216: 2016/01/06(水) 01:28:53.82 ID:yGkLzCxTo
217: 2016/01/06(水) 01:30:00.72 ID:yGkLzCxTo
「別離2」
瑞鶴「あ……れ?」
敵の艦載機が急降下爆撃の態勢に入った瞬間、思わず目を閉じたけど……痛みも衝撃も襲ってこない。
瑞鶴「温かい……」
それどころか、温かい何かに抱かれて揺蕩うような感覚。私は恐る恐る目を開ける。
加賀「瑞鶴……」
瑞鶴「加賀さん!?」
何だ、夢か。そうだよね、加賀さんがこんな所にいるわけないんだもん。
これは、私が氏ぬ直前……もしくは氏んだ後に見てる、都合のいい幻想。
だってほら。加賀さんの服と艤装が、青と緑を基調にした対空迷彩仕様になってる。
夢の中でお揃いの迷彩だなんて、本当に私の願望丸出しだなぁ。
218: 2016/01/06(水) 01:30:35.95 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「そうだ」
どうせ夢なんだし、ちょっとくらいイタズラしても良いよね。
加賀「んっ……!」
その豊満な胸を揉みしだいてみる。温かくて、柔らかくて気持ち良い。
加賀「な、何するの、馬鹿!」
瑞鶴「いったぁぁぁい!」
思いっきり平手打ちをされて、それまで朧げだった意識は一気に覚醒し、現実へと引き戻される。
219: 2016/01/06(水) 01:31:20.57 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「か、加賀さん……? 本当に加賀さんなの!?」
夢じゃなかった……本当に、加賀さんが助けに来てくれたんだ! 加賀さん、加賀さん! 加賀さん!
瑞鶴「加賀さん! うぅ……怖かった……怖かったよぉ……」
加賀さんの胸に顔を埋めて泣き出す。どれだけ泣いても涙は止まらず、一生分の涙を使い切っちゃうんじゃないかと思うほど。
瑞鶴「うへへ……加賀さんのおっOい柔らか~い」
そんな自分がちょっと小っ恥ずかしくなって、こんな風にふざけてみたりするんだけど……
加賀「馬鹿っ……!」
予想通り、一発ゲンコツを貰う。このいつものやり取りが、本当に幸せだなぁって感じる。
220: 2016/01/06(水) 01:32:19.95 ID:yGkLzCxTo
加賀「まったく……そこまで元気なら、これはいらないわよね?」
そう言って加賀さんが胸の谷間から取り出したのは、応急修理女神の妖精さん。
どんな酷い損傷状態でもすぐに直してしまう熟練の修理屋。女神様、ちょっとそこ代わってください。
瑞鶴「ああんもう、加賀さん意地悪しないで~。私、こんなボロボロになるまで頑張ったんだよ」
加賀「まあ、それは認めるわ。本当によく頑張ったわね」
優しげな微笑みを浮かべながら撫でてくれる加賀さん。
普段のクールで無表情な加賀さんが好き。
私のイタズラに怒ってすぐに手を出してくる、意外と沸点が低い加賀さんも好き。
でも、私を撫でてくれてる時の優しくて温かい加賀さんが一番好き!
221: 2016/01/06(水) 01:33:20.46 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「それで……えっと、どうして加賀さん達がここにいるんですか?」
さっきまで加賀さんとイチャイチャするのに夢中だったけど、よく見ると翔鶴姉達もいる。
赤城先輩、翔鶴姉、蒼龍先輩、大和、武蔵の第一機動艦隊と、その護衛の第二艦隊。
護衛メンバーは……阿武隈、大井、北上、島風、夕立、金剛か。今回の作戦の主力連合艦隊が、敵機動部隊と交戦しているのが見える。
加賀「私は……今回の作戦、何か嫌な予感がしていたのよ。あなたに二度と会えなくなるような気がして……」
加賀「本当はあの夜に止めたかった。行かないでと言いたかった……」
加賀「けれど、私一人の意見で発動された作戦を中止することなんて出来るわけがない……」
加賀「あの日、あなたを見送った後、私はすぐに横須賀に艤装を取りに行ったわ」
加賀「でも、まだ整備が終わってなくて……仕方なく試作の対空迷彩艤装を持ち出したのよ」
加賀「ほ、本当は嫌だったのよ、あなたとお揃いなんて……勘違いしないで?」
テンプレ通りのツンデレ台詞をいただいたけど、加賀さん……私のことそんなに心配してくれてたんだ。嬉しいな。
222: 2016/01/06(水) 01:35:08.95 ID:yGkLzCxTo
加賀「その後は……戦艦霧島と比叡、駆逐艦の吹雪を連れてあなた達を追いかけたわ」
瑞鶴「あれ? それじゃあ他のメンバーは?」
加賀「ここに着く少し前に、プリンツ・オイゲンと葛城、瑞鳳に会ったわ」
加賀「護衛が中破しているオイゲンだけでは心許ないから、霧島達に任せて別れたのよ」
瑞鶴「じゃあ、加賀さんは一人でここに?」
加賀「ええ。オイゲンから、赤城さん達がここに向かっていると聞いて……彼女が戦線を離脱した後すぐに入電が来たそうよ」
加賀「私と同じタイミングで到着するみたいだから、三人とも護衛に回しても問題ないと判断したわ」
瑞鶴「そうなんだ……赤城先輩達がここに来たってことは、もう敵の主力部隊は倒したの?」
加賀「敵主力は……いなかったのよ」
瑞鶴「えっ?」
223: 2016/01/06(水) 01:36:19.52 ID:yGkLzCxTo
_____数時間前 レイテ湾
武蔵「妙だな……もうすぐレイテ島だと言うのに、敵の小隊どころか深海棲艦1隻すら見当たらないとは」
蒼龍「瑞鶴達が機動部隊を釣り上げているとは言え、護衛部隊の一つや二つは残っていてもおかしくないんだけど……」
金剛『ヘイ、赤城! こちら、第二艦隊金剛デース! 観測機が敵艦を発見しましたヨ!』
赤城「本当ですか!? 敵の編成は!?」
金剛『それが……見たこともない新型の深海棲艦が1隻だけデス。対空砲が沢山ついた艤装に座ってる子供、みたいデスけど……』
金剛『散々索敵しましたが、それ以外見つかりませんでした』
赤城「どういうことなの……? とにかく、私達も合流します! それまで攻撃は控えて下さい!」
金剛『了解デース!』
224: 2016/01/06(水) 01:37:17.96 ID:yGkLzCxTo
???「ふふ……来たんだぁ……へーぇ、来たんだぁ……」
赤城「あなた一人ですか? 目的は一体何?」
???「……いいよ。せっかくだし、教えてあげる」
???「深海棲艦の本当の目的は、幸運の空母を沈めること」
翔鶴「えっ!? 瑞鶴を!?」
???「あの子はね、危険なんだって。この戦争に於ける特異点なんだとか」
225: 2016/01/06(水) 01:38:00.74 ID:yGkLzCxTo
???「早急に始末しなければ危険だって上の奴らも言ってたわ」
???「そこで、手始めにレイテ島を制圧して艦娘達の出方を伺ったのよ」
???「強行突入をするには資源が心許ない状況。かと言って何もしなければ、補給線が断たれてる以上は緩やかな氏が待つのみ」
???「斯くしてお前達は決断を迫られ、結果、思惑通りに瑞鶴を囮として使ってきた」
???「あとはレ級を始めとする全機動部隊をぶつけるだけ」
???「いくら瑞鶴に幸運の力があろうと、あの大部隊を相手に勝てるわけがない……!」
226: 2016/01/06(水) 01:40:01.08 ID:yGkLzCxTo
赤城「してやられましたね……釣り上げられたのは私達の方だった、と言うことですか……」
翔鶴「エンガノ岬に急ぎましょう! 今ならまだ間に合うかも知れません!」
金剛「赤城! この子はどうするの!?」
赤城「……! 今は少しでも時間が惜しいです! エンガノ岬へ向かいましょう!」
???「フフッ……精々急ぐことね……」
防空棲姫「……瑞鶴……さん。お願い、どうか今度は……沈まないで」
227: 2016/01/06(水) 01:40:29.69 ID:yGkLzCxTo
加賀「と言うわけだったのよ」
瑞鶴「そんな……敵の目的が、私を沈めることだったなんて……」
あの時……私は横須賀の提督に、自分には戦局を左右するような力なんて無いって言った。
無論今でもそう思ってるし、この状況自体が罠で、敵には更なる目的があるんじゃないかって勘繰ったりしてるんだけど……
瑞鶴「どの道、まずは敵を全滅させることですね」
???「そうそう、難しいこと考えるのは後だよ! まずはこの状況を切り抜けないと!」
あっ、この声は……! 私は安堵の息をつき、そちらに振り向く。
228: 2016/01/06(水) 01:41:02.69 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「飛龍先輩、ビスマルクも! 良かったぁ……二人とも無事だったんだ」
飛龍「何とか赤城さん達が間に合ってね。応急修理女神を受け取ったのよ」
ビスマルク「間一髪ってところだったわね」
葛城達も加賀さんが連れてきた部隊が護衛してるみたいだし、何とか一人の犠牲も出さずに済んだ……
ビスマルク「さて、反撃開始よ。散々好き放題やってくれたあの機動部隊に一泡吹かせてやりましょう!」
瑞鶴「そうだね! 行こう!」
私もやられっ放しで引き下がれるような性格じゃない。私達4人は、前線で戦っている赤城先輩達の下へと向かった。
229: 2016/01/06(水) 01:41:34.63 ID:yGkLzCxTo
翔鶴「瑞鶴! 良かった……本当に、無事で良かった……!」
瑞鶴「心配かけてごめん、翔鶴姉。でも大丈夫だよ。加賀さんが助けてくれたから」
翔鶴「加賀さんも本当にありがとう。今日は特別に瑞鶴の頬にキスまでは許してあげますね」
こんな時でも加賀さんをいじる姿勢は崩さない翔鶴姉。エOチなことしちゃったとはとても言えないなぁ……
加賀「そ、そんなことより、戦況はどうなっていますか?」
加賀さんも察したようで、すぐに話を逸らす。まあ、ちょっとだけ戦線から離れてたし、状況確認は大事だ。
230: 2016/01/06(水) 01:42:12.97 ID:yGkLzCxTo
赤城「現在は阿武隈さん率いる第二艦隊が、敵の増援部隊と交戦中です」
赤城「例の新型空母……大本営は空母水鬼と名付けていましたね」
赤城「彼女は護衛のヲ級改が倒されると、この場を増援部隊に任せて撤退していきました」
赤城「こちらを片付け次第、追撃に向かおうと思ってたのですが……如何せん数が多くて、時間が掛かりそうですね」
赤城「瑞鶴さん。あなたがここで部隊を再編成して、追撃に向かって下さい」
瑞鶴「私が……ですか?」
赤城「ええ。敵の増援部隊は連合艦隊が引き受けますので、あなたは5人を選んで空母水鬼を……」
瑞鶴「わかりました。編成を考えてみます」
231: 2016/01/06(水) 01:42:39.03 ID:yGkLzCxTo
加賀「私が行きます。あなたの隣は譲れません」
ビスマルク「ちょっと! 私を外したらどうなるか、わかっているわよね?」
飛龍「このままじゃ悔しいし、私も出来れば追撃隊がいいな~」
まあ、この流れは必然。そうなると残りは二人か……出来れば一人は戦艦がいいかな。
武蔵「火力が必要なら大和を連れて行け。以前共に戦ったことがあるのだろう? ならば私よりは連携が取り易いはずだ」
瑞鶴「わかった。大和、お願いできる?」
大和「はい! 戦艦大和、推して参ります!」
232: 2016/01/06(水) 01:43:14.27 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「さて、残り一人だけど……」
私はその人の前に立って、スッと手を差し出した。
瑞鶴「翔鶴姉、一緒に来てくれる?」
翔鶴「瑞鶴、いいの?」
瑞鶴「一緒に戦おう……!」
問いかける翔鶴姉に、私はそう返した。本当にただの直感だけど、翔鶴姉と一緒に戦った方がいい気がしたんだ。
翔鶴「わかったわ。一緒に行きましょう」
233: 2016/01/06(水) 01:44:03.49 ID:yGkLzCxTo
赤城「行くのね、翔鶴。それじゃあこの子をあなたに……」
翔鶴「赤城さん……この子は……!?」
翔鶴姉が受け取った妖精さん、九七艦攻乗りみたいだけど……あれは確か、村田隊。
飛龍先輩の友永隊や、蒼龍先輩の江草隊と並び称される精鋭中の精鋭。通称、雷撃の神様。
赤城「あなたの天山に、乗せてあげて! さあ行きなさい、翔鶴!」
翔鶴「赤城さん……はい! 必ずあなたの元に帰ってきます……!」
蒼龍「飛龍……気をつけて!」
飛龍「あんたを残して沈むわけないでしょ。心配しないで待っててよ」
蒼龍「きっとだよ! 約束だからね!」
そうだ、私達は負けるわけには行かないんだ……こうして待っててくれる人がいるんだから!
必ずみんなの所に帰ってくる……そう心に誓って、私達は戦場に向かった。
234: 2016/01/06(水) 01:44:52.61 ID:yGkLzCxTo
追撃を開始してから数十分。私達は前線の第二艦隊のメンバーとすれ違う。
阿武隈「敵水上打撃部隊、接近中! これより先制雷撃を仕掛けます! 私が重巡を狙います!」
阿武隈「北上さんと大井さんは戦艦をお願いしますね!」
大井「はいっ! 北上さん、やっちゃいましょう!」
接近してくる敵艦隊の編成は、戦艦ル級改1隻、戦艦ル級1隻、重巡ネ級が1隻。
残りの3隻は赤城先輩と蒼龍先輩の航空攻撃によって撃沈されたみたい。
235: 2016/01/06(水) 01:45:47.80 ID:yGkLzCxTo
阿武隈「あ、あれ? 北上さん、私の指示に従ってくださ~い!」
北上の放った魚雷は指示とは違って重巡に向けられる。そして、そのまま阿武隈の魚雷と同時に直撃。ネ級を沈めた。
阿武隈「もう、北上さんは戦艦だって言ったじゃないですか~!」
北上「いやー、阿武隈っちの雷装だと多分あの重巡落とせないじゃん? この北上様が手を貸してあげたんだよ~。そ・れ・に~……」
北上「先制雷撃で同じターゲットを取るの、仲良し魚雷って言うらしいよ~。私と阿武隈っちにピッタリじゃん!」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら阿武隈に抱きつき、彼女の前髪を弄り倒す北上。
大井「北上さん、戦闘中ですよ! 阿武隈さんも、私の北上さんを誘惑しないで下さい!」
阿武隈「な、何で私が悪いことになってるんですか~!?」
横須賀に行った時にたまに見かけるけど、この三人はいつもこんな感じ。ちょっと楽しそう。
236: 2016/01/06(水) 01:46:45.22 ID:yGkLzCxTo
ル級改「貴様らァ! 図に乗るなよ!」
唯一生き残ったル級改が距離を詰め、攻撃体勢。しかし……
阿武隈「うるさいです!」
大井「海の藻屑と……」
北上「なりなよ~」
同時に魚雷を撃ち込まれ、さしものル級改も耐えられずに撃沈。
この三人、何だかんだ言っても仲良いよね。
237: 2016/01/06(水) 01:47:25.30 ID:yGkLzCxTo
金剛「ヘイ、瑞鶴! ここは私達に任せて、先を急ぐネー!」
夕立「夕立も頑張るっぽい!」
島風「あんまり遅いと私達が追いついて全員倒しちゃいますからね!」
第二艦隊のみんなに見送られる。私は彼女達に敬礼して応えた。
瑞鶴「必ず勝つよ……! みんなのここまでの頑張り、絶対に無駄にはしない!」
238: 2016/01/06(水) 01:48:19.60 ID:yGkLzCxTo
_____サマール沖
第二艦隊と別れてから数刻。飛龍先輩の彩雲がついに敵機動部隊を捕捉した。
敵も部隊を再編成しているらしく、迎撃態勢で待ち構えている。いよいよ決戦の時だ!
飛龍「敵編成……旗艦は空母水鬼! 随伴艦には装甲空母姫2隻、戦艦タ級、後期型駆逐艦2隻!」
装甲空母姫……西方攻略の時はこいつにボコボコにされたっけ。
でも……今なら負ける気がしない! 加賀さんだっているんだ、あの時とは違う!
瑞鶴「これより航空戦、始めます! 全艦載機、発艦開始!」
号令と共に発艦。放たれた艦載機の総数は圧巻の342機。しかもそれら全てが最高クラスの練度を持つベテランだ。
空母水鬼「全航空隊、発艦始め……!」
装甲空母姫A「沈めてあげるわ!」
239: 2016/01/06(水) 01:49:15.06 ID:yGkLzCxTo
空母水鬼は最初と同じ、髑髏の形の艦載機を186機。装甲空母姫達は艦戦と艦攻を96機ずつ発艦。
その数は合計570機とこちらを大きく上回ってるけど……
装甲空母姫B「なっ、何……だと……!?」
こちらの艦戦が敵機を次々と撃墜。そうだ、あの髑髏の艦載機はともかく装甲空母姫が積んでいるのは旧型機。
最高の練度を誇る私達の艦載機の敵じゃない!
瑞鶴「制空権、確保!」
とは言え敵の攻撃機の数は312機。大和達の対空砲火を合わせても全機撃墜は難しく、幾つかは包囲網を突破してくる。
大和「させません!」
私の前に立った大和が航空攻撃の大半を引き受けるが……
大和「それで直撃のつもりですか?」
その圧倒的な装甲で弾き返し、かすり傷一つってところ。相変わらず頼りになるわね!
240: 2016/01/06(水) 01:50:41.51 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「よし! 攻撃隊、一気に叩いて!」
後期ニ級A「グワーーー!」
後期ニ級B「アイエエエエエ!?」
駆逐艦がすかさず空母水鬼の盾となるが、こちらの攻撃を全て受け止めることは不可能。
少数だが空母水鬼に打撃を与えることに成功する。
空母水鬼「くっ……!」
直後、爆撃を受けた空母水鬼の頭部の艤装が破壊され、その素顔が明らかになる。
241: 2016/01/06(水) 01:51:11.63 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「あ、あれは……!?」
翔鶴「そ、そんなっ……どうして!?」
私と翔鶴姉が同時に驚愕の声を上げる。だって、嘘だよ……こんなの……
翔鶴「お母様っ……!」
空母水鬼「…………」
見間違うはずがない。その優しくて、どこか儚げな顔つき……8年前と同じだよ……!
空母水鬼「…………」
お母さんは……何も答えない。黙々と艦載機を着艦させていく。戦うしか、ないのかな……?
242: 2016/01/06(水) 01:51:57.52 ID:yGkLzCxTo
加賀「瑞鶴……?」
心配そうに私を見つめる加賀さん。私……私は……
翔鶴「瑞鶴……」
同時に蒼ざめた顔の翔鶴姉に手を握られる。その手は震えていて……まるであの時の私のよう。
瑞鶴「翔鶴姉……」
辛い……私だって辛いよ。けど……! 私は翔鶴姉と対峙した時、加賀さんに言われた言葉を思い出す。
瑞鶴「例え相手がお母さんだったとしても……それが大切な仲間や場所を奪う存在なら……!」
瑞鶴「私達は戦わなくちゃいけない! それが、艦娘の使命なんだ!」
243: 2016/01/06(水) 01:52:44.64 ID:yGkLzCxTo
翔鶴「ず、瑞鶴……でも……!」
瑞鶴「翔鶴姉ッ!!!」
私は翔鶴姉の肩に手を置き、その目を正面からしっかりと見据える。
瑞鶴「翔鶴姉の、一番大切な人を思い浮かべて……!」
瑞鶴「失ってからじゃ、遅いんだよっ……!」
半ば、自分に言い聞かせるように口にする。私はあの時、一度失っちゃったから……
今こうして加賀さんと一緒にいられるのだって、本当にただ単に運が良かっただけ。
あんな思いはもう二度と、誰にも味わわせたくないッ! だから……私は戦うんだ!
翔鶴「瑞鶴……そうね。戦わなくちゃ、守れないものもあるわよね」
私が言い放つと、翔鶴姉も凛とした顔付きで敵を見据える。
244: 2016/01/06(水) 01:53:21.38 ID:yGkLzCxTo
加賀「あんなに甘ったれだったあなたが、言うようになったものね」
瑞鶴「か、加賀さん!? あの時のことは、その……忘れてください!」
加賀「忘れるわけないでしょう?」
加賀「あなたのことを、好きなんだって初めて自覚した日なのだから……」
瑞鶴「~~~~~~~~っ!?」
瑞鶴「ほ、砲雷撃戦、開始します! 全艦、突撃用意!」
小っ恥ずかしくなった私は外方を向いて話を打ち切り、号令を掛ける。
もう、加賀さんってばこんな時にまで……!
245: 2016/01/06(水) 01:54:03.45 ID:yGkLzCxTo
大和「大和、行きます!」
先陣を切って大和が突撃。お母さ……空母水鬼に狙いを定めて斉射するが……
空母水鬼「その程度か?」
大和「そ、そんな……!?」
圧倒的火力を誇る大和の砲弾が直撃したのに、かすり傷程度しか付かない。とんでもない装甲……!
タ級「無駄よ!」
ビスマルク「っ……! やるわね……! でも、これからよ!」
間髪入れずに敵戦艦の砲撃が飛んでくるけど、ビスマルクは直撃を避けて小破。あれくらいの損傷なら問題ない。
246: 2016/01/06(水) 01:54:33.93 ID:yGkLzCxTo
ビスマルク「甘く見ないで! Feuer!」
タ級「ぐっ……!」
すかさず主砲で反撃し、一撃でタ級を撃沈。よし、これで残りは3隻!
瑞鶴「行くよ、翔鶴姉!」
翔鶴「ええ。任せて、瑞鶴!」
私と翔鶴姉は攻撃隊を同時に発艦。装甲空母姫に狙いを定め、一斉攻撃を仕掛ける!
装甲空母姫A「ウボァッ!? だ、だが、この程度……!? グアァァァ!?」
私の攻撃機が敵の体勢を崩し、直後に翔鶴姉の攻撃隊が一斉に爆撃。一気に中破まで持っていった。
247: 2016/01/06(水) 01:55:28.64 ID:yGkLzCxTo
装甲空母姫A「くっ……沈めェ!」
敵はすぐさま主砲で反撃してくるが、これは加賀さんに掠っただけ。
加賀「見敵必殺よ。行きます」
加賀さんは即座に二の矢を射掛けて発艦。中破している装甲空母姫に回避する間も与えず撃沈。まさに鎧袖一触!
飛龍「よっし、残りの1隻も徹底的に叩いちゃおう!」
装甲空母姫B「図に乗るなァ!」
飛龍「おっと……少しはやるじゃない」
激昂した装甲空母姫の主砲が飛龍先輩を襲うけど、何とか直撃は避けて小破止まり。
248: 2016/01/06(水) 01:56:10.97 ID:yGkLzCxTo
飛龍「さあ友永隊、頼んだわよ!」
先輩は自慢の精鋭部隊、友永隊を発艦。装甲空母姫も回避を試みるが、熟練の攻撃隊が完全に捕捉する。
装甲空母姫B「グフッ……ま、まだ、だ……こ、この私は……沈まん……ぞ!」
撃沈はできなかったものの、一撃で大破させた。よし、これでまともに動けるのは空母水鬼だけ……ッ!?
翔鶴「きゃあぁぁぁっ!」
えっ……?
瑞鶴「翔鶴姉!?」
空母水鬼の攻撃で、一瞬の内に翔鶴姉が大破。制空権はこっちが完全に確保してるのに、こんな正確無比の攻撃を……?
249: 2016/01/06(水) 01:57:25.84 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「くっ……このっ!」
加賀「続きます!」
空母水鬼「瑞鶴……」
今度は私と加賀さんが同時に発艦して波状攻撃を仕掛けるが……
空母水鬼「残心を、忘れないで」
まともに直撃したのに空母水鬼はほぼ無傷。怯むことなく艦載機を飛ばして反撃してくる。
しまった、残心……! 加賀さんにいつも言われてたことだったのに、翔鶴姉がやられて動揺しちゃってた。
私に回避体勢を作らせないまま、髑髏の艦載機は高速でこちらに向かってくる……ヤバい!
飛龍「瑞鶴ッ!」
刹那、飛龍先輩に突き飛ばされて既のところで直撃は避ける。直後に轟音。
飛龍「くっ、やられた……誘爆を防いで」
代わりに盾になる形となった飛龍先輩は大破。くっ……私の所為だ……!
250: 2016/01/06(水) 01:58:10.36 ID:yGkLzCxTo
ビスマルク「やってくれたわね、お返しよ! Feuer!」
装甲空母姫B「させぬ……させぬわぁ!」
飛龍先輩の仇とばかりにビスマルクが攻撃するけど、瀕氏の装甲空母姫が最後の力を振り絞って盾となって撃沈。
空母水鬼には、未だに決定的なダメージを与えられていない……! やっぱり、大和に賭けるしか……!
空母水鬼「やらせは……しないよ!」
しかし次の瞬間には再び空母水鬼が攻撃してくる。着艦、発艦共に私達とは段違いの早さだ。
加賀「直掩機、迎撃に向かって!」
私と加賀さん、翔鶴姉に飛龍先輩も直掩機に指示を出して迎撃に向かわせるが、四人掛かりの包囲網もあっさり突破される。
ビスマルク「うっ……や、やられたわ……何なのよあの威力は……!」
砲戦の要のビスマルクまで一発で大破。いよいよもって大和に託すしかなくなったか……!
251: 2016/01/06(水) 01:59:17.79 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「加賀さん、全力で大和のサポートを! 空母水鬼を倒すには、大和の徹甲弾射撃しかないです」
加賀「そうね。大和、偵察機を出して」
大和「わかりました! 大和、突撃します!」
大和が観測機を飛ばすと、空母水鬼もすぐに艦戦を嗾ける。私と加賀さんも即座に艦載機を発艦して応戦。
はっきり言って艦載機運用の技術じゃ完全に負けてるけど、ここを守りきらないと私達に勝ち目はない。精神を研ぎ澄ませて航空戦に集中!
翔鶴「やらせはしません!」
飛龍「今度は通さない!」
空母水鬼「……!?」
私と加賀さんの艦載機に、翔鶴姉と飛龍先輩の直掩機も合流。敵の艦戦を撃墜! よし、今度は守り切った!
252: 2016/01/06(水) 01:59:54.69 ID:yGkLzCxTo
大和「敵艦捕捉! 全主砲、薙ぎ払え!」
空母水鬼「っ…………くっ!?」
大和が空母水鬼を捉えて徹甲弾を発射。強固な装甲を一気に撃ち抜いて中破! 空母としての機能を停止させた。
瑞鶴「お母さん……」
戦うことを決意したはずなのに、頭の中に一瞬ちらつく。今なら話が出来るかも知れない……そんな願望が。
空母水鬼「甘いわね……」
直後、艦載機が攻撃を仕掛けてくる。直掩機が残ってたって言うの!?
253: 2016/01/06(水) 02:01:03.82 ID:yGkLzCxTo
加賀「瑞鶴っ!」
瑞鶴「うわっ!?」
完全に油断してて無防備だったけど、敵の動きに気づいた加賀さんに抱きかかえられてその場から回避。難を逃れた。
空母水鬼「勝ったと思っていたの? それこそ、慢心ね」
しかしそれも束の間。お母さんは直掩機を大量に操って次々と攻撃を仕掛けてくる。
その威力も精度もかなりのもの。何とか躱し続けるけど、こっちに反撃に転じる隙を与えない。
瑞鶴「このままだと……」
加賀「夜の帳が……下りてくるわね」
254: 2016/01/06(水) 02:03:01.74 ID:yGkLzCxTo
そうこうしてる内に時間はどんどん過ぎて行って、徐々に直掩機からの攻撃も止んでくる。
夜……か。こっちは大和が小破で健在。だけどお母さんも……多分夜間でも艦載機を飛ばせるはず。
大和「瑞鶴さん、翔鶴さん……」
直掩機からの攻撃が完全に止まったのを確認してから少しだけ後退。夜戦に入るかどうか……
大和「今一度お聞きします。倒してしまっても良いのでしょうか?」
大和からの問い掛け。最後の決断……私は意を決して口を開く。
瑞鶴「うん、いいよ、大和。勝って、みんなのところに帰ろう……」
さっきのやり取りでわかった。空母水鬼は……まだ戦意を喪失してはいない。まだ戦いは、終わってない!
255: 2016/01/06(水) 02:03:43.44 ID:yGkLzCxTo
大和「わかりました……! 戦艦大和、夜戦を敢行します!」
飛龍「……っ!? 大和ッ! 直上!」
先輩の声で上空を見上げると、髑髏の艦載機。夜間で、しかも中破しているのに……それでもこの速さと正確さ。
大和「そ、そんなっ!?」
瞬間、大和が攻撃を受ける。艦載機の威力に衰えは全くなく、強固な装甲を物ともせず一瞬で大破……
二人の戦艦が大破したことで、こちらに真っ当な攻撃手段は無くなった……それなら……
256: 2016/01/06(水) 02:04:25.32 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「それなら、私がやるしかない……!」
私は意を決して口を開いた。覚悟なんて、もうとっくに出来てる!
瑞鶴「加賀さん、私……行ってくるね。この悪夢を、終わらせる!」
加賀「瑞鶴、あなたまさか!?」
瑞鶴「大丈夫だよ加賀さん。あの戦法は使わないから……私を信じて」
加賀「わかった。行ってきなさい」
私がこういう時一歩も引かない性格だって知ってるからか、加賀さんはあっさり折れて私を送り出した。
257: 2016/01/06(水) 02:05:34.67 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「行くよ……!」
空母水鬼を見据えて一直線にダッシュ。相手の艦載機の攻撃を躱しながら、一気に近距離まで詰める!
瑞鶴「お母さん、私……私ね……」
そのまま矢を上空に放って艦載機を発艦。即座に相手の直上を取る。
この夜間、私の腕じゃアウトレンジから攻撃を仕掛けてもまず成功はしないけど……この距離なら当たる!
瑞鶴「ジャガイモの入った味噌汁、食べられるようになったんだよ」
攻撃隊は直上から一気に爆撃。艤装を撃ち抜いた。
258: 2016/01/06(水) 02:06:14.33 ID:yGkLzCxTo
空母水鬼「瑞……鶴……」
爆撃を受けた空母水鬼……お母さんは、優しい微笑みを浮かべながら崩れ落ちる。
瑞鶴「お母さんッ!」
私達はお母さんに駆け寄る。その表情は先程までと違ってとても穏やか。
空母水鬼「強く、なったわね……瑞鶴……」
空母水鬼「それと……ごめんなさい。二人にはとても辛い思いをさせてしまったわ……」
瑞鶴「いいんだよ、お母さん……帰ろうよ。帰って、また三人で……」
正直、聞きたいことはいっぱいある。でもそんなのは後回し。今ならまだ、お母さんは助かるかも知れないんだ!
259: 2016/01/06(水) 02:06:53.05 ID:yGkLzCxTo
翔鶴「お母様……!」
翔鶴姉がお母さんに手を伸ばした瞬間……背後から轟音。
空母水鬼「ぐ、ぁっ……!」
翔鶴「お、お母様っ!?」
禍々しい凶弾がお母さんを撃ち抜いた。
空母水鬼「戦艦……棲姫……! な、何故……?」
砲弾が飛んできた方を振り向くと、漆黒のドレスに身を包み、醜悪な獣を従えた女が一人。
260: 2016/01/06(水) 02:07:53.06 ID:yGkLzCxTo
戦艦棲姫「あなたがここで沈んでくれた方が、私にとっては都合が良いのよ。その子達が真実を知る必要はないの」
空母水鬼「そん、な……だって、あなた……は……!」
戦艦棲姫「あなたみたいな役に立たない忌々しいガラクタと一緒にしないで」
戦艦棲姫「私は変わることなど望んでいない。戦いさえそこにあれば良い……!」
空母水鬼「そん、な……」
戦艦棲姫「さ、もういいでしょう? 最後に愛しの娘達に会えたのだから、幕引きとしてはこの上なく上等ではなくて?」
言いながら戦艦棲姫と呼ばれた女は主砲を斉射。私は身を乗り出して庇おうとするけど間に合わず……
翔鶴「お母様ぁぁぁぁぁぁっ!!!」
空母水鬼「翔……鶴、瑞鶴……ごめん……な、さ……!」
必氏に手を伸ばすけど届かない……お母さんは、冷たくて暗い海の底に沈んでいく……
261: 2016/01/06(水) 02:08:52.91 ID:yGkLzCxTo
瑞鶴「そんな……何で! 何で、こんなっ……!」
瑞鶴「ゆ、許さないっ……!」
加賀「瑞鶴ッ!」
敵を睨みつけ、考えなしに突撃しようとしたところを加賀さんに制止される。慌てて周囲の確認。
そうだ、今は私と加賀さん以外の四人が大破。しかも敵はあの戦艦棲姫だけじゃない。
夜だからちょっと視界が悪いけど、目視できるだけで他に5隻。重巡や戦艦達が待ち構えてる。
戦艦棲姫「どうしたのぉ? 怖気付いたかしら?」
挑発されるけど、行っちゃ駄目だ。みんなの安全を確保するまでは……!
???「ヘーイ、ここはワタシ達に任せるネー!」
瞬間、後方から聞き覚えのあるやたらテンションの高い声。この声は……!
262: 2016/01/06(水) 02:09:24.46 ID:yGkLzCxTo
阿武隈「第二艦隊、これより夜戦に突入します!」
島風「瑞鶴さん達は大破したみんなを連れて、今のうちに離脱しちゃって!」
第二艦隊のみんなが合流。前衛に出て戦闘準備に入ると同時に私達に退避するよう促す。私は……
瑞鶴「戻ろう。赤城先輩達のところまで……」
加賀「瑞鶴、いいの……?」
瑞鶴「はい。金剛達に託します」
こんなに敵と味方が入り乱れる戦況じゃ、私のインファイト戦法はとても使えそうにない。
残ってもただ棒立ちしてるだけで、足手纏いになるのは目に見えている。それならみんなの安全確保が最優先だ。
加賀「あなたがそう決めたのなら……戻りましょう」
263: 2016/01/06(水) 02:10:07.41 ID:yGkLzCxTo
サマール沖から離脱して一時間ほどで赤城先輩達第一艦隊の姿が見えてくる。見たところ全員損傷はほぼ無し。
ビスマルク「みんな無事みたいね。もっとも、こっちは酷い有様だけど」
蒼龍「飛龍ッ!? だ、大丈夫なの!?」
飛龍「当たり前でしょ。私を誰だと思ってんのよ?」
武蔵「大和、お前がそこまでやられるとはな……」
大和「あ、甘く見たわけじゃないんだけど……」
それに比べてこっちは私と加賀さん以外の四人が大破と凄惨な状況。蒼龍先輩も武蔵も心配そうな顔で相方に近寄る。
264: 2016/01/06(水) 02:11:58.11 ID:yGkLzCxTo
赤城「翔鶴……おかえり」
翔鶴「赤城さん……あ、赤……ぎ、さん……」
目一杯の涙を浮かべて赤城先輩に抱きつく翔鶴姉。赤城先輩はそれを優しく包み込む。
赤城「いいわ、翔鶴。今は、泣いてもいいのよ……」
赤城先輩はお母さんが沈んじゃったことは知らないはずなんだけど、翔鶴姉の表情を見て何かを察したんだろう。
こういう以心伝心の関係って、すっごく憧れる。加賀さんって鈍感な時はとことん鈍感だから余計にね。
加賀「…………」
瑞鶴「あっ……」
なんて考えてたら加賀さんも無言で私を抱き締めてくれた。えへへ、ありがと、加賀さん。
何とか涙、堪えられそうだよ。
265: 2016/01/06(水) 02:13:04.51 ID:yGkLzCxTo
赤城先輩達と合流してから小一時間ほど。だんだん空が白み始めて来た。夜明け……か。
金剛『ヘイ、赤城! 聞こえてマスかー?』
赤城「金剛さん! 戦果はどうですか?」
金剛『随伴艦は全て撃沈。デスが、旗艦の戦艦棲姫だけは逃がしてしまいました。観測機で追跡してますが、南方に向かっているようデス』
金剛『ワタシ達も燃料や弾薬が尽きたし、阿武隈、北上、大井の三人が仲良く大破してしまったので、追撃は出来ませんでした……』
赤城「そう……まずは大破艦の保護を優先しましょう。こちらに合流して下さい」
266: 2016/01/06(水) 02:13:31.77 ID:yGkLzCxTo
金剛『了解! 今からそちらに向かいマース!』
阿武隈『大井さんが指示に従わないからですよ~!』
大井『阿武隈さんこそ、北上さんを惑わすようなことばかり言って!』
北上『二人とも仲良いね~。もう付き合っちゃえば?』
阿武隈『なっ!? き、北上さんの馬鹿ーーー!』
無線の向こうから姦しい声が聞こえてくる。こんなんで戦闘中は息ぴったりなんだから凄いよねこの子達。
267: 2016/01/06(水) 02:14:35.49 ID:yGkLzCxTo
赤城「さて。これでレイテに集結した深海棲艦は戦艦棲姫とあのレイテ島の前にいた子供以外は撃沈出来たと思われます」
赤城「この状況では敵も撤退せざるを得ない……南西諸島海域の制海権は取り戻したと言っても良いでしょう」
赤城「瑞鶴さん。あなたはこの後どうするの?」
先輩からの問い掛け。艦娘側は大破こそ多数出たけど轟沈は無し。目的も果たしたし、作戦は戦略的勝利……でも、私は……!
瑞鶴「戦艦棲姫を追います。あいつを倒さないと、この戦いは終われない!」
瑞鶴「加賀さん。これは、私の個人的なワガママなんだけど……ついてきてくれるかな?」
加賀「ええ。あなたが行くところなら、どこへでも……!」
そう言いながら私の手を取り、目をしっかりと見据えながら答える加賀さん。
やだ、これってプロポーズ? 恥ずかしすぎて思わず目を逸らしてしまう。
268: 2016/01/06(水) 02:15:39.89 ID:yGkLzCxTo
赤城「行くのね。私と蒼龍、武蔵さんはまだ戦闘可能ですから、お供しますね」
???「いやいや、ここは私達にお任せだよ!」
聞き慣れた声。嘘……? あの子がここに? 私は勢い良くそちらを振り向く。
瑞鶴「鈴谷ッ!」
鈴谷「遅くなってごめんね~。幌筵からレイテってマジ遠くてさ~」
鈴谷を先頭に、榛名、雷、浜風。お馴染みのメンバー……私の、最高の戦友。
榛名「瑞鶴さん、加賀さん! 本当に無事で良かったです!」
雷「もう、私達に何の相談もしないで行っちゃうんだから!」
浜風「あなたにはいつだって、私達がついてますから……! もっと頼って下さい」
ちょっと、何この展開。今日は一生分の涙を使い切ったと思ってたのに、また泣きそうになっちゃう。
269: 2016/01/06(水) 02:16:40.42 ID:yGkLzCxTo
榛名「ここは榛名達に任せて、皆さんはお姉様達と合流したら速やかに離脱して下さい」
鈴谷「赤城さん達も燃料や弾薬、結構ヤバいっしょ? 大丈夫、瑞鶴はうちらが責任持って面倒見ますから」
赤城「……わかりました。お任せしますね」
翔鶴「瑞鶴、あまり随伴艦の皆さんにご迷惑をお掛けしちゃダメよ?」
もう、翔鶴姉まで! 私は旗艦だってのに! よし、見てなよ!
瑞鶴「行くよ、随伴艦達! 私について来ーいっ!」
頬を両手で叩いて気合いを入れ、高らかに宣言する。
鈴谷「ん。やっぱ瑞鶴には泣き顔よりもそっちの方が似合ってるよ」
私は最高の戦友達と共に、最後の決戦へと向かった。
つづく!
270: 2016/01/06(水) 02:17:25.12 ID:yGkLzCxTo
設定
大和(21):艦隊決戦の切り札。去年のレ級との戦いの後も多くの実戦を経て練度を上げた。
金剛(24):連合第二艦隊の主力を担う高速戦艦。練度トップの座は加賀と瑞鶴に明け渡したが実力は未だに健在。
阿武隈(18):連合第二艦隊旗艦。北上のことが好きだがつい素っ気ない態度を取ってしまう、素直じゃない性格。
北上(18):阿武隈、大井の同期。阿武隈に好意を持っているがついからかってしまう、素直じゃない性格。
大井(18):阿武隈、北上の同期。北上を慕っているが、ライバルの阿武隈のことも憎からず思っている。
防空棲姫:レイテにて赤城達を待っていた新種の深海棲艦。その真意は不明。
271: 2016/01/06(水) 02:18:11.58 ID:yGkLzCxTo
今回はここまでです。あと2回の投下で終了の予定です。
それではここまで読んで下さった方、レスして下さった方、ありがとうございました。
加賀「瑞鶴は私のこと好きよね?」 瑞鶴「愛してます!!!」【その6】
それではここまで読んで下さった方、レスして下さった方、ありがとうございました。
加賀「瑞鶴は私のこと好きよね?」 瑞鶴「愛してます!!!」【その6】



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