼馴染だもん!」

23: 2025/12/17(水) 18:06:52 ID:???Sa
セラス「……なんですか?」

花帆「あのね、せっちゃんは……キ、キスしたこと、ある?」

セラス「え、ぜんざいと、何の関係が……?」

吟子「いいから。どうなの?」

セラス「そ、それは……その……」

セラス「は……花ちゃん、入院していたときに二人で経験した大切な思い出……忘れちゃったの?」

24: 2025/12/17(水) 18:07:37 ID:???Sa
花帆「え? ええ!?」

さやか「花帆さん!?」

吟子「どういうこと!?」

花帆「ちょっと、ちょっと待って!」

セラス「あの、ちょっと硬くて、ラバーの匂いがする……」

瑠璃乃「ん……?」

セラス「……心肺蘇生練習人形君のこと」

吟子「はい、経験なしね」

セラス「待って、冗談、冗談だから」

小鈴「じゃあ、あるの?」

セラス「……いいえ」

25: 2025/12/17(水) 18:08:15 ID:???Sa
瑠璃乃「結局ないんだ……」

花帆「はー、びっくりした」

さやか「しかし、一年生のセラスさんだけに経験があったら、先輩として情けないことになるところでした」

瑠璃乃「いや、そうかな? ……そうかも?」

セラス「それで、ぜんざいは何なんですか?」

小鈴「それがね——」

26: 2025/12/17(水) 18:22:19 ID:???Sa
セラス「なるほど、それで吟子先輩がこれからファーストキスをするところだったんですか」

吟子「ファーストキスじゃないから!」

セラス「さあどうぞ、私たちが見ていてあげますから、ぶちゅっとやっちゃってください」

吟子「だから違うって! じゃあ、セラスさんがやって。人にやらせたがるってことは、自分は当然できるんでしょ?」

セラス「え!? わ、私は……」

吟子「ほらほら、早く」

小鈴「ドキドキするね!」

セラス「わ、わかりました。うぅ……こんな衆人監視の元、乙女の初めてをささげることになるなんて」

瑠璃乃「言い方!」

27: 2025/12/17(水) 18:25:13 ID:???Sa
セラス「では、いきます……」

セラス「……」

セラス「ん……」

小鈴「おおー」

吟子「ど、どう?」

セラス「……冷たい」

瑠璃乃「ああー」

花帆「冷やしぜんざいだからねぃ」

小鈴「確かに……温かいほうがよかったのでしょうか」

さやか「では、一旦温めてみましょう」

28: 2025/12/17(水) 18:27:07 ID:???Sa
姫芽「……くそー、でも動きは覚えたから、次当たったら潰す……」

瑠璃乃「お、姫芽?」

姫芽「あ、るりちゃんせんぱい~、どうしたんですか~?」

小鈴「姫芽ちゃん! 今みんなでね……」

瑠璃乃「小鈴ちゃん待って! ……同じユニットだと、判断力が低下してわからなくなっちゃうんだけど、姫芽は? 姫芽はセーフ?」

花帆「セーフではあるけど、さらっと『ありますよ~』とか返ってきそうでもあるというか」

セラス「でも、目的はそれだよね?」

花帆「そうだけど、でもせっかく白玉まで作ったのに!」

29: 2025/12/17(水) 18:29:02 ID:???Sa
姫芽「なんですか~? お、白玉?」

瑠璃乃「あのね、姫芽……姫芽は、キスしたことあるかな?」

姫芽「キスですか~? ありますよ~?」

花帆「ほら! ほら!」

小鈴「ええ~!?」

姫芽「めぐちゃんせんぱいが~よくやってくれるじゃありませんか~。『ん~まっ♡』っていうやつ」

吟子「ああ……」

姫芽「そのときは~、もう全部受け止めて吸い込んでますよ~」

瑠璃乃「吸い込む……?」

30: 2025/12/17(水) 18:30:26 ID:???Sa
さやか「ええと、それだけですか?」

姫芽「それだけ? そうじゃないんですよ! それさえあれば満たされるというか十分というかもう他に何もいらないんですよそれ以上何を望むというんですか?」

瑠璃乃「姫芽……そうじゃなくて、その……ファンサみたいな話じゃなくて、本当のキスの話なんだ」

姫芽「え? ……ぬいぐるみとかアクスタとかとは含みますか?」

瑠璃乃「含まない、ね」

姫芽「じゃあ、ありませんね~」

吟子「はあ、結局姫芽も経験なしか」

姫芽「うん? 何の話なの~?」

吟子「それは——」

31: 2025/12/17(水) 18:31:33 ID:???Sa
姫芽「なるほど~。……あれ? でも~、るりちゃんせんぱいは、したことありますよね~?」

瑠璃乃「姫芽!?」

吟子「瑠璃乃先輩……?」

花帆「瑠璃乃ちゃん……私たちをだましていたの!?」

さやか「もしかして、わたしたちに気を使って?」

瑠璃乃「いやいや、誤解が生まれてるよ! 姫芽、どういうこと!?」

姫芽「だって~、めぐちゃんせいぱいと……してますよね~?」

32: 2025/12/17(水) 18:33:47 ID:???Sa
瑠璃乃「してないよ! そもそも、二人とも心も体も女子だからね!?」

姫芽「え~、るりめぐの二人には、そんなの関係ないんじゃないですか~?」

瑠璃乃「あるよっ!」

姫芽「う~ん、私の解釈だとしててもおかしくないんですけど~」

瑠璃乃「よからぬ解釈を広めるのはやめてね!?」

33: 2025/12/17(水) 18:35:02 ID:???Sa
姫芽「そうなると、心当たりはありませんね~」

花帆「そっかー」

姫芽「蓮ノ空は、監獄みたいな女子校ですからね~。なかなかいないんじゃありませんか?」

セラス「瑞河も田舎の女子校でしたし、やっぱり……あ!」

吟子「セラスさん?」

セラス「いた……いました。監獄でも田舎の女子校でもないところから来た人物……!」

35: 2025/12/17(水) 22:09:51 ID:???00
……


泉「やあ、セラス、みんな。……これは何の会かな? この季節に、ずいぶん温かそうなぜんざいがあるところを見ると、暑さ我慢大会かな?」

セラス「違う。泉にユニコーンと出会う素質があるか確かめる会、だよ」

泉「ふむ、ぜんざいとの関係はわからないが、ユニコーンといえば……」

セラス「そう、泉はキスしたこと、あるの?」

泉「なんだ、キスだけでいいのかい? 私はてっきり……」

瑠璃乃「ちょちょちょ、そこまでそこまで!」

吟子「それで、どうなの? 泉さん」

泉「当然あるとも」

36: 2025/12/17(水) 22:11:29 ID:???00
花帆「わー!」

さやか「きゃー!」

瑠璃乃「マジ!?」

セラス「く、く、詳しく!」

泉「ふむ、あれは……いつのことだったか」

泉「そう、あの日は恋愛ものの演劇の本番がある日だった……」

泉「舞台の上で、相手役と向かい合った私は、情熱的に……!」

吟子「ああ……そういう感じね」

37: 2025/12/17(水) 22:14:18 ID:???00
花帆「で、でも! お芝居だけど、したってこと、だよね?」

泉「ああ、芝居として、ね。……だが、芝居で本当にキスする意味は……まあほとんどの場合はないからね」

小鈴「それじゃあ、実際にしたことはないってこと?」

泉「ああ、角度を工夫すれば、実際にやる必要はないんだ。それに演劇以外では、残念ながら私の心を熱くする異性に出会ったことはないよ」

セラス「なんだ、じゃあ実際にしたことある私のほうが進んでるじゃん」

吟子「心肺蘇生練習人形君と、でしょ」

38: 2025/12/17(水) 22:15:15 ID:???00
泉「ふむ……察するに、キスの経験がある人を探しているものの、全滅ということかな。理由を聞いても……?」

吟子「はぁ……あのね——」

39: 2025/12/17(水) 22:16:39 ID:???00
泉「なるほど、作詞の真実味を増すため、か」

泉「私の演技が没入型だったなら、そこに臨むときの気持ちくらいは、共有できていたかもしれないが……残念ながら、私は客観型だ。観客からの見え方は計算できても、本当の意味でその役の気持ちになることはできない」

瑠璃乃「そういうものなんだ……」

泉「ところで……まだぜんざいの謎は解けていないのだが、一体どういうことなのかな?」

吟子「それは……」

姫芽「白玉の感触が、キスの感触と近いんじゃないかな~ってことみたいだよ~」

40: 2025/12/17(水) 22:18:18 ID:???00
泉「白玉が……キスに?」

泉「くくくっ……ははははっ!」

セラス「なんなの? 泉だって、知らないくせに!」

泉「いや失礼。本当に、あなたたちといると退屈しないよ」

花帆「褒めてる……?」

泉「それで、そろそろ準備ができた頃かな?」

さやか「はい、温まりましたよ」

41: 2025/12/17(水) 22:20:05 ID:???00
吟子「じゃあ、セラスさん」

セラス「え? また私?」

吟子「だってもうファーストキスは済ませたでしょ?」

セラス「く、これが体育会系のパワハラ……」

花帆「お願い、せっちゃん」

セラス「は、花ちゃんの頼みなら仕方ない。……ここは経験豊富な私が」

42: 2025/12/17(水) 22:21:23 ID:???00
泉「そうだ、私が白玉を触れさせてあげようか、お姫様」

セラス「え……」

さやか「なるほど、実際のキスの状況を考えると、それはいいかもしれませんね」

セラス「ええ……」

泉「さあセラス、私に身を任せて」

セラス「う、うん……」

かほ「きゃー! なんか、いい雰囲気じゃない?」

姫芽「絵面は介護みたいですけどね~」

43: 2025/12/17(水) 22:22:50 ID:???00
泉「ほら、目を閉じて」

セラス「え? そこまで? 本当に?」

小鈴「セラスちゃん、頑張って!」

セラス「うう……じゃ、じゃあ」

泉「さあ、いくよ」

セラス「うん……」

セラス「……」

セラス「……あっっっっつ!!!!」

44: 2025/12/17(水) 22:23:57 ID:???00
泉「おや、どうやら熱すぎたようだね」

セラス「お、乙女の唇になんてことを」

泉「フーフーして、冷ましてあげた方が良かったかな?」

瑠璃乃「だ、大丈夫?」

セラス「というか、さやか先輩! なんでこんなに熱くしてるんですか!? 人肌! 人肌でいいでしょう!?」

さやか「す、すみません。この後みなさんで食べるので、熱い方がおいしいかと思って。まさか冷まさずにいくとは……」

45: 2025/12/17(水) 22:24:49 ID:???00
小鈴「……それで、どうだったの?」

セラス「熱すぎて分かりませんでした……」

泉「よし、もう一度だ。ほら、フーフーしてあげるよ。フー、フー」

セラス「やだ! 次は泉がやって!」

泉「しかし、私は経験がないからね。セラスの方が適任じゃないかな」

セラス「いいからやって!」

46: 2025/12/17(水) 22:26:37 ID:???00
花帆「ふふっ」

吟子「花帆先輩……どうしたの?」

花帆「結局キスがどんな感じかわからなかったけど、なんか……みんなでわいわいやってたら、書けそうな気がしてきたよ」

吟子「そっか」

花帆「うん」


セラス「そこ! スリブの二人! いい感じの雰囲気出してないで泉を抑えるの手伝ってー!」



おわり

引用: 【ss】花帆「ねえ吟子ちゃん、キス……したことある?」