908: 2012/01/31(火) 06:24:30.28 ID:KMo9x93H0
上条「……は?」
そんな間抜けな声が出た。
夏休みに入って何日が過ぎただろうか。
そもそも毎日が補習で長期休暇なんて満喫出来ていない自分にしてみればそれは関係のない事だが、
とにかく、その日はいつも通りの変わりない夏の1日のはずだった。
はずだったということは、つまり今から上条当麻の身に降り掛かろうとしているのは、
彼の日常とはまるで程遠い夏の1日だというのは想像に難くないだろう。
上条「……は?」
2度目の、間抜けな声。
出したくもなる。むしろまだいつもの決まり文句を叫ばないのを褒めてやりたいくらいだ。
なにせ、布団を干そうとベランダに出たら、この有様。有り体に言えば――そう、女の子だ。
ミサカ「……しくじりましたか。とミサカ10032号は己の不手際に舌を打ちます。ちっ」
どこかで見覚えのある女の子が、ベランダにひっかっかっていた。
上条「あー…ビリビリ中学生? なにやってんだ、人ん家のベランダで」
ミサカ「……会話から推測するにお姉様のお知り合いでしょうか。とミサカは推測を立てます」
上条「え? は?」
ミサカ「実は屋上を移動中足を踏み外してしまいました。運良くここにひっかっかってミサカは
ほっと一息を付かざるを得ません」
909: 2012/01/31(火) 06:24:58.39 ID:KMo9x93H0
上条「……あー」
微妙な沈黙。
上条の額から流れた一筋の水滴は熱さのせいだからだと信じたい。
上条「……とりあえずあがる、か?」
ミサカ「是非。とミサカは差し伸べられた手をすかさず掴みます」
ちなみに手は差し伸べていない。彼女なりの比喩表現だろう。
上条(……ビリビリ、だよな?なんでベランダなんかに?)
いそいそとベランダから這い上がる少女を見て思考するも、答えは浮かばない。
まぁいい。適当に話を聞くなりなんなりして寮に帰ってもらおう。
上条「はぁ……不幸だ」
いつもと違う夏の1日。上条の物語は、そんな言葉から始まった。
910: 2012/01/31(火) 06:25:36.56 ID:KMo9x93H0
一方通行「……あァ?」
そんな間抜けな声が出た。
夏休みに入って何日が過ぎただろうか。
そもそも毎日が実験漬けでどうせ一人しかいないクラスでは長期休暇なんて関係のない話だが、
とにかく、その日はいつも通りの変わりない夏の1日のはずだった。
はずだったということは、つまり今から一方通行の身に降り掛かろうとしているのは、
彼の日常とはまるで程遠い夏の1日だというのは想像に難くないだろう。
一方通行「ちッ……なンなンですかァ一体」
途端に、普段から目つきの悪いその表情が不機嫌なものへと変わる。
突如訪れた理解の出来ない出来事に対する苛立は目の前の少女へと向けられた。
ベランダへ引っかかっているしろい修道服を纏った少女へと向けられた。
禁書「私の名前はインデックスっていうんだよ」
一方通行「聞いてねェンだよクソガキ」
禁書「おなかいっぱいご飯をくれたら嬉しいな」
一方通行「聞いてねェンだなクソガキ……」
911: 2012/01/31(火) 06:26:07.99 ID:KMo9x93H0
チッと荒い舌打ち。大抵の不良などはここで一目散に逃げ出すところだが、どういう訳か
目の前の少女はそんな事は構いもせずニコニコと笑いながら空腹を訴えている。
殺意も、悪意も、白の少女には届かない。
禁書「ねぇ、聞いてるのかな?」
ぷくー、と目の前の少女が頬を膨らます。
対し、一方通行はどこまでも気取るそうに、ため息をついた。
一歩、二歩と少女へと歩み寄る。
一方通行「つまり、なンだ。人ン家のベランダに勝手に引っかかっていやがりましたテメェは腹が減ったと」
禁書「イエスなんだよ!」
一方通行「この一方通行に飯をたかると、そう言う事だよな?」
禁書「そういうことなんだよ!」
一方通行「お断りだクソッタレ」
次の瞬間、一方通行は少女をベランダから突き落とした。
912: 2012/01/31(火) 06:26:34.53 ID:KMo9x93H0
禁書「へっ?」
さしもの少女も突き落とされるとは思っても見なかったのだろう。
一瞬目を見開き、しかしそれは一瞬だけで、次の瞬間には少女は一方通行の視界から消えていた。
聞こえたのは、甲高い悲鳴と、どさりと重たいものが落ちた音。
ソレを聞き届けた一方通行は見下ろす事もせず、大きな欠伸をしながら部屋へと戻って行く。
運が良ければ、というか確実に氏んではいないだろう。
そういう風に落としたのだから。
一方通行「だりィ」
呟いて、一方通行はソファに寝転がり世界を閉じる。
しかし数分後。部屋の扉を叩く音が彼の物語を告げる合図となる事を、まだ一方通行は知らない。
913: 2012/01/31(火) 06:27:21.04 ID:KMo9x93H0
垣根「……は?」
そんな間抜けな声が出た。
夏休みに入って何日が過ぎただろうか。
そもそも毎日が血に塗れた生活を送る垣根にとって長期休暇なんてものはまるで関係のない事だが、
とにかく、その日はいつも通りの変わりない夏の1日のはずだった。
はずだったということは、つまり今から垣根の身に降り掛かろうとしているのは、
彼の日常とはまるで程遠い夏の1日だというのは想像に難くないだろう。
垣根「……あー」
声を発するも、ソレは言葉にならなかった。今の状況を言葉で表すと、
垣根「非常識……って俺が言っても洒落にしかなんねぇけどさ。
ベランダから人の部屋に入んのは流石に常識的とは言えねえぜ?お嬢さん」
そう言って投げ掛けた言葉に、少女はびくりと肩を振るわした。
ベランダに引っかかっている長い銀髪の少女は、びくりと肩を振るわした。
垣根「あー……どういうこった?」
思考するも答えは見えない。
こんな事は予定には無かったはずだし、目の前の少女にも見覚えは無い。
914: 2012/01/31(火) 06:27:53.08 ID:KMo9x93H0
取り敢えずどうするべきか。
垣根はソレを考える。この少女が表の住人なら家へ返すも良し、自分と同じこっち側なら――
垣根「……は、何を考えているんだろうね。俺は」
そう言って垣根の口許に浮かんだのは薄い笑み。
冷淡なそれに気付いたのか、ひっかかったままの少女の体が強張る。
そうだ、そもそも表側の人間はベランダに引っかかったりなどしない。
訳があるのだろう。
深い訳が。
「あの……」
ここに来て、初めて少女が口を開いた。小柄な少女が纏う白い衣服は銀髪と太陽によく映える。
それが垣根帝督にはとても眩しく見えた。
垣根「…………」
しかし、
「!! きゃ――」
915: 2012/01/31(火) 06:28:34.69 ID:KMo9x93H0
突如少女の体に手が回され、そのままベランダの内に無造作に引き摺られる。
誰が、なんて言うまでもない。垣根帝督だ。
なにがおこったのかわからないのだろう。呆然しながら状況を把握しようとする少女の喉元に腕が伸びた。
垣根「動いたら頃す。喋ったら頃す。何かしたら頃す。わかったら目を閉じろ」
「――っ」
少女を壁に押し付け、喉を締めながら垣根帝督は静かに言葉を告げる。
加減の無い腕には、瞼をぎゅっと閉じる少女の震えが伝わった。
その行動に不自然さを感じ、垣根は眉を潜める。
彼はその仕事柄、人を頃す事が稀にある。
ここで言う人とは、つまりは一般人の事だ(暗部はゴミ)
心構えのない人間は、氏が近づくと恐怖に震えてしまう。この少女の様に。
垣根(……マジでパンピ?)
垣根「あー、お嬢さん。今からいくつか質問してから頃すな。わりい。
詫びに一応名前くらいなら聞いといてやるぜ?」
そう言って、垣根は喉元の手を少し緩める。
916: 2012/01/31(火) 06:29:20.54 ID:KMo9x93H0
まぁあり得ないだろうとは思うが、もしもこの少女がまっさらだった場合、
そのまま頃すというのも後味が悪く忍びない。
名前を聞くという行為は垣根にとって最大限、少女に気を使った結果だった。
そして、
「――けほっ、――です」
垣根「あ?」
むせ込みながら、少女は紅い瞳を垣根に向ける。
「――――です」
名乗った名前に、やはり聞き覚えはなく。しかし、それは報せだった。
「鈴科百合子……です」
垣根帝督の身に訪れる物語の、始まりの知らせだった。
917: 2012/01/31(火) 06:29:47.24 ID:KMo9x93H0
こうして三人の少年は、同じ日、同じ時刻に少女と出会う。知らぬところで、知らぬ形で、少女に出会う。
そすして出会い交錯する時、あったはずの物語は違う形になって、少年達の身に降り掛かる。
918: 2012/01/31(火) 06:31:34.80 ID:KMo9x93H0
続かない。むかし小ねたスレでもおとしとような気がする変則再構成ネタの冒頭でした。



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