414: 2015/10/13(火) 20:31:41.61 ID:E8vfBdfy0

415: 2015/10/13(火) 20:32:58.83 ID:E8vfBdfy0
亜季「……我々は生き残ってしまった……いや、生かされてしまった以上、敵味方の頃してしまった人々に恥じることのない仕事をしていかなければならない。……お互い、とんでもない重責を背負ってしまったものだな…」

仁美「…それが生者の勤めでござる。……責任であり…罰であり…我々にしか負う事の出来ないものです。」

亜季「…………そうだな…」

仁美「どう言った形であれ、我々はこうして今、生きている。……氏ぬのは容易く、楽です。……俺も幾度詰め腹を切ろうと思うたかは数え切れませぬ。」

亜季「…………………………」

仁美「されども、その度に歯を食い縛り堪えて参りました。……命が惜しくなったのではありませぬ………卑怯だと思うた故にござる………」

416: 2015/10/13(火) 20:34:17.90 ID:E8vfBdfy0
仁美「……腹を切れば、自尊心も満たされ責任を取ったような気にもなれるでしょう………しかし、実際は只の逃げです。」

亜季「……如何に苦しかろうと、生きねばならんのだ。…そうする事でしか……我々の贖罪は出来ん……………」

仁美「…………っ……………」

亜季「……生きて、語り継がねばならぬ。…戦場に生き、戦場で氏んだ者たちの事を。」

仁美「……………はっ。」

亜季「……………………………」

417: 2015/10/13(火) 20:35:34.02 ID:E8vfBdfy0
仁美「……重責を果たせるとは思いませぬ。……それでも…………………」

亜季「それでも、だ。」

仁美「…………………………」

亜季「……ここで楽な道に逃げてしまっては、ジャクスンに怒鳴られてしまうよ。」

墓碑「………………………」

亜季「…………そうだろ、ジャクスン……」

仁美「……………………………」

418: 2015/10/13(火) 20:36:57.70 ID:E8vfBdfy0
亜季「……誰よりも抹香臭かった男が、抹香を焚かれる側になるとは……な…………」

仁美「…………将軍…」

亜季「…………分かっている……済まんな……偉そうな事を……言っている側からこれだ………」

仁美「…………………………」

亜季「………生きながらにして氏んでしまう………これもまた、私には許されない道だからな。」

仁美「……それこそ、ジャクスン将軍に怒鳴られまする…」

亜季「………全くだ…」

419: 2015/10/13(火) 20:37:58.60 ID:E8vfBdfy0
亜季「……軍人にとっての責任……その意味は念仏を唱えながら、過去を省み続ける事ではあるまい。」

仁美「つまりは、戦いの中でしか生きられぬ……そう言う事なのでござろう。」

亜季「……罪深い存在だな、軍人と言うのは。」

仁美「罪を背負うのが我々の仕事です。」

亜季「……我々が罪を背負う事で民に平穏を与えられるならば、如何なる汚名も覚悟しようではないか……」

仁美「御意。」

420: 2015/10/13(火) 20:39:52.67 ID:E8vfBdfy0
亜季「……シャーマンの様子は?」

仁美「依然として、機械人形の発掘と人員の確保を進めているとの事。」

亜季「何か動きは?」

仁美「目立った動きは特に。しかし、内偵に送り込ませている間者によると、見慣れぬ機械人形が発掘されたとの事。」

亜季「…見慣れぬ機械人形………詳しく聞いても良いか?」

仁美「はっ!外観的特徴としては、通常の機械人形に比べてやや大型である事、多くの武装に加え全身に砲口らしき物が見られる事が報告に挙がっております。」

421: 2015/10/13(火) 20:41:40.34 ID:E8vfBdfy0
亜季「…………他には?」

仁美「出土した際に全行程が一時中断させられたとの事。さらに、その機械人形はシャーマンが自ら調査をしていると見て間違いが無いと。」

亜季「決して表に出てこようとしないシャーマンが…………どう思う?」

仁美「あまり時間が残されていないと考えまする。」

亜季「同感だ。奴が自分で動くのは、必ず仕上げの時だけだからな。」

仁美「>>422」

423: 2015/10/13(火) 20:56:13.37 ID:E8vfBdfy0
亜季「必ず奴の真意を突き止め、そして一矢報いろうぞ。」

仁美「はっ!」

亜季「何を企んでいるのかは分からないが、終戦したにも関わらず軍備の拡張を続けている。奴の目的が平和への道ではない事は明らかだ。」

仁美「平和が訪れれば用済みとなるのが武力のあるべき姿。今必要なのは武器ではありませぬ。」

亜季「…止めなければな………悪い予感がしてならない。」

仁美「我らも役目を終えましょう。」

亜季「…………ああ…」

424: 2015/10/13(火) 21:04:42.59 ID:E8vfBdfy0
仁美「………個人的に動かせる部隊には全て声をかけておきました。…何時でもご命令を頂ければ動けます。」

亜季「…………済まないな……」

仁美「……皆覚悟の上なれば。」

亜季「………そうか…」

仁美「…………………………」

亜季「…和戦協定が結ばれた中で軍事的行動を起こす。……その意味は分かるな。」

仁美「承知しております。」

425: 2015/10/13(火) 21:14:15.06 ID:E8vfBdfy0
亜季「……我々の名は叛逆者として、歴史上に残る大犯罪者として語られるだろう。………それでも良いか?」

仁美「何のために軍籍を捨ててきたと?」

亜季「…………………………………」

仁美「貴殿を歴史が、人が、幾ら貶そうと、我らは皆があなたの志を知っております。我らが命、好きにお使いくだされ。その為に今まで生き抜いて参りました。」

亜季「分かった。すまんが、みんなの命をくれ。」

仁美「御意。」

亜季「………………………………」

426: 2015/10/13(火) 21:21:37.00 ID:E8vfBdfy0
1週間後 製材所 事務室



保奈美「………残りの必要な資材は…………………」カリカリカリカリ…

コンコン

保奈美「勝手に入らなさい。」
カリカリカリカリ…

沙紀「お言葉に甘えさせていただきます。」ガチャ バタン

保奈美「………………」カリカリカリカリ…

沙紀「……仕事に精が出ますね。」

保奈美「時間が無いのよ。休んでる暇は無いわ。」カリカリカリカリ…

427: 2015/10/13(火) 21:30:05.13 ID:E8vfBdfy0
沙紀「ここのところ何時見ても、あなたは働いていますね。今日はちゃんと寝られましたか?」

保奈美「時間が無いって言ってるでしょ。ちっとも眠くないから大丈夫よ。」カリカリカリカリ…

沙紀「眠くないからと言って、睡眠が不要とは限りませんよ。戦場で得た知識なのですが、極限まで疲労が溜まると逆に眠くなくなるのです。睡魔まで疲労困憊になってしまうのでしょうな。」

保奈美「だったら結構な事だわ。睡魔にはもうしばらく疲労困憊でいてもらいましょう。」カリカリカリカリ…

沙紀「体を壊しますよ?」

保奈美「望むところよ。私の命を燃やしてでも、この計画は進めなければならないの。」

沙紀「…………そうですか…」

428: 2015/10/13(火) 21:37:32.62 ID:E8vfBdfy0
保奈美「ところで、ちゃんと連れて来てくれた?まさか連れてこれなかった、とかいう事は無いでしょうね?」

沙紀「とんだ暴君ですな。人を顎で使うのにすっかり慣れていらっしゃる。」

保奈美「…連れて来てくれたの?」

沙紀「そうせっつかんでください。約束通りちゃんと連れて来ましたから。」

保奈美「どんな人間?」

沙紀「英国で機械人形技師をやっていた男です。向こうに居るときに酒場で知り合ったんです。…腕は確かですよ。」

保奈美「……そう、ご苦労様。」

429: 2015/10/13(火) 21:42:42.73 ID:E8vfBdfy0
沙紀「……それだけですか?」

保奈美「何よ、褒めて欲しかったの?」

沙紀「そりゃあ、見つけて連れて来るのにそれなりに苦労しましたからね。労いの言葉ぐらいかけて欲しいものですな。」

保奈美「………ありがとう。…………これでいい……?」

沙紀「及第点ですな。まあ、良しとして差し上げましょう。」

保奈美「…………………………」

430: 2015/10/13(火) 21:49:43.27 ID:E8vfBdfy0
沙紀「さてはて、あなたの野望はそろそろ叶いそうですか?」

保奈美「機材が少しと、設計士が一人か二人足りないわ。」

沙紀「それは暗に僕に手配しろと言う事ですか?」

保奈美「代金は必ず払うわ。だから、あなたの人脈を活用して何とか用意してちょうだい。」

沙紀「仰せのままに、お嬢様。…しかし、よく考えた物ですね。製材所を機械人形の工場のカモフラージュに使うだなんて。」

保奈美「>>431」

432: 2015/10/13(火) 21:59:14.84 ID:E8vfBdfy0
保奈美「これしか方法はなかったんだもの。」

沙紀「北部の政府の許可を得た者以外の機械人形の製造は禁止されておりますからね。」

保奈美「奴らは機械人形の力を自分たちだけの物にしたいのよ。だから私たちが機械人形を作るのを禁止しているんだわ!」

沙紀「反乱など起こされては堪りませんからねぇ。そう、反乱など起こされては堪りませんからねぇ。」

保奈美「……どうして2回言ったの?」

沙紀「大事な事だから2回言っただけですよ。」

433: 2015/10/13(火) 22:08:02.12 ID:E8vfBdfy0
保奈美「………っ………兎に角、北部だけに機械人形を独占されている間は、南部に自由はあり得ないわ。」

沙紀「ほう……何故です?」

保奈美「…戦争に巻き込まれてよく分かったのよ。…力のある者は力の無い物を好き勝手にすると言う事に。…力の差がある限り、私たちはいつまでも好き勝手にされる側よ。」

沙紀「力に力で対抗をすると言う事ですか。話し合いで解決出来るとは思えませんか?」

保奈美「ハッ!馬鹿言わないでちょうだい。あんな連中と話し合う余地なんて無いわ!」

沙紀「……………………………」

434: 2015/10/13(火) 22:18:22.85 ID:E8vfBdfy0
保奈美「こうしている間にも奴らは南部から奪い続けているのよ?!許せるわけがないじゃない!」

沙紀「連中だって同じ人間ですよ?」

保奈美「北部の肩を持つの?!」

沙紀「一応戦時中は世話になりましたからね。そして、あなたもこれから世話になる。」

保奈美「…っ……!何の事か分からないわね。」

沙紀「トボけたって無駄ですよ。あなたが作りたいのは農業用や工業用の機械人形じゃないでしょう?」

保奈美「…私が何を作ろうが私の勝手でしょ。」

435: 2015/10/13(火) 22:25:17.56 ID:E8vfBdfy0
沙紀「僕は構いませんが、北軍の連中はそうもいかんでしょうね。」

保奈美「…………………………」

沙紀「大それた事を考えつく物ですな。こんな芸当あなたにしか思い付かないでしょう。」

保奈美「………いつ気付いたの?」

沙紀「最初からです。蛇の道は蛇と言うじゃありませんか。」

保奈美「……いつかは気付かれるとは思っていたけど………こんなに早くとは…………」

沙紀「ははははは、駐留軍の目は誤魔化せても僕は誤魔化せませんよ。」

436: 2015/10/13(火) 22:31:56.87 ID:E8vfBdfy0
保奈美「……絶対に黙っていなさいよ…!…誰かに話したら…………」

沙紀「話すものですか。愛する女性の秘密を喋るほど、僕は口の軽い男ではありませんよ。」

保奈美「………っ……!」

沙紀「………僕はあなたを裏切りませんよ。あなたが例えなにをしようとの。僕はあなたの味方です。」

保奈美「………………………………」

沙紀「だから、安心なさい。」

保奈美「……………………………」

437: 2015/10/13(火) 22:42:43.31 ID:E8vfBdfy0
沙紀「他人が信用出来ませんか?…結構、それもまた一つの生き方です。あなたはそんな生き方を選べる稀有な強い人間だ。」

保奈美「…………………………」

沙紀「ですがねぇ、本音を話せる相手ぐらいいなくては寂しいとは思いませんか?」

保奈美「……自分が…その相手になると……?」

沙紀「今までだって、僕にはあなたは本音をぶつけて来てくれたではありませんか。他に同じ事が出来た相手がいましたか?」

保奈美「…………………あっ……」

沙紀「>>438」

439: 2015/10/13(火) 22:55:33.53 ID:E8vfBdfy0
沙紀「少なくとも僕は……そうなりたいと思っていますよ……」

保奈美「………………………」

沙紀「スカーレット。…どうせあなたは僕が嫌いなのでしょう?なら、僕から嫌われるのも一向に構わんはずです。僕があなたを嫌いになるなんて、あり得ませんがね。」

保奈美「……………………………」

沙紀「人は他人からどう思われるかが怖くて本音が言えんのです。……その点僕相手なら何の問題も無いとは思いませんか?」

保奈美「……………一理は……あるわね………」

440: 2015/10/13(火) 23:04:32.65 ID:E8vfBdfy0
沙紀「でしょう?…契約をしませんか、スカーレット・オハラ。僕はあなたとのお喋りをたのしむ、あなたはその代わりに僕に対して本音を思うがままにぶつけられる。どうです?」

保奈美「……………………………」

沙紀「お互いに損の無い素晴らしい契約だと思うのですが。」

保奈美「……どっちもあなたが得するだけじゃない…あなたは単に私の本音を聞くのが楽しいだけでしょう?」

沙紀「いけませんか?」

保奈美「利益で動く人間は信用出来るわ。利益を与え続ければ、決して裏切らないもの。」

沙紀「………つまり…?」

441: 2015/10/13(火) 23:12:58.85 ID:E8vfBdfy0
保奈美「……その契約、結んであげるわ。本音をぶちまける相手が居ないとパンクしそうになるのは事実だもの。」

沙紀「嬉しい限りですな。…あなたの負担もこれで少しは和らぎますかね。」

保奈美「………少しは、ね。その代わり容赦は一切しないわよ?」

沙紀「あなたが容赦をしてくれた事なんて一度も無いじゃありませんか。」

保奈美「あら、そうだったかしら?」

沙紀「そうですよ、それが良いのですが。」

442: 2015/10/13(火) 23:19:27.34 ID:E8vfBdfy0
保奈美「……なら訂正。これからも一切容赦はしないから。」

沙紀「よろしい。そんなあなたが僕は好きなのです。」

保奈美「フン、ありがとう。」

沙紀「いいえ。」

保奈美「…………ついて来なさい。あなたには隠し事をしたところで全て無駄みたいだから。」

沙紀「やっと学習してもらえましたか。」

保奈美「ええ、我ながら遅すぎた事だと思うわ!」

443: 2015/10/13(火) 23:27:16.48 ID:E8vfBdfy0
沙紀「……これで僕も正式にあなたの仲間と言う事ですか。」

保奈美「……仲間じゃなくて一味よ。」

沙紀「一味ねぇ……何をするつもりなんです?」

保奈美「分かってて聞くのね。まあ、いいわ。……ちなみに聞いたら…………」

沙紀「迷うとお思いで?」

保奈美「……そうだったわ。あなたってそう言う男だったわ……レット・バトラー。」

沙紀「…………………………」

444: 2015/10/13(火) 23:40:00.66 ID:E8vfBdfy0
原田豆腐店 地下ガレージ



美世「……ここをこうして……こうすると…………」ギッギッギッギッギッ

美世「……こうなるんだよね……っと!」ガキン!

美世「……ふぅ………………」ゴシゴシ

美世「……………………あっ…!……またやっちゃった…………ついうっかり手のひらで汗を……………」ピト

美世「…………………………」

美世「……だよねー…………あー、後でお風呂入らないと…………顔にオイルついちゃった…」

445: 2015/10/13(火) 23:52:28.66 ID:E8vfBdfy0
美世「………そう言えば今日舞台って言ってたっけ…拓海ちゃんたちからも招待状もらってたよね。」

美世「…………行けば良かったかなぁ……ちょっと興味あったし。…………でも、オイルの匂いがするような女の子が行くような場所じゃないよね、あはは。」

美世「そう言う場所って今まで縁がなかったからマナーとか分かんないし……運転マナーなら自信があるんだけど。」

美世「………どうせ行っても場違いだよね。軽で峠に挑むようなもんだよ。」

美世「………………………………」

美世「……行けなかった事……謝っとかないとなぁ…………」

美世「>>447」

452: 2015/10/14(水) 15:51:45.20 ID:reKYaK6V0
美世「……………………」

携帯電話<テテテーテッテッテテテー♪

美世「………おっ、電話だ。誰かな? 」ガサゴソ

携帯電話<ムネニ アイヲ ダイテ クールマヲ……♪

美世「はい、もしもし。」ピッ

美世「……あっ、ハーレー博士!お久しぶりで……え?Q君がうちに来てないかって?いえ、全然来てないですけど…… 」

美世「また、どうして急に…………?………えっ、日本まで来たからついでに顔を見たい……?……まったく……最高責任者がそう旅行ばっかりしてたらいけませんよ。」

美世「………分かってますよ。…でもQ君多分仕事の途中ですよ?…あれ、話してませんでしたっけ?Q君アイドルのプロデューサーになったんですよ。」

453: 2015/10/14(水) 15:52:51.76 ID:reKYaK6V0
美世「あははは!確かに意外ですよね、バイクが恋人のQ君が女の子のプロデュースをするなんてさ。」

美世「Q君って女の子からそれなりにモテてたのに、いっつも相手してあげないでバイク弄りばっかりやってましたもん。」

美世「でもやっぱりモテて数少ない女の子を独占するもんだから、男の子たちが『不公平だー!』って。」

美世「………ですよねー、せっかくだから少しぐらい……って思いますよね?」

美世「………………ああ、そんな事もありましたね!…ふふっ………それ以来あだ名が『マスクドライダー』になって……」

美世「そうそう、何故かあたしまで巻き添えでそう呼ばれるようになっちゃったんですよ。」

454: 2015/10/14(水) 15:54:52.17 ID:reKYaK6V0
美世「……あはは……ほんと、研究所に居たときはQ君ともどもお世話になりました!」

美世「…………………」

美世「あはははは………ごめんなさい………いやぁ……あたしも若かったって言うか、車に触れるのが嬉しかったって言うか………」

美世「はぁ………分かりました。……………あっ、そうだ!ここにはいないけどQ君のいそうな場所なら分かります、今から迎えに行きますから、一緒に行きましょう!」

美世「……………いやいやいやいや、博士には絶対運転させません!博士の運転が平気なの博士だけじゃないですか!」

美世「車に酔ったのは後にも先にもあのときだけですよ……もう……」

455: 2015/10/14(水) 15:58:40.66 ID:reKYaK6V0
美世「ちゃんとサイドカーごと積めるので迎えに行きますから。…………ふふっ、そう言う事でお願いします。」

美世「…………………」

美世「はい、あたしの運転テクを楽しみにしておいてくださいね♪すぐに迎えに行きますから。じゃあ、また後で。」ピッ

美世「……ふう………何だか行く事になっちゃったよ……リボルギャリーって停められ……………あっ………」

携帯電話「オイル塗れ。」

美世「……またやっちゃった……………携帯電話はお風呂には入れられないよね………」

456: 2015/10/14(水) 15:59:43.41 ID:reKYaK6V0
公演会場 外 関係者用駐車場



Q「ふぃー……!お芝居自体はけっこー面白いんだけど……どうも長時間同じ場所に居るのって苦手なんだよなぁ。」

Q「風を感じてないと体が凝るの何の……あー……ツーリング行きたい………」

???「そんなんでこれからやって行けるのか?私としては疑問を呈さざるを得ないな。」

Q「へーきへーき、俺ってやる時はやる
男だから。」

???「今は?」

Q「今日は試運転だからノーカウント。」

???「…………………………」

457: 2015/10/14(水) 16:02:07.77 ID:reKYaK6V0
Q「もう……そう真面目な顔すんなって。固すぎ、もっと力を抜いて行こうぜ?。」

???「モトラドに不可能な事を求めないで欲しいものだな。」

Q「モトラドにだってもっとお気楽な奴とか居ると思うよ?」

???「それはそれ、私は私だ。」

Q「お前は俺のオカンか。」

???「保護者と言う意味ならば、あながち間違いではない。お前は私が居なければ何をしでかすか分からないからな。」

Q「へーへー。」

???「>>459」

460: 2015/10/14(水) 17:16:19.87 ID:reKYaK6V0
???「1日でも早く“彼ら”を撲滅せんと躍起になる気持ちもわかるが……拓海殿やP殿にあまり心配をかけるものではないぞ? 私と『ネクストシステム』はそのためにあるのではないのだからな。」

Q「………………………」

???「お前が暴走しないように見張るのも私が彼女から託された使命の一つだ。」

Q「………分かってるさ。」

???「お前の目的に口を挟むつもりはない。だが、手段には口を挟ませてもらう。」

Q「……口無いじゃん。」

???「真面目に聞け。」

Q「……………………………」

461: 2015/10/14(水) 17:23:42.76 ID:reKYaK6V0
???「そうやって、ふざけて誤魔化すのはお前の悪い癖だ。」

Q「…………………………」

???「………………………」

Q「………迷惑をかけるつもりは無いさ。これは俺の問題で、俺の復讐だ。……最初から俺一人で全てカタをつけるつもりだよ。」

???「可能だと思っているのか?」

Q「出来るかじゃない、やるんだよ。奴らは俺がこの手で、この世から一匹残らず撲滅する。」

???「………………………」

462: 2015/10/14(水) 17:36:42.61 ID:reKYaK6V0
Q「……はぁ……………らしくねえよな、本当……俺が敵討ちなんて律儀な真似をするなんかさ。……そう思うだろ?」

???「同意が欲しいのか?」

Q「いや、訊いてみただけ。…お前からしたら、何て答えようもないよな。」

???「………………………」

Q「………俺さ、お前も知ってるとは思うけどさ、目的に向かって走り出すと一直線なんだよ。…周りが見えなくなるんだ。」

???「お前とはそこそこ長い付き合いだ。身に染みて知っているよ。」

463: 2015/10/14(水) 17:48:20.83 ID:reKYaK6V0
Q「ははは、言ってくれんじゃん。…………つまりさ、周りの心配をするとか、迷惑がかかるかどうか考えるのとか苦手なわけ。」

???「それも知っている。良くも悪くも一途なのは評価するよ。」

Q「どーも。でさ、そんな俺の事なら何でも知っているお前にしか頼めない事が……………」

???「任せておけ。……どうせ、『自分の代わりに周りの心配とかそう言うのをして欲しい。』とか、そう言うところだろう?」

Q「ひゅー!さすがは俺の相棒!……と、言うわけでよろしく頼むぜ?」

???「私の言う事は素直に聞くんだぞ。」

Q「…オッケー。」

???「………………はぁ…………」

464: 2015/10/14(水) 17:54:55.47 ID:reKYaK6V0
Q「で、それはそれとしてさー…」

???「今度は何だ?」

Q「いやさ、たくみんはともかくPにーさんが心配とか嘘でしょ?『こんな可愛い娘の居る家に他の男を住まわすのは癪で仕方が無い』とか言っちゃうような人だぜ?」

???「私にはお前の周りの人間全員を気遣う義務がある。質問の意図が掴めないな。」

Q「………そう言う意味じゃなくてさぁ……」

???「………どう言う意味だ?」

465: 2015/10/14(水) 18:04:34.98 ID:reKYaK6V0
Q「……常識的に考えなよ。セクハラが筋肉着て歩いてるような大男と、か弱………くはないけど可愛い女の子だぜ?」

???「…戦闘能力と言う意味なら……………」

Q「だからそう言う意味じゃないっての。融通が利かないと言うか固いと言うか………」コンコン

???「金属で出来ているのだから仕方がないだろう。」

Q「そりゃ……柔らか素材で出来てるバイクってのも何か嫌だけどさぁ……」

???「そうだろう?」

466: 2015/10/14(水) 18:16:16.64 ID:reKYaK6V0
Q「…って、今は材質とかそう言う事を言ってるんじゃねえの!いいか、たくみんは俺の可愛い妹だ。ここまで分かるな?」

???「ああ。」

Q「でもって、たくみんはまだまだ弱い。…10年ちょい振りに会って、見違えるぐらいに強くはなっていたけど………それでもまだまだだ。」

???「…………ふむ…」

Q「一方、にーさんはにーさんだ。やっぱり、どこまでもにーさんだった。…俺の知ってる強いにーさんだった………リベンジしたくても敵いそうにないよ。」

???「…よく分からないな………お前より戦闘能力が高くは見えないが………」

Q「>>468」

471: 2015/10/14(水) 21:02:02.58 ID:reKYaK6V0
Q「人間ってのはな、守るべき物が多ければ多いほど強くなるもんなんだよ。今のPにーさんは奥さんやたくみん、その他たくさんの友人や仲間がいる。下手にバトっても今は絶対に勝てないよ。」

???「…………………………」

Q「それにああ見えて頭も切れるし、人間としての器の大きさも何だかんだで違うしさ……そりゃ、“マッハ”に変身すれば間違いなく俺が勝つと思うけどね?」

???「…………………………」

Q「でもさ……それって勝ちって言えると思う?…俺は思わないね。」

???「……少なくとも、卑怯どころではないな。」

Q「そ、そんなの腕相撲でこっちだけクレーン車を使うようなもんだよ。」

472: 2015/10/14(水) 21:02:45.47 ID:reKYaK6V0
???「だが、敗北とも言えないと思うが……」

Q「いいや、負けるね。クレーン車に素手で挑んで来るような相手には勝てないよ。」

???「それは己の力量を測れないだけではないのか?」

Q「確かにそー言う奴もいるかもね。なら訂正、分かってて挑んで来るような相手には絶対に勝てない。気持ちの上で負けてるからさ。」

???「どう言う状況なんだ……それは?」

Q「さあね。たださ、にーさんは誰か.特に可愛い女の子の為ならそんな勝負でも……いや、もっと不利な勝負でも確実に受けるって話。」

473: 2015/10/14(水) 21:03:39.15 ID:reKYaK6V0
???「…それでは……………」

Q「……そして、にーさんは必ず勝ってきた。どんな奴らが相手でも、必ず最後に立ってるのはにーさんだった。」

???「…………………………」

Q「俺が勝負を挑んだって同じだよ。にーさんは絶対に倒れない。なら、最後に倒れてるのは俺だろ?………勝てるイメージすら湧かないね。」

???「…………………………」

Q「……お前だって知ってるだろ?守るために戦った人間の強さを。…………あいつだって……勝ったじゃないか。」

???「…………そうだったな。」

474: 2015/10/14(水) 21:06:22.12 ID:reKYaK6V0
Q「……要するに…要するに……………要するに…………何?」

???「私に聞くな。…………だがまあ……言いたい事は理解した。……そう言うことか…………」

Q「…………………………」

???「私の認識不足だったようだ、Q。……まだまだ学ぶべき事は多いようだ。」

Q「………そー言う事。」

???「…………………………」

Q「……………………………」

475: 2015/10/14(水) 21:09:35.00 ID:reKYaK6V0
Q「………よっと。」カチャ スッ スッ

Q「……うわ、マジか?!」

???「…………どうした?」

Q「劇場内で電源切ってる間に何か連絡が来てないか確認したんだけど……案の定だった。……美世ちゃんがハーレー博士を連れてこっちに来るって!」

???「美世がハーレー博士と?!」

Q「そ、旅行中に気が向いたから…だってさ。」

???「……はぁ………相変わらずの自由人だな。」

Q「アクロバッターの言う通りだよ。」

アクロバッター「………その名は止めろ。」

476: 2015/10/14(水) 21:10:35.34 ID:reKYaK6V0
朝 アトランタ ケネディの家



保奈美「………………………」

愛海「………大丈夫…?……このところ顔色がずっと悪いけど………」

保奈美「………疲れているだけよ…」

愛海「…………………………………」

保奈美(……早く機械人形の生産を軌道に乗せないと………)

愛海「……ねえ、スカーレット。」

保奈美「………何…?」

478: 2015/10/14(水) 21:12:39.24 ID:reKYaK6V0
愛海「………最近製材所に泊まり込みでいることが多いけど………そんなに大変なの…?」

保奈美「……色々する事があるのよ…」

愛海「……………そう……」

保奈美(…実際製材所の経営もしなきゃならないしね……)

愛海「………………それって……そこまでして…やらないといけない事なの……?」

保奈美「>>479」

480: 2015/10/14(水) 21:23:58.09 ID:reKYaK6V0
>>477
ライドマッハーはその………うん……
だって喋りませんし…………




保奈美「そうじゃないならどうして製材所にこもる必要があるの?」

愛海「……ご、ごめん…………」

保奈美「………………………」

愛海「………………………」

保奈美「製材所は私が回さなかったら破綻してしまうわ。そうなったら困るでしょう?」

愛海「……それは………分かる……けど…………」

保奈美「…………けど?」

481: 2015/10/14(水) 21:28:09.37 ID:reKYaK6V0
愛海「…………け、けど……だけどさ…………」

保奈美「だけど……何よ…?」.

愛海「…………私からしたら……スカーレットが元気で居てくれた方が……………」

保奈美「え?何ですって?」

愛海「…………な、何でもない……」

保奈美「何でもないって事はないでしょう?」

愛海「…ううん……本当に何でもない……から………」

482: 2015/10/14(水) 21:34:47.35 ID:reKYaK6V0
保奈美「………………………」

愛海「……ちょっと心配になっただけだから………うん…………」

保奈美(……何でもないなら時間を使わせないでよ…あと1時間以内に製材所に行かないといけないのに…)

愛海「…………ホント…それだけだから…」

保奈美「…………………………」

愛海(…………今日も……何も言えなかった………)

保奈美(………何なのよ…もう…)

483: 2015/10/14(水) 21:50:08.05 ID:reKYaK6V0
〜〜〜


愛海「……今日も………スカーレットが出かけるのを………止められなかった…………………」

愛海「………何も今日は………出掛けなくても良かったのに………ミード夫人の占いでも……今日は厄日らしいのに…………」

愛海「……これでもし…スカーレットに何かあったら………………………………」

愛海「……………………………」

愛海「………大丈夫…かな…………?」

愛海「…………………………………」

愛海「…………嫌な胸騒ぎがする……」

484: 2015/10/14(水) 21:59:30.08 ID:reKYaK6V0
馬車 車内


ガタガタガタガタ……

保奈美「………………はぁ………」

巴「……………………………」

保奈美「…………………………」

巴「………………………………」

保奈美「…………ピーター…」

巴「…………ん?」

485: 2015/10/14(水) 22:14:59.85 ID:reKYaK6V0
保奈美「…その……………」

巴「む……少し待て。…はいやっ!」
パァァァァァン!

馬車馬「ヒヒーン!」
ガタガタガタガタ…………ガタッ

巴「………………………………」

保奈美「…………えっと………」

巴「見てみい。この先工事中につき通行止め……そう言う風に立て札に書いてあるじゃろうが。」

保奈美「…………あっ…(考えごとをしていて気が付かなかった……)」

巴「……フン……北軍の奴らめ、街を好き勝手にいじり回しおって………何様んつもりじゃ。」

486: 2015/10/14(水) 22:22:04.09 ID:reKYaK6V0
保奈美「…どうするの?」

巴「どうするも何もちいと物騒じゃが、裏路地を迂回していかん事にはどうにもならんじゃろうが。」

保奈美「……あ、ああ………そうね………」

巴「……………………」

保奈美「………?」

巴「……わしに何か用があるんと違うんか?」

保奈美「>>487」

488: 2015/10/14(水) 22:33:12.57 ID:reKYaK6V0
保奈美「どうしてそう思うの?」

巴「………あんた…大丈夫か……?…あんたが呼びかけてきたんじゃろうが。」

保奈美「………………………………」

巴「…………はぁ………しっかりせえよ…疲れとるからっちゅうんにも限界があるぞ?」

保奈美「………………………」

巴「……今日はこんまま帰るぞ。」

保奈美「……あっ……ま、待って!」

489: 2015/10/14(水) 22:39:31.04 ID:reKYaK6V0
巴「待てん。」

保奈美「お願い、私は工場に行かなくちゃいけないの!」

巴「………………」

保奈美「今日は大事な仕事があって………そう……せめて、今日だけ!……今日だけは連れて行って…!」

巴「………………………」

保奈美「…今日の…仕事さえ済めば、しばらくゆっくり出来るから………!」

巴「………………………」

490: 2015/10/14(水) 22:43:56.65 ID:reKYaK6V0
保奈美「……ピーター………!」

巴「………あんたの事じゃ。どうせ…………」

保奈美「嘘じゃないわ、本当よ!……だから………ね?」

巴「……………………………」

保奈美「…………………………」

巴「……そん言葉、信じてええんじゃな?」

保奈美「…………ええ……」

巴「……………………………」

491: 2015/10/14(水) 22:52:47.95 ID:reKYaK6V0
保奈美「……………………………」

巴「…………はぁ………そん状態なら、悪知恵も回らんじゃろ………あんたを満足させるには、あんたの言う通りにしてやるしかないけぇ…………」

保奈美「………じゃあ……!」

巴「今日”だけ”じゃ!ええな?」

保奈美「……ええ……ありがとう……」

巴「…………ったく……………つくづく業突く張りな………………」

492: 2015/10/14(水) 22:59:42.33 ID:reKYaK6V0
ピティパット叔母の家 寝室



保奈美「……………えっ…?」

菜々「やっとお目覚めになりましたね、スカーレット嬢様。」

保奈美「……………えっ………えっ…………?」

菜々「丸三日間も眠り込んでおられたんですよ?」

保奈美「…丸三日…………誰が……?」

菜々「あなた以外に誰が居るんですか?」

保奈美「………………………………」

493: 2015/10/14(水) 23:06:44.50 ID:reKYaK6V0
菜々「………いつの記憶までありますか?」

保奈美「えっと………ピーターに製材所に連れてもらって行って………それから、裏路地に入って……………」

菜々「それから?」

保奈美「……それから………………」

菜々「……そこまでという事ですか。分かりました。」

保奈美「………………何が………あったの………?」

菜々「…………………………」

494: 2015/10/14(水) 23:12:47.10 ID:reKYaK6V0
保奈美「………ねえ……何が……あったの………?」

菜々「…スカーレット嬢様の乗った馬車が、北部のならず者どもに襲われたんですよ。」

保奈美「…………………………」

菜々「軍隊崩れの連中だったようで、武器を持っていましてね。それで馬車の車輪を破壊したんです。」

保奈美「……………………………」

菜々「>>495」

496: 2015/10/14(水) 23:22:52.47 ID:reKYaK6V0
菜々「馬車が壊されたのと馬車の中にあった金品を盗まれただけで済んだのが不幸中の幸いでした。」

保奈美「…………………………」

菜々「もちろん、馬車に乗っていたスカーレット嬢様とピーターは無傷とはいきませんでしたがね。」

保奈美「………ピーターは………?」

菜々「ミード先生の病院に居ます。」

保奈美「………………………」

菜々「…………………………」

497: 2015/10/14(水) 23:28:49.78 ID:reKYaK6V0
保奈美「………悪いの…?」

菜々「歳が歳ですから念のためにです。本人はかなり嫌がっていたらしいですがね。」

保奈美「………はぁ………………」

菜々「今でも寝台の上でへそを曲げ続けているそうですよ。」

保奈美「………そうでしょうね…………ピーターは年寄り扱いされるのが何より嫌いだもの。」

菜々「…ピーターは大丈夫ですよ。ピーターは。」

保奈美「………は?」

498: 2015/10/14(水) 23:35:56.07 ID:reKYaK6V0
菜々「……何でもありません。それより、スカーレット嬢様は具合はどうなんですか?」

保奈美「私……?私は…………っつ…………!」

菜々「……痛みますか?」

保奈美「……体中が…」

菜々「そりゃ体中打ったら体中が痛いでしょうね。」

保奈美「……私……どうなったの………?」

菜々「馬車が壊れた際に地面に投げ出されたようだ、とミード先生は仰っられていました。」

499: 2015/10/14(水) 23:40:52.95 ID:reKYaK6V0
保奈美「……………………」

菜々「その割には目立った外傷が無いと驚いてもおられましたよ。良かったですね、子供の頃から丈夫だったのが役立って。」

保奈美「………………………」

菜々「スカーレット嬢様にもしもの事があれば、エレン様に申し開きができないところでした。」

保奈美「………………………」

菜々「安静にしていれば時期によくなるだろう、との事です。」

500: 2015/10/14(水) 23:45:26.47 ID:reKYaK6V0
保奈美「………………あっ……そうだ!工場……工場は………?!」

菜々「こんな時まで工場の心配ですか………はぁ…………」

保奈美「いいから答えて……!工場は…………」

菜々「安心してください、スカーレット嬢様。……あなたが眠っておられる間は、あのレット・バトラーがあなたに代わって万事を取り仕切っていましたから。」

保奈美「……バトラーが…………」

菜々「今も恐らく工場であなたの仕事を代わりにしていますよ。」

501: 2015/10/14(水) 23:50:02.33 ID:reKYaK6V0
保奈美「……えっと……今から工場に行っ…………っ………!」

菜々「……安静という言葉のご存知ですか?」

保奈美「だって……私が居なかった間の業務報告を………」

菜々「二、三日は安静です。」

保奈美「業務報こ………」

菜々「安静です。」

保奈美「…………………………」

菜々「>>502」

505: 2015/10/15(木) 16:04:31.81 ID:GzFEIRfB0
菜々「安静が守れなければそれだけ快復が遅れるそうですよ。私はなんとしてでも安静をお守りいただくつもりですから、ご勘弁ください。」

保奈美「…………………………」

菜々「今回ばかりはあなたが何と言おうが、私の言いつけを守ってもらいます。分かりましたか?」

保奈美「………………………」

菜々「……返事。」

保奈美「…………………………」

菜々「………………返事。」

保奈美「………っ………わ、分かったわよ………」

506: 2015/10/15(木) 16:05:39.21 ID:GzFEIRfB0
菜々「……ご不満なのはよーく分かりますがねぇ、こっちにも立場という物があるんです。それを分かって欲しい物ですね。」

保奈美「………………………」

菜々「あなたがいくら嫌がろうと、安静にさせて早く良くなってもらうのが私の役目です。」

保奈美「……………………………」

菜々「最悪寝台に縛り付けてでも安静にしていてもらいますからね。それが嫌なら大人しくしておく事です。」

保奈美「…………………………」

菜々「……………………………」

507: 2015/10/15(木) 16:07:45.89 ID:GzFEIRfB0
保奈美「………寝台に縛り付けられるのは御免ね。」

菜々「縛り付けなくて済むなら縛り付けませんよ。」

保奈美「……はぁ………マミーの言う通りにしておいてあげるわ……」

菜々「ありがとうございます。」

保奈美「…………………………」

菜々(………色々と尋ねて来ないところ
を見ると、まだ頭は回りきっていないようですね。……今は好都合です。)

保奈美「………はぁ…………………」

508: 2015/10/15(木) 16:08:55.60 ID:GzFEIRfB0
菜々「……お茶を淹れてきて差し上げましょう。」スクッ

保奈美「……………お願いするわ。」

菜々「…………………」
スタスタスタスタ……ガチャ バタン

保奈美「………………………」

スタスタスタスタ……

保奈美「………バトラー…が…………なら……心配は要らないわね…………あの男なら……ちゃんとやってくれるわ………」

保奈美「……………………………」

保奈美「………もう少しだけ……眠ろう…………」

保奈美「……………………………」

509: 2015/10/15(木) 16:10:15.26 ID:GzFEIRfB0
一階



菜々「………………………」

沙紀「……どうやら僕は、製材所に篭っていなければならなかったようですな。」

菜々「………………………」

沙紀「実際のところは、お嬢様がおられる下の階で優雅にお茶を楽しんでいるのですがね。」ズズズ……

沙紀「……おや、これは美味い!…マミー、僕に雇われてみるつもりはありませんか?」

菜々「すみませんが私はオハラ家に氏ぬまで尽くすと決めてるんです。他を当たってください。」

沙紀「それは残念です。明日から美味しいお茶が飲み放題かと思ったのに。」

510: 2015/10/15(木) 16:14:05.25 ID:GzFEIRfB0
菜々「…………………………」

沙紀「この頃の茶店と来たら、高い茶葉さえ使えば美味い茶ができると…………」

菜々「……バトラー船長。」

沙紀「………何です?」

菜々「…私はあなたの事が大嫌いです。卑しむべき山師と思っています。」

沙紀「ありがとうございます。」

菜々「……ですが………今回の件に関しましては、お礼を言わせてもらいます。…………どうも…ありがとうございました。」

沙紀「お礼なぞやめてください。僕はただ友人たちと遊んだだけなのですから。」

511: 2015/10/15(木) 16:15:05.30 ID:GzFEIRfB0
菜々「……あなたが何のつもりで、そんな事をしたのか検討もつきませんが
……あなたが用意してくださった証言がなければ、たくさんの方々が縛り首にされた事になったでしょう。」

沙紀「…………………………」

菜々「…………………………」

沙紀「…これに懲りたら、ならず者どものを壊滅させようなどと意気込んで、アジトに乗り込んだりしない事ですな。」

菜々「………知っていたらお止めしました。」

沙紀「あなたに言っているのではありませんよ。……尊敬すべき南部の紳士諸君に対して言っているのです。」

菜々「……………………………」

512: 2015/10/15(木) 16:17:48.40 ID:GzFEIRfB0
沙紀「もう少し後先を考えて動かれるべきですな。成る程、奇襲でならず者共を成敗したところまでは良かった。ですが、結果としては進駐軍に見つかり、撃ち合いになってしまったではありませんか。」

菜々「………………………………」

沙紀「…奥様が傷付けられて、限界まで怒りを溜めこんでた堪忍袋が破裂してしまったのは分かりますが…………」

菜々「……あなたにはお分かりにならないかもしれませんが、それが南部人の誇りです。」

沙紀「戦争が終わった今、北軍の銃弾で命を落とす事が、ですか?おかげさまで、あの人は晴れて二度目の未亡人だ。」

菜々「………………………」

沙紀「>>513」

514: 2015/10/15(木) 16:25:45.65 ID:GzFEIRfB0
沙紀「私は誇りなどという言葉で全て片付くと思う輩が一番嫌いなんですよ。」

菜々「………………………」

沙紀「あなたはそれを知っていてわざと仰られたのでしょうが。」

菜々「ええ、あなたが嫌がるだろう言葉をわざと選びました。」

沙紀「ははははは、僕を好いてくれる人間は一人たりとも存在しないようですね。」

菜々「口に出せないような女なら居るのではないですか?」

沙紀「さあ、どうでしょうね?」

515: 2015/10/15(木) 16:33:04.54 ID:GzFEIRfB0
菜々「否定はしないんですね。」

沙紀「恥とは思っていませんから。」

菜々「………………………」

沙紀「金では愛は買えないので、代わりの物を求める事の何がいけないのです?」

菜々「全部ですよ。紳士のする事ではありません。」

沙紀「僕は紳士ではありません。」

菜々「……………………」

沙紀「……ふぅ…………今はこんな事を論じている場合でしょうか………?」

516: 2015/10/15(木) 16:43:41.26 ID:GzFEIRfB0
沙紀「僕の日頃の行いが、名誉を汚すか汚さないかは置いておいて、これからについての話し合いでもした方が幾らか建設的だとは思いませんか?」

菜々「………………………………」

沙紀「紳士でない男に、立派な紳士であられた有志諸君が救われたのは癪でしょうが。」

菜々「……………………………」

沙紀「……ああ、お茶をもう一杯もらえませんか?」

菜々「………畏まりました。」

518: 2015/10/15(木) 17:03:25.60 ID:GzFEIRfB0
沙紀「この訪問が終わったら、もう一生あなたのお茶を飲める機会など巡って来ないでしょうからね。今のうちに飲んでおかねばなりますまい。」

菜々「…………」スッ コポコポコポコポ……

沙紀「………………………」

菜々「………………………」

沙紀「……僕にとっちゃ誇りなんかより、その日の午後お茶の味の方が大切なんですよ。言葉と違ってお茶の味は誤魔化しがききませんからね。」

菜々「………………………」

沙紀「……………………………

519: 2015/10/15(木) 17:21:48.34 ID:GzFEIRfB0
菜々「………お茶です。」スッ

沙紀「ありがとうございます。」スッ

沙紀「………」ズズズ……

沙紀「………ふぅ………どうやったらこんなに美味い茶を入れられるのですか?」

菜々「あなたにはお教えしません。」

沙紀「………………………」

菜々「…………………………」

沙紀「……あなたのそう言うところは実に尊敬できますよ、マミー。」

菜々「……………ふん…」

520: 2015/10/15(木) 17:28:30.83 ID:GzFEIRfB0
沙紀「あなたは何でも誤魔化さずにズケズケと言う。まったく、今時珍しい正直な人間ですよ。」

菜々「…………………………」

沙紀「で、そんな正直なあなたは、いつぐらいにスカーレットに哀れなケネディ氏の事を伝えるのです?」

菜々「……まだ早いです。スカーレット嬢様は今はまだ朦朧とされていますから。」

沙紀「1週間もしたら葬儀を出さないといけないと言うのに?」

菜々「>>521」

523: 2015/10/15(木) 17:37:08.21 ID:GzFEIRfB0
菜々「今報告しても1週間後に報告しても同じならせめて、後回しにしたいので……」

沙紀「ほう………それは何故です?」

菜々「……分かりませんか?」

沙紀「分かりませんね。」

菜々「………………………」

沙紀「ケネディ氏の事を教えてあげたところで、あの方は何とも感じませんよ。」

菜々「……かもしれませんね………」

524: 2015/10/15(木) 17:57:32.28 ID:GzFEIRfB0
沙紀「間接的に自分がケネディ氏を氏なせてしまった原因である、と言う事実には若干は傷つくかもしれませんが……それだけでしょうね。」

菜々「………………………」

沙紀「…ケネディ氏の行動を非難するわけではありません。だが………甲斐がなかったですね。」

菜々「………………………」

沙紀「彼は愛すべきもののために命を捧げた。ところが………という訳でした。」

菜々「………………………」

沙紀「早く知らせてあげた方が喜ぶかもしれませんよ?きっと、彼女は大喜びしますから。」

525: 2015/10/15(木) 18:04:50.44 ID:GzFEIRfB0
沙紀「哀悼の意を捧げる振りなどしなくとも…………」

菜々「…それでも、フランク様はスカーレット嬢様の旦那様であられました。」

沙紀「………それがどうしたって言うのです?」

菜々「私には私の信念があります。……そう言う事です。」

沙紀「……………………………」

菜々「話はそれだけですか?」

526: 2015/10/15(木) 18:18:11.24 ID:GzFEIRfB0
沙紀「………参りました。それを言われちゃ僕からは手も足も出せません。」

菜々「…………………………」

沙紀「お茶、ご馳走様でした。」スクッ

菜々「………お帰りになられるのですか?」

沙紀「ええ、いつまでも製材所に戻らない訳にもいきませんか。」

菜々「…そうですね。」

沙紀「……………また……近い将来にお会いしましょう。」

菜々「……………………………」.

527: 2015/10/15(木) 18:24:58.41 ID:GzFEIRfB0
1週間後 スカーレットの寝室



菜々「具合はどうですか?」

保奈美「………まあまあね……1週間もじっとしてると体が鈍って仕方がないわ。」

菜々「それは我慢してください。ミード先生にも私にもどうしようもありませんから。」

保奈美「分かってるわよ。………はぁ…………早く工場の様子を見に行きたいわ………」

菜々「もう二、三日だけの辛抱ですよ。そうしたら、あなたの大好きな工場なり何なりに好きなだけ足を運んで構いませんから。」

保奈美「……あと三日………はぁ………………」

菜々「…………………………」

528: 2015/10/15(木) 18:31:52.04 ID:GzFEIRfB0
保奈美「…………ああ……そうだ………フランクには……フランクには何て言ってあるの………?」

菜々「………フランク様……ですか………」

保奈美「私がピティパット叔母さんの家で寝てる事について………あら、そう言えば、私は何故ピティパット叔母さんの家で寝ているの…………?」

菜々「……………………………」

保奈美「…………マミー……あなた何か………………」

菜々「……静かに聴いてください、スカーレット嬢様。………良いですか、本当に静かにして、聞いてくださいよ。」

保奈美「……………………」

菜々「………………実は…………」

529: 2015/10/15(木) 18:38:30.05 ID:GzFEIRfB0
〜〜〜


保奈美「…………フランクが……」

菜々「……………はい…」

保奈美「………………馬鹿ねぇ………金のために結婚した女のために……氏ぬなんて…………」

菜々「………………………」

保奈美「…まさか……フランクに…………仲間を集めてならず者たちのアジトに…殴り込む勇気が………あっただなんて…………」

菜々「……………………………」

保奈美「>>530」

533: 2015/10/15(木) 21:12:13.26 ID:GzFEIRfB0
保奈美「…………」スー……

菜々「……………………」

保奈美「………っ………馬鹿ねぇ………本当………馬鹿よ……………小心者なら……ずっと………小心者でいなさいよ………………」

菜々「…………………」

保奈美「……あなたは………利用されていただけなのに………そんな…………もう…………何なのよ……………どうして………なのよ……………」

菜々「……ハンカチが…必要ですか?」

保奈美「…………」コク…

534: 2015/10/15(木) 21:13:41.74 ID:GzFEIRfB0
菜々「…………………」ス……

保奈美「……………………」ギュッ……

菜々「………あなたばっかりが…悪いんじゃありませんよ…」

保奈美「………いいえ………私が………フランクを………頃してしまったのよ………っ…………」

菜々「フランク様を頃したのは、あなたじゃありません。……北軍です。」

保奈美「……でも……始まりは…私が原因でしょう………私………怖いわ…………怖くて仕方がないの………………」

535: 2015/10/15(木) 21:14:41.34 ID:GzFEIRfB0
菜々「何が怖いんですか……?」

保奈美「……あいつらが………私を笑っているのよ…………またよ………またなのよ………………」

菜々「……………………………」

保奈美「……そうだ………フランクが………必ず不幸になることが………分かっていて…………私は…………………………」

菜々「………………………」

保奈美「………自分が………怖いわ…………っ………………」

菜々「……………………」ギュッ……

536: 2015/10/15(木) 21:15:40.21 ID:GzFEIRfB0
保奈美「………っ………愛してなんか………いなかった………はずなのに……………………」

菜々「…………………………」

保奈美「……ピーターが……引き返すって言ったのよ…………なのに………私が………っ…………………」

菜々「……………………」トン…トン…

保奈美「…………っ………ううう………………」

菜々「……………………」トン…トン…

537: 2015/10/15(木) 21:16:43.65 ID:GzFEIRfB0
製材所 経営者室



保奈美「…………………………」

保奈美「………っ…………うう…………………ううう……………っ………っ…………………」

保奈美「………ああ………恐ろしい………………私は…………っ…………うう…………………」

保奈美「……私には………もう………この……工場しかない……………」

保奈美「………しっかり………しなきゃ……………しっか…………っ…………うう………………」

保奈美「……………っ…………だめだ………もう…………………」

538: 2015/10/15(木) 21:18:12.43 ID:GzFEIRfB0
保奈美「………私が………こうやって………お金のために………工場に…………行こうとしなければ………………………」

保奈美「…………っ………………っく………………私は………………」

沙紀「スカーレット・オハラ!」

保奈美「っ?!」ビクッ!

沙紀「そこの帳簿の計算、間違っていますよ。」

保奈美「………………ああ………そう……ね…………」

沙紀「…………………………」

539: 2015/10/15(木) 21:20:12.56 ID:GzFEIRfB0
保奈美「……えっと………計算を…直さないと………えっと…………えっと………えっと………」

沙紀「落ち着きなさい。……大丈夫ですか…?ケネディ氏たちの葬儀以来、ずっとそんな調子ですが………」

保奈美「フランクたち!…そう………そうなのよ………私のせいで………フランクも含めて………3人も…………」

沙紀「彼らにもう少しピストルの覚えがあれば良かっただけの話です。馬鹿な事をしたもんだ………」

保奈美「まあ………?!あなたは……何にも知らない癖に……そんな事を言うのね………!」

沙紀「…………事実ではありませんか。」

保奈美「…………っ………!」

沙紀「>>540」

542: 2015/10/15(木) 21:32:22.62 ID:GzFEIRfB0
沙紀「ピストルの撃ち方さえ知っていれば、氏にはせずにせめて重症で済んだはずです。」

保奈美「フランクだってピストルの撃ち方ぐらい知ってたわ!だって……軍隊に居たのよ?!」

沙紀「軍隊に居る人間が全員射撃の名手という訳ではありません。もしそうだっなら、北軍相手にもう少し善戦できていたと思いますよ。」

保奈美「な、何よ…?!……フランクが氏んだのは……フランクに射撃の腕前が無かった所為って言ってるの?!」

沙紀「少なくとも……あんたの所為では無いと言ってるんですよ。」

保奈美「………っ……!知った風な口を聞かないで!」

543: 2015/10/15(木) 21:48:32.88 ID:GzFEIRfB0
沙紀「フン……馬車が襲われたのはあなたの所為ですか?ケネディが勝手に敵討ちに行ったのはあなたの所為ですか?その結果として、北軍に撃たれたのはあなたの所為ですか?え、どれもあなたの所為ではないではありませんか?」

保奈美「…わ、私が……ピーターの言う事を大人しく聞いておけば、こんな事には………」

沙紀「そんなの今になったからこそ分かる事じゃないですか。結果としとそうなっただけで、行動自体は悪じゃない。」

保奈美「いいえ、私が………!」

沙紀「諄い…!……じゃあ、逆にあなたが今回の事件を引き起こした半日だとして………それが何なのですか?!

544: 2015/10/15(木) 21:50:29.31 ID:GzFEIRfB0
>>543訂正



沙紀「フン……馬車が襲われたのはあなたの所為ですか?ケネディが勝手に敵討ちに行ったのはあなたの所為ですか?その結果として、北軍に撃たれたのはあなたの所為ですか?え、どれもあなたの所為ではないではありませんか?」

保奈美「…わ、私が……ピーターの言う事を大人しく聞いておけば、こんな事には………」

沙紀「そんなの今になったからこそ分かる事じゃないですか。結果としとそうなっただけで、行動自体は悪じゃない。」

保奈美「いいえ、私が………!」

沙紀「諄い…!……じゃあ、逆にあなたが今回の事件が引き起こされた元凶だとして………それが何なのですか?!


546: 2015/10/15(木) 22:13:44.05 ID:GzFEIRfB0
保奈美「…何なのですかって………?!そんなの………!」

沙紀「あんたが撃ち頃した訳じゃないでしょう?…ったく……たかだか3人じゃないですか?僕は自分の意思で、自分のピストルで同じ数の北軍を撃ち頃しましたよ。」

保奈美「…………っ…………」

沙紀「どうです、僕に比べたら、あなたなんて可愛いぐらいだと思いませんか?」

保奈美「……………………………」

沙紀「気にしちゃいかんですよ、周りが何と言おうがあんたには関係が無いんですから。」

547: 2015/10/15(木) 22:20:53.11 ID:GzFEIRfB0
保奈美「…それとこれとは……全然違う話よ。」

沙紀「違いやしませんよ。つまるところ、どちらも人が氏んだ。それだけの話ではありませんか。」

保奈美「フランクは…………!」

沙紀「あなたとケネディには悪いと思いますが、僕はケネディを支持せんです。 と、言っても行動を非難している訳じゃない。結果を非難しているんだ。」

保奈美「…どういう意味よ……?」

沙紀「頭が回るあんたはどこに行ったんです?…はぁ…………ですからね、僕も同じ立場だったら同じ事をしただろう、と言う話です。」

548: 2015/10/15(木) 22:27:41.90 ID:GzFEIRfB0
保奈美「…あなたが…………?」

沙紀「ええ、僕だってスカーレットをそんな目に遭わせるような奴らが居たら、片付けに行きますよ。…計画に参加出来なかったのが残念だ。」

保奈美「…………………………」

沙紀「行動としちゃあ、合格だ。だが、氏ぬのだけはよくない。」

保奈美「……っ……氏にたくて氏んだ訳じゃないわよ……!」

沙紀「そりゃそうですよ。氏にたくて氏ぬ人間なんていない、氏ぬしかないから氏ぬんだ。」

549: 2015/10/15(木) 22:36:42.60 ID:GzFEIRfB0
沙紀「ですがねぇ、よーく考えてみてくださいよ。今回の復讐は誰の為のものだったんです?あなたでしょう?……だったら、あなたはさも溜飲が下がったような顔をしてなきゃいかんはずだ、だがどうだ?まるで生気が抜けてしまってるじゃないですか。」

保奈美「………………………………」

沙紀「それはフランクが氏んでしまった所為でしょう?……だったら、フランクは結局あなたを不幸にしてしまった事になる。」

保奈美「……そんな言い方……………」

沙紀「…氏ぬぐらいなら、大人しく慎ましく暮らしておけば良かったんです。…そうすればあなたを不幸にする事はなかった。」

550: 2015/10/15(木) 22:44:34.69 ID:GzFEIRfB0
保奈美(……確かに………勇敢な行為をしてくれたのには………………けど……それよりは………………)

沙紀「腕に覚えが無いなら無茶はせんことです。……誰一人得をしない。」

保奈美「………………………………」

沙紀「ケネディは立派だったかもしれませんが、あなたを悲しませた……………それは僕からしたら許せんのですよ。」

保奈美「…………何でよ…………?」

沙紀「愛する女性の涙を無視できる男が居ますかね。」

保奈美「>>551」

552: 2015/10/15(木) 22:54:33.79 ID:GzFEIRfB0
保奈美「またそうやって、自分ならそうはさせないと言いたげに!」

沙紀「そう言っているのですよ。」

保奈美「…………は?」

沙紀「僕はピストルの腕前だって負け知らずですし、そもそもあなたの馬車が襲われるような事態になんぞ陥らせない。」

保奈美「……………………………」

沙紀「あなたの大好きな金だって使い切れんほど持ってます。そして、ちょうど誰かに使う手伝いをして欲しいと思ってたところなんです。」

保奈美「何を……………………」

沙紀「ふむ、これと同じ事を幾度となくされた事はあるはずですがね?」

553: 2015/10/15(木) 23:03:06.39 ID:GzFEIRfB0
保奈美「…………ひょっとして…………まさか…………………」

沙紀「まさか……何だと思います?」

保奈美「…………いや……あり得ないわ…!あなた……また私をからかってるんでしょう……!」

沙紀「ははははははは!ご自分の行着かれた答えがそれ程信用出来んですか?」

保奈美「…………………………」

沙紀「じゃあ、僕の方から言わせていただきましょう。……スカーレット・オハラ殿。私レット・バトラーは壺を投げつけられて以来、ずっとあなたに惚れ込んでいました。どうか、僕とご結婚していただけないでしょうか?」

保奈美「………………………………………………………………………………」

554: 2015/10/15(木) 23:12:58.60 ID:GzFEIRfB0
保奈美「…………あなた……それ……本気で言ってるの………?」

沙紀「ああ、親愛なるスカーレットは我が内に燃えたる聖なる恋と言う名の激烈なる感情の炎を疑われるか!」

保奈美「………………………………」

沙紀「本気ですよ。さすがに冗談で求婚はしませんよ。僕が本気と言うのは信じられませんか?」

保奈美「…………ええ……まあ……」

沙紀「ふむ、それは困りましたな。どうすれば信用していただけますか?」

555: 2015/10/15(木) 23:22:15.15 ID:GzFEIRfB0
保奈美「…………そうね……もう3万ドルこの場で融資してくれたら………」

沙紀「ほら、3万ドルです。」ドサ

保奈美「………………………………」

沙紀「そう言われるかと思って予め用意しておきました。つくづく、あんたは金が好きですね。」

保奈美「………私……あんたを愛してなんかいないわよ………?」

沙紀「大した問題じゃありませんよ。あんたのこれまでの結婚だってそうだったじゃないですか。」

保奈美「……そ、そんな事は………………」

556: 2015/10/15(木) 23:33:35.79 ID:GzFEIRfB0
沙紀「いいじゃないですか、愛のために結婚しなくとも。例えば……面当てで結婚したり、財産目当てで結婚したり…………面白半分で結婚したって。」

保奈美「面白半分……?……結婚に面白半分なんて無いわ。あるのは我慢と退屈だけよ。」

沙紀「僕はどちらもあんたにさせるつもりはありませんよ。ははあ、あなたのお母さんは、『女と言うのは、常に三歩後ろを歩いて夫の影を踏まないようにするものです』とかなんとか言って教えたらしい。違いますか?」

保奈美「…………………………」

沙紀「馬鹿らしいとは思いませんか、なぜ女性は我慢しなきゃならんのです。面白おかしく生きちゃいけないんですか?」

保奈美「………………………………」

557: 2015/10/15(木) 23:42:55.33 ID:GzFEIRfB0
沙紀「あんたは不運な事に未だ本物の結婚を知らない。僕が教えて差し上げますよ。さあ、イエスと言ってくださいませんか?」

保奈美「……フランクが氏んで……まだ…………」

沙紀「体面なんか気にするんですか?それにですね、悲しんだからとか言ってケネディは生き帰りゃしませんよ。まったく、未亡人制度と言う奴は無駄だらけだ。」

保奈美「………………………」

沙紀「僕に恥をかかせんでくださいよ。」

保奈美「…………えっ……と…………」

558: 2015/10/15(木) 23:53:45.08 ID:GzFEIRfB0
沙紀「早く返事を言ってくれなきゃ強行手段に出ますよ?毎晩あんたの家の窓の下でギターをかき鳴らしながら、できるだけ大きな声で恋の歌を歌ってやります。」

保奈美「まあ……そんな事をされたら面子が丸潰れだわ!」

沙紀「ええ、面子を潰してどうしても僕と結婚しなきゃならんようにするのが目的ですから。」

保奈美「…あなたねぇ…………」

沙紀「イエスとおっしゃっていただければ万事が解決するのですがねぇ。」

保奈美「…………………………」

沙紀「>>559」

562: 2015/10/16(金) 15:58:50.54 ID:rrUjZK+q0
沙紀「むしろ今からでも……」スッ……

保奈美「?!ちょ、ちょっと………!」

沙紀「よっと。あー……あー……ゴホン……『月の雫を……』」〜♪

保奈美「や、止めてちょうだい!」

沙紀「…………何ですか…?人がせっかく気持ちよく歌おうとしているところだったのに……」

保奈美「部屋の外まで聞こえてしまったらどうするの?!」

沙紀「ご安心ください。部屋の外どころか、アトランタ中に響き渡らせますから。」

563: 2015/10/16(金) 15:59:51.41 ID:rrUjZK+q0
保奈美「ますます安心できないじゃない!そんな事になったらもう………恥ずかしくて生きていけないわ!」

沙紀「歌うのはあなたじゃなくて僕ですよ?」

保奈美「そう言う問題じゃ……!」

沙紀「『月の雫をほのかに浴び 気高く…………』」〜♪

保奈美「レット!!」

沙紀「はははははははは!」

保奈美「………………っ…!」

564: 2015/10/16(金) 16:03:53.41 ID:rrUjZK+q0
沙紀「せっかく一晩かけて考えてきた愛の歌なんですよ?歌わなきゃもったいないじゃありませんか。」

保奈美「ああ……あなたって人はどうして…………!」

沙紀「恋する男と言う奴は総じて馬鹿になるものです。僕だって例外では無かったようでしてね。さあ、あなたが焦らす限り、もっと馬鹿な真似をするかもしれませんよ?」

保奈美「……そんなに私と結婚したいの?!」

沙紀「したいですね。」

保奈美「………………………………」

沙紀「………………………………」

565: 2015/10/16(金) 16:05:27.58 ID:rrUjZK+q0
沙紀「スカーレット・オハラ!あんたは馬鹿だ!」

保奈美「な、何よ……急に…………」

沙紀「フン、とぼけたって無駄だ!今、あなたはアシュレ・ウィルクスのことを考えていたでしょう!」

保奈美「?!」

沙紀「ボンクラ共は騙せても、僕を騙す事は出来ませんよ!女性の顔色を読んで何を考えているか当てるぐらい、朝飯前なんですよ!」

保奈美「………………っ…………」

566: 2015/10/16(金) 16:07:17.08 ID:rrUjZK+q0
沙紀「自分に求婚をしている相手の前で、他の男……ましてやアシュレ・ウィルクスの事を考えるだなんて……酷い侮辱だとは思いませんかね!」

保奈美「……え………あ………」

沙紀「彼はあなたの為にラブソングを考えるような事をしましたか?よく振り返ってみなさい、彼があんたに何をしてくれましたか?!」

保奈美「……………………………」

沙紀「………はぁ………スカーレット……あなたを幸せにしてあげるのが……僕では……いけないのですか……?」

保奈美「>>567」

568: 2015/10/16(金) 16:22:31.70 ID:rrUjZK+q0
保奈美(確かに……よく考えてみたら、どうして今までアシュレにこだわってたのかしら……)

沙紀「…………………………」

保奈美(…アシュレは……私の…………私の…何…………?恋人でも、夫婦でもない…………だとしたら…………何なの…………?)

保奈美(……私たちは愛し合って…………でも…アシュレは今まで一度だってそれを証明してみせてはくれなかった………)

保奈美(私は……アシュレの為に…ずっと頑張ってきたのに……ずっと……待っていたのに……………)

保奈美(……………………………)

沙紀「…………………………」

569: 2015/10/16(金) 16:33:24.86 ID:rrUjZK+q0
保奈美(……アシュレは…………アシュレは………………………)

保奈美(……疑う訳じゃないけど…………でも……………アシュレは何時になったら……私を見てくれるの………?)

保奈美(………………………)チラ…

沙紀「…………………………」

保奈美(……私を……見てくれている………本当の…私を…………バトラーは…私を冗談でも……愛していると言ってくれる……)

保奈美(……どんな形であれ、困った時に力になってくれたのは………バトラーだった……)

570: 2015/10/16(金) 16:40:45.30 ID:rrUjZK+q0
保奈美(………………………………)

保奈美(……いや、いけない!…こんな男と…アシュレを比べるだなんて……!…あってはならない事よ!)

保奈美(そう……この男は…………!)

沙紀「…………………………」

保奈美(………この…………男……は…………………………)

沙紀「…………………………」

保奈美(……悪人で…………いえ、私ももう立派な悪人じゃない……だと……すれば………………)

571: 2015/10/16(金) 16:51:00.82 ID:rrUjZK+q0
保奈美(…………でも……それを認めてしまう事は……アシュ…………)

沙紀「ああ、もう!そんなに迷うって言うのなら………!」スクッ

保奈美「?!」

沙紀「……………」ツカツカツカツカ……ガシッ!

保奈美「……あ…………え、えっと……………………」

沙紀「迷う余地を無くしてやる!」クイ

保奈美「えっ………………」

沙紀「あんたを好きな男がここに居るぞ!」ズキュウウウウウン!

保奈美「〜〜〜ッッッ?!」///

572: 2015/10/16(金) 16:58:58.33 ID:rrUjZK+q0
沙紀「…………っふぅ………」

保奈美「………………………………」

沙紀「…………………………」

保奈美「な、な、な、何を………………?!」

沙紀「キスです。」

保奈美「………………………………」

沙紀「口付けや口吸いだとか、接吻だなんて言い方をする事もありますね。」

保奈美「……そ、そういう事を言っているんじゃ………………」

573: 2015/10/16(金) 17:06:51.41 ID:rrUjZK+q0
沙紀「お嫌でしたか?」

保奈美「そりゃ……当然嫌に………………」

沙紀「本当ですか?……正直に答えてくだされば、もう一度キスをしてあげますよ。」

保奈美「…………………………」

沙紀「……よろしい、百歩譲ってあんたが誰を愛そうが僕は努力して知らんフリをします。ですがね、あんたをきちんと愛してやれるのは僕だけ、と言う事を理解して欲しいもんだ。」

保奈美「………………………………」

574: 2015/10/16(金) 17:15:06.98 ID:rrUjZK+q0
沙紀「結婚すると言ってください。」

保奈美「…………………………」

沙紀「あなたの望む物は何だって用意してあげよう。三度だけだなんてケチな事は言いませんよ。」

保奈美「…………………………」

沙紀「自分の欲求に素直になりなさい。答えは自ずと出ているはずです。さあ………………!」

保奈美「……っ…………わ、分かった……私…………あなたと…結婚するわ…………」

沙紀「>>575」

576: 2015/10/16(金) 17:29:28.77 ID:rrUjZK+q0
沙紀「その言葉に偽りはありませんね?」

保奈美「……え、ええ…………無い、わ…………」

沙紀「……………………」ジー……

保奈美「…………………………」

沙紀「……ふふっ……ははっ…………はははははははは…!」

保奈美「え、えっと…………」

沙紀「やった、やったぞ!あはははははははははははは!」

577: 2015/10/16(金) 17:38:03.51 ID:rrUjZK+q0
保奈美「………………………………」

沙紀「はははははは……はぁ……いや、これは失敬。ついぞ目的の物を半分手に入れたので舞い上がってしまいましてね。」

保奈美「…………半分……?」

沙紀「あんたが僕を愛するようになってもう半分だ。」

保奈美「…………悪いけど…そんな日は来ないわよ………?」

沙紀「小説で冷淡な妻が段々と夫を愛するようになる話を読んだ事がありませんか?」

保奈美「……私は小説なんか読まないわ。」

沙紀「はははは!それもそうでした。」

578: 2015/10/16(金) 17:45:17.48 ID:rrUjZK+q0
保奈美「……あなただって……私を愛してなんかいない癖に。」

沙紀「……その通り。良いじゃないですか、愛のない面白半分同士の結婚だなんて。全くお似合いじゃありませんか。」

保奈美「………それも…そうね…」

沙紀「さあ、スカーレット。明日にはニューオリンズに旅立ちますから、今日中に旅支度を終わせてください。」

保奈美「ニューオリンズ?!……何で?」

沙紀「いつだったか、あんたにロブスターを食べさせる約束をしたっきりだったのを思い出したので。高くて美味い料理という物を食べさせてあげましょう。」

579: 2015/10/16(金) 17:54:11.64 ID:rrUjZK+q0
沙紀「それに……いくら気にならないとは言え、街の連中にギャーギャー騒がれたのでは新婚気分が台無しですからね。そうは思いませんか?」

保奈美「まあ……メリウェザー夫人なんかは、この世にこれ以上の罪は無いってぐらいには騒ぎ立てるでしょうね。普段から私のする事なす事全てにケチをつけてたんだから。」

沙紀「あんたが彼女から取り立てをしつこく行っていたのも原因の一つでは?」

保奈美「商品の代金を求めるのはいけない事?」

沙紀「ふむ、至極真っ当な事ですな。」

保奈美「なら私は悪くないわ。」

580: 2015/10/16(金) 18:02:03.28 ID:rrUjZK+q0
沙紀「あんたは根っからの悪人ですよ、悪事を働いたら元気になったのがその証拠です。」

保奈美「…………ふん。」

沙紀「ふふふ……では、改めて僕からあなたへのラブソングをお聞きください。」

保奈美「レット…!話が…………」

沙紀「明日から旅立つんです、何の問題がありますか?」

保奈美「…………………ふふっ、そうね…………明日から旅立つのなら関係は無いわね。」

沙紀「……………………」ニヤリ



5部に続く

581: 2015/10/16(金) 18:11:43.48 ID:rrUjZK+q0
やっと見えました、100部の終着駅が………次で風呂敷畳めるかな……

次回もこのぐらいの亀具合となってしまう予定です……専業になろうかな…

ガンダムもウルトラマンも仮面ライダーもいる世界……あのゲームの世界ですね

長い戦いもやっと終えられそうです………………

保奈美「『付き合うと言う事』」【1】

引用: 沙紀「『へぇ、僕と付き合いたいと?』」