289: 2015/07/02(木) 22:21:41.84 ID:epPbHHGnO


前回:三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」【第九夜】

最初から:三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」
「艦これ」運営鎮守府 公式カレンダー二○二六

< 平和の使者は平和的だろうか >





提督「今日のカクテルはマリブサーフ。
カクテルワードは“ 平和で未来を思う心の持ち主 ”、だ」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………」

天城「…………」

提督「…………割と強情だよな、天城って」

天城「…………」

提督「…………お前は兵士だよ。天城自身がどうあろうと、どう考えようとね」

天城「…………」

提督「……ま、存在意義なんかで悩めるだけ幸せなのかもしれないぜ?
それこそがただの兵器ではない証拠だもんな」

天城「……………………悩む前に、あなたに出会いたかった」

提督「…………そうだな。でも俺はただの女の子だ、と言える場面でも兵士だと言ってしまうくらいには優柔不断だよ」

天城「…………それでも、です。あなたは天城を天城として見てくださるから。……天城にもできないことを、容易く」

295: 2015/07/03(金) 01:45:56.51 ID:tUCyZLsE0

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 〈入渠場〉

 ――ぽちゃん

三日月「はぁ、はぁ……」

夕立「…………」

電「…………すぅ……すぅ……」

三日月「ま、間に合いました……?」

夕立「…………そうっぽいね」

三日月「……治る……かな……」

夕立「……治るに決まってるじゃん。……艦娘はどんなに傷つけられても入渠すれば治る。……“あなたが一番知ってること”でしょ」

三日月「……そうでした」

三日月「……本当に……良かった……!!」

夕立「…………じゃあ、夕立戻るね」 クル

三日月「あっ、ゆ、夕立さん!」

夕立「…………なに?」

三日月「えと……あの……電ちゃんを運ぶの手伝ってくれて……ありがとうございます」 ペコリ

夕立「……別に、お礼を言われるほどのことじゃないっぽい」

三日月「……それでも……やっぱり感謝してます。ありがとうございます」

夕立「…………」

三日月「あと……夕立さんはそう“思ってない”かもしれませんが……久しぶりに会えて……嬉しかったです」

夕立「っ!!」 クル

 スタスタスタスタ

夕立「なんなの? 嫌味!? 今そんなこと言う必要あるの!?」

三日月「……ごめんなさい」

夕立「……ふん」 プイ

三日月「…………」

夕立「……ホントさ、あなたって昔から変わらないよね」

三日月「え?」

296: 2015/07/03(金) 03:56:10.04 ID:tUCyZLsE0

夕立「全部……全部全部全部! 一人で抱え込む」

夕立「……一人で何でもかんでも決めつけて、勝手に傷ついて……なんなのよ!」

三日月「…………」

夕立「……あなたが過去にやったこと、電ちゃんには何にも打ち明けてなかったんでしょ?」

三日月「……はい。前の鎮守府では色々問題を起こしてしまった……という事しか……」

夕立「……そんなあなたを守って、電ちゃんは傷付いたんだ?」

三日月「……そんなこと、分かってます……」

三日月「……でも……話せるわけ、ないじゃないですか。あんな話したら、電ちゃんは――」

夕立「自分から、離れて行ってしまうかもしれないって?」

三日月「…………」

夕立「……ばっかなんじゃないの?」

夕立「今日初めて会った夕立でも分かるよ。……この子はあの話を聞いてもあなたから離れない」

三日月「……そんなの、わからないじゃないですか!!」

夕立「ッ!! ――わかるに決まってんでしょッ!?」

夕立「この子はあなたのためにこんな状態になれる子なんだよ!?」 ビシ

夕立「何にも打ち明けない!! 心を完璧に開いていないあなたなんかのためにだよ!? ――友達のくせに何でそれが分からないんだッ!!」

三日月「っ……!!」

夕立「……それだよ……あなたの悪いとこ……私の大っ嫌いなとこ」

夕立「自分よりも他人の事を優先させるくせに、肝心なとこは見てないし、勝手に変な風に思い込んで、自分一人で結論を出して……!!」 プルプル

夕立「結局あなたは自分一人の殻に閉じこもってるだけなんだよッ!!」

三日月「…………」

夕立「なんで自分一人だけで抱え込むの!? なんでもっと周りに頼らないの!?」

夕立「……『夕立さんはそう“思ってない”かもしれませんが』……? ふざけんなこのわからず屋!!」

三日月「…………」

夕立「はぁ……はぁ……!!」

三日月「……ごめんなさい……夕立さん」

夕立「…………チッ」 プイ

夕立「……勝手に、一人で抱え込んでればいいっぽい……」 クル スタスタ

三日月「…………」

夕立「…………」 ピタ

夕立「……それでも、あなたの事……昔は大好きだった」

三日月「…………」

夕立「……けど今は、大っ嫌いッ!!」 バッ

 タッタッタッタ

三日月「……夕立さん……」


297: 2015/07/03(金) 04:35:26.20 ID:tUCyZLsE0

電「……みかづき、ちゃん……?」

三日月「!! 電ちゃん! 気が付きましたか!?」

電「……はい。……つい、先ほどから……。ここは……入渠場ですか?」

三日月「はい。……電ちゃん、さっきまでの記憶……ありますか?」

電「……はい、あるのです。……電はあの後、気絶しちゃったんですね」

電「三日月ちゃんがここまで運んでくれたのですか?」

三日月「いえ。夕立さんが……」

電「そう、だったのですか。……後でお礼言わなきゃなのです」

三日月「…………」 グッ

三日月「……電ちゃん……ごめんなさい。私のせいで……」

電「……別に、謝ることなんてありませんよ? 電が勝手にやったことなのです。三日月ちゃんが気を病むことはありません」

三日月「け、けど!」

電「むしろ、心配かけちゃってごめんなさいなのです」

電「……あと、三日月ちゃんが馬鹿にされたのに……何もできなくて……ごめんなさいなのです」

三日月「――――!!」

三日月「な、なんで……なんで……!!」 ジワ

三日月「なんでそんなに……優しいんですか……電ちゃんが謝るんですか……!!」 ポロポロ

電「み、三日月ちゃん……」

三日月「ひっぐ……!! ぐす……うぅ……!!」 ポロポロ

電「…………」 スッ

電(右腕は……もう動くのです)

電「……三日月ちゃん?」

三日月「……?」 ポロポロ

電「えい」

 バシャーーン!

三日月「わっぷ!?」

電「それそれ~!」

 バシャンバシャン!

三日月「あう! ちょ、え!?」 ビショビショ

電「あっはっはっは! 三日月ちゃん、ビショビショなのです!」 ニコニコ

三日月「……?」 ポカーン

電「三日月ちゃん、泣かないでください」

電「三日月ちゃんは……電はもう、大丈夫なのです。だから、泣かないで?」

電「三日月ちゃんが悲しそうだと、電も悲しくなっちゃうのです」

308: 2015/07/25(土) 06:27:57.41 ID:E+6N1SlS0

三日月「……電ちゃんはさ……本当に、優しいですよね」

三日月「……もう一回聞いていいですか?」

電「……はいなのです」 ニコ

三日月「なんで……そんなに……優しいの?」

電「……電は……私は」

電「三日月ちゃんが大好きなのです」

電「三日月ちゃんは私の、大切な――とっても大切な、友達なのです」 ニッコリ

三日月「…………っ」 ジワァ

電「大切な友達に優しくするのって、おかしいと思いますか?」

三日月「……ううん」 フリフリ

電「それに、三日月ちゃんだって優しいのです」

三日月「……わ、わたしは……優しくなんて……ないよ」

電「ううん、三日月ちゃんは優しいですよ」 サバァ

三日月「!! ――い、電ちゃん! まだ出ちゃダメだよ! 怪我が――」

電「ほら、三日月ちゃんは優しいのです」

三日月「え?」

電「電の事を、気遣ってくれています」

三日月「……」

電「三日月ちゃん」

電「三日月ちゃんは優しくて、私のとっても大切な」

電「大好きな友達なのです」

三日月「……電ちゃん……!!」

 本当に、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。私はこんな優しい友達に、私なんかを好きでいてくれる、大切に思ってくれている友達に、何にも教えていない。

三日月「電ちゃん」 スタスタ

 チャポン

三日月「……電ちゃん……!!」

電「……ふふ、三日月ちゃん。お洋服着たままお風呂に入っちゃダメなのです」

三日月「それは、電ちゃんも……一緒です」 スタスタ

電「あはは、そうですね」

三日月「電ちゃん」 スタスタ

 ギュー

電「……はい、なんですか?」

三日月「……ごめんなさい」

電「……三日月ちゃん」

三日月「ごめんなさい……!!」 ポロポロ

電「…………」 ギュー

電「三日月ちゃん、よしよしなのです」 ナデナデ

 電ちゃんに抱き着きながら謝る。謝ることが多すぎて、いったいどのことに対しての謝罪なのか、自分でも分からない。それでも、私は電ちゃんに謝った。
 電ちゃんは私の頭をそっと撫でてくれて、抱きしめ返してくれた。私が落ち着くまで、優しく――

309: 2015/07/25(土) 07:01:34.53 ID:E+6N1SlS0

電「……落ち着きましたか?」

三日月「はいっ。ありがとうございましたっ」

電「これくらい、お安い御用なのです」

電「もう、両腕も動くようになりました。電、完治なのです」

三日月「……ごめんなさい」

電「大丈夫なのです。さっきも言った通り、三日月ちゃんが気を病むことはないのです」

三日月「そ、そんなこと……無理ですよ」

三日月「……電ちゃんは……た、大切な友達ですから! だから……その……ごめんなさい」

 電ちゃんはこう言ってくれているが、やはりそう簡単には罪悪感は消えない。私はめんどくさい性格なのかもしれない。
 なんて言っていいかもわからず、とりあえず謝ってしまう。当然それだけではダメだと思っている。これが私の悪い所の一つなのかもしれない。すぐに謝ってしまう事が。

電「ふふ、大切な友達って言ってくれるだけで、電はもう満足なのです。だから、もう気にしないでください」

三日月「……うん」

電「では、そろそろ……戻りましょうか」

三日月「…………」

三日月「い、電ちゃん!」

電「はい、なんですか?」

三日月「実は……お話があるんです」

三日月「ずっとずっと、内緒にしていた、私の……犯した罪のことです」

電「……やっと、話してくれるんですね。三日月ちゃん」

三日月「はい」

三日月「……もう、私は……迷いません。怖がりません」

三日月「全部、全部話します。その結果が、どんな形になっても、私は後悔しません」

電「……私は、三日月ちゃんが何かを抱えていることは予想していました。以前、問題を起こしてしまったとも聞いていましたし、本当の事を言うと、ほんの少し、夕立さんに聞いてしまいました」

三日月「……」 ギュ

電「でも、待っていました。……あなたが直接、話してくれる時を……」

三日月「……あの話をちょっと知っていたのにも関わらず、電ちゃんは私のために怒ってくれたんですね」

電「……はい」

三日月「……っ」 ギュ

三日月「……電ちゃん。最初に一言……言わせて?」

電「……うん、いいですよ」

三日月「……ありがとう。……大好きです」 ニッコリ

電「……電もなのです」 ニッコリ

 そして私は、語り始めた。
 過去に犯した罪の話を――

310: 2015/07/25(土) 07:14:37.69 ID:E+6N1SlS0

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 〈廊下〉

夕立「…………」 スタスタスタスタ

夕立「…………」 スタスタスタ   ピタ

夕立「……ここ、どこだろう……」

夕立「あはは……迷子っぽい」 ペタッ

夕立「……疲れたから……ちょっと休憩しよ……」

夕立「…………」

 スタスタスタスタ

菊月「そんなところで座り込んで、何してるんだ?」

夕立「!!」 ビクッ

夕立「き、菊月ちゃん!?」

菊月「……なんでそんなに驚いているんだ?」

夕立「だ、だって菊月ちゃん、司令室に残ってたっぽい」

菊月「お前の事だ……入渠場へ行って電を入渠させた後、三日月と一緒にいたくないから一人で帰ってこようとして、迷子になるんじゃないかなぁと思ってな。案の定予想通りだったな。……全く、鎮守府内の構造はそんなに変わらないのに、どうして迷子になるんだ」

夕立「……あはは……さすが菊月ちゃんっぽい」

菊月「……どうした? ひどく落ち込んでるが……三日月と何かあったのか?」

夕立「……ううん。なんでもないっぽい」

菊月「……そうか」

夕立「……菊月ちゃん、ごめんね」

菊月「……どうして謝るんだ?」

夕立「……嫌でしょ? 私、あの子にひどい態度しか取ってないもん。嫌だよね」

夕立「夕立の事……嫌ってもいいっぽい」

菊月「……はぁ」

菊月「夕立」

夕立「?」

 ベシッ

夕立「痛いっぽい!?」

菊月「当たり前だ。チョップだからな」

菊月「んで、一言だけ馬鹿な貴様に言ってやる」

菊月「私は夕立を嫌いになんてならない」

夕立「……菊月ちゃん……」

311: 2015/07/25(土) 07:16:11.29 ID:E+6N1SlS0

菊月「確かに……貴様が三日月に対してひどい態度を取っているのは……正直心苦しいさ」

菊月「でもさ、私は三日月の事と同じくらい、仲間のお前を大切に思っている」

夕立「…………」

菊月「……まぁ、欲を言うならお前らには仲直りをしてもらいたい。昔はあんなに仲良かったんだ。いつか喧嘩が終わって……仲直りしてくれることを……私は願っている」

夕立「……私とあの子は喧嘩なんて、してないよ」

夕立「ううん。喧嘩できてたなら良かったかな」

菊月「……喧嘩できてたなら良かった?」

夕立「うん。だって……私が一方的にあの子を嫌っているだけだもん。だから……仲直りも何もないっぽい」

菊月「……それは、今後もずっとそうなのか?」

夕立「……それは……わかんないっぽい」

夕立「けど、私は……決めたんだ」

夕立「あの子が……“あのままでいる限り”、私はあの子を嫌いで居続けるって……ね」

菊月「……そうか」

夕立「……ごめんね」

菊月「謝らなくていいさ。お前がそう決めているんだったら……私は何も言わん」

夕立「…………」

菊月「……なぁ、夕立。お前に教えてもらいたいことがあるんだ」

夕立「……何っぽい?」

菊月「私は、どうしたらいいと思う?」

夕立「…………」

312: 2015/07/25(土) 07:18:54.84 ID:E+6N1SlS0

菊月「……私はさ、ついこの前お前らの部隊に配属された。駆逐艦のお前とは以前から関わりがあって友人同士だったが、軽巡の神通とはそこまで交流はなかった。優しくて、時には厳しく、司令官の秘書官でありとても強いと言うのは知っていたけどな」

夕立「…………」

菊月「司令官とは、“あの時”以降もそれ以前も当然関わりがあったから知っていた。とても優しくて、作戦も指示も的確で非常に優秀な人だ。尊敬している」

菊月「でも、三日月の前になると、彼はおかしくなる。“あの時”以降、彼はそうなってしまった」

菊月「……あの人の三日月に対する態度といじめは、何度もこの目で見てきた。嫌悪感を抱く時期だってあった。……けど! なぜだか優しいんだ! 私が大破した時、彼は私の事をすごく心配してくれた。入渠が終わった後、謝ってきた。そして、無事だったことがわかると安心してくれた……」

菊月「……本当に、嫌いになれないんだ! 三日月をいじめる人を……嫌いになれないんだ……」

菊月「……今日あんな信じられない事を言ったあの人を……ぅっぐ……わ、わたしは……嫌いになれない……っ!!」 ジワァ

夕立「……菊月ちゃん……」 スタ

  ギュ

菊月「ぐす……ねぇ、夕立……ひっぐ……私は……どうすればいいの?」 ギュー

夕立「……菊月ちゃん」

夕立「その質問、私じゃ答えることはできないっぽい」 ギュー

夕立「……だって、それは菊月ちゃん自身が決めなきゃいけないことだから」

夕立「私がこうすればいいよって答えて、あなたがそうしたって……それは最善の選択じゃないっぽい」

菊月「…………」 ギュー

夕立「……誰にだって迷う時は来るっぽい。私も、必氏に迷った。……あの子の事でね」

菊月「……みかづきのこと……?」

夕立「うん」

313: 2015/07/25(土) 07:21:59.17 ID:E+6N1SlS0

――――――――――――――――――――――

夕立『神通さん! ……私……私、どうしたらいいの……? 三日月ちゃんのこと……わたし……!!』

神通『……夕立ちゃん』

夕立『私……あの子の力になりたいのに……!! ……悲しんでいる三日月ちゃんの事、可哀想だと思ってるのに……!』

夕立『……許せないとも思ってるの……!』

夕立『……わたし……どうすればいいの!? 何にも、わかんないの!!』

神通『……夕立ちゃん。その質問に、私は答えることができません』

神通『いいですか、夕立ちゃん――』

――――――――――――――――――――――

夕立「…………」

夕立「私が迷ってる時、あの人は……神通さんはこう言ったの」



神通『自分が選んだ道こそが、最善の選択なんです。周りからしたら、それが間違っていることなのかもしれません。だけど、そんなの関係ありません。だって、どれが正しいかなんて、誰にもわからないんですから』

神通『だから、あなた自身が決めなさい。どうするべきなのか……自分で』



菊月「……自分の選んだ道こそが……最善の……」

夕立「うん」

菊月「……まだまだ決められそうにない……な」 ゴシゴシ

夕立「ゆっくりで、いいんだよ……時間は、たっぷりあるんだから、さ」

菊月「……すまなかった……見苦しい所を見せてしまってな」

夕立「ううん。大丈夫っぽい。気にしないで」

菊月「……なぁ、夕立」

菊月「……“あの時”のこと、詳しく私に教えてくれないか?」

夕立「……いいの?」

菊月「あぁ……」

夕立「……そうだよね。詳しい内容は、あまり知らないもんね。断片的じゃなくて、全部知りたいって事だよね?」

菊月「あぁ。頼む」

夕立「……わかったっぽい。あの時の……あの事件の話、始めるね……――」

316: 2015/07/28(火) 05:17:36.08 ID:S667Hw3E0

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 〈司令室〉

前提督「それで……話と言うのはなんだい?」

提督「……あなたは本日、上層部からの指示で、仲間である鎮守府同士での交流のためにここへやって来たはずです」

前提督「あぁ、そうだね。僕達が現在こうして会話を交えているは上層部からの指示があったからだね」

提督「……あなたとの会話、私は結構楽しかったんですよ? いろんな話が聞けて……」

前提督「…………」

提督「けど、三日月の話題を出して、アンタが三日月達と会いたいって言ったからわざわざ遊んでいる二人を呼び戻してまで会わせたのに……」

提督「……なんなんだあれはッ!!」

前提督「……最初三日月がここにいるって聞いた時は驚いたよ。まさかここに配属されているなんて思わなかったからね」

提督「……なんで上官のアンタがそんなこと知らなかったんだ?」

前提督「どうでもよかったからだよ」

提督「……どうでもいい?」

前提督「あぁ」

前提督「……あんな奴がどこに行こうかどうでもよかったんだ」

提督「じゃあなんでわざわざ会いたいなんて言ったんだ」

前提督「……久しぶりに」

前提督「三日月の苦しむ顔が見たかったからだよ」

提督「ッ、てめ……!!」 ギロ

金剛「…………」

神通「…………」

317: 2015/07/28(火) 05:49:59.75 ID:S667Hw3E0

 スタスタスタスタ

前提督「ん? 菊月? どうしたんだい?」

菊月「……ちょっと、夕立を探してくる」

前提督「あぁ、わかったよ。迷子にならないように気を付けるんだよ?」

菊月「……あぁ」

 ガチャリ   スタスタスタスタ

提督「……よく姉がいたのにも関わらず三日月に対してそんなこと言えるな」

前提督「ははは、確かに菊月には申し訳ないと思っているよ。菊月には、ね」

提督「……三日月には?」

前提督「……はは、思っているとでも思うのかい?」

提督「……アンタが今日うちの鎮守府でやったことは、明らかに利敵行為だ。こんなの交流でも何でもねぇぞ?」

提督「今はもう俺の鎮守府の艦娘である三日月に対しての冒涜、そして電への部下を使った暴力指示」

提督「――ふっざけんじゃねぇよッ!!」

前提督「何か間違った事、僕はしたかね?」

提督「は?」

前提督「三日月に対して、僕は本当の事しか言っていない。電ちゃんに対して行ったのはただの罰だよ罰。むしろ、君よりも上官である僕を殴っていたら、もっとキツイ罰があったと思うよ。……解体処分、とかね?」

提督「……それに関してはアンタの秘書官の神通に感謝はしてるよ」

提督「だけど、二本目を折る必要はあったのか?」

前提督「…………」

提督「あれはアンタのただの腹いせにしか見えなかったんだが?」

前提督「……ふふ、なかなか鋭いね、君」

提督「素直に認めんだな」

前提督「嘘は良くないからね」

提督「……クソ野郎が」

前提督「……君は、いつになったらその舐めたような口調を続けるのかな?」

提督「生憎こっちが“素”なモンでね。それに、俺は憎たらしい敵にまで敬語を使えるほどの人格を持ち合わせてはいねぇよ」

前提督「ふふふ、それは立派な反逆精神なことだね」

提督「アンタのやった行動程じゃねぇよ」

前提督「…………」 ギロ

提督「…………」 ギロ

318: 2015/07/28(火) 05:51:29.65 ID:S667Hw3E0

金剛「……ヘーイ、神通ー?」

神通「はい、何でしょうか?」

金剛「……神通はサー、なんでこの人の言う事素直に聞いたノー?」

神通「…………」

金剛「オウ、質問が悪かったデース? ならこうしマース」

金剛「……なんで平然と電の腕を折れたノ?」

神通「……その事に関して、私は心からあなた方に謝罪を申し上げます」

神通「ですが、私の感情なんてどうでもいいんです」

金剛「…………」

神通「私は提督の御心のままに動くだけです。それが間違った事でも、私が嫌な事でも関係ありません。私は提督の命令に従うだけです」

金剛「……友人としてチューコクしマース」

金剛「そんなの、間違ってるワ」

神通「間違ってる間違ってないの話じゃないんですよ、金剛さん」

神通「これが、私の決めた道なの」

神通「他人であるあなたに……とやかく言われてはいそうですねって答えて道を変える程、私の信念は甘くありません」

金剛「……その信念が、間違っていたとしてもデスか?」

神通「はい」

金剛「……っ」

319: 2015/07/28(火) 05:52:56.01 ID:S667Hw3E0

前提督「……いやいや、少佐殿。どうしてこうなってしまったんだろねぇ」

前提督「僕たちは楽しい交流をできていたはずなのに、今じゃこんなにもギスギスし合っている」

提督「……アンタのせ――」

前提督「僕のせい? いや、違うね」

前提督「三日月が原因だ」

提督「は?」

前提督「……あいつさえいなければ、全ては上手くいっていたんだよ。三日月さえいなければな」

提督「はっ、自分の事を棚に上げて責任転嫁か?」

前提督「いや、責任転嫁なんかじゃないよ」

前提督「三日月のせいで僕は妻と娘を亡くしたんだからな」

提督「……え?」

金剛「!?」

神通「…………」

前提督「おや、何も聞いてないのかい?」

前提督「彼女、人頃しなんだよ? 頃した人数は40名程だ」

提督「人殺……し?」

提督(三日月が……!?)

前提督「あぁ。彼女自身が認めていることだ」

金剛「ヅッキーが……人頃し……?」

前提督「あぁ」

前提督「あと、ついでに教えてあげるよ。三日月が僕の鎮守府から転属された理由」

前提督「暴力事件なんだよ」

提督「っ!?」

320: 2015/07/28(火) 05:55:48.27 ID:S667Hw3E0

前提督「……この事も知らなかったのかい? はは、彼女、実は君達の事信頼してないんじゃないかな?」

提督「そんなこと――」

前提督「そんなことない? どうしてそう言い切れる」

前提督「他人から自分が信頼されているなんて、どうやって証明するつもりなんだい?」

前提督「それに、君達は合ってからそんなに月日が経っているわけじゃない。なのにどうしてそう言い切れるんだ」

提督「……そ、それは……」

前提督「……まっ、仮に信頼されていたとしても、心は開いていなかっただろうね。何にも打ち明けられていないんだからさ」

提督「――ッ!!」


―――――――――――――――――――――


三日月『司令官』

三日月『……私、頑張りますっ』

三日月『……あなたを、信じます』


―――――――――――――――――――――

提督「……黙れよ」

前提督「ん?」

提督「あの子はな……一生懸命頑張ってるんだよ……!!」

提督「別に、打ち明けてくれなくたっていいさ。誰にだって秘密はある……打ち明ける打ち明けないはあの子が決めることだ」

提督「……何も知らねぇくせに、俺達の関係を勝手に決めつけて語るんじゃねぇよッ!!」

金剛「……提督」

前提督「ははは、お熱いことだ。やかましいことこの上ないよ」

前提督「……たまには昔話も悪くないね」

提督「昔話だと?」

前提督「あぁ、一年前の事件の話だよ。三日月が僕の家族を頃した話さ」

提督(一年前の、事件……?)

前提督「三日月が打ち明ける前に、僕が全部教えてあげるよ。……アイツの罪の話をね……――」

三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」【第十一夜】


引用: 【艦これ】三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」