147: 2011/10/19(水) 13:59:15.83ID:QJYWGyVz

霧「ラブレター…?」

舞「そうなんです…でも、名前が書いてなくて」
朝「ああ、あるよね。気持ちを伝えたいだけだから返事はいらない、ってやつでしょ?」
セ「いわゆる自己満足、というやつですわね」
江「いや、断られるのが嫌だから自分で予防線を引いた、っていう場合もあんじゃん?」

舞「みんなはこういう時、どうしてます?」

霧「…こういうとき、というのは…その、ラブレターを貰った時、ということ?」
舞「? そうですね、もらったラブレターに名前が書いていなくて…」
セ「どうもしませんわ。返事もいらないのでしょうし、手紙もそのまま捨てます」
朝「え、捨てるのはちょっと酷くない? あたしはせっかく書いてくれたんだし、取っておくよ」
江「っつーか、いちいちそういう手紙に目通す暇ないし、まず読まないわ。男なら直接来いっての」

霧「…あの、みんなは…ラブレターをもらったこと、あるの…?」

舞「え? そ、それは…あります、よね?」
セ「…霧切さん、もしかして貰ったこと…」
霧「! あ、あるわ。もちろん」
朝「だよねー。霧切ちゃん可愛いし、モテそうだし」
セ「ですわよね。クスクス…」
霧「……」
ダンガンロンパ1・2 Reload 超高校級の公式設定資料集 -再装填- (ファミ通の攻略本)
148: 2011/10/19(水) 14:00:00.59ID:QJYWGyVz


霧「…というわけよ、苗木君」
苗「いや、全然わけわかんないけど…」

霧「…恥ずかしながら告白すると、本当は私…ラブレターというものを貰ったことがないの」
苗「そうなの?」
霧「ええ…というか、現代に存在しているモノとすら思っていなかったわ」
苗「そ、それはちょっと言い過ぎじゃないかな」
霧「みんながいる手前、見栄を張ってしまったのだけれど…」

霧「最近の高校生が恋愛に対して積極的なのか、それとも…私がラブレターを貰えるような魅力的な存在じゃないのか」
苗「うーん、それはないんじゃない?」

霧「……どういうこと?」
苗「え!? だ、だから…」
霧「あなたにとって私は、ラブレターを送る価値があるくらいには、魅力的な存在だと…そういうこと?」
苗「え? あ、あの……うん」
霧「…そう。嬉しいわ、ありがとう」
苗「…なにこの羞恥責め」

苗(…でも、確かに霧切さんって美人だし、可愛いし、それに頭もよくて…魅力的ではあるんだけど)
苗(クールと言うかミステリアスと言うか高根の花と言うか、気軽に手紙を書けない雰囲気があるよな…)

霧「ところで、苗木君は?」
苗「僕?」
霧「ラブレターを送ったり、もしくは受け取ったりしたことはないの?」
苗「僕はないよ…それこそ、霧切さんの言うような『魅力的な存在』でもないし」
霧「そう? …世間の女子は、みんな見る目がないのね」
苗「え…?」
霧「なんでもないわ。けれど…そう、みんながみんな、ラブレターの経験がある訳じゃないのね」

149: 2011/10/19(水) 14:00:52.16ID:QJYWGyVz

霧「……ねえ、苗木君」
苗「…今度は何?」

霧「あなた、私にラブレター書いてくれない?」

苗「ぶふっ…!」 

苗「ちょ、ちょっと何言ってるのか…」
霧「ダメかしら?」
苗「いや…ダメっていうか…」
霧「ラブレターを貰うということが、どんなものなのか…体験してみたいのよ」
苗「…なんか、色々と違う気がするんだけど」
霧「ラブレター童Oのあなたが、ラブレター処Oの私に送れば、二人いっぺんに経験出来るし…お得だわ」
苗「もうちょっと他の言い方なかったの?」
霧「発情期の女子高生をなめないで」
苗「思春期。発情期じゃなくて、思春期。訂正して霧切さん、ただちに」

霧「……その、どうしてもあなたが私にラブレターを書くのは嫌だ、というのであれば…無理強いはしないけど」

苗「え…いや、その…嫌ってことは、全然ないんだけど…」

霧「じゃ、明日までにお願いね」
苗「え、えぇー…」
霧「ふふ…楽しみに待ってるわ」


出来心で書いた 後悔はしてない

153: 2011/10/19(水) 21:51:48.39ID:QJYWGyVz
――翌日――


苗「い、一応書いてきたけれど…なんか、恥ずかしいな…」
苗「直接渡すのも緊張するし、ベタだけど下駄箱にでも入れておこう」ガチャ パサッ

苗「…あれ、霧切さんの下駄箱に…手紙?」

苗「……僕はまだ入れてないし…これって」
苗「どう見ても、ラブレターだよね…しかも、何枚も」

苗「……」

苗「…こんなに貰ってるなら、僕の書いたラブレターなんて…必要ないよね」
苗「……なんで嘘ついたんだろ、霧切さん」
苗「あはは、ちょっと真剣になって書いたのが馬鹿みたいだ…」
苗「霧切さんくらい美人なら、そりゃラブレターだって貰うに決まってるじゃん」

苗「僕なんかのラブレター…貰ったところで…」

―――――

霧「…苗木君、書いてきてくれたかしら」
霧「彼のことだから直接渡さず、下駄箱にこっそり入れるとか…そういうベタな方法に走りそうね」

霧「……もしかして、私…今、浮かれているの…?」
霧「無意識のうちに、彼からのラブレターを期待しているなんて…ふふっ、丸くなったものね…私も」ガチャ パサッ


霧「…あら? これは…」

154: 2011/10/19(水) 21:52:48.38ID:QJYWGyVz
―――――

霧「おはよう、苗木君」
苗「あ…おはよ」

霧「……」
苗「……」

霧「苗木君、昨日話していたラブレターのことなんだけど」
苗「……ゴメン。書いてくるの忘れてたよ」
霧「え?」
苗「あの…ご、ゴメンね」ガタッ スタスタ


霧「……」
霧「…何よ」
霧「ちょっと期待してた私が、馬鹿みたいじゃない…」

霧「……」

155: 2011/10/19(水) 21:53:39.59ID:QJYWGyVz
苗「はぁ…いくらラブレター渡す勇気失くしたからって、嘘ついちゃったのはまずかったかな…」

苗「あれ? 机の中に何か…」
苗「なんだろ…手紙?」


『苗木君へ

 放課後、屋上でお話しできませんか
 暇だったらでいいです お返事待ってます

              超高校級のモブ女より 』


苗「こ…これ、もしかして」

霧「ラブレター、というやつじゃないかしら」
苗「うわっ…! き、霧切さん…」
霧「……良かったわね。ラブレター童O、卒業できたじゃない」
苗「ま、まだその言い方なんだ…」

苗「…っていうか、霧切さんもラブレター処Oじゃないでしょ」
霧「何のこと?」
苗「…そうやって、嘘つくんだね」
霧「…? あなたが何を言っているのか、理解できないわ」
苗「いいよ。もともと僕には関係ない事だったし」
霧「……」ムカッ

156: 2011/10/19(水) 21:54:45.32ID:QJYWGyVz
霧「ところで苗木君。モブ女さんと言えば、かなりの器量良しよ。あなたにはもったいないくらいね」
苗「…知ってるよ。時々メールもするし」
霧「……なら、話が早いわね。メールで返事してあげたら?」
苗「なんで霧切さんが乗り気なのさ」
霧「精一杯の気持ちで書いてくれた手紙に、返事をしてあげないの?」
苗「…いや、だって…」
霧「だとしたら苗木君、あなたは超高校級の甲斐性無しね。もしくは、根性無しよ」
苗「……」ムカッ


苗「……返事、直接言ってくる」スタスタスタ
霧「……そう。好きになさい」


苗「モブ女さん、ちょっといいかな」
モ「えっ、あ、うん…」


霧(何よ…私のラブレターはどうでもいいのに、他の人にはちゃんと返事するのね…)
霧(……苗木君の、馬鹿)

苗(やっぱり、霧切さんは適当なことを言って、また僕で遊んでいただけなんだ…)
苗(……もう霧切さんなんて、知るもんか)



出来心でギクシャクさせてみた 後悔はしていない

160: 2011/10/19(水) 23:18:55.23ID:QJYWGyVz
――放課後――


霧「……」ムスッ


舞「霧切さん、機嫌悪いですね…」
江「やっぱ、あんな悪戯したからじゃん?」
朝「せっかく皆で、日ごろの感謝の気持ちを込めて書いたのに」
セ「どうですか? 初めてラブレターを貰った感想は」

霧「…ラブレター? さっきから何のこと? 苗木君といい、あなたたちといい…」
舞「え? 下駄箱に入れておいたはずなんですけど…」


霧「……!!」
霧「…あれが、ラブレター…?」


セ「他の何に見えるんですの?」
江「…あ、そっか。貰ったことがないなら、ラブレターがどういうものかも分かるはずないよね」
朝「ちょっと、霧切ちゃん…どうしたの?」


霧(苗木君は、私がラブレター処Oじゃない、と言っていた…)
霧(もしも彼がラブレターを書いてきてくれたなら、私は『下駄箱に入れるだろう』と予想した…)
霧(そして下駄箱には、彼女たちのラブレターが入っていた…)

霧(……)

霧「そういうこと、ね…」
霧「苗木君も、まったくそそっかしい勘違いをしてくれたものだわ」
霧「…ともすれば、彼がラブレターを忘れたというのも、おそらく…」

161: 2011/10/19(水) 23:19:55.81ID:QJYWGyVz

苗「…放課後は屋上で待ち合わせだったっけ。そろそろ行こうかな…」
苗「…あれ、あそこにいるのは…霧切さん?」

苗「何してるんだろ、ゴミ箱なんか漁って…」
苗「……あれは、今朝僕が手紙を捨てたゴミ箱…!」


霧「……ふう」
霧「ようやく見つけた…やっぱりここに捨てたのね」

霧「苗木君のことだから、安直に近くのゴミ箱に捨てたのだろうと思ったけれど、案の定ね」
霧「…ああ、もう。ところどころ汚れてしまって読めないわ」
霧「せっかく書いてくれたのに、どうして…捨ててしまうのよ…」

霧「……よかった、見つかって」ギュッ


苗(……)
苗(どうして、僕なんかのラブレターを…)


モ「あ、あの…苗木君」
苗「あ、モブ女さん…どうしてここに?」


霧(……この声、まさか…外にいるのは、苗木君…!?)

162: 2011/10/19(水) 23:20:58.52ID:QJYWGyVz

モ「屋上で待ってたんだけど、来なかったから…探してたの」
苗「メールで教えてくれればよかったのに」
モ「…こういうのは、直接聞きたかったから」


モ「単刀直入に言うね。苗木君、私と付き合ってくれないかな…」


苗「……」
霧(……)

モ「いつもメールで悩み事聞いてくれたり、励ましてくれたり」
モ「学校でも、勉強で分からないところとか丁寧に教えてくれて…」
モ「そういう優しいところ、すごく、好き…です」


苗「――ごめん」

霧(え…?)


モ「…だよね。屋上に来てくれない時点で、覚悟は出来てたけど」
苗「いや、行こうとはしてたんだけど…でも、ゴメン。付き合えないよ」
モ「…理由、聞いていいかな」
苗「……」
モ「私に落ち度があるなら、今後の恋愛の参考にしたいし…」


苗「……好きな人が、いるんだ」

163: 2011/10/19(水) 23:22:19.77ID:QJYWGyVz

苗「すごくクールで、ミステリアスで、知的で…とても魅力的な人なんだけど」
苗「高嶺の花っていうか、僕なんかじゃ全然届きそうにないくらい素敵で」
苗「昨日なんか僕をからかって、ラブレター書いて来い、なんて言ってきてさ」

霧(…!!)

苗「…その人のことが好きなんだ。だから、モブ女さんの気持ちには応えられない」

モ「……そっか、わかった」
苗「ゴメンね」
モ「ううん、いいよ。ダメ元で告白したんだし…今度は私が、苗木君の恋愛相談に乗ってあげるから」
苗「はは…ありがとう」
モ「どういたしまして。じゃ、私帰るね」


苗(……)
苗(勢いに任せて、言っちゃったけど)
苗(まさか、教室の中まで聞こえてないよな…?)


 ガラガラ


苗「あ、……」
霧「…き、奇遇ね、苗木君。今から…帰るところ、なのかしら?」
苗「……うん」

164: 2011/10/19(水) 23:24:52.26ID:QJYWGyVz

苗「……」
霧「……」


苗「あの、霧切さん…僕、」
霧「――今朝」
苗「あ、え?」

霧「私の下駄箱の中に、大量のラブレターが入っていたでしょう」
苗「……」

霧「……舞園さん達よ」
苗「…?」
霧「一度もラブレターを貰ったことがない私をからかって、書いたらしいのよ」
苗「……あ、そうなんだ…」

霧「ホッとした?」
苗「!! べ、別に…」
霧「ふふっ…」

霧「……でも、そういうわけで…私にラブレターを書いてくれたのは、正真正銘あなたが最初よ、苗木君」
苗「…書いてきてなかった、なんて嘘ついて、ゴメン」
霧「気にしてないわ。珍しく拗ねた苗木君も見ることが出来たし、気分は良いもの」
苗「う…もう、そんな汚い手紙、拾わないでよ…」

霧「これで、私のラブレター処Oはあなたに捧げたことになるわね」
苗「……その言い方だと嫌らしく聞こえるんだけど」
霧「でも、あなたの初めての相手が私じゃない、というのは少し残念かしら…」
苗「霧切さん、止めてってば…コレ、ホント誤解を招くよ」
霧「超高校級の発情期をなめないで」
苗「思春期ね。人間の場合は思春期だからね」



って言って二人肩を並べて帰る後ろ姿まで想像してた
ぶっちゃけ出来心とかじゃなくて、最初からここまで考えて書いてた ごめん

165: 2011/10/19(水) 23:52:00.02ID:xNnhNakp
何を謝ることがあろうか
ニヤニヤさせてもらったよ、GJ!

引用: [ダンガンロンパ]霧切響子の正体はカップ麺の妖精Part6