412: 2015/09/06(日) 22:54:21.75 ID:aJOm8hlV0
413: 2015/09/06(日) 22:55:06.78 ID:aJOm8hlV0
不知火「丸く収まる方法は──────」
ふと、机に目を配る。無造作に置かれた書類は、依然としてそこに居座っていた。
全体的に青っぽい色をした封筒に書かれた言葉は『書類一式』と認められる。言うまでもなく、ケッコンカッコカリのことだった。それは99という練度の上限を突破するものであり、能力値を向上・上限突破させることでもある。
だが、一番はやはり指揮官──司令──と艦娘の間に、強い絆をもたらすことだろう。机の引き出しに、あまり目に付かぬよう銀色の指輪が入った箱が仕舞われていることを、不知火は知っている。
これが元凶、原因、事の発端、悩みの種。
これが証、絆、幸福の象徴、幸せの素。
これを嵌めた人物、特に艦娘のほうは、より一層に想いが強くなると聞く。時にそれは異常な度合いを見せ、歪んだ愛情へと変わり、艦娘もろとも豹変することがあるとも聞いた。司令は恐らく、この効果を恐れているのだ。
不知火「これを…………。これを嵌めれば、もしかすると不知火が不知火ではなくなるかもしれない」
不知火「でも今の不知火だって、本当の不知火ではないんですけど」
不知火「────ふふふ、原型なんてあるから型にとらわれすぎるのよ。原型がすでにないならば、もうそれは関係のないことです」
引き出しを開けた。封筒よりは青っぽい箱が、半開きのような状態で丁寧に置かれている。書類のカモフラージュ付きという待遇だった。
もし司令が本当に誰ともケッコンする気がないのなら、きっとこんな厄介なものは突き返しているだろう。間違ってもこんな丁寧に扱わないはずだ。心の底から使う気がないのなら、という前提だが。
つまりまだ、どうすべきか迷っているのだ。誰も選ばないべきなのか、誰かを選んでしまうべきなのか、いっそ全員を選んでしまうのか……。もちろんジュウコンをするとなれば別の指輪が必要になる。しかも基本は指揮官の自腹。これを理由に躊躇するのも珍しいことではない。
手に取って箱を開けた。その中の輪っかも丁寧につまみ出し、光にかざした。銀色に光り輝いている。まだ、誰かが嵌めたような感じは見られない。
414: 2015/09/06(日) 22:55:59.32 ID:aJOm8hlV0
不知火「もしジュウコンしたとして、一番豹変する可能性が高いのは誰かしら」
不知火「……考えるまでもない、か。あの三人はもはや豹変の余地がありません」
右手で摘まんで左手へ。
薬指。冷たい。指先に触れて、思わず引っ込める。
でもそれも一瞬のことで、すぐにまた続きを始めていた。
ちょうどいいサイズ。もしかすると不知火へのものなのだろうか?なら、なおさら問題はないはず。
そしてその輪が止まったとき、今まで抑え込んでいたものが一気に溢れだした。
長らく秘書を外され、放置気味にされていた孤独。
いつの間にか弾むようになった、神通さんと司令の声。
遊んでもらうと言って楽しそうにする夕立。
誘われて断るものの、結局は仕方なさそうに、どこか嬉しそうについていく暁の姿。
そうだ、ずっと我慢していた。自分のことなのに全く気が付かなかった。
まったく、誰がこんなものを作ったんだか。いい迷惑だ、本当に。
でも────────
不知火「丸く収まる方法は、一つしかありませんね」
でも、悪いわけじゃない。
415: 2015/09/06(日) 22:56:43.96 ID:aJOm8hlV0
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不知火「司令、司令!」
提督「んー……あー、不知火か。どうした朝早くから慌てて」
不知火「書類がこれだけです」
提督「これだけって?…………えっ」
不知火「ほかに見当たりません」
提督「……来るとこまで来ちゃったなおい」
不知火「不知火はまだ中身を見ていませんから、司令がご自分で」
不知火「────きっと、いつになく大事な書類ですよ」
提督「………………いつになく、か」
416: 2015/09/06(日) 23:01:04.18 ID:aJOm8hlV0
引用: 神通「ランダウンプレー」



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