467: 2015/11/24(火) 08:32:56.03 ID:SFz+dHfp0
前回:三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」【第十一夜】
最初から:三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は」電「……三日月ちゃん」
夕立「提督さんは、限界だった。でも、必氏に必氏に耐えていた。堪えていた」
夕立「でも、限界の人を壊すのなんて……簡単な事っぽい」
夕立『三日月ちゃん……?』
三日月『全部……私のせいなんです……全部』
前提督『三日月、それは違う』
三日月『違くなんかありません!!』
三日月『だって! 船は私が直接撃って沈めたんですよ!? 私がこの手で!!』
神通『三日月ちゃん!! 落ち着いてください!!』
三日月『そもそも……あれだけ撃って敵を沈められないなんて……私……!!』
夕立『それは……で、でも! 夕立が確認しなかったから!』
三日月『そんなの!! 関係ない!!』
夕立『……関係ない?』
三日月『そうですよ。だって、だって! 私が完璧に奴を沈めていたら確認なんてしなくても……良かった』
夕立『み、三日月ちゃん。一人で抱え込んじゃダメだよ。私達、仲間でしょ? 友達でしょ?』
夕立『ゆ、夕立達……“お互いを助け合う事を約束し合った友達同士”でしょ?』
夕立『だから、一人で抱え込んじゃ――』
三日月『そんなの今は関係ありませんッ!!』
夕立『…………』
夕立『な、なによ……それ……』
夕立『なによそれッ!!』
夕立『関係ないって……なによ、それ……』 ポロポロ
三日月『…………関係ないです』
三日月『だって全部私が――』
前提督『――そうだ。そうだよ。そうだよなぁ』
神通『え?』
前提督『そうだ、そうだ……そうだそうだそうだ……』 ブツブツ
夕立『提督さん……?』
前提督『三日月』
前提督『全部お前が悪いんだ』
三日月『…………』
前提督『全部お前が悪いんだ』
468: 2015/11/24(火) 08:37:00.69 ID:SFz+dHfp0
夕立「提督さんは、あの子の言葉を真に受けてしまった。取り乱して、一人で抱え込む……馬鹿の言葉を真に受けてしまった」
夕立「甘えるように……何かに縋り付くように……」
神通『提督!』
前提督『神通、静かにしていてくれ』
前提督『僕は今この兵器と話しているんだ』
三日月『…………』
神通『……え?』
夕立『兵、器?』
前提督『あぁ、兵器だ。僕の家族の命を奪った、危険な兵器だ』
神通『提督ッ!!』
前提督『神通』
前提督『黙っていてくれ』
神通『…………ッ』
前提督『三日月』
三日月『は、はい……』
前提督『……役に立たない兵器だな、君は。……疫病神め』
三日月『ッ』 ギュ
前提督『役立たずめ』
バキ!!
三日月『ぃッ!』
夕立『!? て、提督さん!!』
神通『ダメです!! 提督!!』 ガシ
前提督『止めるなぁ!!』
前提督『こいつは!! 僕の家族を……僕の家族をッ!!』
三日月『ぁ……う』 ブルブル
前提督『この役立たずめ』
三日月『…………』 ブルブル
前提督『無能。疫病神。……この役立たずが!!』
前提督『お前が僕の家族を頃したんだ!!』
三日月『…………っ!』
三日月『ごめんなさい……ごめんなさい……』
482: 2016/01/26(火) 03:44:56.84 ID:OplaWypA0
夕立「その後、騒ぎに気が付いた元帥さんとその艦娘達がなんとか止めてくれたの」
夕立「……あのままだったら、どうなってたんだろう。想像するだけで怖い」
前提督『それでは元帥。ご迷惑をおかけしました。本当にありがとうございました。このお礼は後ほど必ず』 バッ
元帥『なぁに、別に構わんよ。同胞のためさ』
元帥『それよりも、君は自分の事を心配した方が良いと思うぞ……?』
前提督『私の事……?』
元帥『……まぁ良い。今の君は、疲弊しきっている。いつか自分で、気が付けるようにな』
前提督『……?』
神通『…………』
夕立『…………』
三日月『…………』
誰も何も会話をしない。そのまま私達は流れるように自分たちの鎮守府へと帰還しました。
そして、そこから時間が過ぎるのはあっという間だった。
483: 2016/01/26(火) 03:49:02.44 ID:OplaWypA0
三日月『…………』 スタスタ
三日月『……あ』
夕立『…………』
夕立『…………ふん』 スタスタ
三日月『…………』
気が付けば、夕立さんは私と会話しなくなっていた。本当はしたかったけど、夕立さんに嫌われてしまった今では夢のまた夢の話だ。
三日月『…………』 スタスタ
三日月「!!」 チラ
前提督『そうか、では次の作戦の旗艦は引き続き神通にやってもらう』
神通『了解しました。必ず成功させて戻って参ります』
三日月『(司令官と……神通さん)』
前提督『あぁ、期待してるよ』
神通『……あの、提督』
前提督『ん? なんだい?』
神通『その……何でいまだに私を旗艦として使ってくれるのですか?』
前提督『はは、何を言っているんだ。君とは僕が提督になる前からの知り合いだ。誰よりも信頼しているよ』
前提督『あと、自分のことを“使ってくれる”なんて言い方、するんじゃない』
神通『ですが……私はだいぶ前にですが……』
前提督『神通』
前提督『もうその話は……いいから』
前提督『それにあの事件の原因は君ではない』
三日月『…………』
神通『…………』
前提督『ほら、その話はおしまいだ。今日はもう身体をゆっくり休めなさい』
神通『……はい。失礼いたします』 スタスタ
484: 2016/01/26(火) 03:50:34.39 ID:OplaWypA0
三日月『(し、司令官がこっちに来る)』
前提督『ん?』 ピタ
三日月『あっ……司令官。こ、こんにちは』
前提督『……こんなとこで何をしているんだ?』
三日月『え?』
前提督『プラプラとすることもなく歩き回っていたのか? そんなことしている暇があったら訓練でもしてくるんだな』
三日月『ほ、本日はもう休んでいいと神通さんから今朝言われて……その』
前提督『……はは。そんなんだから強くなれないんだ』
前提督『だったら自主錬でもしてればいいじゃないか。まぁ、君がこれ以上強くなれることはもうないかもしれないけどな』
三日月『……!!』
前提督『はは、冗談だ。まったく、嫌がらせのための嘘すら見抜けないくらい君は無能なんだな』 スタスタ
三日月『…………っ』
三日月『訓練、しなきゃ……』
三日月『もっともっと頑張って……訓練しなきゃ……!!』
私は無能なんだから。
いろんなことを言われ続けた。ずっと、ずっと。私が悪いから、仕方がないと思っていたけれど、やっぱり辛かった。
けど、なぜだか解体はされなかった。飛ばされることもなかった。
あの時が来るまでは。
485: 2016/01/26(火) 03:51:45.40 ID:OplaWypA0
三日月『え? 私が……秘書官……?』
神通『えぇ。ローテーションですからね、この鎮守府の秘書官は。今朝提督から伝達の指示がありました』
三日月『は、はぁ』
三日月『(なんでだろ……秘書官、しばらくローテーションから外されたと思ってたのに……)』
神通『という事で、朝練はこのくらいで切り上げて、ささっとシャワーを浴びてきて、お仕事に向かってください』 ナデナデ
三日月『りょ、了解しました。けど、どうしてなでなでするんですか……?』
神通『……頑張ってというおまじないです。ほら、時間はありませんよ?』 ニッコリ
三日月『は、はい! 本日もご指導ありがとうございました!』 タッタッタッタ
<司令室、ドア前>
三日月『(緊張する……身体が震える)』
三日月『(……また、色々と言われるんだろうな)』
三日月『(!! って、なんで私怖がってるんだ! そんなのあたり前じゃない。私は司令官から恨まれて、当然なんだ。嫌がっちゃ、ダメだ……!!)』 ブンブン
三日月『し、失礼します』 コンコンコン
ガチャリ
そして、この日私はやってしまうんだ。
とんでもないことを。
486: 2016/01/26(火) 03:54:03.40 ID:OplaWypA0
三日月『はぁ、はぁ、はぁ』
前提督『…………』 ボタ、ボタ
三日月『!? わ、私……!!』
三日月『(な、なんてことを……!!)』
気が付いたら私は司令官を殴ってしまっていた。ボタボタと鼻血を流す司令官は笑っていた。
前提督『ははは、“私を馬鹿にするのは構わないけど、大切な姉妹を馬鹿にするのはやめろ”だって? 僕の家族を頃した君がそれを言うのか』
三日月『ご、ごめんなさい……ごめんなさい』
最初はいつも通りの悪口だけだった。罵倒されていただけだった。いつものことだった。
でも、その後の言葉は初めて耳にした言葉だった。秘書官の仕事で焦って遅くなっていた私が耳に聞き入れた言葉は。
前提督『所詮は睦月型だな。役立たずめ。加えてお前は無個性……やれやれだな』
この時の私は――“感情を殺せなかった”。いつもの嫌がらせの言葉として聞き入れればよかったのに。ダメだった。
殴ってしまった。殴ってしまった。私は、恨まれていて当たり前の私は。司令官を殴ってしまった。
前提督『……』 ヨロ
スタスタスタスタ
前提督『…………中々、痛かったよ』 スッ
司令官が、私に手を伸ばした。にこりと笑いながら。
私は、ただひたすら怯えた。
三日月『ひっ……!!』 ビクッ
殴られると思ったから。“あの時”みたいに。
そうされて当たり前なのに、私は怯えてしまった。
三日月『ごめんなさい、ごめんなさい!!』
前提督『…………』
私は……本当に、ダメな子だ。震えが止まらなかった。
ダッダッダッダ!!
バターン!!
神通『大きな音が聞こえましたが何の――え? て、提督!? 大丈夫ですか!? み、三日月ちゃん!?』
騒ぎに気が付いた神通さんがやって来た。
前提督『三日月』
前提督『君はこの鎮守府から追放だ。上に伝えて、適当な場所へ飛ばしてもらう』
前提督『……僕の前から……消えるんだ』
そして私は。
三日月「……ここへとやって来たの」
487: 2016/01/26(火) 03:55:45.56 ID:OplaWypA0
三日月「…………」
電「…………」 グスグス
三日月「電ちゃん……どうして泣いてるの?」
電「……電にも、分からないのです」
電「けど、なぜだか涙が止まらないのです」
三日月「……ごめんなさい」
三日月「けど、全部本当の事だよ。これが私の犯してしまった罪なの」
三日月「あの人の家族を撃ってしまって、挙句の果てあの人を……殴って……暴力事件を起こして……しまった」
三日月「全部、私が悪いはずなのに……!!」 ジワァ
電「三日月ちゃん……!!」 ギュ
三日月「電ちゃんは……この話全部きいて……なんで軽蔑しないんですか? なんでこうやって、抱きしめてくれるの?」
電「電は……電は!!」
電「三日月ちゃんの味方なのです!! 何があっても!!」 ギュ
三日月「……っ、電ちゃんは、お人好しだもんね」
電「けど!! 三日月ちゃんはお馬鹿さんなのです!!」
三日月「え?」
電「大馬鹿さんなのです!! ……抱え込み過ぎなのです……頑張りすぎ……なのです……!!」 ギュー
三日月「……――だって、だって!!」
三日月「私が悪いのは……本当の事じゃない!!」
三日月「抱えるよッ!! 私がやってしまったんだから!!」
三日月「頑張るよッ!! だって、だって!!」
三日月「頑張って頑張って、頑張って……っ!!」
三日月「もっと……もっと頑張らないと……私は……!!」
電「……三日月ちゃん」
三日月「耐えられない……!!」
505: 2016/04/01(金) 07:57:21.05 ID:alpQ8Sg40
三日月「耐えられないのよ……!!」
電「……でも、その頑張りが、三日月ちゃん自身を傷つけているのです」
三日月「!!」
電「確かに、三日月ちゃんがやってしまったことは……その…………許されない事なのかもしれません」
電「けど、電は……私は!!」
電「三日月ちゃんを責める事なんか、できないのです!」 ギュー
三日月「電ちゃん……」
電「……三日月ちゃんの前の司令官さん達だって、その時は……ううん」
電「今だって多分、三日月ちゃんのせいにしてなんか、いないのです」
三日月「……それは、ありえないよ……」
電「……確かに、今のあの人は、そう思っているかもしれないのです。だけど、そんなのきっと……本当の感情じゃないのです。あの人もきっと、三日月ちゃんと同じなのです」
電「自分だけで抱え込もうとしたのです。だけど三日月ちゃんもそうしようとしたから……あの人は三日月ちゃんに依存してしまっているのかもしれません」
三日月「私に……?」
電「電の予測にしか過ぎないのです。三日月ちゃん、好きの対義語はなんだか知っていますか?」
三日月「……無関心」
電「そうなのです」
三日月(私が解体されたりしなかったのは……そういう事なのかな?)
電「……人の心は、難しいのです……」
三日月「……うん……」
電「でも私は、あの人の事は……許せないのです。絶対に、許すことはできないのです」
電「大事な友達を傷付けたあの人を許すことはできません」
三日月「私があの人の家族を撃ってしまったという過去があっても?」
電「はい」
三日月「……ブレないね、電ちゃんは」
電「よくお姉ちゃん達からも頑固者だって言われてたのです」
三日月「……ふふ、意外な一面だね」
電「でも、私は、あの人よりも許せない人達がいるのです」 ボソ
三日月「え?」
電「……なんでもないのです」
506: 2016/04/01(金) 08:08:47.78 ID:alpQ8Sg40
電「三日月ちゃん、もう一人で抱え込まないでほしいのです。罪を認めて償う事は……大切なことだとは思います。けど、全部自分だけで抱え込むことは良くないのです」
電「三日月ちゃんには、仲間がいます。司令官さんも、金剛さんも、電も、みんなみんな三日月ちゃんの仲間なのです」
三日月「……うん」
電「何があっても、電は三日月ちゃんの仲間なのです」
三日月「うん……!! うん……っ!!」
電「さぁ、もう電は平気なのです。三日月ちゃん、戻りましょう。一緒に、ね?」
三日月「うん……!!」 ギュー
電「…………」 ヨシヨシ
電(……やるべきことが、決まったのです)
508: 2016/04/01(金) 08:48:08.42 ID:alpQ8Sg40
提督「…………」
金剛「…………」
神通「…………」
前提督「さぁ、長い長い昔話は終わったよ。少し疲れたねぇ」
前提督「――で、お二人とも黙り込んでしまったけれど、もしかして少々退屈だったかい? それとも……」
提督「なぁ」
前提督「ん?」
提督「一年前のその事件、船の船長男で、補佐は女性だったか? 大体同じくらいの年齢の」
前提督「さぁ、僕から何とも言えないよ。神通、その辺りはどうだった?」
神通「はい、あなたが言う通りでしたよ。……とても優しい方々でした」
提督「…………そっか」
金剛(……提督? なんかちょっと表情が暗い気が……?)
前提督「まぁ、そういう事で話を戻そうか。この話を聞いてどう思う?」
提督「そうだな。色々と思う所はあるさ。けど……なんでアンタは……」
前提督「……」
提督「そうなっちまったんだよ……アンタだって本当は……わかってるんじゃねぇか……」
前提督「……話が見えないね。いったい何を言っているんだい?」
提督「……アンタは、逃げてるだけだ。自分で分かってるのに、分かっていたはずなのに、なんでアンタはアイツの馬鹿な言葉に真を受けたんだよ!」
提督「何が『全部お前が悪い』だよ。アンタだってそんなはずないって思ってたのに……なんで……真に受けてんだよ……」
金剛「提督……」
前提督「……ふん」
ガチャリ
夕立「ただいま戻ったっぽい」
菊月「…………」
前提督「あぁ、戻ったのか。おかえり、夕立……と、菊月も一緒だったのか」
夕立「うん」
神通「電さんと……三日月ちゃんは?」
夕立「えと……ごめんなさい。送った後夕立は別行動をしちゃってて……それで途中から菊月ちゃんと一緒にいたっぽい。あと、電ちゃんなら無事入渠できたから安心っぽい」
神通「そうだったんですか。けど、結構戻って来るの遅かったんですね」
夕立「じ、実は道に迷っちゃってたっぽい! それで菊月ちゃんとたまたま合流して戻って来れたっぽい! ね、ね? 菊月ちゃん」
菊月「……あぁ」
前提督「……彼女、無事だったみたいだね。良かったじゃないか、少佐殿」
提督「あぁ、本当に良かった。……とりあえず、この事に関してはちゃんと上に報告するからな」
前提督「……無駄な事だよ。君だって上に言ったところで意味はないってわかってるだろうに」
509: 2016/04/01(金) 09:03:39.93 ID:alpQ8Sg40
提督「…………」
前提督「……さて、興が醒めてしまったね。彼女達が戻ってきたら僕らはそろそろ帰らせてもら――」
提督「待てよ」
前提督「ん?」
提督「後日でいい。俺達と演習をしてくれ」
前提督「は?」
提督「唐突過ぎるって事は百も承知だ。でも、さ……このままはいさよならだと色々と腑に落ちないんだよ」
提督「だから、演習を組ませてほしい」
前提督「……訳が分からないね。そんな演習、意味を成さないよ。そもそも、君が今いるこの鎮守府はできたばっかじゃないか。とても演習ができるとは思えないさ」
提督「そうでもないさ。アンタ、今連れてきている艦娘は全員合わせて三人だろ? この鎮守府にいるのも三人。ちょうど三対三だ」
前提督「……意味がないし時間の無駄だ。しかもそんなの――」
提督「勝ち負けの結果は見えてるってか? そうでもないさ。アンタだって、提督なんだから分かるんだろ? 練度」
提督「できたばっかのうちの鎮守府にも、練度の高い艦娘はいる。別のところからやって来た、自分に自信が無さ過ぎる真面目な努力家がな」
前提督「ッ!!」
提督「あの子だけじゃない。うちには金剛も電だっている。そいつらでアンタに……勝ってやる。な、金剛?」
金剛「……フフフ……フッフッフ―! 提督は最高デース! 負ける気がしないデース!!」
金剛「それに、演習だったラー……合法的にyou達をボッコボコにできる」
夕立「!!」
神通「……」
金剛「神通―、あなたの言ってる事、私は間違ってると思いマース。でも譲れないことだってことも分かってマース。だから、海の上で決着つけまショウ」
神通「ふふ、面白いですね」
前提督「!! おい、神通。何を勝手に」
神通「別に問題ないと思いますよ。演習はお互いに経験値が積めます。それに、結果は見えてるんですから、経験値はこちらが多く積めますから」 ニッコリ
金剛「ホッホーウ……面白いデース!」 ニコニコ
バチバチバチバチ
夕立(お互い笑顔なのに火花が見えるっぽい)
菊月「…………」
「電からもその演習、お願いしたいのです」
ガチャリ
510: 2016/04/01(金) 09:04:54.08 ID:alpQ8Sg40
電「…………」
提督「電!」
金剛「電!! それに……ヅッキー」
電「はい、ただいま戻ったのです」 ニッコリ
三日月「…………」
前提督「…………」
電「……三日月ちゃん、電がいるのです」
三日月「…………うん」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
スタスタスタスタ
電「三日月ちゃん、落ち着きましたか?」
三日月「……はい。大分落ち着きました」
三日月「なんか、本当に色々とごめ――」
電「三日月ちゃん、謝らなくていいのです。どちらかと言うと、電は謝られるのは好きじゃないのです」
電「電も謝ってばっかですけどね。あはは」
三日月「……電ちゃん、ありがとう」
電「いえいえ、なのです!」 ニッコリ
三日月(……前に、司令官にも似た様な事言われたなぁ)
電「? 三日月ちゃん、どうかしました? ニコニコしてるのです」
三日月「え? 本当ですか? 私ニコニコしてました?」
電「はい。とっても可愛いのです」
三日月「か、かわ……あはは、ありがとう。けど、別になんでもないですよ」
電「ならいいのですけれど」
三日月「……電ちゃん」
電「? なのです?」
三日月「私、電ちゃんに会えてよかった」
電「!?」
三日月「電ちゃんに会えて、本当に良かった。司令官に会えてよかった。金剛ちゃんに会えてよかった……けど、あの人達の事も……私が壊してしまった関係だけど……私はあの日々の楽しさを過去のものにしたくないかな」
三日月「私なんかが言っちゃいけないことだと思うけど……ね」
電「……そんなことないのです」
三日月「……私、この前強くなるって誓ったばっかなの。でも、まだまだ弱いし、精神面でも……未熟者だし……ダメダメな私だけど……」
電「……うん」
三日月「もう、逃げない。犯してしまった罪は帳消しにできないし、私は、今でも“自分が一番悪い”って思ってる。けど、もう逃げないよ」
三日月「――ひとつひとつになっちゃうけど、解決していきたい。この先何があったとしても……私が壊してしまった過去に向き合う」
電「……それが、――それが三日月ちゃんの思いなら、電は喜んで協力するのです!」
三日月「うん。ありがとう、電ちゃん」
三日月(電ちゃんがいたから、私はこう考えれるようになったんだ。全部自分で抱え込むだけじゃ、ダメなんだ)
三日月「……電ちゃん……これからも私の友達でいてくれる……?」
電「……何言ってるのですか。これからもずっと友達なのです!」
三日月「――うん!」
511: 2016/04/01(金) 09:06:02.64 ID:alpQ8Sg40
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
私はもう逃げない。
三日月「し、司令官!! 金剛さん!!」
三日月「私は、あなた達に話していないことがあります。私は昔、取り返しのつかないことをやってしまったんです」
三日月「許されないことです。絶対に。それほどの事を私はやってしまったんです」
三日月「多くの人達が犠牲になりました。私が、原因です」
三日月「……私は、あなた達にこの事を何も伝えなかった。いいえ、伝えられませんでした」
三日月「怖かったから……伝えられませんでした」
三日月「でも、もう逃げません。何を言われても、私は向き合います。詳しい内容は長くなっちゃうので今は厳しいですけれど、全部伝えます。司令官も金剛さんも……仲間ですから」
提督「…………」
金剛「…………」
三日月「……神通さん!! 夕立さん!! 菊月!! ――司令官!!」
三日月「――ごめんなさい!!」
前提督「…………っ」
夕立「…………」
菊月「…………」
三日月「……あ、あの」
神通「――それは」
三日月「え?」
神通「それは、何に対しての謝罪なんですか?」
三日月「あの……」
神通「ゆっくりでいいです。ちゃんと、全部、思ってることを言葉にしなさい。……もう、逃げないんでしょう?」
三日月「!! は、はい!!」
電「…………」
512: 2016/04/01(金) 09:07:16.49 ID:alpQ8Sg40
三日月「……私は……っ、わ、私は……あの時の事、今でも“自分が一番悪い”って思っています」
夕立「っ!」
三日月「でも!! 私は、あの時なんにも考えれていなかった。皆さんの言葉に、向き合っていなかった。それが、私がやってしまった“一番悪いこと”です」
夕立「…………」
三日月「夕立さんも、神通さんも……司令官も、向き合っていました……なのに私は、全部自分で抱えました。自分一人で」
三日月「私は、一番悪いことをしました。取り返しのつかないことをしました。司令官に、恨まれて当たり前のことをしました。けど、それ以上の“一番悪いこと”をやってしまったんです」
三日月「それに、菊月にも……大切な姉妹にも何も伝えなかった。いっぱい心配かけちゃったよね?」
菊月「…………」
三日月「こんなこと言っても、意味ないってことは分かってます。ただの自己満足だって言われたら、否定できません。その通りだって思います。けど、もう一度言います」
三日月「神通さん。夕立さん。菊月。司令官」
三日月「ごめんなさい」
夕立「…………」
菊月「…………みか――」
前提督「――それで、僕の家族は戻って来るのか?」
菊月「ぁ……」
三日月「…………」 フリフリ
前提督「お前は、僕の大切な家族を、頃したんだ」
三日月「はい」 コクン
前提督「……お前は僕の大切な家族を頃したんだ!!」
三日月「はい」 コクン
前提督「もう、戻って来ないんだ。お前が撃った魚雷で、跡形もなく……なった」
三日月「はい」 コクン
前提督「……僕がお前に投げかけた言葉は、間違ってたんだ。全部お前が悪いんだ」
三日月「はい」 コクン
前提督「ッ!!」
バシーンッ!!
三日月「ぃッ!!」
提督「!!」 ガタッ
バッ
提督「!?」
電「…………」 フリフリ
提督「……電……」
513: 2016/04/01(金) 09:07:53.31 ID:alpQ8Sg40
前提督「……なんなんだよその目は。いつも通り怯えろよ。苦しめよ!! 嫌がれよ!! ――そんな目で、僕と向き合うな!!」
三日月「……嫌です、司令官。私は、もう逃げないって決めたんです。好きなだけ、殴っていいです。罵っていいです。私は、それだけの事をやってしまったんです。けど、もう、怯えません。逃げません」
前提督「ッ――!!」
三日月「司令官。本当に、ごめんなさい」
前提督「……黙れッ!!」
三日月「ッ」 ビク
前提督「はぁ……はぁ……はぁ……」
前提督「……少佐殿。すまない。僕はもう帰らせていただくよ。気分が悪い」
提督「…………」
前提督「……演習は、一週間後でいいかい?」
提督「ん?」
前提督「一週間後なら、演習は可能だ。連れてくるのは、今いるこの三人だけだ。君の出した条件で受けて立ってやる」
前提督「……そこにいる兵器に、後悔をさせてやる。ボコボコにしてやる。心を折ってやる」
三日月「…………」
提督「演習を組んでくれることに、感謝するよ。……けど」
提督「絶対に負けねぇ」
514: 2016/04/01(金) 09:09:00.09 ID:alpQ8Sg40
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
提督「いやー本当に疲れたな~」
金剛「本当デース! もうクタクタデース」
提督「はっはっは! 明日からまた演習の連続になるから、今日はもう思う存分休むがよいぞ?」
金剛「HAHAHA! もう夜じゃないですカー!」
提督「おう、そうだったなー」
三日月「あ、あの……」
提督「そういえば電のやつ、本当にマメだよな。見送りは良いってあっちから言ってんのにわざわざ見送りに行くなんてな」
金剛「この鎮守府の子はみんな真面目でいい子デスからネー」
提督「はっはっは! そうだったな!!」
三日月「あ、あの!!」
提督「ん? どうした三日月?」
金剛「レディーが突然大きな声出すのは良くないデース!!」
三日月「え、えと……そろそろ話してもいいですか? 私の隠していた罪についての話を」
提督「……なぁ、三日月」
三日月「はい」
提督「あのさぁ……別に全部話す必要なんてなくないか?」
三日月「へ?」
提督「誰だって秘密はあるし、隠したいことだってあるに決まってる」
三日月「そ、それは……」
提督「だからさ、三日月。別に話さなくても大丈夫だぞ? その罪ってやつを俺に伝えようが伝えなかろうが、俺は……お前の味方だ。仲間だ」 ニッコリ
三日月「……お気遣い、ありがとうございます。司令官」
三日月「でも、これは……話したいことなんです。伝えたいことなんです。司令官にも、金剛さんにも」
提督「……わかった。それがお前の本当の気持ちなんだな?」
三日月「はい! 私はもう逃げません。ちゃんと、全部、伝えます」
提督「……実はな、俺も金剛もアイツから全部聞かされてるんだ」
金剛「……アハハ……」
三日月「……へ?」
提督「全部、知ってるよ……けど、俺はお前から全てを聞きたい。お前の気持ちに、正面からぶつかりたい」
三日月「……司令官」
金剛「……ワタシも、ヅッキーから聞きたいデス」 ニッコリ
三日月「……金剛さん」
三日月「……っ」 ゴシゴシ
三日月「聞いてください。私の罪の話を――」
515: 2016/04/01(金) 09:09:57.48 ID:alpQ8Sg40
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
電「本日は遠い所からお訪ねいただき、ありがとうございましたなのです」
前提督「……あぁ、お見送りわざわざありがとう。一応お礼は言っておくよ」
電「いえいえ。電も秘書官の建前としてやっているだけなのです」
前提督「……ふん」
電「そう言えば夕立さん」
夕立「……何?」
電「電の事、運んでくれたって聞きました。ありがとうございました」
夕立「……別に、いいっぽい」
電「……けど、言いたいことがあるのです」
夕立「…………」
電「……電は、三日月ちゃんの味方です。彼女が言う事に協力してあげるつもりです。……ですが、私個人として、言いたいことがあるのです。……夕立さんも神通さんも……菊月さんも……あなた方の司令官さんも」
電「電は絶対に許しません」
516: 2016/04/01(金) 09:11:57.93 ID:alpQ8Sg40
前提督「……ほう?」
電「夕立さん、三日月ちゃんにしたことは、ただの裏切り行為なのです」
夕立「は?」
電「……本当の友達だったら、友達が間違っている事を言っていたら……それを伝えてあげるべきなのです」
電「……夕立さんは、三日月ちゃんから逃げているだけなのです」
夕立「ッ、この……」
電「神通さん。あなたの忠誠の仕方は、間違っているのです。……あなたは三日月ちゃんに優しくしてるみたいですが、それこそ自己満足なのです」
電「――優しくするんだったら、どうしてあの子がその人にいじめられている時に、助けてあげないんですか!! 守ってあげないんですか!!」
電「……あなたが守りたいのはその人なんですか? 三日月ちゃんなんですか?」
神通「…………」
電「菊月さんだって、そうなのです」
菊月「っ」
電「さっきから、黙っているばかり……全部、知ったのでしょう?」
菊月「…………」
電「……三日月ちゃんがあなた達姉妹に何も話していなかったのは、確かに彼女が悪いとは思います。でも、なんで受け身の形なんですか。あの子は、抱え込んでしまう子だって、姉のあなたが一番理解しているはずでしょう!?」
電「……姉妹ってのは、正面からぶつかり合うものなのです! 姉妹の様子がおかしかったら、無理矢理でも聞き出すものなのです……!! 今あなたが良くしてもらってるかもしれませんが、その分三日月ちゃんは苦しんでいたのです!!」
夕立「……黙って聞いてれば……!!」
菊月「夕立!」
夕立「……菊月ちゃん」
菊月「……大丈夫だ」
電「……今のあなた方は、三日月ちゃんに擦り付けているだけなのです。達観している気分になってるのかもしれませんが、それこそ自己満足なのです」
電「……私は、あなた達に絶対負けません」
電「……三日月ちゃんのお馬鹿さに甘えて、いじめるわからず屋なんかに」
前提督「…………」
電「友達の間違いを正さない、被害者気取りのわからず屋なんかに」
夕立「…………」
電「上官のくせにどっちつかずの優柔不断なわからず屋なんかに」
神通「…………」
電「本当の事を知っても、何を言うべきか分からない、姉妹を一番理解をしているはずなのに……迷っているわからず屋なんかに」
菊月「…………」
電「――電は、絶対に負けないのです!!」
電「なにが……そこにいる兵器に、後悔をさせてやる。ボコボコにしてやる。心を折ってやる……ですか! こっちの台詞なのです!!」
電「後悔させてやるのです!! ボコボコにしてやるのです!! 心を折ってやるのです!!」
電「――電の本気を見るのですッ!!」
517: 2016/04/01(金) 09:13:39.19 ID:alpQ8Sg40



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