1: 2008/08/17(日) 01:31:28.48ID:BUxJWK+F0
男「ただいまー、って一人暮らしなんだけどねー……ん? 宅配便の不在票が……」
男「特に心当たりはないが……なんだろ?」
 ピポパ
男「すんません、不在票入ってたんで、再配達お願いしたいんですけど……今からとか大丈夫ですか?」
男「はーい、お願いします」

 しばらくして

 ピンポーン
男「おぉ、きたきた」
男「ん……名前がないぞ? 誰からだ? 中身の欄に『骨その1』って書いてあるけど……骨?」
 ガサガサ
ドクロ「こんばんは」
男「………………」
ドクロ「今日は暑かったですね。段ボールの中はもっと暑かったんですよ? 暑かったんですよ?」
男「………」
ドクロ「どうしたんですか? 玄関に突っ立ってないで、早くクーラーのお部屋行きましょう?」
男「…………」
ドクロ「あ、びっくりしちゃいました? しちゃいましたよね? 仕方ないから一から、なんと一から説明しちゃいますよ、っ

ていうか当たり前やっちゅーねーん!」
男「……骸骨のくせしゃべり方がとってもうざい」
ドクロ「えー」
葬送のフリーレン(15) (少年サンデーコミックス)
3: 2008/08/17(日) 01:36:50.52ID:BUxJWK+F0
男「ふあぁ……よく寝た……」
ドクロ「おはようございます」
男「おはようさん」
ドクロ「その落ち着き具合が憎たらしくもある今日この頃です」
男「昨夜来たばっかだろ。しかし、ドクロなんだから、しゃべるなよ。こっそり埋められないじゃないか」
ドクロ「そうやって、また誰にも知られないように葬るつもりなんですね。そう、あの月が綺麗だった夜のように……」
男「悪いが犯罪に手を染めたことはない」
ドクロ「言ってみただけですよ……それはそうと、そろそろだと思いますので」
男「何が?」

 ピンポーン

 「おはよーございまーす、宅配便でーす」

男「……『骨その2』」ガサガサ
ドクロ「今日は肋骨一式だったはずです。なくさないでくださいね。なくしたら本当に祟ります」
男「ひとつ聞いていいか?」
ドクロ「どうぞ」
男「これ、いつまで続くんだ? 骨全部か?」
ドクロ「骨も出すけど、筋肉に皮膚に脳に内臓に……ちゃんとコンプリートしてくださいね?」
男「組み立てられる自信がありません」

4: 2008/08/17(日) 01:46:06.11ID:BUxJWK+F0
男「ただいまー」
骨「おかえりなさい」
男「……なんで肋骨が組みあがってるんだ?」
骨「お仕事の間に組み立てました。どう? 胸像みたいでしょ?」
男(どう質問しても納得できる答えは返ってこないに違いない……)
男「しかし、自分で組めるなら、最初から言えよ!」
骨「あぁ、箱から出しといてくれれば、あとは自分できますよー」
男「くそっ! 解剖学の本買っちまったじゃねーか! 高かったのに!」
骨「……もしかして、ちょっと楽しみでした? まぁ、いずれ手伝ってもらいますから」
男「そうかよ」
骨「もうちょっとしたら、ちゃんとおっOいもできますからね。好きでしょ? おっOい」
男「いまさらだけど、お前、女なんだ」
骨「えっと、Cカップくらいで仕上がる予定ですので、お願いしますね?」
男「俺にブラを買えと!?」

5: 2008/08/17(日) 01:50:16.47ID:BUxJWK+F0
男「ふぅ……風呂上りのアイスは欠かせないよなー」
骨「ですねー。食べたことないですけど」
男「まぁ、ドクロじゃな」
骨「胃が届いたら、お願いしますね」
男「やっぱ俺が養うことになるのか……」
骨「それはそうと、どうしたんですか。なんかひっかき傷みたいなの」
男「ん? あぁ、いつもその窓の外を通る猫がいてな。餌やったり遊んでたりしてたんだが、なんかいきなり引っ掻かれた」
骨「……」
男「まぁ、初めて頭を撫でてみようかと挑戦したのが悪かったかも知れん。もうちょっと馴らした方がよかったかな」
骨「……」
男「そういえば、最近見ないな。あの猫……」
骨「そんな男さんに特別プレゼント、これから語尾に『にゃん』を付けてしゃべります」
男「いらん」
骨「遠慮するなにゃん☆」
男「びっくりするほどうざい」


>>2ごめんね、グロい方に進みそうでごめんね

9: 2008/08/17(日) 01:53:27.20ID:BUxJWK+F0
男「昔読んだ本にさ、『しゃべるされこうべ』って話があってな?」
骨「ほうほう」
男「自分が頃した男の骸骨がしゃべるんだ。で、骸骨の方は『昔のことは水に流して、ひと儲けしないか?』つって、自分から見世物になるわけだ」
骨「うぅ……自己犠牲のお話ですね。私、そういうの弱いんです。涙腺が……」
男「涙腺まだ届いてないだろ。それにそんな話でもない」
骨「えー……」
男「で『しゃべるされこうべ』の見世物はたちまち評判になって、お殿様に呼ばれるわけだ」
骨「あぁ、これはかつて嗅いだ匂い。そう、冷たく饐えた、まさに氏の匂い……」
男「まぁ、確かにフラグ立ってるけどな。予想通り、骸骨は喋らない。男は激怒した殿様に斬り殺されてしまう。で、彼が絶命した瞬間、骸骨は声高く笑う……という話」
骨「あらら……」
男「ところで、今日の段ボールはちょっとばかし大きいわけだが」
骨「『骨その3』はきっと骨盤です。安産型のを選びました」
男「選べるんだ」
骨「だってぇ……子供、三人は欲しいんですもん」
男「どう考えても人生設計を立てるタイミングが早すぎる」ガサガサ
骨「あんまりじろじろ見ないでくださいね。えOちですから」
男「工口い骨盤ってなんだ」
男(とりあえず、こちらに害意はないようだが……)


10: 2008/08/17(日) 01:56:22.94ID:BUxJWK+F0
骨「たとえば、服が透けるメガネがあるとするでしょ?」
男「夢のアイテムだな」
骨「それで見られたら、とりあえず恥ずかしいじゃないですか。男女問わず」
男「まぁ、いい気分はしないな」
骨「なら、なんでレントゲンって恥ずかしくないんでしょうね?」
男「いや、そういう問題じゃ……」
骨「私もとりあえず骨丸出しですけど、あんまり恥ずかしくないし」
男「そうですか」
骨「どの段階から羞恥心が芽生えるのでしょうか。やっぱり、子宮くらい?」
男「せめて皮張ってから言え」
骨「皮張ったら、普通に裸じゃないですか! やーん、恥ずかしい!」
男「恥ずかしいのはわかったから、顎関節をカクカクさせるな」
骨「一発芸、リブス・ブレード!!(露骨な肋骨)」
男「無駄にフレキシブルだな、おい!」
骨「テンションあがってきたwwww」
男「うぜぇ」

13: 2008/08/17(日) 01:59:33.31ID:BUxJWK+F0
男「ふぅ……一週間でどうにか全身の骨が揃ったな」
骨「ですねー」
男「どうだ? 立てるか?」
骨「も~、筋肉ないのに立てるわけないでしょ」
男「呼吸器ないのにしゃべってる奴に言われたくない」
骨「ところでお願いがあります」
男「何?」
骨「壁に吊るすのやめてくれませんか。本格的に理科室みたいです」
男「ちょっとサイケなインテリアにでもしないとやってられん」
骨「これからを考えたらちょっとじゃ済まないですよ? リアルエド・ゲOンですよ?」
男「お前エド・ゲOン言いたいだけだろ」
骨「おーろーしーてー!」
男「わーったよ! ほれ」

 クシャカシャガラカタ

男「関節がありえない方向に曲がってるわけだが」
骨「腱もないですからね。骨だからあんまり痛々しくないでしょ?」
男「前から思ってたが、それは何でくっついてんだ?」

>>11最近読んでないんだが、そんなんなってんのか
あとエド・ゲOン解らなくてググる場合はグロ注意と一応書いておく。

14: 2008/08/17(日) 02:03:55.62ID:BUxJWK+F0
男「今日の段ボール~(だみ声)」
骨「おぉ、今日から生モノが揃っていくわけですね」
男「生モノ言うな。えっと……『頭蓋の中身セット』だそうな」
骨「おぉ~……なんか、先を考えるとキツいの来ましたね」
男「目玉の瓶詰、舌の瓶詰、歯茎の瓶詰、三半規管の瓶詰、神経の束、血管網……」
骨「ふむふむ……」
男「そして来ました、脳みそ瓶詰!」
骨「いぃやっふうううぅぅぅ!!!」
男「……自我とはどこから生まれ、どこへ還るものなのか」
骨「もしもーし、逃げないでくださーい」
男「……出かけてくるから、その間に組み立てといて」
骨「はーい」

男「ただいまー……って、うわ、想像以上にきっつい出来上がりだな」
中身「どんな美人でも一皮剥けばこんなもんです」
男「まぁ、いいけどさ……とりあえず、ほい」
中身「おぉ、包帯とサングラスですか。透明人間作戦」
男「そういうこと。ほれ、巻いてやる」
中身「ふあーい」
男「ちなみに、俺が居なくても巻けるか?」
中身「努力します」
男「努力がいるのか……」

17: 2008/08/17(日) 02:08:33.30ID:BUxJWK+F0
男「しかし、最初はどうなるかと思ったが、組み立てはお前が全部しちゃうし、俺いらないんじゃね?」
中身「そっ、そんなことないです! 男さんは、絶対必要です!!」
男「ん? そんな必氏にならなくてもいいと思うが……」
中身「だって、男さんがいないと、カラスに目玉突っつかれたりとか、脳みそほじられたりとか!」
男「俺はカラスよけかよ」
中身「もう、仕方ないですねぇ。口でしてあげますから、我慢してください」
男「そんな話してねえぇぇ!」
中身「チッ」
男「舌打ちができるようになったのはおめでとう。でもムカつく」

20: 2008/08/17(日) 02:15:59.53ID:BUxJWK+F0
男「今日は……『消化器その1』か」
中身「うわぁい」
男「覚悟はしていたが、とうとうお前に食費を払う日がきたのだな」
中身「大丈夫ですよ。全部できるまでは、本格的に食べなくても平気です」
男「…………おい、これ」
中身「え?」

 『小腸の瓶詰』

男「なんかメモが入ってる……『腸は長いから、先に単独で送ります、ごめんね』」
中身「なんで腸だけ!? 食道も胃もないのに!?」
男「絶望してるとこ悪いが、俺はこのメモを誰が書いてるかすごく気になる」
中身「なんか腸だけあっても生頃しですー!」
男「じゃぁモツ鍋にして食うか?」
中身「うわぁ……」
男「冗談ですごめんなさい」

22: 2008/08/17(日) 02:17:28.20ID:BUxJWK+F0
男「ほれ、あーん……」
中身「んぐ……あまーい!」
男「消化器が全部そろったと思ったら、さっそくアイスか」
中身「いいじゃないですかー。もう一口ください」
男「それはそうと、食ったものはどうなるんだ? 俺がトイレに連れてかねばならんのか?」
中身「食べてるときくらい話題を選んでくださいよ……まぁ、そうなりますかね。覗いちゃ嫌ですよ?」
男「お前が完成品でもそんな趣味はない」
中身「やだ、男君ったら、やっぱり口でするのが好きなのね……」
男「お前も話題選べ」

25: 2008/08/17(日) 02:21:36.38ID:BUxJWK+F0
男「あぁ、やべぇ! 寝坊したぁ!」
 
  ピンポーン
 「おはよーっす。宅配便っす」

男「こんなときに! ってお前も毎日来てるからって若干馴れ馴れしくなってんじゃねぇ!」
 「サーセンwww」
男「本当に時間がねぇ!」
中身「箱からは出しといてくださいね! 鮮度が命なんですから!」
男「はいはい、ほらよ!」ポイポイ
中身「あ、もっと大事に! 今日は大切なものなんですから!」
男「遅れるうぅぅ!!」バタン! ドタドタドタ……
中身「……行っちゃった」

男「あぶねぇ、どうにか遅刻は免れたぜ……ただいま」
顔「おかえりなさい」
男「あぁ……ってあれ?」
顔「なんですか?」
男「なんか、顔が……」
顔「今日は『筋肉セットその1』ですから。おもに顔周りでした」
男「そ、そか」
顔「そっちこそどうしたんですか?」
男「どうもないわ! ハゲ!」
顔「髪の毛もそのうち届きますから、安心してください」
男(言えないっ! 包帯越しでもはっきり解るくらい美人だなんてとても言えない……っ!)


>>23 その疑問は俺もあるわけだが。やっぱ時間があれだから伸びないね。
    一応全部書いてあるから、寝落ちしない限りは尻切れにはならないと思うよ。

31: 2008/08/17(日) 02:26:28.07ID:BUxJWK+F0
男「……『筋肉セット胴体編』」
顔「やっとできるんですね」
男「何が」
顔「おっOい。まぁ、正確には筋肉じゃないですけど。たぶん入ってるかと」
男「女の子が簡単におっOいとか言うなよ……」
顔「今までそんなこと気にしてなかったくせに」
男「だー! うっさい! 仕事行くからな!」
顔「はーい」

男「うわぁ……」
乳「うん、うすうす想像してましたけど、包帯ぐるぐる巻きにされると予想外に工口いですね」
男「あの下は筋肉丸出し筋肉丸出し筋肉丸出し筋肉丸出し……」
乳「私、男君だったら……いいよ? 私のおっOい、好きにして?」
男「うっせ! うっせ!!」

乳「……で、どうでした?」
男「包帯の感触と柔らかさが相まって、大変おいしゅうございました」
乳(計画通り!)
乳(しかし一揉みだけとは何と言うヘタレ……)

32: 2008/08/17(日) 02:33:38.09ID:BUxJWK+F0
乳「男さん……いいんですよ?」
乳「私、どうされたって、文句なんてないです」
乳「こんな私を、ちゃんと最後まで面倒みてくれて……嬉しかった」
乳「私には、こんなことしかできませんけど……ちゃんと、膜だって届いたんです……えへへ」
乳「私を、いっぱい汚してください……」

男「はっ!」
男「ゆ、夢か……」
男「……くそっ。俺は……くそっ!」



?「条件は三つ」
?「ひとつ、最後まで彼が君の面倒を見てくれること」
?「ふたつ、君の正体を、この会話も含めて、絶対に彼に悟られないこと」
?「みっつ、三週間、つまり今日から君が『完成』して6時間を迎えるまでに、彼に抱かれること」
?「うまくいったなら、祝福してあげよう」
?「でも、失敗したら……」

乳「……んゅ」
乳「……夢、ですか。それとも、違うんですか?」
乳「解って、います……大丈夫。おっOい、触ってくれたし」

34: 2008/08/17(日) 02:34:01.81ID:BUxJWK+F0
上体「今日は『筋肉セット両腕編』が届きました」
上体「これで、どうにか移動はできるようになりましたね」
上体「と、なれば! やっぱりガサ入れでしょう!」ガサガサ
上体「噂に聞けば、ベッドの下とかが狙い目……」
上体「おぉ、あった……うわぁ、なんか、縛ってるのとか多いですね……」
上体「…………」
上体「この包帯、趣味と実益……なんてことは……」

38: 2008/08/17(日) 02:40:59.24ID:BUxJWK+F0
男「あれだな。足だけ骨とか、男塾でそういう氏に方してる人いたな」
上体「まぁ、とにかく一人でアイスが食べられます。快挙です」もぐもぐ
男「まずそれか」
上体「あと、こんなこともできるようになりました」むにぅ
男「谷間とか作っても、俺はもう惑わされん」
上体「えー、いいんですよ、無理しないで揉んでください」
男「いらん!」
上体「えー、ほらほらぁ」ぴと
男「て、手を握るな! 化け物!」
上体「あ……」
男「う……も、もう寝るからな!」

上体「化け物……かぁ。ですよね。それが、正しいんですよね……」

39: 2008/08/17(日) 02:44:45.17ID:BUxJWK+F0
男「ついに」
体「ついに」

  「「人型完成いぃぃ!!!」」

男「いやぁ、長かった……」
体「長かったと言っても、二週間と5日ですよ」
男「えらく細かく数えてるな……しかし、全身包帯をほどくと、まだ筋肉丸出しなんだよなぁ……」
体「これが二足歩行……凄い! 頭(ず)が高い!」
男「使い方間違えてるぞ」
体「はぁ、明日で完成です。一気に皮膚と髪が生えます」
男「なんかお手軽だな」
体「手伝ってくださいね?」
男「え?」
体「言ったじゃないですか。そのうち手伝ってもらうって」
男「だ、だが、そんな最後の最後で……」
体「お願いします」
男「お、おい! 頭上げろよ!」
体「最後ですから……もう、終わりですから」
男「……解ったよ」

43: 2008/08/17(日) 02:49:39.54ID:BUxJWK+F0
男「なになに……『本溶液を百倍に薄め、対象を浸してください』って、これ風呂しかないだろ……」
体「ははは……」
男「手伝えと言うから、なにをさせられかと思ったけど、風呂貸せばいいだけかよ?」
体「そういうことみたいですね」
男「はぁ……しかし」

 『皮膚体毛培養溶液~お得な2リットル~』

男「この生命を冒涜するかのようなセンスはどうにかならんのか」
体「まぁまぁ、細かいことは置いといて……」
男「解ったよ、用意すればいいんだろ?」 

男「よくかき混ぜてっと……こんなもんか?」
男「なんか、明らかに卑猥なヌルヌル具合なんだが……コラーゲンと思っておこう」
男「おーい! 準備できたぞー!」
体「あ、はい……えっと、お願いしていいですか?」
男「はいはい、何なりと」
体「その……だ、抱っこして、お風呂入れて下さい」
男「いや、お前歩けるだろ」
体「まだ二束歩行に慣れてないもんで。転んじゃったら大変なことに。今までの部品がばらばらと崩れて!」
男「あー! もう、解ったからグロいウソをつくな」
体「す、すみません……じゃぁ、お願いします。包帯はこのままで大丈夫ですから」
男「はいよ……っと、やっぱ重いな」
体「当り前ですよ」
男「なぁ……当たってるんだが」
体「当ててるんですよ? なんなら、包帯取って生で当てましょうか?」
男「ほらよ」

  ドボ~ン!!

44: 2008/08/17(日) 02:50:12.94ID:BUxJWK+F0
体「きゃぁっ! も、も~! 乱暴にしないでくださいよぉ!」
男「お前が変なこと言うからだろ」
体「や、やだ……だめ……」
男「え?」
体「うあ……だ、め……外れちゃう……」
男「だ、大丈夫か!? おい!」
体「なんちゃって」
男「…………」
体「心配しました?」
男「はぁ……なんか疲れたけど、仕事いかなくちゃな」
体「はい、行ってらっしゃい。帰ったら、生まれ変わった私とご対面ですよ」
男「へいへい、楽しみにしとくよ。ほれ」ぱちゃ
体「へ? ボール?」
男「暇だろうかな。それで遊んどけ」
体「こ、こんなのもう要りません!」ぱしゃぱしゃ
男「手が執拗にボールをもてあそんでるわけだが」

47: 2008/08/17(日) 02:57:14.37ID:BUxJWK+F0
男「しかし、今日で終わりかぁ……これから、どうすんだろうな、あいつ」
上司「おい、男。今夜暇か? まぁ、暇でなくても関係ないけどな。残業してくれ」
男「はーい」
男(……まぁ、大丈夫だろ)


女「ふぅ……どうにか、無事に完成しましたね……」
女「タオルと服借りますね~……タンスタンス……」
女「あれ……これ……」
女「あは……ブラジャーだ。買っててくれたんですねぇ」
女「恥ずかしかったかな? 悪いことしちゃいました……」

女「……もう、要らないのに」



>>46 前野でまっさきに稲中が思い浮かんだ。逆にいえばほかに心当たりがありんせん。

55: 2008/08/17(日) 03:02:45.73ID:BUxJWK+F0
男「ふぅ、遅くなったなぁ……」
男「やっと……素顔が見られるのか……なんか、怖い気もするな」
男「お祝いでも買ってくかな」
?「にゃー」
男「お、猫だ。はは、可愛いなぁ」
男「そういえば、あの猫元気かな。最近来ないけど」
男「おいおい、そっち行ったら危ないぞ? ボールに夢中だな、お前」
男「ボール……」
男「……いや、まさかね」

体『“生まれ変わった”私とご対面ですよ』

体『こ、こんなの“もう”要りません!』

男「いやいや待て待て。疲れてるぞ、俺」
猫「にゃー?」
男「いや、なんでもない。とりあえず、ほれ、あっちに行け、な?」ポイ
猫「うみゃー」
男「……なんで、今頃引っ掻かれたところが痛むんだろ」

ドクロ『早くクーラーのお部屋行きましょう?』

男「……あいつ、なんでうちにクーラーあるの知ってたんだろ」

58: 2008/08/17(日) 03:04:39.99ID:BUxJWK+F0
男「ただいま……あれ? 鍵が開いてる」
男「おーい、帰ったぞー?」
男「……いない」
男「風呂場にも居ない」
男「どこ行ったんだ……?」
男「探すか。大方はしゃいでどっか言ったんだろ」
男「ちゃっかりブラ見つけてやがるし」

男「居ない……」
猫「みゃー」
男「ん? お前、さっきの……」
?(ついてこい)
  タタッ
男「……なんだ今の。いや、追うけどさ」

64: 2008/08/17(日) 03:09:26.48ID:BUxJWK+F0
 ブレーキ音。
 私は車に轢かれたのでした。私の小さい体に、その質量はあまりに大きく、とても簡単に私を壊していきました。
 遠くで、私とは別の猫が、憐れみの視線で見ています。カラスは食欲をにじませて、電線の上に集まり始めていました。
 私は恋をしていました。
 あの人に。
 人なのに。
 私は小さい小さい獣でした。あの人に時折餌を貰って、遊んでくれればそれでよかったのでした。
 けれど、あの日。
 突然頭を撫でようとしたあの人に、びっくりしてしまって、つい爪を出してしまいました。
 あの人の知っている最後の私は、だから乱暴なケダモノでしかないのです。

 ――そんなのは、嫌でした。
 
 だから、私は一生懸命お願いしました。体を離れて、遠く遠くへ行った先で。そこで一番偉そうな人へ。
 何を引き換えにしても良いからと。
 彼の方はとても荘厳な声で言いました。
 「条件は三つ」
 「ひとつ、最後まで彼が君の面倒を見てくれること」
 「ふたつ、君の正体を、この会話も含めて、絶対に彼に悟られないこと」
 「みっつ、三週間、つまり今日から君が『完成』して6時間を迎えるまでに、彼に抱かれること」
 「うまくいったなら、祝福してあげよう」
 「でも、失敗したら……」
 今のところ、うまくいっています。
 けれど……この後はどうなるのでしょう?
 まともに生まれたヒトではない私に、越え難い障害は、山ほどあります。
 私は、何になりたかったのでしょう? 何を望んでいたのでしょう?
 あの人の傍にいられたら、それでよかったはずなのに。
 私は猫でも、人でもありません。
 私はもう……化け物なのです。

65: 2008/08/17(日) 03:10:01.23ID:BUxJWK+F0
女「はぁ、あと30分か」
女「もう、無理ですねぇ」
女「……本当、なにがしたかったんでしょう?」
女「こんなの、あの人の生活を無駄に引っかきまわしただけじゃないですか」

男「おい!」

女「!? ど、どうして……」
男「こいつが、教えてくれた」
猫「みゃー……」
女「あぁ、そうですか……ありがとうございます。いえいえ、余計なお節介だなんて……恐縮です。ご親切に……」
男「そんなに長いセリフだったんだ」

68: 2008/08/17(日) 03:13:51.58ID:BUxJWK+F0
男「ダメだろ。勝手に出てっちゃぁ……迷子になったのか?」
女「いえ……そういうわけじゃ……」
男「猫だからか? だから、俺とは暮せない?」
女「!!」
男「いや、さっき自然に猫としゃべってたろ。びっくりするなよ」
女「あ、いやー……はは、私、だめですね。最後の最後で……」
男「お前……そんな顔してたんだな」
女「はい……その……どう、ですか?」
男「……きれいだ、と思う」
女「嬉しいです……」
男「……最後って、どういう意味だ。もしかして、俺が気付いたからか」
女「あなたが気にすることじゃないです。どの道、もう時間がないですから」
男「時間……」
女「いいんです。どうせ、迷惑でしょ? 私、人間じゃないんですよ?」
男「猫が化けてたのか?」
女「そういうんじゃないですけど。まぁ、ほら。難しいの解りませんけど、コセキ? とかもないですし。面倒なだけでしょう?」
男「……化け物って言ったの、気にしてるのか?」
女「……変なところ鋭いんですから」
男「謝るよ。だから……戻ってきてくれ」
女「戻ったって、私お荷物じゃないですか。それとも、一生面倒みてくれるんですか?」
男「そりゃぁ……正直そこまで断言できないけどさ。でも、このままお別れってのは、納得できないんだ」
女「……ちょっと、欲が出てきました」
男「え?」
女「あそこ、入りませんか?」

男「え……ラブホ!?」

77: 2008/08/17(日) 03:22:44.43ID:BUxJWK+F0
男「あ、いやー……あのさ」
女「言ったでしょ。時間が、ないんです」
男「そ、そっか」
 シュルシュル
女「どう……ですか? 私の体。ちゃんと、興奮しますか?」
男「うん……その……大丈夫、みたい」
女「よかった……来て、下さい」
男「あ、あぁ……でもさ」
女「……好きです」
男「え?」
女「だから、抱いてください。他のことなんか、今は考えないで……」
男「……あぁ、解った」

女「きゃんっ……あっ……そこっ……」
男「大丈夫か?」
女「ピリピリします……なんだか、恥ずかしい」
男「ん、ちゃんと羞恥心も芽生えたか」
女「意地悪言わないでくださいよぉ……はっやぁ……も、もう、来てください」
男「あぁ、解った……」
女「んぁ……くぅ……ん……」
男「動く、ぞ?」
女「はい……好きな、ように……あぁ」
男「うぁ……」
男(やばい……なんでこうツボをつくようなセリフばかり……)
女「……はぁ……どうですか? ちゃんと、まだ、気持いいですか?」
男「あぁ、大丈夫d…………“まだ”?」

82: 2008/08/17(日) 03:26:45.52ID:BUxJWK+F0
女「へへ、ごめんなさい。時間切れみたいです」
男「嘘だろ……お前、背中……っ!」
女「ごめんなさい、なんか、サラサラ崩れていっちゃって……駄目ですよね、雰囲気とか、ないですよね?」
男「バカっ! そんなのどうでもいいだろ! くそっ!」
女「駄目です。もう……決まってたんです」
男「え?」
女「私に出された条件は、三つ。その中に、『私の正体を知られてはならない』と言うのがあったんです」
男「じゃぁ……やっぱり、俺が気付いたからじゃないか!」
女「いいえ、ボロを出したのは私です。気にしないでください」
男「気にするなって……嘘だろ。やめろ……」
  サラ…サラ……
女「えへへ……なんだか、これも恥ずかしいですね。変ですね。全部、内臓とかも一通り見られたはずなのに」
男「嫌だ! 聞け! 俺は、俺はお前がムグっ!」
女「もう、充分ですよ……大丈夫。もともと、私の方がおかしい存在だったんです」
男「なんで……なんでだよ!」
女「お願い……最後に一つだけ……崩れていく私を……見な、いで……」
男「うぅ……くそおっ!」
 
 クル

女「あり……がとう……」
 サラサラ……ザアアァァ

男「くそ……くそっ……」

88: 2008/08/17(日) 03:30:17.62ID:BUxJWK+F0
男「ただいま……」
男「はは、癖になっちまったなぁ……三週間くらいのことなのに」
男「あぁ……しまった。冷凍庫に入れるの忘れてた……アイスケーキ……」
男「もうドロドロじゃん……」
男「お祝い、買ってきたのにな……」
  ポイ
男「……寝よ」

男「明日は休みか……」

94: 2008/08/17(日) 03:33:16.46ID:BUxJWK+F0
 ピンポーン

男「ん……んだよ……」
 
 ピンポーン
 ピンポーン
 ピンポピンポピンポーン!!

  ガバッ!

男「……いやいやいや、待て待て待て待て」
 
 「宅配便っす。ハンコおねがいしゃーす。あざーす」

男「これは……どういうことだ……」

 『骨その1』

男「………」ガサガサ



猫ドクロ「あのぅ……猫、飼いたくないですか? 猫」
男「……うちペット禁止なんだけど」
猫ドクロ「ですよねー」

100: 2008/08/17(日) 03:35:09.35ID:BUxJWK+F0
男「で、三日経ったわけだが、そろそろ教えてくれ。どういうことだ?」
猫骨「えっとですね。私が出された条件は、三つだったんです」
男「うん」

 『ひとつ、最後まで彼が君の面倒を見てくれること』
 『ふたつ、君の正体を、この会話も含めて、絶対に彼に悟られないこと』
 『みっつ、三週間、つまり今日から君が『完成』して6時間を迎えるまでに、彼に抱かれること』

猫骨「ひとつ目は、おかげさまで問題なかったんですけど、ね」
男「ふたつ目だろ、問題は」
猫骨「あー……その前に、みっつ目説明していいですか?」
男「ん?」
猫骨「えっと、抱かれるってところなんですけど。いいですか、怒らないで下さいね。っていうか、私もかなり憤慨したんですけど」
男「あ、あぁ」
猫骨「あれ……えOちまでしなくて、OKみたいだったんです」
男「……は?」
猫骨「だから、つまりこう……抱っこでも良かった、と。だからあの、お風呂のときで達成してたんです」
男「……えらくハードル下がってないか?」
猫骨「いえいえ。それがそうでもなくて。考えてください。あの時、私は本当ならどんな状態でした?」
男「本当ならも何も、皮膚が張ってないんだから…………あ」
猫骨「そうですよ。そんなの、抱っこするのも嫌でしょ? その嫌悪感を六時間でいかに取り除くか、という趣旨だったみたいです」
男「そういうことかぁ……でも、ふたつ目は……?」
猫骨「抱っこされた時点では、知られてなかったので、問題なし、とのことです」
男「じゃぁ、なんで一回あんな風に崩れたんだよ!」
猫骨「はは、ビックリしました?」
男「当たり前だろ!!!」
猫骨「!」

102: 2008/08/17(日) 03:36:04.14ID:BUxJWK+F0
男「あ、いや、すまん。大声出して……」
猫骨「いえ……嬉しいですから……」
男「あ……で、えっと……続きは? おまえはどうしてあんな風に消えなくちゃいけなかったんだ?」
猫骨「はぁ、それは要するに、事務手続きの問題というか、何というか。つまり、戸籍やらがないと、結局不便なわけじゃないですか」
男「うむ。それはそうだな」
猫骨「いくら彼のお人でも、過去に遡って人ひとりの経歴を作るって、面倒なようで……だから、こうやって猫にした方が楽だと」
男「え? なにそれ、神様の都合?」
猫骨「そういうことみたいです」
男「そっか、そんで猫なの……ところでさ」
猫骨「はい?」

男「なんで尻尾が二本あるんだ?」

107: 2008/08/17(日) 03:38:08.11ID:BUxJWK+F0
猫骨「猫又ですよ。知らないんですか?」
男「……またジョブチェンジ?」
猫骨「はい。ちょっとわがまま言いましたけど、向こうにも不手際ありましたからね」
男「はぁ。それは面倒じゃないんだ」
猫骨「人間にも化けられますよ。猫耳尻尾もアリアリで」
男「おい」
猫骨「だから、その……そばに、置いてくれますか?」
男「……負けたよ」
猫骨「わぁい……あぁ、早く残りが届かないかなぁ。もう全部一気でいいのに」
男「まぁ、猫だから人間のときほど時間はかからないだろ。多分」
猫骨「そしたら、今度は最後までしましょうね。あ、でもその前に!」
男「うん?」
猫骨「名前ください! 名前。私野良だったから、ないんです」
男「名前か……う~ん」
猫骨「ドキドキ」
男「口で言うな……そうだな、よし」

男「決めた。お前の名前は――」


 END




>>103>>104 ごめん、終わりなんじゃよ

122: 2008/08/17(日) 03:40:48.87ID:BUxJWK+F0
書きためた分はお終いですよ。新展開とかないですよ。
スレ立ててこんなことすんの初めてだから、ちょっと緊張した。3ケタいっただけで御の字ですよ。
最後まで読んでくれてありがとうございました。

以下質問とかあれば適当に答えます。

引用: 新ジャンル「少しずつ部品が届く」