390: 2015/09/15(火) 03:54:22.27 ID:0GHlf6zV0
前回:三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」【第十夜】
最初から:三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
それは遠征任務の時だった。
夕立『うーん、今日もいい天気っぽい~』 ノビー
三日月『ですね~。でも、気は引き締めなきゃですね。今日の遠征任務はとっても大事だと司令官が言っていましたし』
夕立『あはは、分かってるっぽい! 一緒に頑張ろうね、三日月ちゃん!』
三日月『はいっ!』
神通『ふふ、お二人とも本当に仲が良いですね』
夕立『ぽい! 三日月ちゃんとはお互いを助け合う事を約束し合った友達同士だもん! それに三日月ちゃん優しいから、夕立は三日月ちゃんが大好きっぽい!』 ニッコリ
三日月『あはは……て、照れちゃいます』
神通(微笑ましいわねー)
神通『あっ、あちらの船ですね』
その日の遠征任務は、船の護衛任務だった。軍人ではない一般の人達も乗っていると聞いたので、気を引き締めなきゃと何度も思った。
神通『あなたがこの船の船長ですね? 本日、貴方達を護衛することになりました、第八鎮守府海上護衛隊の旗艦、神通です。本日は命がけで貴方達をお守り致します』 ビシッ
船長『あぁ、話は聞いているよ。今日はよろしく頼む』
船長補佐『あらあら~、随分と可愛らしい娘さん達ですね。本日はよろしくお願いします』
三日月・夕立『『よ、よろしくお願いします!』』 ビシ
三日月「そう、私は命がけで守ろうと誓っていました。――命を懸けてでも、守り抜こうと……思っていました」
391: 2015/09/15(火) 03:56:31.02 ID:0GHlf6zV0
ザー、ザー、ザー、
三日月『…………』
夕立『三日月ちゃーん、表情硬すぎっぽい~』
三日月『へ?』
夕立『緊張はするのは分かるけど、リラックスすることも大切っぽい!』
三日月『は、はい! 頑張ります!』
夕立『……そんなに緊張しなくても、大丈夫だよ。三日月ちゃん、真面目で努力家だし、成績だって優秀っぽい。だからこの遠征任務にだって抜擢されたっぽい』
三日月『……うん! が、頑張ります!』
夕立『まぁ、夕立の方が訓練成績は優秀っぽいけどね! エッヘン!』
三日月『むっ……べ、勉強は私の方が上です! あと速力だって同じくらいですし!』
夕立『べ、勉強の話はやめてっぽい~』
三日月『……ふふ』
三日月『夕立さん、ありがとう。緊張、少し解けました』
夕立『えへへ、ならよかったっぽい!』
夕立『……それに、これは遠征任務っぽい。深海棲艦が遠征任務中に出てきたケースはあんまりないっぽい。だからきっと、大丈夫っぽい!』
夕立「そう、あの時はそう思ってたよ。……けど、奴らは現れた」
392: 2015/09/15(火) 04:49:17.66 ID:0GHlf6zV0
ザザー
ブクブクブクブク
神通『!? これは……』
神通『……音?』
夕立『え?』
ブクブクブクブク――バッシャーン!
ロ級『……』
ハ級『……』
ホ級『……』
リ級『…………』
三日月『……し、深海棲艦?』
神通『――提督! こちら海上護衛隊旗艦、神通です! て、敵が……深海棲艦が現れました!』
ザザー
前提督『な、なんだと!?』
前提督『ッくそ! なんで、このタイミングで……いつもはこんなことないはずなのに……ッ!』
夕立『敵のか、数は……4隻っぽい!』
前提督『……神通! 夕立! ――三日月!』
前提督『頼む……何としても、深海棲艦を撃退させてくれ』
前提督『その船には……娘と妻が……乗員しているんだ!!』
神通『はい!』
夕立『う、うん!』
三日月『ッ……は、はい!!』 ガチャ
前提督「イレギュラーな事態だったよ。遠征任務で深海棲艦が現れるのは珍しいケースだからね。……なんでこのタイミングなんだと、僕は神を恨んだよ」
393: 2015/09/15(火) 04:57:48.34 ID:0GHlf6zV0
神通『夕立ちゃん! 三日月ちゃん! 数は向こうの方が一隻上です!』
夕立『っぽい!』
三日月『はい!』
神通『幸い、まだ敵は遠くにいます。私は奴らを近づけないために接近し迎撃します。二人は船の付近を警戒しつつ、援護をお願いします!』 ザッ
三日月・夕立『『了解です(っぽい)!!』』
神通『……撃ちます』 ドンドン!
ボカンボカーン!!
ロ級『!!』
神通『中破ですか……撃沈させたかったわね』
三日月『援護します!』 バンバン!
夕立『当たれぇ!』 バンバン!
ハ級『…………』 シュシュ
バシャンバシャーン!!
夕立『あ、あいつ……めちゃくちゃ速いっぽい!?』
ハ級『……』 ザッ
神通『単艦で接近……させません!』 ズドンズドーン!!
ハ級『……』 シュンシュン
バシャンバッシャーン!!
神通『こいつ……!』
バンバン!
神通『二人とも!! そのハ級はエリート艦です!! 気を付けてください!!』 シュ、シュッ ドン!
ホ級『!!』 ボカーン!
ハ級『…………』 シュンッ ザザッ!
神通『ッ、奥にいた一隻は沈められたけど……抜けられた……!!』
神通『三日月ちゃん! 夕立ちゃん! ごめんなさい……そのハ級は任せました!』
ハ級『…………』 ザー!
三日月『は、はい!!』
夕立『ぽ、ぽい!!』
神通『……任せましたよ、二人とも』
ロ級『……』
神通『……私は』
リ級『…………』 ニヤァ
神通『こいつらをなんとかします』
394: 2015/09/15(火) 05:49:40.50 ID:0GHlf6zV0
夕立『当たれ……当たれ!!』 バンバン
三日月『当たって……っ!!』 バンバン
バシャーン!! バシャンッ、ジャバン!!
ハ級『……』 ザザー!、ザザー!
三日月『あ、当たらない!!』
夕立『もう距離もだいぶ近いっぽい!』
三日月(どうすれば、どうすれば!)
三日月(相手は動きが速いエリート艦……私なんかよりも数段格上だ。そんな相手に、勝つ方法を……見つけなきゃ!)
夕立『この船は、絶対に守るんだから……当たれぇ!!』 バンバンバン バン!
ハ級「……」 シュンシュン!
ハ級『!?』
夕立『偏差射撃!!』
ボカァァァァン!!
三日月『あ、当たった!!』
夕立『ダメージは!?』
ハ級(小破)『…………!!』
夕立『!!』
三日月『う、うそ……直撃のはずなのに……』
ハ級『……』 ザッ!
三日月(勝つ方法を見つけなきゃ、見つけなきゃ、見つけなきゃ!)
三日月『も、もう距離が……』
勝つ方法が見つからなかった。どうすればいいか分からなかった。
夕立さんの攻撃を直撃しても小破にしかならないハ級に勝つ方法が、分からなかった。
三日月『……』 チラ
船を見つめる。
私より全然大きいのに、それは私よりも脆い。
そしてそれには、多くの命を抱えられている。――大切な人の家族の命も。
三日月『……!!』
三日月(守らなきゃ。守らなきゃ。守らなきゃ……命がけで、守るんだ!)
三日月『夕立さん! 援護をお願いします!!』 ザッ!!
夕立『……え?』
夕立『み、三日月ちゃん!?』
私は、ハ級に接近した。
395: 2015/09/15(火) 06:07:44.10 ID:0GHlf6zV0
勝つ方法は見つからなかった。見つけられなかった。
三日月『……あなたは、絶対に私が……ッ』 ザー
三日月『し、沈めます!!』
三日月『この命に代えても!!』
ハ級『!!』 ドォン!!
そうだ、私に撃つんだ。船じゃなくて、この三日月に!!
夕立『三日月ちゃん!!』
迫り来る砲撃。それはギリギリ避けられる砲撃だ。
――でも、絶対に避けない。
ボカーン!!
三日月『ぅ、っあ――ッ!!』
身体のどこかに砲撃が当たる。
夕立『三日月ちゃんッ!!』
三日月『痛くなんか……ない!! 痛くなんかない!!』 ザー!!
ハ級『……――ッ!!』 ドンドンドォーン!!
三日月『っぐ……!! ――ッ!!』 ザーッ!!
三日月『はぁ、はぁ、はぁ……!!』 ザー!!
ハ級との距離、あとわずか。
夕立『し、沈んじゃう……み、三日月ちゃんが……』
三日月『――夕立さん!! 援護をお願いしますッ!!』
夕立『!!』
三日月『わたしは、だ……大丈夫です、から!! だから、撃ってくださぁぁぁぁいッ!!』
夕立『…………』
夕立『……っ!!』 バンバンバン!!
ハ級『!!』 シュッ、シュッ、シュッ! バシャーン!!
三日月『……避けましたね?』
ハ級『!?』
三日月『捉えました……!!』
あのまま攻撃を受け続けていたら、きっと私は沈んでいたかもしれない。でも、夕立さんが援護してくれたおかげで、ハ級は避ける行動を取った。攻撃の手を止めることができた。
――ハ級の目の前に、近づくことができた!!
三日月『この距離なら、避けられないでしょう』
ハ級『!!』 ドォン
三日月『ぅぐッ!!』
三日月『……ははは……もう、遅いです』 ボタボタ
ハ級『――!!』
三日月『沈んでぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!』 ガチャ
バンバンバンバンバンバンバンッ!!
ハ級『―――――――――――!!』
ボォォォォォォン!!
396: 2015/09/15(火) 06:19:32.03 ID:0GHlf6zV0
※すみません、少し修正しました。
勝つ方法は見つからなかった。見つけられなかった。
三日月『……あなたは、絶対に私が……ッ』 ザー
三日月『し、沈めます!!』
三日月『この命に代えても!!』
ハ級『!!』 ドォン!!
そうだ、私に撃つんだ。船じゃなくて、この三日月に!!
夕立『三日月ちゃん!!』
迫り来る砲撃。それはギリギリ避けられる砲撃だ。
――でも、絶対に避けない。
ボカーン!!
三日月『ぅ、っあ――ッ!!』
身体のどこかに砲撃が当たる。でもそんなのは気にしていられない。
近づくんだ。もっと、近くに!
夕立『三日月ちゃんッ!!』
三日月『痛くなんか……ない!! 痛くなんかない!!』 ザー!!
ハ級『……――ッ!!』 ドンドンドォーン!!
三日月『っぐ……!! ――ッ!!』 ザーッ!!
三日月『はぁ、はぁ、はぁ……!!』 ザー!!
ハ級との距離、あとわずか。
夕立『し、沈んじゃう……み、三日月ちゃんが……』
三日月『――夕立さん!! 援護をお願いしますッ!!』
夕立『!!』
三日月『わたしは、だ……大丈夫です、から!! だから、撃ってくださぁぁぁぁいッ!!』
夕立『…………』
夕立『……っ!!』 バンバンバン!!
ハ級『!!』 シュッ、シュッ、シュッ! バシャーン!!
三日月『……避けましたね?』
ハ級『!?』
三日月『捉えました……!!』
あのまま攻撃を受け続けていたら、きっと私は沈んでいただろう。でも、夕立さんが援護してくれたおかげで、ハ級は避ける行動を取った。攻撃の手を止めることができた。
――ハ級の目の前に、近づくことができた!!
三日月『この距離なら、避けられないでしょう』
ハ級『!!』 ドォン!
三日月『ぅぐッ!!』
三日月『……ははは……もう、遅いです』 ボタボタ
ハ級『――!!』
三日月『沈んでぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!』 ガチャ
バンバンバンバンバンバンバンッ!!
ハ級『―――――――――――!!』
ボォォォォォォン!!
勝つ方法は見つからなかった。見つけられなかった。
三日月『……あなたは、絶対に私が……ッ』 ザー
三日月『し、沈めます!!』
三日月『この命に代えても!!』
ハ級『!!』 ドォン!!
そうだ、私に撃つんだ。船じゃなくて、この三日月に!!
夕立『三日月ちゃん!!』
迫り来る砲撃。それはギリギリ避けられる砲撃だ。
――でも、絶対に避けない。
ボカーン!!
三日月『ぅ、っあ――ッ!!』
身体のどこかに砲撃が当たる。でもそんなのは気にしていられない。
近づくんだ。もっと、近くに!
夕立『三日月ちゃんッ!!』
三日月『痛くなんか……ない!! 痛くなんかない!!』 ザー!!
ハ級『……――ッ!!』 ドンドンドォーン!!
三日月『っぐ……!! ――ッ!!』 ザーッ!!
三日月『はぁ、はぁ、はぁ……!!』 ザー!!
ハ級との距離、あとわずか。
夕立『し、沈んじゃう……み、三日月ちゃんが……』
三日月『――夕立さん!! 援護をお願いしますッ!!』
夕立『!!』
三日月『わたしは、だ……大丈夫です、から!! だから、撃ってくださぁぁぁぁいッ!!』
夕立『…………』
夕立『……っ!!』 バンバンバン!!
ハ級『!!』 シュッ、シュッ、シュッ! バシャーン!!
三日月『……避けましたね?』
ハ級『!?』
三日月『捉えました……!!』
あのまま攻撃を受け続けていたら、きっと私は沈んでいただろう。でも、夕立さんが援護してくれたおかげで、ハ級は避ける行動を取った。攻撃の手を止めることができた。
――ハ級の目の前に、近づくことができた!!
三日月『この距離なら、避けられないでしょう』
ハ級『!!』 ドォン!
三日月『ぅぐッ!!』
三日月『……ははは……もう、遅いです』 ボタボタ
ハ級『――!!』
三日月『沈んでぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!』 ガチャ
バンバンバンバンバンバンバンッ!!
ハ級『―――――――――――!!』
ボォォォォォォン!!
399: 2015/09/22(火) 04:56:37.97 ID:XiO/gA2B0
ハ級『…………』
三日月『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ』
ハ級『…………』 バシャーン!!
三日月(たお……した?)
三日月『はぁ、はぁ……げほ』 ガク
三日月(血が……止まらない)
ハ級『…………』
三日月『けど……倒せて……よか……っ』 グラ
ガシ
夕立『…………』
三日月『夕立……さん』
三日月『わたし、勝ちました』 ニコリ
夕立『……バカ』
夕立『無茶し過ぎだよ……三日月ちゃん』 ポロポロ
三日月『えへへ……ごめんなさい』
夕立『とにかく、早く治療しないと……』
三日月『いえ、その前に前線で戦っている神通さんの援護を……』
夕立『……その必要は、ないっぽい』
三日月「え?」
ボカァァァァン!!
神通『はぁ、はぁ』
ロ級『』
リ級『』
バシャーン!! ブクブクブク……――
夕立『さすが神通さんっぽい~』
三日月『あはは……さすがです』
400: 2015/09/22(火) 05:31:12.67 ID:XiO/gA2B0
神通(さすがに重巡はきつかったわね……私もまだまだ精進しなきゃ……)
神通(単艦で戦艦を沈められるくらいに)
神通『ん?』
夕立『じーんーつーうーさーん! さすがっぽい~!!』 フリフリ
神通『あら、あの子達ハ級を倒したのかしら。……あの様子から見るにそうよねきっと』
神通『ふふ、さすがです』 ニコリ
神通『今そちらに戻りまーす』 フリフリ
夕立『おっ、手振り返してくれたっぽい!』
三日月『…………』
夕立『……み、三日月ちゃん?』
三日月『え……? はい、なんでしょうか?』
夕立『……ううん、なんでもないよ。……今は休んでていいから』
三日月『…………うん。……げほッ!』
夕立『――!!』
夕立(ち、血が……!!)
夕立『ちょ、ちょっと護衛艦の船長さんに連絡してみるから!』
――ザザッ
夕立『こちら夕立です。聞こえますか!?』
船長『あぁ、聞こえるよ。ありがとう。深海棲艦を――』
夕立『ごめんなさい!! 中に治療室ってある!?』
船長『え?』
夕立『あったら使わせてほしいっぽい!! 三日月ちゃんが!!』
夕立『し――』
ドォン!!
夕立『――え?』
夕立『……げほ』
三日月『…………え?』 キョトン
三日月『ゆうだち……さん?』
夕立『……あはは……げほ、ごほ! ……あなた……』 クル
ハ級『……』
夕立『しぶとすぎっぽい』
三日月『ゆ、ゆうだちさん……夕立さん!!』
夕立『…………』 バシャーン!!
三日月『あっ』 バシャーン!!
三日月『あ、あぁ……あぁ……!!』
三日月(仕留めきれていなかった!?)
三日月『船長さん……逃げて……逃げてぇぇぇぇぇぇッ!!』
401: 2015/09/22(火) 05:33:36.87 ID:XiO/gA2B0
神通『沈めていなかったの!? くっ!』 ザッ
神通『ここからじゃ、間に合わない!!』
神通『当たって!!』 ドォンドン!!
バシャンバシャンッ
神通『くっ、遠くまで来過ぎました……!! 離れすぎてる!』
ハ級『……』 ガチャ
三日月『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!!』
三日月(私のせいだ、私のせいだ私のせいだ!!)
三日月(何としてでも起きないと……何としてでも起きないと!!)
船長『ッ! 全速前進だ!! この海域を何としてでも抜けるんだ! ――護衛してくれてる彼女たちのためにも、乗っている人たちのためにも!!』
三日月『はぁ、はぁ……!!』
ハ級『…………』 クル
三日月『え?』
ハ級『……』
三日月(ダメ、ダメだ。そっちを見ないで。狙わないで!!)
三日月『うわあああああああああああッ!!』 バシャ!!
ハ級『!!』
三日月『げほ、げっほ……!!』 ビチャ
三日月『はぁ、はぁ、……立てれた……!!』 ガチャリ
ハ級『!!』
三日月(視界が歪む。今にもたおれそうになる。でも、まもらなきゃいけないんだ)
三日月『沈んで……お願い!!』
カチャ
三日月『え……?』
カチャ、カチャ
三日月『弾……切れ……?』
ハ級『……』 ザッ!!
三日月『待って、待って!!』
402: 2015/09/22(火) 05:40:47.02 ID:XiO/gA2B0
神通『あいつ、船に直接突撃する気!?』
三日月『いかないで……いかないで!!』 グラ
三日月(しかいが……ふらつく)
三日月(けど、まもらなきゃ……ハ級を……しずめなきゃ……)
三日月(そうだ)
三日月(しずめ、しずめ、しずめ、しずめ!!)
三日月『ええーーーーい!!』 ポンポンポン!! ザッー!!
神通『!! 三日月さん!! ダメです!! 魚雷は!!』
神通『その方向に撃ったら!!』
ザッー!!
ハ級『――――!?』
ドガァァァァァァン!!
三日月『沈められ……た……?』
ハ級『……』 ブクブクブク……――
三日月『……がは……!! げっほ……!!』
三日月『まもれた……?』
神通『ダメ!! 船長さん!! 逃げてくださいッ!!』
神通『魚雷がそっちに向かってます!!』
三日月『――え?』
船長『ッ!? 舵を右に――』
三日月『――――――――――――』
目の前の光景を疑った。何かの間違えだと思った。まるで時が止まったかのような感覚だった。
神通『ッ!!』
私の撃った魚雷が――
三日月『』
護衛艦に直撃した。
ボカァァァァァァァンッ!!
三日月『う、嘘……わ、わたし、そんなつもりじゃ……!!』
三日月『……うそ、うそうそうそうそうそうそうそうそうそ!! 嘘だ嘘だ嘘だ!!』
三日月『ぁぁぁぁ、あぁ、おぇ……!!』
当たり所が悪かったのか、一瞬で爆発は起きた。
乗員が脱出する時間なんかなかった。爆発はどんどん広がり。――船が、沈んだ。
三日月『うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!』
403: 2015/09/22(火) 05:41:54.15 ID:XiO/gA2B0
三日月「……そう、護衛艦は……」
三日月「私が」
夕立「あの子が」
前提督『三日月が』
沈めた。
423: 2015/09/29(火) 05:08:52.57 ID:Fjl+YkHv0
目の前には真っ暗な世界が広がっていた。
ここはどこだろうか。私は何をしていたのだろうか。全然わからなかった。
頭がぼーっとしており、真っ暗な世界は消えない。
けど、声が聞こえた。
夕立『……三日月ちゃん……』
それは友達の、夕立さんの声だった。
三日月『…………ぁ』
夕立『!? 三日月ちゃん……?』
ゆっくりと目を開き、真っ暗な世界が消える。
三日月『夕立……さん』
夕立『起きた……三日月ちゃんが、起きた!』 ガバッ
三日月『むぐっ!?』
夕立『もう……起きないんじゃないかと思った……!!』
三日月『んん~~~~~!!』
夕立『あっ……ご、ごめんなさいっぽい!』 バッ
三日月『はぁ、はぁ……だ、大丈夫です』
三日月『……あれ、ここ、どこですか?』
頭がぼーっとしている。状況が良くわからない。私は何をしていたのだろう。ここはどこなのだろう。
わからない
三日月『私は……何を……』 キョロキョロ
夕立『ここは……鎮守府にある病室だよ。私達のいるとことは別のだけれどね』
三日月『鎮守府……?』
夕立『うん』
夕立『……神通さんと提督さんを呼んで来るっぽい。……ちょっと待ってて』 スタスタ
三日月『…………』
424: 2015/09/29(火) 05:11:44.54 ID:Fjl+YkHv0
三日月『私本当に……何をしていたんだろう……確か……』
三日月『――ッ!?』 ズキッ
三日月(頭が……痛い!? なに、これ?)
スタスタスタスタ
ガチャ
三日月『!?』
神通『…………』
夕立『…………』
前提督『……………………』
三日月『神通さん。司令官』 キョトン
神通『……三日月ちゃん。体調は大丈夫ですか?』 スタスタ
三日月『はい……少し、頭が痛いくらいです』
神通『なら良かった。……あの時倒れてあと、ずっと眠っていたんですよ?』
三日月『あの時……? 倒れたあと……?』
三日月『たおれたあと……?』
前提督『……………………』
三日月『……――あっ』
三日月(段々と頭が……冴えてくる。頭が痛くなってくる。そして――思い出す)
三日月『あぁ……あぁぁ……!!』 ガクブルガクブル
三日月『わ、わたし……わたし……!!』
三日月『人が乗った船を……護衛していた船を……!!』 プルプル
前提督『……………………』
――沈めた。
425: 2015/09/29(火) 05:49:09.37 ID:Fjl+YkHv0
三日月『わたしが……私が』 プルプル
前提督『…………僕は咄嗟に君達に支援艦隊を向かわせた。私も小型の船に乗り、一緒に向かった』
三日月『!?』
前提督『君たちのいる海域に近づくにつれ、何かが見えた。燃え盛る何かが』
三日月『』
前提督『辿り着いて理解した。それが民間人の、僕の家族が乗っていた船だと』
三日月『』
前提督『……そして、血だらけの夕立と、珍しく大きな声をあげ、君の名を呼ぶ神通と、満身創痍で気絶している三日月の姿がそこにはあった』
三日月『』
前提督『状況を察した。僕は君達“三人”を船に乗せ、三日月と夕立の応急手当をして、あの海域の近くにあった鎮守府に連絡し、入渠場とこの部屋を借りた』
三日月『』
前提督『……神通。作戦結果を頼む』
神通『…………はい』
三日月『』
神通『……海上護衛遠征任務は失敗。船に乗っていた乗員は民間人含めて』
三日月『』
神通『生き残りは……一人もいません』
三日月『……わたしのせいだ』
三日月『わたしのせいだわたしのせいだわたしのせいだわたしのせいだわたしのせいだわたしのせいだわたしのせいだ!!』
夕立『み、三日月ちゃん!!』 ダキッ
三日月『わたしのせいだ……!! ぁぁぁあああ!! ――うわあああああああああああああああああああッ!!』
夕立『違うよ!! あなたのせいじゃない!!』
三日月『私があそこで!! 私が!! 私が魚雷を撃って!!』
三日月『ふ、ふねを……しずめた!!』
神通『……三日月ちゃん』
三日月『うっぐ……ひぐっ……!!』
神通『……取り乱して泣くことが、今のあなたのするべきことですか?』
三日月『……っ!!』
前提督『……………………』
三日月『司令官……ごめんなさい……!! ごめんなさ――』
コンコンコン
三日月『!?』
426: 2015/09/29(火) 06:07:37.44 ID:Fjl+YkHv0
前提督『……はい、どうぞ』
元帥『失礼するぞ』 ガチャリ
夕立『!?』 バッ
神通『……』 ビシッ
三日月『…………』
元帥『ふむ。どうやら眠っていた艦娘は目が覚めたようだね?』
前提督『はい、先ほど目が覚めたようです』
元帥『ほほう、それはよかった』
前提督『突然の申し出であったのにも関わらず、入渠場とこの場をお借しいただき本当に感謝しております』 ペコリ
元帥『なぁに、この程度のことお安い御用さ。それより君に大本営から電話が来ておる』 グイ
前提督『あぁ、恐らく先ほど電文で連絡した、遠征任務の結果についてのことかと』
三日月『!?』
元帥『なるほど。それじゃあ、わしは部屋に戻っとる。後で戻しに来てくれい』 スタスタ ガチャ
前提督『……少し電話に出る。静かにしていてくれ』
神通『はい』
夕立『……ぽい』
三日月『…………』
427: 2015/09/29(火) 06:46:23.38 ID:Fjl+YkHv0
ポチ
前提督『お電話お替り致しました』
『……君が先ほど送ってきた電文を確認した』
その電話の主の声は私にも届いた。恐らく神通さんも夕立さんも聞こえているんだろう。
『君は今の状況を理解しているのかね?』
前提督『はい。十分承知しております』
『……“君の判断ミスで船を轟沈させた”……? 全ては君の責任だと言いたいのかね!?』
神通『!?』
夕立『!?』
三日月『……え?』
前提督『その通りです』
『……良いことを教えてあげよう』
『深海棲艦が船を沈めた場合、その罪は護衛していた艦娘が償うことになる』
『そしてこんなことはあり得ないことだが、護衛任務において護衛していた船に誤射し沈めた場合も当然艦娘の罪となる』
三日月『…………』
『……艦娘を庇うなど愚かなことだぞ?』
『……替え等すぐに建造(つく)れるのだからな』
前提督『電文でお伝えした通りです』
前提督『船が沈んだ原因は私です』
三日月『司令官!!』
神通『三日月ちゃん、静かに……!!』
三日月『で、ですが……!!』
『…………』
『……君は馬鹿な男だな。本当に馬鹿な男だ。愚か者だ』
前提督『…………』
『第八鎮守府提督。第二階級降等だ。自ら給料を減らすなど愚かな男だ』
――プツ
前提督『……はは、僕は大佐くらいが丁度良いさ』
三日月『司令官ッ!!』
前提督『……なんだい、三日月?』
三日月『何を……言ってるんですか』
三日月『なんで!! あなたの罪になるんですかッ!!』
三日月『なんで……なんで!!』
前提督『……三日月』
前提督『僕は本当の事しか言っていないよ』
428: 2015/09/29(火) 07:08:24.23 ID:Fjl+YkHv0
三日月『な、なにを言って……』
前提督『最初からさ……もっと任務に艦娘を就ければよかったんだ。その時点で、判断ミスがあったんだ』
前提督『遠征任務の万が一のことを考えていなかったんだ……大切な人が乗っていたのに……いつも通り成功するだろうと……慢心しきっていたのさ』
三日月『違います!! あなたは何も!!』
夕立『……三日月ちゃん』
三日月『夕立さん!! あなたも司令官に言ってあげてください!!』
夕立『うん。言うよ』
夕立『提督さん……』
前提督『……なんだい、夕立』
夕立『船が沈んだのはあなたのせいでも三日月ちゃんのせいでもないっぽい』
三日月『ッ!?』
夕立『……私がしっかりハ級を確認しなかったから。あそこで夕立がちゃんと確認して、トドメをさしていたらこんなことにはならなかった』
三日月『夕立さん、あなたまで何を……!!』
神通『……私も……前に出過ぎて……慢心しきっていました。船が沈んだ……私が原因』
三日月『神通さんまで……!!』
前提督『……それぞれが皆……失敗したんだ……』
三日月(……何を言ってるんだ)
前提督『……ははは……本当に、馬鹿だよ……僕は』 ポロポロ
三日月『――――――――――』
三日月(みんなはいったい何を言っているんだ。司令官は泣きながら……何を言っているんだ)
夕立「皆が、罪の意識を抱えていたんだ」
長月「…………」
夕立「でも、あの子は……」
夕立「…………三日月ちゃんは……全部一人で抱えた」
夕立「そして提督さんは…………耐えきれなくなって」
三日月『私のせいなんですッ!! ――全部ッ!! 全部全部全部ッ!!』
夕立「壊れた」
三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」【第十二夜】



コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります