1: 2026/01/02(金) 20:07:45 ID:???00
夏美「五目いなり、そぼろ納豆、しょーびき餅に……」

夏美「いまが旬!あんこうの共酢もありますのー!」

冬毬「エクセレントです姉者」パチパチ

マルガレーテ「……ねえ、この鍋料理はなに?」ユビサシ

マルガレーテ「なんていうか、その……見た目が」ウウッ

夏美「これは最高の贅沢料理、ドブ汁ですの!!」

マルガレーテ「ドブ!?」

冬毬「美味しいですよ」スッ

マルガレーテ「いらないわよ!!」

マルガレーテ「もう見た目が完ッ全に駅前に落ちてるゲロみたいじゃない!!」クワッ

マルガレーテ「新年のごちそうがゲロなんて、茨城ってやっぱり変なところね!!」

夏美「ナッツー!?」ガーン

9: 2026/01/02(金) 21:19:59 ID:???00
夏美「……」ショボ

冬毬「マルガレーテ。落ち着いてください」

マルガレーテ「どう落ち着けっていうの!?もろにゲロよ、ゲロ!!嘔吐物!!」ビシッ

冬毬「アグリーです。確かにドブ汁は見た目こそアレですが、茨城の大変美味しい料理です」

マルガレーテ「……ホントに食べ物なの……?」

冬毬「はい。しかも、贅沢な素材の味を活かした手間のかかるあんこうを使った料理です」

マルガレーテ「あんこうって?」

冬毬「茨城の海でとれる深海魚です。普段は深海ですが、冬の間だけ浅い沿岸部に現れることがある、レアリティのある魚です」

マルガレーテ「ふーん……」

冬毬「あんこうは白身魚です。クセが少ないのにうま味がしっかりあるうえに……肝が大変絶品です」

マルガレーテ「キモ……?」ポカン

冬毬「あんこうの肝臓です。通称あん肝といいます」

マルガレーテ「うぇ、グロテスクね……」

冬毬「グロテスクなものほど美味しい、これは美味しいものの原則です」

冬毬「……やはり食べ物は聞くものではなく食べるもの、ですね」

冬毬「マルガレーテ。まず、このあんこうの共酢を食べてください」スッ

12: 2026/01/02(金) 22:32:43 ID:???00
マルガレーテ「これは……刺身?じゃないわね」

冬毬「はい。あんこうの白身と皮をゆでたものです。ドブ汁チャレンジの前に、まずは素材そのものの味を知ってもらいます」

スッ

冬毬「……このソースをディップするようにつけて食べてみてください。絶品ですよ」

マルガレーテ「……」ジッ

マルガレーテ「案外、見た目は普通ね。なんか食欲わいてきた」カチャ

マルガレーテ「まずは、この白身、からよね?」

冬毬「はい」コクリ

マルガレーテ「いただきます……!」パクッ

モグモグ

夏美「……」ジッ

マルガレーテ「……ホントにクセがない……!」パァッ

マルガレーテ「あっさりしてて、でもしっかり味があって……コクのある濃厚なソースとの相性が抜群ね、美味しいわ」

冬毬「良かったです……!」

13: 2026/01/02(金) 22:33:36 ID:???00
マルガレーテ「次は皮ね」スッ

マルガレーテ「箸でつまむとゼリーみたいにプルプルしてる……!」

冬毬「あんこうはコラーゲンが豊富で、食べるとお肌に良いんです。ね、姉者?」

夏美「そ、そうですの!」コクコク

マルガレーテ「だったら早く言ってくれればいいのに」モグモグ

マルガレーテ「……プリプリした歯ごたえに、口の中でトロけて美味しいじゃない。まったく臭みを感じないし、これもソースと一緒に食べると良いわね!」パクパク

ペ口リ

夏美「もう全部食べちゃったですの」

マルガレーテ「わかった!このソースに秘密があるわね?」

冬毬「アグリーです……!」ニコッ

冬毬「このソースには先ほど話した、あんこうの中でも絶品の素材……あん肝が入っています」

冬毬「つくり方は、潰したあん肝に味噌、酢、砂糖を混ぜただけです」

マルガレーテ「本当にそれだけ?それだけで濃厚で豊かな味が出るの?」

冬毬「はい。では次のステップ、いきましょう」

冬毬「あん肝をダイレクトに食べてもらいます……姉者」

夏美「はいですの」スタスタ

マルガレーテ「?」

16: 2026/01/03(土) 11:12:13 ID:???00
夏美「どうぞですのー」

コトッ

マルガレーテ「……なにこれ?ピンクの厚切りソーセージ?」

冬毬「これがあん肝です。下処理して蒸したあんこうの肝をカットしてそのまま出したものです」

冬毬「……ポン酢をつけて食べてください」スッ

マルガレーテ「ポンズは知ってるわ。かのんの家で水炊きを食べたときにあったソースね」

マルガレーテ「で、これがその、あん肝」

マルガレーテ「魚の内臓、って聞くとちょっと迷うけど……」

マルガレーテ「……例のソースのタネって分かれば難なく食べられるわ」ヒョイ

パクッ

マルガレーテ「ふーん、こんな味なのね」モグモグ

夏美「……もう食べられるんじゃない?」ヒソ

冬毬「姉者、静かに。物事にはプロセスというものがあります……」ヒソ

マルガレーテ「……」モグモグ

17: 2026/01/03(土) 11:12:48 ID:???00
マルガレーテ「あっ!これ、ウィーンで食べたことある……!」

夏美「!?」

冬毬「えっ?」

マルガレーテ「……フォアグラみたい!これ!」

マルガレーテ「しっとりなめらかでいて、濃厚な味。でも、フォアグラより脂が少ないし、ポンズと一緒に食べたから後味がさっぱりしてる!」

マルガレーテ「フォアグラのソテーより食べやすいわ!」パクパク

ペ口リ

冬毬「良かったです……!」

夏美「私の分まで食べたですの……恐るべし食べ尽くし系女子……!」

18: 2026/01/03(土) 11:14:01 ID:???00
冬毬「では、ドブ汁を食べてもらいましょう」

冬毬「そのあんこうの身や皮、肝、胃、ヒレ、卵巣、エラを野菜と一緒に味噌で煮た鍋になります」

冬毬「……どうぞ」スッ

ホカホカ

マルガレーテ「でも見た目がちょっと……」

マルガレーテ「なんか水分がなくてドロドロしてて……ペーストみたいだし」

マルガレーテ「かのんの家で食べる鍋料理とは一線を画してるわ……」

冬毬「この見た目になったのには理由があります。つくり方に秘密があるのです」

冬毬「百聞は一見に如かず……姉者、あの動画をマルガレーテに見せてあげてください」

夏美「えっ!?あれはオニナッツチャンネルのお正月限定プレミアム公開用で……」

冬毬「……姉者?」ジッ

夏美「うっ!?わ、わかりましたの……」スマホ

夏美「……再生しますの」タップ

マルガレーテ「どれどれ……」

19: 2026/01/03(土) 11:14:55 ID:???00
「オニナッツー!日々のあれこれエトセトラ──」

冬毬「あ、飛ばしていいです。姉者の挨拶は冗長ですから」タップ

夏美「ナッツー!?」ガーン

「今日はお正月ということで!すみれ先輩直伝、地元茨城県の郷土料理ドブ汁を作ってみた動画ですのー!」

「すみれ先輩曰く、最高に美味しいドブ汁は、出汁や水を一切使わないこと、ですの!」

「難易度の高い料理だけど、大好きな妹の友達も来るし……頑張りますの!!」

マルガレーテ「!」

「まず、火にかけてあたためた土鍋にあんこうの肝をそのまま入れるですの」スッ

ジュッ

「あとは木べらで白い肝を潰して黄色いペースト状になるまで……焦がさないようにひたすら同じ方向に円を描くように混ぜ続けるですの」カチャカチャ

「もし焦がしたら全部ダメになるから全集中の呼吸でまぜますの!」カチャカチャ

「……」カチャカチャ

冬毬「ここはずっと地味でグダグダなので飛ばします」タップ

夏美「ナッツー!?」ガーン

20: 2026/01/03(土) 11:16:36 ID:???00
プツプツ

「黄色いペースト状になった肝がプツプツと音を立てたら、弱火にして味噌と酒粕を入れますの」ポトッ

「そしてひたすら混ぜますの」カチャカチャ

「……味噌が溶けてしっかり混ざったら、あんこうの身を全部入れますの」

ポトポト

「ドブ汁はあんこうの身からでる水分と後で入れる野菜の水分だけで作る鍋料理。オニ濃厚で旨味がオニ詰まってますの」

「身から水分が出て、ドロドロのペーストがシャバシャバするまで木べらでひたすら混ぜますの」カチャカチャ

「……」カチャカチャ

冬毬「飛ばします」タップ

夏美「ウン……」ショボ

「シャバシャバして良い感じになったので、野菜を入れますのー!」

「大根、人参、白菜、ネギ、水菜……全部地元の茨城の野菜ですの」カチャカチャ

「……野菜に火が通ったら、出来上がり!出汁や水を一切、加えない最高のドブ汁の完成ですのー!」ニャハー

「チャンネル登録よろしくお願いしますの!!」フリフリ

冬毬「……終わりです」

21: 2026/01/03(土) 11:19:07 ID:???00
マルガレーテ「そっか。あんこうと野菜の水分だけで煮るから、こんな感じなのね……」ジッ

マルガレーテ「……食べてもらうために一生懸命、心をこめて作る……」

マルガレーテ「……ごめんなさい。夏美先輩が心を込めて作った料理をゲロなんて言ってしまって……」ペコッ

夏美「き、気にしないでですの……確かに見た目はちょっとアレですの……でも、ちゃんと美味しいですの」

夏美「さ、ドブ汁が冷める前に食べるですの」ニコッ

冬毬「はい、姉者」

マルガレーテ「私も……食べていいかしら?」モジモジ

夏美「もちろんですの!」スッ

冬毬「良かったですね……!」

22: 2026/01/03(土) 11:20:30 ID:???00
夏美「さ、どうぞですの」スッ

マルガレーテ「ありがとう」

冬毬「あ、骨に気を付けてゆっくり食べてください」

マルガレーテ「わかった」

ホカホカ

マルガレーテ「……」スッ

マルガレーテ「いただきます」ペコッ

パクッ

マルガレーテ「美味しいわ……」

マルガレーテ「あんこうの身が柔らかくて食べやすいし、なによりこのスープが最高ね」

マルガレーテ「フォアグラみたいに濃厚なアンキモとあんこうの水分、野菜の甘味が溶けだしてて……」

マルガレーテ「Daz Essen war prima!!」パクパク

スッ

マルガレーテ「……お代わり」

夏美「は、はいですの!」スッ

冬毬「良かったですね姉者」ニコッ

冬毬「さあ、私たちも食べましょう。あ、汁はできるだけ残してください……最後に雑炊にしますから」

マルガレーテ「リゾットもあるの!?楽しみだわ!!」パァッ

冬毬「ドブにハマりましたね、マルガレーテ」ニコッ

夏美「さ、明日の初詣に備えてお腹いっぱいになるですのー!」ニャハー






おわり

引用: 夏美「今日の晩ご飯はお正月のごちそうですのー!」ニャハー