321: 2012/01/03(火) 23:44:06.92 ID:wsE1mSO9o
ある冬の寒い日。
特にこれといった用のない美琴は、部屋に籠もって図書館から借り出した本を読んでいた。
せっかくの休日だけれども、とりあえず外出する用事はない。
寒いし。
んしょ、んしょ
ふと気付くと、黒子が外出準備をしている。
「黒子、何処か行くの?」
じゃっじめんと、ですの
「あー。巡回か。寒いのに大変ね。えらいえらい」
ふふん、と黒子は胸を張る。
誇らしそうなその姿に、美琴はクスクスと笑いながら頭を撫でる。
「風邪ひかないように、ちゃんと服着ないとね」
はっ、と何かに気付いた黒子が素早く身を翻そうとしたところを、さらに素早く捕まえる美琴。
「こぉら、駄目駄目。面倒くさいとか動きづらいとかじゃなくて、ちゃんと厚着しなさい」
美琴はてきぱきと黒子に上着を着せる。
黒子は嫌々と抵抗するけれど、美琴は無視して服を着せていく。
「はい、コートは貸してあげる。それ、温かいのよ」
もっこもこ、ですの
着ぶくれた黒子は、真ん丸な姿になってすっくと立っている。
「んー。ちょろっと動きにくいかも知れないけれど……」
特にこれといった用のない美琴は、部屋に籠もって図書館から借り出した本を読んでいた。
せっかくの休日だけれども、とりあえず外出する用事はない。
寒いし。
んしょ、んしょ
ふと気付くと、黒子が外出準備をしている。
「黒子、何処か行くの?」
じゃっじめんと、ですの
「あー。巡回か。寒いのに大変ね。えらいえらい」
ふふん、と黒子は胸を張る。
誇らしそうなその姿に、美琴はクスクスと笑いながら頭を撫でる。
「風邪ひかないように、ちゃんと服着ないとね」
はっ、と何かに気付いた黒子が素早く身を翻そうとしたところを、さらに素早く捕まえる美琴。
「こぉら、駄目駄目。面倒くさいとか動きづらいとかじゃなくて、ちゃんと厚着しなさい」
美琴はてきぱきと黒子に上着を着せる。
黒子は嫌々と抵抗するけれど、美琴は無視して服を着せていく。
「はい、コートは貸してあげる。それ、温かいのよ」
もっこもこ、ですの
着ぶくれた黒子は、真ん丸な姿になってすっくと立っている。
「んー。ちょろっと動きにくいかも知れないけれど……」
322: 2012/01/03(火) 23:44:35.35 ID:wsE1mSO9o
黒子は歩き出す。
足を前に、というよりも、重心移動でえOちらおっちら、と。
「うん。歩けるわね。走るのは難しいけれど、テレポートできるからその辺りは大丈夫よね」
黒子は頷いた。
行ってまいります
「はい、いってらっしゃい。気をつけてね。なんかあったらすぐ連絡するのよ」
お姉さまは、ジャッジメントではありませんの
ですから危ないことに近づいてはなりません
「何言ってんのよ。私はジャッジメントの手伝いなんてしないわよ。私は、可愛い後輩を助けに行くの。後輩を助けるのが先輩の努めでしょう?」
てれてれ
「ほらほら、そんなところで照れてないで、早く行かないと、固法さんに怒られるわよ」
今度こそ、行ってまいりますの
「はい、いってらっしゃい」
もっこもこになった黒子は、寮を出ようと歩き出す。
玄関まで辿り着いたところで、
「どうした、白井、外出か?」
寮監が玄関口に立っていた。
どうやら、生徒の出入りを見守っている様子。
じゃっじめんと、ですの
「そうか、この寒いのにご苦労だな。よし、行ってこい」
足を前に、というよりも、重心移動でえOちらおっちら、と。
「うん。歩けるわね。走るのは難しいけれど、テレポートできるからその辺りは大丈夫よね」
黒子は頷いた。
行ってまいります
「はい、いってらっしゃい。気をつけてね。なんかあったらすぐ連絡するのよ」
お姉さまは、ジャッジメントではありませんの
ですから危ないことに近づいてはなりません
「何言ってんのよ。私はジャッジメントの手伝いなんてしないわよ。私は、可愛い後輩を助けに行くの。後輩を助けるのが先輩の努めでしょう?」
てれてれ
「ほらほら、そんなところで照れてないで、早く行かないと、固法さんに怒られるわよ」
今度こそ、行ってまいりますの
「はい、いってらっしゃい」
もっこもこになった黒子は、寮を出ようと歩き出す。
玄関まで辿り着いたところで、
「どうした、白井、外出か?」
寮監が玄関口に立っていた。
どうやら、生徒の出入りを見守っている様子。
じゃっじめんと、ですの
「そうか、この寒いのにご苦労だな。よし、行ってこい」
323: 2012/01/03(火) 23:45:06.30 ID:wsE1mSO9o
行ってまいります
とことこと歩き出した黒子に、寮監は再び声をかける。
「いや、待て。白井。いいか、そこで少し待っていろ」
首を傾げた黒子が待っていると、すぐに寮監が帰ってくる。
その手には、シックな色のマフラー。
「今日は寒くなる天気予報と言っていたからな。これを貸してやろう。ほら、こっちに来い」
黒子の首にマフラーをしゅるしゅると巻く。
「どうだ、白井」
もっこもこでぬっくぬく、ですの
「それは良かった。温かくして行ったほうがいいからな」
行ってまいります
「あまり遅くならないようにな」
時計を見た黒子は、集合時間にやや遅れていることに気付く。
仕方がないのでテレポート。
何度目かのテレポートの結果、着いたところは黒子の所属するジャッジメント支部。
かちゃりと戸を開けると、既にそこには固法先輩と初春の姿が。何故か佐天も。
ごめんなさい
遅れましたの
「ああ、白井さん、大丈夫。時間通りよ」
「白井さん、随分温かそうな格好ですね」
とことこと歩き出した黒子に、寮監は再び声をかける。
「いや、待て。白井。いいか、そこで少し待っていろ」
首を傾げた黒子が待っていると、すぐに寮監が帰ってくる。
その手には、シックな色のマフラー。
「今日は寒くなる天気予報と言っていたからな。これを貸してやろう。ほら、こっちに来い」
黒子の首にマフラーをしゅるしゅると巻く。
「どうだ、白井」
もっこもこでぬっくぬく、ですの
「それは良かった。温かくして行ったほうがいいからな」
行ってまいります
「あまり遅くならないようにな」
時計を見た黒子は、集合時間にやや遅れていることに気付く。
仕方がないのでテレポート。
何度目かのテレポートの結果、着いたところは黒子の所属するジャッジメント支部。
かちゃりと戸を開けると、既にそこには固法先輩と初春の姿が。何故か佐天も。
ごめんなさい
遅れましたの
「ああ、白井さん、大丈夫。時間通りよ」
「白井さん、随分温かそうな格好ですね」
324: 2012/01/03(火) 23:45:27.31 ID:wsE1mSO9o
もっこもこでぬっくぬく、ですの
「いいなぁ。それ、御坂さんのコートですよね」
満面の笑みで嬉しそうに頷く黒子。
お借りしましたの
マフラーは寮監さまですの
「今日は寒いですからね。私も毛糸装備ですよ」
手を挙げて、くるりと回って、
「毛糸の手袋に毛糸のマフラー」
佐天の手が伸びる。
「あと、毛糸のパンツ。そーれぇ!」
ふわり、と初春のスカートがめくれた。
慌ててスカートを押さえる初春。だけど黒子には、毛糸のパンツがハッキリ見えてしまった。
おー、毛糸ですの
「佐天さん、なにするんですか!」
「いや初春、今のは明らかにネタ振ってたよね」
「ち、違いますよ」
「またまたぁ。見せたかった癖にぃ」
「違いますってば!」
「いい加減にしなさい。騒ぐようならここから叩き出すわよ」
固法に言われて慌てて口を閉じる佐天と初春。
それでは、私は巡回に行ってきますの
「いいなぁ。それ、御坂さんのコートですよね」
満面の笑みで嬉しそうに頷く黒子。
お借りしましたの
マフラーは寮監さまですの
「今日は寒いですからね。私も毛糸装備ですよ」
手を挙げて、くるりと回って、
「毛糸の手袋に毛糸のマフラー」
佐天の手が伸びる。
「あと、毛糸のパンツ。そーれぇ!」
ふわり、と初春のスカートがめくれた。
慌ててスカートを押さえる初春。だけど黒子には、毛糸のパンツがハッキリ見えてしまった。
おー、毛糸ですの
「佐天さん、なにするんですか!」
「いや初春、今のは明らかにネタ振ってたよね」
「ち、違いますよ」
「またまたぁ。見せたかった癖にぃ」
「違いますってば!」
「いい加減にしなさい。騒ぐようならここから叩き出すわよ」
固法に言われて慌てて口を閉じる佐天と初春。
それでは、私は巡回に行ってきますの
325: 2012/01/03(火) 23:45:58.51 ID:wsE1mSO9o
黒子が一礼して出ようとすると、
「あ、待ってください、白井さん」
? と立ち止まる黒子。
「頭がなんだか寒そうですよ、これ被ってください」
差し出したのは毛糸の帽子。
毛糸の色が手袋、マフラー、そしてパンツとお揃いだ。
いいの? と首を傾げる黒子に初春は頷く。
「これ全部セットで佐天さんに貰ったんですけれど、私、帽子は駄目なんです」
佐天も頷き、
「うん。初春のそれのこと、うっかり忘れてたんだよね。ショックだけど、勿体ないから良かったら白井さんが使ってください」
初春が示しているのは頭の花飾り。
確かに、花飾りを付けたままでは毛糸の帽子はかぶれない。
黒子は、謹んで毛糸帽を受け取ることにした。
初春が手を伸ばし、黒子に帽子を被せる。
「あはっ、ピッタリですね」
ぬっくぬく、ですの
「白井さんも完全耐寒装備ですよ」
ぬっくぬくのもっこもこ、ですの
では、巡回に行ってきますの
「はい、私はここでモニターしてますから。何かあったらすぐに連絡してくださいね」
えOちらおっちらと、詰め所を出て行く黒子。
「あ、待ってください、白井さん」
? と立ち止まる黒子。
「頭がなんだか寒そうですよ、これ被ってください」
差し出したのは毛糸の帽子。
毛糸の色が手袋、マフラー、そしてパンツとお揃いだ。
いいの? と首を傾げる黒子に初春は頷く。
「これ全部セットで佐天さんに貰ったんですけれど、私、帽子は駄目なんです」
佐天も頷き、
「うん。初春のそれのこと、うっかり忘れてたんだよね。ショックだけど、勿体ないから良かったら白井さんが使ってください」
初春が示しているのは頭の花飾り。
確かに、花飾りを付けたままでは毛糸の帽子はかぶれない。
黒子は、謹んで毛糸帽を受け取ることにした。
初春が手を伸ばし、黒子に帽子を被せる。
「あはっ、ピッタリですね」
ぬっくぬく、ですの
「白井さんも完全耐寒装備ですよ」
ぬっくぬくのもっこもこ、ですの
では、巡回に行ってきますの
「はい、私はここでモニターしてますから。何かあったらすぐに連絡してくださいね」
えOちらおっちらと、詰め所を出て行く黒子。
326: 2012/01/03(火) 23:46:20.08 ID:wsE1mSO9o
詰め所を出てから十数分後、黒子は事件に遭遇することになる。
それは、非常に些細な出来事だった。
一人の青年が一万円札を一枚落とした。
財布に入っていたわけではない。何かの買い物をしたときに、一枚だけをポケットに入れていたのだろう。
その札を、別の青年が拾う。
拾った青年は、ネコババをするつもりなどなく、落とした青年に声をかける。
落とした青年が礼を言って受け取れば、それで全てが終わるはずだった。
しかし……
落とした青年が、ホストとチンピラを足して二で割ったようなイケメン、
拾った青年が、白髪の細い青年でなければ……
「おィ、落としもン……あァ?」
「あ、悪ぃ……ああ?」
「あァ? 落としもンとは、垣根くンも惚けてきたンですかねェ」
「はあ? 落とすわけねえだろ。モヤシみてえな貧相で惨めな男に恵んでやってんだよ」
「あァン? 誰が惨めだって?」
「こらてめぇ、誰が惚けたって?」
「おィおィ、今日から第三位以下が全員繰り上げだァ、みこっちゃン大喜びするンじゃなィですかねェ」
「はっ、第一位が消えて全員繰り上げか。御坂のやつも大喜びじゃねえか」
麦野や食蜂を喜ばせるつもりは二人ともないらしい。
勿論、削板は論外だ。
「垣根くゥン、ちょっと氏ンでくれるかな」
「てめえが氏ねっ!」
じゃっじめんと、ですの
それは、非常に些細な出来事だった。
一人の青年が一万円札を一枚落とした。
財布に入っていたわけではない。何かの買い物をしたときに、一枚だけをポケットに入れていたのだろう。
その札を、別の青年が拾う。
拾った青年は、ネコババをするつもりなどなく、落とした青年に声をかける。
落とした青年が礼を言って受け取れば、それで全てが終わるはずだった。
しかし……
落とした青年が、ホストとチンピラを足して二で割ったようなイケメン、
拾った青年が、白髪の細い青年でなければ……
「おィ、落としもン……あァ?」
「あ、悪ぃ……ああ?」
「あァ? 落としもンとは、垣根くンも惚けてきたンですかねェ」
「はあ? 落とすわけねえだろ。モヤシみてえな貧相で惨めな男に恵んでやってんだよ」
「あァン? 誰が惨めだって?」
「こらてめぇ、誰が惚けたって?」
「おィおィ、今日から第三位以下が全員繰り上げだァ、みこっちゃン大喜びするンじゃなィですかねェ」
「はっ、第一位が消えて全員繰り上げか。御坂のやつも大喜びじゃねえか」
麦野や食蜂を喜ばせるつもりは二人ともないらしい。
勿論、削板は論外だ。
「垣根くゥン、ちょっと氏ンでくれるかな」
「てめえが氏ねっ!」
じゃっじめんと、ですの
327: 2012/01/03(火) 23:46:47.22 ID:wsE1mSO9o
二人の動きが止まった。
二人の間に突然現れたのは、茶色のもこもことした丸っこい物体。
いや、おそらくは着膨れた人間。
「……なンなンですかァ、このもっこもこはァ!?」
「……温かそうだな」
喧嘩の制止、ですの
暴力は駄目、ですの
「……いや、だから誰だって」
じゃっじめんと、ですの
「お、おい、一方通行、こいつは……」
「あァ?」
「着膨れのもっこもこでわかりにくいが、白井黒子じゃないのか?」
「ジャッジメントの?」
「ああ」
「みこっちゃンの後輩の?」
「御坂の後輩の」
「あ」
「どうした、一方通行」
「よく見たら、こいつの着てるの、みこっちゃンのコート」
「な……んだと……?」
二人の鋭い視線を向けられても、黒子は動じない。
二人の間に突然現れたのは、茶色のもこもことした丸っこい物体。
いや、おそらくは着膨れた人間。
「……なンなンですかァ、このもっこもこはァ!?」
「……温かそうだな」
喧嘩の制止、ですの
暴力は駄目、ですの
「……いや、だから誰だって」
じゃっじめんと、ですの
「お、おい、一方通行、こいつは……」
「あァ?」
「着膨れのもっこもこでわかりにくいが、白井黒子じゃないのか?」
「ジャッジメントの?」
「ああ」
「みこっちゃンの後輩の?」
「御坂の後輩の」
「あ」
「どうした、一方通行」
「よく見たら、こいつの着てるの、みこっちゃンのコート」
「な……んだと……?」
二人の鋭い視線を向けられても、黒子は動じない。
328: 2012/01/03(火) 23:47:14.32 ID:wsE1mSO9o
じゃっじめんと、ですの
喧嘩は駄目、ですの
「おい、そのコート、温いのか?」
垣根の問いに頷き、
ぬっくぬく、ですの
「着心地良ィのか?」
一方通行の問いに胸を張る。
フローラルな香り、ですの
「フローラル……だと?」
「くっ……さすがは第三位ってわけか」
さっきまで殺気立っていた二人の様子に黒子は当惑するけれど、それでもジャッジメントは負けない。
じゃっじめんと、ですの
喧嘩はおしまい?
黒子の言葉で顔を見合わせる二人。
そういえば、さっまで一触即発だったような気がする。
「おゥ、これ、落としただろ」
一万円札を再び差し出す一方通行。
垣根は汚いものでも見るように札を見下ろす。
喧嘩は駄目、ですの
「おい、そのコート、温いのか?」
垣根の問いに頷き、
ぬっくぬく、ですの
「着心地良ィのか?」
一方通行の問いに胸を張る。
フローラルな香り、ですの
「フローラル……だと?」
「くっ……さすがは第三位ってわけか」
さっきまで殺気立っていた二人の様子に黒子は当惑するけれど、それでもジャッジメントは負けない。
じゃっじめんと、ですの
喧嘩はおしまい?
黒子の言葉で顔を見合わせる二人。
そういえば、さっまで一触即発だったような気がする。
「おゥ、これ、落としただろ」
一万円札を再び差し出す一方通行。
垣根は汚いものでも見るように札を見下ろす。
329: 2012/01/03(火) 23:47:40.91 ID:wsE1mSO9o
「知るか。お前の触った札なんぞいるか」
「あ? 垣根菌のついた札なンか、まともに触ると思ってンですかァ? 反射して宙に浮かしてンですけどォ?」
「器用なことしてんじゃねえよ」
「いィからさっさと受け取ってくれませンかねェ、反射とはいえ手が腐りそォなンで」
「恵んでやるっつってんだろ、金拾うなんてだせえことしやがって。あれか、毎日下向いて金探しまわってんのか、世知辛いなぁ、第一位」
黒子は二人のやりとりをきょろきょろと目で追っている。
そして、理解した。
これはお金のやりとりをしているのだと。
一方通行が拾ったお金を、垣根提督が受け取り拒否しているのだと。
お金は大切なものである。
自らもレベル4であり、実家もそれなりの資産家である黒子はお金に困ったことはない。
それでも、お金の大切さは幼少時よりしっかりと叩き込まれている。
だから、垣根が受け取り拒否する理由がわからない。
これが一方通行によるネコババであり、取り返そうとする垣根との争いならば理解できる。
じゃっじめんと、ですの
しかし、黒子は動いた。
争いは止めなければならない。
なぜなら、黒子は誇り高きジャッジメントなのだから。
二人の動きは、黒子の行動によって再び止まる。
二人の視線は黒子、いや、黒子の取りだしたものへと。
「なンだ、そりゃ」
「おい、わけわかんねえぞ、嬢ちゃん」
そこには二枚の五千円札。
黒子は一方通行の手から一万円札を奪うと、五千円札を一枚ずつ一方通行と垣根に渡す。
はんぶんこ、ですの
「あ? 垣根菌のついた札なンか、まともに触ると思ってンですかァ? 反射して宙に浮かしてンですけどォ?」
「器用なことしてんじゃねえよ」
「いィからさっさと受け取ってくれませンかねェ、反射とはいえ手が腐りそォなンで」
「恵んでやるっつってんだろ、金拾うなんてだせえことしやがって。あれか、毎日下向いて金探しまわってんのか、世知辛いなぁ、第一位」
黒子は二人のやりとりをきょろきょろと目で追っている。
そして、理解した。
これはお金のやりとりをしているのだと。
一方通行が拾ったお金を、垣根提督が受け取り拒否しているのだと。
お金は大切なものである。
自らもレベル4であり、実家もそれなりの資産家である黒子はお金に困ったことはない。
それでも、お金の大切さは幼少時よりしっかりと叩き込まれている。
だから、垣根が受け取り拒否する理由がわからない。
これが一方通行によるネコババであり、取り返そうとする垣根との争いならば理解できる。
じゃっじめんと、ですの
しかし、黒子は動いた。
争いは止めなければならない。
なぜなら、黒子は誇り高きジャッジメントなのだから。
二人の動きは、黒子の行動によって再び止まる。
二人の視線は黒子、いや、黒子の取りだしたものへと。
「なンだ、そりゃ」
「おい、わけわかんねえぞ、嬢ちゃん」
そこには二枚の五千円札。
黒子は一方通行の手から一万円札を奪うと、五千円札を一枚ずつ一方通行と垣根に渡す。
はんぶんこ、ですの
330: 2012/01/03(火) 23:48:07.22 ID:wsE1mSO9o
「いや、そォいゥ問題じゃ……」
はんぶんこ、ですの
「あのな、嬢ちゃん……」
はんぶんこ、ですの
黒子の意思は硬い。
ジャッジメントは退かない媚びない顧みない。
「話は聞かせて貰った!」
第三の男の乱入に、思わず身構える二人。
「……ちっ、三下ですかァ」
「なんだ、上条か」
「二人とも、くだらないことで争ってんじゃねえよ。周りの人がびびってるっての」
いつの間にやら上条の手には五千円札が二枚。
「というわけで、争いの元は上条さんが没収のことですよ」
「あ、てめェ」
垣根が咄嗟に黒子に向き直る。
「おい、ジャッジメントの嬢ちゃん。あいつ、泥棒の現行犯だ」
じゃっじめんと! ですのっ!
「え、ちょっと待て、白井! お……ぐっがふっ」
はんぶんこ、ですの
「あのな、嬢ちゃん……」
はんぶんこ、ですの
黒子の意思は硬い。
ジャッジメントは退かない媚びない顧みない。
「話は聞かせて貰った!」
第三の男の乱入に、思わず身構える二人。
「……ちっ、三下ですかァ」
「なんだ、上条か」
「二人とも、くだらないことで争ってんじゃねえよ。周りの人がびびってるっての」
いつの間にやら上条の手には五千円札が二枚。
「というわけで、争いの元は上条さんが没収のことですよ」
「あ、てめェ」
垣根が咄嗟に黒子に向き直る。
「おい、ジャッジメントの嬢ちゃん。あいつ、泥棒の現行犯だ」
じゃっじめんと! ですのっ!
「え、ちょっと待て、白井! お……ぐっがふっ」
331: 2012/01/03(火) 23:48:33.80 ID:wsE1mSO9o
必殺テレポドロップキック改め、もっこもこテレポドロップキックがツンツン頭に炸裂する。
ノーバウンドと言うほどではないけれど、結構な仰け反り方でもんどり打って倒される上条。
すかさず駆け寄った垣根は五千円札を回収。
「オッケー、取り返した、ありがとよ。ジャッジメント」
垣根の賞賛に、ふんすっと胸を張る黒子。
勝利、ですの
一方通行は上条を助け起こしている。
「おォい、生きてますかァ?」
「な、なんとか……」
上条を助け起こしたまま顔だけ振り向いて、
「で、その金は結局どうすンですかァ、垣根くン」
「あー、なんか、白けたというかケチがついたというか……」
垣根が上条を見た。上条は垣根の視線に疑問符を飛ばす。
「よし、上条、この金で頼むわ」
「は?」
「鍋やろうぜ、鍋。寒いし」
「いや待て、なンでそォなる」
「別に上条さんは構いませんが……というか、食費が浮くのは嬉しいけど……魚で良いか?」
「待て馬鹿、肉に決まってンだろ」
「てめ、やる気満々じゃねえか」
仲が良いのか悪いのか、言い争いながらもまとまっていく三人を背景に、黒子はその場から去っていく。
ジャッジメントは忙しいのだから。
ノーバウンドと言うほどではないけれど、結構な仰け反り方でもんどり打って倒される上条。
すかさず駆け寄った垣根は五千円札を回収。
「オッケー、取り返した、ありがとよ。ジャッジメント」
垣根の賞賛に、ふんすっと胸を張る黒子。
勝利、ですの
一方通行は上条を助け起こしている。
「おォい、生きてますかァ?」
「な、なんとか……」
上条を助け起こしたまま顔だけ振り向いて、
「で、その金は結局どうすンですかァ、垣根くン」
「あー、なんか、白けたというかケチがついたというか……」
垣根が上条を見た。上条は垣根の視線に疑問符を飛ばす。
「よし、上条、この金で頼むわ」
「は?」
「鍋やろうぜ、鍋。寒いし」
「いや待て、なンでそォなる」
「別に上条さんは構いませんが……というか、食費が浮くのは嬉しいけど……魚で良いか?」
「待て馬鹿、肉に決まってンだろ」
「てめ、やる気満々じゃねえか」
仲が良いのか悪いのか、言い争いながらもまとまっていく三人を背景に、黒子はその場から去っていく。
ジャッジメントは忙しいのだから。
332: 2012/01/03(火) 23:49:01.63 ID:wsE1mSO9o
支部に戻り、報告を住ませると常盤台の寮へと戻る。
もうすぐ夕飯の時間だ。
お腹ぺっこぺこ、ですの
働いた後のご飯は美味しい。
だから、今日のご飯もきっと美味しい。
お姉さまと一緒に食べるともっと美味しい。
だから、黒子はご飯が楽しみだ。
「お帰り、黒子」
お姉さま、ただいま戻りましたの
「あれ? その帽子とマフラーどうしたの?」
黒子はそれぞれについて説明する。
帽子は初春から。マフラーは寮監から借りたのだと。
「そっか。だったら、初春さんには明日お礼言わないとね」
寮監さまにはこれから言いますの
「そうね。今からちょうど夕飯だし。一緒に行こうか、黒子」
はい、お姉さま
「ところで黒子」
はい
「今日の巡回はどうだった?」
学園都市は、今日も平和でしたの
もうすぐ夕飯の時間だ。
お腹ぺっこぺこ、ですの
働いた後のご飯は美味しい。
だから、今日のご飯もきっと美味しい。
お姉さまと一緒に食べるともっと美味しい。
だから、黒子はご飯が楽しみだ。
「お帰り、黒子」
お姉さま、ただいま戻りましたの
「あれ? その帽子とマフラーどうしたの?」
黒子はそれぞれについて説明する。
帽子は初春から。マフラーは寮監から借りたのだと。
「そっか。だったら、初春さんには明日お礼言わないとね」
寮監さまにはこれから言いますの
「そうね。今からちょうど夕飯だし。一緒に行こうか、黒子」
はい、お姉さま
「ところで黒子」
はい
「今日の巡回はどうだった?」
学園都市は、今日も平和でしたの
333: 2012/01/03(火) 23:49:37.26 ID:wsE1mSO9o
以上、お粗末様でした
黒子可愛いよ、黒子
黒子可愛いよ、黒子



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